JPH10162821A - 水素吸蔵合金電極の製造方法 - Google Patents

水素吸蔵合金電極の製造方法

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JPH10162821A
JPH10162821A JP8320139A JP32013996A JPH10162821A JP H10162821 A JPH10162821 A JP H10162821A JP 8320139 A JP8320139 A JP 8320139A JP 32013996 A JP32013996 A JP 32013996A JP H10162821 A JPH10162821 A JP H10162821A
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nickel
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で、高率放電特性、サイクル特
性、ガス吸収性能の優れた水素吸蔵電極を得る。 【解決手段】 水素吸蔵合金をコバルト、ニッケルある
いはコバルトとニッケルの両方からなる金属イオンを含
有する高温のアルカリ電解液中に浸漬して同水素吸蔵合
金の表面にコバルト、ニッケルあるいはコバルトとニッ
ケルの両方からなる金属イオンを析出させる浸漬処理工
程と、この浸漬処理工程により金属イオンを析出させた
水素吸蔵合金を水素雰囲気中で熱処理する熱処理工程と
を備えている。このような工程を経て表面処理された水
素吸蔵合金は活性なコバルト、ニッケルあるいはコバル
トとニッケルの両方からなる金属により被覆され、高率
放電特性、サイクル特性、ガス吸収性能の優れた水素吸
蔵電極となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気化学的に水素
の吸蔵・放出を可逆的に行うことができる水素吸蔵合金
電極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、アルカリ蓄電池は各種の電源
として広く使われており、小型電池は各種の携帯用の電
子、通信機器に、大型電池は産業用にそれぞれ使われて
いる。この種のアルカリ蓄電池においては、正極として
はほとんどの場合がニッケル電極である。一方、負極の
場合は、カドミウムの他に、亜鉛、鉄、水素等が使われ
るが、主としてカドミウム電極が主体である。
【0003】近年、高エネルギー密度のアルカリ蓄電池
とするために、水素吸蔵合金電極を用いたニッケル−水
素蓄電池が注目され、実用化されるようになった。この
ニッケル−水素蓄電池に用いる水素吸蔵合金としては、
Ti−Ni系合金、La(またはMm(ミッシュメタ
ル:セリウム族系希土類元素の混合物))−Ni系合金
等が知られている。
【0004】ところで、水素吸蔵合金をアルカリ蓄電池
用水素吸蔵合金電極として使用できるようにするために
は各種の処理を施す必要がある。例えば、特開平7−3
26353号公報においては、水素吸蔵合金を粉末の状
態または電極にした後に、コバルトイオンもしくは銅イ
オンを含む高温のアルカリ溶液中に浸漬処理する方法が
提案されている。この公報において提案された方法によ
れば、アルカリ溶液への浸漬処理を施すことにより、水
素吸蔵合金中の溶解し易い構成元素が除去され、水素吸
蔵合金の高温アルカリ溶液中における耐久力が向上する
というものである。また、アルカリ溶液中のコバルトイ
オンもしくは銅イオンが金属粒子として水素吸蔵合金表
面に析出するとともに、水素吸蔵合金中の構成元素の溶
解に伴いアルカリ溶液に溶解しないニッケルが微粒子と
して水素吸蔵合金表面に露出することにより、電気化学
的な活性が大きく向上するというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平7−326353号公報において提案された製
造法においては、アルカリ溶液処理を大気中の酸素がア
ルカリ溶液に多量に溶解するような雰囲気中で行うと、
溶解した酸素により水素吸蔵合金の表面が酸化されると
ともに、析出したコバルトが再溶解する。そのため、酸
素との接触が断たれた状態で水素吸蔵合金のアルカリ溶
液処理を行わなければならないという問題を生じる。
【0006】水素吸蔵合金のアルカリ溶液処理を酸素と
