JP3953133B2 - α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法 - Google Patents
α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3953133B2 JP3953133B2 JP02803997A JP2803997A JP3953133B2 JP 3953133 B2 JP3953133 B2 JP 3953133B2 JP 02803997 A JP02803997 A JP 02803997A JP 2803997 A JP2803997 A JP 2803997A JP 3953133 B2 JP3953133 B2 JP 3953133B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acid
- hydroxyalkylacrylic
- organic residue
- aqueous solution
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法および安定性に優れたα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液に関するものである。
【0002】
α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、分子中の水酸基が活性であるため、水溶性、高屈折率および耐熱性を備えた重合体の製造に供される単量体;塗料、接着剤、界面活性剤、洗剤用ビルダー等の各種化学製品の製造原料;抗癌剤、抗ウイルス剤等の医薬品の中間体等として広範囲に用いられる有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】
従来より、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を製造する方法は各種報告されている。例えばJ.Org.Chem. Vol.20, 780−(1955年)には、下記一般式(2)で表される様に、ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチルを加水分解した後、脱二酸化炭素し、さらに脱水させα−ヒドロキシアルキルアクリル酸を製造する方法が開示されている。
【0004】
【化3】
【0005】
さらに、米国特許第 3,066,165号には、下記一般式(3)で表される様に、プロパギルアルコールと一酸化炭素と水を触媒である酢酸およびニッケルカルボニルの存在下に反応させα−ヒドロキシアルキルアクリル酸を製造する方法が開示されている。
【0006】
【化4】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法により得られるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、一分子中に水酸基とカルボン酸基を有するため、貯蔵時や輸送等の取り扱い時に、下記一般式(4):
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、R1 は水素原子または有機残基を表し、nは2以上の整数を表す)で表されるオリゴエステルおよび/またはポリエステルを形成し、安定でないという問題点を有している。
【0010】
また、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類を触媒として塩基を用いて加水分解した後、酸型に変換する方法では、アルカリ加水分解反応時に、一般式(5):
【0011】
【化6】
【0012】
(式中、R1 は水素原子または有機残基を表し、R3 は有機残基または対イオンを表す)で表される化合物等が副生する。該化合物等の架橋成分が、重合体を製造する際等に、ゲル化等の問題を引き起こす原因となっていた。
【0013】
しかしながら、従来より、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を安定化する方法については全く知見がなかった。
【0014】
本発明は、以上のごとき問題点を解決するためになされたものであり、オリゴエステルおよび/またはポリエステルを生成することなく、さらにはゲル化等を引き起こすことなく、安定に貯蔵や輸送、重合等の反応に用いることができるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法および安定性に優れたα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法および安定性に優れたα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を提供するため鋭意検討を重ねた結果、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純物の含有量を特定量以下とすることにより、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を安定化できることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
即ち、本発明は、下記一般式(1):
【0017】
【化7】
【0018】
(式中、R1 は水素原子または有機残基を表す)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を水に溶解させて水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純物の含有量をα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.1重量%以下とすることを特徴とするα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法に関する。
【0019】
本発明の他の発明は、下記一般式(1):
【0020】
【化8】
【0021】
(式中、R1 は水素原子または有機残基を表す)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を水に溶解させた水溶液であって、該水溶液中の架橋性不純物の含有量がα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.1重量%以下である安定性に優れたα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる一般式(1)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類において、式中R1 によって表される有機残基とは、炭素数1〜18の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化(例えば塩素化、臭素化またはフッ素化)アルキル基、またはアリール基である。これらのうち、炭素数1〜2の低級アルキル基(メチルまたはエチル)が好適に用いられる。
【0023】
一般式(1)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の代表例としては、α−ヒドロキシメチルアクリル酸、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0024】
本発明にかかるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液の製造方法は、特に限定されず、例えば
(i)下記一般式(6):
【0025】
【化9】
【0026】
で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類を、触媒として酸類を用いて加水分解する製法
(ii)ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチルを加水分解した後、脱二酸化炭素し、さらに脱水させる製法
(iii)プロパギルアルコールと一酸化炭素と水を触媒である酢酸およびニッケルカルボニルの存在下に反応させる製法
等が挙げられる。
【0027】
特に前記(i)の製法が、原料、触媒が安価であり、かつ特殊な製造装置を必要としない点、さらに架橋性不純物の副生が抑制できる点で好ましい。
【0028】
前記(i)の製法における一般式(6)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類において、式中R1 によって表される有機残基とは、炭素数1〜18の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化(例えば塩素化、臭素化またはフッ素化)アルキル基、またはアリール基である。これらのうち、炭素数1〜2の低級アルキル基(メチルまたはエチル)が好適に用いられる。
【0029】
R2 で表される有機残基とは、上記R1 の有機残基と同じであり、これらのうち炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシルまたはシクロヘキシル)およびアリール基(例えば、フェニル)が好適に用いられる。
【0030】
一般式(6)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の代表例としては、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸プロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸イソプロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸イソブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸tert−ブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ペンチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ヘキシル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸フェニル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ベンジル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸エチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸ブチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。これらは単独でも、あるいは二種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0031】
前記製法(i)におけるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類に対する水の添加量は、用いる該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の種類にもよるが、例えば、該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類 1モルに対して、1モル〜200モルの範囲内、好ましくは、1.5モル〜150モルの範囲内、さらに好ましくは、2モル〜100モルの範囲内、特に好ましくは、3モル〜50モルの範囲内になるようにすればよい。水の添加量が 1モルよりも少ない場合には、原料であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の一部が加水分解されず、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を効率的に製造できなくなるので好ましくない。また、水の添加量を 100モルよりも多くしても、水の増加に比例した、反応時間の短縮等は望めない。
【0032】
また、上記の範囲内において、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類と水が、反応初期において、均一系であっても不均一系であっても何ら問題はない。
【0033】
前記製法(i)において用いられる触媒は酸類である。
【0034】
上記の酸類としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸、およびその部分中和塩、タングストリン酸、モリブドリン酸、タングストケイ酸、モリブドケイ酸等のヘテロポリ酸、およびその部分中和塩、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、ギ酸、酢酸、ラウリン酸、オレイン酸等の有機カルボン酸等のプロトン酸;酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。これらの酸類は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0035】
上記酸類のうち、分離、再利用等の容易さから酸性イオン交換樹脂が特に好ましい。この様な酸性イオン交換樹脂としては、ベースレジンがフェノール系樹脂、スチレン系樹脂または(メタ)アクリル酸系樹脂であり、ゲル型、ポーラス型およびマクロポーラス型のうちの何れかの形態を示し、かつ、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基およびカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種のイオン交換基を含有するものであればよい。
【0036】
上記酸類の添加量は、用いるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の種類にもよるが、例えば、該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類1モルに対して、0.0001モル〜50モルの範囲内、好ましくは、0.001モル〜30モルの範囲内、さらに好ましくは0.005モル〜25モルの範囲内、特に好ましくは、0.01モル〜20モルの範囲内になるようにすればよい。酸性イオン交換樹脂の場合は、総交換容量が上記範囲内に入るようにすればよい。酸類の添加量が0.0001モルよりも少ない場合には、活性が十分に発揮されにくく、反応時間が長くなり過ぎ、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を効率的に製造できなくなるので好ましくない。また、酸類の添加量を50モルよりも多くしても、添加量の増加に比例した、反応時間の短縮等の効果のさらなる向上は望めず、添加した酸類の一部が無駄になり、経済的に不利となるので好ましくない。
【0037】
前記製法(i)における反応条件は、特に限定されるものではないが、原料であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類並びに、反応生成物であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、分子中に重合しやすい基を有している。従って、上記反応を行う際には、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類やα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の重合を抑制するために、反応系に重合防止剤(または重合禁止剤)や分子状酸素を添加することが好ましい。
【0038】
前記重合防止剤(または重合禁止剤)としては、具体的には、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、クロラニル、フェノチアジン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの重合防止剤(または重合禁止剤)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、分子状酸素としては、例えば、空気を用いることができるが、この場合、反応系に空気を吹き込む(いわゆる、バブリング)ようにすればよい。尚、上記重合を充分に抑制するために、重合防止剤(または重合禁止剤)と分子状酸素を併用することが好ましい。前記重合防止剤(または重合禁止剤)の添加量は、その総量が、原料であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の 0.001〜5重量%の範囲内、好ましくは、0.002〜4重量%の範囲内 さらに好ましくは、0.003〜3重量%の範囲内、特に好ましくは0.005〜1重量%の範囲内とすればよい。
【0039】
前記製法(i)における反応温度は、特に限定されるものではないが、前記した重合を抑制するために、0℃〜200℃の範囲内、好ましくは、20℃〜150℃の範囲内、さらに好ましくは30℃〜100℃の範囲内、特に好ましくは50℃〜80℃の範囲内になるようにすればよい。反応温度が 0℃よりも低い場合には、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を効率的に製造できなくなるので好ましくない。また、反応温度が 200℃よりも高い場合には、前記した重合を十分に抑制することができなくなるので好ましくない。反応時間は、上記反応が完結するように、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類、水及びの種類や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。また、反応圧力は、特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであってもよい。
【0040】
前記製法等で得られるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を、水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純物の含有量をα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.1重量%以下とすることにより、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化が計られる。
【0041】
前記架橋性不純物としては、一般式(5):
【0042】
【化10】
【0043】
(式中、R1 は水素原子または有機残基を表し、R3 は有機残基または対イオンを表す)等が挙げられる。
【0044】
前記架橋性不純物の含有量が前記水溶液中でα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.1重量%を超えると、重合体製造時や誘導体製造時にゲル化を引き起こす等の問題が生じる。
【0045】
本発明に係る水溶液を得る方法としては、前記の製法等で得られたα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純物の含有量をα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.1重量%以下になるように調製すればよい。
【0046】
前記製法等で得られた反応終了時の反応溶液を精製して、架橋性不純物の含有量がα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.1重量%以下であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を得た後、水を加えることによりα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液を得ることもできる。上記精製手段は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、酸類を中和および/または除去した後、溶媒を用いて洗浄し、その後、水および副生するアルコールを除去することにより精製できる。この場合、使用できる溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の脂肪酸アルキルエステル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、別の精製手段として、蒸留法やいわゆるカラムクロマトグラム法等によって分離、精製することもできる。
【0047】
特に前記製法(i)は、架橋成分が生成しないため、その製法で得られる反応終了後の反応溶液は、前記架橋性不純物の除去をすることなく本発明の水溶液に用いることができるので好ましい。
【0048】
本発明に係る水溶液には、酸類やアルコール類を含まれてもよく、重合時や誘導体化等に影響が無ければ、特に除去する必要はないが、酸類を中和および/または除去した後、アルコールを除去してもよい。
【0049】
本発明に係るα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類が0.01重量%〜99.9重量%の範囲内、好ましくは 1重量%〜95重量%の範囲内、より好ましくは 5重量%〜90重量%の範囲内、さらに好ましくは 8重量%〜85重量%の範囲内、特に好ましくは10重量%〜80重量%の範囲内とすればよい。α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の濃度が0.01重量%よりも低い場合には、重合や誘導体化等への応用が困難となるので好ましくない。α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の濃度が99.9重量%よりも高い場合には、前述のオリゴおよび/またはポリエステル化が十分に抑制できないので好ましくない。
【0050】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0051】
参考例1
温度計および撹拌装置を取り付けた500mlの反応容器に、アクリル酸エステル類としてのα−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤としてのヒドロキノンモノメチルエーテル0.03g、脱イオン水80.0gを仕込んで撹拌した。次に、上記反応容器に、触媒としての強酸性イオン交換樹脂(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製;商品名 Dowex−50W)50mlを添加した後、撹拌しながら徐々に加熱した。次いで、該反応溶液を60℃、常圧で5時間撹拌することにより反応を完了させた。
【0052】
反応終了後、該反応溶液を濾過してイオン交換樹脂を濾別し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸の10重量%水溶液を得た。高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)製、8020型)により測定した上記α−ヒドロキシメチルアクリル酸の収率は100モル%であり、架橋成分は存在しなかった。
【0053】
実施例1〜4
(安定性試験)
参考例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸の10重量%水溶液、および該水溶液に脱イオン水を添加し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸の濃度がそれぞれ、20重量%、50重量%、80重量%の水溶液を調製した。
【0054】
上記10重量%、20重量%、50重量%および80重量%のα−ヒドロキシメチルアクリル酸水溶液を、40℃の恒温器中に入れ、30日間貯蔵した後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量の変化を測定し、品質の安定性を評価したところ、いずれの水溶液も高分子量成分の生成は認められなかった。
【0055】
実施例5
(重合性試験)
参考例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸の50重量%水溶液10g、および重合開始剤としての2,2−アゾビス−2−アミノジノプロパン塩酸塩5重量%水溶液0.05gを試験管に入れ、窒素ガスを液相部に吹き込みながら、上記の内容物を濾紙(JIS規格検定1種)を用いて濾過したところ、該濾紙上には不溶物は濾別されなかった。
【0056】
比較参考例1
参考例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸の10重量%水溶液をさらにロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸を得た。
【0057】
比較参考例2
温度計および撹拌装置を取り付けた500mlの反応容器に、アクリル酸エステル類としてのα−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤としてのヒドロキノンモノメチルエーテル0.03g、脱イオン水80.0gを仕込んで撹拌した。次に、上記反応容器に、触媒としての水酸化ナトリウム20.4gを添加した後、撹拌しながら徐々に加熱した。次いで、該反応溶液を45℃、常圧で6時間撹拌することにより反応を完了させた後、塩酸 mlを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸の50重量%水溶液を得た。参考例1と同様の方法により測定した上記α−ヒドロキシメチルアクリル酸の収率は99.8モル%であり、前記一般式(5)におけるR1およびR3がともに水素で表される架橋成分が前記α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.15重量%副生していた。
【0058】
比較例1
比較参考例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸を、実施例1と同様に品質の安定性を評価した。
【0059】
その結果、試験後1日で、ポリエステル化を起こし、高分子量成分の生成が認められた。
【0060】
比較例2
比較参考例2で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸の50重量%水溶液を、実施例1と同様に品質の安定性を評価したところ、高分子量成分の生成は認められなかったが、実施例2と同様に重合試験を行ったところ、不溶物が濾別された。
【0061】
【発明の効果】
本発明を用いれば、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の誘導体やその重合体を製造する際に、ゲル化等の問題を引き起こさない。さらに、本発明を用いれば、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の貯蔵、輸送、移送等の際に、オリゴエステルおよび/またはポリエステル等を生成することなく安定的に取り扱うことができる。
Claims (2)
- 下記一般式(1):
該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液は、下記一般式(6):
該架橋性不純物は、下記一般式(5):
該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液の濃度は、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類が5重量%〜90重量%である
ことを特徴とするα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法。 - 前記α−ヒドロキシアルキルアクリル酸は、α−ヒドロキシメチルアクリル酸又はα−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸である
ことを特徴とする請求項1に記載のα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02803997A JP3953133B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02803997A JP3953133B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10218835A JPH10218835A (ja) | 1998-08-18 |
JP3953133B2 true JP3953133B2 (ja) | 2007-08-08 |
Family
ID=12237608
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02803997A Expired - Fee Related JP3953133B2 (ja) | 1997-02-12 | 1997-02-12 | α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3953133B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20180179499A1 (en) | 2015-06-04 | 2018-06-28 | Bioamber Inc. | Biobased production of functionalized alpha-substituted acrylates and c4-dicarboxylates |
WO2023167186A1 (ja) * | 2022-03-02 | 2023-09-07 | 株式会社日本触媒 | 重合性組成物 |
-
1997
- 1997-02-12 JP JP02803997A patent/JP3953133B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10218835A (ja) | 1998-08-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5585514A (en) | Process for the manufacture of biacetyl-free methyl methacrylate | |
JP2006509024A (ja) | 乳酸エチルの連続製造方法 | |
JPH07500089A (ja) | ポリオール化合物の製造方法 | |
JP3953133B2 (ja) | α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法 | |
JP4456939B2 (ja) | アダマンチルエステル類の精製方法 | |
US4458088A (en) | Continuous process for the extraction and esterification of carboxylic acid | |
JPH10109983A (ja) | 環状エステルの製造方法および精製方法 | |
JP3859290B2 (ja) | α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の製造方法 | |
JPWO2005040246A1 (ja) | アシロキシ酢酸重合体およびその製造方法 | |
JPH029851A (ja) | 第2ホルムアミドの合成方法 | |
JP4251712B2 (ja) | α−ヒドロキシメチルアクリレート化合物の製造方法 | |
JPH02193944A (ja) | (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 | |
JP4576173B2 (ja) | アダマンチル(メタ)アクリレート化合物の製造法 | |
JP2011105667A (ja) | フェニルエステルの製造方法 | |
JP2702249B2 (ja) | アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルアミノアルキルエステルの製造方法 | |
JP2003146981A (ja) | 6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸エステルの製造方法 | |
JP2686824B2 (ja) | ジペンタエリスリトールヘキサエステル化合物の製法 | |
US20190382331A1 (en) | Process for preparing bis(2-hydroxyethyl) terephthalate | |
JP2005132790A (ja) | 2−メチル−2−ヒドロキシ−1−プロピル(メタ)アクリレートの製造方法 | |
JP2000319227A (ja) | 2−ヒドロキシイソ酪酸エステルの製法 | |
JPS5967244A (ja) | アクリル酸エチルの製造法 | |
JP3726315B2 (ja) | ケトン酸エステルの精製法 | |
JP4046813B2 (ja) | アクリル酸エステル誘導体およびその製造方法 | |
JP4240565B2 (ja) | アクリル酸エステルの製造法 | |
JPH0827064A (ja) | 新規プロピオン酸エステル類およびその利用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060801 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060906 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20060906 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070116 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070215 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20070406 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070424 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070424 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100511 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120511 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |