JP3491872B2 - 水素吸蔵合金電極 - Google Patents

水素吸蔵合金電極

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JP3491872B2 JP06156998A JP6156998A JP3491872B2 JP 3491872 B2 JP3491872 B2 JP 3491872B2 JP 06156998 A JP06156998 A JP 06156998A JP 6156998 A JP6156998 A JP 6156998A JP 3491872 B2 JP3491872 B2 JP 3491872B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素を可逆的に吸
蔵・放出する水素吸蔵合金を活物質とするアルカリ蓄電
池用電極に関する。
【0002】
【従来の技術】水素を可逆的に吸蔵・放出する水素吸蔵
合金を活物質に用いた電極は、理論容量密度がカドミウ
ム電極より大きく、亜鉛電極のような変形やデンドライ
トの形成がないことから、長寿命・無公害であり、しか
も高エネルギー密度を有するアルカリ蓄電池用負極とし
て期待されている。このような水素吸蔵合金電極に用い
られる合金は、通常アーク溶解法や高周波誘導加熱溶解
法などによって作製される。現在電極として実用化され
ている水素吸蔵合金は、AB5タイプ(A:La、Z
r、Tiなどの水素との親和性の大きい元素、B:N
i、Mn、Crなどの遷移元素など水素との親和性が小
さい元素)のLa(又はMm:ミッシュメタル−希土類
元素の混合物)−Ni系の多元系合金である。この合金
は、ほぼ理論値に近い容量を発揮しているから、さらな
る大幅な容量増は見込めない。このため、さらに放電容
量が大きい新規水素吸蔵合金材料が望まれている。AB
5合金よりも大きな水素吸蔵量を持つ合金として、Ti
−V系の水素吸蔵合金がある。この合金系、例えばTi
xyNiz合金などを用いた水素吸蔵合金電極が提案さ
れている(特開平6−228699号公報、特開平7−
268513号公報、特開平7−268514号公報な
ど)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらTi−V−Ni
系の水素吸蔵合金からなる電極は、La(又はMm)−
Ni系の多元系合金に比べて放電容量は高いものの、サ
イクル特性に問題がある。本発明は、Vを基本とする体
心立方構造をもつ水素吸蔵合金を改良して、高容量かつ
サイクル特性に優れた水素吸蔵合金電極を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のアルカリ蓄電池
水素吸蔵合金電極は、次式(1) V1-a-b-c-dTiaCrbcd (1) (MはMn、Fe、 Co、Cu、Nb、Zn、Zr、
Mo、Ag、Hf、Ta、W、Al、Si、N、P、お
よびBからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、
Lは希土類元素およびYからなる群より選ばれた少なく
とも1種の元素、0.2≦a≦0.5、0.1≦b≦
0.4、0≦c≦0.2、0<d≦0.03)で表さ
れ、その主たる結晶構造が体心立方構造である水素吸蔵
合金粒子からなり、前記水素吸蔵合金粒子が表面部にN
iの拡散した層を有する。ここにおいて、合金の平均結
晶粒度は20μm以下とすることが好ましい。また、電
極を作製する合金粒子の粒径は40μm以下とすると優
れた特性の電極が得られる。合金を製造するには、急冷
凝固法が有効である。具体的には、アトマイズ法、回転
電極法、または急冷ロール法を用いると、効率的に合金
を作製することができる。
【0005】 これらの水素吸蔵合金粒子は、表面部に
Niの拡散層をすることから、高い放電容量を得るこ
とができる。この層の構造は体心立方構造であることが
望ましい。Niの拡散層を形成する方法の1つは、合金
粒子にNiめっきを施すか、Ni粉末を被着した後、不
活性ガスまたは減圧雰囲気中において500℃〜100
