JP4251400B2 - 水素吸蔵合金 - Google Patents

水素吸蔵合金 Download PDF

Info

Publication number
JP4251400B2
JP4251400B2 JP2004157504A JP2004157504A JP4251400B2 JP 4251400 B2 JP4251400 B2 JP 4251400B2 JP 2004157504 A JP2004157504 A JP 2004157504A JP 2004157504 A JP2004157504 A JP 2004157504A JP 4251400 B2 JP4251400 B2 JP 4251400B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen
alloy
hydrogen storage
centered cubic
storage alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004157504A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005336555A5 (ja
JP2005336555A (ja
Inventor
利彦 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2004157504A priority Critical patent/JP4251400B2/ja
Publication of JP2005336555A publication Critical patent/JP2005336555A/ja
Publication of JP2005336555A5 publication Critical patent/JP2005336555A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4251400B2 publication Critical patent/JP4251400B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/32Hydrogen storage

Landscapes

  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Description

本発明は将来のクリーンエネルギー媒体である水素ガスを安全かつ高密度に貯蔵するための水素吸蔵合金に関するものである。
水素は熱、動力及び電気等のエネルギーへ容易に変換可能であるとともに、消費しても水以外の物質を生成しないため、次世代の環境調和型エネルギー媒体の一つとして注目されている。
近年、水素エネルギーネットワークの実現を目指して、水素の発生、貯蔵および利用に至るまでの研究開発が世界的に展開されている。水素が次世代エネルギー媒体として広く世の中に普及するためには、特に、水素を安全かつ高密度に貯蔵する技術の開発が重要である。現在、活発化している燃料電池自動車の開発においても、その燃料となる水素の貯蔵技術の開発は最重要課題の一つである。
一方、情報流通産業においては、携帯端末の高機能化にともない、その駆動時間の延伸のために、最近ではマイクロ燃料電池の搭載も考えられている。その燃料源として、より軽量かつ高密度な水素貯蔵材料が切望されている。
現在、水素貯蔵技術として、主に、液体タンク、高圧ガスタンク及び水素吸蔵合金が挙げられるが、安全でかつ高密度であることを考慮すると水素吸蔵合金が最も有力な候補であると考えられている。ミッシュメタル系水素吸蔵合金はニッケル水素電池用負極材料として実用化の実績があるものの、重量が重く、その水素貯蔵量は1wt%程度と小さい。
Mgは安価で、かつ、7wt%以上の水素吸蔵量を有しており、水素貯蔵用材料として有望であるが、水素との反応性に乏しく、水素貯蔵のためには高温を必要とする。この欠点を改善するために、遷移金属を添加したMgNi等の水素吸蔵合金が開発されている。MgNiの水素吸蔵量は3.6wt%と比較的大きいが、水素吸蔵放出温度は300℃前後で依然として高い。
また、室温付近で水素を大量に吸蔵する水素吸蔵合金としては、V系BCC合金が開発されており、室温で4wt%付近まで水素吸蔵可能なものも存在するが、合金内に吸蔵された水素の一部しか放出できず、全吸蔵水素を放出させるためには400℃以上に昇温する必要がある(例えば非特許文献1〜3参照)。これは水素吸蔵放出過程で形成される一水素化物が非常に安定であることに起因する。
以上のように、従来の水素吸蔵合金において、室温で大量の水素を速やかに吸蔵し、かつ、比較的低温で水素を放出するものは存在しなかった。
H.Iba,E.akiba,J.Alloys Comp.253−254(1997)21。 H.Itoh,H.Arashima,K.Kubo,T.Kabutomori,J.Alloys Comp.330−332(2002)287。 M.Okada,T.Kuriiwa,T.Tamura,H.Takamura,A.Kamegawa,J.Alloys Comp.330−332(2002)511。
本発明は上記のような技術の現状のもとでなされたものであって、本発明の目的は室温付近での水素吸蔵が困難であるという点及び水素放出温度が高いという点を解決した高容量水素吸蔵合金を提供することにある。
本発明はMg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有し、一般式Mg 1−x Ca (0<x≦0.35、1≦y≦5)で示される合金からなることを最も主要な特徴とする水素吸蔵合金である。
本発明の水素吸蔵合金はMg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有する合金が主成分であることを最も主要な特徴とする水素吸蔵合金である。軽量で、かつ大量の水素を吸蔵可能なMg及びCaを構成元素として含み、室温で水素吸蔵可能なVと同様な体心立方格子の結晶構造を有し、更には金属原子が歪んだ体心立方格子構造を有する不安定な水素化物を形成するので、室温で大量の水素を吸蔵し、比較的低温で水素を放出できるという効果が得られる。
また、Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有する合金を炭素材料と伴にミリング処理した場合、ならびにMg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有する合金の少なくとも表面に水素解離触媒物質を存在させた場合には、更に水素吸蔵放出特性が改善されるという効果が得られる。
Mg、V及びCaは単独でそれぞれ約7.6wt%、3.8wt%及び4.8wt%の水素を吸蔵するが、Mg及びCaの水素吸蔵放出温度は高い。一方で体心立方格子の結晶構造を有するVは室温で水素を吸蔵し、その約半分の水素を放出し得る。Vは二段階に水素を吸蔵放出し、その過程では、金属原子の結晶構造が体心正方格子構造及び面心立方格子構造である二種類の水素化物が存在する。前者が安定であるため、上記のように放出可能な水素量が限られている。
本発明の水素吸蔵合金はVと同様な体心立方格子の結晶構造を有し、Vより軽量でかつ高水素吸蔵量であるMg及びCaを構成元素として含むため、Vに比べ、室温で多量の水素を吸蔵することが可能となる。更に、本発明の水素吸蔵合金はVの一部がVより大きな原子半径を有するMg及びCaで置換されているため、V結晶格子が大きく歪み、金属原子が体心正方格子構造を有する安定な水素化物を形成せず、歪んだ体心立方格子構造を有する不安定な水素化物を形成する。よって、比較的低温から水素放出が可能となる。また、この体心立方格子の結晶構造を有する合金はボールミル装置を用いて、各金属成分の粉末をミリングし、機械的に混合かつ合金化を行うメカニカルアロイング(MA)により製造できる。
本発明において、体心立方格子の結晶構造を有する合金は好ましくは一般式Mg1−xCa(0<x≦0.35、1≦y≦5)で示されるものである。Caの原子半径はVと比較して相当大きいため、Ca量が0.35を超える場合には全てのCaがVと置換できず、体心立方格子構造以外の副生成物が多くなるため単位重量当りの実質的な水素吸蔵量は小さくなってしまう。また、V量yが1より小さい場合にもMg及びCaの完全置換が困難である。一方、V量yが5を超える場合には軽量なMg及びCaの割合が減少するため単位重量当りの実質的な水素吸蔵量は小さくなってしまう。
また、当該体心立方格子の結晶構造を有する合金をボールミル装置を用いて、炭素材料とともにミリング処理すると合金表面の酸化膜が除去されるとともに、合金表面に炭素原子が部分的に固溶し、相界面が多数形成される。よって、水素拡散経路が増大し、水素吸蔵速度は著しく改善される。炭素材料はグラファイト、アモルファスカーボン、活性炭、活性炭素繊維及びカーボンナノチューブから選ばれた少なくとも一種以上であることが好ましい。
前記炭素材料は重量比で合金粉末:炭素材料=9:1以下で添加されるのが好ましい。炭素材料は水素を吸わないため、炭素材料が多くなると単位重量当たりの水素吸蔵量が実質的に低下してしまうおそれがある。
また、当該体心立方格子の結晶構造を有する合金の少なくとも表面に水素解離触媒物質を存在させると、水素吸蔵放出過程に伴う水素分子の解離及び形成がより容易に進行するようになるため、水素吸蔵放出特性の改善が達成できる。水素解離触媒物質はその触媒効果が特に高いTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pd、Ru及びPtから選ばれた少なくとも一種以上であることが好ましい。水素解離触蝶物質の存在割合は水素解離触媒物質を構成する全原子数が水素吸蔵合金を構成する全原子数の1%以上10%以下とするのがよい。1%より小さい場合には触媒効果が十分に発揮されず、10%を超える場合には単位重量当りの実質的な水素吸蔵量は小さくなってしまうからである。また、表面に存在させる方法は特に限定されるものではなく、ミリングによる機械的混合、メッキ、溶射、真空蒸着、スパッタリング、及びイオンプレーティング等の中から適宜選択すればよい。
以下に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
Mg粉末(平均粒径800μm)とCa粉末(平均粒径2mm)をモル比2:1で、クロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に入れ、遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で、80時間メカニカルアロイング(MA)を行った。
