JPH10126797A - 撮像装置 - Google Patents

撮像装置

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JPH10126797A
JPH10126797A JP8271169A JP27116996A JPH10126797A JP H10126797 A JPH10126797 A JP H10126797A JP 8271169 A JP8271169 A JP 8271169A JP 27116996 A JP27116996 A JP 27116996A JP H10126797 A JPH10126797 A JP H10126797A
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栄二 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手ぶれおよび被写体移動の高解像度画像への
影響を小さくする。 【解決手段】 被写体からの画像光は、光学系33を通
過し、撮像素子34の光入射側に備えられる色フィルタ
の透光領域Lを通過する。この透光領域Lは、画像光の
うち予め定める或る色彩光だけを通過させ、撮像素子3
4の対応する受光領域PDに入射させる。撮像素子34
は2画素混合読出し型の素子であり、2つの色彩光の受
光量に対応する混合データからなる原画像信号を出力す
る。通常モードでは、信号処理回路74は単一の原画像
信号から単一の出力画像を生成する。高解像度モードで
は、画像光の結像位置を2カ所に平行移動させ、各結像
位置に画像光を結像させて、画像光を撮像する。回路7
4は、異なる結像位置で撮像された2つの原画像信号を
合成して、単一の出力画像信号を生成する。これによっ
て、単一の出力画像の等価撮像時間を短縮することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単一の撮像素子を
用いて、カラー画像を得ることができる撮像装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、単一の撮像素子を用いてカラ
ー画像を撮像する単板式の撮像装置が、動画像および静
止画像の撮像に用いられる。この撮像装置では、撮像素
子の受光領域の数と等しい画素数の画像を撮像すること
ができるが、撮像素子の受光領域の数が少ないと、画像
の解像度が低下する。画像の解像度を向上させるための
撮像装置に関する第1および第2の従来技術を以下に示
す。
【0003】第1の従来技術の撮像装置は、特開平7−
99664号公開公報に開示される。この撮像装置で
は、撮像素子の受光領域の光入射側に、予め定める3色
の色彩光だけを通過させる色フィルタを設置する。この
色フィルタでは、3色のうちのいずれか1つの色彩光を
通過させる透光領域だけが市松状に配列される。
【0004】この撮像装置で出力画像を得るとき、撮像
装置は、まず撮像素子の空間サンプリング位置を、4フ
ィールドで元の位置に戻るように、画素のピッチの半分
の長さだけ水平および垂直方向H,Vに順次的に変位さ
せる。撮像素子は、空間サンプリング位置が移動される
度に画像光を撮像する。次いでこれらの4回分の撮像で
得られた画像を合成して、撮像素子の受光領域の数より
も多い画素から成る出力画像を生成する。
【0005】また、第2の従来技術の電子スチルカメラ
は、特開平6−225317号公開公報に開示される。
図68は、上述の電子スチルカメラ1の電気的構成を示
すブロック図である。電子スチルカメラ1は高画質画像
を撮像するための高精細モードを有する。高精細モード
では、4つの原画像信号から単一の出力画像信号を生成
して、撮像素子4の受光領域の数よりも多い画素から成
る出力画像を得る。
【0006】高精細モード切換え時には、被写体からの
画像光は、光学系3で所望の状態に集光された後、後述
する色フィルタを通過して、撮像素子4の結像面に結像
される。結像面は二次元平面であり、複数の受光領域が
行列状に配列される。色フィルタは、この結像面の光入
射側に設置され、予め定める4色の色彩光だけを通過さ
せる。結像面における画像光の結像位置は、いわゆるイ
メージシフト動作によって、異なる第1〜第4結像位置
に順次的に移動される。
【0007】図69は、撮像素子4の色フィルタ16の
透光領域17の配列を示す図である。色フィルタは、撮
像素子4の受光領域と同数の透光領域17を有する。透
光領域17の配列は受光領域の配列と等価であり、水平
および垂直方向H,Vに沿って、それぞれ周期PH,P
Vで、行列状に配列される。
【0008】各透光領域17は4種類に区分され、黄
色、シアン、マゼンタ、緑の各色彩光のうちのいずれか
1つだけを通過させる。図69において、実線で囲まれ
た矩形領域が各透光領域17を示す。また矩形領域内に
描かれる記号「Ye」,「Cy」,「Mg」,「G」
は、その透光領域17を通過可能な色彩光の色が、黄、
シアン、マゼンタ、および緑であることをそれぞれ示
す。各色彩光の透光領域17の色配列は、2点鎖線21
で囲む4行2列の8つの透光領域17の配列を基本配列
パターンとする周期的な配列である。
【0009】図70は、上述の第1〜第4結像位置Qa
〜Qdの位置関係を示す図である。第1位置Qaを基準
とすると、第2位置Qbは第1位置Qaから水平方向H
にシフト長さPHだけ移動した位置である。第3および
第4位置Qc,Qdは、第1位置Qaから垂直方向Vの
同じ向きに、シフト長さPV/2だけ、かつ水平方向H
で相反する向きにそれぞれシフト長さPH/2だけ移動
した位置である。
【0010】再び図68を参照する。撮像素子4は、画
像光の結像位置が上述した4つの移動位置にそれぞれ移
動される度に、予め定める露光時間だけ、結像された画
像光を各受光領域で受光して画像光を撮像し、4つの原
画像信号を前処理回路5に出力する。この原画像信号
は、各受光領域において受光された光の受光量に対応す
る受光データから成る。前処理回路5では、撮像素子4
から与えられた原画像信号を増幅し、かつ所望の信号処
理を施す。処理が施された信号は、アナログ/デジタル
変換回路(図面では「A/D変換回路」と略称する)6
においてデジタル信号に変換された後、画像メモリ7に
ストアされる。
【0011】信号処理回路8は、まず得られた原画像信
号が表す原画像を、図70に示す各結像位置Qa〜Qd
のシフト方向とは逆向きに、同じシフト長さだけずらし
て重ね合わせて、合成する。次いで、この合成画像の受
光データに基づいて、単一の出力画像の輝度信号および
色差信号を生成する。生成された輝度信号および色差信
号は、記録媒体9に記録される。
【0012】図71は、上述の合成画像のうち、各原画
像の前述した基本配列パターンに対応する部分から成る
部分の画素配列を示す図である。この図において、実線
の矩形領域は、出力画像の輝度信号および色差信号の画
素単位の成分が直接得られる実画素を示す。破線の矩形
領域は、実画素の輝度信号および色差信号から輝度信号
および色差信号を補間して得る仮想画素を示す。また、
記号「Fa」が記された実画素は、黄色およびシアンの
透光領域17を通過した光を受光する受光領域からの受
光データだけが直接該当する。記号「Fb」が記された
実画素は、緑およびマゼンタの透光領域を通過した光を
受光する受光領域からの受光データだけが直接該当す
る。
【0013】この合成画像では、黄色およびシアンの受
光データが該当する実画素と、緑およびマゼンタの受光
データが該当する実画素とが、2行おきに交互に配列さ
れる。実画素と仮想画素とは水平および垂直方向H,V
に隣接し、各画素がそれぞれ市松状に配列される。出力
画像の画素配列は、合成画像と等しく、水平および垂直
方向H,Vの画素の配列数がそれぞれ2倍に増加し、か
つ画素の配列周期が半分になる。
【0014】また、図72は、高解像度モードにおける
第1〜第4結像位置Qa〜Qdの位置関係の別の例を示
す図である。図70と図72とを比較すると、第1位置
Qaと第2位置Qbとの位置関係は等しい。第3および
第4位置Qc,Qdは、第1位置Qaから垂直方向Vの
同じ向きにシフト長さPVだけ、かつ水平方向Hの相反
する向きにシフト長さPH/2だけずれる。
【0015】図73は、図72の移動位置で撮像された
4つの原画像信号から生成される高高解像度モードの合
成画像の画素配列を示す図である。図面の各記号の意味
は、図71と等しい。この合成画像では、黄色およびシ
アンの受光データが該当する実画素と、緑およびマゼン
タの受光データが該当する実画素とが、水平および垂直
方向H,Vに沿って交互に配列される。また、実画素だ
けで構成される行と、仮想画素だけで構成される行と
が、交互に配列される。この合成画像から得られる出力
画像の画素の数は、水平方向Hに関して通常モードの出
力画像の画素の数の2倍となり、画素1つ当たりの面積
が半分となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述した2種類の従来
技術の撮像装置および電子スチルカメラでは、画素配列
が2次元であって、色フィルタの透光領域を通過可能な
色彩光が3種類以上であることから、結像位置の異なる
4つの原画像信号に基づいて単一の出力画像信号を生成
する。これは、上述したように原画像信号を合成する
と、出力画像の各画素ごとに、4種類の透光領域を通過
した色彩光を受光する受光領域からの出力が対応するの
で、各画素ごとに輝度信号および色差信号を個別に生成
することができるようにするためである。
【0017】このような条件を満たす4種類の原画像信
号を得るとき、イメージシフト動作は異なる2方向への
移動を含むので、結像位置の移動機構が複雑になる。複
雑な移動機構を有する装置は、部品点数が多いので製造
コストが増大する。さらに、1枚の出力画像のために4
枚分の原画像信号が必要なので、通常モードでの撮像だ
けを行う装置と比較すると、4倍の容量のメモリを必要
とし、製造コストをさらに増大させる。
【0018】また、これらの装置の高解像度モードの画
像光の撮像は、4枚の原画像信号を得る間に、被写体が
静止し、かつ被写体と撮像装置との位置関係が移動しな
いことを前提条件としている。この前提条件が満たされ
るときは、原画像内の被写体の像に対して、4枚の原画
像のイメージシフト動作に基づくずれを相殺することに
よって、各原画像の該像を一致させて重ね合わせて該被
写体の像に対する画素数を増加させる。このとき、単一
の出力画像を得るための等価撮像時間は、4回分の画像
光の露光時間と、結像位置の移動のための3回分の遷移
時間との和の時間である。この等価撮像時間は、銀塩フ
ィルムのスチルカメラのいわゆるシャッタ速度と同じ意
味を持つ。
【0019】この等価撮像時間内に被写体が動くまたは
該位置関係がずれると、4枚の原画像間で、被写体の像
がイメージシフト動作のシフトずれ量以上にずれる。こ
のとき、上述した合成処理だけでは被写体の像のずれを
相殺することができない。この結果、合成画像内の被写
体の像にぶれが生じて、合成画像の画質が劣化する。特
に、上述した2種類の撮像装置の高解像度モードでは、
その等価撮像時間が露光時間の4倍以上の極めて長い時
間となる。したがって手ぶれおよび被写体の動きの影響
を受け易くなり、出力画像の画質が劣化しやすい。
【0020】上述した撮像装置でこの前提条件を満たす
撮像状態は、たとえば被写体を静物とし、撮像装置を三
脚に固定して使用する状態である。したがって、銀塩フ
ィルムのスチルカメラと比較して、使用条件が極めて限
定されてしまい、実際の撮像時に高解像度モードを使用
することが困難となっていた。
【0021】本発明の目的は、単板式の撮像装置におい
て、被写体の動きおよび手ぶれなどに影響されることな
く、高解像度の出力画像を得ることができる撮像装置を
提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の色彩光
にそれぞれ対応し、入射される被写体からの画像光のう
ちの対応する色彩光だけを個別的に通過させる複数の透
光領域を有し、該透光領域が2次元平面上に予め定める
配列で配列される色分離フィルタと、画像光を撮像して
画像信号を出力する撮像素子であって、色分離フィルタ
の透光領域に個別的に対応した受光領域が、透光領域の
予め定める配列と同等の配列で2次元平面上に配列さ
れ、各受光領域では対応した透光領域を通過した色彩光
だけを受光し、各受光領域の受光量を示す画素データか
ら構成される画像信号を出力する撮像素子と、撮像素子
に入射される画像光の結像位置を、予め定める第1およ
び第2移動位置に相対的に移動させる移動手段と、移動
手段における結像位置の移動が行われるたびに、予め定
める露光時間だけ撮像素子における画像光の受光を許容
する露光許容手段と、撮像素子の出力に応答し、出力さ
れた2つの画像信号を撮像時の結像位置の離反量だけ位
置の移動方向とは逆方向にずらして重ね合わせて、合成
画像信号を生成する画像生成手段と、画像光の撮像が開
始されると、移動手段によって画像光の結像位置を第1
および第2移動位置のいずれか一方位置に移動させ、該
移動位置において露光許容手段に許容される間だけ撮像
素子に画像光を撮像させて画像信号を画像生成手段に与
え、次いで移動手段によって結像位置をいずれか他方位
置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容
される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を
画像生成手段に与える制御手段とを含むことを特徴とす
る撮像装置である。
【0023】本発明に従えば、撮像装置は、単一の撮像
素子でカラー画像を撮像する単板式の撮像装置である。
この撮像装置に入射された被写体からの画像光は、上述
の色分離フィルタ手段を通過した後に、撮像手段に入射
される。この色分離フィルタ手段を通過することによっ
て、画像光は複数の色彩光に色分離される。各色彩光の
スペクトルは、予め定める周波数帯域内に存在し、予め
定める1または複数の周波数を中心とした山形の波形を
示す。色分離フィルタ手段が分離する複数の色彩光の組
合わせは、たとえば、全ての色彩光を混合すると白色光
となるように選ばれる。このような色彩光の組合わせ
は、たとえば原色系の赤、青および緑、または補色系の
緑、黄、シアンおよびマゼンタである。この色分離フィ
ルタ手段を通過した画像光は、撮像素子の結像面に結像
される。上述した画像光は、透光領域の配列方向である
一方および他方方向に平行な空間軸上で連続的に輝度変
化する。撮像素子は、空間軸に平行に配列される複数の
受光領域でこの画像光の各色彩光成分を受光する。ゆえ
に、原画像は、連続的な画像光を受光領域単位で平滑化
した画像となる。これは、輝度が連続して変化する画像
光を受光領域単位でサンプリングしたことと等価であ
る。前述の色分離フィルタ手段と撮像素子とは、一体的
に形成されることが好ましい。撮像素子に関連して、露
光許容手段が備えられる。露光許容手段は、単一回の画
像光の撮像動作中に、予め定める露光時間だけ、撮像素
子の各受光領域に画像光を受光させる。上述の原画像信
号の画素データは、露光時間に各受光素子が受光した色
彩光の受光量を表す。撮像素子は、露光時間経過後に、
各受光領域からこの画素データを或る手法で出力させ
る。これによって、画像光が撮像される。原画像は、原
画像信号を仮想的に目視表示した画像である。移動手段
は、たとえば撮像素子の結像面の光入射側に設けられ
る。上述したように、入射された画像光の結像面での受
光位置を予め定める2カ所の移動位置に移動させる動作
を、2ポジションイメージシフト動作と称する。撮像素
子は、移動手段によって結像位置が移動される度に、上
述した手順で画像光を撮像して原画像信号を出力する。
これによって、撮像素子は、結像位置の異なる2つの原
画像信号を出力する。画像生成手段は、これら2つの原
画像信号から、上述の手法で合成画像を表す合成画像信
号を生成する。さらに画像生成手段は、合成画像の各画
素に対して、画素データから輝度信号および2種類の色
差信号を生成して、これら信号から成る出力画像信号を
生成する。さらにまた、この合成画像に基づいて、出力
画像信号の補間処理を行うこともある。
【0024】上述したように、本発明の撮像装置は、2
ポジションイメージシフト動作を行って得た2つの原画
像信号から、単一の合成画像信号を生成する。このイメ
ージシフト動作を行う撮像装置の撮像動作時において、
手ぶれおよび被写体移動が合成画像の画質に与える影響
の度合の目安として、等価撮像時間が考えられる。等価
撮像時間は、単一の出力画像信号を得るための画像光の
撮像動作の動作時間であり、銀塩フィルムのスチルカメ
ラのいわゆるシャッタ速度と同じ意味を持つ。この等価
撮像時間が大きくなるほど、合成画像およびそれに基づ
く出力画像は、撮像動作時の手ぶれおよび被写体移動の
影響を受け易くなる。したがって、たとえば等価撮像時
間の増加にほぼ比例して、手ぶれおよび被写体移動に起
因する画像のぶれが大きくなる。本発明の撮像装置の等
価撮像時間は、2回分の露光時間と1回分の結像位置の
遷移時間との和の時間である。前述したように、従来技
術の撮像装置の等価撮像時間は、4回分の露光時間と3
回分の遷移時間との和の時間である。露光時間および遷
移時間が従来技術と本発明とで等しいとき、本発明の撮
像装置の等価撮像時間は、従来技術の撮像装置の等価撮
像時間と比較して、2回分の露光時間および遷移時間だ
け短い。一般的に、遷移時間は露光時間より長いので、
本発明の等価撮像時間は従来技術の等価撮像時間の半分
以下になる。したがって、従来技術の撮像装置と比較し
て、本発明の撮像装置は、手ぶれおよび被写体移動の影
響を受けにくく、合成画像の画質劣化が小さい。また、
従来技術の4ポジションイメージ動作では、基準の移動
位置から各移動位置への移動方向が2方向以上あったの
で、結像位置の移動手段は、結像位置の変位軸を2本以
上有する構造を有していた。一般的に、移動手段の構造
は、変位軸が増加するほど複雑になる。本発明の撮像装
置は2ポジションイメージシフト動作を行うので、結像
位置は、第1移動位置から第2移動位置への1方向だ
け、もしくはその逆の1方向へだけ移動する。これによ
って、移動手段は単一本の変位軸だけを備えれば良いの
で、移動手段の構造が簡略化される。これによって、移
動手段の制御が簡略化され、また移動手段の製造コスト
が低減する。さらに、イメージシフト手段を用いる撮像
装置は、撮像素子を時分割で使用して、複数の原画像信
号を得る。撮像素子自体は、複数の原画像信号をストア
する構成を持たないことが多いので、画像合成手段は、
初回の画像光撮像時から最終回の撮像時までの間、撮像
素子がストアできない分の原画像信号をストアするため
のメモリを有する。従来技術の4ポジションイメージシ
フト動作の撮像装置では、このメモリは、最低でも、最
終回の撮像時にその前の3つ原画像信号をストアしなけ
ればならない。本件の撮像装置は2ポジションイメージ
シフト動作を行うので、最終回の撮像時には、単一の原
画像信号だけをストアすればよい。したがって、備える
べきメモリの容量が減少される。これによって、メモリ
に関する製造コストが低減する。
【0025】また本発明は、前記合成画像信号は、複数
の画素データから構成され、合成画像信号が表す合成画
像を目視表示する目視表示領域を有する表示手段であっ
て、目視表示領域は、合成画像信号の各画素データを目
視表示する複数の表示画素が、2次元平面上に、相互に
直交する予め定める主走査方向および副走査方向にそれ
ぞれ平行に、行列状に配列されて形成され、主走査方向
に沿う表示画素の配列数が、副走査方向に沿う表示画素
の配列数よりも多くなる表示手段をさらに有し、前記第
1および第2移動位置は、合成画像の主走査方向の空間
周波数のモアレを消すことができる方向に離反している
ことを特徴とする。
【0026】本発明に従えば、撮像装置は上述の表示手
段を備える。この表示手段は、たとえば陰極線管で実現
される。たとえばNTSC方式のテレビジョンの映像信
号を目視表示させる陰極線管は、蛍光面をアナログ信号
の電子線で主走査および副走査方向に沿って点順次走査
する。この陰極線管では、主走査方向の画素数はほぼ無
限大である。また、副走査方向の画素数は、いわゆる走
査線の本数と等価であるので有限であり、NTSC方式
であれば512個である。上述の撮像装置で合成画像の
解像度を向上させたいとき、合成画像を構成する画素数
を増加させる。このとき、合成画像信号を目視表示させ
る表示手段が、増加した画素を個別的に表示できる構造
でなければ、信号段階で解像度を向上させてもそれを表
示することができない。一般的な撮像素子は、主走査お
よび副走査方向にそれぞれ平行に有限個の受光領域が配
列されるが、副走査方向の画素数は、既に表示手段の該
方向の走査線数と一致していることが多い。したがっ
て、この撮像素子を用いた撮像装置で、2ポジションイ
メージシフト動作を行い画像の解像度を向上させると
き、少なくとも表示手段の目視表示領域において、表示
画素が増加可能な主走査方向の解像度を向上させること
が好ましい。主走査方向の画像の解像度を向上させる手
法としては、たとえば、画像信号の空間周波数平面上の
信号の基底帯域内に現れるモアレのうち、主走査方向に
平行な空間軸と対応した空間周波数軸上のモアレを消滅
させる手法が上げられる。この手法で解像度が向上する
理由を以下に示す。ある空間軸に平行な方向の画像の解
像度は、その空間軸と対応した空間周波数軸上の画像信
号の基底帯域の幅と比例して向上する。この画像信号に
色モアレが生じるとき、その色モアレを除去するため
に、たとえば撮像装置の光学系に光学的ローパスフィル
タを挿入して、画像光から色モアレの原因となる空間周
波数成分を減衰させる。この処理を行うと、画像から色
モアレ縞は除去されるが、基底帯域の幅が色モアレが発
生した空間周波数未満に制限される。この結果、画像信
号の実質の基底帯域の幅が狭くなり、画像の解像度が減
少する。主走査方向の空間周波数軸上のモアレを消滅さ
せると、そのモアレのために画像信号の基底帯域の幅を
制限する必要がなくなるので、元々の基底帯域の幅を保
つことができる。したがって、基底帯域の幅を広げたこ
とと同様の効果を得ることができ、画像の解像度を向上
させることができる。前述した第1および第2移動位置
は、合成画像信号生成時に上述したようなモアレの消滅
効果を得られるような位置関係を有するように選ばれ
る。
【0027】主走査方向の空間周波数軸上の色モアレ
は、画像上では副走査方向に平行な縞模様に対する色モ
アレ縞として現れる。この色モアレは、該空間周波数軸
上で、その画像信号の輝度信号と色差信号とのサンプリ
ング周波数に差異があるために、輝度信号の所望信号成
分と色差信号の折返し成分とが干渉して生じる。輝度信
号のサンプリング周波数は、その画像信号が表す画像を
構成する全画素の配列周期に対応する。また色差信号の
サンプリング周波数は、該画像の全画素のうち、或る単
一の色彩光を受光する受光領域に対応する画素だけから
なる配列の配列周期に対応する。これら2つのサンプリ
ング周波数が一致するようにすると、色モアレは消滅す
る。単板方式の撮像装置で得られる原画像信号におい
て、色差信号対応の配列は、色分離フィルタ手段におけ
る或る色彩光対応の透光領域だけの配列と等価である。
また、該装置の合成画像信号では、色差信号対応の配列
は、仮想色分離フィルタ手段における或る色彩光対応の
透光領域だけの配列と等価である。この仮想色分離フィ
ルタは、第1および第2移動位置の離反方向および離反
量だけずらして、撮像装置の色分離フィルタを2つ重ね
合わせたフィルタとして仮想される。したがって、この
仮想色分離フィルタ手段における該配列が、仮想色分離
フィルタ手段の全透光領域の配列に近くなるほど、輝度
信号と色差信号のサンプリング周波数が類似して、色モ
アレが生じにくくなる。したがって、第1および第2移
動位置は、合成画像撮像時にこのような仮想色分離フィ
ルタ手段を仮想することができるように設定されること
が好ましい。
【0028】また本発明は、前記色分離フィルタの透光
領域は、第1〜第4色彩光をそれぞれ通過させる第1〜
第4透光領域を含み、該透光領域の前記予め定める配列
は、相互に直交する一方および他方方向にそれぞれ平行
に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他方方向に予
め定める第2周期で配列される行列状の配列であって、
第1および第4透光領域が一方方向に沿って隣接して交
互に直線状に配列される第1群と、第2および第3透光
領域が一方方向に沿って隣接して交互に直線状に配列さ
れる第2群とが、他方方向に沿って交互に隣接し、第2
透光領域には、他方方向に沿って両側に第1透光領域と
第4透光領域とがそれぞれ隣接し、第4透光領域には、
他方方向に沿って両側に第2透光領域が隣接しており、
前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを、
他方方向に沿って隣接する2つの各受光領域毎に混合し
て、一括して出力し、前記第1移動位置は予め定める基
準位置であり、前記第2移動位置は第1移動位置から一
方方向に第1の周期の長さだけ相互にずれた位置である
ことを特徴とする。本発明に従えば、たとえば補色系の
4種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手段
を有し、いわゆる2画素混合読出し型の撮像素子を用い
る撮像装置では、一方方向に平行な平行2ポジションイ
メージシフト動作を行って、合成画像信号を得ることが
好ましい。この合成画像信号は、原画像信号と比較し
て、基底帯域の形状は変化しないが、上述した色彩光対
応の画素配列の一方方向の配列周期が半分になる。これ
によって、原画像信号で一方方向に対応する空間周波数
軸上に表れるモアレが、合成画像信号ではすべて消滅す
る。したがって、光学的ローパスフィルタで画像光の一
方方向の空間周波数成分を制限する必要がなくなる。し
たがって、一方方向に関して画像信号の基底帯域の実質
の幅が拡大される。この一方方向を上述した表示手段の
主走査方向とすれば、表示手段に表示される合成画像の
モアレが減少して、画質が向上する。これによって、2
ポジションイメージシフト動作によって手ぶれおよび被
写体移動に起因する画質劣化を防止するだけでなく、モ
アレに起因する解像度の低下を解消して、さらに画質を
向上させることができる。
【0029】また本発明は、前記色分離フィルタの複数
の透光領域は、第1〜第4色彩光をそれぞれ通過させる
第1〜第4透光領域に区分され、該透光領域の前記予め
定める配列は、相互に直交する予め定める一方方向およ
び他方方向にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第
1周期でかつ他方方向に予め定める第2周期で配列され
る行列状の配列であって、第1透光領域には、一方方向
に沿って両側に第4透光領域が隣接し、かつ他方方向に
沿った第1の向き側に第2透光領域が隣接し、さらに他
方方向に沿って第1の向きと反対の第2の向き側に第3
透光領域が隣接し、第4透光領域には、他方方向に沿っ
た第2の向き側に第2透光領域が隣接しており、前記撮
像素子は、前記各受光領域からの画素データを個別的に
出力し、前記第1移動位置は予め定める基準位置であ
り、前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第
1の周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴
とする。本発明に従えば、たとえば補色系の4種類の色
彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手段を有し、い
わゆる全画素読出し型の撮像装置を用いる撮像装置で
は、一方方向に平行な平行2ポジションイメージシフト
動作を行って、合成画像信号を得ることが好ましい。こ
の合成画像信号は、原画像信号と比較して、基底帯域の
形状は変化しないが、上述した色彩光対応の画素配列の
一方方向の配列周期が半分になる。これによって、原画
像信号で一方方向に対応する空間周波数軸上に表れるモ
アレが、合成画像信号ではすべて消滅する。したがっ
て、光学的ローパスフィルタで画像光の周波数成分を制
限する必要がなく、基底帯域の実質の幅が拡大する。こ
の合成画像信号は、他方方向の空間周波数軸と基底帯域
の境界との交点にだけ、モアレの原因となる色差信号の
折返し成分の折返し周波数が残る。画像の表示に必要な
輝度および色差信号の所望信号成分は、空間周波数軸の
原点を中心として山形の振幅変化を示すので、基底帯域
境界近傍の振幅は小さい。この境界近傍の信号振幅が減
少しても、所望信号成分への影響は少ない。また、この
モアレを除去するように光学的ローパスフィルタを光学
系に挿入して基底帯域の幅を制限したとき、制限前の幅
と制限後の幅とはほとんど変わらない。したがって、他
方方向に関するモアレの影響が小さい。この一方および
他方方向のいずれか一方を上述した表示手段の主走査方
向とすれば、表示手段に表示される合成画像のモアレが
減少して、画質が向上する。これによって、2ポジショ
ンイメージシフト動作によって手ぶれおよび被写体移動
に起因する画質劣化を防止するだけでなく、モアレに起
因する解像度の低下を解消して、さらに画質を向上させ
ることができる。
【0030】また本発明は、前記色分離フィルタの透光
領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜
第3透光領域に区分され、該透光領域の予め定める配列
は、相互に直交する予め定める一方方向および他方方向
にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でか
つ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の
配列であって、第1透光領域には、一方方向に沿った第
1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿
って第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域
が隣接し、さらに他方方向に沿って両側に第1透光領域
が隣接し、第2透光領域には、一方方向に沿った第1の
向き側に第3透光領域が隣接し、他方方向に沿って両側
に第2透光領域が隣接し、第3透光領域には、他方方向
に沿って両側に第3透光領域が隣接しており、前記撮像
素子は、前記各受光領域からの画素データを、他方方向
に沿って隣接する2つの各受光領域毎に混合して、一括
して出力し、前記第1移動位置は予め定める基準位置で
あり、前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に
第1の周期の長さの2分の3倍の長さだけ、かつ他方方
向に第2の周期の長さの半分の長さだけ相互にずれた位
置であることを特徴とする。本発明に従えば、たとえば
原色系の3種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィ
ルタ手段を有し、いわゆる2画素混合読出し型の撮像装
置を用いる撮像装置では、上述した位置関係の第1およ
び第2移動位置への斜め2ポジションイメージシフト動
作を行って、合成画像信号を得ることが好ましい。この
合成画像信号は、原画像信号と比較して、一方および他
方方向の空間周波数軸上の基底帯域の幅が2倍に拡大さ
れる。また、一方方向に関して色差信号対応の画素配列
の配列周期が2倍となるので、原画像信号で一方方向の
空間周波数軸上に表れるモアレの原点からの距離が2倍
になる。これによって、光学的ローパスフィルタ挿入後
の合成画像信号の基底帯域の実質の幅は、原画像信号の
実質の幅と比較して、一方および他方方向の両方に関し
て2倍に拡大される。この一方方向を上述した表示手段
の主走査方向とすれば、モアレ除去後も解像度が2倍に
向上して、合成画像の画質が向上する。これによって、
2ポジションイメージシフト動作によって手ぶれおよび
被写体移動に起因する画質劣化を防止するだけでなく、
モアレに起因する解像度の低下を解消して、さらに画質
を向上させることができる。
【0031】また本発明は、前記色分離フィルタの透光
領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜
第3透光領域に区分され、該透光領域の予め定める配列
は、相互に直交する予め定める一方方向および他方方向
にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でか
つ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の
配列であって、第1透光領域には、一方方向に沿った第
1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿
って第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域
が隣接し、さらに他方方向に沿って両側に第1透光領域
が隣接し、第2透光領域には、一方方向に沿った第1の
向き側に第3透光領域が隣接し、他方方向に沿って両側
に第2透光領域が隣接し、第3透光領域には、他方方向
に沿って両側に第3透光領域が隣接しており、前記画像
信号は、前記各受光領域からの画素データを個別的に出
力し、前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、
前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の
周期長さの2分の3倍の長さだけ、かつ他方方向に第2
周期の長さの半分の長さだけ相互にずれた位置であるこ
とを特徴とする。本発明に従えば、たとえば原色系の3
種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手段を
有し、いわゆる全画素読出し型の撮像素子を用いる撮像
装置では、上述した位置関係の第1および第2移動位置
への斜め2ポジションイメージシフト動作を行って、合
成画像信号を得ることが好ましい。この合成画像信号
は、原画像信号と比較して、一方および他方方向の空間
周波数軸上の基底帯域の幅が2倍に拡大される。また、
一方方向に関して色差信号対応の画素配列の配列周期が
2倍となるので、原画像信号で一方方向の空間周波数軸
上に表れるモアレの位置が原点から2倍に遠ざかる。こ
れによって、光学的ローパスフィルタ挿入後の合成画像
信号の実質的な基底帯域の幅は、原画像信号の実質的な
幅と比較して、一方および他方方向の両方に関して2倍
に拡大される。さらに、全画素読出し型の撮像素子を用
いているので、2画素混合読出し型の撮像素子を用いた
ときに生じる第2周期の長さの半分の長さの逆数の空間
周波数の空間周波数成分の減衰が生じない。したがっ
て、一方および他方方向のいずれか一方向を上述した表
示手段の主走査方向とすれば、モアレ除去後も解像度が
2倍に向上して、合成画像の画質が向上する。これによ
って、2ポジションイメージシフト動作によって手ぶれ
および被写体移動に起因する画質劣化を防止するだけで
なく、モアレに起因する解像度の低下を解消して、さら
に画質を向上させることができる。
【0032】また本発明は、前記色分離フィルタの複数
の透光領域は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる
第1〜第3透光領域に区分され、該透光領域の前記予め
定める配列は、予め定める一方方向に平行に第1周期で
直線状に配列された群が、一方方向と直交する他方方向
に沿って第2周期で配列され、かつ他方方向に隣接する
2つの群の各透光領域が一方方向に第1周期の半分の長
さだけずれる配列であって、第1透光領域には、一方方
向に沿った第1の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ
一方方向に沿って第1の向きと反対側の第2の向き側に
第3透光領域が隣接し、第2透光領域には、一方方向に
沿った第1の向き側に第3透光領域が隣接し、さらに一
方方向に第1周期の半分だけかつ他方方向に第2周期の
