JPH08333603A - 水素吸蔵合金粒子およびその製造方法 - Google Patents

水素吸蔵合金粒子およびその製造方法

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JPH08333603A
JPH08333603A JP7137025A JP13702595A JPH08333603A JP H08333603 A JPH08333603 A JP H08333603A JP 7137025 A JP7137025 A JP 7137025A JP 13702595 A JP13702595 A JP 13702595A JP H08333603 A JPH08333603 A JP H08333603A
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hydrogen storage
storage alloy
alloy particles
hydrogen
nickel
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JP7137025A
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English (en)
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Toru Yamamoto
徹 山本
Hajime Seri
肇 世利
Yoichiro Tsuji
庸一郎 辻
Yoshinori Toyoguchi
▲吉▼徳 豊口
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 サイクル寿命、高率放電特性、高温放電保存
特性、初期活性および急速充電特性に優れたニッケル・
水素蓄電池を与える水素吸蔵合金粒子を提供する。 【構成】 コバルト、スズ、銅、ニッケル、酸化ランタ
ンおよびフッ素系化合物よりなる群から選択される多孔
質もしくは点在した皮膜を粒子表面に酸化膜を介するこ
となく直に形成した水素吸蔵合金粒子。この水素吸蔵合
金粒子の製造方法は、機械粉砕した水素吸蔵合金粒子を
フッ化水素酸またはフッ化水素酸と硝酸の混酸に浸漬し
て表面酸化膜を除去する工程、水洗後、水素吸蔵合金粉
末を空気に触れさせることなく、コバルト、スズ、銅、
ニッケルおよびランタンよりなる群から選択される金属
のイオンを含む水溶液を添加し、水洗、乾燥して水素吸
蔵合金粒子表面に前記皮膜を形成する工程を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニッケル・水素蓄電池
などの負極として用いられる水素吸蔵合金粒子およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、可逆的に水素を吸蔵・放出する水
素吸蔵合金粒子を負極に用いたニッケル・水素蓄電池が
原理的に短絡の原因となるデンドライトの生成がないた
めサイクル寿命が長く、エネルギー密度も高い二次電池
として注目されている。水素吸蔵合金には、主に希土類
元素/ニッケルからなるAB5 タイプとジルコニウム/
マンガンからなるAB2 タイプなどがある。ニッケル・
水素蓄電池に要求される性能としては、高容量、長寿
命、高率放電特性、高温での保存特性、急速充電特性お
よび初期活性等がある。これらの要求特性と合金組成は
密接な関係がある。例えば、AB5 タイプの合金では、
Mnの添加が高容量化に有効である反面、寿命劣化の原
因となる。これは水素吸蔵合金が微粉化を起し易くなる
ためで、コバルトを添加することによって微粉化を抑制
し長寿命化を達成している。
【0003】しかし、合金の組成だけでこれら電池特性
をすべて満足させることは困難である。このため合金や
極板に各種表面処理をすることで電池特性の向上が図ら
れている。例えば、初期活性向上のために水素吸蔵合金
粒子を高温の水酸化カリウム水溶液に浸漬し、水素吸蔵
合金粒子表面のエッチングによって電極活性を付与する
等の改善策が考えられている(特開昭61−23396
6号公報や特開昭63−146353号公報)。これ以
外にも初期活性および電極活性の向上のために、水素吸
蔵合金粒子表面に銅やニッケルを無電解めっき等の方法
でコーティングする方法も有効と考えられている(例え
ば、特開昭60−190570号公報や特開昭61−1
68866号公報)。また、ガス吸収性改善のために、
フッ素系ポリマーを負極極板上に塗布する方法も考案さ
れる(例えば、特開昭62−139255号公報)。
【0004】しかし、これら表面処理は、いずれも合金
を機械粉砕した後に行われている。機械粉砕によって、
合金表面は安定な酸化膜で覆われる。特に、Zrを基材
とするAB2 タイプの合金においては、非常に安定なZ
rの酸化膜が合金表面に形成されるため、従来は置換メ
ッキが不可能であった。このため、従来は主に酸化膜上
にNiやCuを無電解メッキ法で、またフッ素化合物
(フッ素樹脂)は塗着法によってそれぞれ形成されてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、酸化膜上ある
いは酸化膜を残したままでこれら表面処理を行うことに
よって、電極特性の改善効果は大きく低下する。さら
に、酸化膜の影響を受けて内部抵抗が増加するため、高
率放電特性も改善ができない。また、無電解メッキ法
は、高価な塩化パラジウムを用いるためコスト高になる
欠点もある。本発明は、上記課題に鑑み、サイクル寿
命、高率放電特性、高温保存特性、初期活性、さらには
急速充電特性(ガス吸収性)等の電極特性に優れたニッ
ケル・水素蓄電池を与える水素吸蔵合金粒子を提供する
ことを目的とするものである。本発明は、またそのよう
な水素吸蔵合金粒子を製造する方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の水素吸蔵合金粒
子は、粒子表面に、コバルト、スズ、銅、ニッケル、酸
化ランタンおよびフッ素系化合物よりなる群から選択さ
れる多孔質もしくは点在した皮膜を、酸化膜を介するこ
となく、直に形成したものである。
【0007】合金粒子表面にCo、Sn、Cu、Niま
たは酸化ランタンの皮膜を付ける第1の方法は、水素吸
蔵合金、好ましくはFe、Mn,Tiの少なくとも1種
の元素を含む水素吸蔵合金を機械粉砕した後、水素吸蔵
合金粒子をフッ化水素酸またはフッ化水素酸と硝酸の混
酸に浸漬して表面酸化膜を除去する。次いで、水素吸蔵
合金粉末を水洗した後、空気に触れさせることなく、C
o、Sn、Cu、Niおよびランタンよりなる群から選
択される金属のイオンを含む水溶液、好ましくは飽和溶
液を添加し、水洗、乾燥することにより、置換メッキに
よって水素吸蔵合金粒子表面に、酸化膜を介することな
く、Co、Sn、Cu、Niおよび酸化ランタンよりな
る群から選択される多孔質もしくは点在した皮膜を形成
するものである。なお、ランタンは、酸化が激しく酸化
ランタンの形で水素吸蔵合金の表面に形成されるのであ
る。
【0008】ここに用いる置換メッキ液としては、硝
酸、硫酸または塩酸酸性溶液で、酸濃度0.5〜4wt
%のものが反応時間が短く望ましい。コバルトの置換メ
ッキ液としては、塩酸濃度0.5〜2wt%の塩化コバ
ルト水溶液が好ましい。スズの置換メッキ液としては、
硝酸または塩酸の濃度1〜4wt%の硝酸スズまたは塩
化スズが好ましい。銅の置換メッキ液は、硫酸濃度0.
5〜2wt%の硫酸銅水溶液が好ましい。ニッケルの置
換メッキ液は、硝酸、硫酸または塩酸の濃度0.5〜4
wt%の硝酸ニッケル、硫酸ニッケルまたは塩化ニッケ
ル水溶液が好ましい。酸化ランタンを付けるための液
は、硝酸濃度0.5〜2wt%の酢酸ランタン飽和水溶
液が好ましい。
【0009】合金粒子表面に前記皮膜を形成する第2の
方法は、合金を水素化により粉砕した後、合金中の水素
を放出させるため一旦真空に引き、この後空気に触れる
させることなく、第1の方法で用いたと同様のコバルト
イオンを含む水溶液などを真空注液し、合金粒子を水溶
液に充分浸漬した後、水洗、乾燥することで置換メッキ
によって水素吸蔵合金粒子表面に、合金自体の酸化膜を
介することなく、前記皮膜を形成する。水素吸蔵合金中
のFe,Mn,Tiは、水溶液中でイオンとして溶出し
やすく置換メッキが容易となるから、水素吸蔵合金は前
記の元素のうち少なくとも一種を含むことが好ましい。
置換メッキ法で形成した被膜は、多孔質あるいは合金表
面に点在した状態であるため、OHイオンや水素ガス
の透過性に優れる。さらに、上記のようにして皮膜を形
成した水素吸蔵合金粒子を真空中、不活性ガス中または
還元ガス中でアニール処理すると、表面の金属が合金中
に拡散し、導電性が向上するとともに電極活性がより向
上する。
【0010】次に、フッ素系化合物の皮膜を形成する第
1の方法は、金属の置換メッキと同様、機械粉砕した水
素吸蔵合金粒子をフッ化水素酸またはフッ化水素酸と硝
酸の混酸に浸漬して表面酸化膜を除去した後、水洗し、
水素吸蔵合金粉末に空気を触れさせることなく、フッ素
系界面活性剤の水溶液またはフッ素系ポリマーの水分散
液を添加し、乾燥する方法である。また、第2の方法
は、水素吸蔵合金を水素化により粉砕した後、合金中の
水素を放出させるため一旦真空に引き、この後空気に触
れるさせることなく、フッ素系界面活性剤の水溶液また
はフッ素系ポリマーの水分散液を真空注液し、水素吸蔵
合金粉末を前記液に充分浸漬した後、水洗、乾燥する方
法である。これらの方法により、水素吸蔵合金粒子表面
に酸化膜を介することなく多孔質もしくは点在したフッ
素系化合物の皮膜を形成するものである。ここで、前記
皮膜を形成するフッ素系化合物の添加量は、ガス吸収性
および高率放電特性の関係から、合金重量に対して0.
01%〜0.1%の範囲が有効である。
【0011】ここに用いるフッ素系界面活性剤として
は、パーフルオロアルキルアンモニウム塩系、パーフル
オロアルキル燐酸エステル系、パーフルオロアルキルス
ルホン酸塩系、パーフルオロアルキルカルボン酸系およ
びパーフルオロアルキル基含有オリゴマー系などのパー
フルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましい。こ
れら界面活性剤の合金粒子への添加量は、合金重量に対
して0.01%〜0.1%が適当である。また、フッ素
系ポリマーとしては、水系エマルジョンを形成するフッ
素系ポリマーが好ましい。このポリマーの合金粒子への
添加量は、合金重量に対して0.01%〜0.1%が適
当である。
【0012】
【作用】コバルト、スズ、銅、ニッケル、酸化ランタン
およびフッ素系化合物よりなる群から選択される多孔質
もしくは点在した皮膜を粒子表面に酸化膜を介すること
なく直に形成した本発明の水素吸蔵合金粒子を負極材料
に用いると、サイクル寿命、低温高率放電特性、高温保
存特性、初期活性およびガス吸収性に優れたニッケル・
水素蓄電池を提供することができる。
【0013】従来、電極活性の向上や集電効果改善のた
めに、水素吸蔵合金粒子表面へ無電解メッキ等により、
CuやNiを被覆することが検討されてきた。しかし、
従来法では、合金粒子表面の酸化膜が除去されていない
ため、酸化膜を介してこれら金属膜が形成されていた。
このため、被覆量が多い割に電極特性の改善効果が小さ
かった。また、Zrを基材とするAB2タイプの合金で
は、強固なジルコニウム酸化膜の影響を受け、Cuなど
の置換メッキは従来不可能と考えられてきた。また、極
板形成後にフッ素系樹脂を塗布してガス吸収性を改善す
る方法においても、従来法では酸化膜を介しているた
め、その効果が小さかった。これに対して本発明は、機
械粉砕後に水素吸蔵合金粒子表面に形成される酸化膜を
フッ化水素酸またはフッ化水素酸と硝酸の混酸(フッ硝
酸)に浸漬することで大部分を除去し、その後直ちに空
気に接触させることなく前記皮膜を形成するか、または
水素化粉砕後、合金中の水素を放出させるため一旦真空
に引き、この後空気に触れさせることなく前記皮膜を形
成するので、これら皮膜の効果を十分発揮させることが
できる。
【0014】水素吸蔵合金粒子表面にCo、Sn、C
u、Niあるいは酸化ランタンをコーティングすること
で、集電効果や電極活性が大きく向上し、初期活性、高
率放電特性が大きく改善される。Laの場合、合金粒子
表面に酸化物として付着するが、電極活性は大幅に向上
する。さらに、この合金粒子を真空中、不活性ガス中ま
たは還元ガス中でアニールすることによって、合金表面
にこれら金属成分が拡散して合金化するので、導電性が
さらに向上し、高率放電特性が向上する。特に、Snの
場合、表面酸化させることによって導電性の高い酸化ス
ズ膜を形成し、集電効果と合金表面の耐食性の向上を図
れるため、サイクル寿命および高温保存特性も改善され
る。一方、水素吸蔵合金粒子表面に酸化膜を介すること
なく、フッ素系界面活性剤やフッ素系ポリマーからなる
フッ素系化合物を形成することで、合金表面に気、固、
液の界面ができ、ガス吸収性が上がり、急速充電特性が
向上し、さらに耐食性も向上し、高温保存特性も改善さ
れる。このような効果は、AB5タイプの水素吸蔵合金
では組成にLaを有しており、元来電極活性に優れてい
るため改善効果は若干少ないが、AB2タイプの水素吸
蔵合金では特に有利で、大幅な電極特性の向上が図れ
る。以上のように本発明による水素吸蔵合金粒子を負極
に用いることで、サイクル寿命、高率放電特性、高温保
存特性、初期活性および急速充電特性に優れたニッケル
・水素蓄電池が得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 [実施例1]図1は本実施例における水素吸蔵合金粒子
の製造工程を含む電池製造工程を示している。水素吸蔵
合金原料としてジルコニウム(Zr)、バナジウム
(V)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)およびニッ
ケル(Ni)を所定の割合で混合し、高周波溶解炉に投
入して溶解した後、水冷鋳型に流し込み、ZrV0.1
0.5Cr0. 3Ni1.1の組成のAB2 タイプの水素吸蔵
合金塊を作製した。次に、これをアルゴン中において1
100℃で6時間かけてアニール処理した。・・・ <合金
作製工程> その後、粗粉砕と微粉砕(ガス粉砕)を行い、平均粒径
25μm程度まで粉砕して水素吸蔵合金粒子を作製し
た。・・・ <粉砕工程>
【0016】次に、この水素吸蔵合金粒子10重量部を
水20重量部、46%フッ化水素酸20重量部、および
硝酸20重量部よりなるフッ硝酸水溶液(室温)に徐々
に添加し、数分間撹拌した。10分間静置した後、上澄
みを捨て、蒸溜水で2回洗浄した。この際、フッ硝酸に
よるエッチング時間が短すぎると酸化膜が十分除去でき
ず、また長すぎると合金まで溶出するため、合金組成に
合わせて最適なエッチング時間を決める必要がある。・・
・ <酸化膜除去工程> 次に、この合金粒子に空気を触れさせることなく、塩化
コバルト(CoCl2)飽和水溶液50重量部に塩酸1
重量部を添加した液を加え、約30分間撹拌した。その
後、10分間静置し上澄みを捨て、蒸溜水で2回洗浄し
た。撹拌時間としては、30分から1時間程度が適当
で、ある程度以上長時間撹拌してもCoの置換量は増え
なかった。また、塩酸の添加量としては、0.5〜2w
t%が好ましく、0.5wt%よりうすい場合は置換メ
ッキに長時間を要し、2wt%より濃い場合は合金成分
の溶出が大きくなり置換メッキの時間制御が難しくなっ
た。塩化コバルト飽和水溶液の代わりにCoを硫酸に溶
かした水溶液を用いても同様の置換メッキができたが、
メッキ量としては塩化コバルトが最も多かった。・・・ <
置換メッキ工程> この合金粒子のオージェー分析を行ったところ、コバル
ト層の下に酸素原子のないことがわかった。また、SE
M観察より、Coが水素吸蔵合金粒子表面に多数点在し
ていることが確認された。長時間置換メッキ液に浸漬し
たものは、多孔質の被膜を形成していた。
【0017】次に、この水素吸蔵合金合金粒子100重
量部を真空乾燥させた後、これに結着剤のスチレンブタ
ジエンゴム0.5重量部、増粘剤のカルボキシメチルセ
ルロース0.2重量部、導電材のカーボンブラック0.
