JPH0995533A - 無色透明性ポリイミド樹脂材料およびそれを用いたフィルムまたはコーティング膜 - Google Patents

無色透明性ポリイミド樹脂材料およびそれを用いたフィルムまたはコーティング膜

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JPH0995533A
JPH0995533A JP27648295A JP27648295A JPH0995533A JP H0995533 A JPH0995533 A JP H0995533A JP 27648295 A JP27648295 A JP 27648295A JP 27648295 A JP27648295 A JP 27648295A JP H0995533 A JPH0995533 A JP H0995533A
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sublimation
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Toshihiko Matsumoto
利彦 松本
Juichi Kurosaki
壽一 黒崎
Toshinobu Ono
敏信 大野
Ikuzo Nishiguchi
郁三 西口
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
Osaka City
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
Osaka City
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フッ素原子またはリン原子を含まない新規な
ポリイミドであって無色透明性のポリイミド樹脂材料、
その中間体であるポリアミック酸のフェノール系溶媒お
よび/または非プロトン性極性溶媒溶液および上記樹脂
材料を用いたフィルムまたはコーティング膜を提供す
る。 【解決手段】 下式[1]または[2]で表される酸二
無水物を昇華等により十分に精製してジアミンと反応さ
せて得られ、15μm厚のフィルムの、250〜800
nmの紫外線・可視光吸収スペクトルのグラフにおいて
透過部分の面積が、全面積の70%以上であるポリイミ
ド樹脂材料、その中間体溶液およびその樹脂材料を用い
たフィルムまたはコーティング膜。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フッ素原子または
リン原子を全く含まない新規な無色透明性ポリイミド樹
脂材料およびその中間体であるポリアミック酸のフェノ
ール系溶媒および/または非プロトン性極性溶媒溶液な
らびに上記樹脂材料を用いたフィルムまたはコーティン
グ膜に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは、優れた耐熱性を有するの
で、種々の分野で重用されている機能性樹脂であるが、
一般に着色が強く、不透明であるために用途に限界があ
った。
【0003】そこで、色相および透明性の改善について
研究が行われ、例えば特開平6−271670号公報の
ように、ポリイミドを構成する1つの成分であるテトラ
カルボン酸二無水物として、フッ素原子を含む化合物が
使われるようになった。しかしながら、フッ素原子を含
むテトラカルボン酸二無水物は、製法が複雑でしかも原
料が高価なために不経済であるという欠点があった。
【0004】また、他の方法としてポリイミドの中間体
のポリアミック酸を合成する際に、亜リン酸トリフェニ
ルを加えて透明性を改善することも知られているが(特
開平6−116331号)、この場合は得られたポリイ
ミドが微量のリン原子を含有し、エレクトロニクス用と
しては好ましくないという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
このような欠点を解決するもので、その目的は、分子中
にフッ素原子を含まず、かつ、リン原子を含まない新規
なポリイミドであって、しかも無色透明性のポリイミド
樹脂材料およびその中間体であるポリアミック酸のフェ
ノール系溶媒および/または非プロトン性極性溶媒溶液
ならびに上記樹脂材料を用いたフィルムまたはコーティ
ング膜を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、精製した特定構造のテトラカルボン酸二無水
物とジアミンから得られるポリイミド樹脂材料は、紫外
線・可視光吸収スペクトルにおいて特定の性質を示し、
上記目的を達成することができることを見出し、本発明
を完成した。
【0007】すなわち、本発明の要旨は、第1に、式
[1]または[2]
【化3】
【化4】 で表されるビシクロ[2.2.2]オクタンテトラカル
ボン酸二無水物を再結晶と昇華との組合せ、活性炭処理
と再結晶との組合せ、または活性炭処理と再結晶と昇華
との組合せで精製してジアミンと反応させることにより
得られ、厚さ15μmのフィルムにして測定した紫外線
・可視光吸収スペクトルのグラフにおいて、250〜8
00nmの波長の範囲内における平均透過率が、70%
以上であることを特徴とする無色透明性ポリイミド樹脂
材料にあり、第2に、上記式[1]または[2]で表さ
れるビシクロ[2.2.2]オクタンテトラカルボン酸
二無水物を再結晶と昇華との組合せ、活性炭処理と再結
晶との組合せ、または活性炭処理と再結晶と昇華との組
合せで精製してジアミンと部分的に反応させることによ
り得られるポリアミック酸のフェノール系溶媒および/
または非プロトン性極性溶媒溶液であって、それを加
熱、硬化させて厚さ15μmのポリイミドフィルムにし
て測定した紫外線・可視光吸収スペクトルのグラフにお
いて、250〜800nmの波長の範囲内における平均
透過率が、70%以上であることを特徴とするポリアミ
ック酸のフェノール系溶媒および/または非プロトン性
極性溶媒溶液にあり、第3に、上記無色透明性ポリイミ
ド樹脂材料を用いたフィルムまたはコーティング膜にあ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の上記樹脂材料は、本発明
者等の発明による特願平6−119610号に記載の新
規なポリイミドと同一の構造を有するものであり、該ポ
リイミドは殆ど無色に近く透明性もかなり高いものであ
るが、本発明においてはその原料となるビシクロ[2.