0℃の温度範囲で加熱処理する方法である。合金粒子と
Ni粉末を混合し、メカニカルアロイングやメカニカル
グラインディング法を用いて物理的にNiを拡散させる
方法を用いることもできる。
【0006】素吸蔵合金は、式() V1-x-y-zTixCrwM’’vLnz) (M’’はMn、Fe、Co、Nb、Mo、Cu、およ
びZrからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、
0.1≦w≦0.4、w+v=y)で表されるものがよ
り好ましい。前記式(2)で表される合金中に、Lnを
40原子%以上含む第2相が分散していることが好まし
い。この第2相は、合金を溶解した後の冷却時に母相中
に析出する。前記式(2)で表される合金も、式(1)
で表される合金と同様に、合金粒子の表面にNiの拡散
相を有する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いる水素吸蔵合金は、
従来のVを基本とする体心立方構造をもつ固溶体合金を
改良したものであり、従来電極用合金に必須であったN
iを合金のバルクから除き、これによって水素吸蔵量を
増大したものである。金属バナジウムは、体心立方構造
を有し、空間群は1m3mに属し、格子定数は3.02
7オングストロームである。本発明の合金は、このバナ
ジウムのサイトがTi、L(またはLn)、Mでランダ
ムに置換された固溶体合金である。一方、前記合金の表
面に形成された、Niの拡散層では、同じく体心立方構
造を有するが、金属間化合物TiNiが生成している。
以下、本発明の水素吸蔵合金について詳細に説明する。
【0008】(1)合金組成:水素吸蔵量と電池用電極
としての特性を満足させるため、構成元素とその添加量
について以下のように決定した。Niは、合金中に添加
して溶解するとTi−Ni系の第2相を形成し、それに
相当する量の水素吸蔵量の低下を引き起こす。さらにN
iは、主相にも少量溶解して水素平衡圧の上昇を招くの
で、水素吸蔵量が低下する。したがって、合金のバルク
からNiを取り除くことにより、水素吸蔵量が大きくな
る。Tiは、原子半径がVやCrに比べて大きく、この
ため合金の格子サイズが大きくなり、水素平衡圧が低下
すると共に水素吸蔵量が増大する。また、合金粒子の表
面にNiを拡散させた層を形成する場合にも、Tiが存
在するとより低温でNiの拡散が進みやすくなる。合金
中のTiの原子比aが0.2以上であれば、水素吸蔵量
の増大に顕著な効果が見られる。しかし、aが0.5を
越えると、水素平衡圧の低下により合金中の水素が安定
化し放出されにくくなるため、水素吸蔵量が減少する。
従って、aは0.2以上0.5以下が適当である。Cr
は、合金の活性化を容易にし、合金にアルカリ電解液中
での耐食性を付与する。この効果を得るためには、Cr
の原子比bは0.1以上であることが必要である。しか
し、Crは水素平衡圧を上昇させ、また、TiCr2
を形成するため、添加量が多いと水素吸蔵量が減少す
る。これを抑制するためには、bを0.4以下にする必
要がある。
【0009】 La、Ce等の希土類元素またはYを少
量添加することにより、さらに水素吸蔵量が増大する。
これは、これらの元素が脱酸剤となり合金の不純な酸素
を除去するためであると考えられる。これらの元素を第
2相として析出させ、母相にはほとんど含まれないよう
にすることにより、母相の組成にはほとんど影響がな
く、水素平衡圧なども変化させずに水素吸蔵量のみを増
大することができる。これらの添加量は、母合金に対し
て3原子%を越える量加えてもそれ以上の効果の改善は
認められない。これらの元素以外にMn、Fe、Co、
Cu、Nb、Zn、Zr、Mo、Ag、Hf、Ta、
W、Al、Si、N、P、Bを必要に応じて加えること
ができる。これらの元素は、その原子半径に応じて格子
サイズを変化させ、水素平衡圧を制御し、電極として利
用できる水素吸蔵量の増大を図る。さらに、Mn、N
b、Mo、Ta、Alは水素吸蔵量の増大に、またF