長さだけずれた第3の向き側に、第1透光領域が隣接し
ており、前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素デ
ータを個別的に出力し、前記第1移動位置は予め定める
基準位置であり、前記第2移動位置は第1移動位置から
他方方向に第2の周期の長さだけ相互にずれた位置であ
ることを特徴とする。本発明に従えば、たとえば原色系
の3種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ手
段を有し、いわゆる全画素読出し型の撮像素子を用いる
撮像装置では、一方方向に垂直な垂直2ポジションイメ
ージシフト動作を行って、合成画像信号を得ることが好
ましい。この合成画像信号は、原画像信号と比較して、
斜め方向の空間周波数軸上の基底帯域の幅が2倍に拡大
される。この斜め方向は、空間周波数軸の原点から、一
方方向に平行で第1周期の長さだけ、かつ他方方向に平
行で第2周期の半分の長さだけずれた点に至るベクトル
で定義される。これによって、光学的ローパスフィルタ
挿入後の合成画像信号の基底帯域の実質の幅が斜め方向
に関して拡大される。したがって、一方および他方方向
のいずれか一方向を上述した表示手段の主走査方向とす
れば、モアレ除去後も解像度が向上して、合成画像の画
質が向上する。これによって、2ポジションイメージシ
フト動作によって手ぶれおよび被写体移動に起因する画
質劣化を防止するだけでなく、モアレに起因する解像度
の低下を解消して、さらに画質を向上させることができ
る。
【0033】また本発明は、前記色分離フィルタの複数
の透光領域は、第1〜第3色彩光にそれぞれ対応する第
1〜第3透光領域に区分され、該透光領域の予め定める
配列は相互に直交する予め定める一方方向および他方方
向にそれぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期で
かつ他方方向に予め定める第2周期で配列される行列状
の配列であって、第1および第2透光領域が一方方向に
沿って交互に配列される直線状の第1群と、第1および
第3透光領域が一方方向に沿って交互に配列される直線
状の第2群とが、他方方向に沿って交互に隣接し、かつ
第1群の第1透光領域には、第3透光領域が他方方向の
両側に隣接しており、前記撮像素子は、前記各受光領域
からの画素データを個別的に出力し、前記第1移動位置
は予め定める基準位置であり、前記第2移動位置は第1
移動位置から一方方向に第1の周期の長さだけ相互にず
れた位置であることを特徴とする。本発明に従えば、た
とえば原色系の3種類の色彩光を通過させる上述の色分
離フィルタ手段を有し、いわゆる全画素読出し型の撮像
装置を用いる撮像装置では、一方方向に平行な2ポジシ
ョンイメージシフト動作を行って、合成画像信号を得る
ことが好ましい。この合成画像信号は、原画像信号と比
較して、基底帯域の形状は変化しないが、上述した色彩
光対応の画素配列の一方方向の配列周期が半分になる。
これによって、原画像信号で一方方向に対応する空間周
波数軸上に表れるモアレが、合成画像信号ではすべて消
滅する。したがって、光学的ローパスフィルタで画像光
の周波数成分を制限する必要がなく、基底帯域の実質の
幅が拡大する。さらに、この合成画像信号は、他方方向
の空間周波数軸と基底帯域の境界との交点にだけ、モア
レの原因となる色差信号の折返し成分の折返し周波数が
残る。このモアレを除去するように基底帯域の幅を制限
したとき、制限前の幅と制限後の幅とはほとんど変わら
ないので、他方方向に関するモアレの影響が小さいとみ
なせる。この一方および他方方向のいずれか一方を上述
した表示手段の主走査方向とすれば、表示手段に表示さ
れる合成画像のモアレが減少して、画質が向上する。こ
れによって、2ポジションイメージシフト動作によって
手ぶれおよび被写体移動に起因する画質劣化を防止する
だけでなく、モアレに起因する解像度の低下を解消し
て、さらに画質を向上させることができる。
【0034】また本発明は、前記色分離フィルタの複数
の透光領域は、第1〜第3色彩光にそれぞれ対応する第
1〜第3透光領域に区分され、該透光領域の予め定める
配列は、第1および第2透光領域が予め定める一方方向
に沿って予め定める第1周期で直線状に配列された第1
群と、第1および第3透光領域が一方方向に沿って第1
周期で直線状に配列された第2群とが、一方方向と直交
する他方方向に沿って予め定める第2周期で交互に配列
され、かつ第1群の第1透光領域には、一方方向に第1
周期の長さの半分の長さだけかつ他方方向に第2周期の
長さだけずれた向き側に、第3透光領域が隣接する配列
であって、前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素
データを個別的に出力し、前記第1移動位置は予め定め
る基準位置であり、前記第2移動位置は第1移動位置か
ら一方方向に第1の周期の長さだけ相互にずれた位置で
あることを特徴とする。本発明に従えば、たとえば原色
系の3種類の色彩光を通過させる上述の色分離フィルタ
手段を有し、いわゆる全画素読出し型の撮像装置を用い
る撮像装置では、一方方向に平行な平行2ポジションイ
メージシフト動作を行って、合成画像信号を得ることが
好ましい。この合成画像信号は、原画像信号と比較し
て、基底帯域の形状は変化しないが、上述した色彩光対
応の画素配列の一方方向の配列周期が半分になる。これ
によって、原画像信号で一方方向に対応する空間周波数
軸上に表れるモアレの位置の原点からの距離が2倍に拡
大され、モアレの位置が基底帯域の境界と該空間周波数
軸との交点上に移動する。したがって、光学的ローパス
フィルタ挿入後の基底帯域の実質の幅が拡大する。さら
に、この合成画像信号は、他方方向の空間周波数軸と基
底帯域の境界との交点にだけ、モアレの原因となる色差
信号の折返し成分の折返し周波数が残る。このモアレを
除去するように基底帯域の幅を制限したとき、制限前の
幅と制限後の幅とはほとんど変わらないので、他方方向
に関するモアレの影響が小さいとみなせる。この一方お
よび他方方向のいずれか一方を上述した表示手段の主走
査方向とすれば、表示手段に表示される合成画像のモア
レが減少して、画質が向上する。これによって、2ポジ
ションイメージシフト動作によって手ぶれおよび被写体
移動に起因する画質劣化を防止するだけでなく、モアレ
に起因する解像度の低下を解消して、さらに画質を向上
させることができる。
【0035】また本発明は、前記露光許容手段は、前記
撮像素子の受光領域における電荷の蓄積を許容または禁
止する第1許容手段と、撮像素子に入射する画像光を通
過または遮断する第2許容手段とを含み、前記制御手段
は、前記第1および第2移動位置の前記いずれか一方位
置における画像光の撮像時には、第2許容手段によって
画像光を通過させ、かつ前記露光時間の間だけ第1許容
手段によって電荷の蓄積を許容させ、前記いずれか他方
位置における撮像時には、第1許容手段によって受光領
域に電荷の蓄積を許容し、かつ露光時間の間だけ第2許
容手段によって画像光を通過させることを特徴とする。
本発明に従えば、前述した撮像素子は、いわゆる2次元
CCDイメージセンサで実現される。このセンサでは、
予め素子に設定された光電変換時間内に色彩光が受光領
域に入射すると、その色彩光を光電変換し、得られた電
荷を蓄積する。光電変換時間内に蓄積された電荷は、該
時間経過後に、画素データとして転送用電荷結合素子
(CCD)を介して素子外部に出力される。光電変換時
間終了時から、全ての受光領域からの画素データが外部
に出力されるまでの時間を転送時間と称する。この転送
時間は、一般的に、前述した露光時間と遷移時間との和
の時間よりも長い。このような撮像素子には、露光制御
手段の第1許容手段として、オーバフロードレインを利
用した電子シャッタが含まれる。この電子シャッタは、
オーバフロードレインを開放して受光素子の電荷保持を
禁止させることによって成立する。このような第1許容
手段を前記いずれか一方位置での1回目の画像光の撮像
時に用いると、1回目の撮像時の露光時間を、撮像素子
本来の光電変換時間よりも短縮させることができる。こ
の電子シャッタは、転送用電荷結合素子に他の画素デー
タの電荷が含まれるときには使用できない。ゆえに、電
子シャッタだけで露光時間を制御させるとき、1回目の
露光終了時から2回目の露光開始までの時間は、転送時
間に律速する。したがって、このとき、等価撮像時間は
2回分の露光時間と転送時間の和となる。撮像装置は、
撮像素子の光入射側に、露光制御手段の第2許容手段と
して、たとえば機械的なシャッタ手段を有する。前記い
ずれか他方位置での2回目の画像光の撮像時には、電子
シャッタの代わりにこの第2許容手段で撮像素子に入射
する画像光自体を直接通過または遮断し、露光時間を制
御する。このように露光時間を制御させると、転送用電
荷結合素子が1回目の原画像信号を転送している間で
も、並行して受光領域で2回目の露光を行わせることが
できる。このときの等価撮像時間は、2回分の露光時間
と遷移時間の和の時間となるので、電子シャッタだけで
露光時間を制御させるときよりも、等価撮像時間を短縮
することができる。したがって、手ぶれおよび被写体移
動に起因する合成画像の画質劣化をさらに防止すること
ができる。
【0036】また本発明は、前記画像光を集光して、撮
像素子の各受光領域上に結像させる光学系をさらに含
み、前記移動手段は、透光性を有する平板状の屈折板
と、屈折板の両側方に、その表面が屈折板の表面にほぼ
平行になるように配設される一対のバイモルフ型圧電素
子であって、該素子の長手方向の一方の自由端が屈折板
の一端に接合され、屈折板の他端が該素子の他方の固定
端に向かって延びるように屈折板を支持し、屈折板内を
通る仮想回転中心を中心として該屈折板を傾斜させる1
対のバイモルフ型圧電素子と、光学系の光軸線と屈折板
の法線との成す傾斜角度を検出する検出手段と、検出手
段の出力と予め定める目標値とを比較し、その誤差量を
出力する比較手段と、比較手段の出力に応答し、屈折板
の傾斜角度が予め定める目標値となるように、一対のバ
イモルフ型圧電素子を駆動する駆動手段とを備えること
を特徴とする。本発明に従えば、前記移動手段は、上述
した構造を有する。この移動手段は、構成要素が少な
く、さらに傾斜板を含む各構成部材の小型化が容易であ
る。したがって、移動手段全体の構造を簡略化しかつ小
型化することができる。また、この移動手段は、いわゆ
るフィードバック制御手法によって制御されるので、光
軸を所望量だけ平行移動させて、確実に結像位置を変位
させることができる。
【0037】また本発明は、前記画像光を集光して、撮
像素子の各受光領域上に結像させる光学系をさらに含
み、前記移動手段は、透光性を有し、相互に直交する仮
想回転中心を有する平板状の1対の透明平板と、各仮想
回転中心を中心として、該透明平板を傾斜させる傾斜手
段と、透明平板間に介在され、変形可能であって空気の
屈折率よりも大きい屈折率を有する屈折物質層と、光学
系の光軸線と各透明平板の法線との成す傾斜角度をそれ
ぞれ検出する検出手段と、検出手段の出力と予め定める
目標角度とを比較し、その誤差量を出力する比較手段
と、比較手段の出力に応答し、傾斜角度が予め定める目
標角度となるように、一傾斜手段を駆動する駆動手段と
を備えることを特徴とする。本発明に従えば、前記移動
手段は、いわゆる可変頂角プリズムで実現される。この
可変頂角度プリズムは、ビデオカメラの光学式手ぶれ補
正装置に用いられるので、イメージシフトの移動手段と
該装置のプリズムとを兼用させることができる。したが
って、手ぶれ補正装置をこの撮像装置に組込むとき、装
置の部品点数を減少させることができる。
【0038】また本発明は、移動手段における結像位置
の移動を許容または禁止する移動判定手段と、撮像素子
に入射される画像光の空間周波数成分を減衰させる可変
空間フィルタであって、結像位置の移動が禁止されると
きには空間周波数成分を第1の減衰量だけ減衰させ、許
容されるときには第2の減衰量だけ減衰させる可変空間
フィルタとをさらに含むことを特徴とする。本発明に従
えば、撮像装置は、2つのモードを有し、2種類の解像
度の画像信号を出力する。一方のモードでは原画像信号
をそのまま出力し、他方のモードでは原画像信号から合
成画像信号を生成して出力する。この2つの画像信号
は、上述したように、モアレの数および位置が異なる。
したがって、光学系に介在される光学的ローパスフィル
タの減衰量を原画像信号に合わせると、解像度を向上さ
せた筈の合成画像信号の基底帯域が過剰に制限されて、
制限後の合成画像の解像度は制限前の合成画像の解像度
よりも劣化する。逆に、減衰量を合成画像信号に合わせ
ると、原画像信号の基底帯域の制限が不十分となって、
原画像にモアレが表れる。この撮像装置において、上述
したように、結像位置の移動を許容または禁止して2つ
のモードを切換えると共に、光学的ローパスフィルタで
ある空間フィルタの減衰量を変化させると、原画像およ
び合成画像の両方の画質を充分に保つことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態で
ある撮像装置31の構成を示すブロック図である。この
撮像装置31は、いわゆる単板式のカラー撮像装置であ
る。
【0040】撮像装置31は、通常モードと高解像度モ
ードとの2つの撮像モードを有する。通常モードでは、
後述する撮像素子34の受光領域PDの数と同数の画素
Dから成る第1出力画像を得る。高解像度モードでは、
いわゆるイメージシフト動作を行い、撮像素子34の受
光領域PDの数以上の数の画素Dから成る第2出力画像
を得る。第2出力画像を表す第2出力画像信号は、撮像
素子34で撮像される2つの原画像信号を合成して得ら
れる。
【0041】被写体からの画像光は、光学系33の集光
レンズで集光された後、後述する色フィルタを通過し
て、撮像素子34の結像面上に結像される。撮像素子3
4の結像面には、複数の受光領域PDが後述する予め定
める配列で並べられる。
【0042】光学系33には、画像光を集光する集光レ
ンズの他に、イメージシフト機構、および可変空間フィ
ルタが含まれる。イメージシフト機構は、高解像度モー
ド選択時に、予め定める時間毎に、結像面上の画像光の
結像位置を第1および第2結像位置にそれぞれシフト移
動させる。この動作をイメージシフト動作と称する。可
変空間フィルタはいわゆる光学的ローパスフィルタであ
り、各モードに応じた減衰量で、画像光の空間周波数成
分を制限する。イメージシフト機構および可変空間フィ
ルタの詳細な説明は後述する。
【0043】色フィルタは、各受光領域PDに個別的に
対応して予め定める色彩光だけを通過させる透光領域L
を、受光領域PDと同数だけ有する。この透光領域L
は、受光領域PDの配列と等しい配列で、2次元平面上
に並べられる。色フィルタは、撮像素子34の光入射側
に設置され、各受光領域PDに入射するべき画像光のう
ち、予め定める色彩光だけを通過させる。予め定める色
彩光は単一の色フィルタで複数準備され、各透光領域L
はそれぞれ異なる色彩光に対応する。各透光領域Lは、
個別的に画像光を色分解して、その透光領域Lに対応し
た色彩光だけを通過させる。各透光領域Lを通過した各
色彩光は、各透光領域Lと対応する受光領域PDにそれ
ぞれ受光される。この色フィルタは、たとえば撮像素子
34と一体的に形成される。
【0044】撮像素子34は、予め定める露光時間だ
け、各受光領域PDに画像光の色彩光を受光させること
によって、画像光を撮像する。露光時間が経過すると、
撮像素子34は、予め定める時間毎に、各受光領域PD
からの受光データを第1または第2原画像信号として、
前処理回路35に導出する。第1および第2原画像信号
は、それぞれ画像光が第1および第2結像位置に結像さ
れたときに、画像光を撮像して得られる画像信号であ
る。各原画像信号は、各受光領域PDでの色彩光の受光
量に対応する受光データからそれぞれ構成される。素子
34から出力された段階では、各受光データは受光量に
対応するレベルのアナログ電気信号である。
【0045】前処理回路35では、撮像素子34から出
力された各原画像信号を増幅した後、該信号に予め定め
る処理を施す。予め定める処理は、たとえばホワイトバ
ランス補正およびγ補正である。陰極線管(ブラウン
管)の電気−光変換特性は、非直線性を持っている。こ
のため、撮像装置の受光量と陰極線管の発光強度とが比
例するように、受光量に対応する受光データを補正す
る。この補正をγ補正と称する。前処理回路35におい
て処理された原画像信号は、アナログ/デジタル変換回
路(以後、図面では「A/D変換回路」と略称する)3
6でデジタル信号に変換された後、画像メモリ37にス
トアされる。
【0046】前述した通常モードおよび高解像度モード
は、たとえば撮像装置31に備えられる操作ボタンを撮
像装置31の使用者が操作することによって、選択され
る。モード切換え回路39は、使用者の選択に応じて、
選択されたモードに対応する出力を、同期信号発生回路
40に与える。
【0047】同期信号発生回路40は、通常モードが選
択されるとき、単一の原画像信号の撮像動作に対応する
同期信号を発生させる。発生された同期信号は、駆動回
路41およびメモリ制御回路42に与えられる。駆動回
路41は、まず、光学系33のイメージシフト機構を予
め定める第1状態に固定することによって、画像光の結
像位置を予め定める第1結像位置に固定する。次いで、
同期信号に応答し、予め定める時間毎に、撮像素子34
の各受光領域PDから受光データを前処理回路35に出
力させる。同時に、メモリ制御回路42は、同期信号に
応答し、与えられる受光データを単一の原画像信号毎に
関連させて、画像メモリ37にストアさせる。
【0048】また、高解像度モードが選択されるとき、
同期信号発生回路40は、2つの原画像信号の撮像動作
に対応する同期信号を発生させ、駆動回路41およびメ
モリ制御回路42に与える。駆動回路41は、光学系3
3内のイメージシフト機構を用いて、後述するイメージ
シフト動作を行う。これによって、素子34では、各受
光領域PDが受光する色彩光が、被写体の像の中で移動
前の色彩光とずれる。メモリ制御回路72は、受光デー
タを結像位置の異なる2つの原画像信号ごとに関連させ
て、画像メモリ37にストアさせる。
【0049】画像メモリ37にストアされた原画像信号
は、該原画像信号の画像光の撮像時のモードに応じて、
信号処理回路44に与えられる。信号処理回路44は、
撮像時に選択されたモードに基づいて、単一または2つ
の原画像信号から出力画像信号の輝度信号および色差信
号を演算し、さらに補間する。演算および補間された輝
度信号および色差信号は、出力画像の出力画像信号とし
て記録媒体45にストアされる。
【0050】図2は、撮像素子34の結像面の具体的な
構成を示す平面図である。撮像素子34は、いわゆる2
画素混合読出し型の撮像素子である。撮像素子34の結
像面には、N×M個の受光領域PDが、水平および垂直
方向H,Vに沿って、配列周期PH,PVで行列状に配
列される。水平および垂直方向H,Vは、相互に直交す
る。
【0051】この撮像素子34において、画像光に対す
る水平および垂直方向H,Vのサンプリング周波数f
H,fVは、水平および垂直方向H,Vの配列周期の逆
数であり、以下の式で示される。
【0052】 fH = 1/PH …(1) fV = 1/PV …(2) また、この結像面上に斜め方向Ux,Uyを考える。斜
め方向Ux,Uyは、水平および垂直方向H,Vにそれ
ぞれ平行で、大きさがそれぞれ配列周期PH,PVであ
る2つの基本ベクトルで規定される空間軸である。
【0053】斜め方向Ux,Uyの配列周期PUx,P
Uyは、以下の式で示される。
【0054】 PUx = PUy = √(PH2 +PV2 )/2 …(3) 斜め方向Ux,Uyの画像光のサンプリング周波数fu
x,fuyは、それぞれ上式の配列周期PUx,PUy
の逆数である。
【0055】 fux = fuy = 2/{√(PH2 +PV2 )} …(4) 以後、斜め方向Ux,Uy、その配列周期PUx,PU
yおよびそのサンプリング周波数をfux,fuyを、
それぞれ「斜め方向U」、「配列周期PU」および「周
波数fu」と総称する。
【0056】さらに、以後、水平方向Hに沿って直線状
に並べられる1群の構成要素を「行」と称する。同様に
垂直方向Vに沿って直線状に並べられた1群の構成要素
を「列」と称する。行列状に配列された1群の構成要素
において、紙面上側から下側に向かって、各行を第1
行,第2行,…,第N行とする。また紙面左側から右側
に向かって各列を第1列,第2列,…,第M列とする。
これら構成要素のうち、第n行第m列に属する単一の構
成要素を表すとき、その構成要素を総称して示す参照符
号と共に、さらに符号(n,m)を付して示す。n,m
は1以上N,M以下の任意の整数である。
【0057】また、配列周期PH,PV,PUの1周期
分の長さを基準として、そのn倍およびn分の1の長さ
を単位とする要素には、各配列周期の符号の前後に、さ
らに符号「n」,「/n」を付して示す。また、後述す
るサンプリング周波数fH,fV、fUを基準として、
そのn倍およびn分の1の空間周波数にも、同様に、各
空間周波数の符号の前後に、符号「n」,「/n」を付
して示す。
【0058】図2では、受光領域PDの配列パターンを
8行4列の32個の受光領域PD(1,1)〜PD
(8,4)で代表させて表す。実際の撮像素子34の結
像面では、図2に示す構造が、水平および垂直方向H,
Vに周期的に繰返される。
【0059】各受光領域PDは、予め定める露光時間内
に色彩光を受光すると、その色彩光を光電変換して電荷
を得て、その電荷を蓄積する。露光時間経過後に、その
蓄積された電荷を受光データとして、前処理回路35に
出力する。このとき撮像素子34は2画素混合読出し型
の撮像素子であるので、垂直方向Vに隣接する2つの受
光領域PDからの受光データを混合して混合データを作
成し、その混合データを出力する。
【0060】受光領域PDの各列の間に、垂直転送CC
D(Charge Coupled Device;電荷結合素子)群51a〜
51dが介在される。垂直転送CCD群51a〜51d
は、受光領域PDの第1列〜第4列にそれぞれ隣接して
配列され、隣接する列の受光領域PDの数の半分の数の
電荷結合素子Ca〜Cdを含む。たとえば垂直転送CC
D群51aには、電荷結像素子Ca(1)〜Ca(4)
が含まれる。これら電荷結像素子Ca〜Cdは、垂直方
向Vに直線状に配列され、各群51a〜51d毎に、順
次的に電気的に接続される。実際の撮像素子では、この
垂直転送CCD群51は、受光領域PDの列の数と等し
い数だけ存在する。
【0061】受光領域PDの各列の一方端部側には、水
平転送CCD群52が設けられる。水平転送CCD群5
2は、受光領域PDの列の数と等しい数の電荷結合素子
Ce(1)〜Ce(4)と、出力部53とを含んで構成
される。これら電荷結像素子Ce(1)〜Ce(4)
は、水平方向Hに直線状に配列され、かつ順次的に電気
的に接続される。各電荷結像素子Ce(1)〜Ce
(4)は、各垂直転送CCD群51a〜51dの一方端
部の電荷結合素子Ca(1),Cb(1),Cc
(1),Cd(1)とそれぞれ電気的に接続される。出
力部53は、水平方向Hに平行な他方向きHb側の端部
の素子Ce(1)と電気的に接続される。これら水平お
よび垂直CCD群51a〜51d,52は、各受光領域
PDからの受光データを撮像素子34外部に転送するた
めに用いられる。
【0062】撮像素子34は2画素混合読出し型の素子
であるので、単一回の画像光の撮像において、各受光領
域PDの画像光の露光動作を2回行い、各受光動作終了
後に、各受光領域PDから受光データを隣接する電荷結
合素子Ca〜Cdに転送させるための走査動作をそれぞ
れ行う。この撮像時の原画像信号は、2回の走査結果を
合わせて生成される。以後、単一回の画像光の撮像時の
1回目ならびに2回目の撮像動作を、それぞれ奇数およ
び偶数フィールドの撮像動作と称する。
【0063】各フィールドの撮像動作を以下に説明す
る。
【0064】各フィールドの撮像動作では、撮像素子3
4は、まず予め定める露光時間だけ、各受光領域PDに
光電変換で得られる電荷の蓄積を許容する。この電荷蓄
積の許容および禁止は、オーバフロードレインの閉鎖お
よび開放によって切換えられる。撮像素子34は、この
オーバフロードレインを用いたいわゆる電子シャッタに
よって、露光時間だけ、各受光領域PDに画像光の露光
動作を行わせる。
【0065】前述した撮像素子34の受光領域PDは、
たとえばシリコン基板上に形成されるフォトダイオード
で実現される。オーバフロードレインは、この受光領域
PDとシリコン基板の間に設けられる。オーバフロード
レインが開放されるとき、受光領域PDの電荷は全てシ
リコン基板に掃捨てられる。これによって、受光領域P
Dの電荷蓄積が禁止される。これは、受光領域PDへの
色彩光を遮断したことと等価であり、このとき電子シャ
ッタは閉鎖されたと見なされる。オーバフロードレイン
が閉鎖されるとき、受光領域PDの電荷がシリコン基板
に掃き捨てられなくなるので、光電変換の電荷が受光領
域PDに蓄積される。これは、受光領域PDへ色彩光が
入射することと等価であり、このとき電子シャッタは開
放されたとみなされる。
【0066】露光時間が経過すると、素子34は電子シ
ャッタを閉鎖して、光電変換を停止させる。各受光領域
PDは、次の露光動作が終了するまでに、この露光時間
内に蓄積された電荷を、該露光時間内の受光量を表す受
光データとして、電荷結合素子Ca〜Ceを介して撮像
素子34外部に転送する。受光データを各受光領域PD
から撮像素子34外部に転送するための転送時間は、垂
直帰線期間と水平帰線期間とに分けられる。
【0067】垂直帰線期間には、各受光領域PDは、受
光データを隣接する垂直転送CCD群51a〜51dの
各電荷結合素子Ca〜Cdのいずれか1つに転送する。
撮像素子34の受光領域PDは、たとえばラスタ順で走
査される。ラスタ順とは、たとえば垂直方向Vを主走査
方向とし、水平方向Hを副走査方向として、受光領域P
Dをひとつずつ順次的に点走査する順である。たとえば
撮像素子34で各受光領域PDをラスタ順に走査すると
き、まず第1行の受光領域PD(1,1)〜PD(1,
4)が水平方向Hの一方向きHaに沿って順次的に走査
された後、第2行の各受光領域PDが一方向きHaに沿
って走査される。このように、ラスタ順の走査では、ま
ず行単位で各受光領域PDを走査し、行単位の走査を垂
直方向Vの一方向きVaに沿って移動させる。
【0068】このとき、各CCD群51a〜51dの電
荷結合素子Ca〜Cdの数は、隣接する列の受光領域P
Dの数の半分であるので、単一の各電荷結合素子Ca〜
Cdには、隣接する2つの受光領域PDからの受光デー
タがそれぞれ与えられる。この受光データは、垂直帰線
期間中に各電荷結合素子Ca〜Cdで混合されて、2つ
の受光データを表す電荷量の和である混合データとな
る。2画素混合読出し型の撮像素子34では、各受光デ
ータから混合データを生成し、この混合データを出力す
る。
【0069】水平帰線期間には、各電荷結合素子Ca〜
Cdは、この混合データを、垂直方向Vに平行な他方向
きVbに向かって、同一群で隣接する別の電荷結合素子
Ca〜Cdに転送する。一方端部の電荷結合素子Ca
(1),Cb(1),Cc(1),Cd(1)は、該素
子に転送された混合データを、さらに該素子と接続され
た水平転送CCD群の各電荷結合素子Ceに転送する。
【0070】水平帰線期間と垂直帰線期間とを除いた水
平走査期間中には、水平転送CCD群52は、水平方向
Hに平行な他方向きHbに向かって、各電荷結像素子C
e(4)〜Ce(1)に転送された混合データを順次的
に転送する。素子Ce(1)に転送された混合データ
は、出力部53から撮像素子34の外部の前処理回路3
5に出力される。他方向きHb,Vbは、水平および垂
直方向H,Vにそれぞれ平行で、かつ一方向きHa,V
aと相反する向きである。
【0071】奇数および偶数フィールドでは、上述した
各動作は等しいが、同一の電荷結合素子Ca〜Cdへ受
光データを与える受光領域PDの組合わせだけが異な
る。或る受光領域PDからの受光データは、奇数および
偶数フィールドでは、垂直方向Vの一方および他方向き
Va,Vbに隣接する別の受光領域PDからの受光デー
タと混合される。
【0072】たとえば奇数フィールドでは、受光領域P
D(8,1),PD(7,1)からの受光データが垂直
転送CCD群51aの電荷結像素子Ca(4)に転送さ
れ、混合データが生成される。同様に各電荷結合素子C
a(3)〜Ca(1)において、受光領域PD(5,
1),PD(6,1);PD(3,1),PD(4,
1);PD(1,1),PD(2,1)からの各受光デ
ータが、それぞれ垂直転送CCD群51aの電荷結合素
子Ca(3),Ca(2),Ca(1)に転送されて混
合される。また、偶数フィールドでは、受光領域PD
(6,1),PD(7,1)からの受光データが、電荷
結合素子Ca(4)に転送されて、混合データが生成さ
れる。同様に、受光領域PD(4,1),PD(5,
1);PD(2,1),PD(3,1)からの受光デー
タがそれぞれ垂直転送CCD群51のCa(3),Ca
(2)に転送されて混合される。
【0073】このような撮像素子34で単一回のフィー
ルドの撮像に必要な等価撮像時間は、1回の露光時間に
等しい。また単一回のフレームの撮像に必要な等価撮像
時間は、奇数フィールドの露光時間、奇数フィールドの
転送時間、偶数フィールドの露光時間の和、つまり2回
の露光時間と1回の転送時間の和となる。
【0074】色フィルタについて、以下に説明する。
【0075】色フィルタを通過可能な複数の色彩光の組
合せは、全色彩光を混合すると白色光となるように選ば
れる。本実施形態の色フィルタでは、これら色彩光は、
補色系の黄、マゼンタ、シアン、緑である。以後、黄、
マゼンタ、シアンおよび緑の各色彩光に個別的に対応
し、各色彩光だけを通過させる透光領域Lを、それぞれ
黄、マゼンタ、シアン、緑の透光領域Lと称する。これ
ら各色彩光の透光領域Lは、予め定める周期的な色彩光
の色配列に沿うように配列され、かつ全ての透光領域L
の配列が撮像素子34の受光領域PDの配列と等価とな
るように配列される。
【0076】図3は、上述した各色彩光の色配列の基本
配列パターン56を示す図である。基本配列パターン5
6は、透光領域Lを水平方向Hに2つ垂直方向Vに4つ
並べた4行2列の配列であって、各色彩光の透光領域L
を2つずつ含む。色フィルタの各色彩光の色配列は、こ
の基本配列パターン56が垂直方向Vおよび水平方向H
に周期的に繰返されて形成される。
【0077】以後、透光領域Lの色配列の基本配列パタ
ーンを示す図では、実線の矩形領域で透光領域Lの配列
位置を示し、その領域内に付す符号で該透光領域Lに対
応して通過可能な色彩光を示す。黄、マゼンタ、緑、シ
アンの各色彩光は、それぞれ「Ye」,「Mg」,
「G」,「Cy」で表される。
【0078】基本配列パターン56では、透光領域L
(1,1),L(3,1)は、黄の透光領域である。透
光領域L(2,1),L(4,2)は、マゼンタの透光
領域である。透光領域L(4,1),L(2,2)は、
緑の透光領域である。透光領域L(1,2),L(3,
2)は、シアンの透光領域である。
【0079】上述の色フィルタを有する撮像素子34で
得られる原画像信号について、以下に説明する。
【0080】撮像装置31では、上述した色フィルタを
撮像素子34の結像面の光入射側に設置して、画像光を
撮像する。撮像素子34は、2画素混合読出し型の撮像
素子であるので、原画像信号は、奇数および偶数フィー
ルドの走査結果に基づき、以下に示す原画像が得られる
ように、2つの走査結果の各混合データを予め定める配
列に沿って並換えて合成される。この原画像信号の混合
データの並換えは、たとえば画像メモリ37に各混合デ
ータをストアするときに、そのアドレスを以下の配列に
合わせることで行われる。
【0081】上述した基本配列パターン56からなる色
フィルタでは、垂直方向Vに隣接する2つの透光領域L
には、異なる色彩光が対応する。各混合データは、これ
らの透光領域Lを通過した色彩光を受光する受光領域P
Dからの受光データを混合して得られるので、2種類の
色彩光の受光量の和となる。以後、或る色彩光αの透光
領域Lを通過した色彩光を受光領域PDで受光して得ら
れる受光データを、「αの受光データ」と称する。ま
た、2種類の色彩光α,βの受光データを混合した混合
データを「αおよびβの混合データ」と称する。
【0082】図4は、原画像の等価的な画素Dの配列の
基本配列パターン57を示す図である。原画像は、原画
像信号を仮想的に目視表示した画像である。原画像の画
素Dの配列は、撮像素子34の受光領域PDの配列と相
似であり、その配列周期は受光領域PDの配列周期の予
め定める定数倍である。以後、本明細書では、説明を簡
便にするために、原画像の画素Dの配列周期と撮像素子
34の受光領域PDの配列周期が一致していると仮定す
る。
【0083】本実施形態の撮像装置31では、原画像の
画素Dは、水平、垂直および斜め方向H,V,Uにそれ
ぞれ配列周期PH,PV,PUで周期的に配列される。
原画像の画素Dの基本配列パターン57は、透光領域L
の色配列の基本配列パターンと同様に、4行2列の8つ
の画素Dから構成される。またこの原画像の各画素Dに
関して、受光領域PDの配列および透光領域Lの色配列
に応じて、1種類の混合データが得られる。
【0084】基本配列パターン57では、画素D(1,
1),D(2,1)には、黄およびマゼンタの混合デー
タが対応する。画素D(3,1),D(4,1)には、
黄および緑の混合データが対応する。画素D(1,
2),D(2,2)には、シアンおよび緑の混合データ
が対応する。画素D(3,2),D(4,2)には、シ
アンおよびマゼンタの混合データが対応する。この4行
2列の画素Dのうち、第1行および第3行の画素Dの混
合データは、奇数フィールドでの撮像動作で得られる。
第2行および第4行の画素Dの混合データは、偶数フィ
ールドでの撮像動作で得られる。
【0085】以後、画素Dに関して、受光領域PDから
の混合データが直接得られる画素Dを、「対応画素」と
称する。また、画素Dの基本配列パターンを示す図面で
は、実線の矩形領域で、対応画素の配列位置を表す。さ
らに、矩形領域内の符号で、その画素Dに対応する受光
データまたは混合データを示す。「Ye」,「Mg」,
「G」,「Cy」は、それぞれ黄、マゼンタ、緑、シア
ンの受光データを示す。「α+β」はαおよびβの混合
データを示し、α,βには「Ye」,「Mg」,
「G」,「Cy」とのいずれかが対応する。
【0086】光学系33について、以下に詳細に説明す
る。
【0087】図5は、集光レンズ61、イメージシフト
機構62の屈折板71、および撮像素子34の結像面の
位置関係を示す図である。
【0088】集光レンズ61は、光学系33を通過して
撮像素子34に入射される画像光が、その結像面におい
て結像するように、画像光を集光する。イメージシフト
機構62は屈折板71を有し、この屈折板71は、集光
レンズ61と撮像素子34との間に介在される。集光レ
ンズ61通過後の画像光の光軸64は、屈折板71を通
り、色フィルタを通過して、撮像素子34の結像面に至
る。この画像光の光軸64と平行な方向を、光軸方向Z
と称する。可変空間フィルタ90は、これらのの構成要
素61,62の前後の任意の位置に設置される。
【0089】図6は、イメージシフト機構62の具体的
構成を示す斜視図である。
【0090】屈折板71は、透光性を有する矩形の板状
部材であり、たとえば透光性を有するガラス素材で形成
される。屈折板71は、イナーシャを小さくするため
に、できるだけ軽量とすることが望ましい。
【0091】屈折板71の水平方向Hの両側方には、一
対の圧電素子73,74が配設される。これら圧電素子
73,74は、いわゆるバイモルフ型の圧電素子であ
り、短冊状の3枚の電極の間に圧電セラミックが介在さ
れる構造を有する。この圧電素子73,74の長手方向
は、イメージシフト動作のシフト方向と平行な水平方向
Hに平行である。各圧電素子73,74は片持梁構造で
あり、長手方向の両端部のうち、図面を記す紙面で手前
側の一方端を固定端、奥側の他方端を自由端とする。圧
電素子73,74の各電極からは、圧電素子73,74