2.2]オクタンテトラカルボン酸二無水物を十分に精
製して用いる。
【0009】精製方法としては、再結晶と昇華との組合
せによる精製、活性炭処理と再結晶との組合せによる精
製、さらに活性炭処理、再結晶および昇華との組合せに
よる精製が挙げられ、好ましくは再結晶と昇華との組合
せによる精製である。単なる再結晶による精製では不十
分であり、本発明の規定する紫外線・可視光吸収スペク
トルにおける特性を有するポリイミド樹脂材料を得るこ
とはできない。なお、昇華とは、本来、固体から液体に
ならずに直接蒸気(気体)になることをいうが、本発明
においては、加熱により融点以上の温度になり、粘性の
高い溶融状態から蒸気(気体)になることも昇華に含め
るものとする。
【0010】本発明のポリイミド樹脂材料の原料の1つ
である上記式[1]または[2]で表されるビシクロ
[2.2.2]オクタンテトラカルボン酸二無水物は、
上記特願平6−119610号および同じく本発明者等
の発明による特願平6−119611号に記載の方法に
より安価に簡便に製造することができる。製造法の一例
の概略は、フタル酸またはそれらのアルキルエステルの
電解還元により得られる3,5−シクロヘキサジエン−
trans−1,2−ジカルボン酸またはそのアルキル
エステルを用い、マレイン酸、フマル酸またはそのアル
キルエステルまたは無水マレイン酸とのDiels-Alder 反
応によってビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−
2,3,5,6−テトラカルボン酸またはそのアルキル
エステルとし、水素化後脱水環化するというものであ
る。
【0011】また、もう一方の原料であるジアミンとし
ては、上記テトラカルボン酸二無水物のイミド化が可能
であれば特に限定されないが、例えば4,4´−ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルエ
ーテル、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、4,
4´−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4´−ジア
ミノベンゾフェノン、1,4″−ジアミノテルフェニ
ル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,
3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、2,2
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロ
パン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]
スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル]スルホンおよび4,4´−(p−アミノフェノキ
シ)ビフェニル等が挙げられる。これらのジアミンは、
それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上の混合物とし
て用いてもよい。また、これらのジアミンは上記テトラ
カルボン酸二無水物のような精製をせずに用いることも
できるが、精製をすればなおよい。
【0012】上記のようなテトラカルボン酸二無水物お
よびジアミンとからポリイミドを得る方法としては、高
温でのみ重合させる一段重合法、または低温で先ずアミ
ック酸を合成し、その後高温でイミド化する二段重合法
があるが、高分子量のポリイミドを得るためには、好ま
しくは二段重合法で行なわれる。一段重合法による場合
は、重合条件としては120〜350℃、好ましくは1
50〜300℃の温度で0.5〜20時間、好ましくは
1〜15時間であり、二段重合法の場合は、ポリアミッ
ク酸合成を0〜120℃、好ましくは15〜120℃、
さらに好ましくは80〜110℃の温度で0.5〜10
0時間、好ましくは1〜100時間で行ない、その後イ
ミド化を120〜350℃、好ましくは150〜300
℃の温度で0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間
で行なう。一段目のポリアミック酸合成を0〜120℃
の範囲内であって、その高温側で行えば、重合度の高い
ポリアミック酸が得られ、それをイミド化すればイミド
化率が高い重合物が得られ、このような樹脂材料は靱性
に特に優れている。ポリイミドの靱性を高めるには、ポ
リアミック酸生成の段階で出来るだけ重合度を上げ、し
かもイミド化を抑制することが重要で、そのためには、
本発明の場合は80〜110℃が最適である。高重合度
のポリイミドを得たい場合に第一段目であまり高温にす
るとポリアミック酸の重合度が上がらないうちにイミド
化が始まり、好ましくない。
【0013】一段重合および二段重合の場合とも重合溶
媒としては、フェノール系溶媒および非プロトン性極性
溶媒が用いられ、フェノール系溶媒としては、例えばフ
ェノール、4−メトキシフェノール、2,6−ジメチル
フェノール、m−クレゾール等が挙げられ、非プロトン
性極性溶媒としては、例えばN,N−ジメチルアセトア
ミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチル
ホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン、ジメチルスルホキシド、カプロラクタム、テトラメ
チル尿素、スルホラン、ブチロラクトン等が挙げられ
る。これらの重合溶媒は単独または混合して使用でき
る。
【0014】ポリイミドを成形品とする場合は、例え
ば、ポリアミック酸の溶液を、アセトン等の貧溶媒に加
えることによりポリアミック酸を沈澱させ、得られた固
体から溶媒を除去しさらに120℃以上、好ましくは1
50℃以上350℃以下の温度で加熱することによりイ
ミド化反応を行えばよく、ガラス転移点が低いポリイミ
ド樹脂の場合には射出成形等の成形が可能になる。
【0015】ポリイミドをフィルム状または膜状に成形
する場合は、例えば、ポリアミック酸の溶液を、室温に
おいてガラス板等に均一に塗布した後に、加熱炉に入
れ、減圧下で予め90℃以下に加熱して溶媒を除去した
後にイミド化反応を行う。また、一旦硬化させた塊状、
粒状等のポリイミドについても、再度溶媒に溶解した後
に、例えば板ガラス上に塗布し、オーブン内で加熱して
溶媒を除去することにより、透明なポリイミドフィルム
またはコーティング膜を得ることができる。
【0016】ポリイミドを溶解し得る溶媒は、N,N−
ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、m−クレゾ
ール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンまたは
ジメチルスルホキシド等の極性溶媒である。
【0017】本発明の樹脂材料は、透明性の指標となる
厚さ15μmのフィルムにして測定した紫外線・可視光
吸収スペクトルのグラフにおいて、250〜800nm
の波長の範囲内における平均透過率が、70%以上であ
り、従来市販されているポリイミドや単に再結晶しただ
けの原料を用いたビシクロ[2.2.2]オクタンテト
ラカルボン酸二無水物のポリイミドでは到達し得ない値
である。ここで平均透過率70%以上とは、さらに具体
的に述べれば、厚さ15μmのフィルムの紫外線・可視
光吸収スペクトルのグラフにおいて、縦軸に0〜100
%の透過率を採り、横軸に250〜800nmの範囲の
波長を採ったグラフにおける透過部分の面積の全グラフ
面積に対する比率が70%以上であるということであ
る。
【0018】このように優れた透明性を有する本発明の
樹脂材料は、ポリイミド本来の特性である耐熱性および
靱性にも優れており、広範囲の分野に使用し得るが、リ
ン原子を含まないのでエレクトロニクス分野にも使用で
き、将来、光を使った応答が必要になるであろうと予想
される光スイッチ等のフォトニクスの分野、光ファイバ
ーの分岐用の素子材料または液晶配向膜等に特に好適で
ある。
【0019】
【実施例】本発明を以下の実施例により詳細に説明する
が、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定される
ものではない。
【0020】実施例1 オイルバス中に設置された回転子式攪拌機、アリーン冷
却管を備えた30mlの三つ口フラスコ中に、窒素気流
下、室温においてジアミノジフェニルエーテル(以下D
DEと略記する。)400mg(2mmol)を含む
N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAcと略記す
る。)溶液4.5gを加えて、次に1rC7−ビシクロ
[2.2.2]オクタン−2t,3t,5c,6c−テ
トラカルボン酸二無水物(これは通常endo−exo
ビシクロ[2.2.2]オクタンテトラカルボン酸二無
水物と呼ばれ、以下簡単のためにendo−exo酸二
無水物と記す。)500mg(2mmol)を5回に分
けて加えた。1〜4回目については、加えた後にそれぞ
れ90℃で1時間づつ、5回目は90℃で44時間反応
させ、合計48時間の反応により、ポリアミック酸の溶
液(濃度:0.18g/mlDMAc)を得た。
【0021】本実施例に用いた原料および溶媒は、以下
のような方法で精製した。DMAcは、DMAc1 lに
対してP25(五酸化二リン)30gを加えて、室温で
一晩攪拌した(不純物とN,N−ジメチルアミンを除去
するため)。P25をデカンテーションで除いた後、B
aO(酸化バリウム)10gを加えて1時間還流した
後、減圧蒸留した。モレキュラーシーブ4Aを入れ、窒
素雰囲気下、室温で遮光保存した。endo−exo酸
二無水物は、特願平6−119611号に記載の方法に
より合成し、溶媒として無水酢酸を用いて再結晶後更に
1mmHgの減圧下で、180℃において昇華させて精
製した。DDEは、溶媒としてメタノールを用いて再結
晶後に1mmHgの減圧下、125℃で昇華させて精製
した。
【0022】上記ポリアミック酸溶液の一部をガラス板
の上に塗布した後に、加熱炉に移して、減圧下で、80
℃で2時間処理して溶媒を除去し、その後さらに250
℃で2時間加熱処理することによりイミド化反応を行わ
せて厚さ15μmのポリイミドフィルムを得た。該フィ
ルムを用いて測定した、縦軸が0〜100%の透過率
を、そして横軸が250〜800nmの波長を示す紫外
線・可視光吸収スペクトルのグラフにおいて、全面積に
対する透過部分の占める割合は、71.9%であった。
また、赤外スペクトルのアミック酸に基づく1660c
-1の吸収が全く認められないことから、このポリイミ
ドにはアミック酸部分は全く含まれず、イミド閉環率は
100%であると考えられる。
【0023】DMAc溶液で測定したポリアミック酸の
固有粘度は0.40(dl/g)であり、得られたポリ
イミドフィルムのガラス転移点(TMA法)は383℃
であった。また、長さ3mm、幅2mm、厚さ20μm
の試験片を用いてTMA装置により引張速度1mm/分
で測定したフィルムの引張強度は、63.5MPaであ
った。以下、引張強度は同様の方法で測定した。
【0024】また、上記ポリアミック酸溶液(濃度:
0.18g/mlDMAc)2mlを大量のアセトンに
加えて沈澱させた沈澱物をろ過し、沈澱物からDMAc
およびアセトン溶媒を除去した後に、80℃で2時間お
よび250℃で2時間処理し、DMAcおよびアセトン
を完全に除去するとともにイミド化反応を行わせてポリ
イミドの固体0.33gを得た。得られた固体の各種溶
媒に対する溶解度試験を行った結果、N−メチル−2−
ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、DMA
c、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチ
ルスルホキシド、m−クレゾール、ピリジンおよび濃硫
酸に対して溶解した。また、得られた固体のポリイミド
を再びDMAcに溶解させ、上と同様に厚さ15μmの
ポリイミドフィルムを得たが、ポリアミック酸溶液から
直接得たフィルムと同等の物性を示した。
【0025】実施例2 実施例1において使用したDDEの代わりに、溶媒とし
てベンゼン:n−ヘキサン配合比が1:1(vol/vol)
の混合溶媒を用いて2回再結晶を行った後に、1mmH
gの減圧下で、110℃において昇華したジアミノジフ
ェニルメタン(以下DDMと略記する。)を用いた以外
は、実施例1と全く同じ条件で実験を行った。得られた
厚さ15μmのポリイミドフィルムの実施例1における
と同様の紫外線・可視光吸収スペクトルのグラフにおけ
る透過部分の面積の全面積に占める割合は71.5%で
あった。DMAc溶液で測定したポリアミック酸の固有
粘度は0.16(dl/g)であり、ポリイミドフィル
ムのガラス転移点(TMA法)は385℃であった。
【0026】実施例3 実施例1において使用したendo−exo酸二無水物
の代わりに、実施例1におけると同様に精製した1rC
7−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2c,3c,5
c,6c−テトラカルボン酸二無水物(これは通常ex
o−exoビシクロ[2.2.2]オクタンテトラカル
ボン酸二無水物と呼ばれ、以下簡単のためにexo−e
xo酸二無水物と記す。)を用い、ポリアミック酸を製
造するための反応温度を95℃とした以外は、実施例1
と全く同じ条件で実験を行った。得られた厚さ15μm
のポリイミドフィルムを用いて測定した紫外線・可視光
吸収スペクトルのグラフにおける全面積に対する透過部
分の面積の占める割合は74.0%であった。得られた
透過率の曲線を図1に示す。DMAc溶液で測定したポ
リアミック酸の固有粘度は0.34(dl/g)であ
り、ポリイミドフィルムで測定したガラス転移点(TM
A法)は385℃、フィルムの引張強度は96.4MP
aであった。
【0027】実施例4 実施例1において使用したDDEの代わりに、溶媒とし
てメタノールを用いて2回再結晶を行った後に、1mm
Hgの減圧下で、150℃において昇華した1,3−ビ
ス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下1,3−B
ABと略記する。)を用いた以外は、実施例1と全く同
じ条件で実験を行った。得られた厚さ15μmのポリイ
ミドフィルムを用いて測定した紫外線・可視光吸収スペ
クトルのグラフにおける全面積に占める透過部分の面積
の割合は、78.5%であった。得られた透過率の曲線
を図1に示す。DMAc溶液で測定したポリアミック酸
の固有粘度は0.18(dl/g)であり、ポリイミド
フィルムのガラス転移点(TMA法)は211℃、フィ
ルムの引張強度は57.4MPaであった。
【0028】比較例1 実施例1においてendo−exoビシクロ[2.2.
2]オクタンテトラカルボン酸二無水物とDDEを再結
晶後昇華することなく用いた以外は、実施例1と全く同
じ条件で実験を行い、厚さ15μmのポリイミドフィル
ムを得た。紫外線・可視光吸収スペクトルのグラフにお
ける全面積に対する透過部分の面積の占める割合は、6
3.0%であった。得られた透過率の曲線を図1に示
す。
【0029】比較例2 厚さ15μmのカプトン(デュポン社製)のフィルムを
用いて測定した紫外線・可視光吸収スペクトルのグラフ
における全面積に対する透過部分の面積の占める割合
は、49.2%であった。得られた透過率の曲線を図1
に示す。
【0030】
【発明の効果】本発明のポリイミド樹脂材料は、フッ素
原子またはリン原子を全く含まないにも拘らず優れた透
明性を有し、またポリイミド本来の優れた耐熱性および
靱性も有するので、経済的で広範囲の分野に有用な樹脂
材料であり、特にフィルムまたはコーティング膜に好適
である。殊にリン原子を含まないので、エレクトロニク
ス分野において有用であり、また光スイッチ等のフォト
ニクスの分野、光ファイバーの分岐用の素子材料および
液晶配向膜等の分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例3、実施例4および比較例1で
製造したポリイミドならびに比較例2で用いたカプトン
の紫外線・可視光吸収スペクトルのグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西口 郁三 大阪府枚方市楠葉丘2丁目−7−2

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式[1]または[2] 【化1】 【化2】 で表されるビシクロ[2.2.2]オクタンテトラカル
    ボン酸二無水物を再結晶と昇華との組合せ、活性炭処理
    と再結晶との組合せ、または活性炭処理と再結晶と昇華
    との組合せで精製してジアミンと反応させることにより
    得られ、厚さ15μmのフィルムにして測定した紫外線
    ・可視光吸収スペクトルのグラフにおいて、250〜8
    00nmの波長の範囲内における平均透過率が、70%
    以上であることを特徴とする無色透明性ポリイミド樹脂
    材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の式[1]または[2]で
    表されるビシクロ[2.2.2]オクタンテトラカルボ
    ン酸二無水物を再結晶と昇華との組合せ、活性炭処理と
    再結晶との組合せ、または活性炭処理と再結晶と昇華と
    の組合せで精製してジアミンと部分的に反応させること
    により得られるポリアミック酸のフェノール系溶媒およ
    び/または非プロトン性極性溶媒溶液であって、それを
    加熱、硬化させて厚さ15μmのポリイミドフィルムに
    して測定した紫外線・可視光吸収スペクトルのグラフに
    おいて、250〜800nmの波長の範囲内における平
    均透過率が、70%以上であることを特徴とするポリア
    ミック酸のフェノール系溶媒および/または非プロトン
    性極性溶媒溶液。
  3. 【請求項3】 該フェノール系溶媒および/または非プ
    ロトン性極性溶媒が、フェノール、4−メトキシフェノ
    ール、2,6−ジメチルフェノール、m−クレゾール、
    N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロ
    リドン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメ
    チル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、
    カプロラクタム、テトラメチル尿素、スルホランまたは
    ブチロラクトンである請求項2記載の溶液。
  4. 【請求項4】 請求項1の無色透明性ポリイミド樹脂材
    料を用いたフィルムまたはコーティング膜。
JP27648295A 1995-09-29 1995-09-29 無色透明性ポリイミド樹脂材料およびそれを用いたフィルムまたはコーティング膜 Pending JPH0995533A (ja)

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