e、Co、Cu、Zn、Zr、Ag、Hf、W、Si、
N、P、Bは電極活性の増大にそれぞれ寄与し、これに
より放電容量やサイクル寿命を向上する。これらの元素
の添加割合dは合計で0.2以下である。これより多い
と、体心立方構造以外の相が析出するため、水素吸蔵量
が減少する。Vは、体心立方構造を安定に存在させ、水
素吸蔵量を増大させるために必要な元素であり、その割
合は他の元素の割合により自動的に決定される。
【0010】(2)結晶子の大きさ:結晶子の粒径、即
ち結晶粒度は、小さい方が微粉化が少ないという傾向が
見られる。結晶粒度が20μm以下であれば、優れた寿
命特性が得られる。結晶粒度20μm以下の合金を得る
には、急冷合金製造法が採られる。急冷合金製造法とし
ては、溶湯に高圧ガスを吹き付けるアトマイズ法、回転
するドラムや円盤に注湯する回転電極法、急冷ロール法
などの急冷凝固法を利用することができる。
【0011】(3)Niの拡散層の形成:合金に電気化
学的な触媒能を付与して電極に用いられるようにするた
めに、水素吸蔵合金粒子表面にNiを付与するのが有効
である。しかし、合金粒子に単にNiを付着させるだけ
では、容量の低下、水素拡散速度の低下が起こる。そこ
で、本発明では、水素吸蔵合金粒子の表面にNiを拡散
させて拡散層を形成し、合金粒子の表面に水素吸蔵能力
に特に優れた特性を与える。前記Niの拡散層は、Ti
Ni類似の体心立方構造にVやCrなどの他元素が取り
込まれている構造であれば、電気化学的な触媒能、耐食
性、および水素吸蔵量のバランスがよく、優れた電極を
与える。
【0012】Niの拡散層を形成する方法としては、め
っきにより合金粒子表面にNi被膜を被着するか、また
はNi粉末を合金粒子に混合するなどにより合金粒子に
Ni粉末を被着させ、次いで熱処理する方法がある。め
っきには、電解めっきと無電解めっきがあり、粉末にめ
っきする場合は無電解めっきが一般的である。無電解め
っきの場合、還元剤の種類によりPやBがNiめっき被
膜中に含まれる。このようなめっきでも電極特性の改善
が図れる。また、合金粒子とNi粉末の混合物を遊星ボ
ールミルで撹拌する等のメカニカルアロイングまたはメ
カニカルグラインディング法のような物理的にNiを拡
散させる方法がある。熱処理を行う場合には、本発明の
合金組成においては、不活性ガスまたは減圧雰囲気下に
おける500〜1000℃の熱処理により、所望の表面
構造を持つ合金粒子が得られる。熱処理温度が500℃
より低いとNiの拡散が進まず、また、1000℃より
高いとNiがより内部まで拡散して水素吸蔵量が減少す
ると共に、表面相の構造がTi2Niの構造になり、電
極特性が低下する。このようなNiの拡散処理を行う合
金粒子の粒径は40μm以下が望ましい。これよりも粒
径が大きいと水素の吸蔵・放出の過程で微粉化が進み、
表面積に占めるNi拡散層を設けた表面の割合が低下す
るので、電極特性が低下する。
【0013】
【実施例】以下に、本発明をその実施例によりさらに詳
しく説明する。 (1)水素吸蔵合金の作製:合金の作製は、市販の原料
を用いてアーク溶解、Arガスアトマイズ、ロール急
冷、または回転電極法により行った。得られた合金は、
室温でロータリーポンプで1時間減圧した後、50気圧
の水素を印加して水素を吸蔵させ、次いで5時間減圧に
して水素を放出させるという水素化粉砕を行った後、さ
らに機械的粉砕を行い、所望の粒径のものを分級した。
合金粒径は、特に指定のない限りは40μm以下であ
る。
【0014】水素ガス吸蔵特性は、ジーベルツの装置を
用い、水素ガス雰囲気における水素吸収−放出量測定に
より、PCT(P:水素圧力、C:組成、T:温度)特
性を求めた。試料は水素化粉砕と同様の条件で水素の吸
脱を行うことにより活性化させた後、200℃で5時間
脱ガスを行い、しかる後70℃において水素吸収−放出
量を測定した。合金粒子表面にNi拡散層を形成するに
は以下の方法を用いた。1つは、平均粒径0.03μm
のNi粉末を10wt%合金粒子に加え、乳鉢で混合し
た後、その混合物をボールミルによりメカニカルアロイ
