JPH10109983A - 環状エステルの製造方法および精製方法 - Google Patents

環状エステルの製造方法および精製方法

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JPH10109983A
JPH10109983A JP8264226A JP26422696A JPH10109983A JP H10109983 A JPH10109983 A JP H10109983A JP 8264226 A JP8264226 A JP 8264226A JP 26422696 A JP26422696 A JP 26422696A JP H10109983 A JPH10109983 A JP H10109983A
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lactide
ester
cyclic ester
acid
methyl
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JP8264226A
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Hideji Kurashima
秀治 倉島
Yasushi Higuchi
靖 樋口
Masahiro Kurokawa
正弘 黒川
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D319/00Heterocyclic compounds containing six-membered rings having two oxygen atoms as the only ring hetero atoms
    • C07D319/101,4-Dioxanes; Hydrogenated 1,4-dioxanes
    • C07D319/121,4-Dioxanes; Hydrogenated 1,4-dioxanes not condensed with other rings

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  • Organic Chemistry (AREA)
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  • Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分および酸成分等の不純物の少ない高純度
の環状エステルを得るための実用的な製造方法および精
製方法を提供する。 【解決手段】 α−ヒドロキシカルボン酸またはα−ヒ
ドロキシカルボン酸エステルを原料に用いて環状エステ
ルを製造する際、適当な時期にオルトエステルを添加し
て製造するか、水分および酸成分等の不純物の多い環状
エステルにオルトエステルを添加して環状エステルを精
製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリコリド、ラク
チド、テトラメチルグリコリドに代表される環状エステ
ルの製造方法および精製方法に関する。更に詳しく言え
ば、オルトエステルを用い酸や水など不純物の含有量が
極めて少ない高純度な環状エステルを高収率かつ容易に
製造する方法および精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グリコリドやラクチドに代表される環状
エステルは、二分子のα−ヒドロキシカルボン酸あるい
はそのエステルが脱水または脱アルコールして生成した
環状二量体であって、分子内環状エステルの一種であ
る。そしてそれらを開環重合したポリグリコール酸、ポ
リ乳酸に代表されるポリα−ヒドロキシカルボン酸エス
テルは良好な生分解性を有しており、生体分解性材料な
どに利用されている。また近年、ゴミ埋め立て地の不足
や廃棄物の焼却などの点でプラスチック廃棄物が問題と
なっており、ポリα−ヒドロキシカルボン酸エステルは
加水分解および酵素や微生物によって分解される生分解
性プラスチックとしても期待され、徐々に需要および供
給とも増えている状況にある。
【0003】生体分解性材料や生分解性プラスチックな
どの用途に必要な高分子量を達成するためには、原料の
環状エステル中の酸や水などの不純物をできるだけ低く
抑える必要がある。なぜならそのような不純物は十分な
物性が得られる程度の分子量の達成を妨げるからであ
る。例を挙げるとラクチドの酸含有量は好ましくは10
meq/kg未満、さらに好ましくは5meq/kg未
満、水含有量は好ましくは200ppm未満、さらに好
ましくは100ppm未満であることが期待されてい
る。
【0004】ラクチドに代表される他のα−ヒドロキシ
カルボン酸またはα−ヒドロキシカルボン酸エステルの
環状エステルの製造方法としては、その相当するα−ヒ
ドロキシカルボン酸またはα−ヒドロキシカルボン酸エ
ステルを重合させてオリゴマーのポリヒドロキシカルボ
ン酸またはポリヒドロキシカルボン酸エステルとし、次
にそのオリゴマーをオクタン酸第一錫で代表される当該
技術分野公知の触媒の存在下、高真空中で200℃程度
に加熱して分解、環状二量化して環状エステルを留去さ
せて製造する方法が一般的である(例えば米国特許第1
095205号公報、米国特許第2668162号公
報、米国特許第4797468号公報、米国特許第50
53522号公報、特開昭63−101378号公報、
特開平2−268179号公報、特表平7−50349
0号公報および特表平7−505150号公報などを参
照)。
【0005】しかしながら、このような製法では留出し
た環状エステル中に揮発性の水乃至酸性のヒドロキシル
不純物が含まれる(比較例3参照)。例を挙げると水、
一般にα−ヒドロキシカルボン酸モノマーおよびα−ヒ
ドロキシカルボン酸のオリゴマーなどである。前記した