の固定端側から、導線80,81がそれぞれ引出され
る。この導線80,81は、駆動回路41に接続され
る。
【0092】圧電素子73,74の自由端側の部分は、
上保持板76および下保持板77に挟持される。上保持
板76および下保持板77は、たとえば合成樹脂である
軽量な材料によって形成される。上および下保持板7
6,77は、概略的に短冊状の部材であって、長手方向
の両端に肉厚部分が形成され、水平方向Hから見て概略
的に「コ」の字状の形状を有する。
【0093】上および下保持板76,77は、その長手
方向が垂直方向Vと平行となるように設置され、かつそ
の肉厚部同士を対向させて一対の圧電素子73,74を
挟持し、同時にその中間部で屈折板71を挟持して、サ
ンドイッチ接合構造を形成する。各構成要素間の接合に
は、エポキシ系樹脂のフィルム状接着剤などが用いられ
る。これによって、屈折板71は、圧電素子73,74
の自由端側の部分に、上および下保持板76,77を介
して固定される。屈折板71、圧電素子73,74およ
び上および下保持板76,77は、屈折板71の中心を
含む仮想的なHV平面を対象面とする上下対称の構造を
有する。圧電素子73,74が片持梁として動作すると
き、その自由端側部分は、他の構成部材に動きを拘束さ
れることなく自由に変位することができる。
【0094】また、各圧電素子73,74の固定端側の
部分は、ステージ78に接合されて固定される。ステー
ジ78は、図示しない撮像装置の筺体の所定位置に固定
される。この筺体内部には、被写体からの画像光の全光
束が屈折板71を通過するように、前述の光学系33が
配設される。さらにこの筺体内部には、圧電素子73,
74の光軸方向の位置を検出するための位置センサ8
3,84が配設される。この圧電素子73,74の固定
手法は、これに限らず、たとえば固定端側の部分をステ
ージ78およびステージ78とほぼ同形状の別部材によ
って挟持し、これら部材をビスで固定することで固定し
てもよい。
【0095】位置センサ83,84は、たとえば反射型
のフォトインタラプタで実現される。位置センサ83,
84は、鏡面加工が施された下保持板77からの反射光
を受光して下保持板の変位を検出し、その変位量から圧
電素子73,74の変位を推測する。位置センサ83,
84の検出結果は、駆動回路41に与えられる。
【0096】このような構造を有するイメージシフト機
構62は、屈折板71の中心を通り、垂直方向Vに平行
に伸びる仮想基準軸線を備える構造の機構と同等に動
く。このイメージシフト機構62は、従来のイメージシ
フト機構と比較して、装置全体の大きさが小さい。
【0097】このイメージシフト機構62でイメージシ
フト動作を行うとき、該機構62は、画像光を結像させ
るべき結像位置に応じて仮想基準軸線を中心として屈折
板71を角変位させることによって、屈折板71と光入
射側の画像光の光軸64aとの成す角度を変化させる。
第1および第2結像位置を画像光を結像させるときのイ
メージシフト機構62が取るべき状態を、それぞれ第1
および第2状態とする。第1および第2状態は、駆動回
路41からの信号の有無によって切換られる。
【0098】第1状態では、駆動回路41は、圧電素子
73,74に信号を与えない。このとき圧電素子73,
74はHV平面に対して水平な状態を保つので、屈折板
71の入射面と光入射側の光軸64aとが直交する。第
1結像位置は、この状態の屈折板71を通過した後の画
像光の光軸64bと、撮像素子34の結像面との交点で
ある。
【0099】第2状態では、駆動回路41は、導線8
0,81を介して、圧電素子73,74の圧電セラミッ
クを挟持する各電極に、予め定める信号を与える。これ
によって、2対の電極間に予め定める電圧が印加される
ので、固定端の部分を支点として、支点から自由端まで
が連続的に歪み、自由端の端部を光軸方向Zに変位させ
る。屈折板71は、この自由端の変位に応じて、仮想基
準軸線を回転中心として角変位する。これによって、屈
折板71の入射面は、光入射側の光軸64aに対して予
め定める傾斜角度だけ傾く。
【0100】このとき、位置センサ83,84は下保持
板の変位から圧電素子73,74の変位を推測検出し
て、駆動回路41に与える。駆動回路41は、位置セン
サ83,84の検出結果と予め定める目標値とを比較し
て、その誤差量を検出する。駆動回路41は、この誤差
量が0となるように、圧電素子73,74の電極に与え
る信号の電圧を徴調整して、屈折板71の傾斜角度を徴
調整する。
【0101】屈折板71通過後の画像光の光軸は、光入
射側の光軸64aの延長線から、屈折板71の傾斜角度
に対応したシフト長さだけ、仮想基準軸線にと直交する
方向に平行移動する。これによって、イメージシフト機
構62が第2状態にあるとき、屈折板71通過後の画像
光の光軸は、水平方向Hに沿って予め定めるシフト長さ
だけ平行移動する。第2結像位置は、この平行移動後の
光軸と撮像素子34の結像面の交点である。したがっ
て、第2結像位置は、第1結像位置からみて、光軸のシ
フト方向と同じ方向に同じシフト長さだけずれる。この
ような動作によって、画像光の結像位置がシフト移動す
る。
【0102】可変空間フィルタについて、図7〜図11
を用いて、以下に説明する。該フィルタ90は、撮像装
置31の通常および高解像度モードに応じて、第1およ
び第2状態に切換えられ、各モードに応じた減衰量で、
画像光の空間周波数成分の振幅を減衰させる。
【0103】図7は、可変空間フィルタ90の具体的構
成を示す斜視図である。フィルタ90は、3枚の複屈折
板91〜93が、画像光の光軸64上に、光入射側から
この順で配列されて形成される。複屈折板91〜93
は、光入射側の画像光の光軸64と直交する入射面およ
び射出面をそれぞれ有する。また、屈折板93は、光軸
64と一致した仮想回転中心軸線を中心として回転可能
であり、第1および第2状態が切換えられると同時に9
0度だけ角変位するように回転駆動される。
【0104】以後、水平、垂直、および光軸方向H,
V,Zの各単位ベクトルを、ベクトルi,j,kと表
す。また、ベクトルi,jに平行でかつベクトルkと直
交する仮想平面を、HV平面とする。このHV平面は、
各複屈折板91〜93の入射および射出面と平行であ
る。
【0105】複屈折板91〜93は、たとえば水晶板で
実現される。図8(a)〜図8(c)は、フィルタ90
が第1状態にあるときの各複屈折板91〜93の分離ベ
クトルB1〜B3をHV平面に投影した状態を示す図で
ある。この分離ベクトルB1〜B3の向きは、各複屈折
板91〜93の射出面の外方で、複屈折板91〜93の
光入射側の画像光の光軸の延長線から、各複屈折板91
〜93から射出した画像光の光軸に向かう向きを表す。
すなわち、複屈折板によって光軸が移動される向きを表
す。また各複屈折板91〜93の分離ベクトルの大き
さ、すなわち分離長さは、各複屈折板91〜93の光軸
方向Zの厚さに比例して定められる。ゆえに、各複屈折
板91〜92の厚さは、それぞれ後述する分離長さが生
じるように設定される。この分離ベクトルは、前述した
単位ベクトルi,j,kによって、以下の式で規定され
る。
【0106】
【数1】
【0107】上式から、複屈折板91〜93の分離ベク
トルB1〜B3の向きは、それぞれ、反時計まわりに見
て、水平方向Hと90度,45度,135度を成す向き
であることが分かる。また、複屈折板91〜93の分離
長さは以下のとおりである。
【0108】
【数2】
【0109】このような複屈折板91〜93に対して、
分離ベクトルB1〜B3と交差する方向に偏光する画像
光が入射すると、画像光は常光と異常光とに分離され
る。常光は、複屈折板91〜93内を、入射側の光軸の
延長線と平行に進行して、そのまま射出する。このと
き、常光の射出側の光軸は、入射側の光軸の延長線と一
致する。異常光は、複屈折板91〜93内で常光から分
離された後に射出される。この異常光の射出側の光軸
は、入射側の光軸の延長線から、HV平面上で予め定め
る分離ベクトルB1〜B3と同じ向きに同じ長さだけ平
行移動される。
【0110】上述した可変空間フィルタ90が第1状態
にあるとき、複屈折板93は、分離ベクトルが図8
(c)に示す状態に保たれる。このとき、フィルタ90
を通過する画像光の挙動を、図9を用いて、以下に説明
する。
【0111】図9(a)〜図9(c)は、第1状態の可
変空間フィルタ90において、画像光の常光および異常
光が複屈折板91〜93を通過した位置をそれぞれ示す
仮想結像面を示す図である。これら仮想結像面は、HV
平面と平行であり、その各仮想結像面上に描かれる格子
の空間位置は、全て一致する。この格子の軸線は、水平
および垂直方向H,Vに、それぞれ間隔PH/2,PV
/2で配列される。この格子の交点の座標を、欄外に振
られた水平および垂直方向H,Vの各軸線の番号α、β
を用いて、「座標(α,β)」と表す。以後、この座標
は、常光および異常光の光軸と、その仮想結像面との交
点を表すために用いる。
【0112】第1状態の可変空間フィルタ90におい
て、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交
点を座標(4,3)とする。この画像光は、複屈折板9
1に入射して、複屈折板91に対する常光と異常光とに
分離される。該常光の射出側の光軸と仮想結像面との交
点は、座標(4,3)である。また、異常光の射出側の
光軸は、入射側の光軸の延長線からみて、分離ベクトル
B1と同じ向きに同じ長さだけ光軸が移動しており、そ
の光軸の交点は座標(2,3)である。
【0113】この1対の常光および異常光は、それぞれ
座標(4,3),(2,3)から複屈折板92に入射
し、それぞれ該複屈折板92に対する常光および異常光
に分離される。複屈折板91の常光のうちの複屈折板9
2に対する常光は、そのまま複屈折板91を通過するの
で、その光軸の交点は座標(4,3)である。同様に、
複屈折板91の異常光のうち、複屈折板92に対する常
光の光軸の交点は、座標(2,3)である。また、複屈
折板91の常光および異常光の複屈折板92に対する異
常光の光軸は、それぞれ座標(4,3),(2,3)の
光軸の延長線からみて、分離ベクトルB2と同じ向きに
同じ長さだけ移動される。このとき、座標(4,3)の
光軸は、格子の軸線と45度の角度を成す向きに移動さ
れるので、射出側の光軸と仮想結像面との交点の位置は
垂直方向Vについて格子の交点からずれる。このずれの
大きさは、長さPH/PVであり、図9では長さPH/
2と等しい。またずれの向きは、座標(4,4)から座
標(3,4)に向かう方向である。このような交点を
(4−PH/PV,4)と表す。以後、格子の交点から
ずれた座標は、近接の格子の交点からのずれの大きさ
と、ずれの向きとを付加して表す。「−」は、光軸の交
点が図9上で軸線の番号が若くなる方向に向かってずれ
ていることを表す。座標(4,3)の射出側の光軸と同
様に、座標(2,3)の射出側の光軸と仮想結像面との
交点も格子の交点からずれる。その交点は、前述の手法
で求められ、座標(2−PH/PV,2)と表す。
【0114】この2対の常光および異常光は、同一の座
標から複屈折板93に入射する。複屈折板92,93の
分離ベクトルB2,B3は相互に直交するので、複屈折
板92の常光および異常光は、それぞれ複屈折板93に
対する異常光および常光になる。したがって、座標
(4,3),(2,3)の複屈折板92の常光は、複屈
折板93の異常光となる。これによって、該複屈折板9
3の異常光の光軸は、座標(4,3),(2,3)か
ら、分離ベクトルB3と同じ向きに同じ長さだけ移動し
ており、その該交点はそれぞれ座標(4−PH/PV,
2),(2−PH/PV,2)である。また同様に、座
標(4−PH/PV,4),(2−PH/PV,4)の
複屈折板92の異常光は、複屈折板93の常光となるの
で、そのまま複屈折板93を通過する。ゆえに、これら
複屈折板93の常光の光軸はの交点はそれぞれ座標(4
−PH/PV,4),(2−PH/PV,4)である。
【0115】このように、複屈折板91〜93を順次的
に通過した画像光は、2対の常光および異常光に分離さ
れる。これら常光および異常光の光軸と仮想結像面との
交点は、水平および垂直方向H,Vにそれぞれ平行に、
間隔PH,PVずつ離れる。このように分離された画像
光について、第1減衰量を表す伝達関数を求めると、画
像光の空間周波数成分のうち、空間周波数±fH/2,
±fV/2の成分のレスポンスがなくなるように、該空
間周波数の成分の振幅が減衰されることがわかる。任意
の空間周波数fにおけるレスポンスは、その空間周波数
fでのコントラストと基準の空間周波数0でのコントラ
ストとの比で定義される。
【0116】また、上述した可変空間フィルタ90が第
2状態にあるとき、複屈折板93は、第1状態から90
度角変位され、分離ベクトルBa3が図10に示す状態
に保たれる。この分離ベクトルB3aは、前述した単位
ベクトルi,jを用いて、以下のように表される。
【0117】
【数3】
【0118】分離ベクトルB3aの向きは、反時計まわ
りに水平方向Hと−135度を成す向きであり、第1状
態での分離ベクトルB3と直交する。
【0119】このとき、フィルタ90を通過する画像光
の挙動を、図9(a),(b)および図11の仮想結像
面を用いて、以下に説明する。図11の仮想結像面の各
要素は、図9の仮想結像面と同様の趣旨である。
【0120】第2状態の可変空間フィルタ90におい
て、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交
点を座標(4,3)とする。この画像光が、複屈折板9
1,92を通過するときの挙動は、第1状態のときと等
しいので、説明は省略する。
【0121】複屈折板93には、複屈折板92に対する
座標(4,3),(2,3)の常光、および座標(4−
PH/PV,4),(2−PH/PV,4)の異常光
が、この同一の座標から入射する。複屈折板92,93
の分離ベクトルB2,B3は相互に平行であり、分離ベ
クトルの向きだけが相反する。したがって、複屈折板9
2の常光および異常光は、そのまま複屈折板93に対す
る常光および異常光になる。したがって、座標(4,
3),(2,3)の複屈折板92の常光は、複屈折板9
3の常光となるので、そのまま複屈折板93を通過す
る。ゆえに、これら複屈折板の常光の光軸の交点は、座
標(4,3),(2,3)である。また、座標(4−P
H/PV,4),(2−PH/PV,4)の複屈折板9
2の異常光は、複屈折板93の異常光となる。これによ
って、該複屈折板93の異常光の光軸は、座標(4−P
H/PV,4),(2−PH/PV,4)の光軸の延長
線からみて、光学ベクトルB3aと同じ向きに同じ長さ
だけ移動しており、その交点はそれぞれ座標(4,
3),(2,3)である。
【0122】このように、複屈折板92,93の分離ベ
クトルB2,B3aが平行で向きが相反するとき、複屈
折板92に対する常光および異常光の光軸の交点が、複
屈折板93通過後に一致する。これによって、複屈折板
92,93での光の分離効果が打消される。したがっ
て、複屈折板93通過後の画像光の分離状態は、複屈折
板91通過直後の状態に戻る。
【0123】このように複屈折板91〜93を順次的に
通過した画像光は、1対の常光および異常光に分離され
る。この常光および異常光の光軸と仮想結像面との交点
は、垂直方向Vに平行に、間隔PVだけ離れる。このよ
うに分離された画像光に関して、第2減衰量を表す伝達
関数を求めると、画像光の空間周波数成分のうち、空間
周波数±fV/2の成分のレスポンスだけがなくなるよ
うに、該空間周波数成分の振幅が減衰されることが分か
る。この第2減衰量と通常モードの第1減衰量とを比較
すると、水平方向Hに関する空間周波数成分の減衰量が
0になり、垂直方向Vに関する減衰量が変わらないこと
が分かる。
【0124】上述の撮像装置31の通常モードの画像光
の撮像動作について、以下に詳細に説明する。
【0125】通常モードでは、イメージシフト機構62
は第1状態に固定され、画像光は撮像素子34の結像面
の第1結像位置に結像する。また、可変空間フィルタ9
0は第1状態に切換えられ、画像光の水平および垂直方
向H,Vの空間周波数成分をそれぞれ空間周波数±fH
/2,±fV/2未満に制限する。撮像素子34は、こ
の状態で入射される画像光を撮像して、第1原画像信号
を出力する。このときの結像位置は、第2結像位置でも
よい。
【0126】信号処理回路44は、上述の第1原画像信
号だけに基づいて、単一の第1出力画像信号の輝度信号
Yおよび2種類の色差信号(B−Y),(R−Y)を生
成する。
【0127】これら3種類の信号は、各画素D単位で求
められる複数の要素からなるデジタル信号である。輝度
信号および色差信号の各画素D単位の要素を輝度データ
および色差データと称する。各画素Dの輝度データは、
該画素Dで受光されるべき全ての色彩光の受光データの
和である。また2種類の色差データは、該全ての色彩光
の受光データの差である。したがって、各画素Dの輝度
データおよび色差データを得るには、各画素D毎に、全
ての色彩光の受光データを必要とする。
【0128】上述の原画像では、各画素Dには、2種類
の受光データを混合した混合データが1種類だけ対応す
る。各画素Dの輝度データは、欠けている受光データを
隣接する他の画素Dの混合データで補間して求められ
る。たとえば6行2列に属する画素D(6,2)の輝度
データY(6,2)は、以下の式に基づいて求められ
る。
【0129】 Y(6,2) =(Cy+G)(6,2)+(Ye+Mg)(6,3) …(9) 「(α+β)(n,m)」,は、第n行第m列の画素D
に対応するαおよびβの混合データを示す。αおよびβ
は、緑、黄、シアン、マゼンタのいずれか1つであり、
「G」,「Ye」,「Cy」,「Mg」と表される。
【0130】色差データもまた、輝度データと同様に、
欠けている受光データを隣接する他の画素Dの混合デー
タで補間して求められる。このとき、原画像では、同一
種類の混合データが対応する対応画素が垂直方向Vに2
画素連続して配列されるので、各画素Dに対応する色差
データは、画素Dの混合データに応じたいずれか一種類
だけを直接求めることができる。たとえば画素D(6,
2)の色差データ(R−Y)(6,2)は、以下の式に
基づいて求められる。
【0131】
【数4】
【0132】また、画素Dの混合データから直接得られ
ない他方の色差データ(B−Y)(6,2)は、その画
素D(6,2)の周囲の他の画素Dで直接求められる同
種の色差データ(B−Y)を用い、以下の式に基づいて
補間する。
【0133】
【数5】
【0134】以後、出力画像において、受光データから
輝度データおよび色差データの少なくとも1つが直接求
められる画素Dを、そのデータの「実画素」と称する。
また、補間処理によって輝度データおよび色差データが
求められる画素Dをそのデータの「仮想画素」と称す
る。
【0135】この輝度信号および色差信号のサンプリン
グ周波数は、第1出力画像信号の算出の基礎となる原画
像信号の各色彩光の対応画素の配列周期から簡易的に求
められる。或る空間軸方向の任意の色彩光の対応画素の
配列周期の1周期分の長さは、原画像上に該空間軸に直
交するように仮想され、相互に平行な2本の仮想直線で
あって、その色彩光の受光データまたは混合データの対
応する2つ以上の対応画素の中心をそれぞれ通って隣接
する仮想直線の間隔と等しい。
【0136】輝度信号のサンプリング周波数は、全ての
色彩光の混合データの対応画素の配列周期から求められ
る。この配列周期は、図4から、水平、垂直および斜め
方向H,V,Uにそれぞれ配列周期PH,PV,PUで
あると分かるので、サンプリング周波数は、それぞれ空
間周波数fH,fV,fuである。また、色差信号のサ
ンプリング周波数は、同一種類の混合データの対応画素
だけの配列周期から求められる。この配列周期は、図4
から、少なくとも水平および垂直方向H,Vにそれぞれ
配列周期2PH,4PVであると分かるので、サンプリ
ング周波数は、それぞれ空間周波数fH/2,fV/4
である。
【0137】出力画像信号が表す出力画像の解像度の評
価手法として、空間周波数平面図を用いる。空間周波数
平面図は、輝度の基底帯域および色差信号のモアレのキ
ャリア周波数を示し、いわゆるCZP(Circular Zone P
late)チャートに対応する。CZPチャート上に現れる
モアレは、空間周波数平面に示すモアレのキャリア周波
数を中心周波数とする折返し成分によって現れるモアレ
と同一位置に生じる。CZPチャートに関しては、「電
子情報通信学会 技術研究報告 IE80−96「固体
撮像装置の画像とモアレ」」に開示される。
【0138】本明細書において、輝度の基底帯域の各空
間周波数軸上の範囲は、簡略化手法で求めた。以下に、
上述した第1出力画像信号の輝度の基底帯域を例とし
て、簡略化手法を以下に説明する。
【0139】図12は、空間周波数平面図の第1象限に
関し、水平方向Hの空間周波数軸に対する輝度信号およ
び色差信号のスペクトルを示すグラフである。前述した
ように、輝度信号の水平方向のサンプリング周波数は空
間周波数fHである。
【0140】第1出力画像信号を目視表示するとき必要
な輝度信号の所望信号成分のスペクトルは、空間周波数
0を中心とした山形の波形101を示す。また、輝度信
号は、前述したようにデジタル信号であるので、折返し
成分が存在する。この折返し成分のスペクトルは、サン
プリング周波数fHの0以外の整数倍の空間周波数を中
心とした山形の波形102を示す。サンプリング周波数
の0以外の整数倍の空間周波数を、キャリア周波数と称
する。
【0141】水平方向の空間周波数軸上における輝度の
基底帯域の該空間周波数軸上の範囲は、空間周波数0を
中心として、その幅が輝度信号のサンプリング周波数f
Hの半分となる範囲W1であると規定される。輝度信号
の所望信号成分のスペクトルは、この基底帯域内に含ま
れる。この輝度の基底帯域は、水平、垂直および斜め方
向H,V,Uの空間周波数軸を含む空間周波数平面の第
1〜第4象限内で、2次元的に求められる。この空間周
波数平面は、図12のグラフでは、横軸を含み紙面と直
交する仮想平面である。
【0142】色差信号の所望信号成分のスペクトルは、
空間周波数0を中心として山形の波形を示す。また、色
差信号もデジタルデータであるので、折返し成分が存在
し、その折返し成分のスペクトルは、色差信号のサンプ
リング周波数fH/2の0以外の整数倍のキャリア周波
数を中心とした山形の波形103を示す。
【0143】この色差信号のサンプリング周波数は、出
力画像の各色差データの実画素の配列によって定められ
るが、前述したように、色フィルタの色配列によって
は、輝度データが全ての画素Dで求められても、色差デ
ータが全ての画素Dで求められないことがある。このと
き、輝度信号と色差信号とのサンプリング周波数が異な
る。この輝度信号のサンプリング周波数よりも色差信号
のサンプリング周波数が小さいと、輝度の基底帯域内に
色差信号のキャリア周波数が存在する。このキャリア周
波数を中心とする折返し成分は、輝度信号の所望信号成
分と重なり合い、干渉する。この干渉が生じると、輝度
信号の所望信号成分の波形に歪みが生じ、色モアレが発
生する。このように、輝度信号の所望信号成分の波形と
重なり、色モアレの原因となる色差信号の折返し成分の
キャリア周波数を、以後「モアレのキャリア周波数」と
称する。
【0144】色モアレの生じた画像は画質が劣化するの
で、撮像装置31では、画質劣化を防止するために、光
学系33の可変空間フィルタ90で、色モアレのキャリ
ア周波数近傍の画像光の空間周波数成分を除去する。挿
入される可変空間フィルタ90の濾波帯域を、2点鎖線
104で示す。このようなフィルタが挿入されると、色
差信号の折返し成分103のスペクトルは破線105で
示すレベルまで減衰される。このとき、同時に輝度信号
の所望信号成分101のスペクトルも同じ減衰量だけ減
衰されて、波形が歪む。
【0145】これによって、輝度信号の所望信号成分
は、色モアレのキャリア周波数未満の範囲に制限される
ので、輝度の基底帯域が縮小される。或る方向の空間周
波数軸上の輝度の基底帯域の幅は、その方向の空間軸上
の画像の解像度に対応し、幅が広いほど解像度が大き
い。したがって、出力画像の画質を向上させるには、輝
度の基底帯域内に含まれるモアレの数を減少させる必要
がある。
【0146】また、これらキャリア周波数が輝度信号の
所望信号成分の中心周波数から離れていれば、輝度信号
の所望信号成分と色差信号の折返し成分との波形の重な
りが小さく、さらに重なり合う位置での信号強度が小さ
くなる。これによって、フィルタを挿入したとき輝度信
号の所望信号成分の波形の歪みが小さくなる。したがっ
て、モアレのキャリア周波数が除去できずに残るとき、
そのキャリア周波数は輝度の基底帯域の周辺部分にある
ことが好ましい。
【0147】空間周波数平面図に現れる空間周波数成分
のうち、任意の空間周波数(fh,fv)と空間周波数
(−fh,−fv)との成分は、共役関係にある。
【0148】 F(fh,fv)= F(−fh,−fv)* …(12) 上式で、「F(fh,fv)」は、空間周波数(fh,
fv)の空間周波数成分を表す。また、「F()*」
は、該空間周波数成分の共役を示す。
【0149】このことから、第3象限および第4象限に
現れる輝度の基底帯域の図形およびモアレのキャリア周
波数の位置は、該平面図の空間周波数軸の原点に対し
て、第1および第2象限の該図形および位置と点対称と
なる図形および位置であることがわかる。本明細書で
は、空間周波数平面図は、垂直方向Vの空間周波数fv
が0以上となる範囲を現す第1および第2象限だけを示
す。
【0150】図13は、第1出力画像信号の輝度の基底
帯域および色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空
間周波数平面図である。上述したサンプリング周波数に
基づいて決定される輝度の基底帯域111を、図13で
は斜線を付して示す。水平、垂直および斜め方向H,
V,Uの空間周波数軸における輝度の基底帯域111の
範囲は、以下の式で表される。
【0151】 (−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14) (−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域11
1は、以下の4点を頂点とする矩形領域である。
【0152】(−fH/2,0) ( fH/2,0) (−fH/2,fV/2) ( fH/2,fV/2) 上述の基底帯域111内において、モアレのキャリア周
波数の存在する位置は以下の8箇所である。図13で
は、これら位置を白丸で表す。
【0153】(−fH/2,0) ( fH/2,0) (−fH/2,fV/4) ( fH/2,fV/4) (−fH/2,fV/2) ( 0,fV/2) ( fH/2,fV/2) ( 0,fV/4) 上述した第1状態の可変空間フィルタ90の第1減衰量
は、基底帯域111の境界線近傍の空間周波数成分を減
衰させるように定められる。上述の8箇所のモアレのキ
ャリア周波数のうち、先の7箇所は基底帯域111の周
辺部に位置するので、このフィルタ90の空間周波数制
限効果で除去される。これと同時に、基底帯域111の
境界線近傍の輝度信号の所望信号成分もフィルタ90に
よって減衰されるので、第1出力画像信号の基底帯域1
11の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸上の範
囲は、空間周波数±fH/2,±fV/2未満の範囲と
見なされる。これによって、基底帯域111の水平およ
び垂直方向H,Vの空間周波数軸上の実質の幅が縮小さ
れるので、第1出力画像の実質の解像度は、その分だけ
基底帯域111から推測される理想の解像度よりも低下
する。
【0154】上述の撮像装置31の高解像度モードの画
像光の撮像動作について、以下に詳細に説明する。
【0155】このとき、高解像度モードでは、可変空間
フィルタ90は第2状態に切換えられ、画像光の垂直方
向Vの空間周波数成分だけを空間周波数±fV/2未満
に制限する。イメージシフト機構62は、同期信号発生
回路40からの同期信号に基づいて、予め定める撮像タ
イミング毎に第1および第2状態に順次的に切換えられ
る。
【0156】図14は、画像光の第1および第2結像位
置の位置関係を示す図である。第1および第2結像位置
Qa1,Qb1は、前述したように、第1および第2状
態のイメージシフト機構62の屈折板71通過後の画像
光の光軸と、撮像素子34の結像面との交点を示す。第
1結像位置Qa1を基準とすると、第2結像位置Qb1
は、第1結像位置Qa1から、受光領域PDの水平方向
Hの配列周期PHの1周期分の長さPHだけ、水平方向
Hに移動した位置である。前述のイメージシフト機構6
2の屈折板71の仮想基準軸線の設置状態、および第2
状態の屈折板71と光入射前の画像光の光軸64aとの
なす傾斜角度は、第1および第2結像位置が上述の位置
関係となるように、定められる。
【0157】撮像素子34は、この第1および第2結像
位置Qa1,Qb1に画像光が結像されたときに、該画
像光を撮像して、第1および第2原画像信号を得る。信
号処理回路44は、第1および第2原画像信号から、第
2出力画像信号を生成する。
【0158】第2出力画像信号の生成手法を以下に説明
する。回路44は、まず第1および第2原画像信号を、
空間的な撮像位置が一致するように重合わせて、合成画
像信号を生成する。この合成画像信号を仮想的に目視表
示した合成画像は、たとえば2枚の原画像を、その画像
の基準の点を結像位置のシフト方向とは逆向きに同じシ
フト長さだけずらして重ね合わせた画像として仮想され
る。このとき、第1および第2原画像内で各結像位置Q
a1,Qb1に対応する点は、合成画像では一致する。
【0159】本実施形態では、合成画像は、第1および
第2原画像を水平方向Hに長さPHだけずらして重ね合
わせた画像として仮想される。この合成画像全体の画素
配列は原画像の画素配列と等しく、N×M個の画素が、
水平および垂直方向H,Vにそれぞれ配列周期PH,P
Vで行列状に配列される。
【0160】図15は、合成画像の等価的な画素Dの配
列の基本配列パターン113を示す図である。合成画像
では、水平および垂直方向H,Vにこの基本配列パター
ン113が周期的に繰返される。この合成画像の基本配
列パターン113は、4行2列の8つの画素Dから構成
され、各画素Dに2種類の混合データが対応する。
【0161】この基本配列パターン113において、画
素D(1,1),D(1,2),D(2,1),D
(2,2)には、黄およびマゼンタの混合データ、なら
びにシアンおよび緑の混合データが対応する。画素D
(3,1),D(3,2),D(4,1),D(4,
2)には、黄および緑の混合データ、ならびにシアンお
よびマゼンタの混合データが対応する。この画素Dの基
本配列パターン113の色配列は、この合成画像を直接
1回の画像光の撮像で得るときに、撮像素子の結像面の
光入射側に設置されるべき仮想的な色フィルタの色配列
と等価である。
【0162】次いで、回路44は、この合成画像の各画
素Dに対応する混合データから、第2出力画像信号の輝
度信号および色差信号の各データを算出する。さらに、
所望とする出力画像の画素配列と合成画像の画素配列と
を比較し、輝度データおよび色差データが生成されない
仮想画素に、実画素の輝度データおよび色差データに基
づいて、各信号を補間する。
【0163】合成画像では、各画素Dには2種類の受光
データを混合した混合データが2種類ずつ対応する。こ
のような各画素Dに関して、輝度データは、各画素毎
に、これら混合データから直接得られる。たとえば、た
とえば6行2列に属する画素D(6,2)の輝度データ
Y(6,2)は、以下の式に基づいて求められる。
【0164】 Y(6,2) =(Cy+G)(6,2) +(Ye+Mg)(6,2) …(16) また、合成画像では、同一種類の混合データが対応する
対応画素だけから構成される行が、垂直方向Vに2行連
続して配列される。この合成画像では、各画素Dに関し
て、画素Dの混合データの組合わせに応じて、2種類の
色差データのうちの1種類だけが、画素Dの混合データ
から直接得られる。したがって、垂直方向Vに連続した
2行の画素Dでは、同一種類の色差データだけが直接得
られる。たとえば画素D(6,2)の色差データ(R−
Y)(6,2)は、以下の式に基づいて求められる。
【0165】 (R−Y)(6,2) =(Cy+G)(6,2) −(Ye+Mg)(6,2) …(17) 上述した画素D(6,2)に関して、2種類の色差デー
タのうち、画素Dの混合データから直接得られない1種
類の色差データ(B−Y)(6,2)は、画素D(6,
2)の周囲の他の画素Dで得られる同種の色差データ
(B−Y)を用い、以下の式に基づいて補間される。
【0166】
【数6】
【0167】第2出力画像信号の輝度信号および色差信
号のサンプリング周波数は、該信号の算出の基礎となる
合成画像の各色彩光の対応画素の配列周期から簡易的に
求められる。この配列周期の算出手法は、第1出力画像
信号の該配列周期の算出手法と類似であり、該手法で原
画像信号を合成画像信号に置換えた点だけが異なる。
【0168】全ての色彩光の対応画素の配列について、
原画像と合成画像とを比較すると、両者の該配列が等し
いことがわかる。したがって、合成画像の水平、垂直、
および斜め方向H,V,Uの配列周期は、それぞれ原画
像の配列周期と等しく、それぞれ周期PH,PV,PU
と見なされる。したがって、第2出力画像信号の輝度信
号のサンプリング周波数は、水平、垂直および斜め方向
H,V,Uにそれぞれ空間周波数fH,fV,fuであ
る。
【0169】また、同一種類の混合データの対応画素だ
けの配列について、原画像と合成画像とを比較すると、
水平方向Hに関し、原画像では1列おきに配列されてい
た該対応画素が合成画像では全列に配列されるので、水
平方向Hの対応画素が増加していることがわかる。この
ことから、合成画像の水平および垂直方向H,Vの配列
周期は、それぞれ周期PH,4PVとみなされる。した
がって、第2出力画像信号の色差信号のサンプリング周
波数は、それぞれ空間周波数fH,fV/4である。
【0170】図16は、上述した第2出力画像信号の輝
度の基底帯域115、および色差信号のモアレのキャリ
ア周波数を示す空間周波数平面図である。第2出力画像
信号の輝度の基底帯域115を、図16では斜線を付し
て示す。
【0171】水平、垂直および斜め方向H,V,Uの空
間周波数軸における輝度の基底帯域115の範囲は第1
出力画像信号の範囲と等しく、以下の式で表される。
【0172】 (−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14) (−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域11
5は、以下の4点を頂点とする矩形領域である。
【0173】(−fH/2,0) ( fH/2,0) (−fH/2,fV/2) ( fH/2,fV/2) この輝度の基底帯域115内で、モアレの原因となる色
差信号のキャリア周波数の存在する位置は以下の2箇所
である。
【0174】( 0,fV/4) ( 0,fV/2) 上述の光学系33の可変空間フィルタ90の第2減衰量
は、これらキャリア周波数を中心とする色差信号の折返
し成分を減衰させることができるように定められる。
【0175】図13および図16の第1および第2出力
画像信号の輝度の基底帯域111,115を比較する
と、その大きさおよび形状は変化していないが、基底帯
域111に現れる水平方向Hの空間周波数軸上のモアレ
のキャリア周波数が、基底帯域115では全て消滅して
いる。したがって、可変空間フィルタ90で、水平方向
Hの空間周波数成分を制限する必要がなくなる。これに
よって、フィルタ制限後の基底帯域115の水平方向H
の空間周波数軸上の実質の幅は、周波数±fH/2以下
の基底帯域111の範囲全域まで拡大される。
【0176】したがって、第2出力画像信号の制限後の
基底帯域は、第1出力画像信号の制限後の基底帯域と比
較して、水平方向Hの空間周波数軸に沿って拡大する。
これによって、第2出力画像の水平解像度は、第1出力
画像の水平解像度よりも向上する。