ングする方法または熱処理する方法である。他の1つ
は、合金粒子を2%のフッ酸で処理して表面を清浄化し
た後、市販のNi無電解めっき浴に浸漬し、50℃で3
0分間攪拌しながら10wt%のNiを付与した後、熱
処理する方法である。
【0015】(2)水素吸蔵合金負極の作製及び特性評
価:合金粉末0.1gにCu粉末を0.4g混合し、そ
の混合物をペレット状に加圧成形して電極とした。これ
にNiメッシュを圧着し、そこにNiリボンを溶接して
リードとした。こうして得た負極と、対極として過剰の
電気容量を有する水酸化ニッケル電極と、比重1.30
の水酸化カリウム水溶液からなる豊富な量の電解液を用
いて、水素吸蔵合金負極により容量が規制された開放系
の電池を構成した。上記の電池について、水素吸蔵合金
1g当たり100mAの電流で1サイクル目は8時間、
2サイクル目以降は5.5時間充電し、合金1g当たり
50mAの電流で端子電圧が0.8Vに低下するまで放
電する充放電サイクルを繰り返し、放電容量を調べた。
容量劣化率は以下の式で計算した。 容量劣化率(%)=100×(50サイクル後の放電容
量の低下量)/(最大放電容量)
【0016】《実施例1》本実施例では、合金の組成を
検討した。表1および表2に示した組成の合金をアーク
溶解により作製した。この合金の粒子にNiめっきを施
した後、不活性ガス雰囲気中において600℃で3時間
加熱処理した。こうして得られた水素吸蔵合金のPCT
測定を行った。表1および表2に、合金の最大水素吸蔵
量(金属原子1個当たりの水素原子数:H/M)、電極
の最大放電容量、及び充放電50サイクル後の容量劣化
率を比較例と共に示した。No.1−1から1−27ま
でが本発明の実施例であり、No.1−28から1−3
3は比較例である。また、合金成分Lは特に説明のない
限りLaである。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】表1および表2からわかるように、比較例
の合金は容量が低く、また充放電サイクルがすすむにし
たがい容量の劣化も激しい。一方、本発明の合金は、い
ずれもH/M=1.6以上の高い水素吸蔵量を有してお
り、かつ電極として450mAh/g以上の高い放電容
量を有し、さらに容量劣化率も20%以内とすべての面
で優れた特性を有する。
【0020】《実施例2》本実施例では、合金の結晶粒
度を検討した。Ti0.30.53Cr0.15La0.02で示さ
れる組成の合金を表3に記載した各種製造法により作製
した。この合金の粒子に実施例1と同様にしてNiめっ
きを施し、熱処理した後、水素吸蔵合金電極を作製し
た。実施例1と同様にして合金および電極を評価した結
果を表3に示す。本実施例では、結晶粒度の違いを見る
ために、同じ製造法で得た合金について、製造後に熱処
理を施したサンプルについても特性を測定した。
【0021】
【表3】
【0022】 表3からわかるように、No.2−1、
2−2、2−3、2−4のように、結晶粒度が2 0μ
m以下の合金は、サイクル劣化率が20%以内に収まっ
ており、優れた電極を与える。No.2−5および2−
6で見られるように、合金製造後に熱処理を施すことに
より結晶粒度が20μmとなったものでは、サイクル
劣化率が増大することが判明した。
【0023】《実施例3》本実施例では、Niの拡散層
の形成方法を検討した。Ti0.30.53Cr0.15La
0.02で示される組成の合金をガスアトマイズ法で作製し
た。この合金の粒子表面に各種の方法でNiの拡散層を
形成した。Niの拡散層を形成した合金粒子を用いて実
施例1と同様にして電極を作製し、その最大放電容量及
び50サイクル後の容量劣化率を測定した。その結果を
表4に示す。
【0024】
【表4】
【0025】表面にNiを付与したのみの比較例No.
3−1は、高い放電容量は得られないが、これに熱処理
する(No.3−3、3−4)か、機械的な力を加えて
合金化する(No.3−8)ことにより、高い放電容量
が得られる。また、Niの拡散層の形成方法としてめっ
き法を用いたNo.3−3と粉末混合法を用いたNo.
3−7を比較すると、めっき法を用いた方がより高い特
性を有することがわかる。この原因は、めっき法がより
緻密に合金表面を覆うためと考えられる。
【0026】Niめっき後の熱処理温度が低い比較例N
o.3−2は、放電容量が128mAh/gときわめて
低いが、熱処理温度を500℃から1000℃としたN
o.3−3、3−4は、500mAh/g以上の高い容
量を有する。また、この熱処理温度が1000℃より高
い比較例No.3−5は、逆に容量が低下することが判
明した。この原因は、500℃より低い温度での加熱で
はほとんどNiの拡散が進まないため放電容量が低く、
一方、1000℃より高い温度での加熱では処理時間を
短くしても拡散が進みすぎ、Niの拡散層の構造がTi
2Niと同じ結晶構造となるためと考えられる。一方、
Niの拡散層の形成方法として、熱処理工程を必要とし
ないメカニカルアロイング法(No.3−8)を用いて
も高い放電容量が得られる。
【0027】《実施例4》本実施例では、合金の粒径を
検討した。Ti0.30.53Cr0.15La0.02で示される
組成の合金をロール急冷法により作製し、機械的に粉砕
して各メッシュサイズ(75、40、15μm)に分級
した。この合金粒子に無電解めっきにより表面にNi付
与し、不活性ガス中において600℃で6時間加熱する
ことにより、合金表面にNiの拡散層を形成した。この
合金粒子を用いて、実施例1と同様にして電極を作製
し、特性を測定した。電極の最大放電容量及び50サイ
クル後の容量劣化率を表5に示す。表5には、Niめっ
きを施す前の分級に使用したメッシュサイズを併せて示
した。
【0028】
【表5】
【0029】合金粒子の粒径が40μmを越えるものを
用いた比較例No.4−2は、放電容量、サイクル特性
共に若干悪い結果であったが、合金粒径を40μm以下
としたNo.4−1及び4−3は、共に優れた特性を有
する。この原因は、40μmを越える粒径の合金粒子で
は、充放電中に微粉化が進みNiの拡散層で覆われてい
ない面が出てくるとともに、Niの拡散層で覆われてい
る面積も少ないために電極特性が低下するものと考えら
れる。。一方40μm以下の粒子であれば、ほぼ同等の
特性が得られる。しかし、15μm未満の粒子では、放
電容量は大きいがサイクル劣化率が大きい。これは、比
表面積が大きいため、Niの拡散層が薄く耐食性が劣る
ためと考えられる。
【0030】《実施例5》本実施例では、体心立方構造
を有する合金の一例として、式Ti0.40.45Cr0.15
で表される組成の合金a、この合金aに、La 、C
e、またはMm(ミッシュメタル)をそれぞれ2原子%
加えた合金b、cまたはdの特性を調べた。また、比較
例として、前記組成式で表される合金aに、Niを5重
量%加え、溶解して調製した合金eの特性を調べた。合
金は市販のTi、V、Cr、およびLa、Ce、Mmま
たはNi金属を原料として、アーク溶解によって作製し
た。この合金試料をまずP−C−T特性を測定した。そ
の結果を図1に示す。70℃における水素吸蔵曲線を比
較すると、希土類元素の添加により水素吸蔵量が最大で
H/M=0.15ほど増加していることがわかる。Ni
を加えた合金dは、水素吸蔵量が最も小さくなった。こ
の減少量はNi5重量%添加分の減少量よりも大きい。
【0031】合金の断面をEPMAで観察した結果、T
i、V、Crからなる主相と、主に希土類元素からなる
島状に分布する第2相が確認された。組成を分析した結
果、Laを添加した合金では、主相はTi0.380.48
0.14とほぼ仕込み組成でLaは検出されないが、第2
相は大きさが非常に小さいため正確ではないがTi0. 21
0.12Cr0.02La0.65とLaが多く含まれる組成とな
っていた。他の組成における分析結果においても、合金
作製時の冷却速度に影響を受けるが、第2相中に含まれ
る希土類元素の量はすべて40原子%以上であり、この
ことにより合金の高容量化が図れる。以上のような合金
について、電気化学的な充放電反応によるアルカリ蓄電
池用負極としての電極特性を評価するために以下のよう
な単電池試験を行った。
【0032】38μm以下に粉砕した合金粉末に粒径1
μmのNi粉末を5重量%混合し、800℃で2時間加
熱して、合金表面にNiの拡散層を設けた。この合金粉
末1gに導電材としてのNi粉末を3g、結着材として
のポリエチレン粉末を0.12g混合し、この混合物を
ペレット状に加圧成形し、130℃で結着材を溶融させ
て電極とした。こうして得た合金電極からなる負極と、
過剰の電気容量を有する水酸化ニッケル正極、および比
重1.30の水酸化カリウム水溶液からなる電解液を用
いて、実施例1と同様の開放系電池を構成した。この電
池を水素吸蔵合金1g当たり100mAの電流で7時間
充電し、合金1g当たり50mAの電流で端子電圧が
