JPH0978793A - 電波吸収壁用化粧タイル取付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】安価且つ簡易な手段によって、化粧タイルの付
着強度を向上させた電波吸収壁用化粧タイル取付け構造
を提供することを目的としている。 【解決手段】化粧タイル１の裏面側に２条の蟻溝２が形
成されている。タイル保持部材３は、帯板から構成さ
れ、その両端部が上記蟻溝２に挿入される一対の挿入部
３ｂを構成する。上記タイル保持部材３の挿着は、中央
部分３ａを円環状に撓ませた状態で、各挿入部３ｂをそ
れぞれ別の蟻溝２内の挿入することで行われる。このと
き、各挿入部３ｂは、タイル保持部材３自身の弾性力に
よって、相互に反対方向に押圧されて２条の蟻溝２に固
定される。次に、上記化粧タイル１をコンクリート５に
貼り付け、上記タイル保持部材３をコンクリート５内に
埋設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高層ビル等の高層
建築物の外壁に適用されて、到来したテレビ電波に対す
る不要な反射電波の発生を防止する電波吸収壁に係り、
特に、その電波吸収壁の外装を構成する化粧タイルの取
付け構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ビルの高層化が進むにつれて、高
層建築物からの不要な反射電波がテレビ画面に対してゴ
ーストを生じさせるなど、上記不要反射電波による電波
障害が社会的に問題となっている。この対策の一つとし
て、高層建築物の外壁のうち、テレビ電波の到来方向や
反射方向などに面する外壁に、フェライト磁性板を埋設
した電波吸収壁を採用し、この電波吸収壁によって、上
記不要な反射電波の発生を抑えることが行われている。

【０００３】この電波吸収壁は、例えば、図９に示すよ
うに、鉄筋コンクリート２０の外面に、複数のフェライ
ト磁性板２１を貼り付け、更に、その貼り付けたフェラ
イト磁性板２１の表面側に外装材としての化粧タイル２
２を施して構成される。このように、電波吸収壁は、化
粧タイル２２とコンクリート２０ａとの間にフェライト
磁性板２１が介装されるために、化粧タイル２２とコン
クリート２０ａとの接触面積が減少する。さらに、上記
フェライト磁性板２１は、表面が平滑でコンクリートや
モルタルとの付着性が弱いために、一般的な化粧タイル
２２をそのまま使用したのでは、所望の付着強度を確保
できずに当該化粧タイル２２が剥離する恐れがある。

【０００４】このため、上記化粧タイル２２として、従
来、例えば、上記図９に示すような、特殊形状をした大
型のタイル２２が使用される。このタイル２２は、横方
向両側部分にそれぞれ足部２２ａを設けたものである。
その一対の足部２２ａは、それぞれ上下方向に延びると
共にコンクリート２０ａ側に突出していて、その一対の
足部２２ａ間にフェライト磁性板２１を配置可能となっ
ていると共に、その足部２２ａをコンクリート２０ａに
埋設させることで所望の付着強度を確保している。

【０００５】また、従来の電波吸収壁用化粧タイルの取
付け構造としては、例えば、特開平７−５８４８３号公
報等に記載されているものがあり、図１０に示すよう
に、横方向両側面にそれぞれ溝を形成した特殊形状の化
粧タイル３０を使用し、そのタイル３０の両側面に設け
た溝部分に金属製の帯板３２の端部を取り付けることで
当該化粧タイル３０を帯板３２で挟み込むと共に、その
帯板３２をアンカーとしてコンクリート２０ａ内に埋設
させることで、取付けた化粧タイル３０に所定の付着強
度を確保するようなことも行われている。なお、図１０
中、３１は接着材を示している。

【０００６】因みに、上記鉄筋コンクリート２０の鉄筋
２０ｂは、電波の反射体を構成している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような電波吸収壁用化粧タイルの取付け構造において
は、上記一対の足部２２ａを設けた大型の化粧タイル２
２を使用する場合、このタイル２２は、タイル自身が厚
いと共に特殊な形状をしているために高価なものとな
る。この結果、電波吸収壁がコスト高になるという問題
がある。

【０００８】また、両側面に溝を設けた化粧タイル３０
を使用する場合にも、当該化粧タイル３０の厚みが厚く
なると共に、側面に通常行わない溝切り加工が必要で高
価なものとなる。さらに、帯板３２の一部がフェライト
磁性板２１よりも外側に突出した状態に配設されるため
に、その突出部分が電波反射を起こす可能性があるとい
う問題がある。

【０００９】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、安価且つ簡易な手段によって、化粧タ
イルの付着強度を向上させた電波吸収壁用化粧タイル取
付け構造を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、電波吸収壁用化粧タイル取付け構造は、躯体側のコ
ンクリートと化粧タイルとの間にフェライト磁性板を介
装してなる電波吸収壁において、上記化粧タイルの裏面
に設けられた凹部と、上記コンクリートに埋設される共
に上記凹部に挿着可能なタイル保持部材とを備えること
を特徴としている。

【００１１】この電波吸収壁用化粧タイル取付け構造で
は、タイルの凹部に挿着されたタイル保持部材がコンク
リートに埋設されてアンカーとなり、当該タイルのコン
クリートへの付着強度を高める。このとき、一般に化粧
タイルの裏面には、コンクリートとの付着性を良くする
ために、例えば横方向に延びる複数の蟻溝が設けられて
いる場合があり、その蟻溝を本願の凹部として採用可能
である。また、この蟻溝とは別に凹部を設ける場合であ
っても、上記のようにタイル裏面には蟻溝を設ける加工
が従来から行われているため、本願発明に使用される化
粧タイルは従来の化粧タイルと同様な断面形状となる。
従って、側面に溝を形成する場合に比べて、タイル裏面
に凹部を設ける本願の化粧タイルは加工が容易である。

【００１２】また、上記タイル保持部材は、タイル裏面
に取り付けられてコンクリート側に突出するので、当該
タイル保持部材は、フェライト磁性板とほぼ同位置より
もコンクリート側に配置される。このため、このタイル
保持部材が金属製であっても、このタイル保持部材によ
る電波反射は小さく抑えられる。また、上記タイル保持
部材は、タイルの裏面に挿入することで取付けられる構
造となっているので、取付け性が良い。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の第１の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本実施の形態に使用される化粧タ
イルは、図１に示すように、平板状の形状をしていて、
その裏面側には２条の蟻溝２が平行に形成されている。
その２条の蟻溝２は、それぞれ横方向に延びと共に、縦
断面が台形状をしている。そして、この２条の蟻溝２が
本願の凹部を構成する。

【００１４】なお、上記蟻溝２は、その深さを２mm以上
とすると共に、底の幅と入口の幅との差を２mm以上に設
定して、後述のタイル保持部材の挿入部が、取り付け後
に抜けないようにするとよい。また、タイル保持部材３
は、金属製の帯板から構成され、図２に示すように、中
央部分３ａが円環状に撓み可能となっていると共に、そ
の両端部が上記蟻溝２に挿入される一対の挿入部３ｂを
構成している。その一対の挿入部３ｂの先端は、中央部
分を円環状に撓ませた状態で、相互に反対方向に延びる
ように曲げ加工が施されている。なお、上記タイル保持
部材３の中央部分３ａは、取付け易いように、ある程度
円環状に撓んだ形状に成形しておいてもよい。

【００１５】上記タイル保持部材３としては、耐腐食性
の高いステンレス材等を選定すると良い。また、タイル
保持部材３を上記タイル１に取付けた状態における、当
該タイル保持部材３のタイル１裏面からの突出量は、フ
ェライト磁性板４の厚さより多く突出させる必要がある
ので、例えば、１５mm〜５０mmの突出量となるように設
定する。

【００１６】次に、上記化粧タイル１の取付けについて
説明する。まず、タイル１におけるフェライト磁性板４
と対向しない部分（タイルの横方向両端側部分）に、そ
れぞれ、上記タイル保持部材３を挿着する。その挿着
は、図３に示すように、２状の蟻溝２間を跨ぐようにタ
イル保持部材３を配置し、中央部分３ａを円環状に撓ま
せて一対の挿入部３ｂ間を近づけた状態で、その各挿入
部３ｂをそれぞれ別の蟻溝２内の挿入することで行われ
る。このとき、各挿入部３ｂの先端を各蟻溝２の底部の
角に当接させることで、各挿入部３ｂは、タイル保持部
材３自身の弾性力によって、相互に反対方向に押圧され
る。これによって、タイル保持部材３は２条の蟻溝２に
固定される。

【００１７】次に、上記図３に示すように、上記一対の
タイル保持部材３の間にフェライト磁性板４を介在させ
た状態で、図４に示すように、上記化粧タイル１をコン
クリート５に貼り付ける。このとき、上記タイル保持部
材３は、コンクリート５側に突出してコンクリート５内
に埋設されることとなる。これによって、化粧タイル１
とコンクリート５との付着面積がフェライト磁性板４に
よって減少しても、化粧タイル１から突設するタイル保
持部材３がコンクリート５内に埋設されることでタイル
１の付着強度が増加し、もって、化粧タイル１の剥離が
防止される。

【００１８】また、本実施の形態の化粧タイル１の形状
は、従来の化粧タイル１と同様な断面形状であるので、
本実施の形態の化粧タイル１は安価なコストで生産する
ことができる。また、上記タイル保持部材３も、その両
端部に形成した挿入部３ｂを蟻溝２に挿入するだけで、
その弾性力によって取り付けられるため、取付けが容易
で施工性が良い。

【００１９】また、そのタイル保持部材３も、金属製の
帯板を上記のような簡単な形状に曲げ加工をして制作す
るだけであるので、容易に制作することができる。な
お、上記実施の形態では、単に中央部分を撓ませて円環
状にしているが、この形状に限定されるものではなく、
多角形状の環状に曲げ加工を施してもよい。また、上記
のように取り付けたタイル保持部材３は、ほぼフェライ
ト磁性板４と同位置よりもコンクリート５側に配設され
るので、当該タイル保持部材３による電波反射の恐れは
少ない。

【００２０】なお、上記実施の形態では、一個の化粧タ
イル１に二つのタイル保持部材３を挿着した一例を示し
たが、化粧タイル１に要求される付着強度に応じて、一
個の化粧タイル１に取り付けるタイル保持部材３の個数
を１個又は３個以上に設定する。また、上記実施の形態
では、化粧タイル１の裏面に２条の蟻溝２を設けた例で
説明しているが、蟻溝２は３条以上あっても構わない。
この場合に、適宜選択した２条の蟻溝２間にタイル保持
部材３を取り付ける。

【００２１】また、上記実施の形態では、２条の蟻溝２
間を跨ぐようにタイル保持部材３を配置して取り付けた
例で説明しているが、各タイル保持部材３の一対の挿入
部３ｂを同一の蟻溝２内に挿入することで当該タイル保
持部材３を挿着させてもよい。また、コンクリート打設
時にタイル保持部材３が蟻溝２から外れることを防止す
るために、接着剤で、タイル保持部材３の挿入部３ｂを
蟻溝２に仮止めするようにしてもよい。

【００２２】また、本願の凹部は、上記のような横方向
に延びる蟻溝である必要はなく、例えば、底側が広い断
面台形状の窪み等であってもよい。また、上記タイル保
持部材３は、必ずしも金属製である必要はなく、強化プ
ラスチックや軽量コンクリート等から構成してもよい。
但し、金属製の方が耐久性や加工性等の点で有利であ
る。

【００２３】また、上記実施の形態では、予め、タイル
１にタイル保持部材３を取り付けてからタイル１の貼り
付けを行っているが、先にタイル保持部材３をコンクリ
ート５に埋設させておいて、タイル１をコンクリート５
に貼り付ける際に上記タイル保持部材３をタイル１の蟻
溝２に挿着させて両者１，３を連結してもよい。次に、
第２の実施の形態について説明する。第１の実施の形態
と同様な部材には、同一の符号を付して説明する。

【００２４】本第２の実施の形態は、タイル保持部材以
外は上記第１の実施の形態と同様である。本実施の形態
のタイル保持部材６は、図５に使用すように、鋼棒等の
金属製の線材から構成され、上記第１の実施の形態と同
様に、中央部分が環状に曲げられると共に、その両端部
がそれぞれ挿入部７を構成している。

【００２５】その一対の挿入部７は、蟻溝２の幅方向に
延びる中途部分７ａと、その中途部分７ａに連続して上
記蟻溝２と平行な方向に延びる先端部分７ｂとから構成
されている。なお、図５では、一対の先端部分７ｂが相
互に反対方向に延びる形状を示しているが、図６に示す
ように、一対の先端部分７ｂを平行に且つ同方向に延び
るように成形しても構わない。

【００２６】そして、上記タイル保持部材６は、図７に
示すようにその各挿入部６ｂを各蟻溝２内に挿入するこ
とで、先端部は、タイル保持部材自身の弾性力によっ
て、蟻溝２内の幅方向角部に押しつけられた状態で、タ
イル１の裏面に取り付けられる。他の構成や作用等は、
上記第１の実施の形態と同様である。

【００２７】なお、上記タイル保持部材３，６は、帯状
や線状の形状に限定されるものではない。要は、化粧タ
イル１の裏面に設けた凹部に挿着されてコンクリート５
側に突出可能な部材であればよい。例えば、図８に示す
ように、一端部に上記蟻溝２の係合可能な蟻ほぞ８ａを
有する柱状の部材からタイル保持部材８を構成して、上
記蟻ほぞ８ａを、蟻溝２にタイル１の横方向から挿入し
て挿着したりしてもよい。

【００２８】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の電波
吸収壁用化粧タイル取付け構造では、化粧タイルの形状
が従来の化粧タイルと同様な断面形状であるので、当該
化粧タイルが安価なコストで作成することが可能とな
り、電波吸収壁のコストダウンに繋がるという効果があ
る。

【００２９】さらに、タイルへのタイル保持部材の取付
けも容易であり、化粧タイルに所定の付着強度を確保す
るために当該タイル保持部材を設けても、化粧タイル
は、従来の化粧タイルの施工性と同様な取付け施工性で
取り付けることが可能になるという効果もある。また、
上記のようにタイル保持部材を設けても、当該タイル保
持部材による電波反射の恐れが小さいという効果もあ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係る化粧タイルを示す図
であって、（ａ）は裏面側からみた平面図を、（ｂ）は
下面図を、（ｃ）は側面図をそれぞれ示している。

【図２】本発明の実施の形態に係る帯状のタイル保持部
材を示す図である。

【図３】本発明の実施の形態に係るタイル保持部材を化
粧タイルに取り付けた状態を示す図である。

【図４】本発明の実施の形態に係るタイル保持部材を取
り付けた化粧タイルの取り付け状態を示す側面断面図で
ある。

【図５】本発明の第２の実施の形態に係る線状のタイル
保持部材を示す図である。

【図６】本発明の第２の実施の形態に係る別の線状のタ
イル保持部材を示す図である。

【図７】本発明の第２の実施の形態に係るタイル保持部
材のタイルへの取付けを示す拡大図である。

【図８】本発明の実施の形態に係る別のタイル保持部材
のタイルへの取付けを示す拡大図である。

【図９】従来の電波吸収壁における化粧タイルの取付け
構造を示す図である。

【図１０】従来の電波吸収壁における別の化粧タイルの
取付け構造を示す図である。

【符号の説明】

１ 化粧タイル ２ 蟻溝 ３，６ タイル保持部材 ３ｂ 挿入部 ４ フェライト磁性板 ５ コンクリート

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 躯体側のコンクリートと化粧タイルとの
   間にフェライト磁性板を介装してなる電波吸収壁におい
   て、上記化粧タイルの裏面に設けられた凹部と、上記コ
   ンクリートに埋設される共に上記凹部に挿着可能なタイ
   ル保持部材とを備えることを特徴とする電波吸収壁用化
   粧タイル取付け構造。