【0177】第1および第2出力画像信号は、たとえば
陰極線管で実現される表示装置に目視表示される。この
ような表示装置では、偏平な蛍光面に、水平方向Hに伸
びるいわゆる走査線が複数本垂直方向Vに並べられて、
目視表示領域が形成される。表示装置は、この目視表示
領域の該走査線上の蛍光塗料をアナログ信号で連続的に
変化する電子線で発光させることによって、画像の各画
素Dを表示する。このような構造の目視表示領域を有す
る表示装置では、画像の垂直方向Vの画素Dの数は、走
査線の数で規定されるが、水平方向Hは連続輝度変化が
可能なので、画素Dの数が無限大と見なされる。
【0178】画像の解像度を向上させるとき、画像信号
の段階で基底帯域の幅を拡大しても、その信号の空間周
波数成分を表示することができる表示装置がないと、向
上させた解像度の画像を表示することができない。或る
空間周波数の信号成分を表示するには、その空間周波数
の逆数の半分の配列周期で配列される画素Dが必要であ
るので、基底帯域の幅を拡大して解像度を向上させるほ
ど、配列周期が小さい画素配列が必要になる。上述した
表示装置では、垂直方向Vの画素Dの数は有限であるが
水平方向Hは無限であるとみなされるので、水平方向H
には、画素Dの配列周期を短縮させやすいと考えらえ
る。したがって、この表示装置に表示する画像に関して
解像度を向上させるとき、水平方向Hの解像度を向上さ
せた方が好ましい。
【0179】本発明の第2実施形態である撮像装置を以
下に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系、色フィ
ルタ、および撮像素子以外の構成要素は第1実施形態の
撮像装置31の構成要素と等しく、同一の構成要素には
同一の符号を付し、説明は省略する。本実施形態の撮像
装置では、2画素混合読出し型の撮像素子34の代わり
に、撮像素子131が用いられる。この撮像装置は、通
常モードと高解像度モードとを有し、解像度の異なる第
1および第2出力画像信号を得る。
【0180】図17は、撮像素子131の結像面の具体
的な構成を示す平面図である。この撮像素子131は、
いわゆる全画素読出し型の撮像素子である。撮像素子1
31は撮像素子34と類似の構造を有し、同一の構成要
素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0181】撮像素子131の結像面には、撮像素子3
4と同様に、N×M個の受光領域PDが水平および垂直
方向H,Vにそれぞれ平行に行列状に配列される。図1
7では、受光領域PDの配列を8行4列の32個の受光
領域PD(1,1)〜PD(4,8)で代表させて表
す。
【0182】撮像素子131の結像面の光入射側には、
後述する色フィルタが設置される。この色フィルタのN
×M個の透光領域Lの配列は、受光領域PDの配列と等
しい。色フィルタの色配列は後述する。各受光領域PD
は、予め定める露光時間の間に、対応する透光領域Lを
通過した色彩光を受光して、その受光量に対応する受光
データを生成する。
【0183】受光領域PDの各列に隣接して、垂直転送
CCD群138a〜138d(総称するときは「13
8」とする)が配列される。各垂直転送CCD群138
には、隣接する受光領域PDの列の受光領域PDの数と
同数の電荷結像素子Cがそれぞれ含まれる。各群138
の各電荷結像素子Cは、垂直方向Vに直線状に配列さ
れ、相互に電気的に接続される。この垂直転送CCD群
138は、受光領域PDの列の数と同数だけ存在する。
各列の受光領域PDの数と各群138の電荷結合素子C
の数が等しいので、各受光領域PDと垂直転送CCD群
138の電荷結像素子Cとは、1対1で対応する。
【0184】結像面の受光領域PDの列の一方端部側に
は、各垂直転送CCD群138の一方端部の電荷結合素
子Ca(1),Cb(1),Cc(1),Cd(1)と
電気的に接続された水平転送CCD群52が設けられ
る。水平転送CCD群52の一方端部には、出力部53
が取付けられる。
【0185】各受光領域PDの受光データは、垂直帰線
期間中に、該受光領域PDに隣接して個別的に対応する
垂直転送CCD群138の電荷結像素子Cに転送され
る。該電荷結合素子Cに転送された受光データは、他の
受光データと混合されることなく、水平帰線期間内に、
垂直転送CCD群138の各電荷結像素子Cを、垂直方
向Vの他方向きVbに向かって順次的に転送される。受
光データが該群138a〜138dの一方端部の電荷結
合素子Ca(1)〜Cd(1)に転送されると、次い
で、受光データはその電荷結合素子Ca(1)〜Cd
(1)に接続された水平転送CCD群52の電荷結合素
子Ce(1)〜Ce(4)に転送される。水平転送CC
D群52は、水平帰線期間と垂直帰線期間を除いた水平
走査期間中に、受光データを水平方向Hの他方向きHb
に向かって順次的に転送し、出力部53から前処理回路
35に出力する。
【0186】このような動作によって、撮像素子131
からは、受光データが個別的に導出される。単一回の撮
像において出力される原画像信号は、N×M個の受光デ
ータから構成される。
【0187】撮像素子131の受光領域PDおよび各C
CD群138,52は、たとえばシリコン基板上に一体
的に形成される。この受光領域PDとシリコン基板との
間には、オーバフロードレインが設けられる。撮像素子
131は、オーバフロードレインを用いた電子シャッタ
によって露光時間の制御を行うことができる。
【0188】本実施形態の撮像装置では、画像光の撮像
時の露光時間を、撮像素子131の電子シャッタと、機
械的なシャッタ機構141とを併用して制御する。
【0189】撮像装置の光学系33aには、集光レンズ
61,イメージシフト機構62、および可変空間フィル
タ90の他に、さらにシャッタ機構141が備えられ
る。シャッタ機構141は、上述の構成要素61,6
2,90および撮像素子131のうちの、間隔をあけて
隣接するいずれか2つの構成要素の間に介在される。シ
ャッタ機構141は、いわゆるレンズシャッタであり、
画像光の遮断および通過の切換えと、光学系33aの絞
りとを単一の機構で兼用する。
【0190】図18(a)は、シャッタ機構141の機
械的構成を示す斜視図である。図18(b)は、シャッ
タ機構141のシャッタ板143を光軸方向Zから見た
図である。2つの図を併せて説明する。
【0191】円板状のシャッタ板143は、画像光の光
軸64上に、その中心軸線が光軸64と一致するように
垂直に介在される。シャッタ板143の中央部には、画
像光を通過させる円形の開口部145が設けられる。シ
ャッタ板143は、複数のシャッタ羽根144、駆動ピ
ン146、検出板154を含む。
【0192】シャッタ羽根144は、シャッタ板143
の開口部145の内径を変化させて、シャッタ機構14
1の開口量を調整するために設けられる。シャッタ機構
141の開口量は、シャッタ板143のうちシャッタ羽
根144で塞がれていない開口部145の面積に対応す
る。シャッタ羽根144は、駆動ピン146の変位に応
じて、開口部145の内径を縮小する。
【0193】シャッタ機構141では、このシャッタ羽
根144を駆動して、開口部145を完全に塞ぐことに
よって、シャッタを閉塞し、画像光を遮断する。また、
シャッタ羽根144を閉塞時とは逆向きに駆動し、開口
部145の内径が予め定める長さとなったところで停止
させることによって、予め定める絞り量でシャッタ機構
141を開放する。また、この閉塞および開放動作を微
少量ずつ行うことで、シャッタ機構141の開放時の絞
り量を調整する。
【0194】駆動ピン146には、シャッタ機構141
の閉塞動作の動力源となるバネ149の一方端が接続さ
れる。このバネ146の他方端は、撮像装置のいずれか
の固定部材に固定される。また、駆動ピン146には、
光軸方向Zに貫通する溝150が設けられる。この溝1
50には、後述する駆動装置の動力源151によって駆
動される駆動軸152が挿通される。動力源147は、
たとえばモータで実現され、シャッタ羽根144の開閉
動作の速度制御に用いられる。
【0195】シャッタ羽根144は、駆動ピン146が
矢符147が示すシャッタ板143の円周方向に沿って
変位すると、開口部分145の面積を縮小または拡大す
るように変位する。バネ149は、駆動ピン146に対
し、シャッタ羽根144が開口部145を塞ぎ、シャッ
タ機構141が閉塞される向きに、常にバネ力を及ぼ
す。シャッタ機構141の開放および閉塞は、動力源1
51の駆動軸152の変位によって行われる。開放動作
時には、駆動軸152を駆動ピン146にバネ力が及ぼ
される向きと逆向きに駆動させることによって、バネ力
に逆らってシャッタ羽根144を開放する。閉塞動作時
には、バネ力が及ぼされる向きと同じ向きに駆動軸15
2を駆動させることによって、動力源151からの力と
バネ力との合力によってシャッタ羽根144を閉塞させ
る。この開放および閉塞動作は、後述する駆動装置によ
って制御される。
【0196】検出板154は、シャッタ機構141の開
口量を検出する為に用いられる。検出板154は、長手
方向が円弧状に弯曲した細長い板状部材であり、その一
方端部がシャッタ羽根144の駆動ピン146に連結さ
れ、シャッタ羽根144が変位駆動される時に連動して
動く。検出板154には、その長手方向に沿って形成さ
れ、光軸方向Zに貫通し、かつ一方端部から反対側の他
方端部に至るほど幅が狭くなる溝155が形成される。
【0197】この検出板154の溝155を挟んで、光
源157と受光センサ158とが、互いに対向して設置
される。光源157は常に予め定める光量の光を出力す
る。受光センサ158は、光源157からの光を、検出
板154の溝155を介して受光し、その受光量に応じ
てレベル変化する出力を導出する。受光センサ158が
受光する光の光量は、光源157と受光センサ158と
を結ぶ仮想線上の溝155の幅に比例して減少する。検
出板154は、駆動ピン146に連動して変位するの
で、その変位量はシャッタ機構141の開口量の変化に
対応する。シャッタ羽根144が絞られ開口量が減少す
るほど、仮想線上の溝155の幅が狭まり、光源157
からの光が検出板154に遮られるので、受光センサ1
58に入射する光の光量が減少する。
【0198】このシャッタ機構141は、通常モードで
は常に開放状態を保つ。このとき画像光の露光時間は、
電子シャッタの開放および閉塞動作だけで制御される。
【0199】高解像度モードでは、1回目の画像光の撮
像時の露光時間は電子シャッタによって規定される。2
回目の画像光の撮像時の露光時間は、シャッタ機構14
1によって規定される。この高解像度モードでは、1回
目の画像光の撮像時には、画像光は第1結像位置に結像
され、2回目の画像光の撮像時には、画像光は第2結像
位置に結像されるものとする。
【0200】図19は、高解像度モードの撮像装置にお
いて、画像光の撮像時の撮像装置の各構成要素の動作タ
イミングを示すタイミングチャートである。図19
(a)は、シャッタ機構141の開口量を示し、開口量
が最大レベルmaxであるときシャッタ機構141は開
放され、最小レベルminであるとき閉塞されることを
表す。図19(b)は、オーバフロードレインの開放お
よび閉塞状態の切換えタイミングを示し、ハイレベルで
あるとき該ドレインが閉塞され、ローレベルであるとき
開放されることを表す。オーバフロードレインの開放お
よび閉塞は、電子シャッタの閉塞および開放に対応す
る。図19(c)は、電荷読出しパルスの印加タイミン
グを示す。図19(d)は、撮像素子131の露光動作
の動作タイミングを示し、ハイレベルである時だけ、画
像光の露光が行われる。図19(e)は、イメージシフ
ト機構62の切換えタイミングを示し、ローレベルのと
き該機構62が第1状態を保ち、ハイレベルのとき第2
状態を保つことを表す。図19(f)は、撮像素子13
1の各CCD群の転送タイミングを示す。このタイミン
グチャートを用いて、本実施形態の高解像度モードの撮
像装置における画像光の撮像動作を以下に説明する。
【0201】画像光の撮像が行われていないとき、シャ
ッタ機構141は開放され、画像光が撮像素子131に
入射している。同時に、オーバフロードレインが開放さ
れて、電子シャッタが閉塞される。これによって、撮像
素子の受光領域PDでの電荷の蓄積が禁止される。
【0202】時刻taから、1回目の画像光の撮像動作
が開始される。まず、シャッタ機構141が開放された
まま、時刻taからオーバフロードレインが閉塞され
る。これによって、各受光領域PDで電荷の蓄積が許容
され、1回目の露光動作が開始される。
【0203】時刻taから、1回目の露光動作の露光時
間WT1が経過すると、時刻tbで撮像素子の各受光領
域PDに対して、電荷読出しパルスが印加される。該パ
ルスが印加されると、受光領域PDに蓄積された電荷
が、受光データとして、個別対応する垂直転送CCD群
138の電荷結合素子Cに転送される。この第1の転送
動作に要する時間はナノ秒(ns)のオーダである。該
パルス印加の直径に、オーバフロードレインが開放され
て電子シャッタが閉塞される。これによって1回目の露
光動作が終了する。以後、画像光は結像面に入射する
が、受光領域PDの電荷の蓄積が禁止される。
【0204】また、時刻tbから、イメージシフト機構
62のイメージシフト動作が開始される。時刻tbから
遷移時間WT2が経過すると、画像光の結像位置が第2
結像位置に移動する。この遷移時間WT2はミリ秒のオ
ーダであり、前述した第1の転送動作の時間と比較し
て、極めて長い。遷移時間WT2が経過すると、時刻t
cから2回目の画像光の撮像動作が開始される。
【0205】さらに、時刻tbでの受光データの転送が
終了すると、各CCD群138,52は、受光データを
外部の回路35に出力するための第2の転送動作を開始
する。この第2の転送動作のための転送時間WT3は遷
移時間WT2よりも長いので、第2の転送動作は、2回
目の画像光の撮像動作と並行して実施される。
【0206】2回目の撮像動作が開始されると、まず時
刻tcでオーバフロードレインが閉塞される。これによ
って、各受光領域PDで電荷の蓄積が許容され、2回目
の露光動作が開始される。ドレイン閉塞の後に、シャッ
タ機構141の閉塞動作が開始される。2回目の撮像動
作時の露光時間WT4は、第1および第2撮像動作時に
同一光量の画像光が撮像装置に入射されると仮定したと
き、露光時間WT4の全露光量が、1回目の撮像動作時
の露光時間WT1の全露光量と同量になるように設定さ
れる。このシャッタ機構141の詳細な閉塞動作は後述
する。
【0207】シャッタ機構141は、時刻tcから露光
時間WT4が経過した時刻tdで完全に閉塞され、結像
面に入射すべき画像光を遮断する。これによって、2回
目の露光動作が終了する。このときオーバフロードレイ
ンが閉塞されているので、露光時間内に蓄積した電荷
は、そのまま受光領域PD内に保持される。この終了時
刻tdには、まだ1回目の画像光撮像時の第2の転送動
作が終了していないので、各CCD群138,52は、
そのまま1回目の第2の転送動作を続ける。
【0208】1回目の第2の転送動作が終了すると、次
いで、2回目の画像光の撮像動作での受光データを、外
部の前処理回路35に導出する。具体的には、時刻te
で1回目の第2の転送動作が終了すると、まず各受光領
域PDに対して電荷読出しパルスが印加されて2回目の
第1の転送動作が行われ、続いて2回目の第2の転送動
作が行われる。第1の転送動作終了後であれば、任意の
時点でシャッタ機構141を開放することができる。2
回目の第2の転送動作でも、転送時間WT3内に全ての
受光データが外部に出力されるので、時刻teから転送
時間WT3経過後の時刻tfで、画像光の撮像動作を終
了する。
【0209】上述したシャッタ機構141の閉塞動作を
以下に詳細に説明する。
【0210】図20は、シャッタ機構141の駆動装置
の電気的構成を示すブロック図である。シャッタ機構1
41の駆動装置は、前述した動力源151,受光センサ
158の他に、目標値設定回路171、比較回路17
2、増幅回路173を含んで構成される。
【0211】シャッタ機構141の閉塞動作での開口量
の経時変化は、前述した1回目および2回目の撮像動作
での露光時間内の露光量が等しくなるように予め設定さ
れる。目標値設定回路171は、この開口量の経時変化
に対応してシャッタ羽根141を動作させるための基本
駆動パターン信号を生成して、比較回路172に与え
る。比較回路172には、さらに前述した受光センサ1
58からの出力信号が与えられる。比較回路172は、
基本駆動パターン信号と受光センサ158の出力信号と
の差分を演算して、増幅回路173に与える。増幅回路
173は、該差分を表す比較回路172の出力信号を、
予め定める増幅率で増幅して、動力源151の駆動信号
を生成する。動力源151は、この駆動信号に応答して
動作し、シャッタ機構141のシャッタ羽根144を駆
動する。このような手法によって、シャッタ機構141
は画像光を通過または遮断する。
【0212】上述の撮像装置の高解像度モードの撮像動
作の等価撮像時間について、以下に説明する。
【0213】第1実施形態で説明したように、等価撮像
時間は、単一の出力画像信号生成のための画像光の撮像
動作のうち、最初の画像光の撮像動作の露光開始から、
最後の画像光の撮像動作の露光終了までの時間である。
この時間が長いほど、出力画像の画質が被写体の動きお
よび装置の手ぶれの影響を受けやすくなり、画質が劣化
する。
【0214】図21は、従来技術の4ポジションイメー
ジシフトを行う画像撮像装置における高解像度モードの
等価撮像時間を説明するためのタイミングチャートであ
る。この撮像装置は、図17に示す全画素読出し型の撮
像素子131を有し、電子シャッタによって露光時間を
制御するものとする。この撮像装置の高解像度モードで
は、4つの原画像信号から、単一の出力画像信号を生成
するので、4回露光動作を行う。各露光動作が終了する
と、受光データの転送動作が行われる。2回目以後の露
光動作は、その終了タイミングが前回の撮像動作の第2
の転送動作の終了タイミング以後になるように行われ
る。これは、以下の理由からである。
【0215】電子シャッタの閉塞動作は、具体的には受
光素子PDから電荷結合素子Cへの電荷を転送し、その
直径にオーバフロードレインを閉塞する動作で実現され
る。ゆえに、2回目以後の撮像動作で電子シャッタを閉
塞するとき、その前の撮像動作時の受光データと新たな
受光データとが混合されないように、撮像素子131の
各CCD群138は、受光データの第2の転送動作を終
了して各電荷結合素子Cが新たな受光データを受けるこ
とができる状態にしておく。したがって、露光動作の終
了タイミングを、第2の転送動作の終了タイミング以後
に設定する。
【0216】このようなことから、従来技術の撮像装置
の等価撮像時間Tes0は、1回目の露光時間Tsと1
〜3回目の転送時間Ttとの和である。
【0217】 Tes0 = Ts+3・Tt …(19) 図22は、本実施形態の撮像装置において、電子シャッ
タだけの露光制御を行うときの、高解像度モードの等価
撮像時間を示すタイミングチャートである。1回目およ
び2回目の露光動作の終了タイミングを、電子シャッタ
だけで制御するとき、上述の従来技術の撮像装置と同様
の理由から、2回目の露光動作の終了タイミングを、1
回目の第2の転送動作終了後に設定する。したがって、
このときの等価撮像時間Tes1は、1回目の露光時間
Tsと1回目の転送時間Ttとの和である。
【0218】 Tes1 = Ts+Tt …(20) 図23は、本実施形態の撮像装置において、電子シャッ
タとシャッタ機構141とを併用して露光制御を行うと
きの、高解像度モードの等価撮像時間を示すタイミング
チャートである。シャッタ機構141は撮像素子131
の第2の転送動作とは無関係に画像光を遮断するので、
このときには、上述の例と異なり、2回目の露光動作の
動作タイミングと1回目の第2の転送動作の動作タイミ
ングとが無関係になる。ゆえに、2回目の露光動作は、
イメージシフト機構62の遷移動作終了後であればいつ
でも実施できる。したがって、このときの等価撮像時間
Tes2は、1回目および2回目の露光時間が等しいと
仮定すると、1回目および2回目の露光時間Tsと遷移
時間Tdとの和である。
【0219】 Tes2 = 2・Ts+Td …(21) 表1は、転送時間Ttが(1/30)秒、露光時間Ts
が(1/240)秒、および遷移時間Tdが(1/24
0)秒または(1/480)秒であるときの、高解像度
モードの等価露光時間Tes0,Tes1,Tes2を
示す。
【0220】
【表1】
【0221】上述の表から、遷移時間Tdが(1/24
0)秒のとき、本実施形態の撮像装置の電子シャッタだ
けの等価撮像時間Tes1は、従来技術の等価撮像時間
Tes0の約1/3に短縮される。またシャッタ併用の
等価撮像時間Tes2は、等価撮像時間Tes0の約1
/8に短縮される。さらに遷移時間Tdが(1/48
0)秒に短縮されると、シャッタ併用の等価撮像時間T
es2はさらに短縮されて、等価撮像時間Tes0の約
1/12になる。これによって、本実施形態の撮像装置
でシャッタを併用するとき、従来技術の撮像装置と比較
して、高解像度モードの等価撮像時間が大きく短縮され
ることがわかる。したがって、本実施形態の撮像装置を
用いると、被写体の移動および手ぶれの影響が少ない第
2出力画像を得ることができる。
【0222】また、上述の第1実施形態の撮像装置31
の高解像度モードの等価撮像時間Tes3は、図24か
ら、1回目の第1フィールドの露光時間Tsと1回目の
第2フィールドならびに2回目の第1および第2フィー
ルドの転送時間Tt*との和であることがわかる。
【0223】 Tes3 = Ts+3・Tt* …(22) この撮像装置31にシャッタ機構141をさらに備えさ
せ、電子シャッタと併用させたとき、その高解像度モー
ドの等価撮像時間Tes4は、図25から、1回目の第
1フィールドおよび2回目の第2フィールドの露光時間
Tsと、1回目の第1フィールドおよび1回目の第2フ
ィールドの転送時間Tt*と、2回目の遷移時間Tdと
の和である。この等価撮像時間Tes4は、第1実施形
態の等価撮像時間Tes3よりも短縮されていることが
わかる。
【0224】 Tes4 = 2・Ts+2・Tt*+Td …(23) なお、フィールドの転送時間Tt*は、上述のフレーム
の転送時間Ttの半分である。
【0225】色フィルタは、前述の撮像素子131の光
入射側に取付けられる。該色フィルタは、撮像素子13
1の受光領域PDと同数の透光領域Lを有し、該透光領
域Lを2次元平面上に受光領域PDと等価な配列で並べ
て形成される。ゆえに、透光領域Lの数はM×N個であ
ってM行N列の行列状に配列され、透光領域Lの水平お
よび垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,
PVである。各透光領域Lは、それぞれ画像光を色分解
して、予め定める第1〜第4色彩光のいずれか1つだけ
を通過させる。第1〜第4色彩光は、補色系の黄、マゼ
ンタ、緑、シアンの4色である。
【0226】図26は、上述の色フィルタの透光領域L
の色配列の基本配列パターン181を示す図である。こ
の基本配列パターン181は、4行2列に配列される8
つの透光領域Lからなり、同種の透光領域Lを2つずつ
含む。この基本配列パターン181において、透光領域
L(1,1),L(3,2)は、黄の色彩光を通過させ
る黄の透光領域Lである。透光領域L(2,1),L
(4,2)は、マゼンタの透光領域Lである。透光領域
L(3,1),L(1,2)は、シアンの透光領域Lで
ある。透光領域L(4,1),L(2,2)は、緑の透
光領域Lである。
【0227】上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮
像動作を以下に説明する。このときの撮像装置の各構成
要素の挙動は、第1実施形態の撮像装置31の通常モー
ドでの挙動と類似し、同一の動作に関する詳細な説明は
省略する。
【0228】通常モードで画像光を撮像するとき、光学
系33aのイメージシフト機構62および可変空間フィ
ルタ90は、予め定める第1状態に固定される。また、
シャッタ機構141は開放される。画像光は、この光学
系33aを介して入射され、第1結像位置に結像され
る。撮像素子131は、画像光を撮像して、原画像信号
を出力する。原画像信号は、前処理回路35で処理され
た後にデジタル信号に変換されて、画像メモリ37に個
別的にストアされる。
【0229】この原画像信号の画素Dの配列および各画
素Dと受光データとの対応関係は、色フィルタの透光領
域Lの画素配列および色配列と等価である。すなわち、
原画像の画素Dの基本配列パターンは、図26の透光領
域Lの色配列の基本配列パターン181と等しく、4行
2列に配列された8個の画素Dから成り、各画素Dはパ
ターン181内で対応する透光領域Lを通過する色彩光
の受光データだけを有する。
【0230】信号処理回路44は、単一の原画像信号か
ら、第1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信
号を求める。たとえば第6行第2列の画素D(6,2)
の輝度データY(6,2)、色差データ(R−Y)
(6,2),(B−Y)(6,2)は、以下の式で示さ
れる。画素D(6,2)は、緑の受光データだけの対応
画素である。
【0231】
【数7】
【0232】これら各信号のデータY、(R−Y),
(B−Y)は、各画素D毎に個別的に直接求めることが
できる。ゆえに、原画像の対応画素は、全て輝度データ
および2種類の色差データの実画素となるので、第1出
力画像の実画素の数および配列は、原画像の対応画素の
数および配列と等しい。
【0233】原画像の全ての対応画素の配列は、透光領
域Lの配列と等価であるので、該配列の水平、垂直、お
よび斜め方向H,V,Uの配列周期は、図26からそれ
ぞれ周期PH,PV,PUとわかる。このことから、こ
の第1出力画像信号の輝度信号の水平、垂直、および斜
め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、それぞれ空
間周波数fH,fV,fuとみなされる。また、同一種
類の対応画素だけの配列は、透光領域Lの色配列と等価
であるので、該配列の水平および垂直方向H,Vの配列
周期は、図26から、それぞれ周期PH,2PVとわか
る。このことから、色差信号の水平および垂直方向H,
Vのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数fH,
fV/2とみなされる。
【0234】図27は、上述した第1出力画像信号の輝
度の基底帯域182、および色差信号のモアレのキャリ
ア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の
基底帯域182の水平、垂直および斜め方向H,V,U
の空間周波数軸上の範囲は、第1実施形態の撮像装置3
1の第1出力画像信号の輝度の基底帯域111の各範囲
と等しい。
【0235】 (−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14) (−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域18
2は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0236】(−fH/2,0) ( fH/2,0) (−fH/2,fV/2) ( fH/2,fV/2) この基底帯域182内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の3箇所に存在する。
【0237】(−fH/2,fV/4) ( 0,fV/2) ( fH/2,fV/4) この3箇所のキャリア周波数は、全て黄、シアン、マゼ
ンタおよび緑の受光データの対応画素の配列周期から得
られる。
【0238】全画素読出し型の撮像素子131を用いる
本実施形態の撮像装置の第1出力画像信号と、2画素混
合読出し型の撮像素子34を用いる第1実施形態の撮像
装置31の第1出力画像信号とを、この空間周波数平面
図を用いて比較する。本実施形態の第1出力画像信号
は、第1実施形態の該信号と比較して、基底帯域182
の大きさおよび形状は等しいが、水平方向Hの空間周波
数軸上にモアレのキャリア周波数が存在しない。したが
って、水平方向Hの空間周波数成分を減衰させることな
く、空間周波数±fH/2まで保つことができるので、
第1実施形態の第1出力画像と比較して水平方向Hの解
像度を向上させることができる。
【0239】また、第1実施形態の第1出力画像信号に
現れるモアレのキャリア周波数のうち、(0,fV/
4),(fH/2,0),(−fH/2,0),(fH
/2,fV/2),(−fH/2,fV/2)が消えて
いるので、これらを中心周波数とする折返し成分に起因
する色モアレが消滅する。したがって、色モアレが少な
くなり、画像の画質が向上する。
【0240】上述の撮像装置の高解像度モードの画像光
の撮像動作を以下に説明する。このときの撮像装置の各
構成要素の挙動は、第1実施形態の撮像装置61の高解
像度モードでの挙動と類似し、同一の動作に関する詳細
な説明は省略する。
【0241】画像光を撮像するとき、可変空間フィルタ
90は、予め定める第2状態に固定される。イメージシ
フト機構62は、画像光の結像位置を、水平方向に長さ
PHだけ離れた前述の第1および第2結像位置Qa1,
Qb1に移動させる。撮像素子131は、この光学系3
3aを介して入射した画像光を、図19に示す手順で撮
像して、第1および第2原画像信号を出力する。各原画
像信号は、前処理回路35で処理された後にデジタル信
号に変換されて、画像メモリ37に関連してストアされ
る。
【0242】信号処理回路44は、まず第1および第2
原画像信号を撮像時の結像位置の移動方向とは逆向きに
同じシフト長さだけずらして重ね合わせて、合成画像信
号を生成する。この合成手法は第1実施形態と等しい。
この合成画像の各対応画素には、2種類の色彩光の受光
データが対応する。合成画像の対応画素数および配列
は、原画像の対応画素数および配列と等しく、その水平
および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期P
H,PVである。
【0243】図28は、上述した合成画像の等価的な画
素Dの配列基本配列パターン183を示す図である。こ
の基本配列パターン183は、8行2列に配列される8
個の画素Dからなる。画素D(1,1),D(1,
2),D(3,1),D(3,2)には黄およびシアン
の受光データがそれぞれ対応する。画素D(2,1),
D(2,2),D(4,1),D(4,2)には、緑お
よびマゼンタの受光データがそれぞれ対応する。
【0244】次いで、信号処理回路44は、この基本配
列パターン183の合成画像信号から、第2出力画像信
号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。たとえ
ば第6行第2列の画素D(6,2)の輝度データY
(6,2)、色差データ(R−Y)(6,2),(B−
Y)(6,2)は、以下の式で示される。画素D(6,
2)は、緑およびマゼンタの受光データの対応画素であ
る。
【0245】
【数8】
【0246】これら各信号のデータY、(R−Y),
(B−Y)は、各画素D毎に個別的に直接求めることが
できる。ゆえに、原画像の対応画素は、全て輝度データ
の実画素となるので、第2出力画像の輝度データの実画
素の数および配列は、原画像の対応画素の数および配列
と等しい。
【0247】図29は、上述した第2出力画像信号の輝
度の基底帯域184、および色差信号のモアレのキャリ
ア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の
基底帯域184の水平、垂直および斜め方向H,V,U
の空間周波数軸上の範囲は、上述した第1出力画像信号
の輝度の基底帯域182の各範囲と等しい。
【0248】 (−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14) (−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域18
4は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0249】(−fH/2,0) ( fH/2,0) (−fH/2,fV/2) ( fH/2,fV/2) この基底帯域184内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の1箇所だけに存在する。
【0250】( 0,fV/2) 図27および図29の第1および第2出力画像信号の輝
度の基底帯域182,184を比較すると、その大きさ
および形状は変化していないが、基底帯域184では垂
直方向Vの空間周波数軸上の(0,fV/2)以外のモ
アレのキャリア周波数が全て消滅している。これによっ
て、フィルタ制限後の基底帯域184の水平方向Hの空
間周波数軸上の実質の幅は、空間周波数±fH/2以下
の基底帯域184の範囲全域まで拡大される。また、垂
直方向Vの実質の幅が、空間周波数±fV/2近傍まで
拡大される。これによって、第1出力画像と比較して、
第2出力画像の水平および垂直解像度が向上する。
【0251】本発明の第3実施形態の撮像装置を以下に
説明する。本実施形態の撮像装置の光学系および色フィ
ルタ以外の構成要素は、第2実施形態の撮像装置と等し
く、同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明は省
略する。本実施形態の撮像装置は、全画素読出し型の撮
像素子131を用い、通常モードおよび高解像度モード
で画像光を撮像し、異なる解像度の第1および第2出力
画像信号を得る。
【0252】撮像装置の光学系のうち、イメージシフト
機構62および可変空間フィルタ90の内部構造は等し
いが、その設置状態が異なる。機構62については後述
する。フィルタ90は、複屈折板91の分離ベクトルB
1が、水平方向Hと平行になるように設置される。これ
によって、第2状態のフィルタ90は、水平方向Hの空
間周波数成分のうち、空間周波数±fH/2の成分の振
幅を減衰させる。
【0253】色フィルタは、その設置場所、通過可能な
色彩光の組合せ、ならびに透光領域Lの数および配列が
第2実施形態の色フィルタと等しく、色配列だけが異な
る。ゆえに、第1〜第4色彩光は、補色系の黄、マゼン
タ、緑、シアンの4色である。透光領域Lの水平および
垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PV
である。
【0254】図30は、上述の色フィルタの透光領域L
の色配列の基本配列パターン186を示す図である。こ
の基本配列パターン186は、2行4列に配列される8
つの透光領域Lからなり、同種の透光領域Lを2つずつ
含む。この基本配列パターン186において、透光領域
L(1,1),L(2,3)は、黄の色彩光を通過させ
る黄の透光領域Lである。透光領域L(1,2),L
(2,4)は、マゼンタの透光領域Lである。透光領域
L(1,3),L(2,1)は、シアンの透光領域Lで
ある。透光領域L(1,4),L(2,2)は、緑の透
光領域Lである。この基本配列パターン186は、水平
および垂直方向H,Vの配列周期を保ったまま、第2実
施形態の撮像装置の色フィルタの基本配列パターン18
1の透光領域Lの色配列だけを水平および垂直方向H,
Vに対して入換えた配列である。
【0255】撮像素子131は、この色フィルタを介し
て結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力す
る。原画像信号の画素の配列および各画素と受光データ
との対応関係は、この色フィルタの透光領域Lの配列お
よび色配列と等価であり、各対応画素は単一の色彩光の
受光データだけを有する。
【0256】通常モードの画像光の撮像動作は、第2実
施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学
系、撮像素子34、回路35,36、および画像メモリ