0.8Vに低下するまで放電する充放電サイクルを繰り
返した。
【0033】異なる希土類元素を添加した合金からなる
電極の放電容量の比較を図2に示す。希土類元素を添加
した合金電極は、無添加のものに比べて高容量を示す。
LaとCeではほとんど差がなく、Mmでは若干容量が
低下した。これはLa、Ce以外の元素の影響であると
考えられる。また、LaとCeを混合したものを添加し
た合金でも効果に差がないことが確認された。Laおよ
び/またはCeを添加し、さらに表面にNiの拡散層を
有する合金からなる電極は、合金のバルクにNiを加え
たものと比べても高容量でサイクル劣化が少なかった。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高い放電
容量と優れたサイクル特性を有する水素吸蔵合金電極を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における各種希土類元素を添加
した水素吸蔵合金電極の水素吸蔵特性を示した図であ
る。
【図2】同電極のサイクル特性を比較した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−80865(JP,A) 特開 平9−87781(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/14 - 4/62 H01M 10/30 C22C 1/00 - 45/10 JICSTファイル(JOIS)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式V1-a-b-c-dTiaCrbcd(Mは
    Mn、Fe、 Co、Cu、Nb、Zn、Zr、Mo、
    Ag、Hf、Ta、W、Al、Si、N、P、およびB
    からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、Lは希
    土類元素およびYからなる群より選ばれた少なくとも1
    種の元素、0.2≦a≦0.5、0.1≦b≦0.4、
    0≦c≦0.2、0<d≦0.03)で表され、結晶構
    造が体心立方構造の水素吸蔵合金粒子からなり、前記水
    素吸蔵合金粒子が表面部にNiの拡散した層を有す
    ルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極。
  2. 【請求項2】 前記水素吸蔵合金の平均結晶粒度が20
    μm以下である請求項1記載の水素吸蔵合金電極。
  3. 【請求項3】 前記水素吸蔵合金粒子の粒径が40μm
    以下である請求項1または2記載の水素吸蔵合金電極。
  4. 【請求項4】 Niの拡散した層が体心立方構造を有す
    る請求項1〜3のいずれかに記載の水素吸蔵合金電極。
  5. 【請求項5】 Niの拡散した層が、Niのめっき被膜
    またはNi粉末を被着した水素吸蔵合金粒子を不活性ガ
    スまたは減圧雰囲気中において500℃から1000℃
    の温度範囲で加熱処理することにより形成されたもので
    ある請求項1〜4のいずれかに記載の水素吸蔵合金電
    極。
  6. 【請求項6】 Niの拡散した層が、メカニカルアロイ
    ングまたはメカニカルグラインディング法により形成さ
    れたものでる請求項1〜4のいずれかに記載の水素吸蔵
    合金電極。
  7. 【請求項7】 前記水素吸蔵合金が急冷凝固法により作
    製されたものである請求項1記載の水素吸蔵合金電極。
  8. 【請求項8】 前記急冷凝固法が、アトマイズ法、回転
    電極法、または急冷ロール法である請求項記載の水素
    吸蔵合金電極。
  9. 【請求項9】 式V1-x-y-zTixCrw’’ vLn
    z(LnはLaおよびCeの少なくとも一種の元素また
    はLaおよびCeの少なくとも一種の元素を含む希土類
    元素の混合物、M’’はMn、Fe、Co、Nb、M
    o、Cu、およびZrからなる群より選ばれた少なくと
    も一種の元素、0.2≦x≦0.4、0.1≦y≦0.
    4、0.005≦z≦0.03、0.4≦x+y+z≦
    0.7、0.1≦w≦0.4、w+v=y)で表され、
    結晶構造が体心立方構造の水素吸蔵合金粒子からなり、
    前記水素吸蔵合金粒子が表面部にNiの拡散した層を有
    アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極。
  10. 【請求項10】 前記合金中に、Lnを40原子%以上
    含む第2相が分散している請求項記載の水素吸蔵合金
    電極
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