JP2000239703A - 耐酸化性に優れる水素吸蔵合金粉末の製造方法 - Google Patents
耐酸化性に優れる水素吸蔵合金粉末の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 水素の貯蔵・輸送用に適した、高い水素吸蔵
能力と長期繰り返し水素吸収・放出寿命とを持ち、室温
近傍の温度で使用でき、耐酸化性に優れ、大気中で容易
に取扱える水素吸蔵合金を、短時間の乾式表面処理によ
り製造する。 【解決手段】 Tia V1-a-b-c-d Crb Ac Bd (式中、
Aは、Mn、Fe、Co、Cu、Nb、Zn、Zr、Mo、Ag、Hf、Ta、
W、Al、Si、C、N、P、Bの1種以上;BはLn (ラン
タノイド系金属) およびYの1種以上;a= 0.2〜0.5
以下、b= 0.1〜0.4 、c=0.01〜0.2 、d= 0.001〜
0.03) で表される組成を持つ急冷凝固水素吸蔵合金粉末
の表面に、一酸化炭素で希釈されたニッケルカルボニル
ガスを用いてNiを被覆した後、 400〜1000℃の温度で熱
処理して、表面にTi−Ni化合物を主体とするNi付加層を
形成する。ニッケルカルボニルガスに、Fe、Cr、Mo、お
よび/またはWからなる他金属カルボニルガスを50体積
%以下混合してもよく、或いは他金属カルボニルガスで
第1層金属被覆を形成し、次にニッケルカルボニルガス
でNi被覆してもよい。
能力と長期繰り返し水素吸収・放出寿命とを持ち、室温
近傍の温度で使用でき、耐酸化性に優れ、大気中で容易
に取扱える水素吸蔵合金を、短時間の乾式表面処理によ
り製造する。 【解決手段】 Tia V1-a-b-c-d Crb Ac Bd (式中、
Aは、Mn、Fe、Co、Cu、Nb、Zn、Zr、Mo、Ag、Hf、Ta、
W、Al、Si、C、N、P、Bの1種以上;BはLn (ラン
タノイド系金属) およびYの1種以上;a= 0.2〜0.5
以下、b= 0.1〜0.4 、c=0.01〜0.2 、d= 0.001〜
0.03) で表される組成を持つ急冷凝固水素吸蔵合金粉末
の表面に、一酸化炭素で希釈されたニッケルカルボニル
ガスを用いてNiを被覆した後、 400〜1000℃の温度で熱
処理して、表面にTi−Ni化合物を主体とするNi付加層を
形成する。ニッケルカルボニルガスに、Fe、Cr、Mo、お
よび/またはWからなる他金属カルボニルガスを50体積
%以下混合してもよく、或いは他金属カルボニルガスで
第1層金属被覆を形成し、次にニッケルカルボニルガス
でNi被覆してもよい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵量 (水素
吸蔵能力) が高く、しかも繰り返し水素吸収放出による
特性劣化が少なく、特に耐酸化性に優れていて、大気中
に放置されても性能劣化が少なく、室温近傍の温度で利
用可能で、比較的安価といった特徴を持つ、耐久性に優
れ、特に耐酸化性に優れた水素吸蔵合金の製造方法に関
する。これらの特徴を持つ、本発明の方法により製造さ
れる水素吸蔵合金は、特に水素ガス貯蔵・輸送用、水素
ガス分離・精製用、さらには熱輸送システムや冷却シス
テム、静的コンプレッサー、水素ガスを燃料とする燃料
電池などに最適である。
吸蔵能力) が高く、しかも繰り返し水素吸収放出による
特性劣化が少なく、特に耐酸化性に優れていて、大気中
に放置されても性能劣化が少なく、室温近傍の温度で利
用可能で、比較的安価といった特徴を持つ、耐久性に優
れ、特に耐酸化性に優れた水素吸蔵合金の製造方法に関
する。これらの特徴を持つ、本発明の方法により製造さ
れる水素吸蔵合金は、特に水素ガス貯蔵・輸送用、水素
ガス分離・精製用、さらには熱輸送システムや冷却シス
テム、静的コンプレッサー、水素ガスを燃料とする燃料
電池などに最適である。
【0002】
【従来の技術】水素ガスは、燃焼すると水になり、化石
燃料のように炭酸ガスや硫黄酸化物を形成することがな
いため、クリーンなエネルギー源である。
燃料のように炭酸ガスや硫黄酸化物を形成することがな
いため、クリーンなエネルギー源である。
【0003】水素ガスの貯蔵・輸送は、一般に圧縮して
高圧ガスとして行われている。液体水素の貯蔵には−25
3 ℃の低温貯蔵容器が必要で、蒸発損失も大きい上、水
素の液化に多量のエネルギーが必要であるため、窒素の
ように液化して貯蔵するのは困難であるからである。し
かし、高圧水素ガスには重くて嵩張る耐圧容器が必要で
あるにもかかわらず、体積は 200分の1程度にしかなら
ず非効率的である上、安全性にも問題がある。
高圧ガスとして行われている。液体水素の貯蔵には−25
3 ℃の低温貯蔵容器が必要で、蒸発損失も大きい上、水
素の液化に多量のエネルギーが必要であるため、窒素の
ように液化して貯蔵するのは困難であるからである。し
かし、高圧水素ガスには重くて嵩張る耐圧容器が必要で
あるにもかかわらず、体積は 200分の1程度にしかなら
ず非効率的である上、安全性にも問題がある。
【0004】そこで、冷却・加熱により水素ガスを可逆
的に吸収・放出できる水素吸蔵合金を水素ガスの貯蔵・
輸送に利用することが検討されてきた。水素吸蔵合金
は、単位体積当たりの水素ガスの貯蔵密度が高圧水素ガ
ス容器より高く、より軽量かつ小体積の水素ガス貯蔵容
器となり、水素ガスの輸送も容易になる。また、低圧で
あることから安全性が高く、輸送中の機械的な衝撃にも
強い。
的に吸収・放出できる水素吸蔵合金を水素ガスの貯蔵・
輸送に利用することが検討されてきた。水素吸蔵合金
は、単位体積当たりの水素ガスの貯蔵密度が高圧水素ガ
ス容器より高く、より軽量かつ小体積の水素ガス貯蔵容
器となり、水素ガスの輸送も容易になる。また、低圧で
あることから安全性が高く、輸送中の機械的な衝撃にも
強い。
【0005】水素の貯蔵・輸送を目的とする水素吸蔵合
金は従来より開発されており、小規模な水素の貯蔵には
既に利用されている。また、ガソリンの代替燃料として
水素ガスを利用する低公害水素自動車の研究も進んでお
り、これにもFeTi系をはじめとする各種の水素吸蔵合金
が水素貯蔵デバイスとして検討されている。さらに、一
部実用化されつつある燃料電池にも、水素が燃料として
利用されている。
金は従来より開発されており、小規模な水素の貯蔵には
既に利用されている。また、ガソリンの代替燃料として
水素ガスを利用する低公害水素自動車の研究も進んでお
り、これにもFeTi系をはじめとする各種の水素吸蔵合金
が水素貯蔵デバイスとして検討されている。さらに、一
部実用化されつつある燃料電池にも、水素が燃料として
利用されている。
【0006】水素吸蔵合金の実用化が期待される用途に
は他に次のようなものがある。水素吸蔵合金の水素の吸
収 (水素化) と放出 (水素化物の分解) は、熱の放出と
吸収を伴う可逆反応であり、熱−化学エネルギー変換機
能を持つ。この機能を利用して、熱エネルギーの貯蔵・
輸送システムや化学的ヒートポンプとして冷却システム
に使用することができる。
は他に次のようなものがある。水素吸蔵合金の水素の吸
収 (水素化) と放出 (水素化物の分解) は、熱の放出と
吸収を伴う可逆反応であり、熱−化学エネルギー変換機
能を持つ。この機能を利用して、熱エネルギーの貯蔵・
輸送システムや化学的ヒートポンプとして冷却システム
に使用することができる。
【0007】また、低温で水素ガスを吸収させた水素吸
蔵合金を高温に加熱すると、高圧の水素ガスが放出され
る。それにより熱エネルギーを機械エネルギーに変換す
る機能も果たす。この機能は、熱駆動型の静的水素コン
プレッサやアクチュエータとして利用できる。
蔵合金を高温に加熱すると、高圧の水素ガスが放出され
る。それにより熱エネルギーを機械エネルギーに変換す
る機能も果たす。この機能は、熱駆動型の静的水素コン
プレッサやアクチュエータとして利用できる。
【0008】水素吸蔵合金の水素ガスの吸収・放出速度
は、他のガス成分の吸収・放出速度より大きく、水素同
位体間でも差がある。従って、水素吸蔵合金を用いて水
素または特定の水素同位体を選択的に吸収または放出さ
せることにより、混合ガスからの高純度水素ガスの分
離、不純水素ガスの精製、さらには水素同位体の分離が
可能である。
は、他のガス成分の吸収・放出速度より大きく、水素同
位体間でも差がある。従って、水素吸蔵合金を用いて水
素または特定の水素同位体を選択的に吸収または放出さ
せることにより、混合ガスからの高純度水素ガスの分
離、不純水素ガスの精製、さらには水素同位体の分離が
可能である。
【0009】このように水素吸蔵合金には幅広い用途が
あるが、どの用途に対しても、水素吸蔵量が最も重要な
特性である。また、上記の用途はいずれも比較的多量の
水素吸蔵合金を必要とするので、水素吸蔵合金を繰り返
し使用しても機能低下が少なく、耐久性に優れているこ
とと、合金の価格が比較的安価であることも重要であ
る。用途によっては室温近傍の比較的低い温度 (例、15
0 ℃以下) で水素の吸収・放出が起こることも求められ
る。
あるが、どの用途に対しても、水素吸蔵量が最も重要な
特性である。また、上記の用途はいずれも比較的多量の
水素吸蔵合金を必要とするので、水素吸蔵合金を繰り返
し使用しても機能低下が少なく、耐久性に優れているこ
とと、合金の価格が比較的安価であることも重要であ
る。用途によっては室温近傍の比較的低い温度 (例、15
0 ℃以下) で水素の吸収・放出が起こることも求められ
る。
【0010】例えば、実用化が先行したLaNi5 またはMm
Ni5 で代表されるAB5 型の水素吸蔵合金は高価である
ので、水素吸蔵合金の使用量が少ないNi−水素電池等の
小型二次電池用には使用できても、水素ガス貯蔵用とい
った大量の水素吸蔵合金が必要な用途には、価格面から
使用が困難である。また、水素吸蔵量もそれほど多くな
い。
Ni5 で代表されるAB5 型の水素吸蔵合金は高価である
ので、水素吸蔵合金の使用量が少ないNi−水素電池等の
小型二次電池用には使用できても、水素ガス貯蔵用とい
った大量の水素吸蔵合金が必要な用途には、価格面から
使用が困難である。また、水素吸蔵量もそれほど多くな
い。
【0011】特公昭59−38293 号公報には、比較的安価
で水素吸蔵量の多い水素吸蔵合金としてTi−Cr−V系合
金が記載されている。合金の製造方法としてはアーク溶
解法しか具体的に説明されていない。特開平7−252560
号公報にも同様な成分で構成される水素吸蔵合金が記載
されている。特開平7−268513号公報と特開平7−2685
14号公報には、Ti−V−Ni系の類似の水素吸蔵合金が記
載されている。
で水素吸蔵量の多い水素吸蔵合金としてTi−Cr−V系合
金が記載されている。合金の製造方法としてはアーク溶
解法しか具体的に説明されていない。特開平7−252560
号公報にも同様な成分で構成される水素吸蔵合金が記載
されている。特開平7−268513号公報と特開平7−2685
14号公報には、Ti−V−Ni系の類似の水素吸蔵合金が記
載されている。
【0012】また、特開昭60−190570号公報には、水素
吸蔵合金粉末に湿式無電解メッキにより銅および/また
はニッケル金属を被覆することで、雰囲気中の不純物ガ
スによる汚染の影響を小さくでき、初期活性化が不要な
いし軽減できることが説明されている。
吸蔵合金粉末に湿式無電解メッキにより銅および/また
はニッケル金属を被覆することで、雰囲気中の不純物ガ
スによる汚染の影響を小さくでき、初期活性化が不要な
いし軽減できることが説明されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】水素吸蔵合金の水素ガ
スの吸収と放出は、それぞれ体積の膨張と収縮を伴う化
学反応である。実用的な反応速度を得るには、水素吸蔵
合金を粉末状で使用して表面積を増大させる必要があ
る。しかし、使用中に合金粉末の体積の膨張と収縮が繰
り返されると、内部歪みにより粉末に亀裂が入り、やが
て細かな粒子に割れて粉末が微粉化する。微粉化が進行
すると、閉塞により水素ガスが容易に流れなくなった
り、微粉が水素ガスの流れに混じってガス配管内に移動
する。従って、この微粉化が水素吸蔵合金の長期繰り返
し水素吸収・放出寿命 (即ち、耐久性)低下の大きな原
因となる。
スの吸収と放出は、それぞれ体積の膨張と収縮を伴う化
学反応である。実用的な反応速度を得るには、水素吸蔵
合金を粉末状で使用して表面積を増大させる必要があ
る。しかし、使用中に合金粉末の体積の膨張と収縮が繰
り返されると、内部歪みにより粉末に亀裂が入り、やが
て細かな粒子に割れて粉末が微粉化する。微粉化が進行
すると、閉塞により水素ガスが容易に流れなくなった
り、微粉が水素ガスの流れに混じってガス配管内に移動
する。従って、この微粉化が水素吸蔵合金の長期繰り返
し水素吸収・放出寿命 (即ち、耐久性)低下の大きな原
因となる。
【0014】前述したTi−Cr−V系水素吸蔵合金および
Ti−V−Ni系合金は、水素吸蔵量の多い合金として開発
されたものであるが、実際には所定の水素吸蔵量に達し
ないことが多く、上記の微粉化による耐久性の問題も解
決できていない。
Ti−V−Ni系合金は、水素吸蔵量の多い合金として開発
されたものであるが、実際には所定の水素吸蔵量に達し
ないことが多く、上記の微粉化による耐久性の問題も解
決できていない。
【0015】例えば、特公昭59−38293 号公報に記載の
Ti−Cr−V系水素吸蔵合金は、この公報に記載されてい
るようにアーク溶解法で製造すると、凝固速度が遅いた
め、第2相として、水素吸蔵量の低いTiCr2 金属間化合
物がかなりの割合で析出し、水素吸蔵量が低下する。ま
た、水素吸収・放出の繰り返し中にこの第2相を起点と
して合金粉末に亀裂が入り、微粉化が促進されるという
問題点もある。
Ti−Cr−V系水素吸蔵合金は、この公報に記載されてい
るようにアーク溶解法で製造すると、凝固速度が遅いた
め、第2相として、水素吸蔵量の低いTiCr2 金属間化合
物がかなりの割合で析出し、水素吸蔵量が低下する。ま
た、水素吸収・放出の繰り返し中にこの第2相を起点と
して合金粉末に亀裂が入り、微粉化が促進されるという
問題点もある。
【0016】特開平7−252560号公報に記載の水素吸蔵
合金は、その実施例では、上記の第2相を減らすため、
1200〜1400℃という高温で保持して立方晶の単相組織と
した後、直ちに水冷により急冷する製法がとられてい
る。しかし、この方法では、高温加熱保持の際に結晶粒
の粗大化が生じるため、第2相の析出量は減少しても、
粗大化により材料自体の強度が弱くなり、微粉化し易く
なる。その上、工業的に大量生産する際には大型インゴ
ットを用いるため、水冷でも十分な冷却速度が得られ
ず、Ti−Cr化合物を主体とする第2相の粗大析出物が形
成され、水素吸蔵量も低下する。
合金は、その実施例では、上記の第2相を減らすため、
1200〜1400℃という高温で保持して立方晶の単相組織と
した後、直ちに水冷により急冷する製法がとられてい
る。しかし、この方法では、高温加熱保持の際に結晶粒
の粗大化が生じるため、第2相の析出量は減少しても、
粗大化により材料自体の強度が弱くなり、微粉化し易く
なる。その上、工業的に大量生産する際には大型インゴ
ットを用いるため、水冷でも十分な冷却速度が得られ
ず、Ti−Cr化合物を主体とする第2相の粗大析出物が形
成され、水素吸蔵量も低下する。
【0017】特開平7−268513号および同7−268514号
の各公報に記載のTi−V−Ni系水素吸蔵合金は、Ti−V
系合金からなる母相の粒界に、第2相のTi−Ni合金相ま
たはAB2 型ラーベス合金相が3次元網目骨格を形成し
た組織を持つ。この粒界相が合金の水素との反応性を向
上させるため、母相に若干の酸化があっても、この粒界
相を介して水素ガスの吸収・放出が可能である。しか
し、水素吸蔵能力の低い第2相を3次元網目構造を形成
するほど多量に析出させるため、合金全体の水素貯蔵量
が低下する。また、第2相を起点とした微粉化の問題も
避けられない。
の各公報に記載のTi−V−Ni系水素吸蔵合金は、Ti−V
系合金からなる母相の粒界に、第2相のTi−Ni合金相ま
たはAB2 型ラーベス合金相が3次元網目骨格を形成し
た組織を持つ。この粒界相が合金の水素との反応性を向
上させるため、母相に若干の酸化があっても、この粒界
相を介して水素ガスの吸収・放出が可能である。しか
し、水素吸蔵能力の低い第2相を3次元網目構造を形成
するほど多量に析出させるため、合金全体の水素貯蔵量
が低下する。また、第2相を起点とした微粉化の問題も
避けられない。
【0018】水素吸蔵合金の耐酸化性も重要な特性であ
る。水素吸蔵合金は大気中に放置されると表面が酸化さ
れ、酸化膜が形成される。特に、V含有合金は酸化膜が
形成され易い。この酸化膜は水素吸収の障害となり、所
定の水素吸蔵能力を発揮することができない。そのた
め、水素吸蔵合金粉末は、使用前に酸化膜を除去するた
め活性化処理が必要となることが多い。この活性化処理
は、合金粉末を耐圧容器に入れ、数十Kg/cm2の高圧の水
素ガスを高温で1日〜数日間作用させることにより行わ
れ、容器と処理のどちらにも費用がかかる。従って、活
性化処理が不要となるように、空気中に放置しても酸化
されにくい水素吸蔵合金粉末が求められている。
る。水素吸蔵合金は大気中に放置されると表面が酸化さ
れ、酸化膜が形成される。特に、V含有合金は酸化膜が
形成され易い。この酸化膜は水素吸収の障害となり、所
定の水素吸蔵能力を発揮することができない。そのた
め、水素吸蔵合金粉末は、使用前に酸化膜を除去するた
め活性化処理が必要となることが多い。この活性化処理
は、合金粉末を耐圧容器に入れ、数十Kg/cm2の高圧の水
素ガスを高温で1日〜数日間作用させることにより行わ
れ、容器と処理のどちらにも費用がかかる。従って、活
性化処理が不要となるように、空気中に放置しても酸化
されにくい水素吸蔵合金粉末が求められている。
【0019】特開昭60−190570号公報に記載の無電解メ
ッキによる水素吸蔵合金粉末の金属被覆は、この要請に
応えたもので、水素吸蔵合金粉末の耐酸化性の向上には
有効であるが、被覆金属が水素吸蔵能力を全く持たない
CuやNiであるため、被覆金属の分だけ水素吸蔵量が減少
する。
ッキによる水素吸蔵合金粉末の金属被覆は、この要請に
応えたもので、水素吸蔵合金粉末の耐酸化性の向上には
有効であるが、被覆金属が水素吸蔵能力を全く持たない
CuやNiであるため、被覆金属の分だけ水素吸蔵量が減少
する。
【0020】本発明は、水素ガスの貯蔵・輸送、水素ガ
スの精製・分離、熱輸送・冷却システム、水素コンプレ
ッサーなどの用途に適用可能な、高い水素吸蔵能力を持
ち、微粉化しにくく長期繰り返し水素吸収・放出寿命
(耐久性) に優れ、室温近傍の比較的低い(150℃以下)
の温度で使用でき、特に耐酸化性に優れていて、大気中
に放置しても水素吸蔵特性の劣化の少ない、比較的安価
な水素吸蔵合金粉末の製造方法を提供することを課題と
する。
スの精製・分離、熱輸送・冷却システム、水素コンプレ
ッサーなどの用途に適用可能な、高い水素吸蔵能力を持
ち、微粉化しにくく長期繰り返し水素吸収・放出寿命
(耐久性) に優れ、室温近傍の比較的低い(150℃以下)
の温度で使用でき、特に耐酸化性に優れていて、大気中
に放置しても水素吸蔵特性の劣化の少ない、比較的安価
な水素吸蔵合金粉末の製造方法を提供することを課題と
する。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、急冷凝固
法により製造された、結晶粒径の小さいTi−Cr−V系水
素吸蔵合金が、高い水素吸蔵能力と優れた繰り返し水素
吸収・放出寿命 (耐久性) を持ち、室温近傍の比較的低
温で使用できること、およびこの合金組成に少量の他の
元素を添加して、下記式で示される合金組成にする
と、水素吸蔵量がさらに増大することを見出した。ま
た、この組成を持つ水素吸蔵合金粉末に、例えば無電解
めっきによりNiを被覆し、次いで熱処理して被覆中のNi
を合金粉末中のTiと反応させることにより、粉末表面に
Ni−Ti化合物を主体とするNi付加層を形成すると、水素
吸蔵合金粉末の耐酸化性が著しく向上することも見出
し、この組成およびNi付加層を持つ水素吸蔵合金粉末と
その製造方法について特許出願した (特願平9−241413
号) 。なお、Ni付加層は、無電解めっきといった化学的
な方法以外に、Ni粉末を用いたメカニカルアロイングと
いう物理的方法によって、熱処理を行わずに形成するこ
ともできる。
法により製造された、結晶粒径の小さいTi−Cr−V系水
素吸蔵合金が、高い水素吸蔵能力と優れた繰り返し水素
吸収・放出寿命 (耐久性) を持ち、室温近傍の比較的低
温で使用できること、およびこの合金組成に少量の他の
元素を添加して、下記式で示される合金組成にする
と、水素吸蔵量がさらに増大することを見出した。ま
た、この組成を持つ水素吸蔵合金粉末に、例えば無電解
めっきによりNiを被覆し、次いで熱処理して被覆中のNi
を合金粉末中のTiと反応させることにより、粉末表面に
Ni−Ti化合物を主体とするNi付加層を形成すると、水素
吸蔵合金粉末の耐酸化性が著しく向上することも見出
し、この組成およびNi付加層を持つ水素吸蔵合金粉末と
その製造方法について特許出願した (特願平9−241413
号) 。なお、Ni付加層は、無電解めっきといった化学的
な方法以外に、Ni粉末を用いたメカニカルアロイングと
いう物理的方法によって、熱処理を行わずに形成するこ
ともできる。
【0022】しかし、Ni付加層の形成に利用する無電解
めっきは、多量の還元剤やpH緩衝剤を使用する必要が
あり、また湿式処理であるため、水洗や乾燥工程が必要
で、工程数が非常に多くなる上、面倒な排液処理が必要
であるので、コストが非常に高くなる。一方、メカニカ
ルアロイングは、100 時間といった非常に長い処理時間
が必要で生産性に問題を生ずる。
めっきは、多量の還元剤やpH緩衝剤を使用する必要が
あり、また湿式処理であるため、水洗や乾燥工程が必要
で、工程数が非常に多くなる上、面倒な排液処理が必要
であるので、コストが非常に高くなる。一方、メカニカ
ルアロイングは、100 時間といった非常に長い処理時間
が必要で生産性に問題を生ずる。
【0023】このような問題点が解消されたNi付加層の
形成方法について検討した結果、ニッケルカルボニルガ
スの熱分解を利用してNiを被覆することによりNi付加層
を形成できることを見出した。この方法は乾式法であ
り、洗浄、乾燥、排液処理が不要となり、工程が簡便と
なる上、処理時間も短くてすむので、生産性にも優れて
いる。
形成方法について検討した結果、ニッケルカルボニルガ
スの熱分解を利用してNiを被覆することによりNi付加層
を形成できることを見出した。この方法は乾式法であ
り、洗浄、乾燥、排液処理が不要となり、工程が簡便と
なる上、処理時間も短くてすむので、生産性にも優れて
いる。
【0024】さらに、この方法では、ニッケルカルボニ
ルガスに他の金属カルボニルガスを混合して他の金属を
含有するNi被覆を形成したり、或いは最初に他の金属カ
ルボニルガスで他の金属を被覆してからニッケルカルボ
ニルガスでNi被覆して金属被覆を多層化するといった操
作を容易かつ簡便に実施でき、Ni付加層の耐酸化性をさ
らに高めたり、体積変化による応力を緩和して合金の微
粉化を抑制し、合金寿命を改善することができる。
ルガスに他の金属カルボニルガスを混合して他の金属を
含有するNi被覆を形成したり、或いは最初に他の金属カ
ルボニルガスで他の金属を被覆してからニッケルカルボ
ニルガスでNi被覆して金属被覆を多層化するといった操
作を容易かつ簡便に実施でき、Ni付加層の耐酸化性をさ
らに高めたり、体積変化による応力を緩和して合金の微
粉化を抑制し、合金寿命を改善することができる。
【0025】ここに、本発明は、式: Tia V1-a-b-c-d Crb Ac Bd ・・・ で示される組成を持ち、主相の平均結晶粒径が40μm以
下である水素吸蔵合金粉末の表面に、ニッケルカルボニ
ルを主成分とする金属カルボニル含有ガスを用いて金属
被覆を施した後、 400〜1000℃の温度で熱処理を施すこ
とにより、該粉末表面にNi付加層を形成することを特徴
とする、耐酸化性に優れる水素吸蔵合金粉末の製造方
法、である。
下である水素吸蔵合金粉末の表面に、ニッケルカルボニ
ルを主成分とする金属カルボニル含有ガスを用いて金属
被覆を施した後、 400〜1000℃の温度で熱処理を施すこ
とにより、該粉末表面にNi付加層を形成することを特徴
とする、耐酸化性に優れる水素吸蔵合金粉末の製造方
法、である。
【0026】上記式中、Aは、Mn、Fe、Co、Cu、Nb、Z
n、Zr、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Al、Si、C、N、P、お
よびBから選ばれた1種または2種以上の元素を意味
し、BはLn (ランタノイド系金属) およびYから選ばれ
た1種または2種以上の元素を意味し、aの値は0.2 以
上、0.5 以下、bの値は0.1 以上、0.4 以下、cの値は
0.01以上、0.2 以下、dの値は0.001 以上、0.03以下。
n、Zr、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Al、Si、C、N、P、お
よびBから選ばれた1種または2種以上の元素を意味
し、BはLn (ランタノイド系金属) およびYから選ばれ
た1種または2種以上の元素を意味し、aの値は0.2 以
上、0.5 以下、bの値は0.1 以上、0.4 以下、cの値は
0.01以上、0.2 以下、dの値は0.001 以上、0.03以下。
【0027】前記金属カルボニル含有ガスは、20〜90体
積%の金属カルボニルガスと残り10〜80体積%の一酸化
炭素ガスとかならる、混合ガスであることが好ましい。
金属被覆の付着量は、水素吸蔵合金粉末重量の1〜20重
量%の範囲内とすることが好ましい。
積%の金属カルボニルガスと残り10〜80体積%の一酸化
炭素ガスとかならる、混合ガスであることが好ましい。
金属被覆の付着量は、水素吸蔵合金粉末重量の1〜20重
量%の範囲内とすることが好ましい。
【0028】1態様において、金属カルボニルはニッケ
ルカルボニルのみからなり、前記金属カルボニル含有ガ
スは、ニッケルカルボニルガス20〜90体積%と残り80〜
10体積%の一酸化炭素ガスとからなり、金属被覆はNi被
覆単層となる。
ルカルボニルのみからなり、前記金属カルボニル含有ガ
スは、ニッケルカルボニルガス20〜90体積%と残り80〜
10体積%の一酸化炭素ガスとからなり、金属被覆はNi被
覆単層となる。
【0029】別の態様において、金属カルボニルは、ニ
ッケルカルボニルの他に、鉄カルボニル、クロムカルボ
ニル、モリブデンカルボニルおよびタングステンカルボ
ニルから選ばれた1種もしくは2種以上の他の金属カル
ボニルを含有する混合金属カルボニルであり、金属カル
ボニル含有ガスは混合金属カルボニルガス20〜90体積%
と残り80〜10体積%の一酸化炭素ガスとからなり、混合
金属カルボニルガスの5〜50体積%が上記他の金属カル
ボニルからなり、その残り50〜95体積%がニッケルカル
ボニルからなる。この場合は、Niを主成分とする単層の
金属被覆が形成される。
ッケルカルボニルの他に、鉄カルボニル、クロムカルボ
ニル、モリブデンカルボニルおよびタングステンカルボ
ニルから選ばれた1種もしくは2種以上の他の金属カル
ボニルを含有する混合金属カルボニルであり、金属カル
ボニル含有ガスは混合金属カルボニルガス20〜90体積%
と残り80〜10体積%の一酸化炭素ガスとからなり、混合
金属カルボニルガスの5〜50体積%が上記他の金属カル
ボニルからなり、その残り50〜95体積%がニッケルカル
ボニルからなる。この場合は、Niを主成分とする単層の
金属被覆が形成される。
【0030】さらに別の態様において、水素吸蔵合金粉
末に、まず鉄カルボニル、クロムカルボニル、モリブデ
ンカルボニルおよびタングステンカルボニルから選ばれ
た1種もしくは2種以上の金属カルボニルを含有するガ
スを用いて鉄、クロム、モリブデンおよびタングステン
から選ばれた1種もしくは2種以上の金属を被覆した
後、その上にニッケルカルボニル含有ガスを用いてニッ
ケルを被覆する。これらのガスは、いずれも一酸化炭素
を10〜80体積%含み、残りが金属カルボニルガスである
ことが好ましい。後から施すNiの被覆量は、最初に施す
金属の被覆量以上とする。
末に、まず鉄カルボニル、クロムカルボニル、モリブデ
ンカルボニルおよびタングステンカルボニルから選ばれ
た1種もしくは2種以上の金属カルボニルを含有するガ
スを用いて鉄、クロム、モリブデンおよびタングステン
から選ばれた1種もしくは2種以上の金属を被覆した
後、その上にニッケルカルボニル含有ガスを用いてニッ
ケルを被覆する。これらのガスは、いずれも一酸化炭素
を10〜80体積%含み、残りが金属カルボニルガスである
ことが好ましい。後から施すNiの被覆量は、最初に施す
金属の被覆量以上とする。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水素吸蔵合金の製
造方法について詳しく説明する。本発明の方法により製
造する水素吸蔵合金粉末の特徴は次の3点である: (1) 化学組成がTia V1-a-b-c-d Crb Ac Bd (上の
式、式中のA、B、a〜dは上記と同じ) で示される、
(2) 主相の平均結晶粒径が40μm以下と微細である、
(3) 粉末表面にNi−Ti化合物を主体するNi付加層を有す
る。
造方法について詳しく説明する。本発明の方法により製
造する水素吸蔵合金粉末の特徴は次の3点である: (1) 化学組成がTia V1-a-b-c-d Crb Ac Bd (上の
式、式中のA、B、a〜dは上記と同じ) で示される、
(2) 主相の平均結晶粒径が40μm以下と微細である、
(3) 粉末表面にNi−Ti化合物を主体するNi付加層を有す
る。
【0032】この水素吸蔵合金の主相は体心立方晶であ
り、この結晶格子はTi、V、Crの3元素からなり、その
一部がA元素で置換された固溶体である。上記(2) の微
細な主相の平均結晶粒径は、水素吸蔵合金をロール急冷
法やガスアトマイズ法といった急冷凝固法により製造す
ることにより得られる。従って、本発明で製造する水素
吸蔵合金は、「上記式で示される化学組成を持つ急冷
凝固された合金」であるといえる。例えば、アーク溶解
法のように凝固時の冷却速度が遅くなると、凝固中に結
晶粒が成長して粗大になり、主相の平均結晶粒径は40μ
mを超える。
り、この結晶格子はTi、V、Crの3元素からなり、その
一部がA元素で置換された固溶体である。上記(2) の微
細な主相の平均結晶粒径は、水素吸蔵合金をロール急冷
法やガスアトマイズ法といった急冷凝固法により製造す
ることにより得られる。従って、本発明で製造する水素
吸蔵合金は、「上記式で示される化学組成を持つ急冷
凝固された合金」であるといえる。例えば、アーク溶解
法のように凝固時の冷却速度が遅くなると、凝固中に結
晶粒が成長して粗大になり、主相の平均結晶粒径は40μ
mを超える。
【0033】本発明で製造する水素吸蔵合金が、高い水
素吸蔵能力を持ち、微粉化しにくく耐久性に優れ、かつ
室温近傍の比較的低い(150℃以下) の温度で使用できる
理由は次のように推測される。
素吸蔵能力を持ち、微粉化しにくく耐久性に優れ、かつ
室温近傍の比較的低い(150℃以下) の温度で使用できる
理由は次のように推測される。
【0034】急冷凝固した体心立方晶のTi−V−Cr系合
金は、大気圧に近い0.1 MPa の水素平衡圧 (水素吸収・
放出反応の平衡ガス圧) を示す温度が150 ℃以下と低い
ので、150 ℃以下の温度範囲でも、多量の水素を吸収す
ることができ、かつ微粉化しにくいため繰り返し水素吸
収・放出寿命に優れている。
金は、大気圧に近い0.1 MPa の水素平衡圧 (水素吸収・
放出反応の平衡ガス圧) を示す温度が150 ℃以下と低い
ので、150 ℃以下の温度範囲でも、多量の水素を吸収す
ることができ、かつ微粉化しにくいため繰り返し水素吸
収・放出寿命に優れている。
【0035】しかし、この高い水素吸蔵量や優れた耐久
性は、アーク溶解法のように溶解後の凝固が遅い従来の
方法で製造された合金では得られない。これは、凝固時
の冷却速度が低下すると、水素吸蔵量の少ないTiCr2 を
主体とする第2相が、凝固中にかなりの割合で析出する
ためである。この第2相の析出物は、水素吸蔵量を低下
させるだけでなく、水素平衡圧を低下させて吸収した水
素の可逆的な放出を不可能にし、さらに粒界破壊の起点
となるため、微粉化を起こり易くする。換言すると、本
発明で製造する水素吸蔵合金では、この第2相の析出量
が非常に少ないため、この相に起因する水素吸蔵量の低
下や微粉化を避けることができる。
性は、アーク溶解法のように溶解後の凝固が遅い従来の
方法で製造された合金では得られない。これは、凝固時
の冷却速度が低下すると、水素吸蔵量の少ないTiCr2 を
主体とする第2相が、凝固中にかなりの割合で析出する
ためである。この第2相の析出物は、水素吸蔵量を低下
させるだけでなく、水素平衡圧を低下させて吸収した水
素の可逆的な放出を不可能にし、さらに粒界破壊の起点
となるため、微粉化を起こり易くする。換言すると、本
発明で製造する水素吸蔵合金では、この第2相の析出量
が非常に少ないため、この相に起因する水素吸蔵量の低
下や微粉化を避けることができる。
【0036】本発明によれば、急冷凝固されたTi−V−
Cr系合金に上記式のAおよびBで示される元素を添加
することにより、元合金とほぼ温度・圧力で水素ガスを
吸収・放出する特性を維持し、かつ上記第2相の形成も
抑えながら、水素吸蔵量をさらに増大させることができ
る。その理由は完全に解明されたわけではないが、次の
ように考えられる。
Cr系合金に上記式のAおよびBで示される元素を添加
することにより、元合金とほぼ温度・圧力で水素ガスを
吸収・放出する特性を維持し、かつ上記第2相の形成も
抑えながら、水素吸蔵量をさらに増大させることができ
る。その理由は完全に解明されたわけではないが、次の
ように考えられる。
【0037】A元素 (Mn、Fe、Co、Cu、Nb、Zn、Zr、M
o、Ag、Hf、Ta、W、Al、Si、C、N、P、B) は、主
相の体心立方晶を構成するTi、V、Crと置換して格子寸
法を拡大することで、合金自体の水素吸蔵量を高めてい
ると予想される。これらの元素も、溶解後の冷却速度が
遅いと、TiまたはCrとの金属間化合物、炭化物、ホウ化
物を形成しやすく、水素吸蔵量が低下する。従って、高
い水素吸蔵量を得るには、このような化合物の晶出また
は析出を抑制するために、急冷凝固する必要がある。そ
れにより、この化合物が起点となる微粉化も抑制され
る。
o、Ag、Hf、Ta、W、Al、Si、C、N、P、B) は、主
相の体心立方晶を構成するTi、V、Crと置換して格子寸
法を拡大することで、合金自体の水素吸蔵量を高めてい
ると予想される。これらの元素も、溶解後の冷却速度が
遅いと、TiまたはCrとの金属間化合物、炭化物、ホウ化
物を形成しやすく、水素吸蔵量が低下する。従って、高
い水素吸蔵量を得るには、このような化合物の晶出また
は析出を抑制するために、急冷凝固する必要がある。そ
れにより、この化合物が起点となる微粉化も抑制され
る。
【0038】B元素 (ランタノイド系金属<Ln>または
Y) は、主相の体心立方晶にはほとんど存在せず、合金
中に含まれる不純物酸素と酸化物を形成して存在すると
考えられる。不純物酸素は主相の体心立方晶の金属原子
間に侵入する状態で存在しているが、これらの元素が侵
入する位置は、水素を吸蔵させた場合に水素原子が侵入
する位置でもある。従って、この不純物酸素は水素侵入
サイトを塞いでしまうため、水素吸蔵量を減少させる原
因となる。酸素と化合しやすいLnやYを添加すると、不
純物酸素が主相の外に追いやられ、水素吸蔵量が増加す
るものと推定される。
Y) は、主相の体心立方晶にはほとんど存在せず、合金
中に含まれる不純物酸素と酸化物を形成して存在すると
考えられる。不純物酸素は主相の体心立方晶の金属原子
間に侵入する状態で存在しているが、これらの元素が侵
入する位置は、水素を吸蔵させた場合に水素原子が侵入
する位置でもある。従って、この不純物酸素は水素侵入
サイトを塞いでしまうため、水素吸蔵量を減少させる原
因となる。酸素と化合しやすいLnやYを添加すると、不
純物酸素が主相の外に追いやられ、水素吸蔵量が増加す
るものと推定される。
【0039】本発明で製造する水素吸蔵合金の各元素の
原子比は、150 ℃以下の低温および大気圧近傍で高い水
素吸蔵量を得るように検討して、上記のように決定され
た。次にその理由を説明する。なお、上記式からわか
るように、各元素の量はいずれも原子数比であり、合計
が1である。各元素の原子比が範囲外になった場合の影
響については、特願平9−241413号の実施例に例示され
ている。
原子比は、150 ℃以下の低温および大気圧近傍で高い水
素吸蔵量を得るように検討して、上記のように決定され
た。次にその理由を説明する。なお、上記式からわか
るように、各元素の量はいずれも原子数比であり、合計
が1である。各元素の原子比が範囲外になった場合の影
響については、特願平9−241413号の実施例に例示され
ている。
【0040】チタン (Ti) Ti量が増えると、合金主相である体心立方晶の格子寸法
が拡大し、水素吸蔵量が増加する。高い水素吸蔵量を得
るには、0.2 以上のTiが必要であり、Ti量がこれより少
ないと、水素吸蔵量が低くなる。チタンが多いほど水素
吸蔵量は増大するが、それに伴って水素平衡圧が低下
し、室温・大気圧近傍で利用することができなくなる。
が拡大し、水素吸蔵量が増加する。高い水素吸蔵量を得
るには、0.2 以上のTiが必要であり、Ti量がこれより少
ないと、水素吸蔵量が低くなる。チタンが多いほど水素
吸蔵量は増大するが、それに伴って水素平衡圧が低下
し、室温・大気圧近傍で利用することができなくなる。
【0041】本発明では、水素平衡圧を上昇させる元素
としてCrを添加するが、Ti量が0.5を越えると、Crを添
加しても水素平衡圧を大気圧近傍まで上昇させることが
できなくなる。また、Ti量が多すぎると、微粉化が原因
の繰り返し水素吸収・放出に対する寿命 (耐久性) が低
下する。水素吸蔵量と耐久性のバランスの観点から、Ti
量は 0.2以上、0.5 以下とし、好ましくは0.3 以上、0.
