JPH05184252A - カラマツ属植物の大量増殖法 - Google Patents

カラマツ属植物の大量増殖法

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JPH05184252A
JPH05184252A JP32961791A JP32961791A JPH05184252A JP H05184252 A JPH05184252 A JP H05184252A JP 32961791 A JP32961791 A JP 32961791A JP 32961791 A JP32961791 A JP 32961791A JP H05184252 A JPH05184252 A JP H05184252A
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shoot
rooting
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Kazutsune Tsurumi
和恒 鶴見
Hideho Koda
秀穂 幸田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カラマツ属植物の組織片を組織培養して高い
再生率で植物体を増殖する方法を提供することを目的と
する。 【構成】 ニホンマツとグイマツの交雑種の2年生の実
生苗から茎頂を含む2cmの長さの枝を切り取って表面
殺菌し、成長点を含む3mmの大きさの茎頂部を切り取
り、これをMS培地を1/2に希釈し、ショ糖3%、ベ
ンジルアデニン0.5mg/l、寒天0.7%を加えた
培地に植え付けカルスを誘導した。カルスを誘導した同
じ培地にナフタレン酢酸0.01mg/lを添加した培
地上に上記カルスを移植し、シュートを再生した後、こ
のシュートを、MS培地を1/4に希釈し、これにショ
糖1%、インドール−3−酪酸0.5mg/l及び寒天
0.7%を添加した培地に移植して発根させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカラマツ属植物の組織培
養による大量増殖法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カラマツ属植物は世界的に15種あり
(世界の針葉樹 杉本順一 1987参照)、わが国で
はニホンカラマツだけが北緯38度5分〜8分までの寒
冷地に天然分布している。造林面積は1970年現在で
は110万5071ha(農林業センサス 1980)
あり、造林地は天然分布と同様に寒冷地に多い。寒冷な
地域での林業を考えるとき、気象条件や地質条件からみ
てもカラマツ属以外の樹種では早成樹種として生育でき
ないような場所が多く、寒冷地での造林にはカラマツ属
植物は欠かせない樹種である。
【0003】カラマツ属植物の材質は、堅く耐腐力もあ
り、枕木、橋梁、船などに用いられている。また、パル
プ材としても用いられている。ただ、木理の旋回性に基
づく製材時における材面の繊維傾斜のために起こる捩
れ、野鼠被害、病害などの問題がある。これらの問題を
解決するためには育種等による品種改良および改良品種
のクローン増殖が必要となる。
【0004】しかし、カラマツ属植物は挿し木が困難で
あるため育種苗の増殖には、採種園産種子による実生繁
殖或いは接木による増殖しか方法が無かった。前者の実
生繁殖による場合は、苗木の遺伝的性質が安定しない欠
点があり、また後者の場合遺伝的には均一の苗木を増殖
できるが大量に増殖することは不可能に近い。しかし、
最近になって組織培養の技術が発達し、すでに組織培養
を用いた大量増殖は、ラン類を中心に花卉類、野菜類に
おいて活発に行われている。
【0005】そして、この方法によるクローンの増殖は
材木にも応用され、特に針葉樹においては、9科48樹
種においてクローン増殖の可能性が認められている(佐
々木恵彦編著 森林のバイオテクノロジー 198
7)。しかし、これらの多くは芽生えの一部の組織を用
いており、育種効果の明らかになっている成木からの組
織培養は困難であると考えられている。また、米国のウ
ェハウザー社(Weyerhaeuser Company)は、ダグラスフ
ァーとテーダマツ、センペルセコイアについての組織培
養による大量増殖方法に関する発明(米国特許 第42
17730号明細書と第4353184号明細書)を完
成している。
【0006】カラマツ属植物の組織培養の例としては、
黒丸(日林誌、第69巻、9号、355〜358頁、1
987年)が、ニホンカラマツ(Larix leptrepis )と
