JPH10127978A

JPH10127978A - ドラム式洗濯機

Info

Publication number: JPH10127978A
Application number: JP8287729A
Authority: JP
Inventors: Hiroko Uhara; 浩子宇原
Original assignee: Sharp Corp
Current assignee: Sharp Corp
Priority date: 1996-10-30
Filing date: 1996-10-30
Publication date: 1998-05-19
Anticipated expiration: 2016-10-30
Also published as: JP3436644B2

Abstract

(57)【要約】【課題】従来のドラム式洗濯機では、洗浄液に空気を
多く含ませているため、ドラム内の泡立ちによるタンブ
リング効果の低減が発生することとなった。【解決手段】ドラム式洗濯機において、制御手段が、
洗濯水による被処理物の洗浄時に、回転駆動手段の回転
数を、前記被処理物がドラム内でタンブリング可能な回
転数と前記被処理物が前記ドラム内で張り付く回転数と
に交互に制御してなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水平に取り付けら
れたドラムを備えたドラム式洗濯機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のドラム式洗濯機は、洗濯時にドラ
ムを内部の被処理物がタンブリング（揺動）可能な速度
で低速回転させ、脱水時にドラムを被処理物がドラムの
周壁内面に張り付いて落ちない速度で高速回転させる、
ドラムのタンブリングによるたたき洗いが主流であり、
長時間かかる上に限られた低発泡性洗剤しか使用できな
かった。

【０００３】これを改善するドラム式洗濯機として同出
願人は、先に提案した特願平８−５４３３５号に記載し
たように、あらかじめドラム内に洗浄液を溜た後、バッ
フルから洗浄液（水）と空気を約１：１に混ぜてジェッ
ト噴射することによって、ある程度の洗浄時間短縮と消
泡効果をはかるものを提案している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特願平
８−５４３３５号に記載したドラム式洗濯機は、洗浄液
に空気を多く含ませているため、ドラム内の泡立ちによ
るタンブリング効果の低減が発生することとなった。

【０００５】また、これに伴い、洗浄水が被処理物に浸
透したままの状態となり、循環ポンプの空回りが若干起
こることとなった。

【０００６】さらに、高容量の場合に布類の容積が高い
ため、布全体にジェット噴射の効果を及ぼすことができ
なかった。

【０００７】本発明は、上記課題に鑑み、タンブリング
効果の向上を図るドラム式洗濯機の提供を目的とするも
のである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１記載のドラム式洗濯機は、水平軸
を中心に回転可能に支持され、被処理物を収容するドラ
ムと、該ドラムを回転させる回転駆動手段と、前記ドラ
ム内に洗濯液を給水する給水手段と、前記ドラムからの
排出液を再び前記ドラム内へ噴射させる循環手段と、前
記回転駆動手段の回転数を制御する制御手段とを備えた
ドラム式洗濯機において、前記制御手段が、前記洗濯水
による前記被処理物の洗浄時に、前記回転駆動手段の回
転数を、前記被処理物が前記ドラム内でタンブリング可
能な回転数と前記被処理物が前記ドラム内で張り付く回
転数とに交互に制御してなることを特徴とするものであ
る。

【０００９】また、本発明の請求項２記載のドラム式洗
濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前記
被処理物の量を検知する被処理物量検知手段を設け、前
記制御手段が前記被処理物量検知手段からの出力に基づ
いて前記回転駆動手段の回転数を制御してなることを特
徴とするものである。

【００１０】さらに、本発明の請求項３記載のドラム式
洗濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前
記ドラム内の前記被処理物の偏りを検知するアンバラン
ス検知手段を設け、前記制御手段が前記回転駆動手段の
回転数を前記被処理物が前記ドラム内でタンブリング可
能な回転数の略上限値に制御した際に前記アンバランス
検知手段の出力が所定のレベル以下の場合にのみ、前記
回転駆動手段の回転数を前記被処理物が前記ドラム内で
張り付く回転数に制御してなることを特徴とするもので
ある。

【００１１】加えて、本発明の請求項４記載のドラム式
洗濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前
記制御手段が、洗浄終了直前のドラム回転数が洗浄時で
最も高い回転数で回転するよう前記回転駆動手段の回転
数を制御してなることを特徴とするものである。