の接触が断たれた状態で行うためには、酸素を取り除い
て密閉した室内あるいは酸素を取り除いた容器内でアル
カリ溶液処理を行わなければならないため、製造設備が
複雑になるとともに高価になるという問題を生じる。そ
こで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであ
り、製造が容易で、高率放電特性、サイクル特性、ガス
吸収性能の優れた水素吸蔵電極を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明は、電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的に行う
ことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金電極の
製造方法であって、上記課題を解決するために、請求項
1に記載の発明においては、水素吸蔵合金を金属イオン
を含有する高温のアルカリ水溶液中に浸漬して水素吸蔵
合金の表面に金属イオンを析出させる浸漬処理工程と、
浸漬処理工程により金属イオンを析出させた水素吸蔵合
金を水素雰囲気中で熱処理する熱処理工程とを備えたこ
とにある。
【0008】このような金属イオンを含有する高温のア
ルカリ水溶液中に水素吸蔵合金を浸漬すると、水素吸蔵
合金の表面には金属イオンが水酸化物の状態で析出し
て、水素吸蔵合金の表面を被覆する。この金属イオンが
水酸化物の状態で被覆された水素吸蔵合金を水素雰囲気
中で熱処理されると、水酸化物の状態で析出した金属イ
オンが水素により還元されて活性な金属に変化する。こ
のため、水素吸蔵合金の表面は活性な金属により被覆さ
れるため、吸蔵・放出性能が優れた水素吸蔵合金とな
る。
【0009】したがって、このような活性な金属により
被覆された水素吸蔵合金を用いて水素吸蔵合金電極を形
成すると、高率放電特性、ガス吸収性能の優れた水素吸
蔵電極が得られる。また、浸漬処理時に遍在した水酸化
物の状態の金属イオンの一部が合金化して高耐食性層を
形成するため、この水素吸蔵電極を用いたアルカリ蓄電
池のサイクル寿命が向上する。
【0010】請求項2に記載の発明においては、上述の
金属イオンはニッケル、コバルトの内の少なくとも1種
としたことにある。このようにニッケル、コバルトある
いはその両方をアルカリ水溶液中に含有させると、水素
吸蔵合金の表面は水酸化物の状態のニッケル、コバルト
あるいはその両方の金属イオンにより被覆されるように
なる。ニッケル、コバルトは水素吸蔵合金を構成する金
属であるので、このような金属で水素吸蔵合金の表面を
被覆しても悪影響を及ぼすことがない。また、ニッケ
ル、コバルトは活性な金属であるので、水素吸蔵合金の
表面を活性なニッケル、コバルト金属で被覆すると、吸
蔵・放出性能がさらに優れた水素吸蔵合金となる。
【0011】請求項3に記載の発明においては、水素吸
蔵合金を金属イオンを含有する高温のアルカリ水溶液中
に浸漬して水素吸蔵合金の表面に金属イオンを析出させ
る第1浸漬処理工程と、この第1浸漬処理工程により金
属イオンを析出させた水素吸蔵合金をアルカリ水溶液中
に浸漬する第2浸漬処理工程と、この第2浸漬処理工程
により浸漬処理された水素吸蔵合金を水素雰囲気中で熱
処理する熱処理工程とを備えたことにある。
【0012】このような各工程を備えると、第1浸漬処
理工程にて水素吸蔵合金表面に析出させた水酸化物状態
の金属イオンは第2浸漬処理工程によりオキソ酸イオン
状態となる。オキソ酸イオン状態の金属イオンを水素雰
囲気中での熱処理による還元処理を行うと、金属イオン
は水素吸蔵合金の表面に均一に分散して均一な還元金属
層が得られるようになる。水素吸蔵合金の表面に均一な
還元金属層が形成されると、水素吸蔵合金はより活性に
なるため、水素吸蔵能力が向上するとともに電池内で発
生したガスの吸収能力が向上する。
【0013】請求項4に記載の発明においては、請求項
3の第2浸漬処理工程におけるアルカリ水溶液の濃度を
15〜40重量%としたことにある。このようにアルカ
リ水溶液の濃度を規定する理由は、濃度が15重量%未
満ではアルカリ含浸効果が充分に発揮されないととも
に、40重量%を超えるアルカリ水溶液の作成が困難で
あるという理由による。
【0014】請求項5に記載の発明においては、上述の