グイマツ(L. gmelini)との交雑種の芽生えから不定芽
による増殖を行っている。また、板鼻(日林東北支論3
9、53〜54頁、1987年および日林東北支論3
9、55〜56頁、1987年)は、26年生のニホン
カラマツの芽を用いて培養を行い個体再生を行ってい
る。しかしながらこれらの報告は、大量増殖の可能性を
示唆するにとどまり、まだ事業的に大量増殖を行えるほ
ど増殖率が高いものではない。
【0007】また外国樹種では、Vladimir Chalupa(Co
mmunication Institute ForestalisChchosloveniae 、v
ol.13、7〜39頁、1983)が、Larix decidura
の播種後3カ月の実生苗の茎頂を用い植物体を再生して
いる。この方法はいわゆる成長点培養であり、1茎頂か
ら1個体の増殖である。またLaliberte & Lalonde(A
mer. J. Bot. 、vol.75、767〜777頁、198
8年)がL. Xeurolepis の12年生成木の初生芽(prim
ordial shoot)を培養して植物体を再生させている。こ
の方法で使用している培地はカルス誘導にはSH改変培
地、シュート再分化と発根にはDCR培地、またカルス
誘導ホルモンとしてベンジルアデニン(BA)を、シュ
ートからの発根ホルモンとしてBAとインドール酪酸
(IBA)を使用しているが、カルスの生存率が30〜
44%、シュートからの発根率が22%と極めて低い。
【0008】これらの方法では、外植体からの植物体の
再生にBAを3.0mg/lの濃度、あるいはナフタレ
ン酢酸(NAA)を0.3mg/lおよびゼアチンを
0.01mg/lの濃度で使用している。また、カルス
誘導には、BAを0.25〜10μM(約0.056〜
2.253mg/l)の濃度で使用している。また、こ
の誘導したカルスからのシュートの再分化にはカルス誘
導と同じ濃度のBAを使用している。さらに、再分化シ
ュートからの発根にはBAを5.0μM(約1.127
mg/l)の濃度で、IBAを1.0μM(約0.20
3mg/l)の濃度で組み合わせて使用している。
【0009】体細胞胚を作出してこれから植物体の再生
に関する報告は、Klimaszewska(Plant Science 、vol.
63、95〜103頁、1989年)がL. Xeurolepis
の胚を用いて行った試験が最初の例である。この他に、
Nagmani & Bonga (Can. J. For. Res. 、vol.15、
1088〜1091頁、1983年)とvon Aderkas&
Bonga (Amer. J. Bot. 、vol.75、690〜700
頁、1988)は、L.decidura の胚を用いてカルスを
誘導し、このカルスを振蘯培養することによって胚様体
を作出した。さらに、von Aderkas et al (Can. J. Bo
t.、vol.20、9〜14頁、1989)は、L.leptrepi
s とL.decidura、およびこれらの交雑種(L. Xeurolepi
s )の胚乳と胚を用いてカルスを誘導し、このカルスを
振蘯培養することにより半数体と2倍体の胚様体を作出
し、この胚様体から植物の再生を行っているが。これら
の方法も基礎的なものでその再生度が低い欠点がある。
【0010】同じカラマツの名前でアキカラマツの組織
培養方法が特公昭61−205482号公報に掲載され
ているが、このアキカラマツはキンポウゲ科カラマツソ
ウ属の多年生草本で、本発明のカラマツ属植物とは全く
異なる植物である。また、木本性植物では、アスナロ属
植物の組織培養方法が特開平2−383223号公報に
掲載されているが、これはカルスから不定根を誘導した
だけであり、植物体の再生には至っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これまで接
ぎ木に頼っていたカラマツ属植物クローンを組織培養に
よって大量に増殖する方法である。さらに、従来のカラ
マツ属植物の組織培養技術はまだ基礎的な研究に留まっ
ており、使用できる組織が茎頂や芽生えの胚軸等だけで
あるだけでなく、その植物体への再生率も低い。本発明
は頂芽の茎頂だけでなく、側芽の茎頂および枝を組織培
養して高い再生率で植物体を増殖する方法を提供するも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、カラマツ属植
物の組織片をオーキシン系植物ホルモン0〜0.01m
g/l、サイトカイニン系植物ホルモン0.01〜5.