【００１２】上記構成によれば、本発明の請求項１記載
のドラム式洗濯機は、前記制御手段が、前記洗濯水によ
る前記被処理物の洗浄時に、前記回転駆動手段の回転数
を、前記被処理物が前記ドラム内でタンブリング可能な
回転数と前記被処理物が前記ドラム内で張り付く回転数
とに交互に制御してなる構成なので、完全に洗浄液が浸
透していない被処理物に洗浄液を早く完全に浸透させる
ことができるとともに、洗浄液が完全に浸透した被処理
物を効率良く脱水及び吸水させて洗浄することができ
る。

【００１３】また、本発明の請求項２記載のドラム式洗
濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前記
被処理物の量を検知する被処理物量検知手段を設け、前
記制御手段が前記被処理物量検知手段からの出力に基づ
いて前記回転駆動手段の回転数を制御してなる構成なの
で、前記被処理物の量に応じて最も効果的な洗浄を行う
ことができる。

【００１４】さらに、本発明の請求項３記載のドラム式
洗濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前
記ドラム内の前記被処理物の偏りを検知するアンバラン
ス検知手段を設け、前記制御手段が前記回転駆動手段の
回転数を前記被処理物が前記ドラム内でタンブリング可
能な回転数の略上限値に制御した際に前記アンバランス
検知手段の出力が所定のレベル以下の場合にのみ、前記
回転駆動手段の回転数を前記被処理物が前記ドラム内で
張り付く回転数に制御してなる構成なので、前記被処理
物のアンバランスによる振動およびそれに伴う騒音を防
止することができる。

【００１５】加えて、本発明の請求項４記載のドラム式
洗濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前
記制御手段が、洗浄終了直前のドラム回転数が洗浄時で
最も高い回転数で回転するよう前記回転駆動手段の回転
数を制御してなる構成なので、洗浄終了後の脱水効率を
向上することができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態にかか
るドラム式洗濯機について、図面とともに説明する。

【００１７】図１は本発明の実施の形態にかかるドラム
式洗濯機の構成を示す側断面図である。

【００１８】本実施の形態にかかるドラム式洗濯機は、
一部に複数の孔１を有し洗濯物（被処理物）Ｓを収容す
るドラム２と、このドラム２を回転自在に支持する水槽
３と、ドラム２を正逆回転させる回転駆動装置（回転駆
動手段）４と、ドラム２前面側からドラム２の中心に洗
濯液（洗浄液または濯ぎ液）を噴射する少なくとも１個
以上の噴射ノズル５と、該噴射ノズル５を動作させる噴
射装置６とを備えている。

【００１９】前記水槽３は、前面にパッキン７で洗濯物
出入口が形成された横置きの円筒状からなり、洗濯機本
体８に対して上面がスプリングにより吊り下げられ、下
面はダンパーにより支持されている。これらによって、
水槽３を保持して水槽３の振動を減衰させる構造になっ
ている。

【００２０】また、前記水槽３には重りが取り付けら
れ、ドラム回転時の振動を低減している。さらに、洗濯
機本体８の底面の四隅には棚９が取り付けられ、床等へ
の振動の伝導を遮断している。そして、洗濯機本体８の
前面にはパッキン７に連通した開口１０が形成されてお
り、パッキン７を密閉する前面ドア１１が開閉自在に取
り付けられている。

【００２１】前面ドラム２は、前面に開口１２を有する
円筒状に形成され、その一部には洗濯物中の水分を遠心
脱水できるように設けた多数の孔１がある。ドラム２の
内周壁には３本のバッフル１３が等間隔に軸方向と平行
に形成されている。

【００２２】ドラム２の後面に形成された回転受部１４
には水平軸１５が固定されており、水平軸１５は水槽３
の後壁を貫通して軸受１６により回転自在に支持され、
その先端には駆動プーリ１７が装着されている。

【００２３】また、水槽３の下面に正逆回転可能なモー
タ１８が取り付けられ、モータ１８の出力軸１９にモー
タプーリ２０が装着されている。このモータプーリ２０
と駆動プーリ１７とは駆動ベルト２１によって連結され
ている。すなわち、ドラム２を回転させる動力は、モー
タ１８の出力軸１９、モータプーリ２０、駆動ベルト２
１、駆動プーリ１７を経て水平軸１５に伝達され、これ
らによって回転駆動装置４が構成される。

【００２４】前記噴射ノズル５は、ドラム２の前面のパ
ッキン７上または前面ドア１１とドラム２の間に取り付
けられている。その構造を図２に基づいて説明する。図
２は噴射ノズルを示す斜視図である。

【００２５】先端に入口５ａより細かくなった噴射口５
ｂが入口５ａから見て少しずつ角度を変えて複数形成さ
れている。このような形状とすることにより、洗濯液は
入口５ａから噴射口５ｂに達すると流速が速くなり、さ
らに噴射口５ｂから流れ出るとき流れがくびれて断面積
が小さくなり、直線状に噴射させることができ、噴射口
５ｂの各々の方向に噴射されてるためドラム２内部の洗
濯物Ｓにまんべんなく噴射させることができる。

【００２６】前記噴射装置６は、各噴射ノズル５に接続
された循環パイプ２２と、洗濯液をためるタンク２３
と、タンク２３からの洗濯液を加圧して循環パイプ２２
に送るポンプ２４とからなる。

【００２７】ポンプ２４は、前記駆動装置４のモータ１
８とは異なるモータによって駆動され、タンク２３とポ
ンプ２４とを接続する接続パイプ２５に止水弁２６が介
装されている。循環パイプ２２は、パッキン７の手前に
おいて噴射ノズル５に連通している。

【００２８】また、水槽３の下面に形成された排水口２
７とタンク２３とを連通する排水パイプ２８が設けら
れ、排水パイプ２８中に排水弁Ａ２９が介装され、噴射
装置６とともに洗濯液を循環させる循環手段が構成され
ている。その排水パイプ２８中にリントフィルター３０
が着脱自在に設けられ、洗濯機本体８前側で簡単に糸屑
が取り出せるように取り出し口３１が形成されている。
そして、タンク２３に排水弁Ｂ３２を介装した排水ホー
ス３３が接続され、排水ホース３３の排水弁Ｂ３２より
も上流側から接続パイプ２５が分岐されている。なお、
水槽３の上部には、給水弁３４が介装された給水パイプ
３５が接続され、水道に連結され、差圧式、電磁式、容
積式、超音波式等の流量センサからなる給水センサ３６
が取り付けられている。

【００２９】また、タンク２３には、溜まった水量を検
出するために水位センサ、重量センサ等からなる水量セ
ンサ３７が取り付けられ、洗濯液の泡立ちを押える消泡
装置３８が設けられている。消泡装置３８としては、タ
ンク２３の側面、底面又は上面に取り付けられ、泡を加
熱して破泡させるもの、周波数２０ｋＨｚの超音波を照
射して泡を破壊するもの、シリコーンのような消泡剤を
滴下して消泡するものの内いずれか一つからなってい
る。消泡装置３８によりタンク２３内の泡が消失され、
ポンプ２４への泡の吸い込みが制御され、ポンプ２４の
能力の低下を防止できる。

【００３０】上記の如く構成されたドラム式洗濯機で
は、洗い、濯ぎ、脱水の各工程にしたがって回転駆動装
置４、噴射装置６および各弁が、図３に示すマイクロコ
ンピュータからなる制御装置３９によって駆動制御され
ており、洗濯機本体８の外面に設けられた操作パネルの
操作キーからの入力および給水センサ３６、水量センサ
３７、温度センサ、汚れセンサ等の出力信号に基づいて
各行程を実行させる。図３は前記制御装置３９のブロッ
ク図である。

【００３１】制御装置３９は、図３の如く、給水センサ
３６からの検出信号により給水量を検知する給水量検知
回路４０およひ水量センサ３７からの検知信号により水
量を検知するタンク水量検知回路４１と、両回路４０，
４１からの信号により洗濯物量を算出して運転条件を設
定する制御回路４２と、制御回路４２からの駆動信号に
より給水弁３４を駆動させる給水弁駆動回路４３と、洗
い時にドラム２の回転速度を低速から高速または高速か
ら低速へと変化するようにモータ１８を駆動させるドラ
ム回転駆動回路４４とを備えている。なお、制御装置３
９には、各弁を駆動するための駆動回路（図示せず）、
噴射装置６の駆動回路（図示せず）等も備えている。

【００３２】洗濯物量の算出方法は、洗濯開始時におけ
る給水量とタンク２３の水量との差が洗濯物Ｓの給水量
となるので、まずこの差を求め、これに洗濯物Ｓの材質
によって給水量が異なることから材質に応じた係数をか
けて洗濯物量を算出する。なお、洗濯物Ｓの材質は運転
開始時に入力しておく。また、洗濯物量の算出方法とし
て、上記の方法とは別に、洗濯開始時に、制御装置３９
がモータ１８を制御してドラム２を所定の高速度で回転
駆動させた後に駆動を停止させ、そして惰性により回転
しているドラム２が静止するまでの時間を検知し、ドラ
ム２内の洗濯物量を判断する方法でも良い。

【００３３】また、水槽３の振動を検知するための振動
センサを有するアンバランス検知手段である振動検知手
段（図示せず）を備え、この振動検知手段は水槽３の振
動のドラム２の回転方向と平行な水平部分の成分もしく
は垂直成分を検出するように取り付けられ、ドラム２を
布類がドラムに張り付く程度の回転数まで立ち上げる際
の振動を検知し、低振動で効率的な立ち上げを行うよう
制御装置３９に信号を送る。前記振動センサの例として
は、水槽３の振幅を直接検出する変位センサや、水槽３
に加えられた加速度に比例した電気信号を出力する水晶
やセラミック等の圧電素子の圧電効果を利用した加速度
センサ等があげられる。

【００３４】例えば、加速度センサを用いた場合の原理
は次の通りである。センサのハウジング内のおもりが外
部からの振動によって圧電素子に力を加え、圧電素子は
そのストレスによって正イオンと負イオンのバランスが
崩れて電荷を発生する。その電荷は電極に蓄積され、最
終的に振動検知回路を通じて振動波形として出力され
る。蓄積された電荷量は加えられた力に比例し、その力
は加速度に比例する。振動検知手段の出力波形の値（本
実施の形態ではＰ−Ｐ値とする）の取り方の概念を図４
で説明する。振動検知手段の出力がゼロを表す線を跨い
だピークとピークの間の値のみで判定するようにしてい
る。例えば、（ａ）のような波形の場合に、ゼロを跨が
ないピークＰ１とピークＰ２の間の値、およびピークＰ
３とピークＰ４の間の値は無視し、ゼロを跨いだピーク
Ｐ１とピークＰ３の間の値のみを検知するようにしてい
る。また（ｂ）のような波形の場合にはゼロを跨いだ両
ピークの間の値を検知する。

【００３５】上記構成によるドラム式洗濯機の動作を以
下に説明する。まず、ドラム２内に洗濯物Ｓを入れた後
洗濯物Ｓに応じた洗剤量を給水パイプ中に介装された洗
剤投入口（図示せず）に入れ洗濯を開始する。また、前
記洗濯物量の算出方法により洗濯物量の検知を行い、必
要給水量を給水する。

【００３６】給水量とタンク水量より洗濯物量を算出す
る場合の洗浄ソフトを図５にしたがって説明する。ま
ず、給水弁３４および排水弁Ａ２９を開けて給水を行い
給水センサ３による給水量検知および水量センサ３７に
よるタンク水量検知を行い洗濯物量を算出して必要給水
量を給水した後、給水弁３４および排水弁Ａ２９を閉じ
てモータ１８を駆動させ、タンブリング可能な回転数
（３０〜７０ｒｐｍ前後）でドラム２を回転させる。回
転開始１分後、排水弁Ａ２９および止水弁２６を開けて
ポンプ２４を駆動させて洗浄液を循環パイプ２２へ送
り、噴射ノズル５よりドラム２内に噴射する。噴射開始
１〜２分後（ある程度洗浄液が洗濯物に浸透した後）、
一定時間毎にドラム２の回転数を布類がタンブリング可
能な回転数での回転とドラムに張り付く程度の回転数で
の回転を交互に繰り返し、洗濯物Ｓの体積を減らしジェ
ットがドラム２の奥まで噴射できるようにする。これに
より洗浄液の洗濯物Ｓへの分布を促進し洗浄液の向上を
図る。洗浄終了直前には、排水弁Ａ２９を開けドラム２
を洗浄時で最も高い回転数で３０秒以上回転を行い、そ
のまま中間脱水運転に入る。排水弁Ｂ３２は中間脱水開
始時に開け、同時に止水弁２６を閉じる。これにより、
中間脱水開始前に一部脱水運転に近い状態になるため、
中間脱水時間も短縮することができる。

【００３７】洗濯開始時にドラム２を所定の高速度で回
転駆動させて洗濯物量を算出する場合の洗浄ソフトを図
６にしたがって説明する。まず、給水弁３４を開けて給
水を行い、給水開始３０秒〜１分後よりタンブリング可
能な回転数（３０〜７０ｒｐｍ前後）でドラム２の回転
を開始する。給水終了後、排弁Ａ２９を開けてドラム２
内の洗浄液を排水する。タンク２３の水量センサ３７が
洗浄液を検知すると制御装置３９に信号を送り、制御装
置３９は止水弁２６を開けポンプ２４を駆動させて洗浄
液を循環パイプ２２へ送り、噴射ノズル５よりドラム２
内に噴射する。噴射開始後は前記の給水量とタンク水量
より洗濯物量を算出する場合の洗浄ソフトと同様であ
る。

【００３８】次に、洗浄および脱水時にドラム２の回転
数を布類がドラム２に張り付く程度の回転数まで立ち上
げる時の動作を図７および図８のフローチャートを参照
しながら説明する。

【００３９】まず、ステップ＃５でドラム２を正転加速
し、ドラム２を低速で正回転させる。回転開始後１．５
秒間は振動検知対象から外し、１．５秒が経過するとス
テップ＃１０で振動検知手段の出力波形のＰ−Ｐ（ピー
ク・ツウ・ピーク）値が所定値Ａ以下であるか否かを判
定する。

【００４０】所定値ＡはＰ−Ｐ値がこの値以下でない
場合はドラム２の振動が非常に大きく、ドラム２を回転
し続けることができないことを示すものであり（例え
ば、振動加速度で５．０ｍ／ｓ²）、Ｐ−Ｐ値がＡ以下
の場合にはステップ＃１５に進む。Ｐ−Ｐ値がＡ以下で
ない場合にはステップ＃３５に進み、ドラム２を停止さ
せ、ステップ＃５に戻り、ドラム２を再び回転させる。
これによってドラム２内の洗濯物が転動して洗濯物の偏
り具合が変化する。そして、ステップ＃１０で再びＰ−
Ｐ値がＡ以下であるか否かを判定する。

【００４１】次にステップ＃１５でドラム２の回転数が
所定の低速回転数Ｆに達しているか否かを判定する。こ
のＦは、洗濯物がドラム２の周壁内面に張り付きながら
洗濯物の一部が動く（即ち、洗濯物が揺動する）回転数
のほぼ上限値である（例えば、７０ｒｐｍ）。ドラム２
の回転数がＦに達している場合にはステップ＃２０に進
み、ドラム２を低速維持し、ステップ＃２５に進む。ド
ラム２の回転数がＦに達していない場合はステップ＃５
に戻る。

【００４２】次に、ステップ＃２５で振動検知手段の出
力波形のＰ−Ｐ値が所定値Ｅ以下であるか否かの判定
（一次判定）を行う。このＥは、ドラム２を高速回転に
立ち上げることができるか否かを判定するためのもので
あり（例えば、振幅で０．０８ｍｍ）、Ｐ−Ｐ値がＥ以
下の場合にはステップ＃４０（図８）に進み、ドラム２
を加速させる。Ｐ−Ｐ値がＥ以下でない場合にはステッ
プ＃３０に進み、ドラム２が回転し始めてから所定時間
Ｔ（例えば、２０秒）が経過しているか否かを判定し、
経過していない場合にはステップ＃２０に戻り、経過し
ている場合にはステップ＃３５に進み、洗濯物の偏り具
合を変化させ、ステップ＃１０からやり直す。

【００４３】次に、ステップ＃４５で振動検知手段の出
力波形のＰ−Ｐ値が前記所定値Ａ以下であるか否かを判
定し、Ａ以下の場合にはステップ＃５０に進み、Ａ以下
でない場合にはステップ＃３５に進み、ドラム２内の洗
濯物の偏り具合を変化させ、ステップ＃１０からやり直
す。次に、ステップ＃５０でドラム２の回転数が第２回
転数Ｃに達しているか否かを判定する。このＣは、水槽
３を含む振動体が共振する回転数であり（例えば、２０
０ｒｐｍ）、ドラム２の回転数がＣに達していない場合
にはステップ＃４０に戻り、Ｃに達している場合にはス
テップ＃５５に進み、ドラム２を定速維持し、ステップ
＃６０に進む。

【００４４】次に、ステップ＃６０で振動検知手段の出
力波形のＰ−Ｐ値が前記所定値Ａ以下であるか否かの判
定（二次判定）を行い、Ａ以下の場合にはステップ＃６
５に進み、ドラム２を高速回転に移行させ、Ａ以下でな
い場合にはステップ＃３５に進み、ドラム２内の洗濯物
の偏り具合を変化させ、ステップ＃１０からやり直す。
次に、ステップ＃７０で振動検知手段の出力波形のＰ−
Ｐ値が所定値Ｂ以下であるか否かを判定する。

【００４５】このＢは、Ｐ−Ｐ値がこの値以下でない場
合はドラム２の振動が非常に大きく、ドラム２を回転し
続けることができないことを示すものである。ステップ
＃７０でＰ−Ｐ値がＢ以下の場合にはステップ＃７５に
進み、Ｂ以下でない場合にはステップ＃３５に進み、ド
ラム２内の洗濯物の偏り具合を変化させ、ステップ＃１
０からやり直す。

【００４６】次に、ステップ＃７５でドラム２の回転数
が所定の高速回転数Ｄ（例えば、１０００ｒｐｍ）に達
しているか否かを判定し、回転数がＤに達していない場
合にはステップ＃７０に戻り、Ｄに達している場合には
ステップ＃８０に進む。次にステップ＃８０で所定の時
間が経過したか否かを判定し、経過していない場合には
ステップ＃７０に戻り、経過している場合にはステップ
＃８５に進み、ドラム２の回転を停止させ、行程を終了
する。

【００４７】図９に示すように、ドラムの回転数が６０
ｒｐｍのときには振動値の変動が大きく、かつ長く続く
ため、適正な立ち上げができない。ドラム２の回転数が
７０ｒｐｍや８０ｒｐｍのときには、適宜低振動の波形
が現れており、適正な立ち上げが可能である。但し、８
０ｒｐｍにおいては、この例では、５秒以降には周期的
な振動に変化しており、長く回転させていても洗濯物の
動きが期待できない。また、９０ｒｐｍにおいては、ド
ラム２の回転開始時の不安定期間を除いては周期的な振
動になっており、いくら回転させても洗濯物の動きは期
待できない。以上のことから明らかなように、７０ｒｐ
ｍ以上８０ｒｐｍ以下が立ち上げ判定時の回転数Ｆに最
も敵している。

【００４８】一定時間毎にドラム２の回転数を布類がタ
ンブリング可能な回転数での回転とドラムに張り付く程
度の回転数での回転を交互に繰り返す時、布類の重量が
洗濯機の定格容量とほぼ同じであった場合、ドラムのタ
ンブリングのみの洗浄では布類の体積が大きすぎて布類
がドラム内で入れ替わる空間がないため、ドラムに張り
付く程度の回転数（約２００ｒｐｍ以上）での回転時間
はタンブリング可能な回転数での回転時間の４分の１程
度必要である。布類の重量が洗濯機の定格容量の半分以
下であった場合、布類はドラムのタンブリングにより充
分入れ替わるため、ドラムに張り付く程度の回転数（約
８０ｒｐｍ以上）での回転時間は定格容量時の回転時間
の半分以下でよい。

【００４９】これにより、高容量の洗濯でも洗浄液の噴
射とドラムのタンブリングによる洗浄の効果を持たせる
ことができる。

【００５０】中間脱水終了後、排水弁Ｂ３２を閉じた後
給水弁３４を開き、排水弁Ａ２９を閉じて溜め濯ぎある
いは排水弁Ａ２９と止水弁２６を開けポンプ２４を駆動
させ循環ジェット濯ぎを行った後に排水弁Ｂ３２を開け
て排水し、その後脱水する。この濯ぎ行程を２〜３回行
い、洗濯を終了する。

【００５１】以上により、洗浄液の噴射とドラム２のタ
ンブリングにより洗濯物Ｓを洗浄するドラム式洗濯機で
高容量の洗濯物Ｓも短時間で効率的に洗浄でき、洗浄能
力の向上を図ることができる。

【００５２】また、洗濯物Ｓに機械力を与え容積を減ら
してドラム２の奥まで噴射ノズル５によるジェット噴射
を行うこと可能とすることができる。

【００５３】

【考案の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
記載のドラム式洗濯機によれば、前記制御手段が、前記
洗濯水による前記被処理物の洗浄時に、前記回転駆動手
段の回転数を、前記被処理物が前記ドラム内でタンブリ
ング可能な回転数と前記被処理物が前記ドラム内で張り
付く回転数とに交互に制御してなる構成なので、完全に
洗浄液が浸透していない被処理物に洗浄液を早く完全に
浸透させることができるとともに、洗浄液が完全に浸透
した被処理物を効率良く脱水及び吸水させて洗浄するこ
とができる。これにより、被処理物を効率良く洗浄する
ことができ、洗浄時間を短縮することができる。したが
って、洗濯時間の短縮を図ることができる。

【００５４】また、本発明の請求項２記載のドラム式洗
濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前記
被処理物の量を検知する被処理物量検知手段を設け、前
記制御手段が前記被処理物量検知手段からの出力に基づ
いて前記回転駆動手段の回転数を制御してなる構成なの
で、前記被処理物の量に応じて最も効果的な洗浄を行う
ことができる。

【００５５】さらに、本発明の請求項３記載のドラム式
洗濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前
記ドラム内の前記被処理物の偏りを検知するアンバラン
ス検知手段を設け、前記制御手段が前記回転駆動手段の
回転数を前記被処理物が前記ドラム内でタンブリング可
能な回転数の略上限値に制御した際に前記アンバランス
検知手段の出力が所定のレベル以下の場合にのみ、前記
回転駆動手段の回転数を前記被処理物が前記ドラム内で
張り付く回転数に制御してなる構成なので、前記被処理
物のアンバランスによる振動およびそれに伴う騒音を防
止することができる。

【００５６】加えて、本発明の請求項４記載のドラム式
洗濯機は、請求項１記載のドラム式洗濯機において、前
記制御手段が、洗浄終了直前のドラム回転数が洗浄時で
最も高い回転数で回転するよう前記回転駆動手段の回転
数を制御してなる構成なので、洗浄終了後の脱水効率を
向上することができる。したがって、脱水時間を短縮す
ることができ、洗濯時間の短縮を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態にかかるドラム式洗濯機の
構成を示す側断面図である。

【図２】噴射ノズルを示す斜視図である。

【図３】制御装置のブロック図である。

【図４】振動検知手段の出力波形のＰ−Ｐ値の取り方の
概念を示す説明図である。

【図５】給水量とタンク水量とにより洗濯物量を算出す
る場合の洗浄ソフトを示す説明図である。

【図６】ドラムを所定の高速度で回転駆動させて洗濯物
量を算出する場合の洗浄ソフトを示す説明図である。

【図７】洗浄および脱水行程時の動作を示すフローチャ
ートである。

【図８】洗浄および脱水行程時の動作を示すフローチャ
ートである。

【図９】各回転数における振動検知手段の出力波形を示
す図である。

【符号の説明】

２ドラム４回転駆動装置５噴射ノズル６噴射装置１５水平軸３４給水弁３５給水パイプ３９制御装置４２制御回路Ｓ洗濯物（被処理物）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】水平軸を中心に回転可能に支持され、被
処理物を収容するドラムと、該ドラムを回転させる回転
駆動手段と、前記ドラム内に洗濯液を給水する給水手段
と、前記ドラムからの排出液を再び前記ドラム内へ噴射
させる循環手段と、前記回転駆動手段の回転数を制御す
る制御手段とを備えたドラム式洗濯機において、前記制御手段は、前記洗濯水による前記被処理物の洗浄
時に、前記回転駆動手段の回転数を、前記被処理物が前
記ドラム内でタンブリング可能な回転数と前記被処理物
が前記ドラム内で張り付く回転数とに交互に制御してな
ることを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項２】前記被処理物の量を検知する被処理物量
検知手段を設け、前記制御手段は前記被処理物量検知手
段からの出力に基づいて前記回転駆動手段の回転数を制
御してなることを特徴とする請求項１記載のドラム式洗
濯機。
【請求項３】前記ドラム内の前記被処理物の偏りを検
知するアンバランス検知手段を設け、前記制御手段は前
記回転駆動手段の回転数を前記被処理物が前記ドラム内
でタンブリング可能な回転数の略上限値に制御した際に
前記アンバランス検知手段の出力が所定のレベル以下の
場合にのみ、前記回転駆動手段の回転数を前記被処理物
が前記ドラム内で張り付く回転数に制御してなることを
特徴とする請求項１記載のドラム式洗濯機。
【請求項４】前記制御手段は、洗浄終了直前のドラム
回転数が洗浄時で最も高い回転数で回転するよう前記回
転駆動手段の回転数を制御してなることを特徴とする請
求項１記載の洗濯機。