JP4688986B2 - 電池材料用水素吸蔵合金の表面処理方法 - Google Patents

電池材料用水素吸蔵合金の表面処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電池材料用水素吸蔵合金の表面処理方法に関し、より詳細には水素吸蔵合金をアルカリ水溶液に浸漬処理することにより、例えば電池用の水素吸蔵合金電極材として用いた場合の充放電のサイクル耐久性、放電容量の諸特性に優れた水素吸蔵合金の表面処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素は合金や金属の表面で原子状水素に簡単に分解されて水素原子として金属に吸着される。しかも小さな原子である水素は、合金の結晶格子間を自由に動き回り合金内部に侵入する。
いわゆる水素吸蔵合金と言われているものは、この反応が極めて早く、例えば温度を低くしたり、加圧すると簡単に水素を吸蔵し、その吸蔵水素量が多くなると合金内で金属水素化合物として安定化して、内部エネルギーを放出して発熱する。逆に加温または減圧させると吸蔵水素を放出して吸熱するという水素の出入りが熱の出入りを伴って簡単に起こり、しかも可逆的に素早く行われることを特徴とするものである。
またこの水素の出入りを電解系で行えば、電子の出入りを伴い電気化学的に酸化還元電位が生じて電流が流れるものである。
このような水素吸蔵合金の性質を利用した用途として、すでに高純度水素の製造、触媒への利用、水素の貯蔵・輸送システム、廃熱利用のヒートポンプ、ケミカルエンジン、ニッケル−水素蓄電池、水素燃料電池などが知られている。
【0003】
しかしながら、これらの合金を種々な用途に利用するとしても、上記するように実用上の観点から、水素吸蔵合金の特性を向上させることが必要とされ、なかでもこれら合金の水素の吸放出、これに伴う熱の吸放出、さらには電子の受放出を伴い、これらの物質、熱及び電子等の移動を効率よく利用するための実用上の特性改善が求められている。
【0004】
例えば、従来から、ニッケル−水素蓄電池の水素吸蔵合金電極材の耐久性を向上させるために行われているアルカリ処理は、合金表面のアルカリに可溶もしくはアルカリで酸化する成分を溶解もしくは酸化させ、合金に含まれるニッケル等の電気化学的に活性な成分を活性向上させ、また高温アルカリ溶液中における耐久性を向上させるために行われている水素吸蔵合金の実用上の特性を改善させる処理方法である。
【0005】
さらには、従来のこのようなアルカリ処理は一般的には室温程度の温度で行われており、これでは十分な特性改善が得られないとして、特開平07−326353号公報には、水素吸蔵合金粉末の水素ガスの吸蔵・放出を可逆的に行える合金電極の製造方法が提案されている。より詳細には、水素吸蔵合金粉末をコバルトまたは銅イオンを含有する65℃以上のアルカリ水溶液で高温浸漬処理して、電池電極としての充放電サイクルの耐久性を改良する方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来から水素吸蔵合金粉末を電池用の負極電極材として用いるにあっては、合金表面をより活性化させて諸特性を改善する観点から、電極材形成前の粉末または電極形成後に合金表面の余分な元素を除去したり、また新たな活性相を形成させるために、上記するようなアルカリ水溶液による表面処理が行われているものである。
しかしながら、水素吸蔵合金を形成する有効成分である希土類、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム等の金属元素は、アルカリに反応し易く、また電池の中でアルカリ電解液中に溶出したり、新たに合金表面に水酸化物を形成する等の傾向があることから、これらの合金に対して行われている従来のアルカリ処理では、未だ十分満足される実用上の特性改善が成されていないのが実状である。
【0007】
