JP3859290B2 - α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の製造方法 - Google Patents

α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、分子中の水酸基が活性であるため、水溶性、高屈折率および耐熱性を備えた重合体の製造に供される単量体;塗料、接着剤、界面活性剤、洗剤用ビルダー等の各種化学製品の製造原料;抗癌剤、抗ウイルス剤等の医薬品の中間体等として広範囲に用いられる有用な化合物である。
【0003】
従来より、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を製造する方法は各種報告されている。例えば、J.Org.Chem. Vol.20,780−(1955年)には、下記一般式(3)で表される様に、ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチルを加水分解した後、脱二酸化炭素し、さらに脱水させα−ヒドロキシアルキルアクリル酸を製造する方法が開示されている。
【0004】
【化3】
Figure 0003859290
【0005】
さらに、米国特許第 3,066,165号には、下記一般式(4)で表される様に、プロパギルアルコールと一酸化炭素と水を触媒である酢酸およびニッケルカルボニルの存在下に反応させα−ヒドロキシアルキルアクリル酸を製造する方法が開示されている。
【0006】
【化4】
Figure 0003859290
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の製造方法により、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を製造する場合、反応工程が複雑であり、原料および触媒が高価である等の問題点を有している。
【0008】
さらに、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、一分子中に水酸基とカルボン酸基を有するため、製造時や取り扱い時等に、下記一般式(5):
【0009】
【化5】
Figure 0003859290
【0010】
(式中、R1 水素原子または有機残基を表し、nは2以上の整数を表す)で表されるオリゴエステルおよび/またはポリエステルを形成しやすい化合物である。
【0011】
また、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類を触媒として塩基を用いて加水分解した後、酸型に変換する方法では、アルカリ加水分解反応時に、下記一般式(6):
【0012】
【化6】
Figure 0003859290
【0013】
(式中、R水素原子または有機残基を表し、Rは有機残基または対イオンを表す)で表される化合物等が副生し、該化合物等の架橋成分が、重合体を製造する際等に、ゲル化等の問題を引き起こす原因となっていた。
【0014】
本発明は上記のごとき状況に鑑みてなされたものであり、架橋性不純物が生成することなく、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を安価にかつ高収率に製造する方法を提供することを目的とするものである。さらには、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を安定的に製造でき、なおかつ安定して貯蔵、輸送、移送等の取り扱いができる製造方法を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、架橋性不純物が生成することなく、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を安価にかつ高収率に製造する方法を提供するため鋭意検討を重ねた結果、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類を酸類の存在下に加水分解することにより安価に、高収率かつ高純度でα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を製造することができることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
即ち、本発明は、下記一般式(1):
【0017】
【化7】
Figure 0003859290
【0018】
(式中、R水素原子または有機残基を表し、Rは有機残基を表す)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類を、触媒として酸類を用いて加水分解することを特徴とする下記一般式(2):
【0019】
【化8】
Figure 0003859290
【0020】
(式中、R水素原子または有機残基を表す)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の製造方法に関するものである。
【0021】
前記製造方法は、生成するα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を水溶液の形態で得ることが、安定的に製造できなおかつ安定して取り扱いができる点で好ましいものである。
【0022】
前記触媒は、酸性イオン交換樹脂であることが、分離、再利用等が容易で工業的プロセス上有利である点で好ましいものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる前記一般式(1)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類において、式中、R1 によって表される有機残基とは、炭素数1〜18の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化(例えば塩素化、臭素化またはフッ素化)アルキル基、またはアリール基である。これらのうち、炭素数1〜2の低級アルキル基(メチルまたはエチル)が好適に用いられる。
【0024】
2 で表される有機残基とは、上記R1 の有機残基と同じであり、これらのうち炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2-エチルヘキシルまたはシクロヘキシル)およびアリール基(例えば、フェニル)が好適に用いられる。
【0025】
前記一般式(1)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の代表例としては、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸プロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸イソプロピル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸イソブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸tert−ブチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ペンチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ヘキシル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸フェニル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ベンジル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸エチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸ブチル、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。これらは単独でも、あるいは二種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0026】
α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類に対する水の添加量は、用いる該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の種類にもよるが、例えば、該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類1モルに対して、1モル〜200モルの範囲内、好ましくは、1.5モル〜150モルの範囲内、さらに好ましくは、2モル〜100モルの範囲内、特に好ましくは、3モル〜50モルの範囲内になるようにすればよい。水の添加量が前記範囲よりも少ない場合には、原料であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の一部が加水分解されず、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を効率的に製造できなくなる場合がある。また、水の添加量を前記範囲よりも多くしても、水の増加に比例した、反応時間の短縮等は望めない場合がある。
【0027】
また、上記の範囲内において、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類と水が、反応初期において、均一系であっても不均一系であっても何ら問題はない。
【0028】
本発明に用いられる触媒は酸類である。
【0029】
上記の酸類としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸、およびその部分中和塩、タングストリン酸、モリブドリン酸、タングストケイ酸、モリブドケイ酸等のヘテロポリ酸、およびその部分中和塩、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、ギ酸、酢酸、ラウリン酸、オレイン酸等の有機カルボン酸等のプロトン酸;酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。これらの酸類は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0030】
上記酸類のうち、分離、再利用等の容易さから、酸性イオン交換樹脂が特に好ましい。この様な酸性イオン交換樹脂としては、ベースレジンがフェノール系樹脂、スチレン系樹脂または(メタ)アクリル酸系樹脂であり、ゲル型、ポーラス型およびマクロポーラス型のうちの何れかの形態を示し、かつ、スルホン酸基、アルキルスルホン酸基およびカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも一種のイオン交換基を含有するものであればよい。
【0031】
上記酸類の添加量は、用いるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の種類にもよるが、例えば、該α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類1モルに対して、0.0001モル〜50モルの範囲内、好ましくは、0.001モル〜30モルの範囲内、さらに好ましくは 0.005モル〜25モルの範囲内、特に好ましくは、0.01モル〜20モルの範囲内になるようにすればよい。酸性イオン交換樹脂の場合は、総交換容量が上記範囲内に入るようにすればよい。酸類の添加量が前記範囲よりも少ない場合には、活性が十分に発揮されにくく、反応時間が長くなり過ぎ、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を効率的に製造できなくなる場合がある。また、酸類の添加量を前記範囲よりも多くしても、添加量の増加に比例した、反応時間の短縮等の効果のさらなる向上は望めず、添加した酸類の一部が無駄になり、経済的に不利となる場合がある。
【0032】
本発明の反応を行う際の反応条件等は、特に限定されるものではないが、原料であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類並びに、反応生成物であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、分子中に重合しやすい基を有している。従って、上記反応を行う際には、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類やα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の重合を抑制するために、反応系に重合防止剤(または重合禁止剤)や分子状酸素を添加することが好ましい。
【0033】
前記重合防止剤(または重合禁止剤)としては、具体的には、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p-ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、クロラニル、フェノチアジン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの重合防止剤(または重合禁止剤)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、分子状酸素としては、例えば、空気を用いることができるが、この場合、反応系に空気を吹き込む(いわゆる、バブリング)ようにすればよい。尚、上記重合を充分に抑制するために、重合防止剤(または重合禁止剤)と分子状酸素を併用することが好ましい。
【0034】
前記重合防止剤(または重合禁止剤)の添加量は、その総量が、原料であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類の0.001〜5重量%の範囲内、好ましくは、0.002〜4重量%の範囲内 さらに好ましくは、0.003〜3重量%の範囲内、特に好ましくは、0.005〜1重量%の範囲内とすればよい。
【0035】
また、反応温度は、特に限定されるものではないが、前記した重合を抑制するために、0℃〜200℃の範囲内、好ましくは、20℃〜150℃の範囲内、さらに好ましくは30℃〜100℃の範囲内、特に好ましくは50℃〜80℃の範囲内になるようにすればよい。反応温度が前記範囲よりも低い場合には、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を効率的に製造できなくなる場合がある。また、反応温度が前記範囲よりも高い場合には、前記した重合を十分に抑制することができなくなる場合がある。反応時間は、上記反応が完結するように、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類、水及びの種類や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。また、反応圧力は、特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであってもよい。
【0036】
本発明にかかる製造方法によって得られる一般式(2)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類において、式中R1 によって表される有機残基とは、炭素数1〜18の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン化(例えば塩素化、臭素化またはフッ素化)アルキル基、またはアリール基である。これらのうち、炭素数1〜2の低級アルキル基(メチルまたはエチル)が好適に用いられる。
【0037】
前記一般式(2)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の代表例としては、α−ヒドロキシメチルアクリル酸、α−(1−ヒドロキシエチル)アクリル酸等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0038】
本発明の反応生成物であるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、貯蔵時のオリゴエステルおよび/またはポリエステル化を避けるため、水溶液組成物とすることが望ましい。該水溶液組成物を得る方法としては、反応終了時の反応溶液をα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液組成物とすればよい。該水溶液組成物には、触媒である酸類と副生するアルコール類を含まれるが、重合や誘導体化等に影響が無ければ、特に除去する必要はない。また、反応溶液から酸類を中和および/または除去した後、副生するアルコールを除去し、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液組成物として得ることもできる。さらに、該水溶液組成物から水を除去することにより、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を得た後、水を加えることによりα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液組成物を得ることもできる。また、反応溶液を精製することによりα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を得た後、水を加えることによりα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液組成物を得ることもできる。上記精製手段は、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、酸類を中和および/または除去した後、溶媒を用いて洗浄し、その後、水および副生するアルコールを除去することにより精製できる。この場合、使用できる溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等の脂肪酸アルキルエステル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、別の精製手段として、蒸留法やいわゆるカラムクロマトグラム法等によって分離、精製することもできる。
【0039】
以上のようにして得られるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類水溶液組成物の濃度は、特に限定されるものではないが、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類が0.01重量%〜99.9重量%の範囲内、好ましくは 1重量%〜95重量%の範囲内、より好ましくは 5重量%〜90重量%の範囲内、さらに好ましくは 8重量%〜85重量%の範囲内、特に好ましくは10重量%〜80重量%の範囲内とすればよい。α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の濃度が前記範囲よりも低い場合には、重合や誘導体化等への応用が困難となる場合がある。α−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の濃度が前記範囲よりも高い場合には、前述のオリゴエステルおよび/またはポリエステル化が十分に抑制できない場合がある。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0041】
実施例1
温度計および撹拌装置を取り付けた500mlの反応容器に、アクリル酸エステル類としてのα−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤としてのヒドロキノンモノメチルエーテル0.03g、脱イオン水80.0gを仕込んで撹拌した。次に、上記反応容器に、触媒としての強酸性イオン交換樹脂(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製;商品名 Dowex−50W)50mlを添加した後、撹拌しながら徐々に加熱した。次いで、該反応溶液を60℃、常圧で5時間撹拌することにより反応を完了させた。
【0042】
反応終了後、該反応溶液を濾過してイオン交換樹脂を濾別した。得られた濾液を酢酸エチル 100mlで2回洗浄した後、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.02gを添加し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸の50重量%水溶液を得た。高速液体クロマトグラフィー(東ソー(株)製、8020型)により測定した上記α−ヒドロキシメチルアクリル酸の収率は100モル%であり、架橋成分は存在しなかった。
【0043】
さらに上記α−ヒドロキシメチルアクリル酸50重量%水溶液を、40℃の恒温器中に入れ、30日間貯蔵した後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量の変化を測定し、品質の安定性を評価したところ、高分子量成分の生成は認められなかった。
【0044】
実施例2
実施例1の反応容器と同様の反応容器を用い、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤としてのヒドロキノン0.05g、脱イオン水135.0gを仕込んで撹拌した。
【0045】
次に、上記反応容器に、触媒としての強酸性イオン交換樹脂(住友化学工業株式会社製;商品名 デュオライトC−26)50mlを添加した後、撹拌しながら徐々に加熱した。次いで、該反応溶液を60℃、常圧で5時間撹拌することにより反応を完了させた。
【0046】
反応終了後、該反応溶液を濾過してイオン交換樹脂を濾別した。得られた濾液をロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸の20重量%水溶液を得た。
【0047】
実施例1と同様の方法により測定した上記α−ヒドロキシメチルアクリル酸の収率は100モル%であり、架橋成分は存在しなかった。
【0048】
実施例3
実施例1の反応容器と同様の反応容器を用い、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤としてのp−t−ブチルカテコール0.04g、脱イオン水 150.0gを仕込んで撹拌した。
【0049】
次に、上記反応容器に、触媒としての強酸性イオン交換樹脂(ローム・アンド・ハース社製;商品名 アンバーライト200C)50mlを添加した後、撹拌しながら徐々に加熱した。次いで、該反応溶液を75℃、常圧で5時間撹拌することにより反応を完了させた。
【0050】
反応終了後、該反応溶液を濾過してイオン交換樹脂を濾別することにより、α−ヒドロキシメチルアクリル酸を水溶液の形態で得た。
【0051】
実施例1と同様の方法により測定した上記α−ヒドロキシメチルアクリル酸の収率は100モル%であり、架橋成分は存在しなかった。
【0052】
実施例4
実施例1の反応容器と同様の反応容器を用い、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤としてのp−ベンゾキノン0.05g、脱イオン水 100.0gを仕込んで撹拌した。次に、上記反応容器に、触媒としての塩酸 0.4gを添加した後、撹拌しながら徐々に加熱した。次いで、該反応溶液を80℃、常圧で4時間撹拌することにより反応を完了させ、α−ヒドロキシメチルアクリル酸を水溶液の形態で得た。
【0053】
実施例1と同様の方法により測定した上記α−ヒドロキシメチルアクリル酸の収率は100モル%であり、架橋成分は存在しなかった。
【0054】
比較例1
実施例1の反応容器と同様の反応容器を用い、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル65.0g、および重合防止剤としてのp−ベンゾキノン0.05g、脱イオン水100.0gを仕込んで撹拌した。
【0055】
次に、上記反応容器に、触媒としての水酸化ナトリウム20.4gを添加した後、撹拌しながら徐々に加熱した。次いで、該反応溶液を80℃、常圧で4時間撹拌することにより反応を完了させた後、塩酸を添加してα−ヒドロキシメチルアクリル酸を得た。
【0056】
実施例1と同様の方法により測定した上記α−ヒドロキシメチルアクリル酸の収率は94モル%であり、前記一般式(6)におけるR1およびR3がいずれも水素である架橋成分は、5.3重量%(対α−ヒドロキシメチルアクリル酸)生成していた。
【0057】
【発明の効果】
本発明を用いれば、簡便で安価にかつ高収率で、架橋性不純物が生成することなく高純度でα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を製造することができる。
【0058】
また、本発明により得られるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、架橋成分が生成しないため、重合体製造時等に、ゲル化等の問題を引き起こさない。
【0059】
また、本発明により得られるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類は、貯蔵時、輸送時、移送時等においても、オリゴエステルおよび/またはポリエステルを生成することなく安定に取り扱うことができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0003859290
    (式中、R水素原子または有機残基を表し、Rは有機残基を表す)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル類を、触媒として酸類を用いて加水分解することを特徴とする下記一般式(2):
    Figure 0003859290
    (式中、R1水素原子または有機残基を表す)で表されるα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の製造方法。
  2. 生成するα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類を水溶液の形態で得ることを特徴とする請求項1記載のα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の製造方法。
  3. 前記触媒が、酸性イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のα−ヒドロキシアルキルアクリル酸類の製造方法。
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