2重量部および水16重量部を加え、よく混合して負極
用ペーストを作製した。このペーストをニッケル製パン
チングメタルの集電体(芯材)に塗布し、乾燥後、ロー
ラープレス法にて加圧し芯材との接着性を確保した後、
所定形状に打抜き、ニッケル製のリード線を溶接して合
金重量約6.0gの負極を作製した。・・・ <負極作製工
程> 一方、正極としては、水酸化ニッケルを主成分とする従
来の正極合剤6.0gを発泡式ニッケル集電体に充填
し、ニッケル製のリード線を溶接し正極を作製した。・・
・ <正極作製工程>
【0018】このようにして作製した正極を厚さ0.1
5mmの親水性を付与したポリプロピレン製のセパレー
タで包み、負極も同様にセパレータで包み、1枚の負極
を2枚の正極で挟持し両側からアクリル板で締め付けた
ものを電槽に入れ、水酸化カリウム水溶液(密度1.3
0g/cm3)を主成分とする電解液約100ccを電
槽に注液し、負極容量規制の開放型液リッチ電池を作製
した。・・・ <電池組立工程> 図2は、上記の負極容量規制の開放型液リッチ電池の構
成を示す。20は負極、21は正極、22および23は
セパレータ、24および25はそれぞれ負極および正極
のリード線、25はアクリル板、26は電解液、27は
電槽、28は蓋である。29および30はアクリル板同
士をしめつけているボルトおよびナットである。
【0019】[比較例1]実施例1と同一組成の水素吸
蔵合金粒子をそのまま負極活物質に用い、実施例1と同
様にして開放型液リッチ電池を作製した。 [比較例2]実施例1と同一組成の水素吸蔵合金粒子
に、酸化膜除去工程なしに塩化コバルト溶液で処理した
ものを負極活物質に用い、実施例1と同様にして開放型
液リッチ電池を作製した。
【0020】図3は、実施例1及び比較例1、2の開放
型液リッチ電池の充放電サイクルにともなう負極合金1
g当たりの放電容量の変化を示す。充放電サイクルは2
5℃において0.1C(0.2A)で15時間充電し、
0.2C(0.4A)で終止電圧0.9Vまで放電する
条件で行った。図4は、これらの電池のレート特性を示
したものである。以上の比較の結果、実施例1の電池
は、1サイクル目から約300mAh/gと高い値を示
したが、比較例1の電池は、10サイクル目で漸く30
0mAh/gに達した。比較例2の電池は、3サイクル
目で300mAh/gに達した。さらに、実施例1の電
池は、比較例1より80mA程度、比較例2より30m
Ah/g程度それぞれ到達容量が高かった。Cr含量の
多い合金は、従来電極活性が悪く、放電容量が低くなっ
ていた。しかし、実施例1では、合金粒子表面にCoが
メッキされているため、電極活性が大幅に向上し、放電
容量が高くなったものと考えられる。比較例2は、酸化
膜の影響を受け放電容量が低くなったものと思われる。
0℃におけるレート特性においても、実施例1は、電流
値に対する傾きが小さく、高率放電特性に優れていた。
【0021】次に、表1に放電容量が300mAh/g
を越えるまでのサイクル数(初期活性)、放電容量の最
大値、最大容量の80%に容量が低下するまでのサイク
ル数(サイクル寿命)、および低温高率特性として、0
℃における1C放電容量の20℃における0.2C放電
容量に対する比を示す。
【0022】[実施例2]実施例1と同じ合金組成、同
じ方法で鋳造、アニール、粉砕の工程を経て粒径約25
μmの合金粒子を作製した。次に、この水素吸蔵合金粒
子10重量部を、水10重量部と46%フッ化水素酸2
0重量部よりなるフッ化水素酸水溶液(室温)に徐々に
添加し、数十分間撹拌した。次いで、10分間静置した
後、上澄みを捨て、蒸溜水で2回洗浄した。フッ化水素
酸のみで処理すると、フッ硝酸を用いた場合に比べ酸化
膜除去に若干時間を要した。
【0023】次に、この合金粒子に空気を触れさせるこ
となく、硝酸スズ[Sn(NO32]10重量部に水5
0重量部と硝酸2重量部を添加した液を加え、約30分
間攪拌した。その後、10分間静置して上澄みを捨て、
蒸留水で2回洗浄した。硝酸の添加量としては1〜4w
t%が好ましかった。また、塩化スズ水溶液(SnCl
240重量部、水56重量部)に塩酸4重量部を加えた
水溶液を用いても撹拌時間約10分で同様の置換メッキ
ができた。以下、実施例1と同様の方法で開放型液リッ
チ電池を作製し、サイクル特性および0℃において1C
(0.2A)で放電して低温高率放電特性を調べた。表
1に各種電極特性を示す。
【0024】[実施例3]実施例2と同様の方法で水素
吸蔵合金粒子の表面に多孔質のSn膜を形成した。次
に、この合金粒子を真空中500℃で6時間アニールし
た。この合金粒子を用いて実施例1と同様にして開放型
液リッチ電池を作製し、サイクル特性および0℃におい
て1C(0.2A)で放電して低温高率放電特性を調べ