このような状況下で、上記公報に記載される水素吸蔵合金粉末のアルカリ処理では、コバルトイオンまたは銅イオンを含むアルカリ水溶液に合金粉末を浸漬させ、しかも65℃以上の高温加温下に浸漬処理させるものであるこのような高温アルカリ法では、目的とする特性改善がなされる反面、合金表面に希土類元素の水酸化物を析出させたり、また特にマンガンを含有するような水素吸蔵合金にあっては、処理温度が高くなるとマンガンが高温度のアルカリ水溶液に溶出する恐れがあることから、水素吸蔵合金の特性改善を目的とする処理方法としては未だ十分に満足されるものではない。
【0008】
従って、本発明の目的は、水素吸蔵合金粉末を、電池用の電極材として電気化学特性を向上させることを目的とする湿式処理法であり、特にニッケル金属元素を必須成分とする水素吸蔵合金の有効な表面処理法であって、且つ電池用材料としての実用特性を向上させる表面処理方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ニッケルを必須成分とする水素吸蔵合金を電池用材料として水素を吸蔵及び放出するサイクル性を向上させて、実用上の水素の吸蔵−放出の耐久性(サイクル特性)等の諸特性に優れた電極材にするために、鋭意努力した。その結果、酸性処理ではニッケルが溶解して合金表面に活性ニッケル相を形成することが困難であることから、アルカリ処理法であるが水素吸蔵合金粉末表面にアルカリと反応しても合金表面に金属元素の水酸化物を析出させない表面処理方法を見出し、本発明に至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明は、水素吸蔵合金粉末を錯化剤を含有するアルカリ水溶液に浸漬することを特徴とする電池材料用水素吸蔵合金の表面処理方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による電池材料用水素吸蔵合金の表面処理方法は、従来のアルカリ処理方法とは異なり錯化剤( 又はキレート化剤) を含有するアルカリ水溶液中に、水素吸蔵合金を浸漬させることを特徴とするものである。
本発明のこのような表面処理方法は、水素吸蔵合金の特性である水素の吸放出、これに伴う熱の吸放出、さらには電子の受放出という物質、熱及び電子等の出入り(移動)を速度的にも、容量的にも更にはサイクル的にも持続させて効率よく利用できるように、合金表面を改善させるのである。
すでに記載したように、水素吸蔵合金のこのような優れた性質を利用した各種の用途が開発されており、本発明はその代表的な用途であるニッケル−水素蓄電池、水素燃料電池などに使用される電池材料用電極材である。
【0012】
そこで、本発明で用いる錯化剤は、アルカリ水溶液に含有させて用いられ、水素吸蔵合金を表面処理する際に、合金の金属元素と反応するものであって、そのなかでも水またはアルカリ水溶液に可溶性であるものが好ましい。例えば、グリコール酸、クエン酸、グリシン酸、コハク酸、サリチル酸、ニコチン酸、安息香酸、ピクリン酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、1 −10フェナントロリン、2,2',2''−トリアミノトリエチルアミン、N,N'−ジ(2−アミノエチル)エチレンジアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、表面処理される水素吸蔵合金の種類によっても異なるが、本発明においては、これらの錯化剤を、単独または1種以上を組合わせて適宜に使用することができる。
このうち、重金属との結合力が強く、金属錯化物のアルカリ溶液中での安定性という観点から、特にクエン酸、酒石酸、EDTA、トリエタノールアミン等がより好適に使用されるものである。
