JPH1059958A - テトラメチルグリコリドの製造方法 - Google Patents
テトラメチルグリコリドの製造方法Info
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- JPH1059958A JPH1059958A JP8217387A JP21738796A JPH1059958A JP H1059958 A JPH1059958 A JP H1059958A JP 8217387 A JP8217387 A JP 8217387A JP 21738796 A JP21738796 A JP 21738796A JP H1059958 A JPH1059958 A JP H1059958A
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Heterocyclic Compounds That Contain Two Or More Ring Oxygen Atoms (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 α−ヒドロキシイソ酪酸エステルから高純度
のテトラメチルグリコリドを高効率、高収率で、しかも
経済的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 α−ヒドロキシイソ酪酸エステルに水を
加え、酸として作用する物質を触媒として用い、α−ヒ
ドロキシイソ酪酸エステルの一部乃至全量を加水分解し
α−ヒドロキシイソ酪酸を生成させ、得られたα−ヒド
ロキシイソ酪酸から、実質的に水と混和しない溶媒の存
在下において連続的に水分を留去しながらテトラメチル
グリコリドを生成させる。
のテトラメチルグリコリドを高効率、高収率で、しかも
経済的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 α−ヒドロキシイソ酪酸エステルに水を
加え、酸として作用する物質を触媒として用い、α−ヒ
ドロキシイソ酪酸エステルの一部乃至全量を加水分解し
α−ヒドロキシイソ酪酸を生成させ、得られたα−ヒド
ロキシイソ酪酸から、実質的に水と混和しない溶媒の存
在下において連続的に水分を留去しながらテトラメチル
グリコリドを生成させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−ヒドロキシイ
ソ酪酸エステルを原料としたテトラメチルグリコリドの
製造方法に関する。更に詳しく言えばポリマー原料、生
体分解性材料、殺菌防腐剤、可塑剤等の用途に利用され
ることが期待されているテトラメチルグリコリドの製造
方法に関する。
ソ酪酸エステルを原料としたテトラメチルグリコリドの
製造方法に関する。更に詳しく言えばポリマー原料、生
体分解性材料、殺菌防腐剤、可塑剤等の用途に利用され
ることが期待されているテトラメチルグリコリドの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリテトラメチルグリコリドの原料であ
るテトラメチルグリコリドは、二分子のα−ヒドロキシ
イソ酪酸が脱水反応して生成した環状二量体であって、
グリコリド、ラクチドなどと同様に分子内環状エステル
の一種である。従来テトラメチルグリコリドを得る方法
は以下の文献および公報が知られている。Makro
mol.Chem.,145巻,123〜131頁(1
971年)には触媒にパラトルエンスルホン酸、溶媒に
トルエンを用いてα−ヒドロキシイソ酪酸からテトラメ
チルグリコリドを得る方法が示されている。ХИМИ
Я ГЕТРОЦИКЛИЧЕСКИХ СОЕДИН
ЕНИЙ(ヘテロ環の化学),7巻,906〜907頁
(1983年)には文献の水及び炭酸ソーダ水溶液に
よる精製処理を省略した方法が記載されている。
るテトラメチルグリコリドは、二分子のα−ヒドロキシ
イソ酪酸が脱水反応して生成した環状二量体であって、
グリコリド、ラクチドなどと同様に分子内環状エステル
の一種である。従来テトラメチルグリコリドを得る方法
は以下の文献および公報が知られている。Makro
mol.Chem.,145巻,123〜131頁(1
971年)には触媒にパラトルエンスルホン酸、溶媒に
トルエンを用いてα−ヒドロキシイソ酪酸からテトラメ
チルグリコリドを得る方法が示されている。ХИМИ
Я ГЕТРОЦИКЛИЧЕСКИХ СОЕДИН
ЕНИЙ(ヘテロ環の化学),7巻,906〜907頁
(1983年)には文献の水及び炭酸ソーダ水溶液に
よる精製処理を省略した方法が記載されている。
【0003】また特表平5−507495号公報に
は、α−ヒドロキシカルボン酸もしくはそのエステル
(Aと略)を気化させ、不活性ガス流中でAを連続的
に、Aをオリゴマー化して環状エステルを生じさせるに
有効な固体状触媒が入っている反応ゾーンに送り込み、
この反応ゾーンを、気化したAから環状エステルを生じ
させそしてそれを気相内に維持するに有効な温度と圧力
に維持し、このエステルが生ずるにつれて、反応ゾーン
から、不活性ガス流中の環状エステルを連続的に取り出
し、ガス流れから環状エステルを回収することを特徴と
するAを環状二量体に変換するための、触媒を用いた連
続気相方法が述べられている。
は、α−ヒドロキシカルボン酸もしくはそのエステル
(Aと略)を気化させ、不活性ガス流中でAを連続的
に、Aをオリゴマー化して環状エステルを生じさせるに
有効な固体状触媒が入っている反応ゾーンに送り込み、
この反応ゾーンを、気化したAから環状エステルを生じ
させそしてそれを気相内に維持するに有効な温度と圧力
に維持し、このエステルが生ずるにつれて、反応ゾーン
から、不活性ガス流中の環状エステルを連続的に取り出
し、ガス流れから環状エステルを回収することを特徴と
するAを環状二量体に変換するための、触媒を用いた連
続気相方法が述べられている。
【0004】さらに特表平5−506242号公報に
は、Aを含む供給材料を環状二量体を形成するのに十分
な温度と圧力を保った反応領域に連続的に導入し、十分
な窒素ガスと接触させ、環状二量体を反応系外に取り出
すための方法が記載されている。
は、Aを含む供給材料を環状二量体を形成するのに十分
な温度と圧力を保った反応領域に連続的に導入し、十分
な窒素ガスと接触させ、環状二量体を反応系外に取り出
すための方法が記載されている。
【0005】また特表平7−500091号公報に
は、薄膜エバポレーター特にワイプトフィルムエバポレ
ーターを用い、Aのオリゴマーを環状二量体へ解重合す
る方法が記されている。
は、薄膜エバポレーター特にワイプトフィルムエバポレ
ーターを用い、Aのオリゴマーを環状二量体へ解重合す
る方法が記されている。
【0006】そして特表平7−504916号公報に
は、ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル、塩ま
たはアミド、それらの直鎖二量体、三量体、四量体及び
その混合物から選ばれた化合物を含む溶液を、有機溶媒
で希釈して反応成分と溶媒の混合物を準備し、前記混合
物から水を除去して直鎖二量体から環状二量体を直接生
成する方法が記載されている。
は、ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル、塩ま
たはアミド、それらの直鎖二量体、三量体、四量体及び
その混合物から選ばれた化合物を含む溶液を、有機溶媒
で希釈して反応成分と溶媒の混合物を準備し、前記混合
物から水を除去して直鎖二量体から環状二量体を直接生
成する方法が記載されている。
【0007】上記文献及びに記載された方法では、
いずれも精製したα−ヒドロキシイソ酪酸からテトラメ
チルグリコリドを製造している。しかしながら精製した
α−ヒドロキシイソ酪酸を原料に用いる場合、粗α−ヒ
ドロキシイソ酪酸を精製するための工程が必要となり、
プロセスが煩雑になる。またα−ヒドロキシイソ酪酸は
(a)2−メチルブタンと発煙硝酸との反応、(b)α
−ブロモイソブチルアルデヒドとクロム酸との反応、
(c)イソ酪酸とアルカリ性過マンガン酸カリウム溶液
との反応および(d)α−ヒドロキシイソ酪酸エステル
の加水分解などによって得られるが、(a)(b)
(c)の3法では合成および分離精製に多大な労力を要
し、工業的に実施するには経済的に不利である。また
(d)法のα−ヒドロキシイソ酪酸エステルを加水分解
して精製α−ヒドロキシイソ酪酸を得る場合は、加水分
解された粗α−ヒドロキシイソ酪酸から水などを除去し
たり、粗α−ヒドロキシイソ酪酸を再結晶して精製する
などの分離精製の工程が必要になる。それは目的のテト
ラメチルグリコリドを得る際にプロセスが煩雑になっ
て、多大な労力およびコストの上昇などの欠点が生ずる
ことを意味する。
いずれも精製したα−ヒドロキシイソ酪酸からテトラメ
チルグリコリドを製造している。しかしながら精製した
α−ヒドロキシイソ酪酸を原料に用いる場合、粗α−ヒ
ドロキシイソ酪酸を精製するための工程が必要となり、
プロセスが煩雑になる。またα−ヒドロキシイソ酪酸は
(a)2−メチルブタンと発煙硝酸との反応、(b)α
−ブロモイソブチルアルデヒドとクロム酸との反応、
(c)イソ酪酸とアルカリ性過マンガン酸カリウム溶液
との反応および(d)α−ヒドロキシイソ酪酸エステル
の加水分解などによって得られるが、(a)(b)
(c)の3法では合成および分離精製に多大な労力を要
し、工業的に実施するには経済的に不利である。また
(d)法のα−ヒドロキシイソ酪酸エステルを加水分解
して精製α−ヒドロキシイソ酪酸を得る場合は、加水分
解された粗α−ヒドロキシイソ酪酸から水などを除去し
たり、粗α−ヒドロキシイソ酪酸を再結晶して精製する
などの分離精製の工程が必要になる。それは目的のテト
ラメチルグリコリドを得る際にプロセスが煩雑になっ
て、多大な労力およびコストの上昇などの欠点が生ずる
ことを意味する。
【0008】また該公報、及びでは実施例中には
α−ヒドロキシイソ酪酸エステルおよびテトラメチルグ
リコリドの記載はなく、またこれらの方法でテトラメチ
ルグリコリドが得られたと仮定しても非常に煩雑な操作
を必要とするので、これも工業的方法とは言い難い。ま
た、α−ヒドロキシイソ酪酸エステルからテトラメチル
グリコリドの一段直接合成法に関しては、実際一般的な
エステル化乃至エステル交換触媒を用いて実施しても非
常に低活性であり転化率、選択率とも低く工業化は困難
である(比較例1、2および3参照)。
α−ヒドロキシイソ酪酸エステルおよびテトラメチルグ
リコリドの記載はなく、またこれらの方法でテトラメチ
ルグリコリドが得られたと仮定しても非常に煩雑な操作
を必要とするので、これも工業的方法とは言い難い。ま
た、α−ヒドロキシイソ酪酸エステルからテトラメチル
グリコリドの一段直接合成法に関しては、実際一般的な
エステル化乃至エステル交換触媒を用いて実施しても非
常に低活性であり転化率、選択率とも低く工業化は困難
である(比較例1、2および3参照)。
【0009】さらに該公報ではこれも実施例中にはα
−ヒドロキシイソ酪酸エステルおよびテトラメチルグリ
コリドの記載はない。該公報の方法は反応成分と溶媒の
混合物から水を除去して直鎖二量体から直接環状二量体
を生成するものであり、本発明のα−ヒドロキシイソ酪
酸エステルに水を加えて加水分解し、α−ヒドロキシイ
ソ酪酸を生成した後、溶媒を加えてテトラメチルグリコ
リドの生成を行う方法とは根本的に異なる。該公報の方
法において反応成分としてα−ヒドロキシイソ酪酸エス
テルを用いたと仮定した場合、実質的に水が存在しない
のでα−ヒドロキシイソ酪酸は生成しないし、すなわち
テトラメチルグリコリドも生成しない(比較例2および
3参照)。また最初から多量の溶媒を用いているので釜
効率が低いこと、最終的な環状二量体の収率が低下する
ことなどの欠点がありコストの上昇の原因となる。
−ヒドロキシイソ酪酸エステルおよびテトラメチルグリ
コリドの記載はない。該公報の方法は反応成分と溶媒の
混合物から水を除去して直鎖二量体から直接環状二量体
を生成するものであり、本発明のα−ヒドロキシイソ酪
酸エステルに水を加えて加水分解し、α−ヒドロキシイ
ソ酪酸を生成した後、溶媒を加えてテトラメチルグリコ
リドの生成を行う方法とは根本的に異なる。該公報の方
法において反応成分としてα−ヒドロキシイソ酪酸エス
テルを用いたと仮定した場合、実質的に水が存在しない
のでα−ヒドロキシイソ酪酸は生成しないし、すなわち
テトラメチルグリコリドも生成しない(比較例2および
3参照)。また最初から多量の溶媒を用いているので釜
効率が低いこと、最終的な環状二量体の収率が低下する
ことなどの欠点がありコストの上昇の原因となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記した通り、経済的
かつ簡便なテトラメチルグリコリドの製造方法は知られ
ていないのが実状である。本発明の目的は、従来技術に
おける課題を解決し、経済的かつ簡便なテトラメチルグ
リコリドの製造方法を提供することにある。
かつ簡便なテトラメチルグリコリドの製造方法は知られ
ていないのが実状である。本発明の目的は、従来技術に
おける課題を解決し、経済的かつ簡便なテトラメチルグ
リコリドの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果α−ヒドロキシイソ酪酸エステルからテトラメ
チルグリコリドを製造するにあたり、(1)α−ヒドロ
キシイソ酪酸エステルに水を加え、酸として作用する物
質を触媒として用い、α−ヒドロキシイソ酪酸エステル
の一部乃至全量を加水分解し、水分を留去させずにα−
ヒドロキシイソ酪酸を生成する工程1、及び(2)実質
的に水と混和しない溶媒の存在下に工程1の生成液から
連続的に水分を留去しながらα−ヒドロキシイソ酪酸か
らテトラメチルグリコリドを反応生成させる工程2から
成るテトラメチルグリコリドの製造方法により、上記課
題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに
到った。
した結果α−ヒドロキシイソ酪酸エステルからテトラメ
チルグリコリドを製造するにあたり、(1)α−ヒドロ
キシイソ酪酸エステルに水を加え、酸として作用する物
質を触媒として用い、α−ヒドロキシイソ酪酸エステル
の一部乃至全量を加水分解し、水分を留去させずにα−
ヒドロキシイソ酪酸を生成する工程1、及び(2)実質
的に水と混和しない溶媒の存在下に工程1の生成液から
連続的に水分を留去しながらα−ヒドロキシイソ酪酸か
らテトラメチルグリコリドを反応生成させる工程2から
成るテトラメチルグリコリドの製造方法により、上記課
題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに
到った。
【0012】即ち、本発明はα−ヒドロキシイソ酪酸エ
ステルからテトラメチルグリコリドを製造するにあた
り、(1)α−ヒドロキシイソ酪酸エステルに水を加
え、酸として作用する物質を触媒として用い、α−ヒド
ロキシイソ酪酸エステルの一部乃至全量を加水分解し、
水分を留去させずにα−ヒドロキシイソ酪酸を生成する
工程1、及び(2)実質的に水と混和しない溶媒の存在
下に工程1の生成液から連続的に水分を留去しながらα
−ヒドロキシイソ酪酸からテトラメチルグリコリドを反
応生成させる工程2から成ることを特徴とするテトラメ
チルグリコリドの製造方法である。つぎにこれら各工程
について詳細に説明する。
ステルからテトラメチルグリコリドを製造するにあた
り、(1)α−ヒドロキシイソ酪酸エステルに水を加
え、酸として作用する物質を触媒として用い、α−ヒド
ロキシイソ酪酸エステルの一部乃至全量を加水分解し、
水分を留去させずにα−ヒドロキシイソ酪酸を生成する
工程1、及び(2)実質的に水と混和しない溶媒の存在
下に工程1の生成液から連続的に水分を留去しながらα
−ヒドロキシイソ酪酸からテトラメチルグリコリドを反
応生成させる工程2から成ることを特徴とするテトラメ
チルグリコリドの製造方法である。つぎにこれら各工程
について詳細に説明する。
【0013】
(1)α−ヒドロキシイソ酪酸エステルの加水分解工程 本発明の工程1においては、α−ヒドロキシイソ酪酸エ
ステルを加水分解してα−ヒドロキシイソ酪酸の生成を
行う。本発明に用いるα−ヒドロキシイソ酪酸エステル
としては、α−ヒドロキシイソ酪酸の炭素数1乃至8の
アルキルエステルが挙げられ、具体例としてα−ヒドロ
キシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチル、
α−ヒドロキシイソ酪酸プロピル、α−ヒドロキシイソ
酪酸イソプロピル、α−ヒドロキシイソ酪酸ブチル、α
−ヒドロキシイソ酪酸イソブチル、α−ヒドロキシイソ
酪酸ペンチル、α−ヒドロキシイソ酪酸ヘキシル、α−
ヒドロキシイソ酪酸ヘプチル、α−ヒドロキシイソ酪酸
オクチル等が挙げられる。これらのうちでα−ヒドロキ
シイソ酪酸メチルが特に好ましい。本発明の方法では撹
拌機、コンデンサー及び後述のテトラメチルグリコリド
合成工程で用いる水分離装置を備えた反応器が用いられ
る。反応器としては攪拌槽が一般的であり、水分離装置
として分縮器やデカンター、水分離器等が挙げられる。
本工程においては、反応器内でα−ヒドロキシイソ酪酸
エステルの一部乃至全量を加水分解してα−ヒドロキシ
イソ酪酸を生成させるのが目的であるが、生成したα−
ヒドロキシイソ酪酸の一部はこの時点で環化し、テトラ
メチルグリコリドも生成する。反応器にはα−ヒドロキ
シイソ酪酸エステル、触媒及び水を添加し、反応圧力で
の水の沸点以上の温度で反応させ、生成するアルコール
を留去しながら、α−ヒドロキシイソ酪酸エステルの一
部乃至全量が転化するまで反応させる。反応圧力は特に
限定されないが大気圧下が好ましい。触媒の使用量は特
に限定されないが、原料のα−ヒドロキシイソ酪酸エス
テルの0.01〜15重量%であればよく、好ましくは
0.05〜10重量%である。該使用量が0.01重量
%未満の場合は、反応速度が遅い等触媒効果が不十分で
あり、また該使用量が10重量%を超える場合には、選
択率の低下や副生成物の増加を招くほか経済的にも不利
であり好ましくない。水の添加量は用いるα−ヒドロキ
シイソ酪酸エステルの0.01〜10倍モルが好まし
く、さらに好ましくは生産性を考慮して1〜5倍モルで
ある。水の添加量が等モル未満の場合は用いたα−ヒド
ロキシイソ酪酸エステルの一部が未反応のまま残存する
ことになるが後の工程2でテトラメチルグリコリド生成
の際に副生する水によって最終的には全量が加水分解を
受けることになるので問題はない。しかしながら0.1
倍モル未満では工程2の反応速度も低下するので望まし
くない。また10倍モルを越えると生産性も低下する
上、工程2で水を留去する際に大量のエネルギーを必要
とするので経済的でない。
ステルを加水分解してα−ヒドロキシイソ酪酸の生成を
行う。本発明に用いるα−ヒドロキシイソ酪酸エステル
としては、α−ヒドロキシイソ酪酸の炭素数1乃至8の
アルキルエステルが挙げられ、具体例としてα−ヒドロ
キシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸エチル、
α−ヒドロキシイソ酪酸プロピル、α−ヒドロキシイソ
酪酸イソプロピル、α−ヒドロキシイソ酪酸ブチル、α
−ヒドロキシイソ酪酸イソブチル、α−ヒドロキシイソ
酪酸ペンチル、α−ヒドロキシイソ酪酸ヘキシル、α−
ヒドロキシイソ酪酸ヘプチル、α−ヒドロキシイソ酪酸
オクチル等が挙げられる。これらのうちでα−ヒドロキ
シイソ酪酸メチルが特に好ましい。本発明の方法では撹
拌機、コンデンサー及び後述のテトラメチルグリコリド
合成工程で用いる水分離装置を備えた反応器が用いられ
る。反応器としては攪拌槽が一般的であり、水分離装置
として分縮器やデカンター、水分離器等が挙げられる。
本工程においては、反応器内でα−ヒドロキシイソ酪酸
エステルの一部乃至全量を加水分解してα−ヒドロキシ
イソ酪酸を生成させるのが目的であるが、生成したα−
ヒドロキシイソ酪酸の一部はこの時点で環化し、テトラ
メチルグリコリドも生成する。反応器にはα−ヒドロキ
シイソ酪酸エステル、触媒及び水を添加し、反応圧力で
の水の沸点以上の温度で反応させ、生成するアルコール
を留去しながら、α−ヒドロキシイソ酪酸エステルの一
部乃至全量が転化するまで反応させる。反応圧力は特に
限定されないが大気圧下が好ましい。触媒の使用量は特
に限定されないが、原料のα−ヒドロキシイソ酪酸エス
テルの0.01〜15重量%であればよく、好ましくは
0.05〜10重量%である。該使用量が0.01重量
%未満の場合は、反応速度が遅い等触媒効果が不十分で
あり、また該使用量が10重量%を超える場合には、選
択率の低下や副生成物の増加を招くほか経済的にも不利
であり好ましくない。水の添加量は用いるα−ヒドロキ
シイソ酪酸エステルの0.01〜10倍モルが好まし
く、さらに好ましくは生産性を考慮して1〜5倍モルで
ある。水の添加量が等モル未満の場合は用いたα−ヒド
ロキシイソ酪酸エステルの一部が未反応のまま残存する
ことになるが後の工程2でテトラメチルグリコリド生成
の際に副生する水によって最終的には全量が加水分解を
受けることになるので問題はない。しかしながら0.1
倍モル未満では工程2の反応速度も低下するので望まし
くない。また10倍モルを越えると生産性も低下する
上、工程2で水を留去する際に大量のエネルギーを必要
とするので経済的でない。
【0014】(2)テトラメチルグリコリド合成工程 前記の工程1で得られた反応液に対して実質的に水と混
和しない溶媒を加える。溶媒の使用量は特に限定されな
いが、工程1で生成するα−ヒドロキシイソ酪酸に対す
る重量比で、0.1〜10の範囲であればよい。好まし
くは0.5〜4であり、さらに好ましくは生産性や反応
速度を考慮して1〜3である。本工程ではα−ヒドロキ
シイソ酪酸が反応し、テトラメチルグリコリドが生成す
る際に水が副生すると同時に工程1で未反応のα−ヒド
ロキシイソ酪酸エステルが加水分解を受けてα−ヒドロ
キシイソ酪酸も生成する。溶媒をコンデンサーにより還
流させながら、水分離装置で反応器内の水を連続的に反
応系外に分離除去することで最終的に用いたα−ヒドロ
キシイソ酪酸エステルの大部分がテトラメチルグリコリ
ドに転化する。反応時間は触媒活性の強弱、溶媒の沸点
の高低により決定される。反応温度は特に限定されない
が、反応を有利に進めるために100℃以上が好まし
い。さらに好ましくは溶媒の沸点以上の温度である。本
発明の工程を化学式で示せば下記の化1の様になる。
和しない溶媒を加える。溶媒の使用量は特に限定されな
いが、工程1で生成するα−ヒドロキシイソ酪酸に対す
る重量比で、0.1〜10の範囲であればよい。好まし
くは0.5〜4であり、さらに好ましくは生産性や反応
速度を考慮して1〜3である。本工程ではα−ヒドロキ
シイソ酪酸が反応し、テトラメチルグリコリドが生成す
る際に水が副生すると同時に工程1で未反応のα−ヒド
ロキシイソ酪酸エステルが加水分解を受けてα−ヒドロ
キシイソ酪酸も生成する。溶媒をコンデンサーにより還
流させながら、水分離装置で反応器内の水を連続的に反
応系外に分離除去することで最終的に用いたα−ヒドロ
キシイソ酪酸エステルの大部分がテトラメチルグリコリ
ドに転化する。反応時間は触媒活性の強弱、溶媒の沸点
の高低により決定される。反応温度は特に限定されない
が、反応を有利に進めるために100℃以上が好まし
い。さらに好ましくは溶媒の沸点以上の温度である。本
発明の工程を化学式で示せば下記の化1の様になる。
【0015】
【化1】 上式の工程1、工程2を考え合わせると結局みかけ上は
α−ヒドロキシイソ酪酸エステルからテトラメチルグリ
コリドが生成することになる。これにより同一の反応器
で工程1、工程2のような連続した反応工程を中間体の
α−ヒドロキシイソ酪酸の分離精製を省略して実施する
ことが可能となり経済的に非常に有利なプロセスであ
る。
α−ヒドロキシイソ酪酸エステルからテトラメチルグリ
コリドが生成することになる。これにより同一の反応器
で工程1、工程2のような連続した反応工程を中間体の
α−ヒドロキシイソ酪酸の分離精製を省略して実施する
ことが可能となり経済的に非常に有利なプロセスであ
る。
【0016】工程1及び工程2において用いられる触媒
は酸として作用する物質であればよく、例えば硫酸、塩
酸、リン酸、ポリリン酸等の無機酸やベンゼンスルホン
酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸、テト
ラ−i−プロピルチタネート、チタニウムアセチルアセ
トネート、チタニウムラクテート、錫(II)アセチルア
セトネート、メタンスルホン酸錫(II)、トリフルオロ
メタンスルホン酸錫(II)、ジブチル錫ジクロライド、
モノブチル錫オキサイド、ジメチル錫オキサイド、ジブ
チル錫オキサイド、オクタン酸第一錫、シュウ酸第一錫
などの有機金属化合物、酸化第一錫、硫酸第一錫、塩化
第一錫、二リン酸第一錫などの無機金属化合物、強酸性
陽イオン交換樹脂、ゼオライト類(A型、X型、Y型、
L型、ZSM−5)、シリカ−アルミナ、シリカ−チタ
ニヤ、ベントナイト、モンモリロナイト、活性白土など
の固体酸類及びリンモリブデン酸、リンタングステン酸
などのヘテロポリ酸類が用いられ、好ましくはパラトル
エンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸が挙げられる。これらの触媒は単独乃至2
種以上の混合でも用いることができ、工程1、工程2で
異なった触媒種を用いることも可能であるが、触媒の回
収・循環使用を考慮すると両工程とも同一の触媒種を用
いることが望ましい。
は酸として作用する物質であればよく、例えば硫酸、塩
酸、リン酸、ポリリン酸等の無機酸やベンゼンスルホン
酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸、テト
ラ−i−プロピルチタネート、チタニウムアセチルアセ
トネート、チタニウムラクテート、錫(II)アセチルア
セトネート、メタンスルホン酸錫(II)、トリフルオロ
メタンスルホン酸錫(II)、ジブチル錫ジクロライド、
モノブチル錫オキサイド、ジメチル錫オキサイド、ジブ
チル錫オキサイド、オクタン酸第一錫、シュウ酸第一錫
などの有機金属化合物、酸化第一錫、硫酸第一錫、塩化
第一錫、二リン酸第一錫などの無機金属化合物、強酸性
陽イオン交換樹脂、ゼオライト類(A型、X型、Y型、
L型、ZSM−5)、シリカ−アルミナ、シリカ−チタ
ニヤ、ベントナイト、モンモリロナイト、活性白土など
の固体酸類及びリンモリブデン酸、リンタングステン酸
などのヘテロポリ酸類が用いられ、好ましくはパラトル
エンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸が挙げられる。これらの触媒は単独乃至2
種以上の混合でも用いることができ、工程1、工程2で
異なった触媒種を用いることも可能であるが、触媒の回
収・循環使用を考慮すると両工程とも同一の触媒種を用
いることが望ましい。
【0017】本発明の工程2において用いられる実質的
に水と混和しない溶媒としては、例えばオクタン、メチ
ルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、
混合キシレン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキ
シレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラ
リン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、
tert−ブチルベンゼン、パラシメン、オルトジエチ
ルベンゼン、メタジエチルベンゼン、パラジエチルベン
ゼン、ペンチルベンゼン、クロロベンゼン、メチルイソ
ブチルケトン、イソホロンなどが挙げられる。これらの
溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上の混合でも用い
ることができる。これらの溶媒は沸点範囲が50〜20
0℃の水と共沸するものが好ましく用いられる。さらに
好ましくは反応速度と濃縮・回収のしやすさから沸点が
120〜150℃の範囲のもの、具体的には入手のしや
すさ等を考慮に入れてメタキシレン、エチルベンゼン、
クロロベンゼンが挙げられる。
に水と混和しない溶媒としては、例えばオクタン、メチ
ルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、
混合キシレン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキ
シレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラ
リン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、
tert−ブチルベンゼン、パラシメン、オルトジエチ
ルベンゼン、メタジエチルベンゼン、パラジエチルベン
ゼン、ペンチルベンゼン、クロロベンゼン、メチルイソ
ブチルケトン、イソホロンなどが挙げられる。これらの
溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上の混合でも用い
ることができる。これらの溶媒は沸点範囲が50〜20
0℃の水と共沸するものが好ましく用いられる。さらに
好ましくは反応速度と濃縮・回収のしやすさから沸点が
120〜150℃の範囲のもの、具体的には入手のしや
すさ等を考慮に入れてメタキシレン、エチルベンゼン、
クロロベンゼンが挙げられる。
【0018】反応後の単離・精製処理は公知の方法、す
なわち従来の技術の項で述べた文献の方法、及び文献
の水及び炭酸ソーダ水溶液処理を省略した方法である
文献の方法で行なってもよいし、その他の方法で行な
ってもよく、特に限定されない。要するに得られるテト
ラメチルグリコリドの用途および未反応原料や触媒の循
環使用などを考慮して処理すればよい。文献の方法を
以下に述べる。冷却した溶液はまず水で洗浄し、次に1
0%炭酸ソーダ水溶液で洗浄し、再び水で洗浄する。洗
浄した溶液は芒硝で乾燥させる。溶媒は減圧蒸留により
除去する。結晶性の残渣を減圧蒸留した後、留分を石油
エーテルで再結晶する。
なわち従来の技術の項で述べた文献の方法、及び文献
の水及び炭酸ソーダ水溶液処理を省略した方法である
文献の方法で行なってもよいし、その他の方法で行な
ってもよく、特に限定されない。要するに得られるテト
ラメチルグリコリドの用途および未反応原料や触媒の循
環使用などを考慮して処理すればよい。文献の方法を
以下に述べる。冷却した溶液はまず水で洗浄し、次に1
0%炭酸ソーダ水溶液で洗浄し、再び水で洗浄する。洗
浄した溶液は芒硝で乾燥させる。溶媒は減圧蒸留により
除去する。結晶性の残渣を減圧蒸留した後、留分を石油
エーテルで再結晶する。
【0019】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、もとより本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお実施例における特性値は以下に述べる
方法によって測定した。 酸価測定方法:テトラメチルグリコリドのサンプルを
約5g精秤し、モレキュラーシーブス3A(1/16イ
ンチ、和光純薬工業製)であらかじめ乾燥した塩化メチ
レンに溶解させる。終点決定用の指示薬としてフェノー
ルレッド(乾燥メタノール中0.05重量%/容量)を
用い、サンプル溶液中に5滴加える。この溶液を0.0
25N−カリウムメトキシド(ベンゼン・メタノール溶
液)(和光純薬工業製非水滴定用0.1mol/lカリ
ウムメトキシドを乾燥メタノールで希釈して調製する)
で滴定することにより測定する。 ガスクロマトグラフィー分析条件:サンプルを、テト
ラヒドロフランに溶解させて分析を行う。カラムはTC
−17(ジーエルサイエンス)を用いる。測定条件は注
入口温度およびFID検出器温度ともに250℃に設定
し、カラム温度を60℃から240℃まで昇温させるこ
とにより行う。 水分測定法:サンプル1gを塩化メチレン5gに溶解
し、水分測定装置(旧三菱化成製微量水分測定装置CA
−05型)を用いて測定する。
るが、もとより本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお実施例における特性値は以下に述べる
方法によって測定した。 酸価測定方法:テトラメチルグリコリドのサンプルを
約5g精秤し、モレキュラーシーブス3A(1/16イ
ンチ、和光純薬工業製)であらかじめ乾燥した塩化メチ
レンに溶解させる。終点決定用の指示薬としてフェノー
ルレッド(乾燥メタノール中0.05重量%/容量)を
用い、サンプル溶液中に5滴加える。この溶液を0.0
25N−カリウムメトキシド(ベンゼン・メタノール溶
液)(和光純薬工業製非水滴定用0.1mol/lカリ
ウムメトキシドを乾燥メタノールで希釈して調製する)
で滴定することにより測定する。 ガスクロマトグラフィー分析条件:サンプルを、テト
ラヒドロフランに溶解させて分析を行う。カラムはTC
−17(ジーエルサイエンス)を用いる。測定条件は注
入口温度およびFID検出器温度ともに250℃に設定
し、カラム温度を60℃から240℃まで昇温させるこ
とにより行う。 水分測定法:サンプル1gを塩化メチレン5gに溶解
し、水分測定装置(旧三菱化成製微量水分測定装置CA
−05型)を用いて測定する。
【0020】実施例1 撹拌機、分縮器、還流冷却管、水分離器を備えたフラス
コ(1l)にα−ヒドロキシイソ酪酸メチル295.3
g、メタンスルホン酸(70重量%水溶液)20.0
g、水82.0gを添加し、反応液温度を110℃に加
熱して加水分解して副生するメタノールを留去しながら
6時間反応させた。6時間後のα−ヒドロキシイソ酪酸
の反応収率は80%(ガスクロマトグラフィー分析)
で、テトラメチルグリコリドも10%生成していた。反
応液冷却後、フラスコにメタキシレン520.6gを加
えて加熱還流させ水分離器により水を除去しながら、1
2時間反応させた。テトラメチルグリコリドが生成する
にしたがい徐々に反応温度は上昇し最終的には143℃
であった。12時間後のガスクロマトグラフィーではα
−ヒドロキシイソ酪酸の転化率90%でテトラメチルグ
リコリドの反応収率は83%であった。冷却した反応液
に炭酸ソーダ粉末30.8gを加え、撹拌しながらpH
4程度になるまで溶液を中和した。溶液から溶媒を減圧
下に留去したところ、濃縮されるに従い、粗テトラメチ
ルグリコリドの結晶が析出した。残った粗テトラメチル
グリコリドを油浴温度140℃、圧力10mmHgで蒸
留し、無色のテトラメチルグリコリド155.0g(収
率72.0%)を得た。得られたテトラメチルグリコリ
ドは純度99.8%(ガスクロマトグラフィー分析)、
酸価40meq/kg、水分95ppmであった。
コ(1l)にα−ヒドロキシイソ酪酸メチル295.3
g、メタンスルホン酸(70重量%水溶液)20.0
g、水82.0gを添加し、反応液温度を110℃に加
熱して加水分解して副生するメタノールを留去しながら
6時間反応させた。6時間後のα−ヒドロキシイソ酪酸
の反応収率は80%(ガスクロマトグラフィー分析)
で、テトラメチルグリコリドも10%生成していた。反
応液冷却後、フラスコにメタキシレン520.6gを加
えて加熱還流させ水分離器により水を除去しながら、1
2時間反応させた。テトラメチルグリコリドが生成する
にしたがい徐々に反応温度は上昇し最終的には143℃
であった。12時間後のガスクロマトグラフィーではα
−ヒドロキシイソ酪酸の転化率90%でテトラメチルグ
リコリドの反応収率は83%であった。冷却した反応液
に炭酸ソーダ粉末30.8gを加え、撹拌しながらpH
4程度になるまで溶液を中和した。溶液から溶媒を減圧
下に留去したところ、濃縮されるに従い、粗テトラメチ
ルグリコリドの結晶が析出した。残った粗テトラメチル
グリコリドを油浴温度140℃、圧力10mmHgで蒸
留し、無色のテトラメチルグリコリド155.0g(収
率72.0%)を得た。得られたテトラメチルグリコリ
ドは純度99.8%(ガスクロマトグラフィー分析)、
酸価40meq/kg、水分95ppmであった。
【0021】実施例2 撹拌機、分縮器、還流冷却管、水分離器を備えたフラス
コ(1l)にα−ヒドロキシイソ酪酸メチル295.3
g、トリフルオロメタンスルホン酸5.8g、水90g
を添加し、反応液温度を110℃に加熱して加水分解し
て副生するメタノールを留去しながら1時間反応させ
た。1時間後のα−ヒドロキシイソ酪酸の反応収率は7
5%(ガスクロマトグラフィー分析)で、テトラメチル
グリコリドも15%生成していた。反応液冷却後、フラ
スコにメタキシレン520.6gを加えて加熱還流させ
水分離器により水を除去しながら、3時間反応させた。
テトラメチルグリコリドが生成するにしたがい徐々に反
応温度は上昇し最終的には143℃であった。3時間後
のガスクロマトグラフィーによる分析ではα−ヒドロキ
シイソ酪酸の転化率92%でテトラメチルグリコリドの
反応収率は85%であった。冷却した反応液に炭酸ソー
ダ粉末8.2gを加え、撹拌しながらpH4程度になる
まで溶液を中和した。溶液から溶媒を減圧下に留去した
ところ、濃縮されるに従い、粗テトラメチルグリコリド
の結晶が析出した。残った粗テトラメチルグリコリドを
油浴温度140℃、圧力10mmHgで蒸留し、無色の
テトラメチルグリコリド162.2g(収率75.4
%)を得た。得られたテトラメチルグリコリドは純度9
9.8%(ガスクロマトグラフィー分析)、酸価45m
eq/kg、水分85ppmであった。
コ(1l)にα−ヒドロキシイソ酪酸メチル295.3
g、トリフルオロメタンスルホン酸5.8g、水90g
を添加し、反応液温度を110℃に加熱して加水分解し
て副生するメタノールを留去しながら1時間反応させ
た。1時間後のα−ヒドロキシイソ酪酸の反応収率は7
5%(ガスクロマトグラフィー分析)で、テトラメチル
グリコリドも15%生成していた。反応液冷却後、フラ
スコにメタキシレン520.6gを加えて加熱還流させ
水分離器により水を除去しながら、3時間反応させた。
テトラメチルグリコリドが生成するにしたがい徐々に反
応温度は上昇し最終的には143℃であった。3時間後
のガスクロマトグラフィーによる分析ではα−ヒドロキ
シイソ酪酸の転化率92%でテトラメチルグリコリドの
反応収率は85%であった。冷却した反応液に炭酸ソー
ダ粉末8.2gを加え、撹拌しながらpH4程度になる
まで溶液を中和した。溶液から溶媒を減圧下に留去した
ところ、濃縮されるに従い、粗テトラメチルグリコリド
の結晶が析出した。残った粗テトラメチルグリコリドを
油浴温度140℃、圧力10mmHgで蒸留し、無色の
テトラメチルグリコリド162.2g(収率75.4
%)を得た。得られたテトラメチルグリコリドは純度9
9.8%(ガスクロマトグラフィー分析)、酸価45m
eq/kg、水分85ppmであった。
【0022】比較例1 分縮器、冷却管を備えたフラスコにα−ヒドロキシイソ
酪酸メチル295.3g、オクタン酸第一錫14.8g
を仕込んで、反応液温度137℃で5.0hr加熱、撹
拌したがα−ヒドロキシイソ酪酸メチルの転化率1.2
%、テトラメチルグリコリドの収率0.1%で、反応は
ほとんど起きなかった。
酪酸メチル295.3g、オクタン酸第一錫14.8g
を仕込んで、反応液温度137℃で5.0hr加熱、撹
拌したがα−ヒドロキシイソ酪酸メチルの転化率1.2
%、テトラメチルグリコリドの収率0.1%で、反応は
ほとんど起きなかった。
【0023】比較例2 分縮器、冷却管を備えたフラスコにα−ヒドロキシイソ
酪酸メチル295.3g、メタキシレン590.6g、
パラトルエンスルホン酸25gを仕込んで、反応液温度
139℃で5.0hr加熱、撹拌したがα−ヒドロキシ
イソ酪酸メチルの転化率3.8%、テトラメチルグリコ
リドの収率1.0%で、反応はほとんど起きなかった。
酪酸メチル295.3g、メタキシレン590.6g、
パラトルエンスルホン酸25gを仕込んで、反応液温度
139℃で5.0hr加熱、撹拌したがα−ヒドロキシ
イソ酪酸メチルの転化率3.8%、テトラメチルグリコ
リドの収率1.0%で、反応はほとんど起きなかった。
【0024】比較例3 分縮器、冷却管を備えたフラスコにα−ヒドロキシイソ
酪酸メチル295.3g、メタキシレン590.6g、
オクタン酸第一錫14.8gを仕込んで、反応液温度1
39℃で5.0hr加熱、撹拌したがα−ヒドロキシイ
ソ酪酸メチルの転化率2.4%、テトラメチルグリコリ
ドの収率0.2%で、反応はほとんど起きなかった。
酪酸メチル295.3g、メタキシレン590.6g、
オクタン酸第一錫14.8gを仕込んで、反応液温度1
39℃で5.0hr加熱、撹拌したがα−ヒドロキシイ
ソ酪酸メチルの転化率2.4%、テトラメチルグリコリ
ドの収率0.2%で、反応はほとんど起きなかった。
【0025】
【発明の効果】本発明の構成を採用することにより、従
来方法より反応時間が大幅に短縮され、高収率でα−ヒ
ドロキシイソ酪酸エステルを原料にして容易に高純度の
テトラメチルグリコリドを得ることができる。
来方法より反応時間が大幅に短縮され、高収率でα−ヒ
ドロキシイソ酪酸エステルを原料にして容易に高純度の
テトラメチルグリコリドを得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 α−ヒドロキシイソ酪酸エステルからテ
トラメチルグリコリドを製造するにあたり、(1)α−
ヒドロキシイソ酪酸エステルに水を加え、酸として作用
する物質を触媒として用い、α−ヒドロキシイソ酪酸エ
ステルの一部乃至全量を加水分解し、α−ヒドロキシイ
ソ酪酸を生成する工程1、及び(2)実質的に水と混和
しない溶媒の存在下に工程1の生成液から連続的に水分
を留去しながらα−ヒドロキシイソ酪酸からテトラメチ
ルグリコリドを反応生成させる工程2から成ることを特
徴とするテトラメチルグリコリドの製造方法。 - 【請求項2】 α−ヒドロキシイソ酪酸エステルがα−
ヒドロキシイソ酪酸メチルである請求項1記載のテトラ
メチルグリコリドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8217387A JPH1059958A (ja) | 1996-08-19 | 1996-08-19 | テトラメチルグリコリドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8217387A JPH1059958A (ja) | 1996-08-19 | 1996-08-19 | テトラメチルグリコリドの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1059958A true JPH1059958A (ja) | 1998-03-03 |
Family
ID=16703386
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8217387A Pending JPH1059958A (ja) | 1996-08-19 | 1996-08-19 | テトラメチルグリコリドの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1059958A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102006055427A1 (de) * | 2006-11-22 | 2008-05-29 | Evonik Röhm Gmbh | Verfahren zur Herstellung von Tetramethylglycolid |
EP2133346A1 (fr) * | 2008-06-12 | 2009-12-16 | Ktanton Ltd | Procédé pour la fabrication d'un diester cyclique d'un acide alpha-hydroxylé |
-
1996
- 1996-08-19 JP JP8217387A patent/JPH1059958A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102006055427A1 (de) * | 2006-11-22 | 2008-05-29 | Evonik Röhm Gmbh | Verfahren zur Herstellung von Tetramethylglycolid |
JP2010510275A (ja) * | 2006-11-22 | 2010-04-02 | エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | テトラメチルグリコリドの製造方法 |
US7928251B2 (en) * | 2006-11-22 | 2011-04-19 | Evonik Roehm Gmbh | Process for preparing tetramethyl glycolide |
TWI427075B (zh) * | 2006-11-22 | 2014-02-21 | Evonik Roehm Gmbh | 製備四甲基乙交酯的方法 |
JP2014037420A (ja) * | 2006-11-22 | 2014-02-27 | Evonik Roehm Gmbh | テトラメチルグリコリドの製造方法 |
EP2133346A1 (fr) * | 2008-06-12 | 2009-12-16 | Ktanton Ltd | Procédé pour la fabrication d'un diester cyclique d'un acide alpha-hydroxylé |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070530 |
|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070531 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071003 |