た。表1に各種電極特性を示す。実施例2では、初期活
性、放電容量、および低温高率放電特性は実施例1と変
わらなかったが、サイクル寿命が若干短くなった。一
方、実施例3では、初期活性は若干低下するが、サイク
ル寿命が向上した。これはアニールによってスズの表面
が酸化されたため耐食性が向上し、かつ酸化スズの導電
性が高いため低温高率特性の低下を招かなかったものと
考えられる。
【0025】[実施例4]実施例1と同様の合金組成を
有する水素吸蔵合金を鋳造、アニールした後、数mm〜
数cmまで粗粉砕した。次に、これを耐圧容器に入れ、
一旦真空に引いた後、50気圧の水素を導入し水素化に
よる粉砕を行った。再び容器を真空に引き合金中から水
素を放出させた後、硫酸銅(CuSO4・5H2O)10
重量部に水50重量部と硫酸1重量部を添加した液を真
空注液し、合金粒子を約1時間(室温)硫酸酸性硫酸銅
水溶液に浸漬した。10分間静置した後、圧力容器を開
け上澄みを捨て、蒸溜水で2回洗浄した。硫酸の添加量
としては0.5〜2wt%が好ましかった。また、硝酸
銅水溶液[Cu(NO32]50重量部、水49重量部
に硝酸1重量部を加えた水溶液を真空注液し、1.5時
間浸漬することで同様の銅の置換メッキができた。この
ようにして作製した水素吸蔵合金粒子を330メッシュ
のふるいで分級し、平均粒径25μmのものを得た。以
下、実施例1と同様の方法で開放型液リッチ電池を作製
し、サイクル特性および0℃において1C(0.2A)
で放電して低温高率放電特性を調べた。表1に各種電極
特性を示す。0℃における高率放電特性が特に改善され
た。
【0026】[実施例5]実施例1と同じ合金組成、同
じ方法で鋳造、アニール、粉砕の工程を経て粒径約25
μmの合金粒子を作製した。次に、この水素吸蔵合金粒
子10重量部を、水10重量部と46%フッ化水素酸2
0重量部よりなるフッ化水素酸水溶液(室温)に徐々に
添加し、数十分間撹拌した。10分間静置した後、上澄
みを捨て、蒸溜水で2回洗浄した。次に、この合金粒子
に空気を触れさせることなく、硝酸ニッケル[Ni(N
32]60重量部に水40重量部と硝酸4重量部を添
加した液を加え、約20分間撹拌した。その後、10分
間静置し上澄みを捨て、蒸溜水で2回洗浄した。硝酸の
添加量としては1〜4wt%が好ましかった。また、前
記硝酸ニッケル水溶液の代わりに、硫酸ニッケルNiS
420重量部、水80重量部および硫酸2重量部の水
溶液を用いて1時間撹拌した場合、および塩化ニッケル
水溶液(NiCl230重量部、水69重量部)に塩酸
1重量部を加えた水溶液を用いて約2時間撹拌した場合
も同様の置換メッキができた。以下、実施例1と同様の
方法で開放型液リッチ電池を作製し、サイクル特性およ
び0℃において1C(0.2A)で放電して低温高率放
電特性を調べた。表1に各種電極特性を示す。全般的に
電池特性は向上した。
【0027】[実施例6]実施例5と同様の方法で水素
吸蔵合金粒子の表面に多孔質のNi膜を形成した。この
合金粒子を水素ガス雰囲気において800℃で6時間ア
ニールした。次に、実施例1と同様の方法で開放型液リ
ッチ電池を作製し、サイクル特性および0℃において1
C(0.2A)で放電して低温高率放電特性を調べた。
表1に各種電極特性を示す。本実施例では、アニール工
程を入れることで、合金粒子とNi間の導電性が増し、
低温高率放電特性がさらに改善された。粒子表面の膜が
Niの場合、アニール雰囲気としては、水素のような還
元ガス中のアニールが酸化を防止でき有効であった。ア
ニール処理する適当な温度は、粒子表面にメッキした金
属の種類によって異なる。Coでは800〜1000
℃、Snでは350〜600℃、Cuでは500〜70
0℃、Niでは500〜900℃が適していた。
【0028】[実施例7]水素吸蔵合金として、高周波
溶解炉を用いた鋳造法によりMmMn0.4Al0.3Co
0.6Ni3.7(Mmはミッシュメタル)の組成を有するA
5タイプの水素吸蔵合金を作製した。次に、これをア
ルゴン中1080℃で6時間かけてアニール処理し、そ
の後、粗粉砕と微粉砕(ガス粉砕)を行い、平均粒径2
5μm程度まで粉砕して水素吸蔵合金粒子を作製した。
次に、この水素吸蔵合金粒子10重量部を、水40重量
部、46%フッ化水素酸20重量部、および硝酸60重
量部よりなるフッ硝酸水溶液(室温)に徐々に添加し、
数分間撹拌した。10分間静置した後、上澄みを捨て、
蒸溜水で2回洗浄した。この後、この合金粉末に空気を
触れさせることなく、塩化ニッケル水溶液(NiCl2
30重量部、水66重量部)と塩酸4重量部を加え、約
30分間撹拌することでNi置換メッキを行った。次
に、実施例1と同様の方法で開放型液リッチ電池を作製
し、サイクル特性および0℃において1C(0.2A)
で放電して低温高率放電特性を調べた。表1に各種電極
特性を示す。
【0029】[比較例3]実施例7と同一組成で同様の
製法で微粉砕まで行った水素吸蔵合金粒子をそのまま負
極活物質として用いた。実施例1と同様にして開放型液
リッチ電池を作製し、サイクル特性および低温高率放電
特性を調べた。表1に各種電極特性を示す。 [比較例4]実施例7と同一組成で同様の製法で微粉砕
まで行った水素吸蔵合金粒子を酸化膜除去工程なしに塩
化ニッケル溶液で処理したものを負極活物質として用い
た。実施例1と同様にして開放型液リッチ電池を作製
し、サイクル特性および低温高率放電特性を調べた。表
1に各種電極特性を示す。
【0030】実施例7と比較例3および4を比較する
と、実施例7の電池は、比較例3および4の電池より低
温高率特性に優れることがわかった。また、実施例7の
電池は、比較例3より20mA程度、比較例4より10
mAh/g程度それぞれ到達容量が高かった。これはレ
ート特性の改善効果によるものと考えられる。しかし、
希土類を基材とするAB5タイプの水素吸蔵合金におい
ては、AB2タイプの水素吸蔵合金ほど大きな電極特性
の改善は認められなかった。これはAB5タイプの場
合、合金中に電極活性に優れたLaやNiが多く含まれ
るためと思われる。水素吸蔵合金の組成としては、置換
メッキを行うためにFe,Mn,Tiの少なくとも1種
類の元素を含んでいることが望ましい。また、置換メッ
キ液としては、酸を少量添加したものが反応速度の点で
有効であった。
【0031】[実施例8]実施例1と同じ合金組成、同
じ方法で鋳造、アニール、粉砕の工程を経て粒径約25
μmの合金粒子を作製した。次に、この水素吸蔵合金粒
子10重量部を、水10重量部および46%フッ化水素
酸30重量部よりなるフッ化水素酸水溶液(室温)に徐
々に添加し、数十分間撹拌した。10分間静置した後、
上澄みを捨て、蒸溜水で2回洗浄した。次に、この合金
粒子に空気を触れさせることなく、酢酸ランタン飽和水
溶液50重量部に硝酸1重量部を添加した液を加え、約
30分間撹拌した。その後、10分間静置して上澄みを
捨て、蒸溜水で2回洗浄した。撹拌時間としては30分
から1時間程度が適当で、ある程度以上長時間撹拌を行
ってもLa量は増えなかった。また、硝酸の添加量とし
ては0.5〜2wt%が好ましく、0.5wt%よりう
すい場合はLa添加に時間を要し、2wt%より濃い場
合はLa自身の溶出が大きくなりLa添加が難しくなっ
た。酢酸ランタン飽和水溶液の代わりに、金属ランタン
を硝酸に溶かした水溶液を用いても同様のLa添加がで
きたが、La添加量としては酢酸ランタンが最も多かっ
た。
【0032】Laの場合Co、Cu、SnおよびNiの
ような完全な置換メッキ(合金成分との置換)ではない
が、合金成分にFe,Mn,Tiを有するものについて
その添加効果が大きかった。これら元素の溶出が引き金
になっているものと考えられる。この合金粒子の表面を
分析したところ、ランタンは酸化ランタンであることが
わかった。作製法としては実施例4と同様の水素化によ
る粉砕、真空注液法を用いた場合でも同様の結果が得ら
れた。次に、この合金粒子を用いて実施例1と同様の方
法で開放型液リッチ電池を作製し、サイクル特性および
低温高率放電特性を調べた。表1に各種電極特性を示
す。初期活性は改善され、高率放電特性も向上した。な
お、酸化ランタンをアニールする場合、700℃〜95
0℃の温度が高率放電特性の向上の点で適していた。
【0033】
【表1】
【0034】[実施例9]水素吸蔵合金として、高周波
溶解炉を用いた鋳造法でMmMn0.4Al0.3Co0.6
3.7の組成を有するAB5タイプの水素吸蔵合金を作製
した。次に、これをアルゴン中1080℃で6時間かけ
てアニール処理し、その後、粗粉砕と微粉砕(ガス粉
砕)を行い、平均粒径25μm程度まで粉砕して水素吸
蔵合金粒子を作製した。次に、この水素吸蔵合金粒子1
0重量部を、水40重量部、46%フッ化水素酸20重
量部および硝酸60重量部よりなるフッ硝酸水溶液(室
温)に徐々に添加し、数分間撹拌した。10分間静置し
た後、上澄みを捨て、蒸溜水で2回洗浄した。次に、こ
の合金粒子に空気を触れさせることなく、カチオン性の
フッ素系界面活性剤[C817SO2NH(CH23+
(CH33-:パーフルオロアルキルトリメチルアン
モニウム塩]1重量部、水10重量部、エチルアルコー
ル10重量部および硝酸0.1重量部からなる液を加
え、約30分間撹拌した後、10分間静置し、上澄みを
捨て、蒸溜水で2回洗浄した。真空乾燥後、合金重量を
測定したところ、合金重量に対して0.01%のフッ素
化合物が付いていることがわかった。
【0035】次に、この水素吸蔵合金粒子100重量部
に、スチレンブタジエンゴム0.5重量部、カルボキシ
メチルセルロース0.2重量部、カーボンブラック0.
2重量部および水16重量部を加えてよく混合し、負極
用ペーストを作製した。このペーストをニッケル製パン
チングメタルの集電体(芯材)に塗布し、乾燥後、ロー
ラープレス法にて加圧し所定形状に打抜き、ニッケル製
のリード線を溶接して合金重量約9.1gの負極を作製
した。一方、正極としては、水酸化ニッケルを主成分と
する従来の正極合剤7gを発泡式ニッケル集電体に充填
し、ニッケル製のリード線を溶接し正極を作製した。こ
のようにして作製した負極と正極を両者間に厚さ0.1
5mmの親水性を付与したポリプロピレン製のセパレー
タを介在させて渦巻状に捲回し、4/5Aサイズの電槽
に収納した。負極のリード部および正極のリード部をそ
れぞれ電槽および極柱に溶接した後、水酸化カリウム水
溶液(密度1.30g/cm3)を主成分とする電解液
2.3ccを電槽に注液し、これを封口して正極容量規
制の密閉型電池を作製した。
【0036】[比較例5]実施例9と同一組成の水素吸
蔵合金粒子をそのまま負極活物質として実施例9と同様
の密閉型電池を作製した。 [比較例6]実施例9と同一組成の水素吸蔵合金粒子
に、フッ硝酸水溶液による酸化膜除去を行わずに、実施
例9と同様の方法でカチオン性フッ素系界面活性剤をコ
ーティングした。この水素吸蔵合金粒子を負極活物質と
して実施例9と同様の密閉型電池を作製した。
【0037】実施例9及び比較例5、6の密閉型電池に
ついて、まず25℃において0.1C(0.16A)で
15時間充電し、0.2C(0.32A)で終止電圧
0.8Vまで放電する初充放電をした後、45℃におい
て2日間放置し、その後、初充放電と同じ条件で充放電
サイクルを繰り返した。次に、20サイクルの充放電の
後、0℃において1C(1.6A)放電容量および1C
充電時の内圧変化を測定した。その後、放電させた後、
65℃において保存した時の開回路電圧の変化を調べ
た。図5に放電後の65℃における保存期間と開回路電
圧の関係を示す。その結果、初期活性および最大放電容
量については、実施例9の電池と比較例5、6の電池と
でほとんど差は認められず、1サイクル目から1500
mAh以上、最大1650mAhを示した。しかし、0
℃における1C放電では、実施例9の電池は、20℃に
おける0.2C放電容量に対する比が85%と、比較例
5、6の72%、78%に比べ高容量を示した。実施例
9の電池は、サイクル寿命も480サイクルと若干優れ
ていた。これは耐食性が向上したためと考えられる。ま
た、21サイクル目の1C充電時の内圧は、実施例9で
は充電末期でも1.5気圧程度と非常に低かったが、比
較例5では8気圧、比較例6でも4気圧とそれぞれ高い
値を示した。実施例9の電池が充電時低い電池内圧を示
したのは、合金表面での気、固、液の界面でのガス反応
が促進されたためと思われる。
【0038】高温放電保存試験では、図5に示すよう
に、開回路電圧が0Vに低下するまでに実施例9では7
5日、比較例5で45日、比較例6で60日をそれぞれ
要し、実施例9が優れた高温放電保存特性を示した。以
上のような効果はパーフルオロアルキル燐酸エステル
系、パーフルオロアルキルスルホン酸塩系、パーフルオ
ロアルキルカルボン酸系およびパーフルオロアルキル基
含有オリゴマー系の界面活性剤を用いた場合も同様に得
られた。また、これら界面活性剤の添加量としては、合
金重量当たり0.01%〜0.1%が有効であった。添
加量が多すぎると高率放電特性が特に低下する傾向が見
られた。
【0039】[実施例10]実施例9と同じ組成を有す
るAB5タイプの水素吸蔵合金を実施例9と同様に高周
波溶解炉を用いた鋳造法で作製した。次に、これをアル
ゴン中1080℃で6時間かけてアニール処理した。そ
の後、実施例4と同様、水素吸蔵合金を数mm〜数cm
まで粗粉砕した後、耐圧容器に入れ、一旦真空に引いて
から50気圧の水素を導入し水素化粉砕を行った。再び
容器を真空に引き合金中から水素を放出させた後、水素
吸蔵合金10重量部に対して、水系エマルジョンタイプ
のフッ素系ポリマー(大日本インキ化学工業製 ディッ
クガードF−90)10重量部を水40重量部に分散さ
せた液を真空注液し、30分間程度水素吸蔵合金粒子を
前記分散液に浸漬処理した。次に、蒸溜水で2回洗浄
後、80℃で真空乾燥した。乾燥後の水素吸蔵合金の重
量を測定した結果、0.1%のフッ素系ポリマーがコー
ティングされていることがわかった。
【0040】このようにして作製した水素吸蔵合金粒子
を330メッシュのふるいで分級し、平均粒径25μm
のものを得た。フッ素系ポリマーのコーティング量とし
ては、ガス吸収性と高率放電特性の関係から0.01%
〜0.1%が有効であった。この後、実施例9と同様の
構成で4/5Aサイズの密閉型電池を作製した。この電
池は、最大放電容量が1650mAhと実施例9と同等
であったが、低温高率放電が80%とやや低下した。ま
た、65℃における放電保存試験では、開回路電圧が0
Vになるまで90日と長期の安定性を示した。1C充電
時の電池内圧は2気圧程度と良好であった。
【0041】
【発明の効果】以上のように本発明は、初期活性、低温
高率放電特性、高温放電保存特性、サイクル寿命特性お
よび内圧特性(急速充電特性)にすぐれたニッケル・水
素蓄電池を与える水素吸蔵合金粒子を提供するものであ
る。また、無電解メッキのように高価な塩化パラジウム
を使用しないため、大幅なコストアップが避けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における合金粒子製造工程を
含む電池製造工程を示す図である。
【図2】本発明の実施例に用いた試験電池の構成を示す
縦断面図である。
【図3】本発明の実施例1及び比較例1、2の電池の充
放電サイクルにともなう放電容量の変化を示す図であ
る。
【図4】同電池のレート特性を示す図である。
【図5】実施例9及び比較例5、6の電池の高温保存時
の開回路電圧の変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊口 ▲吉▼徳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コバルト、スズ、銅、ニッケル、酸化ラ
    ンタンおよびフッ素系化合物よりなる群から選択される
    多孔質もしくは点在した皮膜を粒子表面に酸化膜を介す
    ることなく直に形成したことを特徴とする水素吸蔵合金
    粒子。
  2. 【請求項2】 水素吸蔵合金が、鉄、マンガン、および
    チタンよりなる群から選択される少なくとも1種を含む
    請求項1記載の水素吸蔵合金粒子。
  3. 【請求項3】 機械粉砕した水素吸蔵合金粒子をフッ化
    水素酸またはフッ化水素酸と硝酸の混酸に浸漬して表面
    酸化膜を除去する工程、水洗後、水素吸蔵合金粉末を空
    気に触れさせることなく、コバルト、スズ、銅、ニッケ
    ルおよびランタンよりなる群から選択される金属のイオ
    ンを含む水溶液を添加し、水洗、乾燥して水素吸蔵合金
    粒子表面にコバルト、スズ、銅、ニッケルおよび酸化ラ
    ンタンよりなる群から選択される多孔質もしくは点在し
    た皮膜を形成する工程を有することを特徴とする水素吸
    蔵合金粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 密閉容器内で水素吸蔵合金を水素化によ
    り粉砕する工程、前記容器内を真空に引いて前記合金中
    の水素を放出させる工程、前記合金を空気に触れさせる
    ことなく、コバルト、スズ、銅、ニッケルおよびランタ
    ンよりなる群から選択される金属のイオンを含む水溶液
    を前記容器内へ注液し、水洗、乾燥して水素吸蔵合金粒
    子表面にコバルト、スズ、銅、ニッケルおよび酸化ラン
    タンよりなる群から選択される多孔質もしくは点在した
    皮膜を形成する工程を有することを特徴とする水素吸蔵
    合金粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記水溶液が少量の硝酸、硫酸または塩
    酸を含む酸性溶液である請求項3または請求項4記載の
    水素吸蔵合金粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 さらに、水素吸蔵合金粒子を真空中、不
    活性ガス中または還元ガス中でアニール処理する工程を
    有する請求項3または請求項4記載の水素吸蔵合金粒子
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 機械粉砕した水素吸蔵合金粒子をフッ化
    水素酸またはフッ化水素酸と硝酸の混酸に浸漬して表面
    酸化膜を除去する工程、水洗後、水素吸蔵合金粉末を空
    気に触れさせることなく、フッ素系界面活性剤の水溶液
    またはフッ素系ポリマーの水分散液を添加し、水洗、乾
    燥して水素吸蔵合金粒子表面にフッ素系化合物の多孔質
    もしくは点在した皮膜を形成する工程を有することを特
    徴とする水素吸蔵合金粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 密閉容器内で水素吸蔵合金を水素化によ
    り粉砕する工程、前記容器内を真空に引いて前記合金中
    の水素を放出させる工程、前記合金を空気に触れさせる
    ことなく、フッ素系界面活性剤の水溶液またはフッ素系
    ポリマーの水分散液を前記容器内へ注液し、水洗、乾燥
    して水素吸蔵合金粒子表面にフッ素系化合物の多孔質も
    しくは点在した皮膜を形成する工程を有することを特徴
    とする水素吸蔵合金粒子の製造方法。
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