ように水やカルボン酸類は環状エステルを重合させる際
に重合阻害物となり、更に保存安定性も悪くするので混
入は好ましいものではない。また特表平7−50349
0号公報および特表平7−505150号公報において
は再蒸留を行うことにより、該ヒドロキシル不純物を除
去して高純度の環状エステルを得る方法を開示している
が、ポリマー原料となり得る環状エステルの収率が低下
する、または再蒸留してもポリマー原料として使用でき
る品質にはなりにくいこと、操作が煩雑になること、お
よび再蒸留を行う設備が必要などの欠点があり工業化に
際しては不利な点が多い(比較例4参照)。
【0006】特表平7−504916号公報にはヒドロ
キシ酸およびその誘導体からの環状エステルの製造方法
が記載されており、工程中で存在する水を無水酢酸、ア
セタール類およびカルボジイミドなどの水吸収剤(ウォ
ーターゲッター)を用いて除去する方法が述べられてい
る。しかしながら、実施例中ではこれらの化合物は用い
られていず、効果は不明である。また無水酢酸からは酢
酸を生ずるので用いたとすると酸価低減という点では逆
効果であるし、アセタール類では本発明者らが追試を行
ったところ酸価低減という点では効果がなかった(比較
例6参照)。カルボジイミドは水分除去および酸価低減
の両方の効果はあるものの、窒素原子を含むので環状エ
ステルの着色の原因となることや、非常に高価などの欠
点があり工業的に用いることは難しい。特表平6−50
4762号公報にも水吸収剤についての記述があるが、
上記したような欠点があるのは明らかである。
【0007】特開平5−287056号公報、特開平6
−287278号公報では第一級アルコール類、カルボ
ジイミド類や少なくとも3個以上の水酸基を含む多価ア
ルコール(カルボキシル基濃度調節剤)などの存在下で
α−ヒドロキシカルボン酸を重縮合し、カルボキシル基
濃度が200meq/kg以下の前駆体ポリマーを製造
した後、該前駆体ポリマーを加熱解重合して得られた環
状エステルを開環重合する脂肪族ポリエステルの製造方
法が述べられている。また特開平7−309862号公
報には金属イオンの電気陰性度が10〜15である金属
化合物の存在下、3個以上の水酸基を含む多価アルコー
ルを添加した乳酸を脱水縮合し、カルボキシル基濃度が
200meq/kg以下の前駆体ポリマーを合成した
後、該前駆体ポリマーを加熱解重合するラクチドの製造
方法が記されている。しかし、これらの方法で得られる
環状エステル(ラクチド)にしても、ポリマー用途に耐
え得る酸価ではないこと、環状エステル(ラクチド)が
低純度でありポリマー用途のものにするには精製工程が
必要なこと、およびカルボキシル基濃度調節剤およびそ
れらが反応して変質した物質が反応液中に常に残存し、
得られる環状エステル(ラクチド)の着色などの原因と
なることなどの欠点を有する。
【0008】環状エステルを精製する方法として、トル
エン、酢酸エチル、イソプロパノールなどの十分に乾燥
した有機溶媒や混合溶媒を用いた再結晶法が公知になっ
ている(例えば特開昭63−101378号公報、特表
平5−507076号公報、特開平6−279435号
公報、特開平7−118259号公報、特開平7−20
6851号公報など。また再結晶に類似した方法として
特開昭63−165430号公報、特公平2−2591
2号公報、特公平5−15712号公報などが挙げられ
る。)。再結晶法により重合を阻害する不純物が除去さ
れ、十分に精製された環状エステルは濾過および乾燥な
どの工程を経て重合用モノマーとして用いることが可能
である。しかしながら、このような再結晶操作は環状エ
ステルの収率の低下を招くこと、操作が煩雑になるこ
と、再結晶操作に必要な設備のためコストがかかること
などの欠点があり工業化に際しては不利な点が多い。
【0009】特開平6−256340号公報には(1)
ラクチドおよび不純物の溶融混合物をラクチドの凝固点
またはラクチドの凝固点よりわずかに下に冷却し、
(2)溶融混合物を一部結晶化させることにより溶融混
合物より低い不純物含量の固相および溶融混合物より高
い不純物含量の液相を形成させ、そして(3)固相を液
相から分離することにより分離した固相を形成させるこ
とからなるラクチドの精製方法が記載されている。この
方法ではポリマー原料として使用可能な酸価2meq/
kg前後のラクチドを取得することに成功している。し
かしながら、この方法においても固体のラクチド混合物
を溶融する場合および溶融した混合物をラクチドの凝固
点まで冷却する場合の温度コントロールが困難なこと、
帯域移動速度が遅いなどの理由で生産性が低いこと、設
備コストの上昇を招き経済的でないなどの欠点があり、
実際に工業化するには困難な点が多い。
【0010】特開平3−223248号公報には不飽和
ジカルボン酸アミド酸化合物を脱水剤としての酸無水
物、塩基性触媒および金属塩触媒の存在下で脱水閉環し
た後、副生成した酸をオルトエステルによりアルコール
とエステルに分解して除去することにより、不飽和ジカ
ルボン酸イミド系化合物を得るようにする不飽和ジカル
ボン酸イミド系化合物の製法が記載されている。しかし
ながらこの公報においては不飽和ジカルボン酸イミド系
化合物の製法についてのみ記されており、環状エステル
の製造方法については記述がない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記したように酸や水
など不純物の含有量が極めて少ない高純度の環状エステ
ルを高収率、安価にかつ容易に製造または精製する方法
は開発されていないのが実状である。本発明の目的は従
来技術における上記したような課題を解決して低酸価、
低水分、高純度でポリマー原料などに使用できる環状エ
ステルを高収率、容易にかつ安価に製造および精製する
方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、α−ヒドロキシカルボン酸あるいはα−ヒド
ロキシカルボン酸エステルあるいはそれらの混合物を原
料に用いて環状エステルを製造する、および環状エステ
ルを精製するに当たって、オルトエステルを添加するこ
とにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発
明に到達した。
【0013】即ち、本発明は一般式R1 2 C(OH)
COOR3 (R1 、R2 およびR3 はそれぞれ水素また
は炭素数1〜6のアルキル基)で表されるα−ヒドロキ
シカルボン酸あるいはα−ヒドロキシカルボン酸エステ
ルあるいはそれらの混合物を原料に用いて環状エステル
を製造するに当たり、下記一般式(I)で表されるオル
トエステルを添加することを特徴とする環状エステルの
製造方法ならびに環状エステルに下記一般式(I)で表
されるオルトエステルを添加し、環状エステル中に存在
する酸および水を、オルトエステルによりアルコールと
エステルに転化し、生成したアルコールとエステルを除
去することを特徴とする環状エステルの精製方法に関す
るものである。 R4 C(OR5 3 ・・・(I) (R4 は水素または炭素数1〜6のアルキル基。R5
炭素数1〜6のアルキル基であり、それぞれ同一でも異
なっていてもよい)
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明の方法において詳細
に説明する。本発明で原料として用いるα−ヒドロキシ
カルボン酸あるいはα−ヒドロキシカルボン酸エステル
としてはグリコール酸、乳酸、α−ヒドロキシイソ酪
酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、乳酸メ
チル、乳酸エチル、乳酸ブチル、α−ヒドロキシイソ酪
酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどが挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。これらの原
料は単独または数種類の混合のどちらにおいても使用す
ることができる。また乳酸、乳酸メチルなどに代表され
るように不斉炭素を含むものは、D体、L体およびラセ
ミ体のいずれも用いることができる。さらにその状態は
固体、液体、水溶液あるいは溶液のいずれであってもよ
いが、水溶液を用いる場合は濃縮しておくことが好まし
い。各種溶媒を使用することも可能であり、例えばトル
エン、混合キシレン、オルトキシレン、メタキシレン、
パラキシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素が
挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2
種以上の混合でも用いることができる。該原料中、ラク
チドを製造する場合は乳酸および乳酸エステルが用いら
れるが、入手の容易さ、原料の製造コストおよびラクチ
ドの製造コストなどの観点から好ましくは乳酸および乳
酸メチルであり、オルトエステルの添加量の少なさなど
から考えて特に好ましくは乳酸メチルである。またテト
ラメチルグリコリドを製造する場合はα−ヒドロキシイ
ソ酪酸およびα−ヒドロキシイソ酪酸エステルが用いら
れるが、入手の容易さおよびテトラメチルグリコリドの
製造コストなどを考えて、好ましくはα−ヒドロキシイ
ソ酪酸およびα−ヒドロキシイソ酪酸メチルである。
【0015】この発明において使用することができるオ
ルトエステルは、下記一般式(I)で表されるものであ
る。 R4 C(OR5 3 ・・・(I) (R4 は水素または炭素数1〜6のアルキル基。R5
炭素数1〜6のアルキル基であり、それぞれ同一でも異
なっていてもよい)例を挙げるとオルトギ酸メチル、オ
ルトギ酸エチル、オルトギ酸プロピル、オルト酢酸メチ
ル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルトプ
ロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチル、オルト
イソプロピオン酸メチル、オルトイソプロピオン酸エチ
ル、オルト酪酸メチル、オルト酪酸エチル、オルトイソ
酪酸メチル、オルトイソ酪酸エチルなどであるが、特に
限定されるものではない。これらのオルトエステルは得
られる環状エステルとの沸点差が大きいものが好まし
く、特に好ましくは得られる環状エステルよりも低沸点
を示すものである。例を挙げるとオルトギ酸メチル、オ
ルトギ酸エチル、オルト酢酸メチルおよびオルト酢酸エ
チルである。これらのオルトエステルは単独または数種
類の混合のどちらにおいても使用することができる。ま
たオルトエステルが均一に溶解する適当な溶媒や溶液に
溶解して用いることもできる。なお、これらのオルトエ
ステルは工業的規模で生産されているので安価および容
易に入手することが可能である。
【0016】本発明の製造方法においては、原料、反応
混合物、蒸留によって得た環状エステル中の少なくとも
一つに存在する酸成分および水分を上記オルトエステル
によりアルコールとエステルに転化する。好ましい形態
においては転化後に環状エステルを蒸留または再蒸留し
て不純物の極めて少ない環状エステルを得る。例えば酸
成分がα−ヒドロキシカルボン酸やα−ヒドロキシカル
ボン酸のオリゴマーである場合(R6 COOHと表
す)、オルトエステルによる分解反応は下式のようにな
る。 R6 COOH + R4 C(OR5 3 →R6 COO
5 + R4 COOR5 + R5 OH また水の場合は下式のようになる。 H2 O + R4 C(OR5 3 → R4 COOR5
+ 2R5 OH 以上のように、酸成分および水分がアルコールとエステ
ルに転化する。それらをそのまま除去せずに製品の環状
エステルを得ることもできるが、通例は除去したほうが
好ましい。除去方法に関しては特に制限されないが、蒸
留によるのが好ましい。また、水は言うまでもなく、酸
成分から生成したアルコールとエステルは元の酸成分よ
りも通常は低沸点なので、蒸留によって除去することは
非常に容易となる。なお、原料がα−ヒドロキシカルボ
ン酸あるいはα−ヒドロキシカルボン酸とα−ヒドロキ
シカルボン酸エステルの混合物の場合は、原料、反応混
合物および蒸留によって得た環状エステル中のいずれで
も酸成分および水分が比較的多量に存在するので、添加
するオルトエステルをなるべく少なくするためにあらか
じめ蒸留などの手段により、ある程度までそれらを低減
させておく方法もある。
【0017】環状エステルを製造するに当たり、これら
のオルトエステルを添加する時期および回数は特に制限
されない。添加する時期の例を挙げると反応前、ある程
度原料の脱水・脱アルコールまたはその両方が進行した
反応途中、環状エステルを蒸留する直前および蒸留によ
って得た環状エステルを再蒸留する際などが考えられ
る。反応操作の容易さや必要添加量および添加効果など
を考慮すると環状エステルを蒸留する直前に一回添加ま
たはオルトエステルを添加せずに蒸留によって得た環状
エステルを再蒸留する前に一回添加するのが好ましい。
【0018】オルトエステルの添加量は特に制限されな
いが、原料の種類およびオルトエステルを添加する時期
などによって左右される。一般的には下記一般式(II)
で表される原料、反応混合物、蒸留によって得た環状エ
ステル中の酸価と水分の合計当量A A=(酸価[meq/kg]+水分[ppm]/18) ・・・(II) の0.5〜10.0当量である。好ましくは1.0〜
5.0当量であり、酸価および水分低減効果とコストな
どの点を考慮すると特に好ましくは1.1〜3.0当量
である。合計当量Aが0.5以下であると酸価および水
分の低減効果が少なく、一方10.0当量以上であると
コストがかかり経済的でないなどの欠点が生ずるので好
ましくない。原料が純粋なα−ヒドロキシカルボン酸エ
ステルの場合は反応前、反応中および反応後のいずれで
も反応系内に存在する水分は無視し得る量なので、添加
するオルトエステルの量は酸価によって決定可能であ
る。原料がα−ヒドロキシカルボン酸またはα−ヒドロ
キシカルボン酸とα−ヒドロキシカルボン酸エステルの
混合物の場合は原料、反応混合物、蒸留によって得た環
状エステルのいずれにも、酸成分および水分が必然的に
多く存在するのでオルトエステルの添加量はα−ヒドロ
キシカルボン酸エステルが原料の場合よりも多くなり、
(II)に基づいて酸価と水分量を考えて決定しなければ
ならない。
【0019】オルトエステルを添加し、酸成分および水
分と反応させるときの処理温度は特に制限されないが、
25〜300℃の範囲内が好ましい。更に好ましくは5
0〜250℃の範囲内であり、特に好ましくは100〜
200℃の範囲内である。処理温度が25℃未満である
と反応速度が遅くなって処理時間が長くなるなどの不都
合があり、好ましくない。また一方処理温度が300℃
を超えると副反応が起こりやすいなどの不都合があり、
これも好ましくない。圧力は減圧下、大気圧下、加圧下
のいずれでもよいが大気圧下が好ましい。また一定圧力
でも圧力を変動させてもよい。所望により該処理反応を
不活性雰囲気下で行うこともでき、その場合は反応器に
不活性ガス導入管を備え付ける。不活性ガスは窒素、ヘ
リウム、アルゴン、二酸化炭素などを用いることができ
るが、経済的見地から窒素が好ましく用いられる。該処
理反応時間は特に制限されないが処理温度を考慮して決
定され、通常0.1〜10.0hrの範囲内で行われ
る。好ましくは0.2〜5.0hrの範囲内であり、特
に好ましくは0.5〜2.0hrの範囲内である。
【0020】また、前記原料からオルトエステルを添加
して環状エステルを製造する際、反応前、脱水および/
または脱アルコールの反応中、オルトエステルを添加し
酸成分および水分との反応処理中および蒸留によって得
た環状エステルにオルトエステルを加えての再蒸留中の
いずれの場合においても、環状エステル化のための触媒
を用いることができる。触媒の例を挙げると硫酸、塩
酸、リン酸、ポリリン酸等の無機酸やベンゼンスルホン
酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸、テト
ラ−i−プロピルチタネート、チタニウムアセチルアセ
トネート、チタニウムラクテート、錫(II)アセチルア
セトネート、メタンスルホン酸錫(II)、トリフルオロ
メタンスルホン酸錫(II)、ジブチル錫ジクロライド、
モノブチル錫オキサイド、ジメチル錫オキサイド、ジブ
チル錫オキサイド、オクタン酸第一錫、シュウ酸第一錫
などの有機金属化合物、酸化第一錫、硫酸第一錫、塩化
第一錫、二リン酸第一錫などの無機金属化合物、強酸性
陽イオン交換樹脂、ゼオライト類(A型、X型、Y型、
L型、ZSM−5)、シリカ−アルミナ、シリカ−チタ
ニヤ、ベントナイト、モンモリロナイト、活性白土など
の固体酸類及びリンモリブデン酸、リンタングステン酸
などのヘテロポリ酸類が用いられ、好ましくはパラトル
エンスルホン酸、メタンスルホン酸、オクタン酸第一
錫、モノブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドな
どが挙げられる。
【0021】これらの触媒は単独乃至2種以上の混合で
も用いることができる。触媒の使用量は特に限定されな
いが、該原料に対して0.01〜5重量%の範囲で添加
されるのが好ましく、特に好ましくは0.1〜2重量%
の範囲である。上記添加量が0.01重量%未満の場合
は、反応速度が遅い等触媒効果が不十分であるため好ま
しくなく、また上記添加量が5重量%を超える場合に
は、選択率の低下や副生成物の増加を招くほか経済的に
も不利であり好ましくない。
【0022】以上の方法によって製造される環状エステ
ルは酸成分や水分などの不純物が極めて低いものなの
で、このままでポリマー原料などに使用できる。本発明
の方法による乳酸メチルを原料としたラクチド合成の場
合を例に挙げると、酸価は10meq/kg以下、水分
は100ppm以下のものが代表的に得られる。このラ
クチドは従来再蒸留や再結晶(再蒸留・再結晶ともに数
回におよぶこともあり多大な労力を必要とするものであ
る)などによって得ていた酸価1〜50meq/kg、
水分10〜150ppmのラクチドと同等かそれ以上の
性状のものであるのは驚くべきことである。
【0023】本発明においては、環状エステルの製造工
程においてオルトエステルを添加して水分および酸成分
の少ない環状エステルを製造する方法を提供するばかり
ではなく、例えば購入して得た水分および酸成分の多い
環状エステルや長期間の保存により水分および酸成分が
増大した環状エステルなどを原料にして、これら水分お
よび酸成分の少ない環状エステルを得るための精製方法
をも提供するものである。即ち本発明は環状エステルに
下記一般式(I)で表されるオルトエステルを添加し、
環状エステル中に存在する酸および水を、オルトエステ
ルによりアルコールとエステルに転化し、生成したアル
コールとエステルを除去することを特徴とする環状エス
テルの精製方法をも提供する。 R4 C(OR5 3 ・・・(I) (R4 は水素または炭素数1〜6のアルキル基。R5
炭素数1〜6のアルキル基であり、それぞれ同一でも異
なっていてもよい) 本発明の環状エステルの精製方法は、上述した本発明の
製造方法の再蒸留時においてオルトエステルを添加する
場合と全く同様に行うことができる。以下に、実施例を
挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら
の実施例によりその範囲を限定されるものではない。
【0024】
【実施例】実施例における特性値は以下に述べる方法に
よって測定した。 酸価測定方法:反応混合物のサンプルの場合は約1g、
環状エステルのサンプルの場合は約5g精秤し、モレキ
ュラーシーブス3A(1/16インチ、和光純薬工業
製)であらかじめ乾燥した塩化メチレンに溶解させる。
終点決定用の指示薬としてフェノールレッド(乾燥メタ
ノール中0.05重量%/容量)を用い、サンプル溶液
中に10滴加える。この溶液を0.025N−カリウム
メトキシド(ベンゼン・メタノール溶液)(和光純薬工
業製非水滴定用0.1mol/ カリウムメトキシドを
乾燥メタノールで希釈して調製する)で滴定することに
より測定する。 ガスクロマトグラフィー分析条件:環状エステル組成を
分析する。環状エステルを精秤し、テトラヒドロフラン
に溶解させて分析を行う。カラムはTC−17(ジーエ
ルサイエンス)を用いる。測定条件は注入口温度および
FID検出器温度ともに250℃に設定し、カラム温度
を60℃から240℃まで昇温させることにより行う。 水分測定法:サンプル1gを塩化メチレン5gに溶解
し、水分測定装置(旧三菱化成製微量水分測定装置CA
−05型)を用いて測定する。
【0025】実施例1 (DL−乳酸メチル原料・オルトギ酸メチル添加でのラ
クチド合成1) (1)脱アルコール工程 撹拌機、窒素導入管、分縮器および冷却管を備えた内容
積500m のフラスコに、DL−乳酸メチル416.
4gとジブチル錫オキサイド2.10g(乳酸メチルに
対して0.50重量%)を仕込み、窒素を吹き込みなが
ら圧力600mmHg、液温度140℃から反応を開始
した。乳酸メチルの重縮合によって生ずるメタノールを
留出させながら徐々に昇温させ4.0hrかけて200
℃にまで上昇させた。その後圧力を徐々に低下させ、
1.0hrかけて200mmHgにした。メタノールを
114.0g回収した。 (2)未反応乳酸メチル回収工程 温度を200℃に保ち、圧力を徐々に低下させ、1.0
hrかけて10mmHgにして未反応の乳酸メチルを回
収した。乳酸メチルを97.3%含んだ回収物63.5
gを得た。 (3)オルトギ酸メチル添加とラクチド初留回収工程 反応系内を窒素を用いて常圧に戻した。反応混合物の酸
価測定を行ったところ、32.0meq/kgであっ
た。2.46gのオルトギ酸メチル(反応混合物酸価の
3.0倍当量のオルトギ酸メチルを添加。フラスコ内の
反応混合物重量は回収メタノールと回収乳酸メチルの重
量をもとに計算した。)を添加して窒素気流下、液温度
200℃で2.0hr加熱・撹拌した。その後圧力を1
0mmHgに戻して1hrラクチド初留分を蒸留した。
ラクチド初留分の重量は31.1gでメソラクチドを1
9.9%、DL−ラクチドを14.2%含んでいた。 (4)ラクチド留出工程 温度を210℃に上げて、圧力を5mmHgに保ち、5
hr、(3)で得られた反応溶液を蒸留し、主留分とし
てラクチド210.1gを得た。得られたラクチドは純
度99.4%(メソラクチド43.0%、DL−ラクチ
ド56.4%)、酸価7.2meq/kg、水分20p
pmであった。
【0026】実施例2 (DL−乳酸メチル原料・オルトギ酸メチル添加でのラ
クチド合成2)実施例1の工程(3)におけるオルトギ
酸メチルの添加量を酸価の1.1倍当量にした以外は実
施例1と同様に反応操作を行い、ラクチド214.8g
を得た。得られたラクチドは純度99.2%(メソラク
チド43.1%、DL−ラクチド56.1%)、酸価1
3.7meq/kg、水分25ppmであった。
【0027】実施例3 (DL−乳酸メチル原料・オルトギ酸メチル添加でのラ
クチド合成3)実施例1の工程(3)におけるオルトギ
酸メチルの添加量を酸価の5.0倍当量にした以外は実
施例1と同様に反応操作を行い、ラクチド220.2g
を得た。得られたラクチドは純度99.3%(メソラク
チド41.8%、DL−ラクチド57.5%)、酸価
2.5meq/kg、水分20ppmであった。
【0028】実施例4 (DL−乳酸メチル原料・オルトギ酸エチル添加でのラ
クチド合成)実施例1の工程(3)におけるオルトギ酸
メチルをオルトギ酸エチルに代えた以外は実施例1と同
様に反応操作を行い、ラクチド219.4gを得た。得
られたラクチドは純度99.2%(メソラクチド41.
3%、DL−ラクチド57.9%)、酸価5.1meq
/kg、水分25ppmであった。
【0029】実施例5 (DL−乳酸メチル原料・オルト酢酸メチル添加でのラ
クチド合成)実施例1の工程(3)におけるオルトギ酸
メチルをオルト酢酸メチルに代えた以外は実施例1と同
様に反応操作を行い、ラクチド215.5gを得た。得
られたラクチドは純度99.5%(メソラクチド42.
7%、DL−ラクチド56.8%)、酸価6.9meq
/kg、水分30ppmであった。
【0030】実施例6 (L−乳酸メチル原料・オルトギ酸メチル添加でのラク
チド合成)実施例1の工程(1)におけるDL−乳酸メ
チルをL−乳酸メチルに代えた以外は実施例1と同様に
反応操作を行い、ラクチド218.2gを得た。得られ
たラクチドは純度99.1%(メソラクチド3.9%、
L−ラクチド95.2%)、酸価4.6meq/kg、
水分30ppmであった。
【0031】比較例1 (DL−乳酸メチル原料のラクチド合成)実施例1の工
程(3)におけるオルトギ酸メチル添加を省略した以外
は実施例1と同様に反応操作を行い、ラクチド217.
6gを得た。得られたラクチドは純度99.0%(メソ
ラクチド44.0%、DL−ラクチド55.0%)、酸
価30.7meq/kg、水分40ppmであった。
【0032】比較例2 (比較例1で得たラクチドの再蒸留)比較例1で得られ
たラクチドを液温度135℃、圧力5mmHgで再蒸留
し、精製ラクチド185.2g(再蒸留前の85重量
%)を得た。得られたラクチドは純度99.9%(メソ
ラクチド40.2%、DL−ラクチド59.7%)、酸
価14.2meq/kg、水分30ppmであった。
【0033】実施例7 (比較例1と同様の反応操作で得たラクチドのオルトギ
酸メチル添加での再蒸留)比較例1と同様に反応操作を
行い、ラクチド224.2gを得た。得られたラクチド
は純度99.0%(メソラクチド43.0%、DL−ラ
クチド56.0%)、酸価29.8meq/kg、水分
45ppmであった。得られたラクチドにオルトギ酸メ
チル2.31g(酸価と水分の合計当量の3.0倍)を
添加して、窒素気流下、液温度150℃で2.0hr加
熱・撹拌した。その後、液温度135℃、圧力5mmH
gで再蒸留し、精製ラクチド192.8g(再蒸留前の
86重量%)を得た。得られたラクチドは純度99.9
%以上(メソラクチド40.2%、DL−ラクチド5
9.7%)、酸価1.5meq/kg、水分20ppm
であった。
【0034】実施例8 (実施例1で得たラクチドのオルトギ酸メチル添加での
再蒸留)実施例1で得られたラクチドにオルトギ酸メチ
ル0.56g(酸価と水分の合計当量の3.0倍)を添
加して、窒素気流下、液温度150℃で2.0hr加熱
・撹拌した。その後、液温度135℃、圧力5mmHg
で再蒸留し、精製ラクチド182.8g(再蒸留前の8
7重量%)を得た。得られたラクチドは純度99.9%
以上(メソラクチド43.4%、DL−ラクチド56.
5%)、酸価0.8meq/kg、水分15ppmであ
った。
【0035】実施例9 (DL−乳酸メチル原料、ラクチド初留および残渣をリ
サイクルし、オルトギ酸メチル添加でのラクチド合成)
実施例1と同様に反応操作を行い、その結果回収乳酸メ
チル45.8g(乳酸メチル95.0%を含む)、ラク
チド初留20.8g(乳酸メチル14.3%、ラクトイ
ル乳酸メチル13.2%、メソラクチド40.4%、D
L−ラクチド29.0%を含む)、ラクチド222.2
gおよび残渣25.7gを得た。この残渣にDL−乳酸
メチル365.3gと回収乳酸メチル43.2gおよび
ラクチド初留18.8g、ジブチル錫オキサイド1.0
5gを加え実施例1と同様に反応操作を行い、ラクチド
228.4gを得た。得られたラクチドは純度99.0
%(メソラクチド38.7%、DL−ラクチド60.3
%)、酸価8.9meq/kg、水分30ppmであっ
た。
【0036】実施例10 (DL−乳酸原料・オルトギ酸メチル添加でのラクチド
合成)DL−乳酸(85〜92%)水溶液447.4
g、ジブチル錫オキサイド4.06gを実施例1と同様
の装置に仕込み、液温度150℃、常圧で0.5hr濃
縮した。ついで15mmHgまで徐々に減圧にしなが
ら、温度を200℃まで上昇させ8.0hr乳酸オリゴ
マーの生成を行った。留出水を127.5g得た。反応
系内を窒素を用いて常圧に戻し、反応混合物の酸価測定
および水分測定を行ったところ、酸価は280meq/
kg、水分は2020ppmであった。40.5gのオ
ルトギ酸メチル(酸価と水分の合計当量の3.0倍)を
添加して窒素を吹き込みながら、液温度200℃で2.
0hr加熱・撹拌した。ラクチドの留出は液温度210
℃、圧力5mmHgで5.0hr行い、ラクチド24
7.6gを得た。得られたラクチドは純度98.2%
(メソラクチド39.6%、DL−ラクチド58.6
%)、酸価10.0meq/kg、水分75ppmであ
った。
【0037】比較例3 (DL−乳酸原料のラクチド合成)実施例10のオルト
ギ酸メチル添加を省略した以外は実施例10と同様に反
応操作を行い、ラクチド250.2gを得た。得られた
ラクチドは純度95.8%(メソラクチド41.8%、
DL−ラクチド54.0%)、酸価380meq/k
g、水分455ppmであった。
【0038】比較例4 (比較例3で得たラクチドの再蒸留)比較例3で得られ
たラクチドを液温度135℃、圧力5mmHgで再蒸留
し、精製ラクチド200.2g(再蒸留前の80重量
%)を得た。得られたラクチドは純度98.1%(メソ
ラクチド40.4%、DL−ラクチド57.7%)、酸
価75.3meq/kg、水分150ppmであった。
【0039】実施例11 (比較例3と同様の反応操作で得たラクチドのオルトギ
酸メチル添加での再蒸留)比較例3と同様に反応操作を
行い、ラクチド249.8gを得た。得られたラクチド
は純度96.2%(メソラクチド42.5%、DL−ラ
クチド53.7%)、酸価365meq/kg、水分4
70ppmであった。得られたラクチドにオルトギ酸メ
チル31.1g(酸価と水分の合計当量の3.0倍)を
添加して、窒素を吹き込みながら、液温度150℃で
2.0hr加熱・撹拌した。その後、液温度135℃、
圧力5mmHgで再蒸留し、精製ラクチド209.8g
(再蒸留前の84重量%)を得た。得られたラクチドは
純度99.7%(メソラクチド42.7%、DL−ラク
チド57.0%)、酸価4.2meq/kg、水分35
ppmであった。
【0040】実施例12 (実施例10で得たラクチドのオルトギ酸メチル添加で
の再蒸留)実施例10で得られたラクチドにオルトギ酸
メチル1.12g(酸価と水分の合計当量の3.0倍)
を添加して、窒素気流下、液温度150℃で2.0hr
加熱・撹拌した。その後、液温度135℃、圧力5mm
Hgで再蒸留し、精製ラクチド208.0g(再蒸留前
の84重量%)を得た。得られたラクチドは純度99.
8%(メソラクチド41.9%、DL−ラクチド57.
9%)、酸価2.9meq/kg、水分30ppmであ
った。
【0041】実施例13 (L−乳酸原料・オルトギ酸メチル添加でのラクチド合
成)実施例10におけるDL−乳酸をL−乳酸に代えた
以外は実施例10と同様に反応操作を行い、ラクチド2
52.2gを得た。得られたラクチドは純度98.4%
(メソラクチド6.3%、L−ラクチド92.1%)、
酸価8.9meq/kg、水分30ppmであった。
【0042】比較例5 (L−乳酸原料のラクチド合成)実施例13におけるオ
ルトギ酸メチル添加を省略した以外は実施例13と同様
に反応操作を行い、ラクチド243.1gを得た。得ら
れたラクチドは純度96.3%(メソラクチド39.1
%、DL−ラクチド57.2%)、酸価325meq/
kg、水分495ppmであった。
【0043】比較例6 (DL−乳酸メチル原料・1,1−ジメトキシシクロヘ
キサン添加でのラクチド合成)実施例1におけるオルト
ギ酸メチルを1,1−ジメトキシシクロヘキサンに代え
た以外は実施例1と同様に反応操作を行い、ラクチド2
18.9gを得た。得られたラクチドは純度99.1%
(メソラクチド42.5%、DL−ラクチド56.6
%)、酸価38.2meq/kg、水分40ppmであ
った。
【0044】実施例14 (α−ヒドロキシイソ酪酸メチル原料・蒸留時にオルト
ギ酸メチルを添加してのテトラメチルグリコリド合成)
撹拌機、分縮器、還流冷却管、水分離器を備えたフラス
コ(1l)にα−ヒドロキシイソ酪酸メチル295.3
g、メタンスルホン酸(70重量%水溶液)20.0
g、水82.0gを添加し、反応液温度を110℃に加
熱して加水分解して副生するメタノールを留去しながら
6hr反応させた。反応液冷却後、フラスコにメタキシ
レン520.6gを加えて加熱還流させ水分離器により
水を除去しながら、12hr反応させた。溶液から溶媒
を減圧下に留去したところ、濃縮されるに従い、粗テト
ラメチルグリコリドの結晶が析出した。粗テトラメチル
グリコリドの酸価は250meq/kg、水分は650
ppmであった。19.6gのオルトギ酸メチル(理論
量のテトラメチルグリコリドが生成したと仮定し、酸価
と水分の合計当量の3.0倍)を添加して、窒素を吹き
込みながら、液温度150℃で2.0hr加熱・撹拌し
た。その後粗テトラメチルグリコリドを反応液温度12
0℃、圧力10mmHgで蒸留し、テトラメチルグリコ
リド170.2gを得た。得られたテトラメチルグリコ
リドは純度99.9%、酸価8.9meq/kg、水分
30ppmであった。
【0045】比較例7 (α−ヒドロキシイソ酪酸メチル原料のテトラメチルグ
リコリド合成)撹拌機、分縮器、還流冷却管、水分離器
を備えたフラスコ(1l)にα−ヒドロキシイソ酪酸メ
チル295.3g、メタンスルホン酸(70重量%水溶
液)20.0g、水82.0gを添加し、反応液温度を
110℃に加熱して加水分解して副生するメタノールを
留去しながら6hr反応させた。反応液冷却後、フラス
コにメタキシレン520.6gを加えて加熱還流させ水
分離器により水を除去しながら、12hr反応させた。
冷却した反応液に炭酸ソーダ粉末30.8gを加え、撹
拌しながらpH4程度になるまで溶液を中和した。溶液
から溶媒を減圧下に留去したところ、濃縮されるに従
い、粗テトラメチルグリコリドの結晶が析出した。残っ
た粗テトラメチルグリコリドを液温度120℃、圧力1
0mmHgで蒸留し、テトラメチルグリコリド155.