ボールと試料の重量比は30:1とし、遊星型ボールミル装置の回転数は600rpmとした。容器内の粉末をX線回折(XRD)により、分析した結果、CaMgの生成が確認された。このCaMgとV粉末(平均粒径50μm)をモル比1:3でクロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に入れ、遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で、1〜40時間MAを行った。ボールと試料の重量比は30:1とし、遊星型ボールミル装置の回転数は600rpmとした。得られた合金粉末をXRDにより、分析した結果を図1に示す。図1中、1はMA前の試料におけるXRDパターン、2はMAを1時間行った試料におけるXRDパターン、3はMAを2時間行った試料におけるXRDパターン、4はMAを5時間行った試料におけるXRDパターン、5はMAを10時間行った試料におけるXRDパターンを示す。
Vの体心立方格子構造に対応する(011)面、(002)面及び(112)面のピークがMA時間の増大と伴に低角度側にシフトし、また、CaMgに帰属されるピークが消失していったことから、体心立方格子構造を保持したままVの一部が原子半径のより大きいMg、Caに徐々に置換されていることがわかった。
図2にはX線回折ピークから見積った格子定数変化を示すが、MA時間と伴に格子定数が10時間までは増大し、それ以降はほぼ一定の値を示した。従って、本条件においては合金の調製のためには10時間のMAで十分であることがわかった。また、エネルギー分散型X線分光法(EDS)により、合金粉末における元素分布を調べたところ、Mg、Ca及びVの各元素は均一に分布しており、単なるCaMgとVの偏析ではなく、確かにMg、Ca及びVの3元素が合金化していることがわかった。
次に得られた合金の水素吸蔵特性をJIS H 7201(水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)の測定方法)に準拠し評価した。合金試料をPCT測定装置用のセルに充填し、PCT測定装置を用いて、25℃で水素圧3MPaまでPCT測定を行った。10時間MAした合金における結果を図3に示すが、PCT線は0.01〜3MPaに現れ、V及びCaMgのPCT線とは全く異なっていた。合金重量当りの水素吸蔵量は3.3wt%に達した。また、XRDより、この合金の水素化物は金属原子が体心立方格子構造を有する単一相であることがわかった。
図4には水素吸蔵量のMA時間依存性を示す。合金化前、すなわちMA0時間の試料では水素吸蔵量はVのみで水素を吸蔵した場合の理論水素吸蔵量と一致していたが、水素吸蔵量はMA時間の増大、すなわち合金化の進行に伴い、10時間までは増大し、その後、徐々に減少した。この結果から、合金化により水素吸蔵量が増大したことが明らかとなった。
次に、水素化後の合金について、昇温時の水素放出特性を示差走査熱量測定(DSC)により評価した。図5に示すように、10時間MAした合金において、水素放出に対応する吸熱ピークは合金化前、すなわちMA0時間の試料に比べ、低温側にシフトし、放出開始温度は約270℃まで低温化しており、より容易に水素放出可能であることがわかった。これは本発明の合金はVと異なり、金属原子の結晶構造が体心正方格子構造である安定な水素化物を形成しないからである。図中、6はMA前の試料の水素化物におけるDSC曲線、7はMAを10時間行ったMg−Ca−V合金の水素化物におけるDSC曲線を示す。
以上のように、Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有する合金が主成分である水素吸蔵合金は良好な水素吸蔵放出特性を示すことが明らかとなった。
Mg粉末(平均粒径800μm)Ca粉末(平均粒径2mm)及びV粉末(平均粒径50μm)を種々のモル比で、クロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に入れ、遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で、40時間MAを行った。ボールと試料の重量比は30:1とし、遊星型ボールミル装置の回転数は600rpmとした。
得られた合金粉末の構造をXRDにより分析し、また水素吸蔵量をJIS H 7201(水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)の測定方法)に準拠し評価した。合金試料をPCT測定装置用のセルに充填し、PCT測定装置を用いて、25℃で水素圧3MPaまでPCT測定を行った。各合金における水素吸蔵量を表1に示す。
Mg0.8Ca0.2、Mg0.65Ca0.35、Mg0.65Ca0.35及びMg0.65Ca0.35では体心立方格子構造を有する合金の形成が見られ、水素吸蔵量は3.0〜3.8wt%であった。
一方で、Mg0.6Ca0.4ではCaが未反応のまま残存し、体心立方格子構造以外の副生成物の形成がXRDにより観測され、水素吸蔵量は小さかった。また、Mg0.65Ca0.350.5ではVが不足するため、CaMgが副生成物として出現し、水素吸蔵量の著しい低下が見られた。一方、Mg0.65Ca0.35では体心立方格子構造を有する合金を形成するが、Mg及びCaの置換量が少ないため、実質的な水素吸蔵量の増大には至らなかった。
Figure 0004251400