45以下、より好ましくは0.3 以上、0.4 以下である。
としてCrを添加するが、Ti量が0.5を越えると、Crを添
加しても水素平衡圧を大気圧近傍まで上昇させることが
できなくなる。また、Ti量が多すぎると、微粉化が原因
の繰り返し水素吸収・放出に対する寿命 (耐久性) が低
下する。水素吸蔵量と耐久性のバランスの観点から、Ti
量は 0.2以上、0.5 以下とし、好ましくは0.3 以上、0.
45以下、より好ましくは0.3 以上、0.4 以下である。
【0042】クロム (Cr) Cr量が増えると水素吸蔵量は増加するが、その程度はTi
ほど大きくないので、Cr添加の主目的は水素平衡圧の制
御にある。従って、Cr量は、Ti量や目的とする使用温度
および水素平衡圧により変化する。しかし、Cr量が0.1
未満では、Ti量が0.2 の場合に室温での水素平衡圧が大
気圧よりかなり低くなり、室温近傍で可逆的に水素を吸
収・放出できなくなる。
ほど大きくないので、Cr添加の主目的は水素平衡圧の制
御にある。従って、Cr量は、Ti量や目的とする使用温度
および水素平衡圧により変化する。しかし、Cr量が0.1
未満では、Ti量が0.2 の場合に室温での水素平衡圧が大
気圧よりかなり低くなり、室温近傍で可逆的に水素を吸
収・放出できなくなる。
【0043】一方、Crが0.4 を超えると、第2相として
析出するTiCr2 相の量が増加し、水素吸蔵量が低下する
だけでなく、微粉化が起こり易くなり繰り返し水素吸収
・放出に対する寿命も低下する。水素吸蔵量と耐久性の
バランスの観点から、Cr量は 0.1以上、0.4 以下とし、
好ましくは0.2 以上、0.4 以下、より好ましくは0.2 以
上、0.35以下である。
析出するTiCr2 相の量が増加し、水素吸蔵量が低下する
だけでなく、微粉化が起こり易くなり繰り返し水素吸収
・放出に対する寿命も低下する。水素吸蔵量と耐久性の
バランスの観点から、Cr量は 0.1以上、0.4 以下とし、
好ましくは0.2 以上、0.4 以下、より好ましくは0.2 以
上、0.35以下である。
【0044】バナジウム (V) Ti−Crの2元系では、第2相としてTiCr2 が多く形成
し、水素吸蔵量と繰り返し水素吸収・放出に対する寿命
が低下し、水素平衡圧が低すぎて室温近傍での利用も困
難になる。そのため、Vを一緒に添加する。Vの添加に
より、主相の体心立方晶相が多く得られ、水素吸蔵量が
増加する。Vの量は、Ti、Cr、A元素、およびB元素の
量により自動的に決定される。
し、水素吸蔵量と繰り返し水素吸収・放出に対する寿命
が低下し、水素平衡圧が低すぎて室温近傍での利用も困
難になる。そのため、Vを一緒に添加する。Vの添加に
より、主相の体心立方晶相が多く得られ、水素吸蔵量が
増加する。Vの量は、Ti、Cr、A元素、およびB元素の
量により自動的に決定される。
【0045】A元素 (Mn、Fe、Co、Cu、Nb、Zn、Zr、M
o、Ag、Hf、Ta、W、Al、Si、C、N、P、B) これらの添加元素は、主相の体心立方晶を構成する金属
である、Ti、Cr、Vのいずれかと置換し、格子寸法を拡
大して水素吸蔵量を増加させるのに効果的な元素であ
る。
o、Ag、Hf、Ta、W、Al、Si、C、N、P、B) これらの添加元素は、主相の体心立方晶を構成する金属
である、Ti、Cr、Vのいずれかと置換し、格子寸法を拡
大して水素吸蔵量を増加させるのに効果的な元素であ
る。
【0046】個々の2元系状態図から予想されるよう
に、これらの元素はTiまたはCrと金属間化合物、炭化
物、ホウ化物を形成しやすいため、あまり多量には添加
できない。A元素の量が0.2 より多くなると、水素吸蔵
量が少ないか、水素を吸蔵しない、上記の金属間化合物
等の化合物が多く形成されるため、かえって合金全体の
水素吸蔵量が減少する。一方、A元素の量が0.01より少
ないと、添加による水素吸蔵量の増加が認められない。
に、これらの元素はTiまたはCrと金属間化合物、炭化
物、ホウ化物を形成しやすいため、あまり多量には添加
できない。A元素の量が0.2 より多くなると、水素吸蔵
量が少ないか、水素を吸蔵しない、上記の金属間化合物
等の化合物が多く形成されるため、かえって合金全体の
水素吸蔵量が減少する。一方、A元素の量が0.01より少
ないと、添加による水素吸蔵量の増加が認められない。
【0047】金属間化合物等の形成量と水素吸蔵量との
バランスから、A元素の量は0.01以上、0.2 以下とし、
好ましくは0.03以上、0.15以下、より好ましくは0.05以
上、0.15以下である。
バランスから、A元素の量は0.01以上、0.2 以下とし、
好ましくは0.03以上、0.15以下、より好ましくは0.05以
上、0.15以下である。
【0048】B元素 [Ln (ランタノイド系金属元素) 、
Y] これらの添加元素は、合金の主相の水素侵入サイトに存
在する不純物酸素と化合物を形成させるために添加す
る。従って、B元素の量は合金中の不純物酸素量に影響
される。合金製造時に安価だが不純物の多い原料を用い
れば多く添加する必要があり、高価だが不純物の少ない
原料を用いれば少ない量で十分である。
Y] これらの添加元素は、合金の主相の水素侵入サイトに存
在する不純物酸素と化合物を形成させるために添加す
る。従って、B元素の量は合金中の不純物酸素量に影響
される。合金製造時に安価だが不純物の多い原料を用い
れば多く添加する必要があり、高価だが不純物の少ない
原料を用いれば少ない量で十分である。
【0049】工業的に安価に入手可能な原料を使用して
も、合金の不純物酸素量は通常は1wt%以下であるが、
スクラップ等の利用を考慮すると2wt%以上まで上昇す
ることも考えられる。Ln、Yは、酸素と一般にB2 O3
型の酸化物を形成するため、不純物酸素と原子比で同等
量程度添加すれば十分である。そのため、B元素の量の
上限を0.03とした。これより多量にB元素を添加して
も、水素吸蔵特性に大きな影響を与えない過剰のLn、Y
を増やすだけでコスト増大につながる。
も、合金の不純物酸素量は通常は1wt%以下であるが、
スクラップ等の利用を考慮すると2wt%以上まで上昇す
ることも考えられる。Ln、Yは、酸素と一般にB2 O3
型の酸化物を形成するため、不純物酸素と原子比で同等
量程度添加すれば十分である。そのため、B元素の量の
上限を0.03とした。これより多量にB元素を添加して
も、水素吸蔵特性に大きな影響を与えない過剰のLn、Y
を増やすだけでコスト増大につながる。
【0050】一方、B元素の量が0.001 以下では、不純
物酸素を除去できず、水素吸蔵量が増加しない。以上よ
り、B元素の量を0.001 以上、0.03以下とするが、上に
説明したように、この量は合金の不純物酸素量、従っ
て、使用する原料の純度により、この範囲内で増減させ
る。
物酸素を除去できず、水素吸蔵量が増加しない。以上よ
り、B元素の量を0.001 以上、0.03以下とするが、上に
説明したように、この量は合金の不純物酸素量、従っ
て、使用する原料の純度により、この範囲内で増減させ
る。
【0051】このように、高価なB元素の添加量は非常
に少ないので、その添加によるコスト増大はわずかであ
る。また、B元素は主相の粒界で酸化物を形成するが、
その量が上記のようにわずかであるので、それによる水
素吸蔵量の悪影響は、この酸化物の添加による水素吸蔵
量の増大に比べて少なくなる。また、これらの酸化物
は、熱処理中の結晶粒度の粗大化を抑える効果を有して
いるため、B元素添加により、微細結晶組織を得ること
ができる熱処理温度の上限を、Ti−V−Cr合金の場合よ
り高くすることができる。従って、熱処理時間が短くな
る。
に少ないので、その添加によるコスト増大はわずかであ
る。また、B元素は主相の粒界で酸化物を形成するが、
その量が上記のようにわずかであるので、それによる水
素吸蔵量の悪影響は、この酸化物の添加による水素吸蔵
量の増大に比べて少なくなる。また、これらの酸化物
は、熱処理中の結晶粒度の粗大化を抑える効果を有して
いるため、B元素添加により、微細結晶組織を得ること
ができる熱処理温度の上限を、Ti−V−Cr合金の場合よ
り高くすることができる。従って、熱処理時間が短くな
る。
【0052】ランタノイド系金属は、純金属として精製
されたLa、Ce等の元素を単独添加することも可能である
が、希土類金属の合金であり多くのランタノイド系金属
を含んでいる安価なミッシュメタルと呼ばれる合金を用
いると、本発明で製造する水素吸蔵合金の製造コストは
さらに低下する。
されたLa、Ce等の元素を単独添加することも可能である
が、希土類金属の合金であり多くのランタノイド系金属
を含んでいる安価なミッシュメタルと呼ばれる合金を用
いると、本発明で製造する水素吸蔵合金の製造コストは
さらに低下する。
【0053】主相の平均結晶粒径 以上に説明したように、本発明で製造する水素吸蔵合金
は、もともと水素吸蔵量の多い体心立方晶を主相とする
Ti−Cr−V系合金にA、Bの2種類の元素を添加して、
さらに水素吸蔵量を増大させることに成功したものであ
る。
は、もともと水素吸蔵量の多い体心立方晶を主相とする
Ti−Cr−V系合金にA、Bの2種類の元素を添加して、
さらに水素吸蔵量を増大させることに成功したものであ
る。
【0054】しかし、このTi−Cr−V−A−B系の化学
組成を持っていても、この合金の水素吸蔵量は、製造方
法や主相の平均結晶粒径により変化し、合金製造時に溶
解した後の凝固速度 (冷却速度) が遅くなって、主相の
平均結晶粒径が40μmを超えると、同じ組成であっても
水素吸蔵量が低下することが判明した。
組成を持っていても、この合金の水素吸蔵量は、製造方
法や主相の平均結晶粒径により変化し、合金製造時に溶
解した後の凝固速度 (冷却速度) が遅くなって、主相の
平均結晶粒径が40μmを超えると、同じ組成であっても
水素吸蔵量が低下することが判明した。
【0055】これは、凝固速度が低下すると、TiCr
2 や、前述したA元素との金属間化合物、炭化物、ホウ
化物等の析出物の量が増大し、この析出物はそれ自体の
水素吸蔵量が少ないか、水素を吸蔵しないため、その量
が増えると合金全体としての水素吸蔵量は低下するため
である。
2 や、前述したA元素との金属間化合物、炭化物、ホウ
化物等の析出物の量が増大し、この析出物はそれ自体の
水素吸蔵量が少ないか、水素を吸蔵しないため、その量
が増えると合金全体としての水素吸蔵量は低下するため
である。
【0056】また、TiCr2 や他の析出物の量が増える
と、主相である体心立方晶の合金相中のTi、Cr量が低下
するため、主相の水素吸蔵量が減少するだけでなく、主
としてCr量減少に起因して、水素吸収・放出反応の平衡
ガス圧である水素平衡圧が低下し、可逆的に吸収した水
素を放出できなくなる。
と、主相である体心立方晶の合金相中のTi、Cr量が低下
するため、主相の水素吸蔵量が減少するだけでなく、主
としてCr量減少に起因して、水素吸収・放出反応の平衡
ガス圧である水素平衡圧が低下し、可逆的に吸収した水
素を放出できなくなる。
【0057】さらに、合金製造時の凝固速度が遅くなっ
て主相の平均結晶粒径が40μmを超えると、繰り返し水
素吸収・放出試験をした時の微粉化 (粉末平均粒径の低
下により判定できる) が顕著になり、合金寿命 (耐久
性) の低下も著しいことが判明した。この微粉化の主因
は、上記のTiCr2 やA元素との金属間化合物等の析出物
を起点とする粒界破壊であると推定される。従って、凝
固速度が遅くなって、このような析出物の量が増える
と、微粉化の起点が多くなり、微粉化が起こり易くなる
のである。
て主相の平均結晶粒径が40μmを超えると、繰り返し水
素吸収・放出試験をした時の微粉化 (粉末平均粒径の低
下により判定できる) が顕著になり、合金寿命 (耐久
性) の低下も著しいことが判明した。この微粉化の主因
は、上記のTiCr2 やA元素との金属間化合物等の析出物
を起点とする粒界破壊であると推定される。従って、凝
固速度が遅くなって、このような析出物の量が増える
と、微粉化の起点が多くなり、微粉化が起こり易くなる
のである。
【0058】以上の知見から、本発明で製造する水素吸
蔵合金では、主相 (体心立方晶) の平均結晶粒径を40μ
m以下に限定する。それにより、TiCr2 やA元素との金
属間化合物等のような析出物の生成量が著しく低減する
ため、水素吸蔵量が多くなり、体心立方晶金属の理論上
の最大水素吸蔵量に近づいたH/M=1.80以上の高い水
素吸蔵量を示す合金が得られる。同時に繰り返し水素吸
収・放出時の微粉化が起こりにくくなり、代表的な希土
類系水素吸蔵合金であるMmNi5 系金属間化合物より著し
く優れた繰り返し水素吸収・放出に対する耐久性を示す
ようになる。この平均結晶粒径の効果についても特願平
9−241413号の実施例に示してある。
蔵合金では、主相 (体心立方晶) の平均結晶粒径を40μ
m以下に限定する。それにより、TiCr2 やA元素との金
属間化合物等のような析出物の生成量が著しく低減する
ため、水素吸蔵量が多くなり、体心立方晶金属の理論上
の最大水素吸蔵量に近づいたH/M=1.80以上の高い水
素吸蔵量を示す合金が得られる。同時に繰り返し水素吸
収・放出時の微粉化が起こりにくくなり、代表的な希土
類系水素吸蔵合金であるMmNi5 系金属間化合物より著し
く優れた繰り返し水素吸収・放出に対する耐久性を示す
ようになる。この平均結晶粒径の効果についても特願平
9−241413号の実施例に示してある。
【0059】本発明で製造する水素吸蔵合金のこれらの
特性をさらに改善するには、後述するNi付加層を形成す
る前の時点で、合金主相の平均結晶粒径が20μm以下、
特に15μm以下であることが好ましい。また、第2相と
して形成されるTiCr2 やA元素との金属間化合物等の析
出物の平均結晶粒径が5μm以下であると微粉化が生じ
にくくなり、2μm以下であるとほとんど微粉化しない
ことが判明した。
特性をさらに改善するには、後述するNi付加層を形成す
る前の時点で、合金主相の平均結晶粒径が20μm以下、
特に15μm以下であることが好ましい。また、第2相と
して形成されるTiCr2 やA元素との金属間化合物等の析
出物の平均結晶粒径が5μm以下であると微粉化が生じ
にくくなり、2μm以下であるとほとんど微粉化しない
ことが判明した。
【0060】主相の平均結晶粒径が40μm以下の本発明
で製造する水素吸蔵合金は、前述したように急冷凝固法
により製造できる。具体的な急冷凝固の方法は、上記の
平均結晶粒径を持つ合金が得られる限り限定されない。
採用可能な急冷凝固法としては、回転電極法、回転ドラ
ムあるいはロール上に合金溶湯を注湯する方法 (例、単
ロールまたは双ロール急冷法) 、水冷銅板上へ薄く鋳込
む方法、ガスアトマイズ法等が挙げられる。
で製造する水素吸蔵合金は、前述したように急冷凝固法
により製造できる。具体的な急冷凝固の方法は、上記の
平均結晶粒径を持つ合金が得られる限り限定されない。
採用可能な急冷凝固法としては、回転電極法、回転ドラ
ムあるいはロール上に合金溶湯を注湯する方法 (例、単
ロールまたは双ロール急冷法) 、水冷銅板上へ薄く鋳込
む方法、ガスアトマイズ法等が挙げられる。
【0061】これらのうち、回転電極法とアトマイズ法
は、水素吸蔵合金の球形粉末を製造することができ、粉
末化するための粉砕工程が不要となる上、粉末形状が実
質的に球形で充填密度が高くなる点で有利である。他の
方法の場合には、必要に応じて得られた水素吸蔵合金を
粉砕して粉末にする。粉砕方法としては、水素化粉砕、
機械粉砕のいずれも採用可能であり、両者を併用しても
よい。
は、水素吸蔵合金の球形粉末を製造することができ、粉
末化するための粉砕工程が不要となる上、粉末形状が実
質的に球形で充填密度が高くなる点で有利である。他の
方法の場合には、必要に応じて得られた水素吸蔵合金を
粉砕して粉末にする。粉砕方法としては、水素化粉砕、
機械粉砕のいずれも採用可能であり、両者を併用しても
よい。
【0062】本発明で製造する水素吸蔵合金は、平均粒
径が10〜50μm程度の粉末形態とすることが適当であ
る。それにより、表面積が増大し、水素の吸収・放出反
応が促進される。必要であれば、分級により平均粒径を
調整する。
径が10〜50μm程度の粉末形態とすることが適当であ
る。それにより、表面積が増大し、水素の吸収・放出反
応が促進される。必要であれば、分級により平均粒径を
調整する。
【0063】急冷凝固法により製造された水素吸蔵合金
は、一般に微小な急冷歪みを持っている。本発明では、
後でNi付加層を形成する際に水素吸蔵合金粉末を熱処理
するので、その際にこの急冷歪みが除去される。従っ
て、Ni付加層を形成する前に、別に急冷歪みを除去する
ための熱処理を施す必要はない。
は、一般に微小な急冷歪みを持っている。本発明では、
後でNi付加層を形成する際に水素吸蔵合金粉末を熱処理
するので、その際にこの急冷歪みが除去される。従っ
て、Ni付加層を形成する前に、別に急冷歪みを除去する
ための熱処理を施す必要はない。
【0064】本発明で製造する水素吸蔵合金は、そのま
までは、大気中に放置しておくと、室温近傍の低温
(例、80℃) で測定した水素吸蔵量が減少する。この合
金を大気中に放置すると表面が酸化し、この酸化膜が障
害となって低温での水素吸蔵量が減少することが原因と
考えられる。このように大気放置により水素吸蔵量が低
下した水素吸蔵合金は、高圧水素ガス中 (例、20気圧)
で500 ℃まで加熱して活性化させると水素吸蔵量が増加
し、放置前の吸収量を回復する。しかし、前述したよう
に、この活性化処理は費用がかかる。
までは、大気中に放置しておくと、室温近傍の低温
(例、80℃) で測定した水素吸蔵量が減少する。この合
金を大気中に放置すると表面が酸化し、この酸化膜が障
害となって低温での水素吸蔵量が減少することが原因と
考えられる。このように大気放置により水素吸蔵量が低
下した水素吸蔵合金は、高圧水素ガス中 (例、20気圧)
で500 ℃まで加熱して活性化させると水素吸蔵量が増加
し、放置前の吸収量を回復する。しかし、前述したよう
に、この活性化処理は費用がかかる。
【0065】水素吸蔵合金を利用した装置では、製作過
程で大気との接触を完全に避けることはできないので、
上記の活性化処理を避けるには、大気と接触しても酸化
しないように本発明の水素吸蔵合金の耐酸化性を改善す
ることが望まれる。
程で大気との接触を完全に避けることはできないので、
上記の活性化処理を避けるには、大気と接触しても酸化
しないように本発明の水素吸蔵合金の耐酸化性を改善す
ることが望まれる。
【0066】水素吸蔵合金の耐酸化性は、特開昭60−19
0570号公報に記載のように、合金表面をNiで被覆すると
改善される。しかし、この手法は、耐酸化性の向上には
有効であるものの、合金表面を被覆したNi自体は水素吸
蔵能力がほとんどないため、合金単位重量当たりの水素
吸蔵量が低下する。
0570号公報に記載のように、合金表面をNiで被覆すると
改善される。しかし、この手法は、耐酸化性の向上には
有効であるものの、合金表面を被覆したNi自体は水素吸
蔵能力がほとんどないため、合金単位重量当たりの水素
吸蔵量が低下する。
【0067】本発明によれば、合金表面のNi被覆層を、
母材となるTi−V−Cr−A−B系合金と反応させて、Ti
−Ni化合物を主体とするNi付加層に変化させる。このNi
付加層は、純Niより著しく大きな水素吸蔵能力を持つた
め、水素吸蔵量をほとんど低下させずに、水素吸蔵合金
に耐酸化性を付与することができる。
母材となるTi−V−Cr−A−B系合金と反応させて、Ti
−Ni化合物を主体とするNi付加層に変化させる。このNi
付加層は、純Niより著しく大きな水素吸蔵能力を持つた
め、水素吸蔵量をほとんど低下させずに、水素吸蔵合金
に耐酸化性を付与することができる。
【0068】このNi付加層の形成は、本発明では、ニッ
ケルカルボニルを主成分とする金属カルボニル含有ガス
の熱分解を利用した気相反応法によってニッケルを主成
分とする金属被覆を施した後、 400〜1000℃の温度で熱
処理を施すことにより行う。金属カルボニルは、ニッケ
ルカルボニル [Ni(CO)4]だけでもよく、或いはこれに鉄
カルボニル [Fe(CO)4]、クロムカルボニル [Cr(CO)4]、
モリブデンカルボニル[Mo(CO)4] およびタングステンカ
ルボニル [W(CO)4]の1種もしくは2種以上を混合した
混合金属カルボニルでもよい。
ケルカルボニルを主成分とする金属カルボニル含有ガス
の熱分解を利用した気相反応法によってニッケルを主成
分とする金属被覆を施した後、 400〜1000℃の温度で熱
処理を施すことにより行う。金属カルボニルは、ニッケ
ルカルボニル [Ni(CO)4]だけでもよく、或いはこれに鉄
カルボニル [Fe(CO)4]、クロムカルボニル [Cr(CO)4]、
モリブデンカルボニル[Mo(CO)4] およびタングステンカ
ルボニル [W(CO)4]の1種もしくは2種以上を混合した
混合金属カルボニルでもよい。
【0069】説明を簡略化するために、金属カルボニル
がニッケルカルボニル[Ni(CO)4] のみからなる場合につ
いてまず説明する。Ni(CO)4 は室温で気体であり、加熱
されると、Ni金属と一酸化炭素(CO)とに熱分解する。従
って、水素吸蔵合金粉末の表面温度をNi(CO)4 の熱分解
温度以上に保持し、この分解温度より低温のNi(CO)4ガ
スを粉末表面と接触させると、粉末表面に接触したNi(C
O)4 ガスはNiとCOガスとに分解し、Niは粉末表面に付着
するので、粉末表面がNiで被覆される。
がニッケルカルボニル[Ni(CO)4] のみからなる場合につ
いてまず説明する。Ni(CO)4 は室温で気体であり、加熱
されると、Ni金属と一酸化炭素(CO)とに熱分解する。従
って、水素吸蔵合金粉末の表面温度をNi(CO)4 の熱分解
温度以上に保持し、この分解温度より低温のNi(CO)4ガ
スを粉末表面と接触させると、粉末表面に接触したNi(C
O)4 ガスはNiとCOガスとに分解し、Niは粉末表面に付着
するので、粉末表面がNiで被覆される。
【0070】Ni(CO)4 ガスの分解温度は文献により約50
〜200 ℃の範囲のまちまちの温度が報告されている。本
発明者らの実験では、合金粉末の表面温度が 100〜200
℃程度の温度であると、上記の気相反応法によるNi被覆
が達成されることを示した。Ni被覆に用いるNi(CO)4 ガ
スは、熱分解温度より高温であると、合金粉末と接触す
る前に分解してしまうので、熱分解温度より低温で導入
する。Ni(CO)4 ガスの温度は、50℃以下とすることが好
ましい。
〜200 ℃の範囲のまちまちの温度が報告されている。本
発明者らの実験では、合金粉末の表面温度が 100〜200
℃程度の温度であると、上記の気相反応法によるNi被覆
が達成されることを示した。Ni被覆に用いるNi(CO)4 ガ
スは、熱分解温度より高温であると、合金粉末と接触す
る前に分解してしまうので、熱分解温度より低温で導入
する。Ni(CO)4 ガスの温度は、50℃以下とすることが好
ましい。
【0071】Ni(CO)4 ガスは、好ましくは一酸化炭素(C
O)ガスとの混合ガスとして使用する。これは、ガス中の
Ni(CO)4 濃度が高すぎると、合金粉末と接触する前に気
相中でNi(CO)4 が熱分解してNiが析出してしまい、かえ
って粉末表面でのNi被覆の形成速度が遅くなる上、Ni(C
O)4 のNi被覆への利用率が低下し、Ni(CO)4 ガスの使用
量が増えるためである。Ni(CO)4 ガスを一酸化炭素で希
釈して気相反応に使用すると、Ni(CO)4 ガスが合金粉末
と接触する前に熱分解することが抑えられる。この混合
ガス中のNi(CO)4 ガスの割合は、20〜90体積%とするこ
とが好ましい。混合ガス中のNi(CO)4 ガスの割合が90%
より多いと、粉末表面と接触する前の分解の抑制が不十
分であり、20%未満ではNi(CO)4 ガスが少なすぎて、Ni
被覆層の形成に長時間を要し、実用的ではなくなる。混
合ガス中のNi(CO)4 ガスの割合は、より好ましくは40〜
70体積%である。
O)ガスとの混合ガスとして使用する。これは、ガス中の
Ni(CO)4 濃度が高すぎると、合金粉末と接触する前に気
相中でNi(CO)4 が熱分解してNiが析出してしまい、かえ
って粉末表面でのNi被覆の形成速度が遅くなる上、Ni(C
O)4 のNi被覆への利用率が低下し、Ni(CO)4 ガスの使用
量が増えるためである。Ni(CO)4 ガスを一酸化炭素で希
釈して気相反応に使用すると、Ni(CO)4 ガスが合金粉末
と接触する前に熱分解することが抑えられる。この混合
ガス中のNi(CO)4 ガスの割合は、20〜90体積%とするこ
とが好ましい。混合ガス中のNi(CO)4 ガスの割合が90%
より多いと、粉末表面と接触する前の分解の抑制が不十
分であり、20%未満ではNi(CO)4 ガスが少なすぎて、Ni
被覆層の形成に長時間を要し、実用的ではなくなる。混
合ガス中のNi(CO)4 ガスの割合は、より好ましくは40〜
70体積%である。
【0072】前述したように、Ni(CO)4 ガスの一部は、
Fe(CO)4 、Cr(CO)4 、Mo(CO)4 、およびW(CO)4 から選
ばれた他の金属カルボニルガスに代えることができる。
即ち、Ni(CO)4 ガスと他の金属カルボニルガスとの混合
金属カルボニルガスを使用する。それにより、上記の気
相反応法によって、水素吸蔵合金粉末の表面に、Ni以外
に、Fe、Cr、Mo、Wから選ばれた他の金属を含有する金
属被覆が形成され、熱処理後に、この他の金属を含有す
るNi付加層が生成する。こうすると、水素吸蔵合金粉末
の耐酸化性の改善効果が一段と高くなる場合がある。
Fe(CO)4 、Cr(CO)4 、Mo(CO)4 、およびW(CO)4 から選
ばれた他の金属カルボニルガスに代えることができる。
即ち、Ni(CO)4 ガスと他の金属カルボニルガスとの混合
金属カルボニルガスを使用する。それにより、上記の気
相反応法によって、水素吸蔵合金粉末の表面に、Ni以外
に、Fe、Cr、Mo、Wから選ばれた他の金属を含有する金
属被覆が形成され、熱処理後に、この他の金属を含有す
るNi付加層が生成する。こうすると、水素吸蔵合金粉末
の耐酸化性の改善効果が一段と高くなる場合がある。
【0073】この場合、混合金属カルボニルガスの合計
量に基づいて、上記の他の金属カルボニルガスが5〜50
体積%、残り5〜95体積%がNi(CO)4 ガスの混合割合と
することが好ましい。他の金属カルボニルガスが5%以
下では、少量すぎて混合の意味がない。50%を越える
と、Ni付加層中のNi量が少なくなり、水素吸蔵量が低下
する。他の金属カルボニルガスの割合はより好ましくは
10〜30体積%である。
量に基づいて、上記の他の金属カルボニルガスが5〜50
体積%、残り5〜95体積%がNi(CO)4 ガスの混合割合と
することが好ましい。他の金属カルボニルガスが5%以
下では、少量すぎて混合の意味がない。50%を越える
と、Ni付加層中のNi量が少なくなり、水素吸蔵量が低下
する。他の金属カルボニルガスの割合はより好ましくは
10〜30体積%である。
【0074】他の金属カルボニルガスを混合する場合
も、上記のように混合金属カルボニルガスを一酸化炭素
で希釈することが好ましい。この時の希釈割合は上記と
同様でよい。即ち、混合金属カルボニルガスが20〜90体
積%であり、残り10〜80体積%を一酸化炭素ガスとする
ことが好ましい。
も、上記のように混合金属カルボニルガスを一酸化炭素
で希釈することが好ましい。この時の希釈割合は上記と
同様でよい。即ち、混合金属カルボニルガスが20〜90体
積%であり、残り10〜80体積%を一酸化炭素ガスとする
ことが好ましい。
【0075】混合金属カルボニルガスを使用する場合
も、水素吸蔵合金粉末の加熱温度 (粉末表面温度) は、
一般に上記と同様でよい。但し、W(CO)4 は熱分解温度
が高いので、場合によっては、粉末表面温度をより高く
することが必要になるかも知れない。その場合には、使
用する金属カルボニルが粉末表面で熱分解するように、
粉末の表面温度を実験により設定すればよい。金属カル
ボニル含有ガスの温度は上記と同様でよい。
も、水素吸蔵合金粉末の加熱温度 (粉末表面温度) は、
一般に上記と同様でよい。但し、W(CO)4 は熱分解温度
が高いので、場合によっては、粉末表面温度をより高く
することが必要になるかも知れない。その場合には、使
用する金属カルボニルが粉末表面で熱分解するように、
粉末の表面温度を実験により設定すればよい。金属カル
ボニル含有ガスの温度は上記と同様でよい。
【0076】他の金属カルボニルガスをNi(CO)4 ガスに
混合するのではなく、最初に他の金属カルボニルガスを
用いて合金粉末の表面を他の金属で被覆した後、Ni(CO)
4 ガスを用いてNi被覆を行うこともできる。こうして多
層の金属付加層を形成すると、前述した耐酸化性の一層
の改善に加えて、水素吸蔵合金粉末が水素を吸蔵・放出
する毎に起こる体積変化に起因する応力を緩和し、電極
の寿命が一層長くなることが期待できる。なお、最初に
施す他の金属による被覆は、それぞれ別の金属カルボニ
ルガスを用いて2回以上行うことも可能である。
混合するのではなく、最初に他の金属カルボニルガスを
用いて合金粉末の表面を他の金属で被覆した後、Ni(CO)
4 ガスを用いてNi被覆を行うこともできる。こうして多
層の金属付加層を形成すると、前述した耐酸化性の一層
の改善に加えて、水素吸蔵合金粉末が水素を吸蔵・放出
する毎に起こる体積変化に起因する応力を緩和し、電極
の寿命が一層長くなることが期待できる。なお、最初に
施す他の金属による被覆は、それぞれ別の金属カルボニ
ルガスを用いて2回以上行うことも可能である。
【0077】この場合の他の金属カルボニルガスおよび
Ni(CO)4 ガスの一酸化炭素による希釈や、合金粉末の加
熱温度、各ガスの温度等の反応条件は、上記と同様でよ
い。最初に施す1層目の他の金属の被覆量は、後から施
す2層目のNi金属の被覆量以下にする。具体的には、金
属被覆量の合計量に基づいて、1層目の他の金属の被覆
量が5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%、2層目の
Ni金属の被覆量が50〜95重量%、好ましくは70〜90重量
%の範囲がよい。1層目の被覆量が少なすぎると、1層
目を形成した意味がなく、多すぎるとNi量が少なくなっ
て、水素吸蔵量が低下する。
Ni(CO)4 ガスの一酸化炭素による希釈や、合金粉末の加
熱温度、各ガスの温度等の反応条件は、上記と同様でよ
い。最初に施す1層目の他の金属の被覆量は、後から施
す2層目のNi金属の被覆量以下にする。具体的には、金
属被覆量の合計量に基づいて、1層目の他の金属の被覆
量が5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%、2層目の
Ni金属の被覆量が50〜95重量%、好ましくは70〜90重量
%の範囲がよい。1層目の被覆量が少なすぎると、1層
目を形成した意味がなく、多すぎるとNi量が少なくなっ
て、水素吸蔵量が低下する。
【0078】金属カルボニル含有ガスを用いた気相反応
による水素吸蔵合金粉末の金属被覆は、粉末を均一に加
熱でき、かつ粉末を金属カルボニル含有ガスと接触させ
ることができる任意の適当な設備により実施できる。例
えば、水素吸蔵合金粉末をガスの導入・排出手段を備え
た容器に収容し、この容器を適当な加熱炉 (例、抵抗
炉、高周波誘導炉) に入れて全体を加熱するか、或いは
この容器に抵抗加熱ヒーター等を取り付けて直接加熱し
て、合金粉末を金属カルボニルの熱分解温度以上に加熱
する。加熱前に、容器内のガスを一酸化炭素および/ま
たは不活性ガスに置換しておくことが好ましい。加熱を
開始して粉末の表面温度が所定温度に達したら、金属カ
ルボニル含有ガスの導入を開始し、所定の金属被覆量に
なるまで導入を続ける。なお、処理に用いる水素吸蔵合
金粉末は、必要であれば、フッ酸、塩化水素酸などの非
酸化性の酸で酸洗処理して、合金表面の酸化層を除去し
てもよい。
による水素吸蔵合金粉末の金属被覆は、粉末を均一に加
熱でき、かつ粉末を金属カルボニル含有ガスと接触させ
ることができる任意の適当な設備により実施できる。例
えば、水素吸蔵合金粉末をガスの導入・排出手段を備え
た容器に収容し、この容器を適当な加熱炉 (例、抵抗
炉、高周波誘導炉) に入れて全体を加熱するか、或いは
この容器に抵抗加熱ヒーター等を取り付けて直接加熱し
て、合金粉末を金属カルボニルの熱分解温度以上に加熱
する。加熱前に、容器内のガスを一酸化炭素および/ま
たは不活性ガスに置換しておくことが好ましい。加熱を
開始して粉末の表面温度が所定温度に達したら、金属カ
ルボニル含有ガスの導入を開始し、所定の金属被覆量に
なるまで導入を続ける。なお、処理に用いる水素吸蔵合
金粉末は、必要であれば、フッ酸、塩化水素酸などの非
酸化性の酸で酸洗処理して、合金表面の酸化層を除去し
てもよい。
【0079】金属の被覆量は、水素吸蔵合金の粉末平均
粒径によっても異なるが、通常は水素吸蔵合金の重量の
1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%が適当である。
この金属被覆量は、金属被覆全体の被覆量を意味する。
即ち、被覆が上記のように2層からなる場合には、2層
の合計被覆量であり、他の金属を含有する1層被覆の場
合は、他金属を含めた被覆量である。
粒径によっても異なるが、通常は水素吸蔵合金の重量の
1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%が適当である。
この金属被覆量は、金属被覆全体の被覆量を意味する。
即ち、被覆が上記のように2層からなる場合には、2層
の合計被覆量であり、他の金属を含有する1層被覆の場
合は、他金属を含めた被覆量である。
【0080】上記のようにして水素吸蔵合金粉末の表面
に、金属カルボニルの熱分解を利用した方法により、Ni
を主成分とする金属被覆 (1層目が他の金属、2層目が
Ni被覆の場合を含む) を形成した後、熱処理を施して、
被覆中のNiを母材合金中のTiと反応させ、Ni層を水素吸
蔵能力の高いTi−Ni化合物 (Ti2Ni, TiNi, TiNi3) に変
化させて、Ti−Ni化合物を主体とするNi付加層を合金粉
末の表面に形成する。このNi付加層は母材から (場合に
より被覆中に他金属として存在する) Crを取り込んでい
るため、Ti−Niの2元系金属間化合物より耐酸化性に優
れている。
に、金属カルボニルの熱分解を利用した方法により、Ni
を主成分とする金属被覆 (1層目が他の金属、2層目が
Ni被覆の場合を含む) を形成した後、熱処理を施して、
被覆中のNiを母材合金中のTiと反応させ、Ni層を水素吸
蔵能力の高いTi−Ni化合物 (Ti2Ni, TiNi, TiNi3) に変
化させて、Ti−Ni化合物を主体とするNi付加層を合金粉
末の表面に形成する。このNi付加層は母材から (場合に
より被覆中に他金属として存在する) Crを取り込んでい
るため、Ti−Niの2元系金属間化合物より耐酸化性に優
れている。
【0081】この熱処理は、合金の酸化を防止するた
め、真空中または不活性ガス中で行うことが好ましい。
