JPH0937666A - エンジュの組織培養法 - Google Patents

エンジュの組織培養法

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JPH0937666A
JPH0937666A JP19144795A JP19144795A JPH0937666A JP H0937666 A JPH0937666 A JP H0937666A JP 19144795 A JP19144795 A JP 19144795A JP 19144795 A JP19144795 A JP 19144795A JP H0937666 A JPH0937666 A JP H0937666A
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JP
Japan
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enju
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JP19144795A
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English (en)
Inventor
Etsuko Hattori
悦子 服部
Satoshi Kondo
聡 近藤
Shigekazu Kitani
重和 木谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 遺伝形質が均一なエンジュを無菌的に大量に
増殖させるための新規な方法の提供。 【解決手段】 エンジュの実生のいずれかの組織を植物
成長調節物質を含む人工培地で培養することを特徴とす
るエンジュの組織培養法。 【効果】 本発明によれば、カルスを経由することなく
植物の再生を行うので、変異が生ずることが少なく、均
一な植物体を大量に得ることができる。また、子葉から
出発する場合には、新たな遺伝子の導入などにより、新
しい形質を有する植物を大量に得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジュ (Sophora
japonica L.)の組織培養による大量増殖法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】エンジュは中国原産の落葉高木で、生長
が速く、大気浄化能が高いなどの優れた形質を持ち、日
本では古くから公園樹、庭園樹、街路樹等として植栽さ
れている。また蕾を陰干ししたものは、フラボノイド、
ルチン、トリテルペノイドを含み、止血剤あるいは動脈
硬化の予防薬として利用される。従来、エンジュの繁殖
は主として種子繁殖によって行われており、挿し木は根
ざしはできるが枝ざしは困難とされていた。前者の種子
繁殖は、苗木の遺伝的性質が安定しない欠点があり、ま
た後者の場合、遺伝的に均一な苗木を増殖できるが、大
量に増殖することは難しい。
【0003】しかし近年の組織培養の進歩により、カー
ネーション、ランなどの花卉類をはじめ、野菜類など
で、組織培養を用いた大量増殖が広く利用されている。
エンジュの組織培養の例としては、Blanka Civinova &
Z.Sladky (Biologia Plantarum, vol.32, No.6, pp.407
-413, 1990) がエンジュ成木の枝を用いた腋芽培養及び
カルス培養について一部報告を行っている。この報告で
は、培養材料として成木由来の組織を使用している。本
来優良樹のクローン増殖では、培養材料を成木に求める
のが望ましいが、成木由来の組織は実生苗に比較すると
一般的に反応性が劣っており、また均一な材料が入手し
にくいため、データのバラツキが生じやすいなどの問題
点がある。さらに完全な殺菌が困難で、植物を無菌的に
再生することが容易でないことが懸念される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、カル
スを経由することなく、形質の均一なエンジュを大量に
繁殖させるための方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明はエンジュの実生由来の組織を植物成長調節
物質を含む人工培地で培養することを特徴とするエンジ
ュの組織培養法を提供する。好ましい態様においては、
実生の組織としては頂芽と腋芽、又は子葉が好ましく、
特に子葉が好ましい。本発明によれば、これらの組織か
ら出発して植物体を再生させることができる。
【0006】
【発明の実施の態様】本発明はエンジュの実生の組織を
培養し、カルスを経由することなく再生することにより
遺伝形質の均一な植物を大量に再生することができる。
【0007】実生の形成と組織の調製 本発明において実生とは、エンジュの種子を発芽させて
得られる、長さがおよそ10cm以下の幼木をいう。その
およその形状は図1に示す通りであり、これは頂芽・腋
芽(1)、上胚軸(2)、子葉着生部(3)、子葉
(4)、及び下胚軸(5)に分けることができる。これ
らの組織の内頂芽・腋芽、及び子葉が特に好ましい。実
生の頂部に頂芽が存在し、その下に1〜数本の腋芽が存
在する。本発明において「頂芽及び腋芽」とは頂芽と1
〜少数個、例えば1〜2個の腋芽とを切り出したもので
あり、頂部からおよそ1.5〜2cmの位置を切断するこ
とにより得られる。子葉は、そのつけ根の部分を切断す
ることにより得られる。
【0008】実生は例えば次のようにして得られる。種
子を、70%エタノールで1〜2分間、次に有効塩素量
1〜2%の次亜塩素酸ナトリウム(Tween−20を
数滴添加)で15分間、種子の表面を滅菌し、滅菌水で
5回洗浄する。次に滅菌水へ2日間浸漬して吸水させ、
種皮を剥して発芽用培地に置床する。発芽用培地には1
/2MS培地(ショ糖1.5%、ジェランガム0.25
%、pH5.8)を用い、26℃、16時間日長の条件で
発芽させる。
【0009】培地 本発明に使用する培地は、植物の組織培養に一般に用い
られる培地を広く用いることができる。例えば、ムラシ
ゲ・スクーグの培地(MS培地)、Woody plant medium
(WPM培地)、ガンボーグのB5培地、ホワイトの培
地(White培地)、あるいはこれらの培地の組成を改変し
た培地などである。これら従来公知の培地の組成に関し
ては、例えば「木本植物の増殖と育種」p265〜26
6、農業図書、1989年に記載されている。
【0010】培地の糖類としてはショ糖を使用し、その
濃度は1〜3%が好ましい。また、培地に加える植物ホ
ルモンとしては、オーキシン系植物ホルモンとしてイン
ドール−3−酢酸(IAA)、ナフタレン酢酸(NA
A)、インドール−3−酪酸(IBA)、2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)等、サイトカイニン
系植物ホルモンとしてベンジルアミノプリン(BA
P)、カイネチン等を例示できる。これらは単独で使用
することができるが、組み合わせて使用することもでき
る。また、固体培地を調整するときのゲル化剤としては
寒天、ジェランガム等を例示でき、これらの濃度は通常
寒天0.8%、又はジェランガム0.25%で使用す
る。
【0011】不定芽の誘導 不定芽の誘導には、NAAとBAPを組み合わせた植物
ホルモン及びショ糖を添加したMS固体培地で、エンジ
ュの子葉片を培養する。培養条件は温度24〜26℃、
照度3000lxで明期16時間、暗期8時間を与え培養
する。子葉片植付け後、約3〜4週間後に不定芽が誘導
される。
【0012】シュートの伸長 BAP及びショ糖を添加したMS固体培地に、上記によ
って誘導された不定芽、エンジュの実生より切り出され
た頂芽及び腋芽を植え付ける。培養条件は不定芽誘導時
と同様である。移植後3〜5日でシュートが伸長し始
め、約3週間後には2〜3cmの長さのシュートが得られ
る。
【0013】シュートの発根 オーキシン類及び糖類例えばショ糖を添加したMS固体
培地に、上記によって伸長したシュートを植え付ける。
培養条件は不定芽誘導及びシュート伸長時の条件と同様
である。移植後、早いもので約2週間程度で発根が認め
られる。この後2〜3週間で順化を行えるような状態に
まで根が発達する。この発根個体を従来知られている方
法によって順化することにより、健全な苗を得ることが
できる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1子葉片からの不定芽誘導 エンジュの完熟種子を熱湯処理後、70%エタノールに
1〜2分間浸漬した。この後4倍に希釈したアンチホル
ミン液に20分間浸漬し(このうち5分間は脱気処理を
行う)、アンチホルミン液を取り替えてさらに20分間
浸漬することにより表面殺菌を行った。この後滅菌水で
よく洗浄し、一昼夜吸水させて剥皮した後、発芽培地上
に置床した。24〜26℃、16時間明期、8時間暗期
の条件下で7〜10日間培養し、約5〜6cmに伸長した
実生を使用した。
【0015】なお、上記の発芽培地として、MS培地を
1/2に希釈し、これにショ糖1.5%、ジェランガム
0.25%を添加した固体培地を使用した。実生から子
葉片を切り出し、不定芽誘導培地上に置床し、約2カ月
間培養した。培養条件は種子の発芽時と同様である。こ
の結果を表1に示す。不定芽誘導率はNAA 1μMと
BAP 50μMを組み合わせて添加した培地で最も高
かった(92.7%)。また子葉片あたりの不定芽数も
最も多くなった(6.4個)。上記不定芽誘導培地とし
て、MS培地にショ糖3%、ジェランガム0.25%、
NAA 1μM又は10μMとBAP 1〜100μM
を組み合わせて添加した固体培地を使用した。結果を次
の表1に示す。
【0016】
【表1】 以上の通り、NAA濃度1〜10μMであり、且つBA
P濃度10〜100μM、特におよそ50μMにおい
て、多数の不定芽が得られた。
【0017】シュートの伸長、発根及び順化 上記のように誘導された不定芽、並びに実生から切り出
した頂芽及び腋芽をシュート伸長培地(MS培地にショ
糖3%、ジェランガム0.25%、BAP 1μMを添
加した固体培地)に置床し、発芽時及び不定芽誘導時と
同様の培養条件で約3週間培養した。約2〜3cm程度に
伸長したシュートを発根培地(MS培地にショ糖1〜2
%、ジェランガム0.25%、IAA 0〜10μMを
添加した)に移植し、さらに約2カ月間培養した。この
結果、表2に示す様に、実生から切り出した頂芽及び腋
芽由来シュートの発根率はショ糖1%、IAA 10μ
Mを添加した培地で最大64.3%であった。また不定
芽由来シュートも同様に発根が確認された。
【0018】発根したシュート(幼植物体)は、常法に
従って無菌培養容器内の固体培地からバーミキュライト
入りポットに移植し、湿度が下がらない様に上部をサラ
ンラップで覆い、温室内で約1カ月間栽培した。約1カ
月後にサランラップを完全に取り去り栽培した結果、健
全個体が得られた。この結果を表2に示す。
【0019】
【表2】 この表から明らかな通り、ショ糖濃度1〜2%、IAA
濃度0〜10μMにおいて発根が認められ、植物の再生
が可能であった。
【0020】
【発明の効果】本発明によって、根ざし(挿し木)しか
クローン増殖ができなかったエンジュにおいて、カルス
を経由することなく植物を再生することによって、同一
の遺伝形質を有する優良な個体をその形質を変異させる
ことなく、効率的に大量に増殖することが可能となっ
た。また子葉片からの不定芽誘導方法は、パーティクル
ガン法やアグロバクテリウム法などによる遺伝子導入系
への利用を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はエンジュの実生の形態及びそれを構成す
る各組織を示す模式図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジュ(Sophora japonica L.) の実生
    の組織を植物成長調節物質を含む人工培地でカルスを経
    由しないで培養することを特徴とするエンジュの組織培
    養方法。
  2. 【請求項2】 実生の子葉、又は頂芽と腋芽を、植物成
    長調節物質を含む人工培地で培養しシュートを伸長さ
    せ、得られたシュートを濃度1〜2%のショ糖を含む人
    工培地において植物体を再生させることを特徴とする請
    求項1記載のエンジュの組織培養方法。
  3. 【請求項3】 植物成長調節物質を含む人工培地で子葉
    片より誘導した不定芽を、植物成長調節物質を含む人工
    培地で培養しシュートを伸長させ、得られたシュートを
    濃度1〜2%のショ糖を含む人工培地において植物体を
    再生させることを特徴とする請求項1記載のエンジュの
    組織培養方法。
  4. 【請求項4】 NAA及びBAPを含む人工培地で子葉
    片より誘導した不定芽を、BAPを含む人工培地で培養
    しシュートを伸長させ、得られたシュートを濃度1〜2
    %のショ糖及びIAAを含む人工培地において植物体を
    再生させることを特徴とする請求項1記載のエンジュの
    組織培養方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102499083A (zh) * 2011-10-25 2012-06-20 广西壮族自治区药用植物园 一种广豆根组培苗叶柄的生根方法
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