熱処理工程における熱処理温度を300〜900℃の温
度範囲したことにある。このように熱処理温度を規制す
ることにより、サイクル寿命の優れた水素吸蔵合金電極
が得られる。請求項6に記載の発明においては、上述の
水素吸蔵合金はアトマイズ法により作製することにあ
る。このように水素吸蔵合金をアトマイズ法により作製
すると、水素吸蔵合金の比表面積が小さくなるため、充
放電を繰り返し行ってもこの比表面積が小さい水素吸蔵
合金は微細化しにくく、初期の表面状態を維持できるよ
うになってガス吸収性能が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水素吸蔵合金電極
をニッケル−水素蓄電池に適用した場合の本発明の一実
施形態を説明する。
【0016】1.水素吸蔵合金の作製 MmNi3.4Co0.8Al0.2Mn0.6(なお、MmはMisc
hmetal(ドイツ語):ミッシュメタルでCe40〜50
%,La20〜40%を主成分とするセリウム族希土類
金属の混合物である)となるように市販の金属元素を秤
量して混合する。このものを高周波溶解炉に投入して溶
解させ、冷却してMmNi3.4Co0.8Al0.2Mn0.6
らなる水素吸蔵合金の塊を作製する。この水素吸蔵合金
の塊1Kgに対して水1リットルを加えてボールミル内
に投入し、平均粒径が50μmになるように粉砕する。
これにより得られた平均粒径が50μmのMmNi3.4
Co0.8Al0.2Mn0.6からなる水素吸蔵合金を水素吸
蔵合金Aとする。
【0017】一方、MmNi3.4Co0.8Al0.2Mn0.6
となるように市販の金属元素を秤量して混合したものを
アトマイズ法を用いて、平均粒径が50μmのMmNi
3.4Co0.8Al0.2Mn0.6からなる水素吸蔵合金とす
る。このようにして得られた水素吸蔵合金を水素吸蔵合
金Bとする。
【0018】2.水素吸蔵合金の表面処理 ついで、上述のようにして得られた各水素吸蔵合金A,
Bをそれぞれ別々にコバルトイオン(Co2+)を含有す
る水酸化カリウム(KOH)の30重量%水溶液中に入
れて、100℃に加熱して撹拌して各水素吸蔵合金A,
Bをそれぞれ浸漬処理する。なお、コバルトイオン(C
2+)はアルカリ水溶液中で水酸化物イオンを配位して
オキソ酸イオン(Co(OH)4 2-)となる。この浸漬
処理を約1時間行った後、冷却して洗浄する。このよう
にして浸漬処理された各水素吸蔵合金A,Bはその粒子
表面に水酸化物状態のCo(OH)2が析出する。この
水酸化物状態のCo(OH)2が析出した水素吸蔵合金
Aを水素吸蔵合金A1とし、水酸化物状態のCo(O
H)2が析出した水素吸蔵合金Bを水素吸蔵合金B1と
する。
【0019】また、水素吸蔵合金Aをニッケルイオン
(Ni2+)を含有する水酸化カリウム(KOH)の30
重量%水溶液中に入れて、100℃に加熱して撹拌して
水素吸蔵合金Aを浸漬処理する。この浸漬処理を約1時
間行った後、冷却して洗浄する。このようにして浸漬処
理された水素吸蔵合金Aはその粒子表面に水酸化物状態
のNi(OH)2が析出する。この水酸化物状態のNi
(OH)2が析出した水素吸蔵合金Aを水素吸蔵合金A
2とする。
【0020】また、水素吸蔵合金Aをコバルトイオン
(Co2+)とニッケルイオン(Ni2+)の両方を含有す
る水酸化カリウム(KOH)の30重量%水溶液中に入
れて、100℃に加熱して撹拌して水素吸蔵合金Aを浸
漬処理する。この浸漬処理を約1時間行った後、冷却し
て洗浄する。このようにして浸漬処理された水素吸蔵合
金Aはその粒子表面に水酸化物状態のCo(OH)2
Ni(OH)2とが析出する。この水酸化物状態のCo
(OH)2とNi(OH)2とが析出した水素吸蔵合金A
を水素吸蔵合金A3とする。
【0021】さらに、水素吸蔵合金Aを銅イオン(Cu
2+)を含有する水酸化カリウム(KOH)の30重量%
水溶液中に入れて、100℃に加熱して撹拌して水素吸
蔵合金Aを浸漬処理する。この浸漬処理を約1時間行っ
た後、冷却して洗浄する。このようにして浸漬処理され
た水素吸蔵合金Aはその粒子表面に水酸化物状態のCu
(OH)2が析出する。この水酸化物状態のCu(O
H)2が析出した水素吸蔵合金Aを水素吸蔵合金A4と
する。
【0022】3.熱処理 ついで、上述のようにして得られた水酸化物状態のCo
(OH)2が析出した水素吸蔵合金A1、Ni(OH)2
が析出した水素吸蔵合金A2、Co(OH)2とNi
(OH)2とが析出した水素吸蔵合金A3、Cu(O
H)2が析出した水素吸蔵合金A4をそれぞれ水素ガス
雰囲気中(1atm)で800℃の温度で10時間加熱
処理する。この加熱処理により得られた各水素吸蔵合金
A1,A2,A3,A4をそれぞれA1800(実施例
1),A2800(実施例2),A3800(実施例3),A
800(実施例4)とする。
【0023】また、上述のようにして得られた水酸化物
状態のCo(OH)2が析出した4つの水素吸蔵合金A
1を水素ガス雰囲気中(1atm)で300℃、500
℃、900℃および1000℃の温度でそれぞれ10時
間加熱処理する。300℃の温度で加熱処理された水素
吸蔵合金A1をA1300(実施例5)とし、500℃の
温度で加熱処理された水素吸蔵合金A1をA1500(実
施例6)とし、900℃の温度で加熱処理された水素吸
蔵合金A1をA1900(実施例7)とし、1000℃の
温度で加熱処理された水素吸蔵合金A1をA11000(実
施例8)とする。
【0024】また、上述のようにして得られた水酸化物
状態のCo(OH)2が析出した4つの水素吸蔵合金A
1を水酸化カリウム(KOH)の5重量%、15重量
%、30重量%、40重量%水溶液中にそれぞれ別々に
入れて、常温(20℃)で撹拌して4つの水素吸蔵合金
A1をそれぞれ別々に浸漬処理する。この浸漬処理を約
10分間行った後、冷却して洗浄する。このようにして
浸漬処理すると、水酸化物状態のCo(OH)2はオキ
ソ酸イオン(Co(OH)4 2-)状態となる。
【0025】5重量%の水酸化カリウムに浸漬処理して
オキソ酸イオン状態となった水素吸蔵合金A1を水素吸
蔵合金A1aとし、15重量%の水酸化カリウムに浸漬
処理してオキソ酸イオン状態となった水素吸蔵合金A1
を水素吸蔵合金A1bとし、30重量%の水酸化カリウ
ムに浸漬処理してオキソ酸イオン状態となった水素吸蔵
合金A1を水素吸蔵合金A1cとし、40重量%の水酸
化カリウムに浸漬処理してオキソ酸イオン状態となった
水素吸蔵合金A1を水素吸蔵合金A1dとする。
【0026】このようにして得られたオキソ酸イオン
(Co(OH)4 2-)状態の水素吸蔵合金A1a,A1
b,A1c,A1dをそれぞれ水素ガス雰囲気中(1a
tm)で800℃の温度で10時間加熱処理する。この
加熱処理により得られた各水素吸蔵合金A1a,A1
b,A1c,A1dをそれぞれA1a800(実施例
9),A1b800(実施例10),A1c800(実施例1
1),A1d800(実施例12)とする。
【0027】さらに、水酸化物状態のCo(OH)2
析出した水素吸蔵合金B1を水酸化カリウム(KOH)
の30重量%水溶液中に入れて、常温(20℃)で撹拌
して水素吸蔵合金B1を浸漬処理する。この浸漬処理を
約10分間行った後、冷却して洗浄する。このようにし
て浸漬処理すると、水酸化物状態のCo(OH)2はオ
キソ酸イオン(Co(OH)4 2-)状態となる。このオ
キソ酸イオン状態の水素吸蔵合金B1を水素ガス雰囲気
中(1atm)で800℃の温度で10時間加熱処理す
る。この加熱処理により得られた水素吸蔵合金B1をB
1c800(実施例13)とする。
【0028】(比較例) 比較例1 上述した水素吸蔵合金Aを水素ガス雰囲気中(1at
m)で800℃の温度で10時間加熱処理する。この加
熱処理により得られた水素吸蔵合金Aを水素吸蔵合金A
5とする。この水素吸蔵合金A5をコバルトイオン(C
2+)を含有する水酸化カリウム(KOH)の30重量
%水溶液中に入れて、100℃に加熱して撹拌して水素
吸蔵合金A5を浸漬処理する。この浸漬処理を約1時間
行った後、冷却して洗浄する。このようにして浸漬処理
された水素吸蔵合金A5を比較例1の水素吸蔵合金とす
る。
【0029】比較例2 上述した水素吸蔵合金Aをコバルトイオン(Co2+)を
含有する水酸化カリウム(KOH)の30重量%水溶液
中に入れて、100℃に加熱して撹拌して水素吸蔵合金
Aを浸漬処理する。この浸漬処理を約1時間行った後、
冷却して洗浄する。このようにして浸漬処理された水素
吸蔵合金A6とする。この水素吸蔵合金A6をアルゴン
ガス雰囲気中(1atm)で800℃の温度で10時間
加熱処理する。この加熱処理により得られた水素吸蔵合
金A6を比較例2の水素吸蔵合金とする。
【0030】比較例3 上述した水素吸蔵合金Aを水素ガス雰囲気中(1at
m)で800℃の温度で10時間加熱処理する。この加
熱処理のみにより得られた水素吸蔵合金Aを比較例3の
水素吸蔵合金とする。
【0031】4.水素吸蔵合金負極板の作製 上述したように作製した実施例1〜13および比較例1
〜3の水素吸蔵合金の16種類の粉末(スラリー状態)
にそれぞれ結着剤としてポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)粉末を水素吸蔵合金粉末に対して5重量%
加えて混練し、16種類の負極活物質ペーストとする。
この16種類の負極活物質ペーストを、それぞれパンチ
ングメタル等からなる帯状金属芯体にその左右両側面に
塗着した後、両面から加圧して16種類の水素吸蔵合金
負極板を作製する。
【0032】5.ニッケル−水素蓄電池の作製 上述のように作製した16種類の水素吸蔵合金負極板の
それぞれと周知の焼結式ニッケル電極板を耐アルカリ性
の不織布からなるセパレータを介して捲回する。このと
き、水素吸蔵合金負極板が外側になるようにして渦巻状
に捲回して16種類の渦巻状極板群を作製する。このよ
うに作製した16種類の渦巻状極板群をそれぞれ16個
の有底円筒状の金属外装缶に挿入した後、各金属外装缶
内にそれぞれ30重量%の水酸化カリウム(KOH)水
溶液よりなる電解液を注液することにより、その理論放
電容量が1000mAの16種類の円筒状ニッケル−水
素蓄電池を作製する。
【0033】6.電池特性試験 上述のように作製した16種類の各円筒状ニッケル−水
素蓄電池を100mAの充電々流で16時間充電した
後、1時間休止させる。その後、200mAの放電々流
で終止電圧が1.0Vになるまで放電させた後、1時間
休止させる。この充放電を室温で3サイクル繰り返し
て、各円筒状ニッケル−水素蓄電池を活性化する。
【0034】A.電池内圧試験 このようにして充放電を室温で3サイクル繰り返した放
電状態の16種類の円筒状ニッケル−水素蓄電池をそれ
ぞれ1000mAの充電々流で1.5時間充電を行った
ときの電池内圧を測定すると、下記表1に示すような実
験結果が得られた。
【0035】B.サイクル寿命試験 上述のようにして充放電を室温で3サイクル繰り返した
放電状態の16種類の円筒状ニッケル−水素蓄電池を1
500mAの充電々流で48分充電した後、1時間休止
させる。その後、1500mAの放電々流で終止電圧が
1.0Vになるまで放電させた後、1時間休止させる。
室温でこの充放電をサイクルを繰り返して、その電池容
量が500mAに達した時点をサイクル寿命とすると、
下記表1に示すような実験結果が得られた。
【0036】C.水素吸蔵合金特性 試験セルの作製 上述したように作製した実施例1〜13および比較例1
〜3の水素吸蔵合金の16種類の粉末のそれぞれ1gに
それぞれ導電剤としてカルボニルニッケル1.2gおよ
び結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)粉末0.2gを加えて混練し、16種類の水素吸蔵
合金負極活物質ペーストとする。この16種類の水素吸
蔵合金負極活物質ペーストを、それぞれニッケルメッシ
ュで包みプレス加工して16種類の水素吸蔵合金負極を
作製する。この16種類の水素吸蔵合金負極のそれぞれ
と、この水素吸蔵合金負極より充分に大きな放電容量の
周知の焼結式ニッケル正極とを密閉容器内にそれぞれ配
置し、それぞれ30重量%の水酸化カリウム(KOH)
水溶液よりなる電解液を過剰に注液して16種類の試験
セルを作製する。
【0037】高率放電特性の評価 この16種類の試験セルを50mA/gの充電々流で8
時間充電した後、1時間休止させる。その後、200m
A/gの放電々流で終止電圧が1.0Vになるまで放電
させ、このときの放電容量をCHとする。この後、1時
間休止させて電圧を復帰させた後、50mA/gの放電
々流で終止電圧が1.0Vになるまで放電させ、このと
きの放電容量をCLとする。このようにして求めた放電
容量CHおよびCLを用い、以下の数1の数式に基づいて
試験セルの活性度、即ち高率放電特性を算出すると以下
の下記表1に示すような実験結果が得られた。
【0038】
【数1】 活性度=(CH/(CH+CL))×100(%)
【0039】
【表1】
【0040】この表1の実験結果より、以下の〜に
記載する事項が明らかとなった。 実施例1〜13と比較例1および3とを比較すると
明らかなように、コバルト、ニッケル、コバルトおよび
ニッケル、銅等の金属イオンを含有する水酸化カリウム
からなるアルカリ溶液中に水素吸蔵合金を浸漬した後、
熱処理すると電池内圧、活性度(高率放電特性)および
サイクル寿命の全ての点で優れた水素吸蔵合金が得られ
た。
【0041】この理由は次のように考えることができ
る。即ち、コバルト、ニッケル、コバルトおよびニッケ
ル、銅等の金属イオンを含有する水酸化カリウムからな
るアルカリ溶液中に水素吸蔵合金を浸漬することによ
り、水素吸蔵合金の表面にコバルト、ニッケル、コバル
トおよびニッケル、銅等の金属イオンが水酸化物の状態
で析出する。この水酸化物の状態で析出した金属イオン
を水素雰囲気中で熱処理することにより、活性な金属と
なって水素吸蔵合金の表面をコーティングするためと考
えられる。しかしながら、実施例4と実施例1〜3およ
び実施例5〜13とを比較すると明らかなように、水素
吸蔵合金の表面をコーティングする金属はコバルトおよ
びニッケルが優れている。この理由は、コバルトおよび
ニッケルは銅より電極反応およびガス吸収能に対する触
媒性に優れた金属であることによる。
【0042】 実施例1〜13と比較例2とを比較す
ると明らかなように、アルカリ溶液中での浸漬処理後の
熱処理は水素雰囲気中でないと、電池内圧、活性度(高
率放電特性)およびサイクル寿命の全ての点で優れた効
果が得られない。この理由は、アルゴンは還元作用を有
しないので、アルゴン雰囲気中で加熱処理しても、酸化
状態の金属イオンは活性な金属とならないことに起因す
る。
【0043】一方、水素は還元作用を有するため、水素
吸蔵合金の表面は活性な金属によりコーティングされる
ことに起因して電池内圧、活性度(高率放電特性)が向
上する。また、加熱処理を行うことにより、水素吸蔵合
金表面に析出する活性な金属は均一に析出するようにな
るとともに、その析出した金属の一部は水素吸蔵合金と
合金化されて、高耐蝕性層を形成するため、サイクル寿
命が向上する。
【0044】また、実施例5〜7と実施例8とを比較す
ると明らかなように、熱処理温度は300〜900℃と
するのが好ましい。この理由は、1000℃のような高
温度で熱処理すると水素吸蔵合金の一部が溶融されて単
一相の水素吸蔵合金の一部が二相化するためと考えられ
る。単一相の水素吸蔵合金の一部が二相化すると、水素
を吸蔵する能力が減少するため、その電池容量が速く減
少するのでサイクル寿命が短くなるものと考えられる。
また、300℃より低い温度で熱処理しても還元反応を
生じない。
【0045】なお、アルカリ溶液中に水素吸蔵合金を浸
漬する処理は、上記各実施例においては100℃で約1
時間にわたって行ったが、この温度を変化させることに
より浸漬時間を調整することが可能となる。そして、6
5℃以上の温度で行うことにより浸漬効果が得られた。
【0046】 実施例1〜8と実施例9〜13とを比
較すると明らかなように、金属イオンを含有するアルカ
リ溶液中に水素吸蔵合金を浸漬した後、水素雰囲気中で
加熱処理する前にアルカリ溶液中に浸漬すると、電池内
圧が低下する。この理由は次のように考えることができ
る。即ち、金属イオンを含有するアルカリ溶液中に水素
吸蔵合金を浸漬したときに水素吸蔵合金の表面に析出し
た水酸化物(Co(OH)2,Ni(OH)2等)が、ア
ルカリ溶液中に浸漬することによりオキソ酸イオン(C
o(OH)4 2-,Ni(OH)4 2-等)状態となり、この
オキソ酸イオン状態の金属イオンが水素雰囲気中での熱
処理による還元処理時に水素吸蔵合金の表面に均一に分
散して均一なコーティング層となるためと考えられる。
そして、このアルカリ溶液の濃度は実施例9と実施例1
0〜12とを比較すると明らかなように、15〜40重
量%とするのが好ましい。なお、濃度が15重量%未満
ではアルカリ含浸効果が充分に発揮されないとともに、
40重量%を超えるアルカリ水溶液の作成が困難であ
る。
【0047】 実施例11と実施例13とを比較する
と明らかなように、アトマイズ法により作製した水素吸
蔵合金Bを使用した水素吸蔵合金電極(実施例13)
は、ボールミルを用いて粉砕により作製した水素吸蔵合
金Aを使用した水素吸蔵合金電極(実施例11)より電
池内圧が上昇しない。この理由は次のように考えること
ができる。即ち、一般に水素吸蔵合金電極は充放電を繰
り返すことにより、その合金粉末が微細化してその表面
積が小さくなることが知られている。しかしながら、ア
トマイズ法により作製した水素吸蔵合金は比表面積が小
さく、充放電を繰り返してもこれ以上は微細化しにくい
ため、初期の合金表面の状態を保ち、充電時に電池内で
発生するガスの吸収性能が優れているためと考えられ
る。
【0048】なお、上述の実施形態においては水素吸蔵
合金としてMmNi3.4Co0.8Al0.2Mn0.6を用いる
例について説明したが、水素吸蔵合金としてはTi−N
i系あるいはLa(もしくはMm)−Ni系の多元合金
から適宜選択して使用することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的
    に行うことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金
    電極の製造方法であって、 前記水素吸蔵合金を金属イオンを含有する高温のアルカ
    リ水溶液中に浸漬して同水素吸蔵合金の表面に前記金属
    イオンを析出させる浸漬処理工程と、 前記浸漬処理工程により前記金属イオンを析出させた前
    記水素吸蔵合金を水素雰囲気中で熱処理する熱処理工程
    とを備えたことを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記金属イオンはニッケル、コバルトの
    内の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に
    記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的
    に行うことができる水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金
    電極の製造方法であって、 前記水素吸蔵合金を金属イオンを含有する高温のアルカ
    リ水溶液中に浸漬して同水素吸蔵合金の表面に前記金属
    イオンを析出させる第1浸漬処理工程と、 前記第1浸漬処理工程により前記金属イオンを析出させ
    た前記水素吸蔵合金をアルカリ水溶液中に浸漬する第2
    浸漬処理工程と、 前記第2浸漬処理工程により浸漬処理された前記水素吸
    蔵合金を水素雰囲気中で熱処理する熱処理工程とを備え
    たことを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2浸漬処理工程におけるアルカリ
    水溶液の濃度を15〜40重量%としたことを特徴とす
    る請求項3に記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱処理工程における前記熱処理温度
    は300〜900℃であることを特徴とする請求項1か
    ら請求項4のいずれかに記載の水素吸蔵合金電極の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記水素吸蔵合金はアトマイズ法により
    作製したことを特徴とする請求項1から請求項5のいず
    れかに記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002363605A (ja) * 2001-06-11 2002-12-18 Sumitomo Metal Ind Ltd 水素吸蔵合金の製造方法
JP3662939B2 (ja) * 1997-01-31 2005-06-22 三洋電機株式会社 水素吸蔵合金粉末及びその製造方法
JP2006216239A (ja) * 2005-02-01 2006-08-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd 水素吸蔵合金粉末およびその処理方法、ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池

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