例えば、上記の気相反応に利用した反応装置が、高温の
熱処理温度に耐えるなら、導入するガスを不活性ガスに
切り換えて熱処理温度まで昇温することにより、同じ装
置内で熱処理を実施することも可能である。
め、真空中または不活性ガス中で行うことが好ましい。
例えば、上記の気相反応に利用した反応装置が、高温の
熱処理温度に耐えるなら、導入するガスを不活性ガスに
切り換えて熱処理温度まで昇温することにより、同じ装
置内で熱処理を実施することも可能である。
【0082】熱処理条件は、この熱処理中に母材合金の
主相の平均結晶粒径が40μmを超えるまでに粗大化しな
いように設定することが好ましい。この観点から、熱処
理温度は 400〜1000℃の範囲とし、熱処理時間は上記の
粗大化が起こらないように設定する。熱処理温度が1000
℃を越えると、平均結晶粒径が第2相の析出物の粗大化
が進み、水素吸蔵量が低下したり、水素吸収・放出に繰
り返しにより微粉化し易くなる。一方、400 ℃未満では
Ti−Ni化合物の生成反応が進みにくい。好ましい熱処理
温度は 450〜900 ℃である。従来のTi−V−Cr合金の熱
処理温度は一般に750 ℃以下であるが、本発明ではB元
素の添加により熱処理温度の上限を高くすることがで
き、それにより短時間で熱処理を終了させることができ
る。
主相の平均結晶粒径が40μmを超えるまでに粗大化しな
いように設定することが好ましい。この観点から、熱処
理温度は 400〜1000℃の範囲とし、熱処理時間は上記の
粗大化が起こらないように設定する。熱処理温度が1000
℃を越えると、平均結晶粒径が第2相の析出物の粗大化
が進み、水素吸蔵量が低下したり、水素吸収・放出に繰
り返しにより微粉化し易くなる。一方、400 ℃未満では
Ti−Ni化合物の生成反応が進みにくい。好ましい熱処理
温度は 450〜900 ℃である。従来のTi−V−Cr合金の熱
処理温度は一般に750 ℃以下であるが、本発明ではB元
素の添加により熱処理温度の上限を高くすることがで
き、それにより短時間で熱処理を終了させることができ
る。
【0083】
【実施例】アルゴンガスアトマイズ法 (10 kg/ch) によ
り水素吸蔵合金粉末を作製した。作製した水素吸蔵合金
は、Ti=0.30、V=0.25、Cr=0.30、A=0.14、B=
0.01の同一組成とした (但し、A、Bの元素種類
は変動) 。得られたアトマイズ粉末から100 μm超の粉
末をふるいで除去した。こうして得た各粉末の平均粒径
は約50μmであった。また、この水素吸蔵合金の主相の
平均結晶粒径は約5〜10μmであり、40μmより十分に
小さかった。
り水素吸蔵合金粉末を作製した。作製した水素吸蔵合金
は、Ti=0.30、V=0.25、Cr=0.30、A=0.14、B=
0.01の同一組成とした (但し、A、Bの元素種類
は変動) 。得られたアトマイズ粉末から100 μm超の粉
末をふるいで除去した。こうして得た各粉末の平均粒径
は約50μmであった。また、この水素吸蔵合金の主相の
平均結晶粒径は約5〜10μmであり、40μmより十分に
小さかった。
【0084】アトマイズ用の合金溶湯の調製に用いた原
料は、純度99wt%のスポンジチタン、純度98wt%のバナ
ジウム、純度99wt%のクロム、ランタノイド系希土類金
属の合金であるミッシュメタル (Lnと略記する)(La=46
wt%、Ce=5wt%、Nd=37wt%、Pr=10wt%、総希土類
含有量99.5wt%) 、純度99wt%のFe、Mn、Co、Nb、Y、
Zn、Zr、純度99.9wt%のAl、Ag、Hf、Ta、W、Mo、Cuで
あった。軽元素 (Si、C、N、P、B) は、TiまたはCr
との化合物(TiC、TiB2等) で添加した。
料は、純度99wt%のスポンジチタン、純度98wt%のバナ
ジウム、純度99wt%のクロム、ランタノイド系希土類金
属の合金であるミッシュメタル (Lnと略記する)(La=46
wt%、Ce=5wt%、Nd=37wt%、Pr=10wt%、総希土類
含有量99.5wt%) 、純度99wt%のFe、Mn、Co、Nb、Y、
Zn、Zr、純度99.9wt%のAl、Ag、Hf、Ta、W、Mo、Cuで
あった。軽元素 (Si、C、N、P、B) は、TiまたはCr
との化合物(TiC、TiB2等) で添加した。
【0085】得られた水素吸蔵合金粉末に、本発明の方
法に従ってNi付加層を形成した。具体的には、それぞれ
チューブに接続されたガス注入孔と排気孔を設けた内径
150mm×長さ300 mmの石英製円筒形容器 (ガス注入孔と
排気孔以外は閉じている) に、幅100 mm×長さ150 mmの
石英ボートを入れ、このボートに水素吸蔵合金粉末を収
容した。この円筒形容器ごと約150 ℃に温度を制御した
抵抗加熱炉に装入し、粉末全体の温度が約150 ℃になっ
た時点で、金属カルボニルガス80体積%、一酸化炭素ガ
ス20体積%からなる温度約35℃の金属カルボニル含有ガ
スを、前記ガス注入孔に接続されたチューブを経て円筒
形容器内に導入した。導入したガスは前記排気孔からチ
ューブを経て外部に引き出し、外部の再利用装置でNi等
の金属として貯蔵できるようにした。
法に従ってNi付加層を形成した。具体的には、それぞれ
チューブに接続されたガス注入孔と排気孔を設けた内径
150mm×長さ300 mmの石英製円筒形容器 (ガス注入孔と
排気孔以外は閉じている) に、幅100 mm×長さ150 mmの
石英ボートを入れ、このボートに水素吸蔵合金粉末を収
容した。この円筒形容器ごと約150 ℃に温度を制御した
抵抗加熱炉に装入し、粉末全体の温度が約150 ℃になっ
た時点で、金属カルボニルガス80体積%、一酸化炭素ガ
ス20体積%からなる温度約35℃の金属カルボニル含有ガ
スを、前記ガス注入孔に接続されたチューブを経て円筒
形容器内に導入した。導入したガスは前記排気孔からチ
ューブを経て外部に引き出し、外部の再利用装置でNi等
の金属として貯蔵できるようにした。
【0086】金属カルボニル含有ガスの導入は、所定の
金属被覆量が得られるまで続けた。使用した金属カルボ
ニルガスは、ニッケルカルボニルだけ、ニッケルカ
ルボニルと他の金属 (Fe、Cr、Mo、W) カルボニルガス
の1種もしくは2種以上との混合ガス、または最初に
他の金属カルボニルガスを使用して1層目の金属被覆を
行い、次にニッケルカルボニルガスを使用して2層目の
Ni被覆を行う、のいずれかであった。金属被覆量 (2層
被覆の場合は合計被覆量) はいずれも、水素吸蔵合金粉
末の約10重量% (即ち、合金粉末100 重量部に対して約
10重量部) の一定とした。
金属被覆量が得られるまで続けた。使用した金属カルボ
ニルガスは、ニッケルカルボニルだけ、ニッケルカ
ルボニルと他の金属 (Fe、Cr、Mo、W) カルボニルガス
の1種もしくは2種以上との混合ガス、または最初に
他の金属カルボニルガスを使用して1層目の金属被覆を
行い、次にニッケルカルボニルガスを使用して2層目の
Ni被覆を行う、のいずれかであった。金属被覆量 (2層
被覆の場合は合計被覆量) はいずれも、水素吸蔵合金粉
末の約10重量% (即ち、合金粉末100 重量部に対して約
10重量部) の一定とした。
【0087】上記のようにして気相反応法によりNiを含
む金属被覆を施した後、水素吸蔵合金粉末を入れたボー
トごと熱処理炉に移し、アルゴン雰囲気中で 680℃×10
時間の熱処理を行って、金属被覆中のNiをTi−Ni化合物
相に転化させ、Ti−Ni化合物を主体とするNi付加層を合
金粉末表面に形成した。なお、 680℃×10時間の熱処理
後の水素吸蔵合金の主相の平均結晶粒径は約5〜10μm
であり、なお40μmより小さかった。
む金属被覆を施した後、水素吸蔵合金粉末を入れたボー
トごと熱処理炉に移し、アルゴン雰囲気中で 680℃×10
時間の熱処理を行って、金属被覆中のNiをTi−Ni化合物
相に転化させ、Ti−Ni化合物を主体とするNi付加層を合
金粉末表面に形成した。なお、 680℃×10時間の熱処理
後の水素吸蔵合金の主相の平均結晶粒径は約5〜10μm
であり、なお40μmより小さかった。
【0088】得られたNi付加層におけるTi−Ni化合物相
の形成の有無をX線回折図から確認した。このNi付加層
を有する水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵量と耐酸化性を次
の要領で試験した。
の形成の有無をX線回折図から確認した。このNi付加層
を有する水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵量と耐酸化性を次
の要領で試験した。
【0089】水素ガス吸収・放出特性 水素ガス吸収・放出特性は、ジーベルツ型装置を用いて
活性化原点法により測定した。測定は、試験合金を容器
に入れ、真空排気して原点を決定した後、0.5MPa の水
素圧下 300〜500 ℃に加熱して活性化処理してから行っ
た。試験前の合金粉末表面の酸化の影響を除くため、活
性化処理する前に試験合金を5vol%弗化水素酸 (フッ
酸) 水溶液で酸洗した。
活性化原点法により測定した。測定は、試験合金を容器
に入れ、真空排気して原点を決定した後、0.5MPa の水
素圧下 300〜500 ℃に加熱して活性化処理してから行っ
た。試験前の合金粉末表面の酸化の影響を除くため、活
性化処理する前に試験合金を5vol%弗化水素酸 (フッ
酸) 水溶液で酸洗した。
【0090】測定に用いた水素放出−吸収サイクルは、
温度80℃で、水素圧を3.0 MPa から0.01 MPaまで下げる
水素ガス放出と、水素圧を0.01 MPaから3.0 MPa まで加
圧する水素ガス吸収とからなる。
温度80℃で、水素圧を3.0 MPa から0.01 MPaまで下げる
水素ガス放出と、水素圧を0.01 MPaから3.0 MPa まで加
圧する水素ガス吸収とからなる。
【0091】水素吸蔵量は、1サイクル目の水素ガス放
出時に水素放出曲線を作製して、圧力1MPa での水素吸
蔵量の値を求め、この水素量を合金を構成する金属原子
数に対する吸収された水素原子数の比であるH/Mに換
算することにより評価した。H/Mが1.80以上を合格と
した。
出時に水素放出曲線を作製して、圧力1MPa での水素吸
蔵量の値を求め、この水素量を合金を構成する金属原子
数に対する吸収された水素原子数の比であるH/Mに換
算することにより評価した。H/Mが1.80以上を合格と
した。
【0092】耐酸化性 Ni付加層を有するた水素吸蔵合金粉末は、温度25℃、湿
度65%の恒温恒湿の空気雰囲気に1週間放置した後、ジ
ーベルツ型の水素吸収・放出試験装置を用いて、活性化
処理なしに、上述した80℃での3.0 MPa の水素ガスの吸
収試験を行い、Ni付加層を形成する前の合金の水素吸蔵
量と比較した水素吸蔵量の低下率を、次式により算出し
た。水素吸蔵量の低下率が10%以下であれば合格であ
る。
度65%の恒温恒湿の空気雰囲気に1週間放置した後、ジ
ーベルツ型の水素吸収・放出試験装置を用いて、活性化
処理なしに、上述した80℃での3.0 MPa の水素ガスの吸
収試験を行い、Ni付加層を形成する前の合金の水素吸蔵
量と比較した水素吸蔵量の低下率を、次式により算出し
た。水素吸蔵量の低下率が10%以下であれば合格であ
る。
【0093】
【数1】
【0094】A=Ni被覆前に活性化処理して測定した初
期水素吸蔵量、 B=1週間放置後に70℃で測定した水素吸蔵量。
期水素吸蔵量、 B=1週間放置後に70℃で測定した水素吸蔵量。
【0095】比較例として、金属被覆しなかった場合
(即ち、水素吸蔵合金粉末のまま) 、および気相反応法
でNi被覆したが、熱処理を行わなかった場合について
も、上記と同様に試験した。以上の試験結果を、合金組
成およびNi付加層の形成条件 (金属カルボニルガスの種
類、被覆量、熱処理条件) と共に、表1にまとめて示
す。
(即ち、水素吸蔵合金粉末のまま) 、および気相反応法
でNi被覆したが、熱処理を行わなかった場合について
も、上記と同様に試験した。以上の試験結果を、合金組
成およびNi付加層の形成条件 (金属カルボニルガスの種
類、被覆量、熱処理条件) と共に、表1にまとめて示
す。
【0096】
【表1】
【0097】表1からわかるように、本発明に従ってNi
付加層を水素吸蔵合金粉末の表面に形成すると、この急
冷凝固合金に固有の優れた初期水素吸蔵特性を実質的に
保持したまま、水素吸蔵合金粉末の大気中での酸化を抑
制することができ、1週間放置後に活性化処理せずに水
素吸蔵量を測定しても、水素吸蔵量の低下が10%以下に
抑えられた。即ち、大気中で水素吸蔵合金粉末の粉末を
取り扱っても表面がほとんど酸化されないので、取扱い
が非常に容易になり、また費用のかかる活性化処理が不
要ないし軽減される。
付加層を水素吸蔵合金粉末の表面に形成すると、この急
冷凝固合金に固有の優れた初期水素吸蔵特性を実質的に
保持したまま、水素吸蔵合金粉末の大気中での酸化を抑
制することができ、1週間放置後に活性化処理せずに水
素吸蔵量を測定しても、水素吸蔵量の低下が10%以下に
抑えられた。即ち、大気中で水素吸蔵合金粉末の粉末を
取り扱っても表面がほとんど酸化されないので、取扱い
が非常に容易になり、また費用のかかる活性化処理が不
要ないし軽減される。
【0098】一方、比較例において、Niを主成分とする
金属被覆を全く施さないと、1週間放置後の合金粉末の
水素吸蔵量は35%も低下した。しかし、気相反応法によ
りNi被覆を施しても、熱処理によりNi被覆を合金成分と
反応させないと、1週間放置後の合金粉末の水素吸蔵量
は17%と大きかった。また、Ni被覆中に他の金属を共存
させたり、或いはNi被覆の下層に他の金属被覆を形成し
て2層被覆にすると、Ni被覆だけの場合より耐酸化性が
向上する場合もあることがわかる。
金属被覆を全く施さないと、1週間放置後の合金粉末の
水素吸蔵量は35%も低下した。しかし、気相反応法によ
りNi被覆を施しても、熱処理によりNi被覆を合金成分と
反応させないと、1週間放置後の合金粉末の水素吸蔵量
は17%と大きかった。また、Ni被覆中に他の金属を共存
させたり、或いはNi被覆の下層に他の金属被覆を形成し
て2層被覆にすると、Ni被覆だけの場合より耐酸化性が
向上する場合もあることがわかる。
【0099】
【発明の効果】本発明により製造される水素吸蔵合金
は、水素吸蔵量が非常に高く、室温近傍の比較的低い温
度 (例、150 ℃以下) で水素の吸収・放出が起こるの
で、各種用途に使い易く、水素吸収・放出を長期間にわ
たって繰り返しても微粉化しにくいので、高い水素吸蔵
量が長期間保持され、かつ比較的安価である。
は、水素吸蔵量が非常に高く、室温近傍の比較的低い温
度 (例、150 ℃以下) で水素の吸収・放出が起こるの
で、各種用途に使い易く、水素吸収・放出を長期間にわ
たって繰り返しても微粉化しにくいので、高い水素吸蔵
量が長期間保持され、かつ比較的安価である。
【0100】さらに、合金表面にTi−Ni化合物を主体と
するNi付加層が形成されているため、合金の耐酸化性が
著しく向上し、大気中に放置した時の水素吸蔵量の低下
が非常に小さくなるので、大気中で容易に取り扱うこと
が可能となり、費用のかかる活性化処理が不要となる
か、軽減される。また、金属カルボニル化合物を利用し
た気相反応法によりこのNi付加層を形成することで、メ
カニカルアロイング法のように長時間を要することな
く、また無電解めっき法のように多量の薬剤と洗浄・排
液処理が必要な湿式法によらずに、簡便な工程で短時間
にNi付加層を形成でき、生産性が良好となる。
するNi付加層が形成されているため、合金の耐酸化性が
著しく向上し、大気中に放置した時の水素吸蔵量の低下
が非常に小さくなるので、大気中で容易に取り扱うこと
が可能となり、費用のかかる活性化処理が不要となる
か、軽減される。また、金属カルボニル化合物を利用し
た気相反応法によりこのNi付加層を形成することで、メ
カニカルアロイング法のように長時間を要することな
く、また無電解めっき法のように多量の薬剤と洗浄・排
液処理が必要な湿式法によらずに、簡便な工程で短時間
にNi付加層を形成でき、生産性が良好となる。
【0101】本発明の方法で製造された水素吸蔵合金
は、水素ガス貯蔵・輸送用、水素ガス分離・精製用、熱
輸送システムや冷却システム、静的コンプレッサー、水
素ガスを燃料とする燃料電池といった用途に最適であ
る。
は、水素ガス貯蔵・輸送用、水素ガス分離・精製用、熱
輸送システムや冷却システム、静的コンプレッサー、水
素ガスを燃料とする燃料電池といった用途に最適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上仲 秀哉 尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工業株式 会社エレクトロニクス技術研究所内 (72)発明者 前田 尚志 尼崎市扶桑町1番8号 住友金属工業株式 会社エレクトロニクス技術研究所内 Fターム(参考) 4K018 AA06 BA20 BC12 BC25 BC28 BD07
Claims (6)
- 【請求項1】 式:Tia V1-a-b-c-d Crb Ac Bd ・・・ で示される組成を持ち、主相の平均結晶粒径が40μm以
下である水素吸蔵合金粉末の表面に、ニッケルカルボニ
ルを主成分とする金属カルボニル含有ガスを用いて金属
被覆を施した後、 400〜1000℃の温度で熱処理を施すこ
とにより、該粉末表面にNi付加層を形成することを特徴
とする、耐酸化性に優れる水素吸蔵合金粉末の製造方
法。上記式中、 Aは、Mn、Fe、Co、Cu、Nb、Zn、Zr、Mo、Ag、Hf、Ta、
W、Al、Si、C、N、P、およびBから選ばれた1種ま
たは2種以上の元素を意味し、 BはLn (ランタノイド系金属) およびYから選ばれた1
種または2種以上の元素を意味し、 aの値は0.2 以上、0.5 以下、 bの値は0.1 以上、0.4 以下、 cの値は0.01以上、0.2 以下、 dの値は0.001 以上、0.03以下。 - 【請求項2】 金属カルボニルがニッケルカルボニルの
みからなり、金属カルボニル含有ガスがニッケルカルボ
ニル20〜90体積%と一酸化炭素10〜80体積%とからな
る、請求項1記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。 - 【請求項3】 金属カルボニルが、ニッケルカルボニル
50〜95体積%と、鉄カルボニル、クロムカルボニル、モ
リブデンカルボニルおよびタングステンカルボニルから
選ばれた1種もしくは2種以上の金属カルボニル5〜50
体積%との混合金属カルボニルからなり、金属カルボニ
ル含有ガスが、この混合金属カルボニル20〜90体積%と
一酸化炭素10〜80体積%とからなる、請求項1記載の水
素吸蔵合金粉末の製造方法。 - 【請求項4】 前記金属被覆を、最初に鉄、クロム、モ
リブデンおよびタングステンから選ばれた1種もしくは
2種以上の金属を、対応する金属カルボニルを含有する
ガスを用いて被覆した後、その上にニッケルカルボニル
含有ガスを用いてニッケルを被覆することにより施し、
最初に施す金属の被覆量がニッケルの被覆量以下であ
る、請求項1記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。 - 【請求項5】 該対応する金属カルボニルを含有するガ
スが、該金属カルボニル20〜90体積%と一酸化炭素10〜
80体積%とからなり、該ニッケルカルボニル含有ガスが
ニッケルカルボニル20〜90体積%と一酸化炭素10〜80体
積%とからなる、請求項4記載の水素吸蔵合金粉末の製
造方法。 - 【請求項6】 該金属被覆の付着量が水素吸蔵合金粉末
重量の1〜20重量%である、請求項1〜5のいずれか1
項に記載の水素吸蔵合金粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11038946A JP2000239703A (ja) | 1999-02-17 | 1999-02-17 | 耐酸化性に優れる水素吸蔵合金粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP11038946A JP2000239703A (ja) | 1999-02-17 | 1999-02-17 | 耐酸化性に優れる水素吸蔵合金粉末の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000239703A true JP2000239703A (ja) | 2000-09-05 |
Family
ID=12539387
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP11038946A Withdrawn JP2000239703A (ja) | 1999-02-17 | 1999-02-17 | 耐酸化性に優れる水素吸蔵合金粉末の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000239703A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100712684B1 (ko) * | 2005-11-30 | 2007-05-02 | 충주대학교 산학협력단 | Ti-Nb-Cr계 수소저장합금 및 그 제조 방법 |
| KR100712687B1 (ko) | 2006-02-14 | 2007-05-02 | 충주대학교 산학협력단 | 멜트 스피닝법을 이용한 Ti-Nb-Cr계 수소저장합금제조 방법 |
| KR101280286B1 (ko) * | 2011-02-28 | 2013-07-01 | 국방과학연구소 | 티타늄-지르코늄계 수소저장합금 |
| CN107699737A (zh) * | 2017-09-28 | 2018-02-16 | 宝鸡市金海源钛标准件制品有限公司 | 一种高强度钛合金及其制备方法 |
| CN114000030A (zh) * | 2021-11-05 | 2022-02-01 | 包头稀土研究院 | 钛铬锰系储氢合金及其制备方法和用途 |
| CN118417573A (zh) * | 2024-07-02 | 2024-08-02 | 宝鸡钛戈金属科技股份有限公司 | 石墨烯增强钛基储氢合金粉末制备方法及储氢装置 |
-
1999
- 1999-02-17 JP JP11038946A patent/JP2000239703A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100712684B1 (ko) * | 2005-11-30 | 2007-05-02 | 충주대학교 산학협력단 | Ti-Nb-Cr계 수소저장합금 및 그 제조 방법 |
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| CN118417573A (zh) * | 2024-07-02 | 2024-08-02 | 宝鸡钛戈金属科技股份有限公司 | 石墨烯增强钛基储氢合金粉末制备方法及储氢装置 |
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| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
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