【発明の詳細な説明】
飲料及びその製法
本発明は、ビール等の泡立ち飲料と、泡立ち飲料の製法と、泡形成添加剤の使
用法とに関する。
飲料(beverages)は、我々の日常生活において、必需液体及び滋養供給物とし
てだけでなく興奮性飲食物として、重要な役割を果たす。味のほか、粘度等のテ
クスチャー(texture)特性、及び泡特性は、高品質飲料のためには重要である。
今日、多くの泡立ち飲料、例えば、ビール、ミルクセーキ及びある種の飲み物
は、マーケットで入手できる。しかし、新たな泡立ち飲料のニーズと同様、既知
の泡立ち飲料の質を改善するニーズがある。
ビール中の泡形成剤を研究し分離し、かつ、ビールの泡立ち特性を改善すべく
、多くの努力が成されて来た。
ビールの泡立ち特性はビールのタンパク質含有量(これは、典型的なビールで
は約3〜4mg/mlである。)に支配されること、並びに、ビールの泡安定性に有
害であるかも知れないことが、50年以上の間知られていた。
多くの研究論文(参考文献1,2,4,17)は、ビール中のいかなるタンパ
ク質成分が泡安定剤の中に含まれているかの説明を扱ってきたが、この疑問に対
する明確な解答は得られていない。ビール中の幾つかの、タンパク質の分子量級
のものは、泡に対して重要であることを示唆した(参考文献2,11,20)。
ビールのタンパク質の分子量プロフィルは、小さいポリペプチドから約150
,000ダルトンまでの範囲に及ぶ。概して、約100,000ダルトン以下の
分子量を有するビールのタンパク質は、ビールの泡の安定性に関し否定し難い効
果を有することが分かっていた。一方、小さいポリペプチド、特に、5,000
ダルトン未満の分子量を有するポリペプチドは、泡に関して反対の効果を有する
ものと考えられていた(6,19)。また、シャーペ(Sharpe)等の研究論文(1
5)には、ビールの泡安定性は、高分子量ポリペプチドと低分子量ポリペプチド
との割合に関連していると提案した。ヨコイ(Yokoi)等は(参考文献20)、特
定のタンパク質の重要性を考慮して、タンパク質Z(40,000ダルトンの大
麦のアルビミン)は、泡安定性に最も重要な役割を果たすと述べた。このことは
、ホレマン(Hollemans)及びトニーズ(Tonies)の結果(参考文献11)と相反す
る。彼等は、特定の固定化済み抗体によって、ビールからこのタンパク質を完全
に又は選択的に除去しても、泡安定性に関して小さい効果しかないことを示した
。
酵母(yeast)から生じ、主として炭水化物性の高分子量成分もまた、ビールの
泡中に濃縮されることが分かった(参考文献10,12)。
上述の結論の多くは、ビールのタンパク質を分画し、かつ、安定した泡を生じ
させる異種分画の能力を決定することから達成された。いずれの研究論文も、ビ
ールの泡の品質を改善するための段階を取っていない。
泡の品質を検討するとき、2つの重要なパラメータ、即ち、泡形成力及び泡安
定化力がある。
今、驚愕すべきことに、シリアル(Cereal)−LTPと呼ばれる、タンパク質の
特種な基は飲料中で泡を形成する能力を有することを発見した。
ゆえに、本発明は、請求項1の特徴によって特徴付けられる、タンパク質及び
(又は)ペプチドを含有する飲料に関する。
シリアル−LTPは、脂質転移タンパク質(Lipid Transfer Proteins)として
の、穀物(cereals,シリアル)由来のタンパク質及び(又は)ペプチドを意味す
る。表Iは、多数のシリアル−LTP、他の植物LTP等の配列(sequence,タン
パク質等のアミノ酸配列)を示す。これらのタンパク質は更に、モリナ(Molina)
等により説明されている(参考文献13)。
ホモログ(homologues)は、50〜110のアミノ酸、特に80〜100のアミ
ノ酸を有し、かつ、少なくとも30%、好ましくは60%、最適には80%以上
の、シリアル−LTP含有配列相同性(sequence homology)を有するタンパク質
を意味する。
特に、構造関係は重要である。従って、相同タンパク質は、3個又は4個のジ
スルフィド架橋を形成するための、少なくとも6個のシステイン基、好ましくは
8個のシステイン基から成るのが好ましい。
好ましい相同タンパク質は、TLTP、SLTP、CLTP、CB−A、CB
−B及びCB−Cである。
本発明では、シリアル−種子−LTPが好ましい。
BLTPは、大麦種子のアリューロン層(aleurone layer)中に豊富にある基礎
タンパク質である(参考文献14,16)。
BLTPは、8個のシステインを含む91個のアミノ酸残基から成る9.69
4ダルトンの分子量を有する(参考文献18)。アミノ酸配列が決定された(参
考文献18)。クローンとして発生させ、cDNAのヌクレオチド配列が決定さ
れた(参考文献14)。
本発明の以下の記述において、用語「シリアル−LTP」、又は大麦−LTP
等これのサブグループも、上記に定義される通りの、言及済みLTP基への配列
相同性を有する、ホモログを意味する。更に、用語「シリアル−LTP」又はこ
れのサブグループは、言及済みLTP基又は、そのホモログから、LTPの加熱
、煮沸及び(又は)マッシング(mashing,湯に浸して混ぜること)によって入手
できる変性シリアル−LTP分画を意味する。シリアル−LTPは、完全には変
性しないのが好ましい。即ち、システインにジスルフィド架橋を形成する能力が
あるために、幾らかの構造は存在するのが好ましい。
後述する通り、また、ビール醸造工程では標準的であるように、シリアル−L
TPを加熱し、煮沸し及び(又は)マッシング工程にかける場合、二次構造又は
三次構造は幾分変化し、ジスルフィド架橋の幾つか又は全ては転位し(rearrange
)得るものの、シリアル−LTPはその主要配列の実質的に全てを維持する。醸
造工程において、大麦LTP1のメチオニン・アミノ酸はしばしば、酸化される
。また、本発明の発明者らは、恐らくLTP中に存在する1個又は数個のジスル
フィド架橋の転位による、LTP−ダイマー及びLTP−オリゴマーの形成を観
察した。後述する通り、LTPは、煮沸工程下で存在する他の成分、例えば、ホ
ルデイン断片、ホップ(hops)及び脂質と結合し得る。
変性済みシリアル−LTPは好ましくは、正規のシリアル−LTPを水溶液中
で3時間以下の間50〜95℃で加熱することによって、又は大気圧で2時間以
下の間煮沸することによって、及び(又は)ビール製造における通常のマッシン
グ工程としてマッシングすることによって得られる。
以下において、用語「シリアル−LTP」は、他に記載がなければ、そのホモ
ログ又は変性済みシリアル−LTP及び変性済みホモログをも意味する。
飲料は、ミルクベース及びフルーツベースの飲料及びビール等のあらゆる飲用
可能な液体である。
少量、即ち、約50mlは既知のビール中に存在するので、この従来技術は請求
項1において権利を請求しない。
従来技術から知られているようなビール製造又は醸造工程は、「モルティング
・ブルーイング・サイエンス(Malting and Brewing Science),第I巻,D.E
.ブリッグス(Briggs),J.S.ハウ(Hough),R.スティーブンス(Stevens)及
びT.W.ヤング.チャップマン&ホール(Young.Chapman and Hall),ロンドン
(1981)」、並びに「第II巻,J.S.ハウ,D.E.ブリッグス,R.ス
ティーブンス及びT.W.ヤング.チャップマン&ホール(1982)」は、原
料及び工程に関する多くの変形を記載している。一般的に、諸工程は、段階A)
〜D)に従う。
A)原料の選定及び調製
原料には、水、炭水化物及びタンパク質(大麦、小麦、米、トウモロコシ、サ
トウモロコシ等の穀物中に存在する)、砂糖、シロップ、麦芽抽出物、シリアル
(即ち、大麦、小麦)の麦芽処理工程の間に形成された酵素又は微生物学的生成
物、風味成分(バイ焼済み麦芽、ホップ及び他の植物の材料又は汁(juices))が
含まれる。
シリアル原料はモルトにし、挽き、分離して、特別のフレーバーと酵素活性を
持った成分を発生させることができる。
B)マッシング及び麦汁製造
この工程は、調製した原料の浸漬(温度及び時間)を制御し、不溶物から麦汁
を煮沸し、分離することにより抽出することからなる。
C)麦汁の発酵
発酵は酵母懸濁液を冷却通気麦汁に添加した後に行う。温度条件を制御してい
る間、酵母代謝(発酵)は麦汁をアルコールやフレーバー成分のような特定の酵
母産生成分を含むビールに転換する。この工程は温度、酵母使用量並びに酵母育
成といったプロセスパラメーターによって制御することができる。
D)清澄化及び仕上げ
保存と熟成の後、残りの酵母とタンパク質/タンニン沈殿物を漉し、二酸化炭
素、色素及び、安定化成分やフレーバー成分のような他の矯正添加剤を供給する
。
モルトしたオオムギやモルトしたコムギのみで製造したビールの方が、付加物
を加えて醸造したビールよりも、高いポテンシャル(泡を形成する能力)と優れ
た安定性を有した泡を発生することは醸造業者にとっては一般常識である。
従来最も高い泡形成ポテンシャルを有することが知られているビールのシリア
ル−LTP含量を分析してみると、シリアル−LTP濃度が300mg/lよりも
はるかに小さいことがわかる。
ビールの泡の質は醸造プロセスと使用した原料の両方に依存する。本発明は本
質的に原料に関するものなので、ビール中のシリアル−LTP含量は、もともと
の重量に次いで、EBC(欧州醸造条約)標準マッシング法により作られた麦汁
、そしてまた指定コングレス麦汁(congress wort)中のシリアル−LTPに最も
大きく関係する。モルトしていないシリアルについても、必要に応じて通常レベ
ルの醸造酵素活性を追加することによって同様の抽出手法を使用することができ
る。
ビールの製造を意図した公知の甘い麦汁に存在するシリアル−LTPは大部分
がLTP1であり、わずかに修飾されたLTP1である。修飾の程度はそれが作
られたプロセスに依存する。コングレス麦汁(congress wort)がEBC標準マッ
シング法により作られる場合は、コングレス麦汁に存在するシリアル−LTPの
約90%が未修飾LTP1に対する抗体を用いる、後述の標準手法にしたがって
行うELISAによって測定される。
公知のビールのシリアル−LTPの濃度はXよりも小さく、X1よりもずっと
小さい。ここで、XとX1は、未修飾LTP1に対する抗体を使用するELIS
Aにより測定したとき、シリアル−LTPの125μg/ml及び150μg/ml
にそれぞれ対応するシリアル−LTPの濃度を有するコングレス麦汁が、EBC
標準マッシング法により得られるような原料で醸造したビールにおいて得られる
濃度を示す。
「最初の麦汁」という語はマッシング工程の後で最初の濾過工程で得られた麦
汁を示す。最初の濾過工程とはフィルター残渣物を洗浄する前の通常の濾過工程
である。
「甘い麦汁」という語は最初の濾過工程の後に、すなわちフィルター残渣物を
水で洗浄した後に得られた麦汁を示す。甘い麦汁はそれ故最初の麦汁と洗浄水と
の混合物である。
「コングレス麦汁」という語はEBC標準マッシング法にしたがって作られた
麦汁を示す。
「麦汁」という語はマッシング、濾過及び煮沸の後の最終的な麦汁を示す。
本来、麦汁中に存在するすべてのシリアル−LTPはそれから作られるビール
中に見いだされる。通常1mlの麦汁から約1〜2mlのビールが得られる。これは
125μg/mlのシリアル−LTP濃度を有する麦汁からは125μg/ml以下
のシリアル−LTP濃度を有するビールが得られるということを意味する。
EBC標準マッシング法は「ANALYTICA−EBC」、第4版、198
7年、第E59頁(Brauerei及びGetranke−Rundschau、CH−8047 チュ
ーリッヒ、スイス)に詳細に記載されている。
本発明の飲料は好ましくは少なくとも25μg/mlのシリアル−LTPからな
るが、シリアル−LTP、特にシリアル−種子−LTPの任意濃度は100μg
/ml以上である。
シリアル−LTPはその配列構造によって認識することができる。
シリアル−LTPの濃度は、シリアル−LTPについて酵素結合イムノソルベ
ント検定(ELISA)の使用によって測定することができる。このようなシリ
アル−LTP ELISAは市場では入手できないが、以下の工程からなる標準
技術にしたがって製造することができる:
a) 動物を免疫化し、血清を得、そして抗体を精製することによりシリアル−
LTPに対する抗体を産生する工程、
b) 抗体をビオチン化する工程、及び
c) たとえば分光光度計によって測定することのできる成分を含む競合ELI
SA手法によりLTP標準曲線を作成する工程。
ELISA法そのものは一般的に当業者に知られており、今日生物活性成分を
測定するために使用される最も一般的な方法のひとつを構成する。
ELISA検定についての一般的な情報は参考文献23に見いだすことができ
る。
本発明の飲料は、ビールから得ることのできるホルデイン、グルテリン、他の
アルブミン(例えば、タンパク質Z)及び/又はホップイソ−α酸及びホップの
他の苦み樹脂のようなホップ成分をも含むことが好ましい。これらの成分は泡安
定化効果及びシリアル−LTPとの協奏的な泡形成効果を有している。
飲料はまた炭水化物、脂質及び/又は脂肪酸を含んでいてもよい。これらの成
分は飲料の味とボディを改良する。
上述の成分のうちのいくつか、例えばホルデイン、ホップ及び脂質は、それら
が一緒に煮沸されるならば、LTPと結合していてもよい。ホップ成分及び/又
はトリグリセリドとともに煮沸することによって修飾されたシリアル−LTPの
泡形成性は改良される。
飲料はまた、安定化剤(アルギン酸(alginacid)、アルギネート、カラギーナ
ン、グリセリド、アラビアゴム、ペクチン)、人工甘味料、香料、色素、ビタミ
ン、ミネラル、保存料、泡発生剤、抗酸化剤及び酵素、特にタンパク分解酵素及
び炭水化物分解酵素のような他の成分を少量含んでいてもよい。
本発明の飲料がビールである場合は、シリアル−LTPの含量は、全タンパク
質含量の5重量%より高いことが好ましく、特に10重量%より高く、そして1
5重量%より高いことが好ましい。修飾されたシリアル−LTPの重量は対応す
る未修飾シリアル−LTPの重量として計算される。すなわちシリアル−LTP
に結合した他の成分の重量は含まれない。
本発明はまた、タンパク質及び/又はペプチドを含む飲料を製造する方法から
なる。この方法は請求項11の特質によって特徴づけられる。
シリアル−LTPは少なくとも部分的に可溶性であれば、いかなる形態で添加
されてもよい。
実際には、シリアル−LTPは挽いた又は粉砕されたシリアル材料の形態で、
又はシリアル材料の抽出物の形態で添加することができる。
このような抽出物は、例えば、シリアル又はシリアル材料を液体中で煮沸及び
/又はマッシングしたり、所望ならば、濾過により精製し、所望により濾液を分
画すること等、いかなる方法で得てもよい。液体は好ましくはホップ及び/又は
脂質、特にトリグリセリドをも含んでいてもよい。抽出物はまた、例えば凍結乾
燥又はスプレー乾燥により乾燥してもよい。
シリアル−LTPは例えば後述の実施例に記載されているようにビールから修
飾された形態で得てもよい。
シリアル−LTPはまた、例えばゲノム中にシリアル−LTPをコードするD
NA配列を含む酵母、菌類又は細菌から得てもよい。シリアル−LTPをコード
する多くのDNA配列が知られているので、当業者はこのようなDNA配列を公
知の技術を用いて、細菌、酵母又は菌類に導入することができるであろう。酵母
は例えばサッカロマイセス カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsberge
nsis)又はセレビシエ(cerevisiae)とすることができる。
シリアル−LTPは例えば飲料中のシリアル−LTP産生微生物により発酵の
工程で産生することができる。
もし飲料が発酵されないのであれば、シリアル−LTPは精製された可溶性抽
出物の形態で添加することが好ましい。
シリアル−LTPはもともと精製された可溶性抽出物の形態で発酵した飲料に
添加してもよいが、発酵飲料の製造には通常濾過工程が含まれているので、シリ
アル−LTP抽出物を精製する必要はないかもしれない。
シリアル−LTPはどの製造工程であっても、一時に全部又は少しずつ、継続
的に又は断続的に添加してもよい。
飲料がビールの場合、例えばモルト又はモルト抽出物を製造する工程において
、例えば遺伝子トランスミッションの使用により高いLTP含量を有するように
精錬されたシリアルの種からモルトを製造することによりシリアル−LTPを添
加することができる。
シリアル−LTPはまた、麦汁の製造中に、例えば挽いた又は粉砕されたシリ
アル材料、特にマッシング工程の前に添加された挽いた種子の形態で添加しても
よい。
本発明はまた、シリアル−LTPの飲料への泡形成添加物としての使用も包含
する。この使用は請求項18に記載されている。
シリアル−LTPが本発明により使用されるときは、タンパク質を包含する他
の成分と組み合わせることが好ましいが、シリアル−LTPが全タンパク質含量
の少なくとも15重量%を構成することが好ましく、最も好ましくは25重量%
である。修飾されたシリアル−LTPの重量は未修飾シリアル−LTPに対応す
る重量として計算される。すなわちシリアル−LTPに結合した他の成分の重量
は含まれない。
本発明は以下の実施例においてさらに記載されるであろう。
図1はボロシリケートガラス中で構築された1.65リットルのビールの泡塔
(foam tower)を示す。
図2は50mM酢酸アンモニウム、pH4.5で平衡化したセファデックスG−7
5(Sephadex G-75)(5cm x 87cm,1700ml)でラガービールの第三フロ
ーテーションからの崩壊した泡のゲル濾過を示す。
図3は泡検定における泡ポテンシャルのLMW濃度依存性を示す。
図4は泡半減期の0.3mg/ml LMWを含む水のHMW濃度依存性を示す。
図5はA)HMW、LMW及びオオムギ−LTP1のSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を示す(20%均一ゲル。Phastシステム。クマシーブルーR
350染色)。M1及びM2は分子量マーカーである。B)オオムギ−LTP1
に対する特異的な抗体を使用したHMW、LMW及びオオムギ−LTP1のウエ
スタン−ブロッティング。
図6は20mM 酢酸Naで平衡化されたS−Sepharose Fast Flow(5x7cm、
135ml)でのLMWのイオン交換クロマトグラフィーを示す。−−− NaClグ
ラディエント; 280nmでの吸光度
図7はPoolI、Pool II 又はLTP1の漸増濃度を含む蒸留水で行われた泡検
定により得られた泡ポテンシャルを示す。溶解したタンパク質の濃度はアミノ酸
分析から計算した。
図8はPoolI、Pool III又はLTP1の漸増濃度を含むビールで行われた泡検
定により得られた泡ポテンシャルを示す。溶解したタンパク質の濃度はアミノ酸
分析から計算した。
図9はオオムギ−LTP1のみの漸増濃度を含む水溶液で、又は0.4mg/ml
PoolIの存在下で行われた泡検定により得られた泡ポテンシャルを示す。溶解し
たタンパク質の濃度はアミノ酸分析から計算した。
図10はPool IIIのみの漸増濃度を含む水溶液で、又は0.4mg/ml Pool I
の存在下で行われた泡検定により得られた泡ポテンシャルを示す。溶解したタン
パク質の濃度はアミノ酸分析から計算した。
図11は20mM NaAc、0.1M NaCl、pH4.9で平衡化されたセファデッ
クスG−50(Sephadex G-50)でラガービールの第三フローテーションから単離
したpool IIIのゲル濾過を示す。
図12A及び図12Bはそれぞれ、オオムギ種子LTP1及びビール泡LTP
1の1H NMRスペクトルを示す。
モルトの製造
以下の例に使用したモルトは、ラガー・モルト(ライト・モルト)として製造
した。
EBC標準マッシング(mashing)法を用いたコングレス麦汁(congress wort)
の製造
粉砕
モルト55グラムをひいて粉砕し、粉末50グラムをマッシュ・ビーカー(ma
shbeaker)に移した。
粉砕工程は、Buhler−Miagディスク・ミルにより、ディスク間距離0.2mmで
行った。
マッシング(mashing)
マッシング浴は、約45℃に温度調節した。
約46℃の蒸留水200mlを、ガラス棒でかきまぜながら上記ビーカーに注ぎ
入れ、だまを作らないようにした。マッシュ内の温度が正確に45℃になるよう
にした。
このビーカーを直ちにマッシング浴に入れ、撹拌機を作動させた。マッシュ内
温度は、正確に30分間45℃に保った。その後マッシュ内温度を毎分1℃の割
合で25分間昇温した。
マッシュ内温度が70℃に上がったら、さらに70℃の蒸留水100mlを加え
た。マッシュ内温度を70℃で1時間維持した。10ないし15分かけてマッシ
ュを室温まで冷却した。撹拌機を少量の蒸留水で洗浄し、ビーカーの外側を乾か
し、ビーカーの内容物を蒸留水を加えて450.0グラムとした。
濾過
ビーカーの内容物をガラス棒でよくかきまぜ、内容物の全部を一時に濾紙上に
あけた。
最初の濾液100mlはロートに戻した。
濾過は、マッシュ塊が乾いた時点で、または濾過速度が遅い場合には2時間後
に終了した。
分析方法
オオムギ−LTP1の同定(ウェスタン・ブロッティング)
10mMジチオスレイトール(dithiothreitol)とともに15分間ボイルした後
、Pharmacia Phast-System及び20%均一ゲルを用いてSDSポリアクリルアミ
ド・ゲル電気泳動を行った。その後、ニトロセルロース上へのブロッティングを
、Phast-System装置内で70℃にて30分間行った。水洗後、このニトロセルロ
ースを子牛血清を用いて30分間インキュベートして特異的でない結合をブロッ
クした後、(例8に記載したとおりに用意した)特異的LTP1抗体と一晩イン
キュベートした。それから、Promega Western blot AP system(Catalogue No.
W3930)を利用して、特異的な抗体結合を検査した。アルカリ・フォスファ
ターゼ(alkaline phosphatase)の着色現像基質(color development substrate)
として、ニトロ・ブルー・テトラゾリウム(nitro blue tetrazolium)と5−ブ
ロモ−4−クロロ−3−インドリル・フォスフェート(5−bromo−4−chloro−
3−indolyl phosphate)の混合物を用いた。
(N−末端アミノ酸の配列決定)
N−末端アミノ酸の配列決定を、Applied Biosystems model 470A気相シ
ーケンサーにより、同社提供のプログラムを用いて行った。シーケンサーからの
フェニルチオヒダントインでラベルされたアミノ酸を、逆相HPLCにより、Ap
plied Biosystems model 120Aフェニルチオヒダントイン・アナライザーを
用いてオンラインで同定した。
アミノ酸組成は、排気された管の中で6M塩酸により110℃で24時間加水
分解した後、LKB、model Alpha Plus、アミノ酸アナライザーで決定した。
炭水化物含有量の測定
炭水化物含有量は、フェノール/硫酸法(参考文献7)により測定した。
タンパク含有量の測定
タンパク含有量は、アミノ酸分析によるか、又はブラッドフォード(Bradford)
の染料結合法(参考文献5)により測定した。
泡の試験
デジタル・ビデオ画像解析を用いる光学-電気的泡試験システム(参考文献8
及び9)を用いて、10mlの試料につき泡のポテンシャル及び半減期を測定した
。泡のポテンシャル(P)とは、試料1mlあたり最初に発生する泡の量(ml)で
ある。泡の半減期(F)とは、泡の柱が最初の体積の半分になるのにかかる時間
(秒)である。泡の含有量とは、泡のポテンシャルにmlで表した体積をかけあわ
せたものである。クロマトグラフ分析後に得られた画分または画分のプールは、
Dalton)で透析したり、酢酸アンモニウムを除去するために凍結乾燥したりした
。泡の試験は4度繰り返して行った。
CO2を含む瓶詰ビールの泡の試験には、Foam Stability Analyzer、System C
arlsberg(参考文献21)を用いた。この方法により測定された泡排出半減期(f
oam drainage half-life)は、ビール150グラムを全部泡にした後、泡が崩壊
してビールに戻る際の半減期(秒)である。この泡の崩壊は、約30秒の初期の
遅れの後は、一次過程である(参考文献22)。例1
オオムギ種子からのシリアル−LTPの分離と精製(LTP1)
方法a)
水250lでpH6.5で2時間抽出することにより、純粋なオオムギ−LTP
1を、オオムギ粉末25kg(1992年にデンマークで収穫された品種Alexis)
から分離した。混合物を2℃で一晩放置し、不溶物を沈殿させた。上澄み液を限
外濾過により7lに濃縮し、硫酸アンモニウムを飽和度40%まで添加した。2
℃で2〜3時間後、沈殿物を遠心分離により除去し、上澄み液に硫酸アンモニウ
ムを飽和度75%まで添加した。2℃で16時間後、このサスペンジョンを遠心
分離して沈殿物を生成したが、この沈殿物は2℃で数週間貯蔵できるものであっ
た。この沈殿物の1/4を水500mlに溶解し、100℃に加熱し、直ちに氷冷
膜(カットオフ3500Dalton)で透析した。遠心分離後、NaOHを加えてpH
7.0に調製した透析液を、20mMリン酸ナトリウムで平衡されたpH7.0のC
Mセルロースカラム(5cm×25cm、500ml)のイオン交換クロマトグラフィ
ーにかけた。ウェスタン・ブロッティングを行うと、オオムギ−LTP1が、0
から0.1Mの勾配のNaClにより溶出することがわかった。LTP1を含む
で透析し、20mMのHepes で平衡されたpH7.0のS−Sepharose Fast Flow(5
cm×15cm、300ml)のカラムにかけた。オオムギ−LTP1は、同一の緩衝
剤中0から0.3Mの勾配のNaClを利用することにより溶出した。ウェスタ
ン・ブロッティングで見いだされたオオムギ−LTP1を含む画分をプール
ミノ酸の配列決定によれば、配列は、Leu−Asn−*−Gly−Gln−V
al−Asp−Ser−であって、星印は、LTP1ではこの位置に見いだされ
るシスティンに対応するブランク・ポジションを示すので、分離されたLTP1
が純粋なものであることがわかった。
方法b)
加熱工程を行わなかったほかは方法a)と同様。
方法a)、b)のいずれの方法で得られたLTPにも、泡特性又は免疫特性に
何ら相違は認められなかった。例2
ビール泡からのLTP1の精製
図1に示すようなホウケイ酸塩ガラス容器の中に連続的な泡の塔を作った。泡
は、ラガー・ビール15l(以下に述べる化学薬品の量をすべて9分の1にした
場合には1.65l)に、窒素ガスを一晩の間450ml/min で吹き込むことに
よってできたものである。窒素ガスは、泡の塔に吹き込む前に水蒸気によって飽
和しておいた。出口に集めた泡をつぶし、もとのビールの容積まで蒸留水で希釈
して、泡の塔に戻した。上記のように2度目及び3度目のフローテーション(flo
tation)を行ったところ、ラガー・ビールの3度目のフローテーションで集めた
泡は、もとのビール中の泡の総含有量の35%を含んでいることがわかった。
50mM酢酸アンモニウムで平衡されたpH4.5のカラム(5cm×87cm、17
00ml)中のSephadex G−75上でのゲル濾過により、分子量に従って最後の
フローテーションからつぶした泡に含まれていた成分を分離した。3度目のフロ
ーテーションからつぶした泡をSephadex G−75上でゲル濾過したところ、2
80nmに吸収を有する3つのピークが生じた(図2)。これらのピークのうち2
つを、図2に示すとおり、それぞれHMW、LMWと名付けた。HMW画分は約
90%の炭水化物と10%のタンパク質からなり、LMW画分は90%のタンパ
ク質と10%の炭水化物からなる。第3のピークは、アミノ酸、イソフムロン類
(isohumulones)、炭水化物のような低分子量化合物を含むことがわかった。
LMW画分及びプールされた画分のアミノ酸組成は、公知のオオムギ脂質移送
タンパク(LTP1)のアミノ酸組成に類似していた(参考文献18)(表II)
。LMWのSDSポリアクリルアミド・ゲル電気泳動は、6000〜18000
Daltonの範囲の分子量をカバーするCoomassie Blue R350で染色すると着色
を示した。しかしながら、オオムギ−LTP1に対する特異的な抗体を用いたウ
ェスタン・ブロッティングを行ったところ、オオムギ−LTP1(分子量970
0Dalton)がLMWの主成分であることがわかった(図5)。このことは、N−
末端アミノ酸配列決定によっても確認された。
LMWのアミノ酸組成は、オオムギ−LTP1のアミノ酸組成と比べて高いP
roとGlxの値を示した(参考文献18)(表II)。これは、おそらくホル
デイン(hordein)断片とグルテリン(glutelin)断片が存在することによるもの
であり、SDSポリアクリルアミド・ゲル電気泳動後銀による染色によって見い
だされる着色がこれらの断片であろう。
LMW泡画分を凍結乾燥して酢酸アンモニウムを除去した。
ラガー・ビール15lから得られたLMW泡画分から、S−Sepharose Fast F
low上のイオン交換クロマトグラフィーにより、LTP1を精製した(図6)。
LMW画分をカラム(5×7cm、135ml)に入れ、20mM酢酸ナトリウムで平
衡し、pH4.9とし、洗浄した後、同一の緩衝剤中で直線的なNaCl勾配(0
〜0.3M)を利用することにより、LTP1を幅広のピーク(プールII〜IV、
図6)として溶出せしめた。通過した画分及びウェスタン・ブロッティングで決
定されたLTP1を含有する画分の3つのプールを蒸留水に対してSpectra/
限外濾過膜:DDS-GR81PP、Dow Filtrations、Denmark
CMセルロース:Whatman Biosystems Ltd.、England
S-Sepharose Fast Flow:Pharmacia、Sweden
Sephadex G−75:Pharmacia、Sweden
突出したピーク及び幅広のピークを含む3つのプールについて行った酸加水分
解後のアミノ酸分析(表II)の結果、突出画分がGlx及びPro含有量の高い
ホルデイン類やグルテリン類に類似したアミノ酸組成を有することがわかった。
また、SDSポリアクリルアミド・ゲル電気泳動によれば、幅広の溶出ピークを
含む3つのプール中に、Coomassie で染色され、分子量が6000〜18000
Daltonの範囲の化合物が痕跡量含まれていることが示されてはいるものの、Na
Cl勾配間に溶出した幅広のピークが、アミノ酸分析(表II)及びN−末端アミ
ノ酸配列決定より、かなり純粋なLTP1であると考えられることもわかった。
ホルデイン/グルテリンを含有する突出画分(プールI)とLTP1画分(プー
ルII−IV)の双方とも水中で良好なポテンシャルの泡を生成したが(表II)、半
減期が長い泡を生成するホルデイン/グルテリン画分とは反対にLTP1画分の
泡の半減期はきわめて短かった(表II)。これら4つのプールの泡の含有量を計
算すると、LMW中に見いだされる泡の含有量の95%がこれら4つのプール中
に存在することがわかった(表II)。例2A
プールIII の分画
プールIII は、例2に記載されたようにしてラガー・ビールから得られるので
あるが、20mM酢酸ナトリウムと0.1M NaClで平衡されたpH4.9のカ
ラム(2.6cm×67cm、330ml)中でSephadex G−50上でゲル濾過を行
うことにより、これを分子量に従って分画した。これにより280nmに吸収を有
するプールAとプールBの2つのピークが分離した(図11)。非還元条件下で
のSDS−PAGE及びオオムギ−LTP1に特異的な抗体を用いたウェスタン
・ブロッティングから、プールAが主としてLTPの二量体からなることがわか
ったが、多量体も観察された。一方、プールB中には単量体のLTP1のみが見
いだされた。例2B
オオムギから得られたLTP1(例1b)とビールの泡から得られたLTP1
の各々について1H NMRスペクトルを測定した。スペクトルは、310K(
37℃)、pH4.0で測定した。
スペクトル測定結果を図12A及び12Bに示す。
オオムギ種子LTP1のスペクトル(図12A)は、2次構造の大部分がα−
ヘリックスである球状タンパクに特有の1H NMRスペクトルを示す。
このことは、大部分のHa原子核が4.8ppm 以下の化学シフトを有すること
によってわかる。さらに、NMR信号が分散していることは、タンパクの相当な
部分が折りたたまれていて、明瞭な2次構造を有していることを明確に示してい
る。
COSY(correlation spectroscopy)、TOCSY(total correlation sp
ectroscopy)及びNOESY(nuclear Overhauser spectroscopy)を詳細に分析
したところ、オオムギ種子−LTP1が明瞭な構造の球状タンパクであることが
確認された。
ビール泡LTPのスペクトル(図12B)は、相当な部分又は一部分がほどけ
ており、実質的に2次構造も3次構造も持たないタンパク特有のものである。本
発明者らは、ビールから分離されたLTP1は多かれ少なかれ変性されていると
結論してよいと思う。例3
第1麦汁からのLTP1の精製
第1麦汁は、カールズバーグ醸造所(the Carlsberg Brewery)からのラガービ
ールの製造から得た。この麦汁は、ソルウォール(Sorwall)RC3遠心分離機で
30分間、4,000rpm で遠心分離機にかけ、あらゆる不溶解性物質を除去し
た。硫酸アンモニウムを最終濃度85%まで添加し、4℃で16時間経過後、得
られたサスペンションを30分間、4,000rpm で遠心分離機にかけた。沈降
物は水300mlに溶解させ、2×60mlを、酢酸アンモニウム50mM、pH4.5
で平衡状態に保持したカラム(5cm×87cm,1700ml)中でセファンデッス
(Sephandex)G−75を使用しながら、ゲル濾過にかけた。溶離パターン(elu
tion pattern)は、崩壊済み泡(図2)のゲル濾過により得られたものに類似し
た。混合済みLMW分画は、凍結乾燥して(酢酸アンモニウムを除去し)、水に
溶解させ、透析し、酢酸Na20mM、pH4.9で平衡状態に保持したS−セファ
ローズ・ファースト流れ(S-Sepharose Fast Flow)(5×7cm)中でイオン
交換クロマトグラフィーにかけた。LTP1は、同じ緩衝器で線形NaCl勾配
(0〜0.3M)を適用することによって、溶離した。溶離プロフィルは、図6
に示す、泡から分離したLMW分画を分画するための溶離プロフィルに類似した
。プールIII を構成する分画は、プールし、スペクトル/ポー(Spectra/por)(
登録商標)透析膜(カットオフ 3,500ダルトン)で蒸留水に対して透析し
、次いで、凍結乾燥した。LTP1(変性済み及び非変性)の濃度は、アミノ酸
の分析によって決定した。例4
例2に記載のラガービールから得られたHMW分画及びLMW分画は、水中に
おける泡形成力について試験した。その結果は表III に記載する。
この結果は、LMW分画の濃度は泡ポテンシャルが、HMWの濃度に関係のな
い泡ポテンシャルに大きな影響を及ぼすことを示す。これは更に、表III の値を
使用して図3及び図4で説明する。例5
LTP1は、泡ポテンシャルの異なる5つの異種ラガービールから分離した。
LTPは、S−セファローズ・ファースト流れの代わりにモノ(Mono)S分離を使
用するだけで、本質的に例2に記載のビール1.65リットルから得た。
諸ラガービールは下記に従い、異なる大麦品種を用いて醸造した。
A: ブレンハイム(Blenheim)
B: カルソ(Carso)
C: グリット(Grit)
D: エミナント(Eminant)
混合物:未知大麦品種の混合物
結果は表IVに示す。
例6
泡の分析評価を、例1の手順b)に記載の大麦粉から分離したLTP1と、例
2に記載のラガービールから得たプール(pool)III プールIとについて行った。
使用した水は蒸留水であった。
使用したビールはカールズバーグのラガービールであった。
各々試験では、水又はビールの10mlを使用し、前述の通りに泡が発生する前
に、直ちにプール又はLTPを添加した。
分離済みLTP1の濃度を増大させながら、プールI又はプールIII をそれぞ
れ、水又はビールに溶解させたとき、泡ポテンシャルの増大は水溶液(図7)に
対するよりもビール溶液(図8)に対して非顕著であったものの(これは恐らく
、このビール中に既に存在している泡の陽性成分に起因するだろう。)、それら
溶液は、泡の分析評価(図7及び図8)において増大した泡ポテンシャルを示し
た。低濃度タンパク質では、ビールのLTP1分画(プールIII)を添加する効果
は、少量のホルデイン/グルテリン(プールI)を含有する分画を添加する効果
よりも大きかった。大麦粉から分離したLTP1をビールに添加すれば、泡ポテ
ンシャル(図8)も泡半減期もわずかに増加した。また、LTP1(例5)の濃
度を増大させることによる泡ポテンシャルに関する効果は、ビールから分離した
LTP1(プールIII)については、大麦から分離したLTP1(プールI)につ
いてよりも顕著であった(図8)。再結合実験、即ち、大麦又はビールから分離
したLTP1(プールIII)の濃度を増大させて、蒸留水のプールI 0.4mg/
mlの溶液について行った泡の分析評価は、この観察結果を支持した。
プールIの存在下での泡ポテンシャルに関する大麦−LTP1の効果は、
プールIII の類似濃度の効果よりも小さかった。例7
ELISA分析(LTPI濃度の測定に対し)大麦−LTPIに対する抗体の
産生
2匹のウサギをDako,Glostrup,デンマークで使用した標準免疫法スキームに
従って(例1、手順a)に記載したAlexis大麦粉から得た)100μg大麦−L
TPI/免疫法で免疫法を行なった。
第1回の注射後54日で、次に月1回の間隔で各動物から20mlの血清を得た
。
1匹の動物の最初の採血から得た血清は下記試験を通して使用した。
抗体の精製
免疫グロブリンG級(IgG)の抗体は製造者の教示に従ってアフィニティク
ロマトグラフィによりタン白A−セファローズ(ファルマシア,アプサラ,スエ
ーデン)で他の血清成分から精製した。
抗体認識LTPIは大麦からのLTPIをセファローズに共有結合させること
により製造した小カラムでアフィニティクロマトグラフィにより他の特異性を有
する抗体から分離した。64mgの大麦−LTPIを10mlの0.1MNaHCO3
、0.5M NaClにpH8.3で溶解し、2g CNBr活性化セファロー
ズ4B(ファルマシア,スエーデン)に製造者の教示に従ってカップリングさせ
た。次に1mlの免疫吸着剤を小カラムに充填し、10mMリン酸ナトリウム、15
0mM NaCl、pH7.3(PBS10)で平衡させた。タン白A−セファローズ
でクロマトグラフィにより精製したIgG画分はA280が0.002になるまで
平衡緩衝液で洗浄したカラムに適用した。結合IgGはpH2.0の0.5M蟻酸
で溶離し、4容量10×PBS10で稀釈し、pHはNaOHにより4.0に調整し
た。最後に、試料はSpectra/por(商標)膜(カットオフ3,500ダルトン)
でPBS10に対し透析し、下記のようにビオチン化した。
抗体のビオチン化
1ml PBS10中の10mg抗体は0.1mlの1M炭酸ナトリウム緩衝液pH9.
5と混合した。次に抗体は57μlの0.1M BXNHS(Sigma,USA,Ca
t.番号B2643からのビオチンアミドカプロエートN−ヒドロキシサクシンイ
ミドエステル)をDMSO(ジメチルスルホキシド)中で添化してビオチン化し
た。混合物は室温に1時間放置した。この後、未反応BXNHSを除去し、緩衝
液はPBS10により平衡させた使い捨て小セファデックスG−25カラム(PD
−10,ファルマシア,アプサラ,スエーデンから)で製造者の教示に従って行
なったゲル濾過によりPBS10に変えた。試薬の抗体濃度は全容量10mlに対し
PBS10を添加して1mg/mlに調整した。100mgのBSA(牛血清アルブミン
)の添加後、試薬は−20℃でアリコートで貯蔵した。
LTPに対する酵素結合免疫吸収剤分析(ELISA)
LTPはコンペティティブエリザ方法により測定した。
初めに、精製大麦−LTPはポリスチレン孔の内部表面に吸着させた。孔は1
2の細長片に配列し、細長片は8細長片を有する各フレーム(Nunc Immuno Modu
le C12 Maxi-sorb,Nunc,デンマークから)に入れた。例1、手順a)で得
た200μlのLTPI稀溶液(100ng/ml PBS10)を各孔に添加し、4
℃で16〜20時間インキュベートした。このインキュベーション後、ポリスチ
レン表面の残留結合部位は37℃で1時間各孔に225μlのBSA/PBST
(1mg BSA/ml PBST、この場合PBSTはPBS10である、0.05
%ツイーン20添加)をインキュベートして遮断した。次に孔は空にし、ポリス
チレン細長片に適合する手動洗浄装置(Nunc Immuno Wash 12,Nunco,デンマ
ークから)によりPBSTで6回洗浄し、用時まで−20℃で貯蔵した。
分析前、LTPI含有試料はBSA/PBSTに適宜稀釈し、例1、手順a)
で得たLTPI標準溶液を同じ緩衝液に調製した。ビオチン化抗体認識大麦−L
TPIは100ng/mlの最終濃度まで添加した。混合物の200μl試料は次に
37℃で1時間孔でインキュベートした。各試料または標準は三重反復試験で分
析した。インキュベーション後、孔は空にし、上記のように洗浄した。
次の工程で、BSA/PBSTに250ng/mlに稀釈した200μlのストレ
プタビジン西洋わさびパーオキシダーゼ共役体試料(Sigma,USA,Cat.番号S
5512)を20〜22℃で10分孔にインキュベートした。この後、孔は再度
空にし、洗浄した。
最後に、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン(TMB,100μg
/ml)を含有する200μlの基質溶液およびホスフェートサイトレート緩衝液
、pH5.0の0.015% H2O2を各孔に添加し、20〜22℃で10分イン
キュベートした。次に酵素反応は各孔に125μlの4N HClを添加して停
止させ、450nmの孔の吸収は96−孔フレームに適合する分光光度計(Perkin
Elmer Lambda Reader)で測定した。
各分析シリーズは8000〜62.5ng大麦−LTPI/mlの範囲の標準を含
んだ。標準曲線は吸光度対LTPI濃度対数をプロットして作成し、試料のLT
PIのすべての濃度はこの曲線に対し計算した。
抗体の特異性
大麦−LTPIに対し高め、上記のようにアフィニティ精製した抗体は大麦お
よび麦芽抽出物、麦芽汁およびビールに対しウエスターン法に適用した。LTP
1または改変LTP1以外の他の成分との反応は全く認められなかった。
エリザ分析で、抗体は最初の麦芽汁および起泡からLTP1または改変LTP
1を認識したが、大麦からのLTP1より低かった。より低い反応性はもやし汁
製造、麦芽汁煮沸、発酵および発泡中に起こる改変による。アミノ酸分析(例3
)により測定した濃度と比較して、最初の麦芽汁からのLTP1または改変LT
P1との反応は例1、手順a)記載の大麦粉から得たLTP1との反応の約65
%であった。コングレス麦芽汁からのLTP1または改変LTP1との反応は大
麦粉から得たLTP1との反応の約90%であることを測定した。標準曲線を大
麦−LTP(例1、手順a)記載のように得た)基準で作成した場合、コングレ
ス麦芽汁のLTP1または改変LTP1の実際量は大麦−LTP1標準曲線から
の評価値に10/9を乗ずることにより測定できる。例8
麦芽汁の調製中LTPの添加
麦芽汁煮沸工程中LTPの添加効果を調査するためにモデル系を確定した。甘
味麦芽汁は加熱マントルを使用して90分還流クーラーに連結した円底フラスコ
で煮沸した。2つの型の試験を行なった。a)例1、手順a)記載のように得た
精製大麦−LTP1 Alexis(DK,1992)(0.5mg/ml)および/また
はホップ抽出物(61mg α−酸/l)を煮沸開始時に添加した、b)精製大麦
−LTP1は麦芽汁(煮沸または未煮沸、ホップ抽出物(61mg α−酸/l)
含有または含有せず)に添加したが、煮沸処理しなかった。
例9
高濃度のLTP1を有するビールを60%ラガー麦芽および40%補助材(荒
挽きトウモロコシ)を使用してCarls berg50Lパイロットプラントビール醸造
所で製造した。荒挽きトウモロコシはCarls bergビール醸造所の規格に従った。
すなわち、
醸造所の方法は煮出し磨砕および10%蒸発させた90分の麦芽汁煮沸を含ん
だ。麦芽汁煮沸開始後15分でLTP1粗製調整品を麦芽汁釜に添加した。この
調製品は1992年デンマークで収穫したAlexisの大麦粉6×25kgから抽出し
、限外濾過により濃縮し、上記のように硫酸アンモニウムで沈澱させた。沈澱は
5
lのH2Oに溶解し、850mlに対し透析濾過し、100℃に加熱し、直ちに氷
で冷却した。溶液はSorwall RC3遠心分離機で30分4000rpm で遠心分離
した。エリザ分析で測定した上澄のLTP1濃度は60mg/mlであり、800ml
を麦芽汁釜に添加した。最終麦芽汁は14.5%プラトーであった。醸造は円筒
形コニカルタンクでCarls berg酵母(Saccharomyces carls bergensis)により発
酵させた。最初の発酵は9日間行ない、熟成および安定化は10日間続けた。最
後に、ビールは濾過し、10.6%プラトーに下げた。
この醸造品および同一條件下で、しかしLTP1を添加しない同じ原料からの
醸造品の発泡能力はFoam Stability分析器、System Carls berg を使用して測定
した。高−LTP1ビールの起泡半減期はLTP1無添加ビールの93秒と比較
して113秒に増加した。例10
コングレス麦芽汁のLTP1量(改変および未改変LTP1の合計量)
麦芽はビール醸造に通常使用する多数の大麦変種から製造した。大麦変種は異
る地区で生育し、異る年に収穫した。
麦芽はラガービールに対し製造した。
コングレス麦芽汁は上記のようにEBC標準磨砕方法を使用して麦芽試料から
製造した。
コングレス麦芽汁試料のLTP1(改変および未改変LTP1量の合計)量は
上記エリザ方法により測定した。合計82麦芽汁試料を分析し、これは41麦芽
試料に相当する。
エリザは例7記載のように行ない、LTP1濃度は大麦−LTP1の等価とし
て、すなわち補正係数を乗ぜずに、標準曲線を使用して測定した。
結果は表5に表示する。各値は2つの別のコングレス麦芽汁の平均を表わす。
例11
小麦粉から穀類LTPの単離および精製
純小麦−LTP1は30kgの小麦粉からpH7.8の270lの水で4時間抽出
して単離した。混合物は4℃で一夜放置して不溶性物質を沈澱させた。195l
の上澄は限外濾過して6.9lに濃縮し、残留粉は遠心分離により除去した。硫
酸アンモニウムを80%飽和まで添加し、4℃で16時間後形成サスペンジョン
を遠心分離した。1/4の沈澱を400mlの水に溶解し、Spectra/por(商標)
透析膜(カットオフ3,500ダルトン)で水に対し透析した。透析物(1l)
は遠心分離し、pH6.5に調整し、20mM Mes に平衡化したpH6.5のS−セ
ファローズFast Flow(5cm×15cm,300ml)カラムを使用してイオン交換
クロマトグラフィ処理を行なった。小麦−LTP1は同じ緩衝液でNaCl勾配
(0〜0.1M)を適用して溶離した。10kDa の成分を含有する画分はPharma
cia からのPhast-Systemを使用してSDS−PAGEにより同定し、プールし、
回転蒸発機を使用して35℃で真空濃縮した。濃縮試料の成分は20mM NaA
c,0.1M NaClで平衡化したpH4.9のカラム(2.5cm×67cm,3
30ml)でセファデックスG50でゲル濾過により分離した。10kDのタン白を
含有するピークはSDS−PAGEにより同定し、N−末端アミノ酸配列は配列
Ile−Asp−*−Gly−His−Val−Asp−Ser−Leu−Va
l−を示す。*印は小麦−LTP1のこの位置に見出されるCysに相当する空
白位置を示し、この成分は純小麦−LTP1であることを確証した。調製物はSp
ectra/por(商標)透析膜(カットオフ3500ダルトン)で透析し、凍結乾燥
した。例12
麦芽汁調製中小麦LTP1の添加
麦芽汁煮沸工程中小麦LTP1の添加効果を例8記載のモデル系を使用して調
査した。純小麦LTP(例11記載のように得た)(0.5mg/ml)および/ま
たはホップ抽出物(61mg α−酸/l)を煮沸開始時に添加した。形成する起
泡ポテンシャルは表7に示す。
例13
大麦および小麦−LTP1の起泡ポテンシャルに及ぼす煮沸の影響
それぞれ例1bおよび11記載のようにして得た大麦または小麦−LTP1(
0.5mg/ml)を20mM Mes(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)にp
H5.5で溶解した。2%のエタノール(2.5mg/mlのトリリノレイン含有ま
たは未含有)を超音波処理しながら添加した。ホップ抽出物は表7に示すように
61mg α−酸/lの最終濃度まで添加し、混合物は例8記載のように90分間
煮沸した。起泡測定は例2記載で得たHMW画分(2.5μg/ml)の添加後行
なった。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年12月21日
【補正内容】
タンパク質の重要性を考慮して、タンパク質Z(40,000ダルトンの大麦の
アルビミン)は、泡安定性に最も重要な役割を果たすと述べた。このことは、ホ
レマン(Hollemans)及びトニーズ(Tonies)の結果(参考文献11)と相反する。
彼等は、特定の固定化済み抗体によって、ビールからこのタンパク質を完全に又
は選択的に除去しても、泡安定性に関して小さい効果しかないことを示した。
酵母(yeast)から生じ、主として炭水化物性の高分子量成分もまた、ビールの
泡中に濃縮されることが分かった(参考文献10,12)。
上述の結論の多くは、ビールのタンパク質を分画し、かつ、安定した泡を生じ
させる異種分画の能力を決定することから達成された。いずれの研究論文も、ビ
ールの泡の品質を改善するための段階を取っていない。
泡の品質を検討するとき、2つの重要なパラメータ、即ち、泡形成力及び泡安
定化力がある。
今、驚愕すべきことに、シリアル(Cereal)−LTPと呼ばれる、タンパク質の
特種な基は飲料中で泡を形成する能力を有することを発見した。
ゆえに、本発明は、請求項1の特徴によって特徴付けられる、タンパク質及び
(又は)ペプチドを含有する飲料に関する。
シリアル−LTPは、脂質転移タンパク質(Lipid Transfer Proteins)として
の、穀物(cereals,シリアル)由来のタンパク質及び(又は)ペプチドを意味す
る。表Iは、多数のシリアル−LTP、他の植物LTP等の配列(sequence,タン
パク質等のアミノ酸配列)を示す。これらのタンパク質は更に、モリナ(Molina)
等により説明されている(参考文献13)。
ホモログ(homologues)は、50〜110のアミノ酸、特に80〜100のアミ
ノ酸を有し、かつ、少なくとも60%、好ましくは80%以上の、シリアル−L
TP含有配列相同性(sequence homology)を有するタンパク質を意味する。
特に、構造関係は重要である。従って、相同タンパク質は、3個又は4個のジ
スルフィド架橋を形成するための、少なくとも6個のシステイン基、好ましくは
8個のシステイン基から成るのが好ましい。
好ましい相同タンパク質は、TLTP、SLTP、CLTP、CB−A、CB
アル−LTP抽出物を精製する必要はないかもしれない。
シリアル−LTPはどの製造工程であっても、一時に全部又は少しずつ、継続
的に又は断続的に添加してもよい。
飲料がビールの場合、例えばモルト又はモルト抽出物を製造する工程において
、例えば遺伝子トランスミッションの使用により高いLTP含量を有するように
精錬されたシリアルの種からモルトを製造することによりシリアル−LTPを添
加することができる。
シリアル−LTPはまた、麦汁の製造中に、例えば挽いた又は粉砕されたシリ
アル材料、特にマッシング工程の前に添加された挽いた種子の形態で添加しても
よい。
本発明はまた、シリアル−LTPの飲料への泡形成添加物としての使用も包含
する。この使用は請求項21〜23に記載されている。
シリアル−LTPが本発明により使用されるときは、タンパク質を包含する他
の成分と組み合わせることが好ましいが、シリアル−LTPが全タンパク質含量
の少なくとも15重量%を構成することが好ましく、最も好ましくは25重量%
である。修飾されたシリアル−LTPの重量は未修飾シリアル−LTPに対応す
る重量として計算される。すなわちシリアル−LTPに結合した他の成分の重量
は含まれない。
本発明は以下の実施例においてさらに記載されるであろう。
図1はボロシリケートガラス中で構築された1.65リットルのビールの泡塔
(foam tower)を示す。
図2は50mM酢酸アンモニウム、pH4.5で平衡化したセファデックスG−7
5(Sephadex G-75)(5cm x 87cm,1700ml)でラガービールの第三フロ
ーテーションからの崩壊した泡のゲル濾過を示す。
図3は泡検定における泡ポテンシャルのLMW濃度依存性を示す。
図4は泡半減期の0.3mg/ml LMWを含む水のHMW濃度依存性を示す。
図5はA)HMW、LMW及びオオムギ−LTP1のSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動を示す(20%均一ゲル。Phastシステム。クマシーブル−R
350染色)。M1及びM2は分子量マーカーである。B)オオムギ−LT
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1996年1月9日
【補正内容】
請求の範囲をつぎのとおり補正する。
『 請求の範囲
1.タンパクおよび/またはペプチドを含有する飲料であって、50〜110
アミノ酸、望ましくは80〜100アミノ酸をもち、少なくとも60%、望まし
くは80%あるいはそれ以上のシリアル−LTPとの配列ホモロジを有するタン
パクとして規定されるシリアル−LTPおよび/またはそのホモログ、および/
またはシリアル−LTPおよび/またはホモログをpH3〜7の水中にて加熱、煮
沸および/またはマッシュしてシリアル−LTPおよび/またはホモログから得
られる修飾シリアル−LTPフラクションを含み、シリアル−LTPおよび/ま
たはホモログおよび/またはその修飾シリアル−LTPフラクションは飲料がビ
ールであるとき、少なくともXであり、望ましくは少なくともX1であり、Xお
よびX1はさらにLTP含有物質を添加せずに、原料から醸造したビールにて得
られるレベルを示し、FBC標準マッシュ法を使う原料は125μg/mlに相当
するシリアル−LTPおよび150μg/mlの未修飾LTP1の濃度を有する集
合麦汁を生じる、上記タンパクおよび/またはペプチド含有飲料。
2.ここに規定する大麦−LTPおよび/またはホモログおよび/または大麦
−LTPから得られる修飾シリアル−LTPフラクションを含む、請求項1記載
の飲料。
3.飲料を醗酵させる、請求項1または2記載の飲料。
4.飲料の濃度は少なくとも25μg.ml、望ましくは100μg/ml以上であ
る、請求項1〜3のいずれか1項記載の飲料。
5.ホルデインおよび/またはグルテリンまたはその断片などの穀物貯蔵タン
パクを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の飲料。
6.さらにビールから得られるタンパクZのごときその他のアルブミンを含む
、請求項1〜5のいずれか1項記載の飲料。
7.さらに炭水化物を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の飲料。
8.さらに脂質および/または脂肪酸を含む、請求項1〜7のいずれか1項記
載の飲料。
9.飲料はビールである、請求項1〜8のいずれか1項記載の飲料。
10.さらにホップイソ−α酸その他のホップの苦み樹脂のようなホップ成分を
含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の飲料。
11.タンパク/ペプチド含有飲料の製造法であって、50〜110アミノ酸、
望ましくは80〜100アミノ酸をもち、少なくとも60%、望ましくは80%
以上のシリアル−LTPと配列ホモロジを有するタンパクとして規定して、シリ
アル−LTPおよび/またはそのホモログ、および/またはシリアル−LTPお
よび/またはホモログをpH3〜7の水中にて加熱、煮沸および/またはマッシュ
してシリアル−LTPおよび/またはホモログから得られるペプチド/タンパク
フラクションを飲料に連続してあるいは1つ以上の製造工程に添加し、シリアル
−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリアル−LTPフラ
クションの添加量は飲料がビールのとき、少なくともX、望ましくはX1であり
、XとX1はさらにLTP−含有物質を添加せずに、原料から醸造したビール中
に含まれ得るレベルを示し、EBC標準マッシュ法を使う原料は125μg/ml
に相当するシリアル−LTPおよび150μg/mlの未修飾LTP1の濃度を有
する集中麦汁を生ずる、上記タンパク/ペプチド飲料の製造法。
12.シリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリア
ル−LTPフラクションをマッシュ工程前に添加する、マッシュ工程を含む請求
項11記載の方法。
13.シリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリア
ル−LTPフラクションを煮沸工程前に添加する、煮沸工程を含む請求項11記
載の方法。
14.シリアル−LTPは大麦−LTP1である、請求項11〜13のいずれか
1項記載の方法。
15.シリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリア
ル−LTPフラクションを部分的あるいは実質的に可溶性の添加剤の形で添加す
る、請求項11〜14のいずれか1項記載の方法。
16.シリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリア
ルLTPフラクションを少なくとも25μg/ml望ましくは100μg/ml以上
添加する、請求項11〜15のいずれか1項記載の方法。
17.飲料はビールであり、製造工程は
イ)モルトまたはモルト抽出物の調製、
ロ)麦汁の調製、
ハ)麦汁の醗酵、および
ニ)ビールの清澄化と仕上げを含み、
シリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリアル−
LTPフラクションを上記工程イ)〜ニ)の前あるいはこの工程中に添加する、
請求項11〜16のいずれか1項記載の方法。
18.シリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリア
ル−LTPフラクションを上記工程イ)〜ニ)の前あるいはその1工程以上に添
加する、請求項17記載の方法。
19.シリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリア
ル−LTPフラクションは、遺伝的伝達を使って高含量のLTP、特にLTP1
を有するように改良された大麦から得られ、そしてモルトはこの改良大麦の種子
を含む原料からつくられる、請求項17記載の方法。
20.シリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/またはその修飾シリア
ル−LTPフラクションを、ゲノム中にシリアル−LTP特にLTP1をコード
するDNA配列を含む酵母から得られる、請求項17記載の方法。
21.50〜110アミノ酸、望ましくは80〜100アミノ酸をもち、少なく
とも60%、望ましくは80%以上のシリアル−LTPと配列ホモロジを有する
シリアル−LTPおよび/またはそのホモログおよび/またはシリアル−LTP
および/またはホモログをpH3〜7の水中にて加熱、煮沸および/またはマッシ
ュしてシリアル−LTPおよび/またはホモログから得られる修飾シリアル−L
TPフラクションを泡形成添加剤として飲料に使用すること。
22.化合物は粉砕あるいはクラッシュした種子または種子製品あるいは種子ま
たは種子製品の形でシリアル−LTPおよび/またはホモログおよび/または修
飾シリアル−LTPフラクションである、請求項21記載の使用。
23.修飾シリアル−LTPフラクションは、つぎの成分:ホルデイン、ホップ
成分および脂質特にトリグリセリドの1つ以上とともに水にて煮沸されるシリア
ル−LTPから得られる、請求項21記載の使用。』
明細書第2頁と第5頁を添付の頁とそれぞれ差し替える。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE
,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,
LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N
L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 バーグ,ピア
デンマーク国ディーケイ ― 2800 リン
グビィ,クルスビエルパルケン 7
(72)発明者 ムルドブイエルグ,マリアンヌ
デンマーク国ディーケイ ― 2100 コペ
ルハーゲン オー,ニィガールドスベユ
8,レユル.2
(72)発明者 ベーンフェルト,ソルキルド
デンマーク国ディーケイ ― 2600 グロ
ストラップ,ソフィエルンドスベユ 30
(72)発明者 レア,ロベルト
デンマーク国ディーケイ ― 3460 ビル
ケロッド,ヘンリック ソムセンスベユ
26
(72)発明者 ブレダム,クラウス
デンマーク国ディーケイ ― 2600 グロ
ストラップ,ソンデルバングスベユ 28ビ
ー