37の挙動は、第2実施形態と等しい。信号処理回路4
4は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度
信号および2種類の色差信号を求める。このときの算出
式は、上述の式(24)〜式(26)と類似であり、各
受光データの属する画素の行列番号を行および列に関し
て入換えた点だけが異なる。
【0257】このようにして得られた第1出力画像信号
の輝度の基底帯域は、図27の基底帯域182を第1斜
め方向Uxの空間周波数軸を基準軸とする線対称な図形
である。この基底帯域内に現れる色差信号のモアレのキ
ャリア周波数もまた、第1斜め方向Uxの空間周波数軸
を基準軸として、図27のモアレのキャリア周波数の位
置と線対称の位置に現れる。したがって、これら基底帯
域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面
図は、図27の空間周波数平面図の水平および垂直方向
H,Vの空間周波数だけを入換えた図と等しい。この理
由を以下に説明する。
【0258】前述したように、空間周波数平面図に現さ
れる空間周波数成分のうち、任意の空間周波数(fh,
fv)と空間周波数(−fh,−fv)との成分は、共
役関係にある。
【0259】 F(fh,fv)=F(−fh,−fv)* …(12) 上式に基づいて、空間周波数fvの範囲が0以上である
第1およ第2象限に関して、空間周波数fh,fvを入
換えた場合を考えると、入換え後の空間周波数成分Fa
(fh,fv)には、以下の関係がある。
【0260】 Fa(fh,fv)=Fa(−fh,−fv)* =F(fv,fh) =F(−fv,−fh)* …(30) この関係から、該実施形態の空間周波数平面図は、図2
7の空間周波数軸を入れ換えた図と等しくなる。
【0261】この図から、水平方向Hの空間周波数軸上
の基底帯域の境界線上に、モアレのキャリア周波数があ
ることがわかる。したがって、第1出力画像信号の水平
方向Hの空間周波数成分は、空間周波数±fH/2未満
に制限される。また、垂直方向Vの空間周波数軸上の基
底帯域の内部(±fH/4,fV/2)にモアレのキャ
リア周波数があり、これを中心周波数とする色モアレ縞
が現れる。
【0262】高解像度モードの画像光の撮像動作は、第
2実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似
し、光学系、撮像素子34、回路35,36、および画
像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。このと
き、第1および第2結像位置は、垂直方向Vに沿って、
受光領域PDの配列周期の長さPVだけ離れる位置関係
を保つ。イメージシフト機構62の屈折板71の仮想基
準軸線、および第2状態の屈折板71の傾斜角度は、こ
の位置関係に応じて画像光の光軸を平行移動させること
ができるように、第2実施形態の設置状態と比較して、
各部材の水平および垂直方向H,Vを入換えて設置され
る。信号処理回路44は、2つの原画像信号から、第2
出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求め
る。このとき、合成画像の生成手法は第2実施形態の手
法と等しい。また、算出式は、上述の式(27)〜式
(29)と類似であり、各受光データの属する画素Dの
行列番号を行および列に関して入換えた点だけが異な
る。
【0263】この第2出力画像信号の輝度の基底帯域
は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図29
の基底帯域184の線対称の図形である。この基底帯域
内に現れる色差信号のモアレのキャリア周波数もまた、
該空間周波数軸に対して、図29のモアレのキャリア周
波数の位置と線対称の位置に現れる。したがって、これ
ら基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周
波数平面図は、図29の空間周波数平面図の水平および
垂直方向H,Vの空間周波数軸だけを入換えた図と等し
い。
【0264】この図から、第1および第2出力画像信号
の輝度の基底帯域は等しいことが分かる。また、垂直方
向Vの空間周波数軸上の色差信号のモアレのキャリア周
波数が消えるので、これを中心周波数とする色モアレが
消滅する。これによって、第2出力画像信号は、第1出
力画像信号よりも垂直方向Vの解像度が向上し、また画
像の画質が向上する。
【0265】本発明の第4実施形態の撮像装置を以下に
説明する。本実施形態の撮像装置の光学系および色フィ
ルタ以外の構成要素は、第1実施形態の撮像装置と等し
く、同一の構成要素には、同一の符号を付し、説明は省
略する。本実施形態の撮像装置は、2画素混合読出し型
の撮像素子34を用い、通常モードおよび高解像度モー
ドで画像光を撮像して、異なる解像度の第1および第2
出力画像信号を得る。
【0266】光学系は、第1実施形態の光学系33と類
似の構成を有し、以下の点だけが異なる。まず、イメー
ジシフト機構62の設置状態は、後述する第1および第
2結像位置に合わせて変更される。また、可変空間フィ
ルタ90に代わって、後述する可変空間フィルタ201
が設置される。該フィルタ201の詳細は後述する。
【0267】色フィルタは、設置場所、透光領域Lの数
および配列が、第1実施形態の色フィルタと等しく、色
彩光の組合せおよび色配列が異なる。この色フィルタ
は、各透光領域L毎に、通過可能な第1〜第3色彩光の
いずれか1つを通過させる。第1〜第3色彩光は、原色
系の赤、青、および緑の3色である。透光領域Lの水平
および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期P
H,PVである。
【0268】図31は、上述した色フィルタの透光領域
Lの色配列の基本配列パターン191を示す図である。
この基本配列パターン191は、2行3列に配列される
6つの透光領域Lからなり、同種の透光領域Lを2つず
つ含む。この基本配列パターン186において、透光領
域L(1,1),L(2,1)は、赤の色彩光を通過さ
せる赤の透光領域Lである。透光領域L(1,2),L
(2,2)は、緑の透光領域Lである。透光領域L
(1,3),L(2,3)は、青の透光領域Lである。
この色フィルタは、同種の色彩光の透光領域Lが垂直方
向Vに沿って並ぶので、各列の透光領域Lは、同種の色
彩光だけを通過させる。
【0269】撮像素子34は、この色フィルタを介して
結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。
原画像信号の画素の配列は、この色フィルタの透光領域
Lの配列と等価である。また、前述した色フィルタの色
配列から、各列を構成する受光領域PDが同種類の色彩
光を受光することが分かる。このことから、垂直転送C
CD群51の各電荷結合素子Cでは、同種の色彩光の受
光データが2つ混合されて、混合データが生成される。
したがって、この混合データは単一の色彩光の受光量を
表す。これらのことから、原画像信号の画素と混合デー
タとの対応関係は、図31の色フィルタの色配列と等価
であることがわかる。
【0270】可変空間フィルタ200について、以下に
説明する。可変空間フィルタ200は、光学系内の任意
の位置に設置される。該フィルタ200は、本実施形態
の撮像装置の通常および高解像度モードに応じて、第1
および第2状態に切換えられ、各モードに応じた減衰量
で、画像光の空間周波数成分の振幅を減衰させる。可変
空間フィルタ200は、第1実施形態の可変空間フィル
タ90と類似の構造を有する。
【0271】図32は、可変空間フィルタ200の具体
的な構成を示す斜視図である。該フィルタ200は、3
枚の複屈折板201〜203が、画像光の光軸64上
に、光入射側からこの順で配列されて形成される。複屈
折板201〜203はたとえば水晶板で実現され、光入
射側の画像光の光軸64とそれぞれ直交する入射面およ
び射出面を有する。また、屈折板203は、光軸64と
一致した仮想回転中心軸線を中心として回転可能であ
り、第1および第2状態が切換えられると同時に90度
だけ角変位するように回転駆動される。
【0272】図33は、フィルタ200が第1状態にあ
るときの各複屈折板201〜203の分離ベクトルB4
〜B6を示す図である。この分離ベクトルB4〜B6
は、前述した単位ベクトルi,j,kによって、以下の
式で規定される。
【0273】
【数9】
【0274】上式から、複屈折板201〜203の分離
ベクトルB4〜B6の向きは、それぞれ、反時計まわり
に水平方向Hと0度,−45度,−135度を成す向き
であることが分かる。また、これら複屈折板201〜2
03の異常光の分離長さは、それぞれ以下のとおりであ
る。
【0275】
【数10】
【0276】この複屈折板201〜203内の常光およ
び異常光の挙動は、分離ベクトルの向きおよび異常光の
分離長さを除いて可変空間フィルタ90の複屈折板91
〜93での挙動と等しい。
【0277】上述した可変空間フィルタ200が第1状
態にあるとき、複屈折板203は、分離ベクトルが図3
3(c)に示す状態に保たれる。このとき、フィルタ2
00を通過する画像光の挙動を、図34を用いて、以下
に説明する。
【0278】図34(a)〜図34(c)は、第1状態
の可変空間フィルタ200において、画像光の常光およ
び異常光が複屈折板201〜203を通過した位置をそ
れぞれ示す仮想結像面を示す図である。この仮想結像面
の設定は格子の軸線の間隔を除いて図9の仮想結像面と
等しく、これと同等に取扱う。また、各仮想結像面上に
描かれる格子の軸線は、水平および垂直方向H,Vに、
それぞれ間隔3PH/4、3PH/4で配列される。
【0279】第1状態の可変空間フィルタ200におい
て、フィルタ入射前の画像光と仮想結像面との光軸の交
点を座標(3,2)とする。この画像光は、複屈折板2
01に入射して、複屈折板201に対する常光と異常光
とに分離される。該常光の射出側の光軸の交点は、座標
(3,2)である。また、異常光の射出側の光軸は、入
射側の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB4と同じ
向きに同じ長さだけ移動しており、その光軸の交点は座
標(3,3)である。
【0280】この1対の常光および異常光は、それぞれ
同一の座標から複屈折板202に入射し、それぞれ該複
屈折板202に対する常光および異常光に分離される。
複屈折板201の常光および異常光のうち、複屈折板2
02に対する常光は、そのまま複屈折板201を通過す
るので、その光軸の交点は座標(3,2),(3,3)
である。また、複屈折板201の常光および異常光の複
屈折板202に対する異常光の光軸は、それぞれ座標
(3,2),(3,3)の光軸の延長線からみて、分離
ベクトルB5と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、
その光軸の交点は、それぞれ座標(4,3),(4,
4)である。
【0281】この2対の常光および異常光は、同一の座
標から複屈折板203に入射する。複屈折板202,2
03の分離ベクトルB5,B6は相互に直交するので、
複屈折板202の常光および異常光は、それぞれ複屈折
板203に対する異常光および常光になる。したがっ
て、座標(3,2),(3,3)の複屈折板202の常
光は、複屈折板203の異常光となる。これによって、
該複屈折板203の異常光の光軸は、座標(3,2),
(3,3)の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB6
と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その交点はそ
れぞれ座標(4,1),(4,2)である。また同様
に、座標(4,3),(4,4)の複屈折板202の異
常光は、複屈折板203の常光となるので、そのまま複
屈折板203を通過する。ゆえに、これら複屈折板20
3の常光の光軸の交点はそれぞれ座標(4,3),
(4,4)である。
【0282】このように、複屈折板201〜203を順
次的に通過した画像光は2対の常光および異常光に分離
される。これら常光および異常光の各対の光軸と仮想結
像面との交点、すなわち、白丸と黒丸との記号で表され
る対、および白四角と黒四角との記号で表される対の交
点は、水平方向Hに平行に、間隔3PH/2だけそれぞ
れ離れる。また、白丸と白四角との記号で表される常光
の交点の対、および黒丸と黒四角との記号で表される異
常光の交点の対は、水平方向Hに平行に、間隔3PH/
4だけそれぞれ離れる。このように分離された画像光に
ついて、第1減衰量を表す伝達関数を求めると、画像光
の空間周波数成分のうち、水平方向Hに関して、空間周
波数±fH/3,±2fH/3の成分のレスポンスがな
くなるように、該空間周波数の成分の振幅が減衰される
ことがわかる。
【0283】また、上述した可変空間フィルタ200が
第2状態にあるとき、複屈折板203は、第1状態から
90度角変位され、分離ベクトルB6aが図35に示す
状態に保たれる。この分離ベクトルB6aは、前述した
単位ベクトルi,jを用いて、以下のように表される。
【0284】
【数11】
【0285】分離ベクトルB6aの向きは、水平方向H
と反時計まわりで135度を成す向きである。
【0286】このとき、フィルタ200を通過する画像
光の挙動を、図34(a),(b)および図36の仮想
結像面を用いて、以下に説明する。図36の仮想結像面
は、画像光の光軸の交点の位置を除いて、図34(c)
の仮想結像面と等しく、同様に取扱う。
【0287】第2状態の可変空間フィルタ200におい
て、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交
点を座標(3,2)とする。この画像光が、複屈折板2
01,202を通過するときの挙動は、第1状態のとき
と等しいので、説明は省略する。
【0288】複屈折板203には、複屈折板202に対
する座標(3,2),(3,3)の常光、および座標
(4,3),(4,4)の異常光が、この同一の座標か
ら入射する。
【0289】複屈折板202,203の分離ベクトルB
5,B6aは相互に平行であり、向きだけが相反する。
したがって、複屈折板202の常光および異常光は、そ
のまま複屈折板203に対する常光および異常光にな
る。したがって、座標(3,2),(3,3)の複屈折
板202の常光は、複屈折板203の常光となるので、
そのまま複屈折板203を通過する。ゆえに、これら複
屈折板の常光の光軸の交点は、座標(3,2),(3,
3)である。また、座標(4,3),(4,4)の複屈
折板202の異常光は、複屈折板203の異常光とな
る。これによって、該複屈折板203の異常光の光軸
は、座標(4,3),(4,4)の光軸の延長線からみ
て、分離ベクトルB6aと同じ向きに同じ長さだけ移動
しており、その交点はそれぞれ座標(3,2),(3,
3)である。
【0290】このように、複屈折板202,203の分
離ベクトルB5,B6aが平行で向きが相反するとき、
複屈折板202に対する常光および異常光の光軸の交点
が、複屈折板203通過後に一致する。これによって、
複屈折板202,203での光の分離効果が打消され
る。したがって、複屈折板203通過後の画像光の分離
状態は、複屈折板201通過直後の状態に戻る。
【0291】このように複屈折板201〜203を順次
的に通過した画像光は、1対の常光および異常光に分離
される。この常光および異常光の光軸と仮想結像面との
交点は、水平方向Hに平行に、間隔3PH/4だけ離れ
る。このように分離された画像光に関して、第2減衰量
を表す伝達関数を求めると、画像光の空間周波数成分の
うち、空間周波数±2fH/3の成分のレスポンスだけ
がなくなるように、該空間周波数成分の振幅が減衰され
ることが分かる。この第2減衰量と通常モードの第1減
衰量とを比較すると、水平方向Hに関する空間周波数成
分のレスポンスがなくなる空間周波数軸上の位置と軸の
原点との距離が2倍になることが分かる。
【0292】このような構造の撮像装置の通常モードお
よび高解像度モードの撮像動作を以下に説明する。
【0293】通常モードの画像光の撮像動作は、第1実
施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学
系、撮像素子34、回路35,36、および画像メモリ
37の挙動は、第1実施形態と等しい。信号処理回路4
4は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度
信号および2種類の色差信号を求める。たとえば第1行
第5列の画素D(1,5)の輝度データY(1,5)、
色差データ(R−Y)(1,5),(B−Y)(1,
5)は、以下の式で示される。画素D(1,5)は、緑
の混合データだけの対応画素である。
【0294】
【数12】
【0295】これの輝度データYは、各画素D毎に個別
的に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画
素は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画
像信号の輝度信号の実画素の数および配列は、原画像の
対応画素の数および配列と等しい。
【0296】原画像の全ての対応画素の配列の水平、垂
直、および斜め方向H,V,Uの配列周期は、図31か
らそれぞれ周期PH,PV,PUとわかる。このことか
ら、この第1出力画像信号の輝度信号の水平、垂直、お
よび斜め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、それ
ぞれ空間周波数fH,fV,fuとみなされる。また、
同一種類の対応画素だけの配列の水平および垂直方向
H,Vの配列周期は、図31から、それぞれ周期3P
H,PVとわかる。このことから、色差信号の水平およ
び垂直方向H,Vのサンプリング周波数は、それぞれ空
間周波数fH/3,fVとみなされる。
【0297】図37は、上述した第1出力画像信号の輝
度の基底帯域192、および色差信号のモアレのキャリ
ア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の
基底帯域192の水平、垂直および斜め方向H,V,U
の空間周波数軸上の範囲は、第1実施形態の撮像装置3
1の第1出力画像信号の輝度の基底帯域111の各範囲
と等しい。
【0298】 (−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14) (−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域19
2は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0299】(−fH/2,0) ( fH/2,0) (−fH/2,fV/2) ( fH/2,fV/2) この基底帯域192内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0300】(−fH/3,0) ( fH/3,0) 上述した第1状態の可変空間フィルタ200の第1減衰
量は、基底帯域192のうち、空間周波数±fH/3近
傍の空間周波数成分を減衰させるように定められる。こ
れによって、基底帯域192の水平方向Hの所望信号成
分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±fH/3の部分
で0になるように制限される。このため、基底帯域19
2の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅が空間周波
数±fH/3未満に縮小されるので、第1出力画像の水
平方向Hの実質の解像度は、その分だけ基底帯域192
から推測される理想の解像度よりも低下する。
【0301】高解像度モードの画像光の撮像動作は、第
1実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似
し、光学系、撮像素子34、回路35,36、および画
像メモリ37の挙動は、第1実施形態と等しい。このと
き、イメージシフト機構62は、画像光の結像位置を、
以下の2箇所に移動させる。
【0302】図38は、上述した高解像度モードの画像
光の撮像動作における第1および第2結像位置の位置関
係を示す図である。第1結像位置Qa4を基準とする
と、第2結像位置Qb4は、水平方向Hに受光領域PD
の配列周期の長さ3PH/2だけ、かつ垂直方向Vに該
配列周期の長さPV/2だけ離れる。イメージシフト機
構62の仮想基準軸線の設置状態、および第2状態の屈
折板71の傾斜角度は、これら結像位置がこの位置関係
をなすように定められる。
【0303】信号合成回路44は、まず、第1実施形態
と同じ手法で第1および第2原画像信号から合成画像信
号を生成する。この合成画像は、2M行2N列に配列さ
れる2M×2N個の画素Dからなり、これら画素Dのう
ち、半数の画素が対応画素であり、残余の画素が混合デ
ータが対応しない仮想画素である。合成画像の水平およ
び垂直方向H,Vの画素の配列周期は、それぞれ周期P
H/2,PV/2である。
【0304】図39は、上述の合成画像信号が表す合成
画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン193
を示す図である。以後、画素の基本配列パターンを表す
図では、仮想画素を破線の矩形領域で表す。この基本配
列パターン193は、2行6列に配列される12個の画
素からなる。画素D(1,1),D(2,4)は、赤の
混合データの対応画素である。画素D(1,3),D
(2,6)は、緑の混合データの対応画素である。画素
D(1,5),D(2,2)は、青の混合データの対応
画素である。上述以外の残余の画素Dは、全て仮想画素
である。このことから、合成画像では、実画素が市松状
に配列されることがわかる。
【0305】信号処理回路44は、この合成画像信号か
ら、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信
号を求める。たとえば第2行第6列の画素D(2,6)
の輝度データY(2,6)、色差データ(R−Y)
(2,6),(B−Y)(2,6)は、以下の式で示さ
れる。画素D(2,6)は、緑の混合データだけの対応
画素である。
【0306】
【数13】
【0307】これの輝度データYは、合成画像の各対応
画素だけ個別的に直接求めることができる。仮想画素の
輝度データは、周囲の対応画素の算出結果から補間す
る。ゆえに、合成画像の対応画素は、全て輝度データの
実画素となるので、第1出力画像の輝度信号の実画素の
数および配列は、合成画像の対応画素の数および配列と
等しく市松状に配列される。
【0308】合成画像の全ての対応画素の配列の水平、
垂直、および斜め方向H,V,Uの配列周期は、図39
からそれぞれ周期PH/2,PV/2,PUとわかる。
このことから、この第2出力画像信号の輝度信号の水
平、垂直、および斜め方向H,V,Uのサンプリング周
波数は、それぞれ空間周波数2fH,2fV,fuとみ
なされる。また、同一種類の対応画素だけの配列の水平
および垂直方向H,Vの配列周期は、図39から、それ
ぞれ周期3PH/2,PV/2とわかる。このことか
ら、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリン
グ周波数は、それぞれ空間周波数2fH/3,2fVと
みなされる。
【0309】図40は、上述の第2出力画像信号の輝度
の基底帯域194、および色差信号のモアレのキャリア
周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基
底帯域194の水平および垂直方向H,Vの空間周波数
軸上の範囲は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域19
2の各範囲の2倍に拡大される。また斜め方向Uの空間
周波数軸上の範囲は、第1出力画像信号の範囲と等し
い。これら基底帯域194の各範囲は、以下の式で表さ
れる。
【0310】 −fH≦f≦fH …(41) −fV≦f≦fV …(42) (−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域19
4は、以下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0311】(−fH, 0) ( fH, 0) ( 0,fV) この基底帯域194内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0312】(−2fH/3,0) ( 2fH/3,0) さらに、基底帯域194近傍の以下の2箇所にも、色差
信号のモアレのキャリア周波数がある。
【0313】(−fH/3,fV) ( fH/3,fV) 前述の光学系は、上述の構造の撮像装置に併せて各構成
要素を設計すると、空間周波数±fH、±fV付近では
画像光の空間周波数成分が減衰しているような空間周波
数特性(MTF;Modulation Transfer Function)を有
する。したがって、基底帯域194近傍の上述のキャリ
ア周波数を中心周波数とする色差信号の折返し成分は、
光学系の空間周波数特性、および撮像素子34のアパー
チャ効果によって、充分に減衰されるので、第2出力画
像信号の輝度信号の所望信号成分にはほとんど影響を与
えない。
【0314】上述した第1状態の可変空間フィルタ20
0の第2減衰量は、基底帯域194のうち、空間周波数
±2fH/3近傍の空間周波数成分を減衰させるように
定められる。これによって、基底帯域194内の所望信
号成分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±2fH/3
の部分で0になるように制限される。これによって、基
底帯域194の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅
が空間周波数±2fH/3未満に縮小されるが、制限後
の実質の幅は、第1出力画像信号の実質の幅の約2倍に
拡大される。
【0315】また、2画素混合読出し型の撮像素子34
では、出力される原画像信号のうち、垂直方向Vの空間
周波数成分に関し、空間周波数±fV/2近傍の成分の
振幅が減衰される。これによって、図40の基底帯域1
94内の破線で表す空間周波数±fV/2近傍の部分で
は、輝度信号および色差信号の信号振幅が減衰されるフ
ィルタ効果が生じる。このフィルタ効果は、2画素混合
読出し型の撮像素子34に特有の現象である。このフィ
ルタ効果によって、基底帯域194の垂直方向Vの実質
の幅が、空間周波数±fV/2未満に制限される。これ
によって、第2出力画像の制限後の垂直方向Vの実質の
幅は、基底帯域194から推測される理想の幅の半分に
縮小されるが、理想の幅が予め拡大されているので、第
1出力画像と比較して、実質の幅が変化しない。
【0316】これらのことから、第2出力画像の水平方
向Hの解像度は、第1出力画像の2倍に向上する。ま
た、斜め方向Uの解像度は変化しないが、視覚の空間周
波数特性の空間異方特性から、該解像度の変化は視覚的
に気にならない。
【0317】空間異方性特性について、以下に説明す
る。人が画像を認識するときの視覚特性を表す指標とし
て、前述の空間周波数特性(MTF;Modulation Trans
ferFunction)が挙げられる。この空間周波数特性は、
二次元平面の画面上において一方方向にだけ濃淡が変化
する正弦波パターンを表示した場合であって、視者に明
暗の差が感じられなくなるとき、その画面に表示される
パターンの画像とその空間周波数との関係を示す。
【0318】この正弦波パターンの一方方向を、たとえ
ば水平方向Hを基準として、水平方向Hと予め定める角
度を持つように傾けて表示する。この条件において、パ
ターンの一方方向と水平方向Hとが±45度をなすと
き、空間周波数の高周波成分の人の目に対する感度は最
も低下する。このように、視覚の空間周波数特性が画像
変化の空間的な方向によって変わることを、視覚の空間
異方特性と称する。このことから、斜め方向Uの空間周
波数成分は、水平および垂直方向H,Vの周波数成分と
比較して人の目に感じられにくいことが、一般に知られ
ている。この空間異方性特性から、画像上の斜め方向U
の高周波成分を除去しても、画像の視覚的な劣化が少な
いことが分かる。したがって、水平および垂直方向H,
Vの解像度の変化があるときに斜め方向Uの解像度が変
化していなくても、視覚的に気にならない。
【0319】本発明の第5実施形態の撮像装置を以下に
説明する。本実施形態の撮像装置の撮像素子以外の構成
要素の構造は第4実施形態の撮像装置と等しく、同一の
構成要素には、同一の符号を付し、説明は省略する。ま
た、該撮像装置は、2画素混合読出し型の撮像素子34
に代わって、全画素読出し型の撮像素子131を用い
る。この撮像素子131の光入射側には、図31の基本
配列パターン191の色フィルタが設置される。可変空
間フィルタ200は、第4実施形態と同じ第1および第
2減衰量で画像光の空間周波数成分を制限する。本実施
形態の撮像装置は、全画素読出し型の撮像素子131を
用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像
し、異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得
る。
【0320】撮像素子131は、上述の色フィルタを介
して結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力す
る。撮像素子131および画像メモリ37の単一回の画
像光の詳細な撮像動作は、第2実施形態の単一回の撮像
動作と等しい。原画像信号の画素Dの配列および各画素
と受光データとの対応関係は、この色フィルタの透光領
域Lの配列および色配列と等価であり、各対応画素は単
一の色彩光の受光データだけを有する。この原画像信号
と第4実施形態の原画像信号とを比較すると、各色彩光
の対応画素の配列は等しく、第4実施形態では混合デー
タに対応していた各対応画素が、本実施例では同一種類
の色彩光の受光データに対応していることがわかる。し
たがって、第4および第5実施形態の原画像信号の信号
構成は、等価であると見なすことができる。
【0321】上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮
像動作は、画像光の撮像動作を除いて、第4実施形態の
通常モードの画像光の撮像動作と等しい。信号処理回路
44で原画像信号から輝度データおよび色差データを算
出するときの算出式は、上述の式(35)〜式(37)
と類似であり、各混合データに代わって、同一対応画素
の受光データを代入する点だけが異なる。したがって、
第1出力画像信号の輝度信号および色差信号のサンプリ
ング周波数は、第4実施形態の該信号のサンプリング周
波数と等しい。このようにして得られた第1出力画像信
号の輝度の基底帯域および色差信号のモアレのキャリア
周波数の位置を表す空間周波数平面図は、図37と等し
い。したがって、通常モードの第1出力画像信号の基底
帯域の実質の幅、および第1出力画像の解像度もまた、
第4実施形態と等しいことがわかる。
【0322】上述の撮像装置の高解像度モードの画像光
の撮像動作は、画像光の撮像動作を除いて、第4実施形
態の高解像度モードの画像光の撮像動作と等しい。この
ときの第1および第2結像位置Qa4,Qb4の位置関
係は、図38と等しい。信号処理回路44で合成される
合成画像信号の合成手法は第4実施形態と等しく、その
等価的な画素配列の基本配列パターンは、図39の基本
配列パターン193と等しい。また、該回路44で合成
画像信号から輝度データおよび色差データを算出すると
きの算出式は、上述の式(38)〜式(40)と類似で
あり、各混合データに代わって、同一対応画素の受光デ
ータを代入する点だけが異なる。したがって、第2出力
画像信号の輝度信号および色差信号のサンプリング周波
数は、第4実施形態の該信号のサンプリング周波数と等
しい。
【0323】図41は、上述の第2出力画像信号の輝度
の基底帯域196、および色差信号のモアレのキャリア
周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基
底帯域196は、図40の輝度の基底帯域194と等し
く、水平、垂直、および斜め方向H,V,Uの各範囲
は、以下の式で表される。
【0324】 −fH≦f≦fH …(41) −fV≦f≦fV …(42) (−fu/2)≦f≦(fu/2) …(14) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域19
6は、以下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0325】(−fH, 0) ( fH, 0) ( 0,fV) この基底帯域196内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0326】(−2fH/3,0) ( 2fH/3,0) さらに、基底帯域196近傍の以下の2箇所にも、色差
信号のモアレのキャリア周波数がある。
【0327】(−fH/3,fV) ( fH/3,fV) これら基底帯域196近傍の上述のキャリア周波数を中
心周波数とする色差信号の折返し成分は、光学系の空間
周波数特性(MTF)、および撮像素子131のアパー
チャ効果によって、充分に減衰されるので、第2出力画
像信号の輝度信号の所望信号成分にはほとんど影響を与
えない。
【0328】本実施形態の撮像装置では、第4実施形態
の撮像装置と同様に、高解像度モードで撮像される画像
光の空間周波数成分は、第2状態の可変空間フィルタ2
00によって、所望信号成分の振幅が、水平方向Hの空
間周波数±2fH/3の部分で0になるように制限され
る。これによって、基底帯域196の水平方向Hの空間
周波数軸上の実質の幅が空間周波数±2fH/3未満に
縮小されるが、制限後の実質の幅は、第1出力画像信号
の実質の幅の約2倍に拡大される。
【0329】また本実施形態の撮像装置では、第4実施
形態の撮像装置と異なり、2画素混合読出し型の撮像素
子特有のフィルタ効果が生じないので、基底帯域196
の垂直方向Vの空間周波数軸上の実質の幅が、基底帯域
196の垂直方向Vの範囲全域まで拡大される。したが
って、垂直方向Vの空間周波数軸の制限後の実質の幅
が、第1出力画像信号の実質の幅の2倍に拡大される。
【0330】これらのことから、第2出力画像の水平お
よび垂直方向H,Vの解像度は、第1出力画像の2倍に
それぞれ向上する。また、斜め方向Uの解像度は変化し
ないが、これは視覚の空間周波数特性の空間異方特性に
よって、視覚的に気にならない。したがって、本実施形
態の撮像装置の第2出力画像の解像度は、第4実施形態
の第2出力画像と比較して、垂直方向Vに関して2倍に
向上される。
【0331】本発明の第6実施形態の撮像装置を以下に
説明する。本実施形態の撮像装置の光学系および色フィ
ルタ以外の構成要素の構造は、第5実施形態の撮像装置
と等しく、同一の構成要素には、同一の符号を付し、説
明は省略する。本実施形態の撮像装置は、全画素読出し
型の撮像素子131を用い、通常モードおよび高解像度
モードで画像光を撮像し、異なる解像度の第1および第
2出力画像信号を得る。
【0332】光学系のうち、イメージシフト機構62お
よび可変空間フィルタ200の内部構造は等しいが、そ
の設置状態が異なる。機構62については後述する。フ
ィルタ200は、複屈折板201の分離ベクトルB4
が、垂直方向Vと平行になるように設置される。これに
よって、第1および第2状態のフィルタ200は、垂直
方向Vの空間周波数成分のうち、空間周波数±fV/
3、±2fV/3の成分の振幅をそれぞれ減衰させる。
【0333】色フィルタは、その設置場所、通過可能な
色彩光の組合せ、ならびに透光領域Lの数および配列
が、第5実施形態の色フィルタと等しく、色配列だけが
異なる。ゆえに、第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青
および緑の3色である。透光領域Lの水平および垂直方
向H,Vの配列周期は、それぞれ周期PH,PVであ
る。
【0334】図42は、上述の色フィルタの透光領域L
の色配列の基本配列パターン198を示す図である。こ
の基本配列パターン186は、3行2列に配列される6
つの透光領域Lからなり、同種の透光領域を2つずつ含
む。この基本配列パターン198において、透光領域L
(1,1),L(1,2)は、赤の色彩光を通過させる
赤の透光領域である。透光領域L(2,1),L(2,
2)は、緑の透光領域である。透光領域L(3,1),
L(3,2)は、青の透光領域である。この基本配列パ
ターン198は、水平および垂直方向H,Vの配列周期
を保ったまま、第4および第5実施形態の撮像装置の色
フィルタの基本配列パターンの透光領域Lの色配列だけ
を水平および垂直方向H,Vに対して入換えた配列であ
る。この色フィルタは、同種の色彩光の透光領域が水平
方向Hに沿って並ぶので、各行の透光領域Lは、同種の
色彩光だけを通過させる。
【0335】撮像素子131は、この色フィルタを介し
て結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力す
る。原画像信号の画素の配列および各画素と受光データ
との対応関係は、この色フィルタの画素配列および色配
列と等価であり、各対応画素は単一の色彩光の受光デー
タだけを有する。
【0336】上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮
像動作は、第5実施形態の通常モードの画像光の撮像動
作と類似し、光学系、撮像素子131、回路35,3
6、および画像メモリ37の挙動は、第5実施形態と等
しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第
1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求
める。このときの算出式は、上述の式(35)〜式(3
7)と類似であり、各対応画素の行列番号を行および列
に関して入換え、かつ各混合データに代わって、同一対
応画素の受光データを代入する点が異なる。このように
して得られた第1出力画像信号の輝度の基底帯域および
モアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図は、第
1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図37と線対
称な図面となる。すなわち、図37の空間周波数平面図
の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だけを入換
えた図と等しい。
【0337】この図から、水平方向Hの空間周波数軸上
には、モアレのキャリア周波数が存在しないことがわか
る。したがって、水平方向Hの基底帯域の実質の幅は、
基底帯域の水平方向Hの範囲と等価な理想の幅と等し
く、空間周波数±fH/2まで拡大される。また、垂直
方向Vの空間周波数軸上の空間周波数±fV/3に、モ
アレのキャリア周波数があることがわかる。したがっ
て、第1出力画像信号の垂直方向Vの基底帯域の実質の
幅は、空間周波数±fV/3未満に制限される。したが
って、本実施形態の通常モードの第1出力画像は、第5
実施形態の第1出力画像と比較して、水平方向Hの解像
度が向上する。
【0338】上述の撮像装置の高解像度モードの画像光
の撮像動作は、第5実施形態の高解像度モードの画像光
の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子131、回路3
5,36、および画像メモリ37の挙動は、第5実施形
態と等しい。このとき、イメージシフト機構62は、画
像光の結像位置を以下の2箇所に移動する。
【0339】図43は、上述した第1および第2結像位
置Qa6,Qb6の相対的な位置関係を示す図である。
第1結像位置Qa6を基準とすると、第2結像位置Qb
6は、第1結像位置Qa6から水平方向Hに長さPH/
2だけ、かつ垂直方向Vに長さ3PV/2だけずれた位
置である。これら第1および第2結像位置Qa6、Qb
6の位置関係は、図38に表す第1および第2結像位置
Qa4,Qb4の位置関係と、第1斜め方向Uxに対し
て線対称となる位置関係である。イメージシフト機構6
2の屈折板71の仮想基準軸線、および第2状態の屈折
板71の傾斜角度は、この位置関係に応じて画像光の光
軸を平行移動させることができるように、第4、第5実
施形態の設置状態と比較して、各部材の水平および垂直
方向H,Vを入換えて設置される信号処理回路44で生
成される合成画像信号の等価的な画素Dの配列の基本配
列パターンは、図39の基本配列パターン193と類似
であり、対応画素および仮想画素の画素配列および全画
素の配列周期が等しく、その対応画素の色配列の水平お
よび垂直方向H,Vを入換えた点だけが異なる。該回路
44は、この合成画像信号から、第2出力画像信号の輝
度信号および2種類の色差信号を求める。このときの算
出式は、上述の式(38)〜式(40)と類似であり、
各対応画素の行列番号を行および列に関して入換え、か
つ混合データに代わって該対応画素の受光データを代入
する点が異なる。この第2出力画像信号の輝度の基底帯
域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面
図は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図4
1と線対称な図面となる。すなわち、図41の空間周波
数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だ
けを入換えた図と等しい。
【0340】この図から、第2出力画像信号の輝度の基
底帯域は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域と比較し
て、水平および垂直方向H,Vに2倍に拡大され、斜め
方向Uに関して変化しないことがわかる。また、垂直方
向Vの空間周波数軸上のモアレのキャリア周波数は、空
間周波数±2fV/3に現れるので、画像光の空間周波
数成分制限後の基底帯域の垂直方向Vの実質の幅が空間
周波数±2fV/3未満に縮小されるが、制限後の実質
の幅は第1出力画像信号の実質の幅の約2倍に拡大され
ている。
【0341】これらのことから、第2出力画像の水平お
よび垂直方向H,Vの解像度は、第1出力画像の2倍に
それぞれ向上する。また、斜め方向Uの解像度は変化し
ないが、これは視覚の空間周波数特性の空間異方特性に
よって、視覚的に気にならない。したがって、本実施形
態の撮像装置の第2出力画像の解像度は、第5実施形態
の第2出力画像と比較して、水平方向Hに関して向上さ
れる。
【0342】本発明の第7実施形態の撮像装置を以下に
説明する。本実施形態の撮像装置の光学系、色フィル
タ、および撮像素子以外の構成要素の構造は、第2実施
形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には同一の符
号を付して説明は省略する。本実施形態の撮像装置は、
全画素読出し型の撮像素子を用い、通常モードおよび高
解像度モードで画像光を撮像して、異なる解像度の第1
および第2出力画像信号を得る。
【0343】光学系のうち、イメージシフト機構62
は、その内部構造は等しいが、その設置状態が後述する
ように異なる。また、光学系内の任意の位置には、可変
空間フィルタ90に代わって、後述する可変空間フィル
タ220が設置される。該フィルタ220は、本実施形
態の撮像装置の通常および高解像度モードに応じて、第
1および第2状態に切換えられ、各モードに応じた減衰
量で、画像光の空間周波数の振幅を成分を減衰させる。
【0344】撮像素子は、M×N個の受光領域PDを有
する全画素読出し型の撮像素子である。この受光領域P
Dは、結像面上に、周期PHで並べられるM個の受光領
域からなる行が、垂直方向Vに沿って配列周期PVでN
本並べられるように配列される。かつ、隣接する2本の
行は、その各受光領域PDの中心が水平方向Hに長さP
H/2だけ相互にずれるように配列される。この受光領
域PDの配列は、M行2N列の仮想配列に対し、各受光
領域PDが、水平および垂直方向H,Vに対してそれぞ
れ仮想の受光領域を1つずつ介在して並べられた配列と
等価であり、結像面全体としては、受光領域PDが市松
状に配列される。この受光領域PDの配列周期は、水平
および垂直方向H,Vにそれぞれ周期PH/2,PVで
ある。
【0345】この撮像素子の垂直転送CCD群は、たと
えば2列の受光領域PDに対して1つずつ準備され、2
列分の実在の受光領域PDの数と同数の電荷結像素子C
を有する。該CCD群の電荷結像素子Cは、該2列分の
実在の各受光領域PDと隣接するように折線状に配列さ
れる。したがって、垂直転送CCD群は、水平方向Hに
M列並べられており、各々の垂直転送CCDは、垂直方
向Vに折線状に並んだN個の電荷結合素子Cから構成さ
れる。各受光領域PDは、その隣接する電荷結像素子C
に受光データをそれぞれ転送する。データ転送後の垂直
転送CCD群の挙動は、図17に示す撮像素子131の
垂直転送CCD群138の挙動と等しい。すなわち、本
実施形態の撮像素子の垂直転送CCD群は、2行分の実
在の受光領域PDを撮像素子131の1行分の受光領域
PDと等価に扱い、各受光領域PDの受光データを個別
的に転送する。
【0346】この撮像素子の結像面の光入射側には、透
光領域Lの数および配列が実在の受光領域PDと等し
く、以下に示す基本配列パターンの色配列をなす色フィ
ルタが取付けられる。この色フィルタは、各透光領域L
毎に、第1〜第3色彩光のいずれか1つを通過させる。
第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青、および緑の3色
である。また、透光領域Lの水平および垂直方向H,V
の配列周期は、それぞれ周期PH/2,PVである。
【0347】図44は、上述した色フィルタの透光領域
Lの色配列の基本配列パターン211を示す図である。
この基本配列パターン211は、6つの透光領域Lから
成り、同種の透光領域を2つずつ含む。これら透光領域
は、2行6列の仮想配列に市松状に並べられた配列と等
しく、各行の透光領域Lの間には、図示しない仮想の透
光領域があると見なすことができる。この基本配列パタ
ーン211において、透光領域L(1,1),L(2,
4)は、赤の色彩光を通過させる赤の透光領域である。
透光領域L(1,3),L(2,6)は、緑の透光領域
である。透光領域L(1,5),L(2,2)は、青の
透光領域である。この基本配列パターン211から成る
色配列の色フィルタは、実在の透光領域Lが少なくとも
1つの実在の受光領域PDの光入射側に配列されるよう
に設置される。
【0348】上述の撮像素子は、この色フィルタを介し
て結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力す
る。原画像信号の画素Dの配列、および該画素Dと受光
データとの対応関係は、図44の色フィルタの透光領域
Lの配列および色配列と等価であり、各対応画素は、単
一の色彩光の受光データを有する。
【0349】可変空間フィルタ220を、図45〜図5
0を用いて以下に説明する。
【0350】図45は、可変空間フィルタ220の詳細
な構造を示す斜視図である。可変空間フィルタ220
は、5枚の複屈折板221〜225、および旋光板22
6を含んで構成される。複屈折板221〜225は、光
入射側の画像光の光軸64上に、光入射側からこの順で
配列される。旋光板226は、複屈折板223,224
の間に介在される。複屈折板221〜225は、たとえ
ば水晶板で実現される。複屈折板221〜225および
旋光板226の各入射面および射出面は、光入射側の画
像光の光軸64と直交する。また、屈折板223,22
5は、光軸64と一致した仮想回転中心軸線を中心とし
て回転可能であり、第1および第2状態が切換えられる
と同時に180度だけ角変位するように回転駆動され
る。
【0351】図46(a)〜(e)は、フィルタ220
が第1状態にあるときの各複屈折板221〜225の分
離ベクトルB11〜B15を示す図である。このうち、
分離ベクトルB11〜B13は、前述した単位ベクトル
i,j,kによって、以下の式で規定される。
【0352】
【数14】
【0353】上式から、複屈折板221の分離ベクトル
B11は水平方向Hと平行であり、複屈折板222,2
23の分離ベクトルB12,B13は、垂直方向Vと平
行であることが分かる。
【0354】また、複屈折板224,225の分離ベク
トルB14,B15を図47を用いて説明する。図47
は、図46(d),(e)と同じHV平面を表す。基準
軸線L1は、複屈折板211の分離ベクトルB11の延
長線であり、水平方向Hと平行である。分離ベクトルB
14,B15の延長線L2と基準軸線L1との成す角度
θ1は、以下の式で表される。
【0355】
【数15】
【0356】角度θ1は、撮像素子が正方格子型であっ
て、受光領域PDの配列周期PH,PVの値が等しいと
き、33.7度になる。このような配列周期の撮像素子
は、たとえば640行480列の受光領域PDの配列を
有し、NTSC方式に対応した撮像素子である。
【0357】さらに、これらの複屈折板221〜225
の分離長さは、それぞれ3PH/4,PV/4,PV/
4,√{(3PH/8)2+(PV/4)2},√{(3
PH/8)2+(PV/4)2}である。これら複屈折板
221〜225内の常光および異常光の挙動は、分離ベ
クトルの向きおよび分離長さを除いて、可変空間フィル
タ90の複屈折板91〜93での挙動と等しい。
【0358】また、旋光板226は、入射した光の偏光
方向を表す偏波面を、図47の矢符228で示す方向
に、角度θ2だけ回転変位させる。角度θ2は、以下の
式で表される。
【0359】 θ2=45度−θ1 …(46) この角度θ2は、基準軸線L1と45度の角度を成して
交わる基準軸線L3と、前述の分離ベクトルB14,B
15の延長線L2との成す角度である。
【0360】上述した可変空間フィルタ220が第1状
態にあるとき、複屈折板223,225は、分離ベクト
ルが図46(c),(e)に示す状態に保たれる。この
とき、フィルタ220を通過する画像光の挙動を、図4
8を用いて、以下に説明する。
【0361】図48(a)〜図48(e)は、第1状態
の可変空間フィルタ220において、画像光の常光およ
び異常光が複屈折板221〜225を通過した位置をそ
れぞれ示す仮想結像面を示す図である。この仮想結像面
の設定は格子の軸線の間隔を除いて図9の仮想結像面と
等しく、これと同等に取扱う。各仮想結像面上に描かれ
る格子の軸線は、水平および垂直方向H,Vに、それぞ
れ間隔3PH/8、PV/4で配列される。
【0362】第1状態の可変空間フィルタ220におい
て、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交
点を座標(3,3)とする。この画像光は、複屈折板2
21に入射して、複屈折板221に対する常光と異常光
とに分離される。該常光の射出側の光軸の交点は、座標
(3,3)である。また、異常光の射出側の光軸は、入
射側の光軸の延長線からみて、水平方向Hの分離ベクト
ルB11と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その
光軸の交点は座標(3,5)である。
【0363】この1対の常光および異常光は、それぞれ
同一の座標から複屈折板222に入射する。複屈折板2
21,222の分離ベクトルB11,B12は相互に直
交するので、複屈折板221の常光および異常光は、そ
れぞれ複屈折板222に対する異常光および常光にな
る。したがって、座標(3,3)の複屈折板221の常
光は、複屈折板222の異常光となり、その光軸は、座
標(3,3)の光軸の延長線からみて、分離ベクトルB
12と同じ向きに同じ長さだけ移動される。ゆえに、複
屈折板222の常光の光軸の交点は座標(4,3)であ
る。また同様に、座標(3,5)の複屈折板221の異
常光は、複屈折板222の常光となるので、そのまま複
屈折板222を通過する。ゆえに、複屈折板222の常
光の光軸の交点は座標(3,5)である。
【0364】この1対の常光および異常光は、それぞれ
同一の座標から複屈折板223に入射する。複屈折板2
22,223の分離ベクトルB12,B13は平行なの
で、複屈折板222の常光および異常光は、そのまま複
屈折板223に対する常光および異常光になる。ゆえ
に、座標(3,5)の複屈折板222の常光は、複屈折
板222の常光となるので、そのまま複屈折板223を
通過する。ゆえに、複屈折板223の常光の光軸の交点
は座標(3,5)である。また、座標(4,3)の複屈
折板222の異常光は、複屈折板223の異常光とな
り、その光軸は、座標(4,3)の光軸の延長線からみ
て、分離ベクトルB13と同じ向きに同じ長さだけ移動
される。ゆえに、複屈折板223の異常光の光軸の交点
は座標(5,3)である。
【0365】この1対の常光および異常光は、それぞれ
同一の座標から施光板226に入射する。施光板226
は、上述の常光および異常光の偏波面を、それぞれ角度
θ2だけ、元の偏波面から回転変位させて射出させる。
このとき常光および異常光の光軸の平行移動はないの
で、それぞれの光軸の交点は施光板226への入射前の
位置を保つ。
【0366】この1対の常光および異常光は、それぞれ
座標(3,5),(5,3)から複屈折板224に入射
する。施光板226で偏波面が回転変位されたことによ
って、上述の常光および異常光の各偏波面と、複屈折板
224の分離ベクトルB14の延長線L3との成す角度
は、それぞれ45度となる。これによって、上述の常光
および異常光は、それぞれ同じ強度で、該複屈折板22
4に対する常光および異常光に分離される。
【0367】複屈折板223の常光および異常光のう
ち、複屈折板224に対する常光は、そのまま複屈折板
224を通過するので、その光軸の交点は座標(3,
5),(5,3)である。また、複屈折板223の常光
および異常光の複屈折板224に対する異常光の光軸
は、それぞれ座標(3,5),(5,3)の光軸の延長
線からみて、水平方向Hに長さ3PH/8でかつ垂直方
向Vに長さPV/4の分離長さだけ、つまり分離ベクト
ルB14と同じ向きに同じ長さだけ移動しており、その
光軸の交点は、それぞれ座標(2,4),(4,2)で
ある。
【0368】この2対の常光および異常光は、上述の座
標から複屈折板225に入射する。複屈折板224,2
25の分離ベクトルB14,B15は等しいので、複屈
折板224の常光および異常光は、そのまま複屈折板2
25に対する常光および異常光になる。ゆえに、座標
(3,5),(5,3)の複屈折板224の常光は、複
屈折板225の常光となるので、そのまま複屈折板22
5を通過する。ゆえに、複屈折板225の常光の光軸の
交点は座標(3,5),(5,3)である。また、座標
(2,4),(4,2)の複屈折板224の異常光は、
複屈折板225の異常光となり、その光軸は、入射前の
光軸の延長線からみて、水平方向Hに長さ3PH/8で
かつ垂直方向Vに長さPV/4の分離長さだけ、つまり
分離ベクトルB15と同じ向きに同じ長さだけ移動され
る。ゆえに、複屈折板225の異常光の光軸の交点は座
標(3,1),(1,3)である。
【0369】このように、複屈折板221〜225を順
次的に通過した画像光は、2対の常光および異常光に分
離される。これら常光および異常光の光軸と仮想結像面
との交点は、白丸と黒丸との記号で表される対、および
白四角と黒四角との記号で表される対毎に水平方向Hに
間隔3PH/4だけ、かつ垂直方向Vに間隔PV/2だ
けそれぞれ離れる。このように分離される画像光につい
て、第1減衰量を表す空間周波数(fh,fv)の伝達
関数H1(fh,fv)は、以下の式で表される。
【0370】
【数16】
【0371】上式で、「h」は水平方向Hの空間座標、
「v」は、垂直方向の空間座標、「δ(h,v)」は、
空間座標(h,v)の2次元のデルタ関数、「F」はフ
ーリエ変換をそれぞれ表す。この式から、第1状態の可
変空間フィルタ220は、画像光の空間周波数(fh,
fv)の成分のうち、以下の式を満たす成分のレスポン
スがなくなるように、該空間周波数成分の振幅を減衰す
ることがわかる。
【0372】
【数17】
【0373】上式の第1項と第3項の符号は、記載順と
関係なく組合わされ、組合わせ数は4通りである。
【0374】特に、空間周波数軸上を考えれば、水平方
向の空間周波数軸上の空間周波数±2fH/3の成分の
レスポンスがなくなり、かつ垂直方向の空間周波数軸上
の空間周波数±fVの成分のレスポンスがなくなってい
る。また、空間周波数平面の第1および第2象限内で、
(±2fH/3,0)と(0,±fV)とを結ぶ仮想線
上に該当する成分のレスポンスがなくなる。
【0375】また、上述した可変空間フィルタ220が
第2状態にあるとき、複屈折板223,225は、第1
状態から180度角変位され、分離ベクトルB13a,
B15aが図49(a),(b)に示す状態に保たれ
る。これら分離ベクトルB13a,B15aは、HV平
面上で、第1状態での分離ベクトルB13,B15と平
行でかつ逆向きである。
【0376】このとき、フィルタ220を通過する画像
光の挙動を、図48(a),(b)および図50
(a),(b),(c)の仮想結像面を用いて、以下に
説明する。図50の仮想結像面は、画像光の光軸の交点
の位置を除いて、図48(c)〜図48(e)の各仮想
結像面と等しく、同様に取扱う。
【0377】第2状態の可変空間フィルタ220におい
て、フィルタ入射前の画像光の光軸と仮想結像面との交
点を座標(3,3)とする。この画像光が、複屈折板2
21,222を通過するときの挙動は、第1状態のとき
と等しいので、説明は省略する。
【0378】複屈折板223には、複屈折板222に対
する座標(3,5)の常光、および座標(4,3)の異
常光が、この同一の座標から入射する。複屈折板22
2,223の分離ベクトルB12,B13aは相互に平
行であり、向きだけが相反する。したがって、複屈折板
222の常光および異常光は、そのまま複屈折板223
に対する常光および異常光になる。
【0379】したがって、座標(3,5)の複屈折板2
22の常光は、複屈折板223の常光となって射出し、
その光軸の交点は、座標(3,5)である。また、座標
(4,3)の複屈折板222の異常光は、複屈折板22
3の異常光となり、その光軸は、座標(4,3)の光軸
の延長線からみて、分離長さPV/4だけ、垂直方向V
に沿った分離ベクトルB13aの向きに移動される。こ
の異常光の光軸の交点は座標(3,3)である。これら
常光および異常光は、施光板226でその偏波面が角度
θ2だけ回転変位された後、光軸の交点の位置を保った
まま、複屈折板224に入射する。
【0380】この1対の常光および異常光は、第1状態
と同様に、それぞれ同じ強度で、該複屈折板224に対
する常光および異常光に分離されて射出する。複屈折板
223の常光および異常光の、複屈折板224に対する
常光の射出後の光軸の交点は座標(3,5),(3,
3)である。また、複屈折板223の常光および異常光
の複屈折板224に対する異常光の光軸は、それぞれ座
標(3,5),(3,3)の光軸の延長線からみて、上
述の分離長さだけ、分離ベクトルB14の向きに移動し
ており、その光軸の交点は、それぞれ座標(2,4),
(2,2)である。
【0381】この2対の常光および異常光は、上述の座
標から複屈折板225に入射する。複屈折板224,2
25の分離ベクトルB14,B15aは相互に平行であ
って長さが等しく、向きだけが相反する。したがって、
複屈折板224の常光および異常光は、そのまま複屈折
板225に対する常光および異常光になる。
【0382】したがって、座標(3,5),(3,3)
の複屈折板224の常光は、複屈折板225の常光とな
って射出し、その光軸の交点は、座標(3,5),
(3,3)である。また、座標(2,4),(2,2)
の複屈折板224の異常光は、複屈折板225の異常光
となり、その光軸は、入射前の光軸の延長線からみて、
前述の分離長さだけ、分離ベクトルB15aの向きに移
動される。この異常光の光軸の交点は座標(3,5),
(3,3)である。
【0383】このように、複屈折板222,223の分
離ベクトルB12,B13a、および複屈折板224,
225の分離ベクトルB14,B15aが、それぞれ平
行で大きさが等しく、かつ向きが相反するとき、複屈折
板222,224に対する常光および異常光の光軸の交
点が、複屈折板223,225通過後に一致する。これ
によって、複屈折板222,223;224,225で
の光の分離効果が打消される。したがって、複屈折板2
25通過後の画像光の分離状態は、複屈折板221通過
直後の状態に戻る。
【0384】このように複屈折板221〜225を順次
的に通過した画像光は、1対の常光および異常光に分離
される。この常光および異常光の光軸と仮想結像面との
交点は、水平方向Hに平行に、間隔3PH/4だけ離れ
る。このように分離された画像光に関して、第2減衰量
を表す空間周波数(fh,fv)の伝達関数H2(f
h,fv)は、以下の式で表される。
【0385】
【数18】
【0386】この結果から、画像光の空間周波数成分の
うち、空間周波数±2fH/3の成分のレスポンスだけ
がなくなるように、該空間周波数成分の振幅が減衰され
ることが分かる。
【0387】このような構造の撮像装置の通常モードお
よび高解像度モードの撮像動作を以下に説明する。
【0388】通常モードの画像光の撮像動作は、第1実
施形態の通常モードの画像光の撮像動作と類似し、光学
系、回路35,36、および画像メモリ37の挙動は、
第2実施形態と等しい。上述の撮像素子の挙動は、図1
7の撮像素子131とほぼ等しい。信号処理回路44
は、単一の原画像信号から、第1出力画像信号の輝度信
号および2種類の色差信号を求める。たとえば、図44
中の透光領域L(2,4)に対応する第2行第4列の画
素D(2,4)の輝度データY(2,4)、色差データ
(R−Y)(2,4),(B−Y)(2,4)は、以下
の式で示される。画素D(2,4)は、赤の受光データ
だけの対応画素である。
【0389】
【数19】
【0390】この輝度データYは、各画素D毎に個別的
に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素
は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画像
信号の輝度信号の実画素の数および配列は、原画像の対
応画素の数および配列と等しい。
【0391】原画像の全ての対応画素の配列の水平およ
び垂直方向H,Vの配列周期は、図44からそれぞれ周
期PH/2,PVとわかる。このことから、この第1出
力画像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサ
ンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,fV
とみなされる。また、同一種類の対応画素だけの配列の
水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図44から、
それぞれ周期3PH/2,PVとわかる。このことか
ら、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリン
グ周波数は、それぞれ空間周波数2fH/3,fVとみ
なされる。さらに、各色彩光の対応画素は、水平方向H
に長さ3PH/2でかつ垂直方向Vに長さPV/2だけ
離れて、周期的に配列される。この配列による斜め方向
のサンプリング周波数のうちで、最も低周波数のもの
は、空間周波数fH,fVを用いて、(±fH/3,±
fV/2)と表される。またこのサンプリング周波数に
関する空間軸に平行な方向を第2斜め方向Uαとする。
【0392】図51は、上述した第1出力画像信号の輝
度の基底帯域212、および色差信号のモアレのキャリ
ア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の
基底帯域212の水平および垂直方向Hの空間周波数軸
上の範囲は、以下の式で表される。
【0393】 −fH≦f≦fH …(53) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(54) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域21
2は、以下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0394】(−fH,0) ( fH,0) ( 0,fV/2) この基底帯域212内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0395】(−2fH/3,0) ( 2fH/3,0) さらに、基底帯域214近傍の以下の2箇所にも、上述
の斜め方向Uαのサンプリング周波数(fH/3,fV
/2)によって現れる色差信号のモアレのキャリア周波
数がある。
【0396】(−fH/3,fV/2) ( fH/3,fV/2) 上述した第1状態の可変空間フィルタ220の第1減衰
量は、基底帯域212のうち、空間周波数(±2fH/
3,0),(±fH/3,±fV/2),(0,±f
V)近傍の空間周波数成分を減衰させるように定められ
る。これによって、基底帯域212の水平方向Hの所望
信号成分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±fH/3
の部分で0になるように制限される。このため、基底帯
域212の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅が空
間周波数±fH/3未満に縮小される。また、基底帯域
212の垂直方向Vの実質の幅も、空間周波数±fV/
2未満に縮小される。これによって、第1出力画像の水
平および垂直方向H,Vの実質の解像度は、その分だけ
基底帯域212から推測される理想の解像度よりも低下
する。
【0397】高解像度モードの画像光の撮像動作は、第
1実施形態の高解像度モードの画像光の撮像動作と類似
し、光学系、回路35,36、および画像メモリ37の
挙動は、第2実施形態と等しい。上述の撮像素子の挙動
は、撮像素子131とほぼ等しい。このとき、イメージ
シフト機構62は、画像光の結像位置を、以下の2箇所
に移動させる。
【0398】図52は、上述した高解像度モードの画像
光の撮像動作における第1および第2結像位置の位置関
係を示す図である。第1結像位置Qa7を基準とする
と、第2結像位置Qb7は、垂直方向Vに受光領域PD
の配列周期の長さPVだけ離れる。イメージシフト機構
62の仮想基準軸線の設置状態、および第2状態の屈折
板71の傾斜角度は、これら結像位置がこの位置関係を
なすように定められる。
【0399】信号合成回路44は、まず、第2実施形態
と同じ手法で第1および第2原画像信号から合成画像信
号を生成する。この合成画像は、M行2N列に配列され
るM×2N個の対応画素からなる。合成画像の水平およ
び垂直方向H,Vの画素の配列周期は、それぞれ周期P
H/2,PVである。
【0400】図53は、上述の合成画像信号が表す合成
画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン213
を示す図である。この基本配列パターン213は、2行
6列に配列される12個の画素からなる。画素D(1,
1),D(1,4),D(2,1),D(2,4)は、
赤の受光データの対応画素である。画素D(1,3),
D(1,6),D(2,3),D(2,6)は、緑の受
光データの対応画素である。画素D(1,2),D
(1,5),D(2,2),D(2,5)は、青の受光
データの対応画素である。このことから、合成画像は、
画素配列が原画像の基本の画素配列と等しく、原画像で
仮想画素だった画素が全て対応画素になっていることが
わかる。
【0401】次いで、信号処理回路44は、この合成画
像信号から、第2出力画像の輝度信号および2種類の色
差信号を求める。たとえば第2行第4列の画素D(2,
4)の輝度データY(2,4)、色差データ(R−Y)
(2,4),(B−Y)(2,4)は、以下の式で示さ
れる。画素D(2,4)は、赤の受光データだけの対応
画素である。
【0402】
【数20】
【0403】これの輝度データYは、合成画像の各画素
Dごとに個別的に直接求めることができる。ゆえに、合
成画像の画素Dは、全て輝度データの実画素となるの
で、第2出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配
列は、合成画像の画素Dの数および配列と等しい。
【0404】合成画像の全ての対応画素の配列の水平お
よび垂直方向H,Vの配列周期は、図53からそれぞれ
周期PH/2,PVとわかる。このことから、この第2
出力画像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vの
サンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,f
Vとみなされる。また、同一種類の対応画素だけの配列
の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図53か
ら、それぞれ周期3PH/2,PVとわかる。このこと
から、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリ
ング周波数は、それぞれ空間周波数2fH/3,fVと
みなされる。さらに、図53から、前述の第2斜め方向
Uαに関する配列周期が半分となったことがわかる。
【0405】図54は、上述の第2出力画像信号の輝度
の基底帯域214、および色差信号のモアレのキャリア
周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の基
底帯域214の水平および垂直方向H,Vの空間周波数
軸上の範囲は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域21
1の各範囲と等しく、以下の式で表される。
【0406】 −fH≦f≦fH …(53) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(54) また、第3の斜め方向Wx,Wyを考える。斜め方向W
x,Wyは、水平方向および垂直方向H,Vにそれぞれ
平行で大きさがそれぞれ配列周期PH、配列周期PVの
半分である2つの基本ベクトルの合成で規定される方向
である。斜め方向Wx,Wyの配列周期PWx,PWy
は、以下の式で表される。
【0407】
【数21】
【0408】斜め方向Wx,Wyの画像光のサンプリン
グ周波数fwx,fwyは、それぞれ上式の配列周期P
Wx,PWyの逆数である。
【0409】
【数22】
【0410】高解像度モードでは、この第3斜め方向W
x,Wyに関して、その方向の空間周波数軸上の範囲が
2倍に拡大される。したがって、第1および第2象限の
輝度の基底帯域214は、以下の4箇所を頂点とする矩
形領域である。
【0411】(−fH, 0) ( fH, 0) (−fH,fV/2) ( fH,fV/2) この基底帯域214内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の2箇所に存在する。
【0412】(−2fH/3,0) ( 2fH/3,0) 上述した第1状態の可変空間フィルタ220の第2減衰
量は、基底帯域214のうち、空間周波数±2fH/3
近傍の空間周波数成分を減衰させるように定められる。
これによって、基底帯域214の水平方向Hの所望信号
成分の振幅が、水平方向Hの空間周波数±2fH/3の
部分で0になるように制限される。これによって、基底
帯域214の水平方向Hの空間周波数軸上の実質的な幅
が±2fH/3未満に縮小される。
【0413】この第2出力画像信号では、(±fH/
3,fV/2)に現れるモアレのキャリア周波数が消え
ているので、このキャリア周波数を中心周波数とするモ
アレが消滅する。これによって、垂直方向Vの空間周波
数成分を制限する必要がなくなるので、基底帯域214
の実質の幅が基底帯域の範囲全域まで拡大される。この
ことから、第2出力画像の垂直方向Vの解像度は、第1
出力画像よりも向上する。
【0414】本発明の第8実施形態の撮像装置を以下に
説明する。本実施形態の撮像装置の光学系および色フィ
ルタ以外の構成要素の構造は、第7実施形態の撮像装置
と等しく、同一の構成要素には同一の符号を付して説明
は省略する。本実施形態の撮像装置は、全画素読出し型
の撮像素子を用い、通常モードおよび高解像度モードで
画像光を撮像し、異なる解像度の第1および第2出力画
像信号を得る。
【0415】光学系のうち、イメージシフト機構62お
よび可変空間フィルタ220の内部構造は等しいが、そ
の設置状態が異なる。機構62については後述する。フ
ィルタ220は、複屈折板221の分離ベクトルB11
が、垂直方向Vと平行になるように設置される。これに
よって、第1状態のフィルタ220は、画像光の空間周
波数(fh,fv)の成分のうち、以下の式を満たす成
分のレスポンスがなくなるように、該空間周波数成分の
振幅を減衰することがわかる。
【0416】
【数23】
【0417】上式の第1項と第3項の符号は、記載順と
関係なく組合わされ、組合わせ数は4通りである。
【0418】特に、空間周波数軸上を考えれば、水平方
向の空間周波数軸上の空間周波数±fHの成分のレスポ
ンスがなくなり、かつ垂直方向の空間周波数軸上の空間
周波数±2fV/3の成分のレスポンスがなくなってい
る。また、第2状態のフィルタ220は、垂直方向Vの
空間周波数成分のうち、空間周波数±2fV/3の成分
のレスポンスをなくならせる。
【0419】色フィルタは、その設置場所、通過可能な
色彩光の組合せ、ならびに透光領域Lの数が、第7実施
形態の色フィルタと等しく、透光領域Lの配列および色
配列だけが異なる。ゆえに第1〜第3色彩光は、原色系
の赤、青および緑の3色である。また、透光領域Lの水
平および垂直方向H,Vの配列周期は、それぞれ周期P
H,PV/2である。
【0420】図55は、上述の色フィルタの透光領域L
の色配列の基本配列パターン216を示す図である。こ
の基本配列パターン216は、6つの透光領域Lからな
り、同種の透光領域を2つずつ含む。これら透光領域L
は、隣接する2つの列の各透光領域Lが、長さPV/2
だけ相互にずれて配列され、6行2列の基本の配列に市
松状に並べられた配列と等価である。
【0421】この基本配列パターン216において、透
光領域L(1,1),L(4,2)は、赤の色彩光を通
過させる赤の透光領域である。透光領域L(3,1),
L(6,2)は、緑の透光領域である。透光領域L
(5,1),L(2,2)は、青の透光領域である。こ
の基本配列パターン216は、水平および垂直方向H,
Vの配列周期を保ったまま、第7実施形態の撮像装置の
色フィルタの基本配列パターン211の透光領域Lの行
と列の配列関係および色配列だけを水平および垂直方向
H,Vに対して入換えた配列である。
【0422】また、本実施形態の撮像素子の受光領域P
Dは、この色フィルタの実在の透光領域Lの配列と等価
な配列で、結像面上に配列される。これは、水平および
垂直方向H,Vの配列周期を保ったまま、第7実施形態
の撮像素子の受光領域PDの配列の行と列の配列関係だ
けを、水平および垂直方向H,Vに対して入換えた配列
である。
【0423】上述の撮像素子は、この色フィルタを介し
て結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力す
る。原画像信号の画素の配列および各画素と受光データ
との対応関係は、この色フィルタの透光領域Lの配列お
よび色配列と等価であり、各対応画素は単一の色彩光の
受光データだけを有する。
【0424】上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮
像動作は、第7実施形態の通常モードの画像光の撮像動
作と類似し、光学系、撮像素子、回路35,36、およ
び画像メモリ37の挙動は、第7実施形態と等しい。信
号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画
像の輝度信号および2種類の色差信号を求める。このと
きの算出式は、上述の式(50)〜式(52)と類似で
あり、各対応画素の行列番号を行および列に関して入換
えた点だけが異なる。このようにして得られた第1出力
画像信号の輝度の基底帯域およびモアレのキャリア周波
数を表す空間周波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間
周波数軸に対して図51と線対称な図面である。すなわ
ち、図51の空間周波数平面図の水平および垂直方向
H,Vの空間周波数軸だけを入換えた図と等しい。
【0425】この図から、水平方向Hの空間周波数軸上
には、モアレのキャリア周波数が存在しないが、その近
傍の空間周波数(±fH/2,fV/3)にモアレのキ
ャリア周波数があることが分かる。したがって、水平方
向Hの基底帯域の実質の幅は、基底帯域の水平方向Hの
範囲の空間周波数±fH/2未満に縮小される。また、
垂直方向Vの空間周波数軸上の空間周波数±2fV/3
に、モアレのキャリア周波数があることがわかる。した
がって、第1出力画像信号の垂直方向Vの基底帯域の実
質の幅は、空間周波数±2fV/3未満に制限される。
したがって、本実施形態の通常モードの第1出力画像
は、第7実施形態の第1出力画像と比較して、垂直方向
Vの解像度が向上する。
【0426】上述の撮像装置の高解像度モードの画像光
の撮像動作は、第7実施形態の高解像度モードの画像光
の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子、回路35,3
6、および画像メモリ37の挙動は、第7実施形態と等
しい。このとき、画像光の第1および第2結像位置は、
水平方向Hに長さPHだけ相互に離れる位置関係を保
つ。イメージシフト機構62の屈折板71の仮想基準軸
線、および第2状態の屈折板71の傾斜角度は、この位
置関係に応じて画像光の光軸を平行移動させることがで
きるように、第7実施形態の設置状態と比較して、各部
材の水平および垂直方向H,Vを入換えて設置される。
【0427】信号処理回路44で生成される合成画像信
号の等価的な画素の基本配列パターンは、図53の基本
配列パターン213と類似であり、その対応画素の水平
および垂直方向の配列周期を保ったまま、行と列の配列
関係ならびに色配列の水平および垂直方向H,Vを入換
えた点が異なる。該回路44は、この合成画像信号か
ら、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信
号を求める。このときの算出式は、上述の式(55)〜
式(57)と類似であり、各対応画素の行列番号を行お
よび列に関して入換えた点だけが異なる。この第2出力
画像信号の輝度の基底帯域およびモアレのキャリア周波
数を表す空間周波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間
周波数軸に対して、図54と線対称な図面である。すな
わち、図54の空間周波数平面図の水平および垂直方向
の周波数だけを入換えた図と等しい。
【0428】この図から、第2出力画像信号の輝度の基
底帯域は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域と比較し
て、水平および垂直方向H,Vが等しく、原点から空間
周波数(fH/2,±fV)に向かう方向の範囲が2倍
に拡大されることがわかる。また、第1出力画像信号で
水平方向Hの空間周波数軸近傍に現れていたモアレのキ
ャリア周波数が消えるので、空間周波数±fH/2近傍
の空間周波数成分を制限する必要がなくなる。したがっ
て、画像光の空間周波数成分制限後の基底帯域の水平方
向Hの実質の幅が、基底帯域の範囲全域まで拡大され
る。これらのことから、第2出力画像の水平方向Hの解
像度は、第1出力画像よりも向上する。
【0429】以上の結果から、本実施形態の撮像装置の
第1および第2出力画像は、第7実施形態の第1および
第2出力画像と比較して、垂直方向Vの解像度が向上さ
れる。
【0430】本発明の第9実施形態の撮像装置を以下に
説明する。本実施形態の撮像装置の色フィルタ以外の構
成要素の構造は、第2実施形態の撮像装置と等しく、同
一の構成要素には同一の符号を付して説明は省略する。
本撮像装置は全画素読出し型の撮像素子131を用い、
通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像して、
異なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0431】色フィルタは、第2実施形態の色フィルタ
と、設置場所ならびに透光領域Lの数および配列が等し
く、通過可能な色彩光の組合わせおよび色配列が異な
る。ゆえに、透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの
配列周期は、それぞれ周期PH,PVである。また、通
過可能な第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青および緑
の3色である。
【0432】さらに該色フィルタでは、緑の透光領域L
が、赤および青の透光領域Lの数の2倍の数だけ準備さ
れる。緑の色彩光は、人の視覚において感度が高く、輝
度信号に対して赤および青の色彩光よりも寄与が大きい
ことが知られている。また、人の視覚に感じられる空間
周波数帯域は、色度よりも輝度のほうが広い。したがっ
て、緑の透光領域Lを増加させて緑の色彩光を受光する
受光領域PDの数を増やすことによって、輝度の空間周
波数帯域を拡大させることができる。
【0433】図56は、上述した色フィルタの透光領域
Lの色配列の基本配列パターン231を示す図である。
この基本配列パターン231は、2行2列に配列される
4つの透光領域Lから成る。このパターン231は、緑
の透光領域Lだけを2つ含み、赤および青の透光領域を
1つずつ含む。この基本配列パターン231において、
透光領域L(1,1),L(2,2)は、緑の透光領域
Lである。透光領域L(1,2)は、赤の透光領域Lで
ある。透光領域L(2,1)は、青の透光領域Lであ
る。
【0434】撮像素子131は、この色フィルタを介し
て結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力す
る。原画像信号の画素Dの配列、および該画素Dと受光
データとの対応関係は、図56の色フィルタの透光領域
Lの配列および色配列と等価であり、各対応画素は、単
一の色彩光の受光データを有する。
【0435】上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮
像動作は、第2実施形態の通常モードの画像光の撮像動
作と類似し、光学系、撮像素子131、回路35,3
6、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等
しい。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第
1出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求
める。たとえば図56の透光領域L(2,2)に対応す
る第2行第2列の画素D(2,2)の輝度データY
(2,2)、色差データ(R−Y)(2,2),(B−
Y)(2,2)は、以下の式で示される。画素D(2,
2)は、緑の受光データだけの対応画素である。
【0436】
【数24】
【0437】この輝度データYは、各画素D毎に個別的
に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素
は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画像
信号の輝度信号の実画素の数および配列は、原画像の対
応画素の数および配列と等しい。
【0438】原画像の全ての対応画素の配列の水平およ
び垂直方向H,Vの配列周期は、図56からそれぞれ周
期PH,PVとわかる。このことから、この第1出力画
像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサンプ
リング周波数は、それぞれ空間周波数fH,fVとみな
される。また、同一種類の対応画素だけの配列のうち、
緑の色彩光の対応画素だけの配列の水平,垂直および斜
め方向H,V,Uの配列周期は、図56から、それぞれ
周期PH,PV,2PUとわかる。また、赤および青の
色彩光の対応画素だけの各配列の水平、垂直および斜め
方向H,V,Uの配列周期は、図56から、それぞれ周
期2PH,2PV,2PUとわかる。このことから、色
差信号の水平、垂直、および斜め方向H,V,Uのサン
プリング周波数は、緑に関して空間周波数fH,fV,
fU/2、赤および青に関して空間周波数fH/2,f
V/2,fU/2とみなされる。
【0439】図57は、上述した第1出力画像信号の輝
度の基底帯域232、および色差信号のモアレのキャリ
ア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の
基底帯域232の水平および垂直方向Hの空間周波数軸
上の範囲は、第1実施形態の基底帯域111と等しく、
以下の式で表される。
【0440】 (−fH/2)≦f≦(fH/2) …(13) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(14) (−fu/2)≦f≦(fu/2) …(15) したがって、第1および第2象限の輝度の基底帯域23
2は、以下の4箇所を頂点とする矩形領域である。
【0441】(−fH/2,0) ( fH/2,0) (−fH/2,fV/2) ( fH/2,fV/2) この基底帯域232内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の5箇所に存在する。
【0442】(−fH/2,0) ( fH/2,0) (−fH/2,fV/2) ( fH/2,fV/2) ( 0,fV/2) 前述した第1状態の可変空間フィルタ90の第1減衰量
は、基底帯域232のうち、空間周波数±fH/2,±
fV/2近傍の空間周波数成分を減衰させるように定め
られる。これによって、基底帯域232の水平および垂
直方向H,Vの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域
232の各範囲全域よりも縮小される。これによって、
第1出力画像の水平および垂直方向H,Vの実質の解像
度は、その分だけ基底帯域232から推測される理想の
解像度よりも低下する。
【0443】上述の撮像装置の高解像度モードの画像光
の撮像動作は、第2実施形態の高解像度モードの画像光
の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子131、回路3
5,36、および画像メモリ37の挙動は、第2実施形
態と等しい。このとき、イメージシフト機構62は、画
像光の結像位置を、図14に表すように、水平方向Hに
間隔PHだけ離れた第1および第2結像位置Qa1,Q
b1に移動させる。信号処理回路44は、まず、第2実
施形態と同じ手法で第1および第2原画像信号から合成
画像信号を生成する。この合成画像は、M行N列に配列
されるM×N個の対応画素からなる。合成画像の水平お
よび垂直方向H,Vの画素の配列周期は、それぞれ周期
PH,PVである。各対応画素は、それぞれ異なる2種
類の色彩光の受光データを有する。
【0444】図58は、上述の合成画像信号が表す合成
画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン233
を示す図である。この基本配列パターン233は、2行
2列に配列される4つの画素からなる。画素D(1,
1),D(1,2)は、緑と赤との対応画素である。画
素D(2,1),D(2,2)は、緑と青の対応画素で
ある。図58では、緑と赤との対応画素には符号「F
a」を記し、緑と青との対応画素には、符号「Fb」を
記す。このことから、合成画像では、画素配列が原画像
の画素配列と等しく、また全画素が緑の対応画素である
ことが分かる。
【0445】信号処理回路44は、この合成画像信号か
ら、第2出力画像信号の輝度信号および2種類の色差信
号を求める。たとえば第2行第2列の画素D(2,2)
の輝度データY(2,2)、色差データ(R−Y)
(2,2),(B−Y)(2,2)は、以下の式で示さ
れる。画素D(2,2)は、緑と青との受光データだけ
の対応画素である。
【0446】
【数25】
【0447】この輝度データYは、合成画像の各対応画
素毎に個別的に直接求めることができる。ゆえに、合成
画像の対応画素は、全て輝度データの実画素となるの
で、第2出力画像信号の輝度信号の実画素の数および配
列は、合成画像の対応画素の数および配列と等しい。
【0448】合成画像の全ての対応画素の水平、垂直斜
め方向H,V,Uの配列周期、および緑の対応画素だけ
の該方向H,V,Uの配列周期は、図58からそれぞれ
周期PH,PV,PUとわかる。このことから、この第
2出力画像信号の輝度信号の水平、垂直斜め方向H,
V,Uのサンプリング周波数は、それぞれ空間周波数f
H,fV,fuとみなされる。また、赤および青の色彩
光の対応画素だけの各配列の水平および垂直方向H,V
の配列周期は、図58から、それぞれ周期PH,2PV
とわかる。このことから、色差信号の水平、垂直、およ
び斜め方向H,V,Uのサンプリング周波数は、緑に関
して空間周波数fH,fV,fU、赤および青に関して
空間周波数fH,fV/2,とみなされる。
【0449】このような第2出力画像信号の輝度の基底
帯域、および色差信号のモアレのキャリア周波数は、図
29に示す第2実施形態の撮像装置の第2出力画像信号
の輝度の基底帯域184、およびモアレのキャリア周波
数と等しい。すなわち、基底帯域が第1出力画像信号の
基底帯域232と等しく、モアレのキャリア周波数が
(0,fV/2)の位置だけに現れる。ゆえに、第2出
力画像は、第1出力画像と比較して、水平方向Hの解像
度を向上させることができる。
【0450】本発明の第10実施形態の撮像装置を以下
に説明する。本実施形態の撮像装置の色フィルタおよび
撮像素子以外の構成要素の構造は、第2実施形態の撮像
装置と等しく、同一の構成要素には同一の符号を付して
説明は省略する。該撮像装置は、全画素読出し型の撮像
素子131に代わって、第7実施形態の撮像装置の撮像
素子を用い、通常モードおよび高解像度モードで画像光
を撮像して、異なる解像度の第1および第2出力画像信
号を得る。
【0451】色フィルタは、第7実施形態の色フィルタ
と設置場所、通過可能な色彩光の組合わせ、ならびに透
光領域Lの数および配列が等しく、色配列だけが異な
る。ゆえに、第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青、お
よび緑の3色である。また、透光領域Lの水平および垂
直方向H,Vの配列周期は、受光領域PDの配列と等し
く、それぞれ周期PH/2,PVである。さらに、この
色フィルタは、第9実施形態の色フィルタと同じ理由か
ら、緑の透光領域が赤および青の透光領域の数の2倍の
数だけ準備される。
【0452】図59は、上述した色フィルタの透光領域
Lの色配列の基本配列パターン241を示す図である。
この基本配列パターン241は、4つの透光領域Lから
成る。この透光領域Lのうち、緑の透光領域Lだけが2
つあり、赤および青の透光領域Lは1つずつある。これ
ら透光領域Lは、2行4列の仮想配列に市松状に並べら
れた配列と等しく、各行の透光領域Lの間には、図示し
ない仮想の透光領域Lがあると見なすことができる。
【0453】この基本配列パターン241において、透
光領域L(1,1),L(2,4)は、緑の透光領域で
ある。透光領域L(1,3)は赤の透光領域である。透
光領域L(2,2)は、青の透光領域である。この基本
配列パターン241から成る色配列の色フィルタは、実
在の透光領域Lが少なくとも1つの実在の受光領域PD
の光入射側に配列されるように設置される。
【0454】上述の撮像素子は、この色フィルタを介し
て結像される画像光を撮像して、原画像信号を出力す
る。原画像信号の画素の配列、および該画素と受光デー
タとの対応関係は、図59の色フィルタの配列および色
配列と等価であり、各対応画素は、単一の色彩光の受光
データを有する。
【0455】上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮
像動作は、第7実施形態の通常モードの画像光の撮像動
作と類似し、光学系、回路35,36、および画像メモ
リ37の挙動は、第2実施形態と等しい。上述の撮像素
子の挙動は、図17の撮像素子131とほぼ等しい。信
号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1出力画
像信号の輝度信号および2種類の色差信号を求める。た
とえば第2行第4列の画素D(2,4)の輝度データY
(2,4)、色差データ(R−Y)(2,4),(B−
Y)(2,4)は、以下の式で示される。画素D(2,
4)は、緑の受光データだけの対応画素である。
【0456】
【数26】
【0457】この輝度データYは、各画素D毎に個別的
に直接求めることができる。ゆえに、原画像の対応画素
は、全て輝度データの実画素となるので、第1出力画像
信号の輝度信号の実画素の数および配列は、原画像の対
応画素の数および配列と等しい。
【0458】原画像の全ての対応画素の配列の水平およ
び垂直方向H,Vの配列周期は、図59からそれぞれ周
期PH/2,PVとわかる。このことから、この第1出
力画像信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサ
ンプリング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,fV
とみなされる。また、赤および青の色彩光の対応画素だ
けの各配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、
図59から、周期2PH,2PVとわかる。このことか
ら、色差信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリン
グ周波数は、空間周波数fH/2,fV/2とみなされ
る。
【0459】図60は、上述した第1出力画像信号の輝
度の基底帯域242、および色差信号のモアレのキャリ
ア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の
基底帯域242の水平および垂直方向Hの空間周波数軸
上の範囲は、以下の式で表される。
【0460】 −fH≦f≦fH …(53) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(54) さらに基底帯域242の第3斜め方向Wx,Wyの空間
周波数軸上の範囲は、上述のサンプリング周波数fw
x,fwyの半分となる。したがって、第1および第2
象限の輝度の基底帯域242は、以下の3箇所を頂点と
する三角形領域である。
【0461】(−fH,0) ( fH,0) ( 0,fV/2) この基底帯域242内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の5箇所に存在する。
【0462】(−fH ,0) ( fH ,0) (−fH/2,0) ( fH/2,0) ( 0,fV/2) さらに、基底帯域242近傍の以下の2箇所にも、色差
信号のモアレのキャリア周波数がある。
【0463】(−fH/2,fV/2) ( fH/2,fV/2) 前述した第1状態の可変空間フィルタ90の第1減衰量
は、基底帯域242のうち、空間周波数±fH/2上の
成分および空間周波数±fV/2上の成分を減衰させる
ように定められる。これによって、基底帯域242の垂
直方向Vの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域24
2の各範囲全域よりも縮小される。また、水平方向Hの
空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域242の範囲の
半分に縮小される。これによって、第1出力画像の水平
および垂直方向H,Vの実質の解像度は、その分だけ基
底帯域232から推測される理想の解像度よりも低下す
る。
【0464】上述の撮像装置の高解像度モードの画像光
の撮像動作は、第7実施形態の高解像度モードの画像光
の撮像動作と類似し、光学系、回路35,36、および
画像メモリ37の挙動は、第2実施形態と等しい。撮像
素子の挙動は、撮像素子131とほぼ等しい。このと
き、イメージシフト機構62は、画像光の結像位置を、
図14の第1および第2結像位置Qa1,Qb1に移動
させる。
【0465】信号合成回路44は、まず、第2実施形態
と同じ手法で第1および第2原画像信号から合成画像信
号を生成する。この合成画像は、M×N個の対応画素お
よび同数の仮想画素がM行2N列に配列されてなる。各
対応画素は、2種類の受光データを有する。合成画像の
水平および垂直方向H,Vの画素の配列周期は、それぞ
れ周期PH/2,PVである。
【0466】図61は、上述の合成画像信号が表す合成
画像の等価的な画素Dの配列の基本配列パターン243
を示す図である。この基本配列パターン243は、2行
4列に配列される8個の画素からなる。画素D(1,
1),D(1,3)は、緑と赤との対応画素である。D
(2,2),D(2,4)は、緑と青との対応画素であ
る。残余の画素は、全て仮想画素である。このことか
ら、合成画像の対応画素の配列は原画像の対応画素の配
列と等しく市松状であることがわかる。
【0467】次いで信号処理回路44は、この合成画像
信号から、第2出力画像の輝度信号および2種類の色差
信号を求める。たとえば第2行第2列の画素D(2,
2)の輝度データY(2,2)、色差データ(R−Y)
(2,2),(B−Y)(2,2)は、以下の式で示さ
れる。画素D(2,2)は、緑および青の受光データの
対応画素である。
【0468】
【数27】
【0469】この輝度データYは、合成画像の各対応画
素だけ個別的に直接求めることができる。仮想画素の輝
度データは、周囲の対応画素の算出結果から補間する。
ゆえに、合成画像の対応画素は、全て輝度データの実画
素となるので、第2出力画像信号の輝度信号の実画素の
数および配列は、合成画像の対応画素の数および配列と
等しく市松状である。
【0470】合成画像の全ての対応画素の水平および垂
直方向H,Vの配列周期、および緑の対応画素だけの該
方向H,Vの配列周期は、図61からそれぞれ周期PH
/2,PVとわかる。このことから、この第2出力画像
信号の輝度信号の水平および垂直方向H,Vのサンプリ
ング周波数は、それぞれ空間周波数2fH,fVとみな
される。また、赤および青の色彩光の対応画素だけの各
配列の水平および垂直方向H,Vの配列周期は、図61
から、それぞれ周期PH,2PVとわかる。このことか
ら、色差信号の水平、および垂直方向H,Vのサンプリ
ング周波数は、緑に関して空間周波数2fH,fV、赤
および青に関して空間周波数fH,fV/2,とみなさ
れる。さらに、図61から、前述の第2斜め方向Uαの
配列周期が2倍となったことがわかる。
【0471】図62は、上述した第2出力画像信号の輝
度の基底帯域244、および色差信号のモアレのキャリ
ア周波数の位置を示す空間周波数平面図である。輝度の
基底帯域244は、第1出力画像信号の基底帯域242
と等しく、その水平および垂直方向Hの空間周波数軸上
の範囲は、以下の式で表される。
【0472】 −fH≦f≦fH …(53) (−fV/2)≦f≦(fV/2) …(54) この第1および第2象限の輝度の基底帯域244は、以
下の3箇所を頂点とする三角形領域である。
【0473】(−fH,0) ( fH,0) ( 0,fV/2) この基底帯域244内に現れる色差信号のモアレのキャ
リア周波数は、以下の3箇所に存在する。
【0474】(−fH ,0) ( fH ,0) ( 0,fV/2) 前述した第2状態の可変空間フィルタ90は画像光の空
間周波数成分のうち、空間周波数±fV/2の空間周波
数成分を減衰させる。これによって、基底帯域244の
垂直方向Vの空間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域2
44の垂直方向Vの範囲全域よりも縮小される。また、
第2状態のフィルタ90は、水平方向Hの空間周波数成
分を減衰させないが、光学系のMTFおよび撮像素子の
アパーチャ効果によって、水平方向Hの空間周波数±f
H近傍の成分が減衰される。これによって、基底帯域2
44の水平方向Hの空間周波数軸上の実質の幅は、基底
帯域242の範囲未満に縮小されるが、第1出力画像信
号の実質の幅よりも拡大する。これによって、第2出力
画像の水平方向Hの実質の解像度が、第1出力画像の水
平方向Hの実質の解像度よりも向上される。
【0475】本発明の第11実施形態の撮像装置を以下
に説明する。本実施形態の撮像装置の光学系、色フィル
タおよび撮像素子以外の構成要素の構造は、第10実施
形態の撮像装置と等しく、同一の構成要素には同一の符
号を付して説明は省略する。本実施形態の撮像装置は、
第8実施形態に示す全画素読出し型の撮像素子を用い、
通常モードおよび高解像度モードで画像光を撮像し、異
なる解像度の第1および第2出力画像信号を得る。
【0476】光学系のうち、イメージシフト機構62お
よび可変空間フィルタ90の内部構造は等しいが、その
設置状態が異なる。機構62については後述する。フィ
ルタ90は、複屈折板91の分離ベクトルB1が、水平
方向Hと平行になるように設置される。これによって、
第1状態のフィルタ90は、水平および垂直方向H,V
の空間周波数成分のうち、空間周波数±fH/2の成分
を減衰させ、また空間周波数±fV/2の成分の振幅を
減衰させる。また、第2状態のフィルタ90は、水平方
向Hの空間周波数成分のうち、空間周波数±fH/2の
成分の振幅を減衰させる。
【0477】色フィルタは、その設置場所、通過可能な
色彩光の組合わせ、ならびに透光領域の数が第10実施
形態の色フィルタと等しく、色配列だけが異なる。ゆえ
に、第1〜第3色彩光は、原色系の赤、青および緑の3
色である。透光領域Lの水平および垂直方向H,Vの配
列周期は、それぞれ周期PH,PV/2であり、第8実
施形態の色フィルタと等しい。また、該色フィルタは、
第9実施形態の色フィルタと同じ理由で、緑の透光領域
が赤および青の各透光領域の数の2倍の数だけ準備され
る。
【0478】図63は、上述の色フィルタの透光領域L
の色配列の基本配列パターン246を示す図である。こ
の基本配列パターン246は、4つの透光領域Lからな
り、第1〜第3色彩光を通過させる。これら透光領域L
は、隣接する2つの列の各透光領域Lが、長さPV/2
だけ相互にずれて配列され、4行2列の基本の配列に市
松状に並べられた配列と等価である。
【0479】この基本配列パターン246において、透
光領域L(1,1),L(4,2)は、緑の透光領域で
ある。透光領域L(3,1)は、赤の透光領域である。
透光領域L(2,2)は、青の透光領域である。この基
本配列パターン246は、第10実施形態の撮像装置の
色フィルタの基本配列パターンの透光領域Lの行と列と
の配列関係および色配列を水平および垂直方向H,Vに
対して入換えた配列である。
【0480】撮像素子は、この色フィルタを介して結像
される画像光を撮像して、原画像信号を出力する。原画
像信号の画素の配列および各画素と受光データとの対応
関係は、この色フィルタの画素配列および色配列と等価
であり、各対応画素は単一の色彩光の受光データだけを
有する。
【0481】上述の撮像装置の通常モードの画像光の撮
像動作は、第10実施形態の通常モードの画像光の撮像
動作と類似し、光学系、撮像素子、回路35,36、お
よび画像メモリ37の挙動は、第10実施形態と等し
い。信号処理回路44は、単一の原画像信号から、第1
出力画像の輝度信号および2種類の色差信号を求める。
このときの算出式は、上述の式(67)〜式(69)と
類似であり、各基底帯域244の対応画素の行列番号を
行および列に関して入換えた点だけが異なる。
【0482】このようにして得られた第1出力画像信号
の基底帯域およびモアレのキャリア周波数を表す空間周
波数平面図は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対し
て、図60と線対称な図形である。すなわち、図60の
空間周波数平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周
波数軸だけを入換えた図と等しい。
【0483】この図から、水平および垂直方向H,Vの
空間周波数軸上の空間周波数±fH/2,±fV/2
に、それぞれモアレのキャリア周波数があることがわか
る。したがって、第1出力画像信号の輝度の基底帯域の
水平および垂直方向H,Vの実質の幅は、空間周波数±
fH/2,±fV/2未満にそれぞれ制限される。した
がって、本実施形態の通常モードの第1出力画像の解像
度は、第10実施形態の第1出力画像信号とほぼ等し
い。
【0484】上述の撮像装置の高解像度モードの画像光
の撮像動作は、第10実施形態の高解像度モードの画像
光の撮像動作と類似し、光学系、撮像素子、回路35,
36、および画像メモリ37の挙動は、第10実施形態
と等しい。このとき、画像光の第1および第2結像位置
の位置関係は、垂直方向Vに長さPVだけ相互に離れる
ように定められる。イメージシフト機構62の仮想基準
軸線の設置状態および第2状態の屈折板71の傾斜角度
は、画像光の光軸を上述の第1および第2結像位置に平
行移動させられるように、第10実施形態と比較して、
各部材の設置状態の水平および垂直方向H,Vを入換え
るように定められる。
【0485】信号処理回路44で生成される合成画像信
号の等価的な画素の基本配列パターンは、図61の基本
配列パターン243と類似であり、その配列周期が等し
く、その対応画素の色配列の水平および垂直方向H,V
だけを入換えた配列である。該回路44は、この合成画
像信号から、第2出力画像信号の輝度信号および2種類
の色差信号を求める。このときの算出式は、上述の式
(70)〜式(72)と類似であり、各対応画素の行列
番号を行および列に関して入換えた点だけが異なる。
【0486】この第2出力画像信号の輝度の基底帯域お
よびモアレのキャリア周波数を表す空間周波数平面図
は、第1斜め方向Uxの空間周波数軸に対して、図62
と線対称の図形である。すなわち、図62の空間周波数
平面図の水平および垂直方向H,Vの空間周波数軸だけ
を入換えた図と等しい。
【0487】この図から、第2出力画像信号の輝度の基
底帯域は、第1出力画像信号の輝度の基底帯域と等しい
ことがわかる。また、第1出力画像信号で垂直方向Hの
空間周波数±fV/2に現れるモアレのキャリア周波数
が消える。これによって、該基底帯域の垂直方向Vの空
間周波数軸上の実質の幅は、基底帯域の範囲未満に縮小
されるが、第1出力画像信号の実質の幅よりも拡大す
る。これによって、第2出力画像信号の垂直方向Vの実
質の解像度が、第1出力画像信号の実質の解像度よりも
向上される。以上の結果から、本実施形態の撮像装置の
第2出力画像の解像度は、第10実施形態の第2出力画
像と比較して、垂直方向Vに関して向上される。
【0488】上述の第1〜第11実施形態の撮像装置で
は、イメージシフト機構62に代わって、以下に説明す
る可変頂角プリズム251を用いても良い。
【0489】可変頂角プリズム251を、図64〜図6
7を用いて以下に詳細に説明する。この可変頂角プリズ
ムは、たとえば「ITEJ Technical Report Vol.17,No.