この錯化剤は、アルカリ水溶液に好ましくは0.01〜0.5モル/リットルの濃度で含有させればよい。その濃度が下限値未満では、合金表面から除去させたい元素を反応させて可溶性にしても、また合金表面に再析出したりして、表面処理の効果を十分に発揮させることができない恐れがある。また上限値を超えるとその添加量の割に効果が発揮されず、単にコスト的に不利になるだけである。なお、本発明では、好ましくは0.01〜0.5モル/リットル、特に好ましくは0.05〜0.2モル/リットルの範囲で使用するのがよい。
【0013】
またアルカリ水溶液としては、周期律表第1族のアルカリ金属元素の水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩から選ばれた少なくとも1種を含むアルカリ水溶液が挙げられる。そのうち本発明では、取扱い性、処理上の安定性から、好ましくは炭酸アルカリよりは、強アルカリ性の水酸化アルカリが好適であり、且つその水酸化アルカリのなかでも水酸化ナトリウムよりは、水酸化カリウム、水酸化リチウムがより好適に使用される。
このアルカリ水溶液の濃度は、特に制限は内が、好ましくは0.1〜8モル/リットルの濃度範囲であればよい。その濃度が下限値未満では、表面処理時のアルカリ濃度が低すぎてアルカリ処理の目的を十分に発揮されない恐れがある。また上限値を超えるとアラカリ濃度が高すぎて錯化剤を分解させる傾向があることから好ましくない。よって、本発明では、より好ましくは0.5〜5モル/リットルの濃度範囲である。
【0014】
そこで、本発明による表面処理方法としては、(1)錯化剤を含有するアルカリ水溶液に、水素吸蔵合金粉末を添加するか、または、この粉末から形成された電池用電極材を浸漬させる。(2)これらの合金材を水に添加または浸漬させた後に、錯化剤とアルカリとをそれぞれ所定の濃度になるように同時または別々に加えてもよい。本発明では、好ましくは前者の(1)の表面処理方法が、操作性の観点から好適である。
【0015】
また本発明による表面処理方法は、好ましくは温度20〜100℃の室温下または加温下で行われ、温度が室温以下の20℃未満では合金表面での錯化剤の反応が進みにくく、浸漬処理の時間が長くなる。また100℃を超える高温では錯化剤が分解する傾向にあることから好ましくない。よって本発明では、処理温度として好ましくは40〜80℃範囲が好適である。
【0016】
また本発明においては、このアルカリ水溶液に水素吸蔵合金を浸漬させるにあって、静置下で行ってもよく攪拌下で行ってもよい。好ましくは攪拌下に行う方が表面処理をより均一に、より速やかに合金材に施せることから、特に強攪拌を必要としないが、ゆるやかな攪拌下に浸漬させて表面処理を行うことがよい。 このように行う表面処理の終点は、特に明確ではないが、処理溶液中の溶解元素の濃度を目安にして、浸漬時間として0.5〜3時間で行えばよい。
【0017】
そこで、本発明で使用する水素吸蔵合金は、各種形状のものを使用できるが、好ましくは合金粉砕機を用いて不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素など)雰囲気中で約100メッシュ以下に粉砕したもを用いるか、さらにこの粗砕合金を予め活性化処理〔水素を吸蔵しやすい温度で高圧水素下に保持させて合金相を完全に水素化物相に変える第1回目に施す特別な処理のことを活性化処理という;(株)アグネ技術センター発行、大角泰章著、水素吸蔵合金−その物性と応用、頁105参照〕で水素を吸蔵させた平均粒径50μm以下の合金粉末が使用される。本発明では、特に好ましくは後者の予め活性化処理で水素を吸蔵して微細化された粉末状の水素吸蔵合金が好適に使用され、またこの微粉状の合金粉末を用いて組立てられた電池用電極材も使用される。
【0018】
そこで、本発明においては、水素吸蔵合金として、下記の一般式(1)
MmNiW AlX Y CoZ ‥‥‥‥‥‥(1)
式中、Mmはメッシュメタルであり、MはCa、Mg、Mn、Fe、Si、Cu、Cr、Ti及びVの金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属であり、w、x、y、及びzはメッシュメタルの全原子数を1とした時の各金属の原子数で、w+x+y+z=4.8 〜 5.4、且つw>0、x≧0、y≧0、z≧0である。)
で表される水素吸蔵合金が好適に使用される。
そこで、上記一般式(1)を満足するニッケル金属元素を必須成分とするものとしては、例えば、ランタン・ニッケルの希土類系、メッシュメタル(Mm;希土類金属の混合物)・ニッケル系、カルシウム・ニッケル系、マグネシウム・ニッケル系、ニッケル・マンガン系、またはランタン・ニッケル・アルミニウム系、Mm・ニッケル・アルミニウム系、Mm・ニッケル・アルミニウム・ジルコニウム系、Mm・ニッケル・マンガン系、Mm・ニッケル・クロム系、Mm・ニッケル・鉄系、Mm・ニッケル・カルシウム系、チタン・ニッケル・バナジウム・鉄系等の多くの水素吸蔵合金が挙げられる。
また、本発明に用いられる水素吸蔵合金として、合金の組成としては上記(1)式に含まれるものもあるが、特にニッケルを含むラーベス相構造を有する立方晶C15(MgCu2 )、六方晶C14(MgZn2 )及び六方晶C36(MgNi2 )型の水素吸蔵合金を挙げることができる。
これらのうち本発明において、具体的にはメッシュメタル系のMmNi4.0 Al0.4 Mn0.3 Co0.3 や、ラーベス構造を有するZr0.8 Ti0.2 Ni0.8 Mn0.8 Al0.1 0.3 等を好適に使用することができる。
【0019】
本発明で使用するこのような微粉状の水素吸蔵合金は、微細化粉砕で生じた破断面または活性化処理で水素を吸蔵して膨潤割れして生じたクラック面を含めて、この合金表面は極めて化学的に活性化されている。そのため、これらの合金粉末を本発明の錯化剤を含有するアルカリ水溶液に浸漬させると、この合金表面は化学的に種々なる変化が受けることとなる。
すなわち、本発明で浸漬処理に用いるアルカリ水溶液には、従来のアルカリ処理法とは異なり、金属と反応しやすい水溶性の錯化剤を含有しているため、特にニッケル金属元素を必須成分とする水素吸蔵合金表面を電気化学的に特性が変化するように処理されるのである。
【0020】
添付する図1は、本発明の表面処理方法によって得られた水素吸蔵合金の粉末の表面の走査型電子顕微鏡写真像である。この写真像と同合金の無処理で平滑な表面を有する同写真像(図3参照)とを比べると、明らかに前者の合金表面には、非常に微細な無数の析出物が偏在して生じていることが判る(なお、表面に大きめに付着するように観察されるものは、合金の微粉末である)。
また、この図1の写真像は、添付する図2のクエン酸を含有していない従来法でもある水酸化カリのアルカリ水溶液で処理した同合金表面の同写真像とも著しく相違している。
すなわち図2からは、明らかに図1の写真像とは異なる針状の析出物が、しかもその析出状態が合金表面全体を敷きつめるように析出していることがよく観察される(なお、分析の結果、この針状析出物は、希土類の水酸化物である)。よって、これらの図1〜図3の走査型電子顕微鏡の写真像から明らかなように、本発明によるアルカリ表面処理方法は、従来のアルカリ処理法とは、明らかに異なる変化を合金表面に施していることがよく判る。
【0021】
以上から、本発明のこのような顕著な相違は、本発明のアルカリ表面処理方法が、従来から実施されているアルカリ処理法とは明らかに異なる作用を合金粉末表面に与えている。この顕著な作用の相違は、明らかにアルカリ水溶液が水溶性の錯化剤を含有しているという事実によるものであり、これは本発明のアルカリ水溶液による表面処理方法の大きな特徴である。
本発明は、以下の実施例で更に説明するが、本発明はこれらの実施例に必ずしも限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
本発明で用いた電池及びその諸特性の測定方法について以下に記載する。
1.走査型電子顕微鏡写真
日本電子社製のJSM−6400型の走査型電子顕微鏡で各種の水素吸蔵合金の表面状態を観察した。
2.ニッケル−水素吸蔵合金アルカリ電池の作製
