JPH1012227A - 水素吸蔵合金体及びその製造方法 - Google Patents

水素吸蔵合金体及びその製造方法

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JPH1012227A
JPH1012227A JP8163175A JP16317596A JPH1012227A JP H1012227 A JPH1012227 A JP H1012227A JP 8163175 A JP8163175 A JP 8163175A JP 16317596 A JP16317596 A JP 16317596A JP H1012227 A JPH1012227 A JP H1012227A
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貴司 吉田
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君江 宮野
Tomohito Itou
友仁 伊藤
Shinichi Towata
真一 砥綿
Kazuhiko Ito
一彦 伊東
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水素吸蔵、放出に伴う水素吸蔵合金体の変形や
微粉化を抑止しつつ、水素吸蔵合金体の重量又は体積当
たりの水素吸蔵能力及び水素吸蔵合金粉末の水素反応活
性の向上を実現した水素吸蔵合金体及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】水素吸蔵合金からなる基体表面に多孔性の
金属めっき膜を形成する。金属めっき膜を厚く形成して
基体の変形や微粉化の防止を抑止することができ、ま
た、金属めっき膜は多孔性であるので、金属めっき膜の
重量を低減することができる。このようにすれば水素吸
蔵合金電極の特性を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金体及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばニッケル金属水素化物電池の負極
として用いられる水素吸蔵合金電極は、従来、水素吸蔵
合金粉末を結着材や増粘材と混合して形成したペースト
を金属集電体に被着して形成されている。この水素吸蔵
合金電極の製造方法では水素吸蔵合金粉末の表面に形成
される酸化膜が電池反応性、特にその初期活性化特性を
低下させていた。
【0003】このため、特開昭61−285658号公
報は、水素吸蔵合金粉末をアルカリ性水溶液で処理(浸
漬、洗浄など)して合金表面のアルカリ性水溶液に溶解
し易い金属成分(例えば易酸化性のAlなど)やそれに
付随する酸化膜を溶解したり脱落させたりして、水素吸
蔵合金粉末の表面部にニッケルリッチ層を形成し、初期
活性化特性を向上することを提案している。
【0004】同様に、特開平3ー152868号公報は
水素吸蔵合金粉末を酸性水溶液で処理した後、アルカリ
性水溶液で処理して初期活性化特性を改善することを提
案し、特開平5ー101821号公報は水素吸蔵合金粉
末を高温アルカリ性水溶液で処理して初期活性化特性を
改善することを提案し、特開平5ー13077号公報は
高温アルカリ性水溶液で処理した水素吸蔵合金粉末を用
いて形成した水素吸蔵合金電極を再度、高温アルカリ性
水溶液で処理して初期活性化特性を改善することを提案
している。
【0005】また、水素吸蔵合金粉末の表面に金属めっ
き膜を無電解めっきにより被着するマイクロカプセル技
術が提案されている。この金属めっき膜は、上記した水
素吸蔵合金粉末表面の酸化防止の他、水素吸蔵、放出に
伴う水素吸蔵合金粉末の変形や微粉化の防止、隣接する
粉末同士の結合性の向上、更には電極としての水素吸蔵
合金粉末の電気抵抗の低減などの効果も生む。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにアルカ
リ処理して水素吸蔵合金粉末表面の酸化膜を除去するだ
けでは、その水素反応特性は向上するものの、水素吸
蔵、放出に伴う水素吸蔵合金粉末の変形や微粉化の防
止、隣接する粉末同士の結合性の向上、更には電極とし
ての水素吸蔵合金粉末の電気抵抗の低減などの問題が未
解決となる。
【0007】一方、上述のように水素吸蔵合金粉末の表
面を酸化膜を介在させることなく無電解めっき膜で一様
に被覆すれば上記した諸効果を奏することができるが、
この金属めっき膜は、水素吸蔵作用をもたないのでその
分、水素吸蔵合金体全体の水素吸蔵能力の低下させると
いう欠点、及びこの金属めっき膜が水素吸蔵合金粉末の
水素吸蔵、放出反応の抵抗成分となってしまうという問
題があった。つまり、金属めっき膜が厚ければ水素吸蔵
合金体の重量又は体積当たりの水素吸蔵能力が低下し、
水素吸蔵合金粉末の水素反応活性が低下してしまう。反
対に、金属めっき膜が薄ければ水素吸蔵合金粉末表面の
酸化防止、水素吸蔵、放出に伴う水素吸蔵合金粉末の変
形や微粉化の防止、隣接する粉末同士の結合性の向上、
更には電極としての水素吸蔵合金粉末の電気抵抗の低減
などの効果が減殺される。
【0008】上記した問題は粉末形状以外の水素吸蔵合
金体においても生じる。本発明は上記問題に鑑みなされ
たものであり、水素吸蔵、放出に伴う水素吸蔵合金体の
変形や微粉化を抑止しつつ、水素吸蔵合金体の重量又は
体積当たりの水素吸蔵能力及び水素吸蔵合金粉末の水素
反応活性の向上を実現した水素吸蔵合金体及びその製造
方法を提供することを、その解決すべき課題としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の水素吸蔵
合金体によれば、水素吸蔵合金からなる基体表面に多孔
性の金属めっき膜を形成するので、金属めっき膜を厚く
形成して基体の変形や微粉化の防止を抑止することがで
きる。また、金属めっき膜は多孔性であるので、金属め
っき膜の重量を低減することができる。更に、金属めっ
き膜に設けられた多数の微小孔を通じて基体の水素吸蔵
合金は良好に外部と水素を授受できるので、金属めっき
膜を水素吸蔵合金の変形や崩壊を抑止するに必要な厚さ
としたとしても、それによる水素反応活性の低下を抑止
することができる。
【0010】水素吸蔵合金としては、ミッシュメタル系
材料やZr系やTi−Mn系材料を用いることができ
る。多孔性の金属めっき膜は、主に水素吸蔵合金に機械
的な強度を付与する機能をもつ膜部と、主に水素吸蔵合
金の水素吸蔵、放出の経路となる孔部とをもつ。多孔性
の金属めっき膜の材料としては、ニッケル、銅、パラジ
ウム、コバルト、銀などを採用することができる。金属
めっき膜の添加量は、水素吸蔵合金に対して0.5〜1
0w%とすることが好ましく、更に好ましくは0.5〜
5w%とすることができる。孔部に金属めっき膜が薄く
残存していてもよいが、その厚さは少なくとも上記膜部
の半分以下とされるべきである。金属めっき膜の平面面
積当たりの孔部の平面面積として定義される開孔率は、
20〜80%とすることが好ましい。基体の形状保持の
ために必要な膜部の厚さは0.05〜5μmとすること
が好ましい。膜部及び孔部の平面形状は自由であり、そ
の作製方法に依存する。
【0011】この水素吸蔵合金体は、ニッケル水素電池
の負極として採用できる他、水素貯蔵装置、水素吸蔵型
の温熱乃至冷熱発生装置などにも採用することができ
る。請求項2記載の構成によれば請求項1記載の構成に
おいて更に、多孔性の金属めっき膜が被着された水素吸
蔵合金粉末を成形して水素吸蔵合金体を製造する。水素
吸蔵合金粉末の平均粒径は10〜150μmとすること
ができる。平均粒径が10μm未満であれば、コストが
増大するという不具合があり、平均粒径が150μmを
超えると、水素吸蔵合金の反応表面積の不足という不具
合がある。
【0012】このようにすれば、水素吸蔵合金体の水素
反応(水素吸蔵、放出)の有効面積を増大することがで
きる 請求項3記載の構成によれば請求項1又は2記載の構成
において更に、金属めっき膜の孔部に面する基体の表面
部に水素透過性金属層が形成される。この水素透過性金
属層は、水素透過性をもつので、その内部の水素吸蔵合
金の水素吸蔵、放出を可能とするとともに、水素吸蔵合
金の表面に酸化膜や水酸化膜が形成されるのを防止し
て、その水素反応活性(水素吸蔵、放出の容易性)を実
現する。水素透過性金属層は金属めっき膜より薄く好ま
しくはその半分以下の厚さとされるべきである。また、
水素透過性金属層は同じ厚さの金属めっき膜以上の水素
透過性をもつべきである。水素透過性金属層は金属めっ
き膜と同材料で形成することができるがそれより水素透
過性に優れた材料で形成することもできる。
【0013】請求項4記載の構成によれば請求項3記載
の構成において更に、水素透過性金属層は基体の表面部
に形成されたニッケルリッチ層からなる。ニッケルリッ
チ層すなわちニッケルを主成分とする層により水素透過
性金属層を構成すると、ニッケルリッチ層は薄くかつ良
好な水素透過特性をもつので、内部の水素吸蔵合金の水
素反応活性を良好に確保することができるとともに水素
吸蔵合金の表面を保護してその酸化を防止することがで
きる。ニッケルリッチ層は、水素吸蔵合金をアルカリ性
水溶液乃至酸性水溶液に接触させて水素吸蔵合金の表面
部の易溶解性金属成分を溶解除去して形成することが、
製造工程の簡素化及び水素吸蔵合金とニッケルリッチ層
との一体化の点で好適である。
【0014】請求項5記載の構成によれば請求項2乃至
4のいずれか記載の構成の水素吸蔵合金体をニッケル水
素電池の負極としての水素吸蔵合金電極に用いる。この
ようにすれば、電池の初期活性化特性を向上することが
できる。また、金属めっき膜により水素吸蔵合金粉末の
崩壊を抑止するとともに粉末同士の金属めっき膜の良好
な接触により電極の内部電気抵抗を低減することができ
る。
【0015】水素吸蔵合金電極の成形のために、PTF
E(ポリテトラフルオロエチレン)やSBR(スチレン
ブタジェンラバー)やそれらの混合物などの結着材を添
加することが好ましい。PTFE(ポリテトラフルオロ
エチレン)はその粘着性により水素吸蔵合金粉末と結合
してその崩落を抑止する。SBRは大きな弾性変形をも
つので、水素吸蔵合金粉末が変形してもそれに追従して
変形することができ、水素吸蔵合金粉末が集電体から剥
離することを抑止する。結着材としては、その他、フッ
素系樹脂微粉末としてFEP、PCTFEなどを採用す
ることができ、合成ゴム系としてシリコンゴム、アクリ
ルゴム、ブタジエンゴムなどを採用することができる。
結着材の添加量は、水素吸蔵合金粉末に対して0.1〜
4%、更に好ましくは0.2〜2%とされることができ
る。結着材が0.1wt%より少なすぎると水素吸蔵合
金粉末の剥落や微粉化による経時的な容量低下(サイク
ル寿命短縮)が生じ、結着材が4wt%より多すぎると
容量低下や内部電気抵抗損失の増大を招く。
【0016】水素吸蔵合金電極は、水素吸蔵合金粉末ペ
ーストを成形、乾燥して形成することが好ましい。ペー
スト粘度を確保するために、MC(メチルセルロー
ス)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA
(ポリビニルアルコール)などの水溶液を増粘材として
用いることができる。増粘材の固形分の添加量は、水素
吸蔵合金粉末に対して0.05〜1wt%とすることが
好ましい。増粘材が0.05wt%より少なすぎるとペ
ースト粘度の不足により成形が難しくなり、1wt%よ
り多すぎるとペースト粘度の過多によりぺースト層の表
面の平坦性が低下する。MC(メチルセルロース)やC
MC(カルボキシメチルセルロース)の粘度は0.1〜
20PaSとすることができる。
【0017】請求項6記載の製造方法では、表面が酸化
されている水素吸蔵合金からなる基体を置換めっき液に
接触させることにより基体表面に多孔性の金属めっき膜
が形成される。置換めっき液は、酸化膜溶解成分と、め
っきすべき金属元素を含むめっき成分とを少なくとも含
む。酸化膜溶解成分としてはふっ酸系水溶液、例えばN
4 F・HFの水溶液を用いることができる。めっき成
分としては、めっきすべき金属元素を塩の形で含む化合
物の水溶液例えばニッケルめっきではNiCl 2 を用い
ることができる。この置換めっき液を用いれば、酸化膜
溶解成分が水素吸蔵合金表面の酸化膜を溶解するととも
に、露出した水素吸蔵合金表面に存在する例えば水素吸
蔵合金の易イオン化金属とめっき成分中のめっきすべき
金属イオンとが置換してめっきが行われる。水素吸蔵合
金表面各部の酸化膜は不均一な厚さをもち、また、クラ
ックなどをもつので、酸化膜の溶解及びその後のめっき
は水素吸蔵合金表面各部において大きくばらつき、結
局、元々、厚い酸化膜が存在した部分はめっきがおこな
われず孔部となるので、全体として多孔性の金属めっき
膜が形成される。
【0018】請求項7記載の製造方法では、請求項6記
載の方法において更に、多孔性の金属めっき膜の形成
後、多孔性の金属めっき膜の孔部に面する基体の表面や
金属めっき膜の表面の酸化膜を除去する。この酸化膜の
除去は例えばアルカリ性水溶液や酸性水溶液を用いて行
うことができる。このようにすれば、水素吸蔵、放出特
性を一層向上することができる。
【0019】請求項8記載の製造方法では、請求項6記
載の方法において更に、多孔性の金属めっき膜の形成
後、酸化膜を除去した基体の表面部に水素透過性金属層
すなわち水素原子が流通可能な金属層を被着させて酸化
膜の生成を防止するので、水素吸蔵、放出特性を一層向
上することができる。請求項9記載の製造方法では、請
求項6記載の方法において更に、多孔性の金属めっき膜
の形成後、基体をアルカリ性水溶液又は酸性水溶液に接
触させて酸化膜を除去するとともに、酸化膜が除去され
た基体の表面部のニッケル以外の成分を主として溶解さ
せて金属めっき膜の孔部に面する前記基体の表面部にニ
ッケルリッチ層を形成するので、簡素な工程で水素吸蔵
合金と一体の水素透過性金属層を水素吸蔵合金表面に形
成することができ、水素吸蔵、放出特性を一層向上する
ことができる。
【0020】なお、アルカリ性水溶液で処理した後、更
に、酸性水溶液で処理してもよい。このようにすれば、
アルカリ処理により水素吸蔵合金の表面に形成された水
酸化膜、又は、ニッケルリッチ層の表面に形成されたニ
ッケル水酸化物などを良好に除去して水素活性化特性及
び内部導電性の向上を実現することができる。なお、ニ
ッケルリッチとなった水素吸蔵合金粉末表面の金属成分
のうち、イオン化傾向及び易酸化性が高いミッシュメタ
ルなどの金属成分は酸性水溶液中に溶解するので、一
層、水素吸蔵合金粉末表面のニッケルリッチ化を進行さ
せることもできる。
【0021】請求項10記載の製造方法では、請求項6
記載の方法において更に、多孔性の金属めっき膜の形成
後、増粘材及び結着材の少なくとも一方と水とを混練り
してペーストを形成し、このペーストを成形して水素吸
蔵合金体となし、水素吸蔵合金体をアルカリ性水溶液又
は酸性水溶液に接触させて、多孔性の金属めっき膜の孔
部に面する前記基体の表面に残存する酸化膜を除去し、
更に露出した基体の表面部のニッケル以外の成分を主と
して溶解させて金属めっき膜の孔部に面する基体の表面
部にニッケルリッチ層を形成するので、水素吸蔵、放出
特性を一層向上することができる。以下、更に説明す
る。
【0022】多孔性の金属めっき膜の孔部に残存する酸
化膜の除去や水素透過性金属層(ニッケルリッチ層を含
む)の形成を水素吸蔵合金粉末の段階で実施する場合、
その後、水素吸蔵合金粉末を混練りしたり、乾燥した
り、更には加圧したりするその成形工程において金属め
っき膜や水素透過性金属層に酸化膜が生じてしまう。そ
こで、本方法では、水素吸蔵合金粉末を成形して電極な
どの水素吸蔵合金体を形成した後、このアルカリ処理や
酸処理を行う。このようにすれば、上記した成形工程で
形成される酸化膜も除去することができ、一層、反応性
を向上することができる。
【0023】更に、増粘材を用いて水素吸蔵合金電極を
成形した後、この水素吸蔵合金電極をアルカリ性水溶液
などで処理する場合、水素吸蔵合金電極を電池に組み込
む前にアルカリ性水溶液で増粘材の分解することがで
き、水素吸蔵合金電極の充電リザーブを減少できるとい
う効果も奏することができる。なお、酸性水溶液を用い
る場合には、pH3.5以上の弱酸とすることが好まし
い。水溶液のpHが3.5未満であると金属めっき膜や
水素吸蔵合金の腐食が激しくなる。
【0024】
【発明を実施する形態】本発明の好適な態様を以下の実
施例に基づいて説明する。 (実施例1)組成がZr(V0.1 Ni0.6 Mn0.3 Cr
0.052 である水素吸蔵合金を機械粉砕して100メッ
シュ以下とした水素吸蔵合金粉末50gを置換めっき液
500ccに投入し、30℃で5分間攪拌した後、沈降
させた。その後、水洗を3回行い、次にエタノール洗浄
を2回行った後、真空乾燥させた。置換めっき液の組成
は、1wt%のNH4 F・HFと3wt%のNiCl2
とを含む水溶液である。
【0025】次に、上記置換めっき済の水素吸蔵合金粉
末を6NのKOH水溶液500ccに投入し、80℃で
48時間攪拌しながら保持してアルカリ処理してニッケ
ルリッチ層を形成し、その後、水洗を3回行い、次にエ
タノール洗浄を2回行った後、真空乾燥させた。このよ
うに処理した水素吸蔵合金粉末7.7gに2.3gのメ
チルセルロース2wt%水溶液を合金重量に対して20
wt%加えて攪拌し、ペーストを形成し,発泡ニッケル
集電体(5cm×6cm、550g/m2 )に充填し、
70〜80℃で乾燥し、ロールプレスにて厚さを0.6
mmにし、3cm×4cmの水素吸蔵合金電極(実施例
1品)を作製した。 (実施例2)次に、実施例1におけるアルカリ処理をロ
ールプレス後に行うように変更した他は実施例1と同一
の製造工程で水素吸蔵合金電極(実施例2品)を作製し
た。ただし、アルカリ処理に用いたKOH水溶液の液量
は、ロールプレス後の水素吸蔵合金電極に含まれる水素
吸蔵合金粉末(金属めっき膜は含まず)1gに対して1
0ccとした。 (比較例1)比較例として、実施例1の置換めっき及び
アルカリ処理を省略し、無電解めっきを行った他は実施
例1と同一の製造工程で水素吸蔵合金電極(比較例1
品)を作製した。無電解めっきは以下のように行った。
水素吸蔵合金粉末7gをめっき液100ccに投入し、
60℃で15分間攪拌した後、沈降させた。その後、水
洗を3回行い、次にエタノール洗浄を2回行った後、真
空乾燥させた。めっき液めっき液は、塩化ニッケルと、
還元剤としての適量の次亞燐酸ナトリウムと、めっき浴
のPHを8.5とするためのPH調整剤(NaOH)と
を含む0.5wt%水溶液からなり、更に適量の錯化剤
(例えばグリコール酸や酢酸ナトリウム)を含む。な
お、塩化ニッケル中のニッケルと次亞燐酸ナトリウム中
の燐との重量比は80〜78:10〜12である。。 (比較例2)比較例として、実施例1の置換めっきを省
略した他は実施例1と同一の製造工程で水素吸蔵合金電
極(比較例2品)を作製した。 (試験1)得られた各水素吸蔵合金電極をポリエチレン
不織布からなるセパレータを介して2枚の焼結式ニッケ
ル極で挟持し、6NのKOH水溶液に浸漬して負極理論
容量が1500mAhの負極規制電池を作製した後、め
っき前の水素吸蔵合金粉末1g当たり80mA/gの電
流で6時間充電した後、80mA/gの電流で放電し
て、端子間電圧が0.8Vになるまでの放電容量を求
め、これを繰り返して実施した。
【0026】その結果を図1に示す。図1から、従来よ
り優れた充電維持率及び初期容量をもつ水素吸蔵合金電
極が得られることがわかった。上記の試験結果を考察す
ると、比較例1品は均一な厚さの無電解めっき膜により
水素吸蔵合金粉末が被覆されているので、合金の微粉化
による放電容量の低下は抑制されるものの、反応に寄与
しないめっき膜の重量が大きく、更に、水素吸蔵合金粉
末が直接電解液に接触しないことによる反応性の劣化な
どにより電極重量当たりの容量が280mAh/g程度
しか得られなかった。
【0027】比較例2品はアルカリ処理により水素吸蔵
合金粉末表面の酸化膜が除去され、ニッケルリッチ層が
形成されるので、初期容量が向上したが、水素吸蔵合金
粉末の微粉化により充電維持率(放電容量/最大放電容
量)の低下が急速であった。置換めっき処理により形成
された多孔性のニッケルめっき膜の量を振動試料型磁力
計を用いて磁場の強さ−16〜+16k0eの範囲で多
孔性ニッケルめっき処理粉末の磁化の強さを測定した。
測定した磁化の強さから粉末全体に対するめっき層の割
合を算出した。
【0028】この結果、置換めっき処理により形成され
た多孔性のニッケルめっき膜は、水素吸蔵合金粉末(め
っき前)の2.6wt%であることがわかった。置換め
っき処理により形成された水素吸蔵合金粉末の表面を電
子顕微鏡を用いて撮影した。その写真1(倍率:200
0倍)及びその写真2(倍率:10000倍)によれ
ば、水素吸蔵合金粉末の表面が多孔性のニッケルめっき
膜で被覆されていることがわかった。
【0029】図2(a)に置換めっき処理前の水素吸蔵
合金粉末の表面部の模式断面図を示し、図2(b)に置
換めっき処理後の水素吸蔵合金粉末の表面部の模式断面
図を示し、図2(c)にアルカリ処理後の水素吸蔵合金
粉末の表面部の模式断面図を示す。図3(a)にアルカ
リ処理前の水素吸蔵合金粉末の表面部のオージェ分析結
果を示し、図3(b)にアルカリ処理後の水素吸蔵合金
粉末の表面部のオージェ分析結果を示す。オージェ分析
の試験装置と試験条件は以下の通りである。日本電子製
JAMP−10S、加速電圧:10kV、スパッタイオ
ン種:Xe+ 、スパッタレート:200オングストロー
ム/min(SiO2 換算)。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例品及び比較例品の水素吸蔵合金電極を用
いた電池の放電維持率の変化を示す特性図である。
【図2】図2(a)は置換めっき処理前の水素吸蔵合金
粉末の表面部の模式断面図を示し、図2(b)は置換め
っき処理後の水素吸蔵合金粉末の表面部の模式断面図を
示し、図2(c)はアルカリ処理後の水素吸蔵合金粉末
の表面部の模式断面図を示す。
【図3】図3(a)は置換めっき後、アルカリ処理前の
水素吸蔵合金粉末の表面部のオージェ分析結果を示し、
図3(b)はアルカリ処理後の水素吸蔵合金粉末の表面
部のオージェ分析結果を示す。
【図4】置換めっき処理により形成された水素吸蔵合金
粉末の表面の結晶構造を示す写真である。
【図5】置換めっき処理により形成された水素吸蔵合金
粉末の表面の結晶構造を示す写真である。
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮野 君江 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 伊藤 友仁 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 砥綿 真一 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 伊東 一彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定形状に形成された水素吸蔵合金からな
    る基体と、前記基体の表面に形成された多孔性の金属め
    っき膜とを有することを特徴とする水素吸蔵合金体。
  2. 【請求項2】前記基体は水素吸蔵合金粉末からなる請求
    項1記載の水素吸蔵合金体。
  3. 【請求項3】前記金属めっき膜の孔部に面する前記基体
    の表面部に前記金属めっき膜より薄く形成され、前記水
    素吸蔵合金よりも耐酸化性に優れる水素透過性金属層を
    有する請求項1又は2記載の水素吸蔵合金体。
  4. 【請求項4】前記水素透過性金属層は、前記基体の表面
    部に形成されたニッケルリッチ層からなる請求項3記載
    の水素吸蔵合金体。
  5. 【請求項5】ニッケル水素電池の負極をなす請求項2乃
    至4のいずれか記載の水素吸蔵合金体。
  6. 【請求項6】表面が酸化されている水素吸蔵合金からな
    る基体を置換めっき液に接触させることにより前記基体
    の表面の酸化膜を溶解するとともに、前記酸化膜が溶解
    した前記基体の各表面部位にそれぞれ金属隆起部を形成
    することにより前記多孔性の金属めっき膜を形成するこ
    とを特徴とする水素吸蔵合金体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記多孔性の金属めっき膜の形成後、前記
    多孔性の金属めっき膜の孔部に面する前記基体の表面に
    残存する前記酸化膜を除去する請求項6記載の水素吸蔵
    合金体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記多孔性の金属めっき膜の形成後、前記
    多孔性の金属めっき膜の孔部に面する前記基体の表面に
    残存する前記酸化膜を除去して、露出する前記基体の表
    面部に水素透過性金属層を被着する請求項6記載の水素
    吸蔵合金体の製造方法。
  9. 【請求項9】前記多孔性の金属めっき膜の形成後、前記
    基体をアルカリ性水溶液又は酸性水溶液に接触させて、
    前記多孔性の金属めっき膜の孔部に面する前記基体の表
    面に残存する前記酸化膜を除去し、更に露出した前記基
    体の表面部のニッケル以外の成分を主として溶解させて
    前記金属めっき膜の孔部に面する前記基体の表面部にニ
    ッケルリッチ層を形成する請求項6記載の水素吸蔵合金
    体の製造方法。
  10. 【請求項10】水素吸蔵合金粉末からなる前記基体の表
    面に前記多孔性の金属めっき膜を形成した後、増粘材及
    び結着材の少なくとも一方と水とを混練りしてペースト
    を形成し、このペーストを成形して水素吸蔵合金体とな
    し、前記水素吸蔵合金体をアルカリ性水溶液又は酸性水
    溶液に接触させて、前記多孔性の金属めっき膜の孔部に
    面する前記基体の表面に残存する前記酸化膜を除去し、
    更に露出した前記基体の表面部のニッケル以外の成分を
    主として溶解させて前記金属めっき膜の孔部に面する前
    記基体の表面部にニッケルリッチ層を形成する請求項6
    記載の水素吸蔵合金体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002363605A (ja) * 2001-06-11 2002-12-18 Sumitomo Metal Ind Ltd 水素吸蔵合金の製造方法
JP4552238B2 (ja) * 1999-05-11 2010-09-29 株式会社Gsユアサ 水素吸蔵合金電極の製造方法
JP2013014813A (ja) * 2011-07-06 2013-01-24 Murata Mfg Co Ltd 多孔質金属粒子及びその製造方法

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