0gを得た。得られたテトラメチルグリコリドは純度9
9.8%、酸価40.3meq/kg、水分95ppm
であった。
【0046】実施例15 (α−ヒドロキシイソ酪酸原料・蒸留時にオルトギ酸メ
チルを添加してのテトラメチルグリコリド合成)撹拌
機、分縮器、還流冷却管、水分離器を備えたフラスコ
(1l)にα−ヒドロキシイソ酪酸260.3g、メタ
キシレン520.6g、メタンスルホン酸(70重量%
水溶液)20.0gを添加し、加熱還流させ水分離器に
より水を除去しながら、12hr反応させた。溶液から
溶媒を減圧下に留去したところ、濃縮されるに従い、粗
テトラメチルグリコリドの結晶が析出した。粗テトラメ
チルグリコリドの酸価は325meq/kg、水分は7
25ppmであった。25.0gのオルトギ酸メチル
(理論量のテトラメチルグリコリドが生成したと仮定
し、酸価と水分の合計当量の3.0倍)を添加して、窒
素を吹き込みながら、液温度150℃で2.0hr加熱
・撹拌した。その後粗テトラメチルグリコリドを液温度
120℃、圧力10mmHgで蒸留し、テトラメチルグ
リコリド177.8gを得た。得られたテトラメチルグ
リコリドは純度99.9%、酸価9.7meq/kg、
水分35ppmであった。
【0047】比較例8 (α−ヒドロキシイソ酪酸原料のテトラメチルグリコリ
ド合成)撹拌機、分縮器、還流冷却管、水分離器を備え
たフラスコ(1l)にα−ヒドロキシイソ酪酸260.
3g、メタキシレン520.6g、メタンスルホン酸
(70重量%水溶液)20.0gを添加し、加熱還流さ
せ水分離器により水を除去しながら、12hr反応させ
た。冷却した反応液に炭酸ソーダ粉末30.8gを加
え、撹拌しながらpH4程度になるまで溶液を中和し
た。溶液から溶媒を減圧下に留去したところ、濃縮され
るに従い、粗テトラメチルグリコリドの結晶が析出し
た。残った粗テトラメチルグリコリドを液温度120
℃、圧力10mmHgで蒸留し、テトラメチルグリコリ
ド162.2gを得た。得られたテトラメチルグリコリ
ドは純度99.8%、酸価35.6meq/kg、水分
100ppmであった。
【0048】実施例16 (DL−ラクチドのオルトギ酸メチル添加での精製)試
薬DL−ラクチド(東京化成工業製、酸価21.8me
q/kg、水分65ppm)100gにオルトギ酸メチ
ル0.81g(酸価と水分の合計当量の3.0倍)を添
加して、窒素気流下、液温度150℃で2.0hr加熱
・攪拌した。その後、液温度135℃、圧力5mmHg
で蒸留し、精製DL−ラクチド86gを得た。得られた
DL−ラクチドは純度99.9%以上、酸価1.1me
q/kg、水分25ppmであった。
【0049】
【発明の効果】本発明により水分および酸成分等の不純
物の少ない環状エステルを得るための実用的な製造方法
および精製方法が提供される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式R1 2 C(OH)COOR
    3 (R1 、R2 およびR 3 はそれぞれ水素または炭素数
    1〜6のアルキル基)で表されるα−ヒドロキシカルボ
    ン酸あるいはα−ヒドロキシカルボン酸エステルあるい
    はそれらの混合物を原料に用いて環状エステルを製造す
    るに当たり、下記一般式(I)で表されるオルトエステ
    ルを添加することを特徴とする環状エステルの製造方
    法。 R4 C(OR5 3 ・・・(I) (R4 は水素または炭素数1〜6のアルキル基。R5
    炭素数1〜6のアルキル基であり、それぞれ同一でも異
    なっていてもよい)
  2. 【請求項2】 原料、反応混合物、蒸留によって得た環
    状エステル中の少なくとも一つに存在する酸および水を
    オルトエステルによりアルコールとエステルに転化し、
    生成したアルコールとエステルを除去することを特徴と
    する請求項1記載の環状エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 原料、反応混合物、蒸留によって得た環
    状エステル中の少なくとも一つに存在する酸および水を
    オルトエステルによりアルコールとエステルに転化し、
    生成したアルコールとエステルを蒸留により除去するこ
    とを特徴とする請求項1記載の環状エステルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 オルトエステルがオルトギ酸メチル、オ
    ルトギ酸エチル、オルト酢酸メチルおよびオルト酢酸エ
    チルよりなる群の中から選ばれた化合物である請求項1
    記載の環状エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 原料が乳酸または乳酸エステルであり、
    環状エステルがラクチドである請求項1記載の環状エス
    テルの製造方法。
  6. 【請求項6】 乳酸エステルが乳酸メチルであり、環状
    エステルがラクチドである請求項5記載の環状エステル
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 原料がα−ヒドロキシイソ酪酸またはα
    −ヒドロキシイソ酪酸メチルであり、環状エステルがテ
    トラメチルグリコリドである請求項1記載の環状エステ
    ルの製造方法。
  8. 【請求項8】 環状エステルに下記一般式(I)で表さ
    れるオルトエステルを添加し、環状エステル中に存在す
    る酸および水を、オルトエステルによりアルコールとエ
    ステルに転化し、生成したアルコールとエステルを除去
    することを特徴とする環状エステルの精製方法。 R4 C(OR5 3 ・・・(I) (R4 は水素または炭素数1〜6のアルキル基。R5
    炭素数1〜6のアルキル基であり、それぞれ同一でも異
    なっていてもよい)
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