各種の水素吸蔵合金粉末と導電剤のカーボニルニッケル粉末と結着剤(PTFE)とを混合比率(重量比)=1:1:0.2で十分に混合させた後、プレス成形したペレットをニッケル金属網で挟み周囲を点溶接後、真空中で125℃で1時間加熱させ、次いでニッケル線のリードを溶接させて水素吸蔵合金の単極電極を作製した。
負極であるこれらの単極電極を中心に、正極として過剰の容量を有する焼結式ニッケル電極をスルホン化処理を施したポリプロピレン不織布をセパレータにして、これに電解質として8モル/リットルのKOH水溶液を添加させて液リッチ開放型の電池セルとして種々の充放電試験に使用した。
3.初期活性化特性
作製した単極電極を用いてなる液リッチ開放型の電池セルを使用して、温度20℃で充電(0.2C−120%) させ、次いで放電(0.2C−0.7V cut off vs Hg/HgO)させる充放電サイクの繰り返し試験を行い、放電容量〔mAh/g 〕を測定し、対サイクル数・プロット図から、作製した単極電極の初期活性化特性を評価する。
4.ハイレート特性
作製した単極電極を用いてなる液リッチ開放型の電池セルを使用して、温度20℃で充電(0.2C−120%) させ、次いで放電レートを3C、1C、0.2C、0.1Cと変化させて、放電容量〔mAh/g 〕を測定し、対放電レート・プロット図から作製した単極電極のハイレート特性を評価する。
5.低温ハイレート特性
温度を0℃とする以外は、ハイレート特性試験と同様にして、評価する。
6.充放電容量のサイクル特性
作製した単極電極を用いてなる液リッチ開放型の電池セルを使用して、温度40℃で充電(0.5C−120%) させ、次いで放電(1C−0.7V cut off vs Hg/HgO)させる充放電サイクの多回数の繰り返し試験を行い、容量保持率〔Cn/C1(%)〕を測定し、対サイクル数・プロット図から、作製した単極電極の充放電容量のサイクル特性を評価する。
【0023】
(実施例1)
1リットルのガラス製ビーカに蒸留水0.4リットルをとり、これに錯化剤としてのクエン酸の濃度が0.1モル/リットル、水酸化カリウムの濃度が1モル/リットルになるようにそれぞれ加え、次いで緩やかに攪拌させながら、平均粒径34μmの合金粉末100gを加えた。次いで水素吸蔵合金(MmNi4.0 Al0.4 Mn0.3 Co0.3 )の水性アルカリスラリーを約70℃に加温させて、攪拌下に1時間の浸漬処理させて、水素吸蔵合金粉末の表面処理を行った。この表面処理後、このスラリーを濾過、蒸留水による洗浄、真空乾燥させて合金粉末を得た。
次いで走査型電子顕微鏡でこの合金粉末表面の写真をとり、その結果を図1に示した。この図1から明らかなように、非常に微細な無数の析出物が合金表面に偏在して析出していることがよく判る。
なお、参考例として図3に無処理の同合金粉末表面の走査型電子顕微鏡写真を示した。この図3からすると無処理の合金粉末は極めて平滑な表面をしていることが判る。
また、この図1の実施例1と下記図2の比較例1とを比較すると明らかなように、図1の本発明の表面処理方法では、従来のアルカリ処理に相当する図2に比べて合金表面には余分な析出物が析出していないことがよく判る。
【0024】
(比較例1)
実施例1において、錯化剤であるクエン酸を含有させない以外は、実施例1と同様にして、合金粉末のアルカリ水溶液による表面処理を行い、以下同様にして合金表面の走査型電子顕微鏡写真をとり、その結果を図2に示した。この図2から明らかなように、非常に微細な針状の析出物が、合金表面を敷きつめるように析出していることがよく判る。
この針状の析出物をAES法で分析したところ希土類元素(Laを主成分とする)水酸化物であった。
【0025】
(実施例2)
実施例1の本発明の処理法で得られた処理水素吸蔵合金粉末、従来法のアルカリ処理(比較例1)に相当する処理水素吸蔵合金粉末及び無処理の水素吸蔵合金粉末(参考例)をそれぞれ用いて、上記する方法でニッケル−水素吸蔵合金アルカリ電池の作製し、それぞれ初期活性化特性、ハイレート特性、低温ハイレート特性及び充放電容量のサイクル特性を評価した。
その結果を、図4、図5、図6及び図7にそれぞれ示した。なお、各試験において、アルカリ処理水素吸蔵合金粉末、無処理水素吸蔵合金粉末に関する評価試験はは、本発明の比較例に相当するものである。
【0026】
以上の結果から、図4から本発明による水素吸蔵合金粉末は、放電容量の初期活性に優れていることが判り、また、図5、図6から本発明による水素吸蔵合金粉末は、放電レートに対しても、放電量の低下率が小さく、電池の出力特性に優れていることが良く判る。特に低温時においてもその特性に優れていることが良く判る。さらに、図7からは、本発明による水素吸蔵合金粉末が、多回サイクル試験においても、容量保持率の低下がほとんど見られないことから、電極材として持続性に優れた水素吸蔵合金粉末であるといえる。
【0027】
【発明の効果】
以上から、本発明のアルカリ水溶液による表面処理方法で得られた水素吸蔵合金を、ニッケル−水素吸蔵合金アルカリ電池の負極材として用いることにより、電池材料用水素吸蔵合金の実用上の特性として、放電容量の初期活性化特性、放電レートに対する放電容量のハイレート特性、低温時のハイレート特性および充放電容量のサイクル特性等を著しく改善させることができた。これらの諸特性は何れも従来のアルカリ処理法に比べて著しく優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1によって得られた水素吸蔵合金粉末の表面を表す走査型電子顕微鏡写真像(倍率1000倍)である。
【図2】比較例1によって得られた水素吸蔵合金粉末の表面を表す走査型電子顕微鏡写真像(倍率1000倍)である
【図3】未処理の水素吸蔵合金粉末の表面を表す走査型電子顕微鏡写真像(倍率1000倍)である
【図4】各種の水素吸蔵合金材を電極とする電池の放電時の初期活性特性を表す図である。図中の◆印は実施例、■印は比較例、△印は未処理を表す。
【図5】各種の水素吸蔵合金材を電極とする電池の放電時のハイレート特性を表す図である。図中の◆印は実施例、■印は比較例、△印は未処理を表す。
【図6】各種の水素吸蔵合金材を電極とする電池の放電時の低温ハイレート特性を表す図である。図中の◆印は実施例、■印は比較例、△印は未処理を表す。
【図7】各種の水素吸蔵合金材を電極とする電池の充放電容量の耐久性(又はサイクル特性)を表す図である。図中の◆印は実施例、■印は比較例、△印は未処理を表す。

Claims (3)

  1. 水素吸蔵合金を、錯化剤を含有する水酸化アルカリ水溶液であって、水酸化アルカリの濃度が0.5〜8モル/リットルである水酸化アルカリ水溶液に浸漬することを特徴とする電池材料用水素吸蔵合金の表面処理方法。
  2. 化剤濃度が0.01乃至0.5モル/リットルであることを特徴とする請求項1記載の電池材料用水素吸蔵合金の表面処理方法。
  3. 水素吸蔵合金が下記の一般式(1)
    MmNiW AlX Y CoZ ‥‥‥‥‥‥(1)
    (式中、Mmはメッシュメタルであり、MはCa、Mg、Mn、Fe、Si、Cu、Cr、Ti及びVの金属元素から選ばれた少なくとも1種の金属であり、w、x、y、及びzはメッシュメタルの全原子数を1とした時の各金属の原子数で、w+x+y+z=4.8 〜 5.4、且つw>0、x≧0、y≧0、z≧0である。)で表されることを特徴とする請求項1記載の電池材料用水素吸蔵合金の表面処理方法。
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JPH05195008A (ja) * 1992-01-14 1993-08-03 Matsushita Electric Ind Co Ltd アルカリ二次電池用水素吸蔵合金の表面処理法とその表面処理法を施した水素吸蔵合金を電極として備えたアルカリ二次電池

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