以上のように、Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有し、一般式Mg1−xCa(0<x≦0.35、1≦y≦5)で示される水素吸蔵合金は大量の水素吸蔵が可能であることが明らかとなった。
Mg粉末(平均粒径800μm)とCa粉末(平均粒径2mm)をモル比2:1で混合し、高周波溶解炉を用いて溶解することにより、CaMgを作製した。次いで、この鋳造CaMgを粉砕した後、V粉末(平均粒径50μm)とモル比1:3で混合し、クロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に入れ、遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で20時間MAを行った。
ボールと試料の重量比は30:1とし、遊星型ボールミル装置の回転数は600rpmとした。次いで、得られた合金粉末とグラファイト粉末を重量比9:1で混合し、クロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に封入した。ボールと混合粉末の重量比は30:1とした。遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で、機械的ミリング処理を30分間行った。遊星型ボールミル装置の回転数は400rpmとした。
得られた試料の表面状態をX線光電子分光法(XPS)により分析したところ、各金属元素における結合エネルギーがグラファイトと機械的ミリング処理する前の合金と比較して大きくなっており、金属原子に比べ電気陰性度の高い炭素原子が合金表面に固溶していることが示唆された。
次に、得られた合金の水素吸蔵量をJIS H 7201(水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)の測定方法)に準拠し評価した。合金試料をPCT測定装置用のセルに充填し、PCT測定装置を用いて、25℃で2.3MPa水素圧下における水素吸蔵量の経時変化を測定することにより、水素吸蔵速度を評価した。その結果、図6に示すようにグラファイトとミリング処理した後のMg−Ca−V合金では水素吸蔵速度が著しく改善されていることがわかった。図6中、8はミリング処理前のMg−Ca−V合金の水素吸蔵曲線、9はミリング処理後のMg−Ca−V合金の水素吸蔵曲線である。
また、グラファイト以外でグラファイト、アモルファスカーボン、活性炭、活性炭素繊維及びカーボンナノチューブから選ばれた少なくとも一種以上と機械的ミリング処理を行った場合にも同様の効果が得られた。
以上のように、Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有する合金を炭素材料とともにミリング処理した水素吸蔵合金は良好な水素吸蔵速度を示すことが明らかとなった。
Mg粉末(平均粒径800μm)とCa粉末(平均粒径2mm)をモル比2:1で混合し、高周波溶解炉を用いて溶解することにより、CaMgを作製した。次いで、この鋳造CaMgを粉砕した後、V粉末(平均粒径50μm)とモル比1:3で混合し、クロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に入れ、遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で20時間MAを行った。
ボールと試料の重量比は30:1とし、遊星型ボールミル装置の回転数は600rpmとした。次いで、得られた合金粉末に水素解離触媒物質としてFe粉末をMg−Ca−V合金内の全原子数に対して、2原子数%となるように添加し、クロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に封入した。
ボールと混合粉末の重量比は30:1とした。遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で、機械的ミリング処理を400rpmの回転数で1時間行いMg−Ca−V合金の表面に触媒物質を担持した。得られた試料表面を電子プローブX線マイクロアナライザー(EPMA)により分析した結果、Feの微細な粒子が表面に均一に分散していることがわかった。
次に、得られた合金の水素吸蔵量をJIS H 7201(水素吸蔵合金の圧力−組成等温線(PCT線)の測定方法)に準拠し評価した。合金試料をPCT測定装置用のセルに充填し、PCT測定装置を用いて、25℃で2.3MPa水素圧下における水素吸蔵量の経時変化を測定することにより、水素吸蔵速度を評価した。その結果、図6に示すように水素吸蔵速度が著しく改善されていることがわかった。図6中、10は表面にFeを担持したMg−Ca−V合金の水素吸蔵曲線を示す。
また、Fe以外で、水素解離触媒物質としてTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pd、Ru及びPtから選ばれた少なくとも一種以上の物質を用いた場合にも同様の効果が得られた。
以上のように、Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有する合金の少なくとも表面に水素解離触媒物質を存在させた水素吸蔵合金は良好な水素吸蔵速度を示すことが明らかとなった。
実施例1においてMAを10時間行って作製したMg−Ca−V合金粉末とグラファイト粉末を重量比9:1で混合し、クロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に封入した。ボールと混合粉末の重量比は30:1とした。遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で、機械的ミリング処理を400rpmの回転数で30分間行った。
得られた試料に水素解離触媒物質としてFe、Ni及びPd粉末をMg−Ca−V合金内の全原子数に対して、2原子%数となるように添加し、クロム鋼製ボール(7mmφ×22個)とともにクロム鋼製遊星型ボールミル装置用容器(容量45ml)の中に封入した。ボールと混合粉末の重量比は30:1とした。遊星型ボールミル装置を用いて、Arガス雰囲気下、室温で、機械的ミリング処理を400rpmの回転数で1時間行いMg−Ca−V合金の表面に触媒物質を担持した。得られた試料表面をEPMAにより分析した結果、それぞれFe、Ni及びPdの微細な粒子が表面に均一に分散していることがわかった。
次に、水素化後の各試料について昇温時の水素放出特性をDSCにより評価し、図7に示した。図7中11は表面に水素解離触媒物質を担持していない試料の水素化物におけるDSC曲線、12は表面にFeを担持した試料の水素化物におけるDSC曲線、13は表面にNiを担持した試料の水素化物におけるDSC曲線、14は表面にPdを担持した試料の水素化物におけるDSC曲線を示す。
図7に示すように、Fe、Ni及びPdを担持した合金において、水素放出に対応する吸熱ピークは、担持前の合金、すなわち、実施例1のMA10時間の合金に比べ、低温側にシフトしており、より容易に水素放出可能であることがわかった。水素放出開始温度はFe及びNiで約240℃、また、Pdでは約200℃であった。これは水素放出過程に伴う水素分子の形成がより容易になったことに起因する。また、Fe、Ni及びPd以外で、水素解離触媒物質としてTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pd、Ru及びPtから選ばれた少なくとも一種以上の物質を用いた場合にも同様の効果が得られた。
以上のように、Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有する合金の少なくとも表面に水素解離触媒物質を存在させた水素吸蔵合金は比較的低温から水素放出可能であることが明らかとなった。
実施例1においてMAを10時間行つて作製したMg−Ca−V合金粉末1gに合金内の全原子数の6%に当るPdを真空蒸着した。蒸着は5回に分けて行い、できるだけ均一に蒸着するために各蒸着の間に合金粉末を撹拌した。得られた試料の表面をEPMAにより分析した結果、合金表面がPdで均一に被覆されていることがわかった。
次に、水素吸蔵放出特性をPCT測定(室温)及びDSC測定により評価した。その結果、PCT線は0.01〜3MPaに現れ、合金重量当りの水素吸蔵量は3.2wt%に達し、また、DSC測定を行ったところ水素放出開始温度は約150℃まで低温化していた。これは水素放出過程における水素分子の形成がより容易になったことに起因する。また、Pd以外で、蒸着物質としてTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pd、Ru及びPtから選ばれた少なくとも一種以上の物質を用いた場合にも同様の効果が得られた。
以上のように、Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有する合金の少なくとも表面に水素解離触媒物質を存在させた水素吸蔵合金は良好な水素吸蔵放出特性を示すことが明らかとなった。
本発明による水素吸蔵合金によれば、軽量で、かつ大量の水素を吸蔵可能なMg及びCaを構成元素として含み、室温で水素吸蔵可能なVと同様な体心立方格子の結晶構造を有し、更には金属原子が歪んだ体心立方格子構造を有する不安定な水素化物を形成するので、室温で大量の水素を吸蔵し、比較的低温で水素を放出できるという効果が得られる。
実施例1のMg−Ca−V合金作製時におけるXRDパターンの経時変化を示す図。 実施例1のMg−Ca−V合金作製時における合金結晶格子の格子定数の経時変化を示す図。 実施例1において10時間のMAで得られたMg−Ca−V合金のPCT線を示す図。 実施例1におけるMA時間と水素吸蔵量の関係を示す図。 実施例1で得られた水素化物のDSC測定の結果を示す図。 実施例3及び4における水素吸蔵量の経時変化を示す図。 実施例5で得られた各水素化物のDSC測定の結果を示す図。
符号の説明
1 MA前の試料におけるXRDパターン
2 MAを1時間行った試料におけるXRDパターン
3 MAを2時間行った試料におけるXRDパターン
4 MAを5時間行った試料におけるXRDパターン
5 MAを10時間行った試料におけるXRDパターン
6 MA前の試料の水素化物におけるDSC曲線
7 MAを10時間行ったMg−Ca−V合金の水素化物におけるDSC曲線
8 ミリング処理前のMg−Ca−V合金の水素吸蔵曲線
ミリング処理後のMg−Ca−V合金の水素吸蔵曲線
10 表面にFeを担持したMg−Ca−V合金の水素吸蔵曲線
11 表面に水素解離触媒物質を担持していない試料の水素化物におけるDSC曲線
12 表面にFeを担持した試料の水素化物におけるDSC曲線
13 表面にNiを担持した試料の水素化物におけるDSC曲線
14 表面にPdを担持した試料の水素化物におけるDSC曲線

Claims (8)

  1. Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有し、一般式Mg 1−x Ca (0<x≦0.35、1≦y≦5)で示される合金からなることを特徴とする水素吸蔵合金。
  2. Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有し、一般式Mg1−xCa(0<x≦0.35、1≦y≦5)で示される合金を、炭素材料と伴にミリング処理した水素吸蔵合金であって、
    前記炭素材料は、重量比で合金:炭素材料=9:1以下で添加されることを特徴とする水素吸蔵合金。
  3. 前記炭素材料がグラファイト、アモルファスカーボン、活性炭、活性炭素繊維及びカーボンナノチューブから選ばれた少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項2に記載の水素吸蔵合金。
  4. 前記体心立方格子の結晶構造を有する合金の少なくとも表面に水素解離触媒物質を存在させたことを特徴とする請求項2又は3に記載の水素吸蔵合金。
  5. 前記水素解離触蝶物質の存在割合は水素解離触媒物質を構成する全原子数が水素吸蔵合金を構成する全原子数の1%以上10%以下であることを特徴とする請求項4に記載の水素吸蔵合金。
  6. Mg、Ca及びVから構成された体心立方格子の結晶構造を有し、一般式Mg 1−x Ca (0<x≦0.35、1≦y≦5)で示される合金の少なくとも表面に水素解離触媒物質を存在させた水素吸蔵合金であって、
    前記水素解離触媒物質の存在割合は、水素解離触媒物質を構成する全原子数が水素吸蔵合金を構成する全原子数の1%以上10%以下であることを特徴とする水素吸蔵合金。
  7. 前記水素解離触媒物質がTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Rh、Pd、Ru及びPtから選ばれた少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の水素吸蔵合金。
  8. 前記水素解離触媒物質は真空蒸着により合金表面に設けられる請求項からのいずれか1項記載の水素吸蔵合金。
JP2004157504A 2004-05-27 2004-05-27 水素吸蔵合金 Expired - Fee Related JP4251400B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004157504A JP4251400B2 (ja) 2004-05-27 2004-05-27 水素吸蔵合金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004157504A JP4251400B2 (ja) 2004-05-27 2004-05-27 水素吸蔵合金

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005336555A JP2005336555A (ja) 2005-12-08
JP2005336555A5 JP2005336555A5 (ja) 2006-09-21
JP4251400B2 true JP4251400B2 (ja) 2009-04-08

Family

ID=35490442

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004157504A Expired - Fee Related JP4251400B2 (ja) 2004-05-27 2004-05-27 水素吸蔵合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4251400B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7492804B2 (ja) 2018-09-24 2024-05-30 パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社 コミュニティ定義されたスペース

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5034567B2 (ja) * 2007-03-08 2012-09-26 日産自動車株式会社 水素発生装置およびこれを搭載した燃料電池自動車
JP5353252B2 (ja) * 2009-01-09 2013-11-27 トヨタ自動車株式会社 水素含有金属材状態判定装置及び水素生成装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7492804B2 (ja) 2018-09-24 2024-05-30 パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社 コミュニティ定義されたスペース

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005336555A (ja) 2005-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ouyang et al. Magnesium-based hydrogen storage compounds: A review
JP4490510B2 (ja) 浸出微結晶材料、その製造方法、及びエネルギー分野におけるその使用方法
Aguey-Zinsou et al. Hydrogen in magnesium: new perspectives toward functional stores
Liu et al. Mg-based nanocomposites with improved hydrogen storage performances
US7259124B2 (en) Hydrogen storage composite and preparation thereof
WO2001053550A1 (fr) Materiau mixte de stockage d'hydrogene constituant un nanotube d'alliage/carbone et son procede de fabrication
US6328821B1 (en) Modified magnesium based hydrogen storage alloys
WO2007011572A1 (en) Hydrogen storage alloys having improved cycle life and low temperature operating characteristics
JP2017135104A (ja) 金属水素化物合金
Shang et al. Investigations on hydrogen storage performances and mechanisms of as-cast TiFe0. 8-mNi0. 2Com (m= 0, 0.03, 0.05 and 0.1) alloys
NO300646B1 (no) Elektrokjemisk hydrogenlagringslegering av V-Ti-Zr-Ni-Cr-type
KR20010042924A (ko) 열식 수소 저장을 위한 마그네슘 기계적 합금
EP2024525A2 (en) Magnesium based-alloys for hydrogen storage
Srivastava et al. Effect of transition metals on ball-milled MmNi 5 hydrogen storage alloy
US6491866B1 (en) High storage capacity, fast kinetics, long cycle-life, hydrogen storage alloys
JP4251400B2 (ja) 水素吸蔵合金
WO2003048036A1 (en) A hydrogen storage material including a modified tim-n2 alloy
Li et al. Synthesis, morphology, and hydrogen absorption properties of TiVMn and TiCrMn nanoalloys with a FCC structure
JP4408013B2 (ja) 水素吸蔵合金の製造方法
WO2002066695A1 (en) Hydrogen occlusion alloy
JP2007289877A (ja) 水素吸蔵材料及びその製造方法、並びに水素化物複合体
JP5329498B2 (ja) 水素吸蔵合金
KR100712684B1 (ko) Ti-Nb-Cr계 수소저장합금 및 그 제조 방법
Zhang Synthesis, characterization and electrochemical hydrogen storage properties of mechanicalyl alloyed Ti-Mg-Ni: application as negative electrode for Ni-MH battery
JP2004091839A (ja) 水素吸蔵用複合金属粉、その製造装置、製造方法及び燃料電池自動車

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060804

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060804

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070726

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081014

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090113

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130130

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees