JPH10218835A - α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法 - Google Patents

α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法

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JPH10218835A
JPH10218835A JP2803997A JP2803997A JPH10218835A JP H10218835 A JPH10218835 A JP H10218835A JP 2803997 A JP2803997 A JP 2803997A JP 2803997 A JP2803997 A JP 2803997A JP H10218835 A JPH10218835 A JP H10218835A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定に貯蔵、輸送、重合反応等に用いるため
のα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法を
提供する。 【解決手段】 α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を
水に溶解させて水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純物
の含有量をα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対し
て0.1重量%以下とすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−ヒドロキシア
ルキルアクリル酸類の安定化方法および安定性に優れた
α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液に関するも
のである。
【0002】α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、
分子中の水酸基が活性であるため、水溶性、高屈折率お
よび耐熱性を備えた重合体の製造に供される単量体;塗
料、接着剤、界面活性剤、洗剤用ビルダー等の各種化学
製品の製造原料;抗癌剤、抗ウイルス剤等の医薬品の中
間体等として広範囲に用いられる有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】従来より、α−ヒドロキシアルキルアク
リル酸類を製造する方法は各種報告されている。例えば
J.Org.Chem. Vol.20, 780−
(1955年)には、下記一般式(2)で表される様
に、ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチルを加水
分解した後、脱二酸化炭素し、さらに脱水させα−ヒド
ロキシアルキルアクリル酸を製造する方法が開示されて
いる。
【0004】
【化3】
【0005】さらに、米国特許第 3,066,165
号には、下記一般式(3)で表される様に、プロパギル
アルコールと一酸化炭素と水を触媒である酢酸およびニ
ッケルカルボニルの存在下に反応させα−ヒドロキシア
ルキルアクリル酸を製造する方法が開示されている。
【0006】
【化4】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法により得られるα−ヒドロキシアルキルアクリル
酸類は、一分子中に水酸基とカルボン酸基を有するた
め、貯蔵時や輸送等の取り扱い時に、下記一般式
(4):
【0008】
【化5】
【0009】(式中、R1 は水酸原子または有機残基を
表し、nは2以上の整数を表す)で表されるオリゴエス
テルおよび/またはポリエステルを形成し、安定でない
という問題点を有している。
【0010】また、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸
エステル類を触媒として塩基を用いて加水分解した後、
酸型に変換する方法では、アルカリ加水分解反応時に、
一般式(5):
【0011】
【化6】
【0012】(式中、R1 は水酸原子または有機残基を
表し、R3 は有機残基または対イオンを表す)で表され
る化合物等が副生する。該化合物等の架橋成分が、重合
体を製造する際等に、ゲル化等の問題を引き起こす原因
となっていた。
【0013】しかしながら、従来より、α−ヒドロキシ
アルキルアクリル酸類を安定化する方法については全く
知見がなかった。
【0014】本発明は、以上のごとき問題点を解決する
ためになされたものであり、オリゴエステルおよび/ま
たはポリエステルを生成することなく、さらにはゲル化
等を引き起こすことなく、安定に貯蔵や輸送、重合等の
反応に用いることができるα−ヒドロキシアルキルアク
リル酸類の安定化方法および安定性に優れたα−ヒドロ
キシアルキルアクリル酸類を提供することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、α−ヒ
ドロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法および安定
性に優れたα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を提供
するため鋭意検討を重ねた結果、α−ヒドロキシアルキ
ルアクリル酸類を水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純
物の含有量を特定量以下とすることにより、α−ヒドロ
キシアルキルアクリル酸類を安定化できることを見い出
し、本発明を完成させるに至った。
【0016】即ち、本発明は、下記一般式(1):
【0017】
【化7】
【0018】(式中、R1 は水酸原子または有機残基を
表す)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類
を水に溶解させて水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純
物の含有量をα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対
して0.1重量%以下とすることを特徴とするα−ヒド
ロキシアルキルアクリル酸類の安定化方法に関する。
【0019】本発明の他の発明は、下記一般式(1):
【0020】
【化8】
【0021】(式中、R1 は水酸原子または有機残基を
表す)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類
を水に溶解させた水溶液であって、該水溶液中の架橋性
不純物の含有量がα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類
に対して0.1重量%以下である安定性に優れたα−ヒ
ドロキシアルキルアクリル酸類水溶液に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明にかかる一般式(1)で表
されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類において、
式中R1 によって表される有機残基とは、炭素数1〜1
8の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数1
〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコ
キシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化(例えば塩
素化、臭素化またはフッ素化)アルキル基、またはアリ
ール基である。これらのうち、炭素数1〜2の低級アル
キル基(メチルまたはエチル)が好適に用いられる。
【0023】一般式(1)で表されるα−ヒドロキシア
ルキルアクリル酸類の代表例としては、α−ヒドロキシ
メチルアクリル酸、α−(1−ヒドロキシエチル)アク
リル酸等を挙げることができるが、特に限定されるもの
ではない。
【0024】本発明にかかるα−ヒドロキシアルキルア
クリル酸類水溶液の製造方法は、特に限定されず、例え
ば (i)下記一般式(6):
【0025】
【化9】
【0026】で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリ
ル酸エステル類を、触媒として酸類を用いて加水分解す
る製法 (ii)ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチルを
加水分解した後、脱二酸化炭素し、さらに脱水させる製
法 (iii)プロパギルアルコールと一酸化炭素と水を触
媒である酢酸およびニッケルカルボニルの存在下に反応
させる製法等が挙げられる。
【0027】特に前記(i)の製法が、原料、触媒が安
価であり、かつ特殊な製造装置を必要としない点、さら
に架橋性不純物の副生が抑制できる点で好ましい。
【0028】前記(i)の製法における一般式(6)で
表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類
において、式中R1 によって表される有機残基とは、炭
素数1〜18の直鎖状、分岐状または環状のアルキル
基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜
20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン
化(例えば塩素化、臭素化またはフッ素化)アルキル
基、またはアリール基である。これらのうち、炭素数1
〜2の低級アルキル基(メチルまたはエチル)が好適に
用いられる。
【0029】R2 で表される有機残基とは、上記R1
有機残基と同じであり、これらのうち炭素数1〜8の直
鎖状、分岐状または環状のアルキル基(例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エ
チルヘキシルまたはシクロヘキシル)およびアリール基
(例えば、フェニル)が好適に用いられる。
【0030】一般式(6)で表されるα−ヒドロキシア
ルキルアクリル酸エステル類の代表例としては、α−ヒ
ドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチ
ルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸
プロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸イソプロピ
ル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル、α−ヒド
ロキシメチルアクリル酸イソブチル、α−ヒドロキシメ
チルアクリル酸tert−ブチル、α−ヒドロキシメチルア
クリル酸ペンチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ヘ
キシル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸2−エチルヘ
キシル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸フェニル、α
−ヒドロキシメチルアクリル酸ベンジル、α−(1−ヒ
ドロキシエチル)アクリル酸メチル、α−(1−ヒドロ
キシエチル)アクリル酸エチル、α−(1−ヒドロキシ
エチル)アクリル酸ブチル、α−(1−ヒドロキシエチ
ル)アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることがで
きる。これらは単独でも、あるいは二種以上を適宜組み
合わせて使用することもできる。
【0031】前記製法(i)におけるα−ヒドロキシア
ルキルアクリル酸エステル類に対する水の添加量は、用
いる該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の
種類にもよるが、例えば、該α−ヒドロキシアルキルア
クリル酸エステル類 1モルに対して、1モル〜200
モルの範囲内、好ましくは、1.5モル〜150モルの
範囲内、さらに好ましくは、2モル〜100モルの範囲
内、特に好ましくは、3モル〜50モルの範囲内になる
ようにすればよい。水の添加量が 1モルよりも少ない
場合には、原料であるα−ヒドロキシアルキルアクリル
酸エステル類の一部が加水分解されず、α−ヒドロキシ
アルキルアクリル酸類を効率的に製造できなくなるので
好ましくない。また、水の添加量を 100モルよりも
多くしても、水の増加に比例した、反応時間の短縮等は
望めない。
【0032】また、上記の範囲内において、α−ヒドロ
キシアルキルアクリル酸エステル類と水が、反応初期に
おいて、均一系であっても不均一系であっても何ら問題
はない。
【0033】前記製法(i)において用いられる触媒は
酸類である。
【0034】上記の酸類としては、特に限定されるもの
ではないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、リン
酸、ホウ酸等の鉱酸、およびその部分中和塩、タングス
トリン酸、モリブドリン酸、タングストケイ酸、モリブ
ドケイ酸等のヘテロポリ酸、およびその部分中和塩、メ
タンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機スル
ホン酸、ギ酸、酢酸、ラウリン酸、オレイン酸等の有機
カルボン酸等のプロトン酸;酸性イオン交換樹脂等が挙
げられる。これらの酸類は、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0035】上記酸類のうち、分離、再利用等の容易さ
から酸性イオン交換樹脂が特に好ましい。この様な酸性
イオン交換樹脂としては、ベースレジンがフェノール系
樹脂、スチレン系樹脂または(メタ)アクリル酸系樹脂
であり、ゲル型、ポーラス型およびマクロポーラス型の
うちの何れかの形態を示し、かつ、スルホン酸基、アル
キルスルホン酸基およびカルボン酸基からなる群より選
ばれる少なくとも一種のイオン交換基を含有するもので
あればよい。
【0036】上記酸類の添加量は、用いるα−ヒドロキ
シアルキルアクリル酸エステル類の種類にもよるが、例
えば、該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類
1モルに対して、0.0001モル〜50モルの範囲
内、好ましくは、0.001モル〜30モルの範囲内、
さらに好ましくは0.005モル〜25モルの範囲内、
特に好ましくは、0.01モル〜20モルの範囲内にな
るようにすればよい。酸性イオン交換樹脂の場合は、総
交換容量が上記範囲内に入るようにすればよい。酸類の
添加量が0.0001モルよりも少ない場合には、活性
が十分に発揮されにくく、反応時間が長くなり過ぎ、α
−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を効率的に製造でき
なくなるので好ましくない。また、酸類の添加量を50
モルよりも多くしても、添加量の増加に比例した、反応
時間の短縮等の効果のさらなる向上は望めず、添加した
酸類の一部が無駄になり、経済的に不利となるので好ま
しくない。
【0037】前記製法(i)における反応条件は、特に
限定されるものではないが、原料であるα−ヒドロキシ
アルキルアクリル酸エステル類並びに、反応生成物であ
るα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、分子中に重
合しやすい基を有している。従って、上記反応を行う際
には、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類や
α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の重合を抑制する
ために、反応系に重合防止剤(または重合禁止剤)や分
子状酸素を添加することが好ましい。
【0038】前記重合防止剤(または重合禁止剤)とし
ては、具体的には、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノ
ンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、p−t−ブ
チルカテコール、クロラニル、フェノチアジン等が挙げ
られるが、特に限定されるものではない。これらの重合
防止剤(または重合禁止剤)は、一種類のみを用いても
よく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
また、分子状酸素としては、例えば、空気を用いること
ができるが、この場合、反応系に空気を吹き込む(いわ
ゆる、バブリング)ようにすればよい。尚、上記重合を
充分に抑制するために、重合防止剤(または重合禁止
剤)と分子状酸素を併用することが好ましい。前記重合
防止剤(または重合禁止剤)の添加量は、その総量が、
原料であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル
類の 0.001〜5重量%の範囲内、好ましくは、
0.002〜4重量%の範囲内 さらに好ましくは、
0.003〜3重量%の範囲内、特に好ましくは0.0
05〜1重量%の範囲内とすればよい。
【0039】前記製法(i)における反応温度は、特に
限定されるものではないが、前記した重合を抑制するた
めに、0℃〜200℃の範囲内、好ましくは、20℃〜
150℃の範囲内、さらに好ましくは30℃〜100℃
の範囲内、特に好ましくは50℃〜80℃の範囲内にな
るようにすればよい。反応温度が 0℃よりも低い場合
には、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を効率的に
製造できなくなるので好ましくない。また、反応温度が
200℃よりも高い場合には、前記した重合を十分に
抑制することができなくなるので好ましくない。反応時
間は、上記反応が完結するように、α−ヒドロキシアル
キルアクリル酸エステル類、水及びの種類や組み合わ
せ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。また、反
応圧力は、特に限定されるものではなく、常圧(大気
圧)、減圧、加圧の何れであってもよい。
【0040】前記製法等で得られるα−ヒドロキシアル
キルアクリル酸類を、水溶液とし、該水溶液中の架橋性
不純物の含有量をα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類
に対して0.1重量%以下とすることにより、α−ヒド
ロキシアルキルアクリル酸類の安定化が計られる。
【0041】前記架橋性不純物としては、一般式
(5):
【0042】
【化10】
【0043】(式中、R1 は水酸原子または有機残基を
表し、R3 は有機残基または対イオンを表す)等が挙げ
られる。
【0044】前記架橋性不純物の含有量が前記水溶液中
でα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.1
重量%を超えると、重合体製造時や誘導体製造時にゲル
化を引き起こす等の問題が生じる。
【0045】本発明に係る水溶液を得る方法としては、
前記の製法等で得られたα−ヒドロキシアルキルアクリ
ル酸類を水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純物の含有
量をα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.
1重量%以下になるように調製すればよい。
【0046】前記製法等で得られた反応終了時の反応溶
液を精製して、架橋性不純物の含有量がα−ヒドロキシ
アルキルアクリル酸類に対して0.1重量%以下である
α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を得た後、水を加
えることによりα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水
溶液を得ることもできる。上記精製手段は、特に限定さ
れるものではないが、具体的には、例えば、酸類を中和
および/または除去した後、溶媒を用いて洗浄し、その
後、水および副生するアルコールを除去することにより
精製できる。この場合、使用できる溶媒としては、例え
ば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン
等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸
ブチル等の脂肪酸アルキルエステル;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。また、別の精製手段とし
て、蒸留法やいわゆるカラムクロマトグラム法等によっ
て分離、精製することもできる。
【0047】特に前記製法(i)は、架橋成分が生成し
ないため、その製法で得られる反応終了後の反応溶液
は、前記架橋性不純物の除去をすることなく本発明の水
溶液に用いることができるので好ましい。
【0048】本発明に係る水溶液には、酸類やアルコー
ル類を含まれてもよく、重合時や誘導体化等に影響が無
ければ、特に除去する必要はないが、酸類を中和および
/または除去した後、アルコールを除去してもよい。
【0049】本発明に係るα−ヒドロキシアルキルアク
リル酸類水溶液の濃度は、特に限定されるものではない
が、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類が0.01重
量%〜99.9重量%の範囲内、好ましくは 1重量%
〜95重量%の範囲内、より好ましくは 5重量%〜9
0重量%の範囲内、さらに好ましくは 8重量%〜85
重量%の範囲内、特に好ましくは10重量%〜80重量
%の範囲内とすればよい。α−ヒドロキシアルキルアク
リル酸類の濃度が0.01重量%よりも低い場合には、
重合や誘導体化等への応用が困難となるので好ましくな
い。α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の濃度が9
9.9重量%よりも高い場合には、前述のオリゴおよび
/またはポリエステル化が十分に抑制できないので好ま
しくない。
【0050】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0051】参考例1 温度計および撹拌装置を取り付けた500mlの反応容
器に、アクリル酸エステル類としてのα−ヒドロキシメ
チルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤と
してのヒドロキノンモノメチルエーテル0.03g、脱
イオン水80.0gを仕込んで撹拌した。次に、上記反
応容器に、触媒としての強酸性イオン交換樹脂(ザ・ダ
ウ・ケミカル・カンパニー製;商品名 Dowex−5
0W)50mlを添加した後、撹拌しながら徐々に加熱
した。次いで、該反応溶液を60℃、常圧で5時間撹拌
することにより反応を完了させた。
【0052】反応終了後、該反応溶液を濾過してイオン
交換樹脂を濾別し、ロータリーエバポレーターを用いて
減圧濃縮し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸の10重
量%水溶液を得た。高速液体クロマトグラフィー(東ソ
ー(株)製、8020型)により測定した上記α−ヒド
ロキシメチルアクリル酸の収率は100モル%であり、
架橋成分は存在しなかった。
【0053】実施例1〜4 (安定性試験)参考例1で得られたα−ヒドロキシメチ
ルアクリル酸の10重量%水溶液、および該水溶液に脱
イオン水を添加し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸の
濃度がそれぞれ、20重量%、50重量%、80重量%
の水溶液を調製した。
【0054】上記10重量%、20重量%、50重量%
および80重量%のα−ヒドロキシメチルアクリル酸水
溶液を、40℃の恒温器中に入れ、30日間貯蔵した
後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)により分子量の変化を測定し、品質の安定性を評価
したところ、いずれの水溶液も高分子量成分の生成は認
められなかった。
【0055】実施例5 (重合性試験)参考例1で得られたα−ヒドロキシメチ
ルアクリル酸の50重量%水溶液10g、および重合開
始剤としての2,2−アゾビス−2−アミノジノプロパ
ン塩酸塩5重量%水溶液0.05gを試験管に入れ、窒
素ガスを液相部に吹き込みながら、上記の内容物を濾紙
(JIS規格検定1種)を用いて濾過したところ、該濾
紙上には不溶物は濾別されなかった。
【0056】比較参考例1 参考例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル酸の
10重量%水溶液をさらにロータリーエバポレーターを
用いて減圧濃縮し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸を
得た。
【0057】比較参考例2 温度計および撹拌装置を取り付けた500mlの反応容
器に、アクリル酸エステル類としてのα−ヒドロキシメ
チルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤と
してのヒドロキノンモノメチルエーテル0.03g、脱
イオン水80.0gを仕込んで撹拌した。次に、上記反
応容器に、触媒としての水酸化ナトリウム20.4gを
添加した後、撹拌しながら徐々に加熱した。次いで、該
反応溶液を45℃、常圧で6時間撹拌することにより反
応を完了させた後、塩酸 mlを添加した後、ロータ
リーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、α−ヒドロキ
シメチルアクリル酸の50重量%水溶液を得た。参考例
1と同様の方法により測定した上記α−ヒドロキシメチ
ルアクリル酸の収率は99.8モル%であり、前記一般
式(5)におけるR1およびR3がともに水素で表される
架橋成分が前記α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に
対して0.15重量%副生していた。
【0058】比較例1 比較参考例1で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル
酸を、実施例1と同様に品質の安定性を評価した。
【0059】その結果、試験後1日で、ポリエステル化
を起こし、高分子量成分の生成が認められた。
【0060】比較例2 比較参考例2で得られたα−ヒドロキシメチルアクリル
酸の50重量%水溶液を、実施例1と同様に品質の安定
性を評価したところ、高分子量成分の生成は認められな
かったが、実施例2と同様に重合試験を行ったところ、
不溶物が濾別された。
【0061】
【発明の効果】本発明を用いれば、α−ヒドロキシアル
キルアクリル酸類の誘導体やその重合体を製造する際
に、ゲル化等の問題を引き起こさない。さらに、本発明
を用いれば、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の貯
蔵、輸送、移送等の際に、オリゴエステルおよび/また
はポリエステル等を生成することなく安定的に取り扱う
ことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (式中、R1 は水酸原子または有機残基を表す)で表さ
    れるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を水に溶解さ
    せて水溶液とし、該水溶液中の架橋性不純物の含有量を
    α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して0.1重
    量%以下とすることを特徴とするα−ヒドロキシアルキ
    ルアクリル酸類の安定化方法。
  2. 【請求項2】 下記一般式(1): 【化2】 (式中、R1 は水酸原子または有機残基を表す)で表さ
    れるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を水に溶解さ
    せた水溶液であって、かつ該水溶液中の架橋性不純物の
    含有量がα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類に対して
    0.1重量%以下である安定性に優れたα−ヒドロキシ
    アルキルアクリル酸類水溶液。
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WO2023167186A1 (ja) * 2022-03-02 2023-09-07 株式会社日本触媒 重合性組成物

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