JP2002363605A - 水素吸蔵合金の製造方法 - Google Patents

水素吸蔵合金の製造方法

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JP2002363605A
JP2002363605A JP2001175858A JP2001175858A JP2002363605A JP 2002363605 A JP2002363605 A JP 2002363605A JP 2001175858 A JP2001175858 A JP 2001175858A JP 2001175858 A JP2001175858 A JP 2001175858A JP 2002363605 A JP2002363605 A JP 2002363605A
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storage alloy
nickel
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Tatsuo Nagata
辰夫 永田
Hideya Kaminaka
秀哉 上仲
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面にNiを含む層を有する、耐久性と耐酸化
性に優れた水素吸蔵合金を、安価に製造する。 【解決手段】 希土類金属元素およびTiから選ばれた少
なくとも1種の元素を含む粉末状の水素吸蔵合金の表面
に、酸化ニッケルまたは水酸化ニッケルを被覆し (例、
酸化ニッケルまたは水酸化ニッケル微粉末とのボールミ
ル混合、または酸性ニッケル塩水溶液からの水酸化ニッ
ケルの析出により) 、次いで 400〜1000℃で熱処理す
る。熱処理により、酸化ニッケルまたは水酸化ニッケル
は合金中のTiもしくは希土類金属によりNiに還元され、
合金がTiを含む場合には、さらに水素吸蔵能のあるTi−
Ni金属間化合物に変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化されにくく、
繰り返し水素吸収放出による特性劣化が少なく、安価と
いった特徴を持つ、水素吸蔵合金の製造方法に関する。
本発明の方法で製造された水素吸蔵合金は、特に水素ガ
ス貯蔵・輸送用、水素ガス分離・精製用、さらには熱輸
送システムや冷却システム、静的コンプレッサ、水素ガ
スを燃料とする燃料電池などに最適である。
【0002】
【従来の技術】水素ガスは、燃焼すると水になり、化石
燃料のように炭酸ガスや硫黄酸化物を生成することがな
いため、クリーンなエネルギー源として注目されてい
る。
【0003】水素ガスの貯蔵・輸送は、一般に圧縮高圧
ガスとして行われている。これは、液体水素の貯蔵には
−253 ℃の低温貯蔵容器が必要であり、液体水素の蒸発
損失も大きい上、水素の液化に多量のエネルギーが必要
であるため、窒素のように液化して貯蔵するのが困難で
あるからである。しかし、高圧水素ガスの貯蔵には、重
くて嵩張る耐圧容器が必要であり、しかも圧縮しても体
積が200 分の1程度にしかならず、非効率的である。
【0004】そこで、冷却・加熱により水素ガスを可逆
的に吸収・放出できる水素吸蔵合金を水素ガスの貯蔵・
輸送に利用することが検討されてきた。水素吸蔵合金
は、単位体積当たりの水素ガスの貯蔵密度が高圧水素ガ
ス容器より大きく、水素吸蔵合金を利用することによ
り、軽量かつ小体積の水素ガス貯蔵容器を作ることがで
き、水素ガスの輸送も容易になる。また、容器内の水素
ガス圧力は低圧であることから、扱いが容易である。
【0005】水素の貯蔵・輸送を目的とする水素吸蔵合
金は従来より開発されており、小規模な水素の貯蔵には
既に利用されている。また、ガソリンの代替燃料として
水素ガスを利用する低公害水素自動車や燃料電池自動車
の研究も進んでおり、これにもFeTi系をはじめとする各
種の水素吸蔵合金が水素貯蔵デバイスとして検討されて
いる。
【0006】ほかに、水素吸蔵合金の実用化が期待され
る用途には他に次のようなものがある。水素吸蔵合金の
水素の吸収 (水素化物の生成) と放出 (水素化物の分
解) は、熱の放出と吸収を伴う可逆反応である。この反
応を利用して、熱エネルギーの貯蔵・輸送システムや冷
却システムに応用することができる。
【0007】また、低温で水素ガスを吸収させた水素吸
蔵合金を高温に加熱すると、高圧の水素ガスが放出され
る。これは熱エネルギーを機械エネルギーに変換する機
能を果たし、熱駆動型の静的水素コンプレッサやアクチ
ュエータとして利用可能である。
【0008】さらに、水素吸蔵合金の水素ガスの吸収・
放出速度は、水素ガス以外のガスの吸収・放出速度より
大きい。また、水素の同位体間でも吸収・放出速度に差
がある。従って、水素吸蔵合金を用いることにより、混
合ガスからの高純度水素ガスの分離、不純水素ガスの精
製、あるいは水素の同位体の分離が可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】水素吸蔵合金の水素ガ
スの吸収と放出は、それぞれ体積の膨張と収縮を伴う化
学反応である。実用的な反応速度を得るには、水素吸蔵
合金を粉末状で使用して表面積を増大させる必要があ
る。しかし、使用中に合金の体積の膨張と収縮が繰り返
されると、内部歪みにより粉末に亀裂が入り、やがて細
かな粒子に割れて粉末が微粉化する。微粉化が進行する
と、容器に取り付けられたフィルター等の閉塞により水
素ガスが容易に流れなくなったり、微粉が水素ガスの流
れに混じってガス配管内に移動する。従って、この微粉
化は水素吸蔵合金の長期繰り返し水素吸収・放出寿命
(即ち、耐久性) 低下の大きな原因の一つとなる。
【0010】また、水素吸蔵合金の耐酸化性も重要な特
性である。水素吸蔵合金は大気中に放置されると表面が
酸化し、酸化膜が形成される。特に、Ti合金は酸化膜が
形成され易い。この酸化膜は水素吸収の障害となり、水
素吸蔵能力を低下させる。そのため、水素吸蔵合金は、
使用前に酸化膜を除去するため活性化処理が必要となる
ことが多い。この活性化処理は、水素吸蔵合金を耐圧容
器に入れ、数Mpa という高圧の水素ガスを高温で1日〜
数日間作用させることにより行われ、容器と処理のどち
らにも費用がかかる。従って、活性化処理条件が緩和さ
れるような、空気中に放置しても酸化されにくい水素吸
蔵合金が求められている。
【0011】このような問題点を解決するものとして、
特開昭60−190570号公報には無電解メッキにより水素吸
蔵合金を金属被覆することが、特開平11−80865 号公報
にはメカニカルアロイング法によりNi被覆をすること
が、特開2000−303101号公報にはニッケルカルボニルガ
スを用いたい気相反応法によりNi付加層を形成すること
が記載されている。しかし、無電解メッキでは多量の還
元剤やpH緩衝剤を使用しなければならず、メカニカルア
ロイング法では高価なNi微粉末を使用しなければなら
ず、いずれも処理コストが極めて高くなってしまう。ま
た、ニッケルカルボニルガスは有毒なので、その取り扱
いが難しいといった問題点がある。
【0012】本発明は、水素ガスの貯蔵・輸送、水素ガ
スの精製・分離、熱輸送・冷却システム、水素コンプレ
ッサなどの用途に適用可能な、微粉化しにくく、長期繰
り返し水素吸収・放出寿命 (耐久性) に優れていて、か
つ大気中に放置しても水素吸蔵特性の劣化の少ない、安
価な水素吸蔵合金の製造方法を提供することを課題とす
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、安価な酸
化ニッケルや水酸化ニッケルを用いて水素吸蔵合金の表
面を被覆し、ついで400 ℃から1000℃で熱処理を行う
と、水素吸蔵合金中の希土類元素やTiにより酸化ニッケ
ルや水酸化ニッケルが還元され、金属ニッケルとし水素
吸蔵合金の表面を被覆することができることを見いだし
た。つまり、上述したような無電解メッキやメカニカル
アロイングといった処理コストの高い方法を利用せず
に、水素吸蔵合金の表面を金属ニッケルで被覆して、水
素吸蔵合金の耐酸化性と耐久性を改善することができ
る。
【0014】ここに、本発明は、希土類金属元素および
Tiから選ばれた少なくとも1種の元素を含む粉末状の水
素吸蔵合金の表面に、酸化ニッケルおよび/または水酸
化ニッケルを被覆し、次いで該合金を非酸化性雰囲気中
400〜1000℃で熱処理をして、表面にNiを含む層を形成
することを特徴とする、水素吸蔵合金の製造方法であ
る。
【0015】前記熱処理の後、前記水素吸蔵合金を酸ま
たはアルカリ水溶液に浸漬してもよい。本発明の方法に
より製造された水素吸蔵合金は、表面がNiを含む層 (金
属NiまたはNiを含む金属間化合物の層、以下では「Ni含
有層」という) で覆われており、水素ガスの吸収・放出
時の体積変化による粉末の微粉化が抑えられ、繰り返し
水素ガスの吸収・放出を行っても、水素吸蔵特性が大き
く劣化することがない。さらに、合金表面のNi含有層に
より酸素が水素吸蔵合金と接触することが妨げられ、水
素吸蔵合金の酸化が防止される。そのため、水素吸蔵合
金を大気中に放置しても、合金の酸化があまり進まず、
水素吸蔵合金の活性化処理の条件を大幅に緩和すること
ができる。
【0016】また、水素吸蔵合金がTiを含む場合には、
合金表面に生成したNiとTiとが化合して、TiNi、Ti2Ni
のようなTi−Ni金属間化合物が生成する。このTi−Ni金
属間化合物は、Niと同様に水素吸蔵合金の酸化を防止す
る一方で、Niとは異なり、水素吸蔵能も有する。そのた
め、Ni含有層がこのような金属間化合物層になっている
水素吸蔵合金は、金属Niからなる層で被覆された水素吸
蔵合金に比べて、水素吸蔵能が高くなるという利点があ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明で用いる水素吸蔵合金は、
希土類金属元素およびTiから選ばれた少なくとも1種の
元素を含む合金である。これらの元素は、酸化ニッケル
および/または水酸化ニッケルを熱処理中に還元するた
めの還元剤の役割を果たす。
【0018】希土類金属元素を含有する水素吸蔵合金の
代表例は、AB5 型とも呼ばれる、式:ABx (A:ラ
ンタノイド系希土類元素、B:Ni、Co、Al、Sn、Cu、F
e、Zn、Crの1種もしくは2種以上、 4.6≦x≦5.6 )
で示される合金である。Aのランタノイド希土類元素
は、例えば、ミッシュメタルなどの、希土類元素混合物
であってもよい。B元素は、その少なくとも一部とし
て、Niを含むことが多い。
【0019】Tiを含む水素吸蔵合金の1例として、次式
で示される組成を持つ合金が挙げられる: Tiz Crb Moc Nbd e f 式中、Mは、Mn、Fe、Co、Cu、V、Zn、Zr、Ag、Hf、T
a、W、Al、Si、C、N、PおよびBから選ばれた1種
もしくは2種以上の元素を表し、Aは少なくとも1種の
ランタノイド系希土類元素を表し、a+b+c+d+e
+f=1、 0.2≦a≦0.7 、 0.1≦b≦0.7 、0.01≦c
+d≦0.4 、0.01≦e≦0.3 、 0.001≦f≦0.03であ
る。
【0020】以上の水素吸蔵合金は、水素吸蔵能が高
く、好ましい水素吸蔵合金である。しかし、本発明で使
用する水素吸蔵合金の組成は上記に限定されるものでは
ない。特に、Tiを含有する水素吸蔵合金は、上記以外に
も、AB/A2B型またはAB2 ラーベス相型などの多
様な組成のものが知られており、それらに対しても、本
発明を適用することができる。
【0021】水素吸蔵合金は一般に粉末状態で使用され
る。溶製された水素吸蔵合金の粉砕は、常法に従って、
まず合金を水素化して脆化させてから、適当な粉砕機を
用いて機械的に粉砕することにより実施できる。あるい
は、例えば、ガスアトマイズ法、回転電極法などを利用
して、水素吸蔵合金を粉末状態で作製することも可能で
ある。また、単ロールもしくは双ロールによるロール急
冷法による薄片状の水素吸蔵合金を作製し、これを上記
のように粉砕して粉末化することもできる。水素吸蔵合
金の粉末の粒径は特に制限されないが、一般に、平均粒
径が20〜80μm程度の粉末とすることが多い。
【0022】本発明によれば、この粉末状態の水素吸蔵
合金に対して、まずその表面に、酸化ニッケルおよび/
または水酸化ニッケルを被覆する。被覆に用いる酸化ニ
ッケルや水酸化ニッケルは通常のものでよい。ニッケル
の代表的な酸化物および水酸化物は、いずれもNi(II)の
化合物であるNiO およびNi(OH)2 であり、本発明でもこ
れらを使用することが好ましいが、他のニッケル酸化物
および水酸化物も使用できる。これらのニッケル化合物
は、物理的付着に必要な微細な粉末化が容易である (粉
砕により容易に粉末化できる) ので、金属ニッケルの粉
末 (アトマイズ法等による特殊な粉末化が必要) より安
価である。
【0023】粉末状の水素吸蔵合金の表面に酸化ニッケ
ルおよび/または水酸化ニッケルを被覆する方法は、物
理的な付着方法と化学的な付着方法のいずれでもよい。
物理的な付着は、酸化ニッケルおよび/または水酸化ニ
ッケルを、好ましくは1μm以下の微粉末にし、これを
水素吸蔵合金の粉末と一緒に、例えばボールミルなどで
混合することにより実施するのが簡便である。その他、
酸化ニッケルおよび/または水酸化ニッケルの微粉末を
液体に分散させたスラリー (少量の結合剤を含有させて
もよい) を用いて水素吸蔵合金を被覆することも可能で
ある。
【0024】水酸化ニッケルの付着は、溶液からの析出
を利用した化学的な方法によって行うこともできる。例
えば、Niイオンを含む酸性水溶液 (例、塩化ニッケルの
酸性水溶液) に、水素吸蔵合金の粉末を投入し、得られ
た分散液を攪拌混合しながら、水酸化ナトリウム、水酸
化アンモニウム等のアルカリ水溶液を滴下すると、水素
吸蔵合金の粉末表面に、水酸化ニッケルが析出する。
【0025】酸化ニッケルおよび/または水酸化ニッケ
ルの付着量は、本発明の目的が達成される限り、特に制
限されない。ただし、この付着量が少なすぎると、水素
吸蔵合金の耐久性や耐酸化性の改善効果が不十分とな
る。この付着量が多すぎると、水素吸蔵能の低下が目立
ってくる。特に、水素吸蔵合金がTiを含有しないAB5
型のものである場合には、その傾向が高い。
【0026】酸化ニッケルおよび/または水酸化ニッケ
ルの適当な付着量は、これを被覆する粉末状の水素吸蔵
合金の表面積、従って、その平均粒径や粒子形態によっ
ても異なるが、一般的には、付着物中のNi金属量と水素
吸蔵合金との合計に対する質量%で、付着物中のNi金属
量が1〜20%、好ましくは5〜15%となる範囲内であ
る。熱処理により付着物が金属Niに還元されると、この
量のNi金属を含有する水素吸蔵合金が得られる。
【0027】水素吸蔵合金の表面に酸化ニッケルおよび
/または水酸化ニッケルを付着させた後、熱処理を行っ
て、酸化ニッケルおよび/または水酸化ニッケルを水素
吸蔵合金中の希土類元素やTiで還元して、金属ニッケル
とする。こうして、水素吸蔵合金の表面にNi含有層が形
成される。この還元反応を行うため、合金を400 ℃から
1000℃の温度に加熱する熱処理を行う。加熱温度が400
℃より低いと還元反応が進まず、1000℃より高温に加熱
すると、水素吸蔵合金内にNiが拡散し、水素吸蔵能の低
下が著しくなる。好ましい熱処理温度は 500〜800 ℃で
ある。
【0028】熱処理は、被覆中の酸化ニッケルおよび/
または水酸化ニッケルの実質的に全てが金属Niに還元さ
れるまで行うことが好ましい。この時間は、熱処理温度
によっても大きく異なる。例えば、熱処理温度が 400〜
550 ℃と低めの場合には、10〜150 時間程度の熱処理時
間が好ましい。熱処理温度が 550〜800 ℃の場合には、
熱処理時間は1〜48時間の範囲内が好ましい。熱処理温
度が 800〜1000℃と高い場合には、熱処理時間は12時間
以内が好ましく、特に 950〜1000℃の熱処理温度の場合
には2時間以内とすることが好ましい。熱処理雰囲気は
非酸化性雰囲気とし、例えば、不活性ガス雰囲気または
真空雰囲気でよいが、還元性雰囲気とすることも可能で
ある。
【0029】水素吸蔵合金の表面に付着させた被覆が、
水酸化ニッケルを含んでいる (水酸化ニッケルのみから
なるか、またはこれと酸化ニッケルとの混合物である)
場合には、熱処理前に真空中で 200〜400 ℃に加熱し、
水酸化ニッケルを酸化ニッケルと水蒸気に分解して、熱
処理中の水蒸気 (酸化性がある) の発生を抑えることが
望ましい。
【0030】Tiを含有する水素吸蔵合金を熱処理する場
合、上記のように還元反応で生成したNiの少なくとも一
部が、熱処理中にさらにTiと化合して、TiNi、Ti2Ni と
いったTi−Ni金属間化合物になる。Ti−Ni金属間化合物
は一般に水素吸蔵能を有するので、水素吸蔵合金の表面
に被覆を形成することによる水素吸蔵能の低下が小さく
てすむ。
【0031】従って、水素吸蔵合金の表面の被覆は、熱
処理後には、金属ニッケル、Ti−Ni金属間化合物、それ
らの混合物、のいずれかからなる。本発明では、これら
をNiを含む層またはNi含有層と称する。
【0032】熱処理により得られた、表面にNiを含む層
を有する水素吸蔵合金を、熱処理後に酸またはアルカリ
水溶液に浸漬処理することが好ましい。上記の熱処理に
より酸化ニッケルおよび/または水酸化ニッケルが金属
ニッケルに還元されるのと引き換えに、還元剤となるTi
や希土類金属は酸化され、これらの金属の酸化物が副生
物として水素吸蔵合金の表面に生成し、合金表面を覆
う。この酸化物は水素吸蔵能がなく、水素の吸収の障害
となりうるが、熱処理後の酸またはアルカリ水溶液によ
る浸漬処理によって除去することで、その障害を避ける
ことができる。
【0033】この処理に使用する酸としては、非酸化性
の強酸 (例、塩酸、フッ酸等) を使用することが好まし
い。アルカリは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等でよい。酸またはアルカリ水溶液による浸漬処
理は、例えば、温度10〜100℃で5分間〜1時間程度行
えばよい。処理液の濃度は、酸水溶液では1〜10体積
%、アルカリ水溶液では5〜40質量%の範囲が好まし
い。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に例示す
る。実施例中、%は、特に指定しない限り、質量%であ
る。
【0035】下記2種類の水素吸蔵合金を、Arガスアト
マイズ法(10kg/ch) を用いて作製した: (a) Ti0.40Cr0.35Mo0.10Nb0.05Mn0.05Fe0.04Ln0.01 (b) Mm(Ni0.71Co0.15Mn0.08Al0.06)5 Ln:ランタノイド混合物(下記組成) Mm:ミッシュメタル (下記組成) 合金溶湯の調製に用いた原料は、純度99%のスポンジチ
タン、ランタノイド系希土類金属の合金であるミッシュ
メタルMm(La=46%、Ce=5%、Nd=37%、Pr=10%、
総希土類含有量99.5%)もしくはランタン基希土類混合
物Ln (La=85%、Ce=1%、Nd=10%、Pr=3%、総希
土類含有量99%)、純度99%のCr、Mo、Nb、Mn、Fe、N
i、Co、ならびに純度99.9%のAlであった。
【0036】ガスアトマイズ法により得られた水素吸蔵
合金粉末の平均粒径は、合金(a) は約25μm、合金(b)
は約35μmであった。これらの水素吸蔵合金の表面に、
酸化ニッケルまたは水酸化ニッケルを付着させて、表面
を被覆した。この付着は、次の二つの方法(物理的な方
法と化学的な方法)のいずれかにより行った。
【0037】(1) 物理的方法:酸化ニッケル(NiO) また
は水酸化ニッケル[Ni(OH)2] の平均粒径1μm以下の微
粉末を、水素吸蔵合金の粉末と一緒にボールミルで10時
間乾式混合して、水素吸蔵合金の表面にこの微粉末を付
着させた。
【0038】(2) 化学的方法 (水酸化ニッケルのみ) :
温度30℃の0.1 M塩化ニッケル水溶液に水素吸蔵合金の
粉末を投入し、攪拌しながら0.05M水酸化ナトリウム水
溶液を滴下して、水酸化ニッケルを合金粉末の表面に析
出させることにより行った。液のpHが約12に達したら、
滴下を中止し、攪拌をさらに20分間続けて、水酸化ニッ
ケルの析出を完了させた。その後、濾過して粉末を回収
し、減圧乾燥して、表面が水酸化ニッケルで被覆された
水素吸蔵合金の粉末を得た。
【0039】以上の方法で水素吸蔵合金の表面に付着さ
せた酸化ニッケルまたは水酸化ニッケルの付着量を付着
処理の前後での合金の重量変化から求め、その付着物の
化学式に基づいて金属Ni換算の付着量を算出した。結果
を表1に示す。
【0040】上記の物理的または化学的な付着法により
酸化ニッケルおよび/または水酸化ニッケルを表面に付
着させた水素吸蔵合金を、次いで熱処理した。付着物が
水酸化ニッケルである場合には、熱処理前にまず、真空
中で300 ℃×4hrの加熱を行って、付着させた水酸化ニ
ッケルを酸化ニッケルに変化させ、発生した水蒸気を除
去した。熱処理はAr雰囲気中で、表1に示す温度および
時間で行った。熱処理中に、合金表面のニッケル酸化物
は合金中のTiおよび/または希土類金属と反応して金属
ニッケルに還元され、表面にNi含有層を有する水素吸蔵
合金 (以下、Ni付与した水素吸蔵合金という) を製造し
た。
【0041】Ni付与した水素吸蔵合金の表面のNi含有層
に酸化ニッケルが存在しないこと、および水素吸蔵合金
がTiを含む合金である場合の、このNi含有層におけるTi
−Ni金属間化合物の形成の有無は、いずれもX線回折法
により確認した。
【0042】比較例として、表面被覆を行わないもの、
酸化ニッケル付着後の熱処理を行わないもの、熱処理温
度が高すぎるものも作製した。上記のようにNi付与した
各水素吸蔵合金の耐酸化性を評価するため、Ni付与する
前 (付着工程の前) の水素吸蔵合金を活性化処理した後
の水素吸収量と、Ni付与した水素吸蔵合金の水素吸収量
を調べた。水素吸収量は、ジーベルツ型の水素吸収・放
出試験装置を用いて、活性化原点法により測定した。測
定は、試験合金を容器に入れ、真空排気して原点を決定
してから行った。
【0043】まず、Ni付与する前の各試験合金につい
て、3.0 Mpa の水素圧下 300〜500 ℃に加熱して活性化
処理した。なお、合金表面の酸化物の影響を除くため、
活性化処理の前に試験合金を5vol %弗化水素酸水溶液
に浸漬処理した。測定に用いた水素放出−吸収サイクル
は、温度20℃で水素圧を0.01 Mpaから3.0 Mpa まで加圧
する水素ガス吸収と、温度80℃で水素圧を3.0 Mpa から
0.01 Mpaまで下げる水素ガス放出とからなり、水素吸収
量は、水素ガス放出時に水素放出曲線を作製して、圧力
3Mpa での水素吸収量の値を求めた。
【0044】次に、Ni付与した各試験合金を、気温25
℃、湿度65%の恒温恒湿の大気雰囲気に1週間放置して
から、活性化処理なしに、真空で80℃まで加熱したの
ち、80℃で3.0 Mpa の水素ガスを吸収させた。吸収完了
後、20℃で2.5 Mpa の水素ガスを吸収させた。吸収完了
後、温度60℃で水素圧を2.5 Mpa から0.1 Mpa まで下げ
て、水素ガスを放出させ、圧力1Mpa での水素吸収量を
求めた。このNi付与後の水素吸収量とNi付与前の水素吸
収量の測定値から、Ni付与後の水素吸収量の低下率を次
式により算出した。この低下率が10%以内であると、耐
酸化性は良好であると判断できる。
【0045】 水素吸収量低下率(%)=[(A−B)/A] ×100 A=Ni付与後の水素吸収量 (大気放置あり、初期活性化
なし) B=Ni付与前の水素吸収量 (大気放置なし、初期活性化
あり) これらの測定結果を、合金組成と一緒に表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1から分かるとおり、本発明の方法で製
造した水素吸蔵合金は、表面にNiを含む層が形成されて
いて、大気放置後の吸収量低下率が10%以下と耐酸化性
に優れている。一方、熱処理を行わなかったり、熱処理
温度が1000℃を超える比較例では、Ni付与を実施しなか
ったものと同じく、水素吸収量の低下率が10%を超え、
耐酸化性性や耐久性の改善効果が著しく悪い。
【0048】
【発明の効果】本発明により、表面にNi含有層を有す
る、耐酸化性と耐久性が著しく改善された水素吸蔵合金
を、従来法に比べて安価に製造することが可能となる。
従って、本発明は、取り扱いが容易で、初期活性化が不
要な水素吸蔵合金を安価に供給することが可能となり、
水素ガス貯蔵・輸送、水素ガス分離・精製、熱輸送・冷
却システム、静的コンプレッサー、水素ガスを利用した
燃料電池等への水素吸蔵合金の応用に役立つ技術であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 19/00 C22C 19/00 F H01M 8/06 H01M 8/06 G Fターム(参考) 4K018 AA06 AA08 BA03 BA04 BC01 BC09 BC22 BD07 KA38 5H027 BA00 BA14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類金属元素およびTiから選ばれた少
    なくとも1種の元素を含む粉末状の水素吸蔵合金の表面
    に、酸化ニッケルおよび/または水酸化ニッケルを被覆
    し、次いで該合金を非酸化性雰囲気中 400〜1000℃で熱
    処理をして、表面にNiを含む層を形成することを特徴と
    する、水素吸蔵合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理の後、前記水素吸蔵合金を酸
    またはアルカリ水溶液に浸漬する請求項1記載の水素吸
    蔵合金の製造方法。
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