5,pp.15〜20,CE'93-3(Jan,1993)」に開示されている。
【0490】図64は、可変頂角プリズム251の具体
的な構成を説明するための斜視図である。図65は、可
変頂角プリズム251のA−A断面図である。図64と
図65とを併せて説明する。
【0491】可変頂角プリズム251は、透明円板25
3,254、蛇腹部材255、および液体層256を含
んで構成される。蛇腹部材255は略円筒状のフィルム
部材によって形成され、その中心軸線に沿って中空部分
が形成される。透明円板253,254はたとえばガラ
ス板で実現され、蛇腹部材255の中空部分の開口部を
ふさぐように設置される。液体層256は、透明円板2
53,254で蛇腹部材255の内部の中空部分を密閉
する前に、その中空部分に、屈折率が1以上の高屈折率
の液体を充填して形成される。蛇腹部分255の中心軸
線と画像光の光軸方向Zとは平行であり、画像光の光軸
64は、透明円板253、液体層256および透明円板
254をこの順で通過する。
【0492】また、透明円板253,254には、相互
に直交する方向に回転軸258,259が設置される。
これによって、たとえば各透明円板253,254は、
矢符260,261に示す相互に直交する2方向に角変
位する。この2本の回転軸の258,259のうち、一
方の回転軸258は、前述したイメージシフト機構62
の仮想基準軸線と同じ方向に平行となるように設置され
る。また、他方の回転軸259が機構62の仮想基準軸
線と同じ方向に平行となるように設置されても良い。
【0493】これら回転軸258,259には、駆動手
段として、図示しない駆動用コイル、制動用コイルおよ
び回転角検出センサが取付けられる。駆動用コイルおよ
び制動用コイルが透明円板253を角変位させるとき、
回転角検出センサは、その角変位量を常に検出する。該
コイルは、この検出結果に基づいて、透明円板253の
光軸64に対する傾斜角度を徴調整する。たとえば、セ
ンサの検出結果と予め定める目標値とを比較してその誤
差量を求め、該誤差量が0となるように、透明円板25
3の角変位量を決定して、各コイルを駆動する。この制
御手法は、いわゆるフィードバック制御である。
【0494】可変頂角プリズム251は、透明円板25
3,254のなす角度に応じて、第1および第2状態を
取る。プリズム251が第1および第2状態を保持する
とき、画像光の結像位置は、第1および第2結像位置に
それぞれ保持される。可変頂角プリズムの251の作動
原理について、以下に説明する。
【0495】図66は、第1状態の可変頂角プリズム2
51を示す断面図である。第1状態では、透明円板25
3,254は相互に平行に設置され、かつ各透明円板2
53,254が、入射前の画像光の光軸64aと直交す
る。このとき、プリズム251に入射した光線は、液晶
層256内を直進する。ゆえに、プリズム251射出後
の画像光の光軸64bは、入射前の光軸64aの延長線
と一致する。
【0496】図67は、第2状態の可変頂角プリズム2
51を示す断面図である。第2状態では、透明円板25
3の入射面の法線と入射前の画像光の光軸64aとのな
す角度が角度θ11となるように、透明円板253が傾
斜される。また、透明円板254は、光軸64aと直交
する。
【0497】このとき、透明円板253を通過して、液
体層256に入射した画像光の光軸265は、透明平板
253の法線264と、角度θ12をなして交差する。
この角度θ12と角度θ11との間には、以下の関係が
成立つ。
【0498】 sin(θ11)= n・ sin(θ12) …(73) 上式で、「n」は、液体層256の充填液体の屈折率を
表す。
【0499】この画像光は、液体層256内を直進し、
透明円板254を通過して、プリズム251から射出す
る。このとき、この画像光の透明円板254への入射角
は、角度θ11と角度θ12との差分である角度θ11
−θ12である。また、プリズム251射出後の光軸6
4bと、透明平板254の入射面の法線266とのなす
角度は、角度θ13である。これら角度θ11−θ1
2,θ13の間には、以下の関係が成立つ。
【0500】 n・ sin(θ11−θ12)= sin(θ13) …(74) ここで角度θ11,θ12,θ13をそれぞれ微少角度
δθ11,δθ12,δθ13とすると、次の近似式が
成立つ。
【0501】 δθ11=n・δθ12 …(75) n・δ(θ11−θ12)=δθ13 …(76) 上式から、微小角δθ11,δθ13の間に以下の関係
が成立つ。
【0502】 δθ13/δθ11 = n−1 …(77) 上式から、たとえば屈折率nの値が1.5程度の液体で
液体層256を形成すると、透明円板253の傾斜角度
の約半分の角度で、射出後の画像光の光軸を傾斜させる
ことができる。
【0503】以上のような動作に基づいて、画像光の光
軸を移動させることができる。この可変頂角プリズム2
51の状態を第1および第2結像位置のそれぞれ切換え
ることによって、上述のイメージシフト動作を行うこと
が可能になる。
【0504】さらにまた、上述の第1〜第11実施形態
の撮像装置は、イメージシフト機構62に代わって、光
学系内のいずれか1つまたは複数のレンズを、移動量を
検出しながら圧電素子などの構成部材を用いて変位させ
る構成を有し、レンズの移動によって、イメージシフト
動作を行ってよい。また、イメージシフト機構62に代
わって、撮像素子または撮像素子と光学系とを含むブロ
ックを、移動量を検出しながら圧電素子などの構成部材
を用いて変位させる構成を有し、画像光の光軸を固定し
た状態での撮像素子の移動によって、イメージシフト動
作を行ってよい。このようにイメージシフト動作のため
の機構は、上述の第1および第2結像位置に結像位置を
移動できるものであれば、上述の機構に限らずどのよう
な構造の機構を用いても良い。
【0505】さらに、上述のイメージシフト機構62の
屈折板71は、無色透明のガラス板に代わって、赤外線
除去用に着色された有色透明平板で実現されてもよい。
このとき、撮像装置の光学系には、必ず赤外線除外用の
透明平板を挿入する必要があるので、屈折板71とこの
透明平板とを併用させることによって、撮像装置の部品
点数を減少させることができる。
【0506】また、可変空間フィルタは、上述の第1お
よび第2減衰量で画像光の空間周波数成分を減衰させる
ことができるものがあれば、上述の機構に限らずどのよ
うな構造の装置を用いても良い。
【0507】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、本発明の
撮像装置は、2ポジションイメージシフト動作を行って
得た2つの原画像信号から、単一の合成画像信号を生成
する。これによって、本発明の撮像装置の等価撮像時間
が、従来技術の撮像装置の等価撮像時間の半分以下にな
るので、手ぶれおよび被写体移動に起因する画質劣化が
生じにくい。したがって、イメージシフトの画像合成処
理によって解像度を向上させることができる撮像条件が
緩和される。
【0508】また、2ポジションイメージシフト動作
は、結像位置の移動方向が1方向だけなので、結像位置
の移動手段の構造が従来の装置よりも簡略化される。さ
らに、該シフト動作では、合成処理前に原画像信号をス
トアするためのメモリの容量がを従来の装置よりも減少
する。これによって、移動手段およびメモリに関する製
造コストを低減させることができる。
【0509】また本発明によれば、撮像装置は、表示手
段の主走査方向の空間周波数軸に関し、原画像信号に生
じたモアレを合成処理で除去することができるように、
イメージシフト動作を行う。さらにまた本発明によれ
ば、イメージシフト動作の第1および第2結像位置は、
上述したようにモアレの除去効果が生じ、同時に基底帯
域が水平方向に拡大されるように、色分離フィルタ手段
の各透光領域の色配列、撮像素子の種類を加味して決定
される。これによって、少なくとも水平方向の空間周波
数軸に関して、本来の合成画像信号の空間周波数平面上
の基底帯域の幅を制限する必要がなくなる。したがっ
て、基底帯域の幅を広げたことと同様の効果を得ること
ができ、画像の解像度を向上させることができる。
【0510】また本発明によれば、撮像装置では、2次
元CCDイメージセンサの電子シャッタと、機械的なシ
ャッタ手段とを併用して、画像光撮像時の露光時間を制
御する。これによって、イメージセンサの転送用電荷結
像素子の動作状態に拘わらず、2回目の画像光の撮像を
行うことができるので、等価撮像時間をさらに短縮する
ことができる。したがって、合成画像に画質に対する手
ぶれおよび被写体移動の影響をさらに軽減することがで
きる。
【0511】さらにまた本発明によれば、前記移動手段
は、屈折板を圧電素子で駆動する構成を有する。この移
動手段は、構成要素が少なく、さらに傾斜板を含む各構
成部材の小型化が容易であるので、携帯用の撮像装置に
も適用することができる。
【0512】また本発明によれば、前記移動手段は、光
学的手ぶれ補正装置にも用いられる可変頂角プリズムで
ある。これによって、光学的手ぶれ補正装置をこの撮像
装置に組み込むとき、装置の部品点数を減少させること
ができる。
【0513】また本発明によれば、撮像装置は、原画像
信号と合成画像信号とをそれぞれ出力する2つのモード
を有し、各モードごとに可変空間フィルタにおける空間
周波数成分の減衰量を変更する。これによって、原画像
および合成画像の両方の画質を充分に保つことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である撮像装置31の構
成を示すブロック図である。
【図2】撮像素子34の結像面の具体的な構成を示す平
面図である。
【図3】色フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パ
ターン56を示す図である。
【図4】原画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パタ
ーン57を示す図である。
【図5】光学系33の集光レンズ61,およびイメージ
シフト機構62の屈折板71、ならびに撮像素子64の
位置関係を示す図である。
【図6】イメージシフト機構62の具体的な構成を示す
斜視図である。
【図7】可変空間フィルタ90の具体的な構成を示す斜
視図である。
【図8】第1状態の可変空間フィルタ90の複屈折板9
1〜93の分離ベクトルB1〜B3を示す図である。
【図9】第1状態の可変空間フィルタ90の複屈折板9
1〜93を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面
を示す図である。
【図10】第2状態の可変空間フィルタ90の複屈折板
93の分離ベクトルB3aを示す図である。
【図11】第2状態の可変空間フィルタ90の複屈折板
93を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面を示
す図である。
【図12】水平方向Hの空間周波数軸に対する輝度信号
および色差信号のスペクトルを示すグラフである。
【図13】第1出力画像信号の輝度の基底帯域111お
よび色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波
数平面図である。
【図14】高解像度モードでの撮像素子34の結像面に
おける画像光の第1および第2結像位置Qa1,Qb1
の位置関係を示す図である。
【図15】合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列
パターン113を示す図である。
【図16】第2出力画像信号の輝度の基底帯域115お
よび色差信号のモアレのキャリア周波数を示す空間周波
数平面図である。
【図17】本発明の第2実施形態である撮像装置の撮像
素子131の結像面の具体的な構成を示す平面図であ
る。
【図18】第2実施形態の撮像装置に備えられるシャッ
タ機構141の具体的な構成を示す斜視図、およびシャ
ッタ板143の正面図である。
【図19】第2実施形態の撮像装置の高解像度モードに
おいて、シャッタの開閉動作、オーバフロードレインの
開閉動作、電荷読出し動作、露光動作、光軸の変位動
作、およびデータ転送動作の動作タイミングを示すタイ
ミングチャートである。
【図20】第2実施形態のシャッタ機構141の電気的
構成を示すブロック図である。
【図21】従来技術の撮像装置における高解像度モード
の等価撮像時間Tes0を説明するためのタイミングチ
ャートである。
【図22】電子シャッタだけを用いた2ポジションイメ
ージシフトの全画素読出し型撮像装置における等価撮像
時間Tes1を説明するためのタイミングチャートであ
る。
【図23】第2実施形態の撮像装置の高解像度モードに
おける等価撮像時間Tes2を説明するためのタイミン
グチャートである。
【図24】第1実施形態の撮像装置31の高解像度モー
ドにおける等価撮像時間Tes3を説明するためのタイ
ミングチャートである。
【図25】電子シャッタおよびシャッタ機構を併用した
2ポジションイメージシフトの2画素混合読出し型撮像
装置における等価撮像時間Tes4を説明するためのタ
イミングチャートである。
【図26】第2実施形態の撮像装置の色フィルタの透光
領域Lの色配列の基本配列パターン181を示す図であ
る。
【図27】第2実施形態の撮像装置の第1出力画像信号
の輝度の基底帯域182、および色差信号のモアレのキ
ャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図28】第2実施形態の撮像装置の高解像度モードの
合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン1
83を示す図である。
【図29】第2実施形態の撮像装置の第2出力画像信号
の輝度の基底帯域184、および色差信号のモアレのキ
ャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図30】本発明の第3実施形態である撮像装置の色フ
ィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン186
を示す図である。
【図31】本発明の第4実施形態である撮像装置の色フ
ィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン191
を示す図である。
【図32】第4実施形態の撮像装置に備えられる可変空
間フィルタ200の具体的な構成を示す斜視図である。
【図33】第1状態の可変空間フィルタ200の複屈折
板201〜203の分離ベクトルB4〜B6を示す図で
ある。
【図34】第1状態の可変空間フィルタ200の複屈折
板201〜203を通過した画像光の結像位置を表す仮
想結像面を示す図である。
【図35】第2状態の可変空間フィルタ200の複屈折
板203の分離ベクトルB6aを示す図である。
【図36】第2状態の可変空間フィルタ200の複屈折
板203を通過した画像光の結像位置を表す仮想結像面
を示す図である。
【図37】第4実施形態の撮像装置の第1出力画像信号
の輝度の基底帯域192、および色差信号のモアレのキ
ャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図38】第4実施形態の撮像装置の高解像度モードで
の撮像素子の結像面における画像光の第1および第2結
像位置Qa4,Qb4の位置関係を示す図である。
【図39】第4実施形態の撮像装置の高解像度モードの
合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン1
93を示す図である。
【図40】第4実施形態の撮像装置の第2出力画像信号
の輝度の基底帯域194、および色差信号のモアレのキ
ャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図41】本発明の第5実施形態である撮像装置の第2
出力画像信号の輝度の基底帯域196、および色差信号
のモアレのキャリア周波数を示す空間周波数平面図であ
る。
【図42】本発明の第6実施形態である撮像装置の色フ
ィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン198
を示す図である。
【図43】第6実施形態の撮像装置の高解像度モードで
の固体撮像素子の結像面における画像光の第1および第
2結像位置Qa6,Qb6の位置関係を示す図である。
【図44】本発明の第7実施形態である撮像装置の色フ
ィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン211
を示す図である。
【図45】第7実施形態の撮像装置に備えられる可変空
間フィルタ220の具体的構造を示す斜視図である。
【図46】第1状態の可変空間フィルタ220の複屈折
板221〜225の分離ベクトルB11〜B15を示す
図である。
【図47】複屈折板221,224,225の分離ベク
トルB11,B14,B15の関係を示す図である。
【図48】第1状態の可変空間フィルタ200の複屈折
板221〜225を通過した画像光の結像位置を表す仮
想結像面を示す図である。
【図49】第2状態の可変空間フィルタ200の複屈折
板223,225の分離ベクトルB13a,B15aを
示す図である。
【図50】第2状態の可変空間フィルタ200の複屈折
板223〜225を通過した画像光の結像位置を表す仮
想結像面を示す図である。
【図51】第7実施形態の撮像装置の第1出力画像信号
の輝度の基底帯域212、および色差信号のモアレのキ
ャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図52】第7実施形態の撮像装置の高解像度モードで
の撮像素子の結像面における画像光の第1および第2結
像位置Qa7,Qb7の位置関係を示す図である。
【図53】第7実施形態の撮像装置の高解像度モードの
合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン2
13を示す図である。
【図54】第7実施形態の撮像装置の第2出力画像信号
の輝度の基底帯域214、および色差信号のモアレのキ
ャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図55】本発明の第8実施形態である撮像装置の色フ
ィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン216
を示す図である。
【図56】本発明の第9実施形態である撮像装置の色フ
ィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン231
を示す図である。
【図57】第9実施形態の撮像装置の第1出力画像信号
の輝度の基底帯域232、および色差信号のモアレのキ
ャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図58】第9実施形態の撮像装置の高解像度モードの
合成画像の画素Dの等価的な配列の基本配列パターン2
33を示す図である。
【図59】本発明の第10実施形態である撮像装置の色
フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン24
1を示す図である。
【図60】第10実施形態の撮像装置の第1出力画像信
号の輝度の基底帯域242、および色差信号のモアレの
キャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図61】第10実施形態の撮像装置の高解像度モード
の合成画像の画素の等価的な配列の基本配列パターン2
43を示す図である。
【図62】第10実施形態の撮像装置の第2出力画像信
号の輝度の基底帯域244、および色差信号のモアレの
キャリア周波数を示す空間周波数平面図である。
【図63】本発明の第11実施形態である撮像装置の色
フィルタの透光領域Lの色配列の基本配列パターン24
6を示す図である。
【図64】本発明の第1〜第11実施形態の撮像装置の
イメージシフト機構の別の例である可変頂角プリズム2
51を示す斜視図である。
【図65】図63の可変頂角プリズム251のA−A断
面図である。
【図66】第1状態の図63の可変頂角プリズム251
のA−A断面図である。
【図67】第2状態の図63の可変頂角プリズム251
のA−A断面図である。
【図68】第2の従来技術である電子スチルカメラ1の
構成を示すブロック図である。
【図69】電子スチルカメラ1の撮像素子4の光入射側
に備えられる色フィルタ16の透光領域17の配列状態
を示す図である。
【図70】電子スチルカメラ1の高解像度モードの第1
の例において、撮像素子の結像面における画像光の結像
位置の移動位置の位置関係を示す図である。
【図71】電子スチルカメラ1の高解像度モードの第1
の例において生成される出力画像のうち、基本配列パタ
ーン21に対応する部分の出力画像の画素配列を示す図
である。
【図72】電子スチルカメラ1の高解像度モードの第2
の例において、固体撮像素子の結像面における画像光の
結像位置の移動位置の位置関係を示す図である。
【図73】電子スチルカメラ1の高解像度モードの第2
の例において生成される出力画像のうち、基本配列パタ
ーン21に対応する部分の出力画像の画素配列を示す図
である。
【符号の説明】
31 撮像装置 33 光学系 34,131 撮像素子 37 画像メモリ 44 信号処理回路 45 記録媒体 62 イメージシフト機構 71 屈折板 251 可変頂角プリズム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥田 徹 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の色彩光にそれぞれ対応し、入射さ
    れる被写体からの画像光のうちの対応する色彩光だけを
    個別的に通過させる複数の透光領域を有し、該透光領域
    が2次元平面上に予め定める配列で配列される色分離フ
    ィルタと、 画像光を撮像して画像信号を出力する撮像素子であっ
    て、 色分離フィルタの透光領域に個別的に対応した受光領域
    が、透光領域の予め定める配列と同等の配列で2次元平
    面上に配列され、 各受光領域では対応した透光領域を通過した色彩光だけ
    を受光し、 各受光領域の受光量を示す画素データから構成される画
    像信号を出力する撮像素子と、 撮像素子に入射される画像光の結像位置を、予め定める
    第1および第2移動位置に相対的に移動させる移動手段
    と、 移動手段における結像位置の移動が行われるたびに、予
    め定める露光時間だけ撮像素子における画像光の受光を
    許容する露光許容手段と、 撮像素子の出力に応答し、出力された2つの画像信号を
    撮像時の結像位置の離反量だけ位置の移動方向とは逆方
    向にずらして重ね合わせて、合成画像信号を生成する画
    像生成手段と、 画像光の撮像が開始されると、移動手段によって画像光
    の結像位置を第1および第2移動位置のいずれか一方位
    置に移動させ、該移動位置において露光許容手段に許容
    される間だけ撮像素子に画像光を撮像させて画像信号を
    画像生成手段に与え、次いで移動手段によって結像位置
    をいずれか他方位置に移動させ、該移動位置において露
    光許容手段に許容される間だけ撮像素子に画像光を撮像
    させて画像信号を画像生成手段に与える制御手段とを含
    むことを特徴とする撮像装置。
  2. 【請求項2】 前記合成画像信号は、複数の画素データ
    から構成され、 合成画像信号が表す合成画像を目視表示する目視表示領
    域を有する表示手段であって、 目視表示領域は、合成画像信号の各画素データを目視表
    示する複数の表示画素が、2次元平面上に、相互に直交
    する予め定める主走査方向および副走査方向にそれぞれ
    平行に、行列状に配列されて形成され、 主走査方向に沿う表示画素の配列数が、副走査方向に沿
    う表示画素の配列数よりも多くなる表示手段をさらに有
    し、 前記第1および第2移動位置は、合成画像の主走査方向
    の空間周波数のモアレを消すことができる方向に離反し
    ていることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  3. 【請求項3】 前記色分離フィルタの透光領域は、第1
    〜第4色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第4透光領域
    を含み、 該透光領域の前記予め定める配列は、 相互に直交する一方および他方方向にそれぞれ平行に、
    一方方向に予め定める第1周期でかつ他方方向に予め定
    める第2周期で配列される行列状の配列であって、 第1および第4透光領域が一方方向に沿って隣接して交
    互に直線状に配列される第1群と、第2および第3透光
    領域が一方方向に沿って隣接して交互に直線状に配列さ
    れる第2群とが、他方方向に沿って交互に隣接し、 第2透光領域には、他方方向に沿って両側に第1透光領
    域と第4透光領域とがそれぞれ隣接し、 第4透光領域には、他方方向に沿って両側に第2透光領
    域が隣接しており、前記撮像素子は、前記各受光領域か
    らの画素データを、他方方向に沿って隣接する2つの各
    受光領域毎に混合して、一括して出力し、 前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、 前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の
    周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とす
    る請求項1記載の撮像装置。
  4. 【請求項4】 前記色分離フィルタの複数の透光領域
    は、第1〜第4色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第4
    透光領域に区分され、 該透光領域の前記予め定める配列は、 相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそ
    れぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他
    方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列
    であって、 第1透光領域には、一方方向に沿って両側に第4透光領
    域が隣接し、かつ他方方向に沿った第1の向き側に第2
    透光領域が隣接し、さらに他方方向に沿って第1の向き
    と反対の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、 第4透光領域には、他方方向に沿った第2の向き側に第
    2透光領域が隣接し ており、 前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個
    別的に出力し、 前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、 前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の
    周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とす
    る請求項1記載の撮像装置。
  5. 【請求項5】 前記色分離フィルタの透光領域は、第1
    〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3透光領域
    に区分され、 該透光領域の予め定める配列は、 相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそ
    れぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他
    方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列
    であって、 第1透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第
    2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿って第1の向き
    と反対側の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、さら
    に他方方向に沿って両側に第1透光領域が隣接し、 第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第
    3透光領域が隣接し、他方方向に沿って両側に第2透光
    領域が隣接し、 第3透光領域には、他方方向に沿って両側に第3透光領
    域が隣接しており、前記撮像素子は、前記各受光領域か
    らの画素データを、他方方向に沿って隣接する2つの各
    受光領域毎に混合して、一括して出力し、 前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、 前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の
    周期の長さの2分の3倍の長さだけ、かつ他方方向に第
    2の周期の長さの半分の長さだけ相互にずれた位置であ
    ることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  6. 【請求項6】 前記色分離フィルタの透光領域は、第1
    〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3透光領域
    に区分され、 該透光領域の予め定める配列は、 相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそ
    れぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他
    方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列
    であって、 第1透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第
    2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿って第1の向き
    と反対側の第2の向き側に第3透光領域が隣接し、さら
    に他方方向に沿って両側に第1透光領域が隣接し、 第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第
    3透光領域が隣接し、他方方向に沿って両側に第2透光
    領域が隣接し、 第3透光領域には、他方方向に沿って両側に第3透光領
    域が隣接しており、前記画像信号は、前記各受光領域か
    らの画素データを個別的に出力し、 前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、 前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の
    周期長さの2分の3倍の長さだけ、かつ他方方向に第2
    周期の長さの半分の長さだけ相互にずれた位置であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  7. 【請求項7】 前記色分離フィルタの複数の透光領域
    は、第1〜第3色彩光をそれぞれ通過させる第1〜第3
    透光領域に区分され、 該透光領域の前記予め定める配列は、 予め定める一方方向に平行に第1周期で直線状に配列さ
    れた群が、一方方向と直交する他方方向に沿って第2周
    期で配列され、かつ他方方向に隣接する2つの群の各透
    光領域が一方方向に第1周期の半分の長さだけずれる配
    列であって、第1透光領域には、一方方向に沿った第1
    の向き側に第2透光領域が隣接し、かつ一方方向に沿っ
    て第1の向きと反対側の第2の向き側に第3透光領域が
    隣接し、 第2透光領域には、一方方向に沿った第1の向き側に第
    3透光領域が隣接し、 さらに一方方向に第1周期の半分だけかつ他方方向に第
    2周期の長さだけずれた第3の向き側に、第1透光領域
    が隣接しており、 前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個
    別的に出力し、 前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、 前記第2移動位置は第1移動位置から他方方向に第2の
    周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とす
    る請求項1記載の撮像装置。
  8. 【請求項8】 前記色分離フィルタの複数の透光領域
    は、第1〜第3色彩光にそれぞれ対応する第1〜第3透
    光領域に区分され、 該透光領域の予め定める配列は 相互に直交する予め定める一方方向および他方方向にそ
    れぞれ平行に、一方方向に予め定める第1周期でかつ他
    方方向に予め定める第2周期で配列される行列状の配列
    であって、 第1および第2透光領域が一方方向に沿って交互に配列
    される直線状の第1群と、第1および第3透光領域が一
    方方向に沿って交互に配列される直線状の第2群とが、
    他方方向に沿って交互に隣接し、 かつ第1群の第1透光領域には、第3透光領域が他方方
    向の両側に隣接しており、 前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個
    別的に出力し、 前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、 前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の
    周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とす
    る請求項1記載の撮像装置。
  9. 【請求項9】 前記色分離フィルタの複数の透光領域
    は、第1〜第3色彩光にそれぞれ対応する第1〜第3透
    光領域に区分され、 該透光領域の予め定める配列は、 第1および第2透光領域が予め定める一方方向に沿って
    予め定める第1周期で直線状に配列された第1群と、第
    1および第3透光領域が一方方向に沿って第1周期で直
    線状に配列された第2群とが、一方方向と直交する他方
    方向に沿って予め定める第2周期で交互に配列され、 かつ第1群の第1透光領域には、一方方向に第1周期の
    長さの半分の長さだけかつ他方方向に第2周期の長さだ
    けずれた向き側に、第3透光領域が隣接する配列であっ
    て、 前記撮像素子は、前記各受光領域からの画素データを個
    別的に出力し、 前記第1移動位置は予め定める基準位置であり、 前記第2移動位置は第1移動位置から一方方向に第1の
    周期の長さだけ相互にずれた位置であることを特徴とす
    る請求項1記載の撮像装置。
  10. 【請求項10】 前記露光許容手段は、 前記撮像素子の受光領域における電荷の蓄積を許容また
    は禁止する第1許容手段と、 撮像素子に入射する画像光を通過または遮断する第2許
    容手段とを含み、 前記制御手段は、 前記第1および第2移動位置の前記いずれか一方位置に
    おける画像光の撮像時には、第2許容手段によって画像
    光を通過させ、かつ前記露光時間の間だけ第1許容手段
    によって電荷の蓄積を許容させ、 前記いずれか他方位置における撮像時には、第1許容手
    段によって受光領域に電荷の蓄積を許容し、かつ露光時
    間の間だけ第2許容手段によって画像光を通過させるこ
    とを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  11. 【請求項11】 前記画像光を集光して、撮像素子の各
    受光領域上に結像させる光学系をさらに含み、 前記移動手段は、 透光性を有する平板状の屈折板と、 屈折板の両側方に、その表面が屈折板の表面にほぼ平行
    になるように配設される一対のバイモルフ型圧電素子で
    あって、該素子の長手方向の一方の自由端が屈折板の一
    端に接合され、屈折板の他端が該素子の他方の固定端に
    向かって延びるように屈折板を支持し、屈折板内を通る
    仮想回転中心を中心として該屈折板を傾斜させる1対の
    バイモルフ型圧電素子と、 光学系の光軸線と屈折板の法線との成す傾斜角度を検出
    する検出手段と、 検出手段の出力と予め定める目標値とを比較し、その誤
    差量を出力する比較手段と、 比較手段の出力に応答し、屈折板の傾斜角度が予め定め
    る目標値となるように、一対のバイモルフ型圧電素子を
    駆動する駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1
    記載の撮像装置。
  12. 【請求項12】 前記画像光を集光して、撮像素子の各
    受光領域上に結像させる光学系をさらに含み、 前記移動手段は、 透光性を有し、相互に直交する仮想回転中心を有する平
    板状の1対の透明平板と、 各仮想回転中心を中心として、該透明平板を傾斜させる
    傾斜手段と、 透明平板間に介在され、変形可能であって空気の屈折率
    よりも大きい屈折率を有する屈折物質層と、 光学系の光軸線と各透明平板の法線との成す傾斜角度を
    それぞれ検出する検出手段と、 検出手段の出力と予め定める目標角度とを比較し、その
    誤差量を出力する比較手段と、 比較手段の出力に応答し、傾斜角度が予め定める目標角
    度となるように、一傾斜手段を駆動する駆動手段とを備
    えることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
  13. 【請求項13】 移動手段における結像位置の移動を許
    容または禁止する移動判定手段と、 撮像素子に入射される画像光の空間周波数成分を減衰さ
    せる可変空間フィルタであって、結像位置の移動が禁止
    されるときには空間周波数成分を第1の減衰量だけ減衰
    させ、許容されるときには第2の減衰量だけ減衰させる
    可変空間フィルタとをさらに含むことを特徴とする請求
    項1記載の撮像装置。
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