0mg/lを含む培地を用いて無菌的にカルスを誘導
し、次いで誘導されたカルスをオーキシン系植物ホルモ
ン0〜0.1mg/lを含む培地を用いてシュートを再
生し、次いで再分化さたシュートを少なくとも1種類以
上のオーキシン系植物ホルモン0.2〜3.0mg/l
を含む培地にて発根させることを特徴とするカラマツ属
植物の大量増殖方法である。
【0013】以下に本発明を詳細に説明する。カラマツ属植物の組織 本発明に適用できるカラマツ属植物としては、ニホンカ
ラマツ(Larix leptrepis )、グイマツ(L.gmelini
)、チョウセンカラマツ(L.olgensis)など日本で造
林されている樹種、またオウシュウカラマツ(L. decid
ua)、アメリカカラマツ(L.laricina)などの外国樹種
の他、これらの種間雑種がある。また、組織培養に用い
る組織片(外植体)としては、頂芽および腋芽における
茎頂、枝における形成層、針葉における葉肉組織等のよ
うに、分裂細胞を持っている組織であれば良いが、特に
茎頂と枝を使用するのが有効である。
【0014】培地 本発明に使用する培地は植物の組織培養に一般に用いら
れる培地を広く用いることができる。例えば、ガンボー
グB5培地、ムラシゲ・スクーグ培地、Litvayの培地
(LM培地)、Woody plant medium培地(WPM培
地)、white の培地(White 培地)、井出・斎藤培地
(IS培地)あるいはこれらの培地の組成を改変した培
地などである。
【0015】植物ホルモン また、培地に加える植物ホルモンとしては、ナフタレン
酢酸(NAA)、インドール−3−酢酸(IAA)、イ
ンドール−3−酪酸(IBA)、2,4−シクロフェノ
キシ酢酸(2,4−D)、インドール−3−プロピオン
酸(IPA)、ベンゾフラン−3−酢酸(BFA)、フ
ェニル酪酸(PBA)、およびこれらの誘導体等のオー
キシン類、およびベンジルアデニン(BA)、カイネチ
ン、ゼアチン、2−イソペンテニルアデニン(2i
P)、(2−クロル−4−ピリジル)−3−フェニル尿
素(4PU)等のサイトカイニン類を例示できる。
【0016】カルスの誘導 上記の培地にサイトカイニン類およびサイトカイニン類
とオーキシン類とを組み合わせた植物ホルモン及びショ
糖を添加した固体もしくは液体培地に、表面殺菌を行っ
たカラマツ属植物の組織片を植え付ける。
【0017】培養条件は気温15〜30℃、1000〜
20000luxの照度で明期10〜16時間、暗期1
4〜8時間を与え培養する。組織片植え付け後、約2週
間程度で組織片のカルス化が始まり、約4週間後には直
径5〜15mm程度のカルスに生長する。
【0018】植物体の再生 上記によって誘導されたカルスを、前述の培地にオーキ
シン類の植物ホルモンおよびショ糖を添加した液体もし
くは固体培地に移植する。培養条件は、カルス誘導の条
件と同様である。
【0019】カルス移植後、1〜2週間程度でシュート
の再分化が確認できる。約4週間後には、5〜15mm
の長さのシュートが10〜40本程度カルスから再分化
する。シュート再分化に用いた培地を1/2〜1/4程
度に希釈し、これにオーキシン類を1種類もしくは2種
類以上を組み合わせて添加した培地に再分化したシュー
トをカルスから切り放し移植を行う。このとき、培地の
ショ糖濃度はできるだけ低くした方がよい。場合によっ
てはショ糖は添加しなくてもよい。発根時の培養条件
は、カルス誘導、シュート再分化時の条件と同様であ
る。
【0020】発根培地へ移植後、早いもので約2週間程
度で発根が認められる。この後2〜3週間で順化を行え
るような状態まで根が発達する。この発根個体を従来知
られている方法によって順化することにより、健全な苗
木を多数得ることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例−1外植体とその表面殺菌方法 ニホンカラマツとグイマツの交雑種の2年生の実生苗か
ら茎頂を含む2cmの長さの枝を切り取って70%メタ
ノールに2分間浸漬し(このうち1分間は超音波洗浄を
行う)、この後10倍に希釈したアンチホルミンに20
分浸漬する(このうち5分間は超音波洗浄を行う)こと
により表面殺菌を行った。この後滅菌水で3回すすい
だ。
【0022】カルス誘導の培地及び植物ホルモン MS培地を1/2に希釈し、これにショ糖3%を添加
し、最適濃度を明らかにするために、表1に示す各種の
濃度のBAを加えpH5.8に調製した。この培地を1
00ml容量のガラス製の三角フラスコに40mlずつ
分注し、さらに寒天0.7%を加えオートクレーブによ
って滅菌した(121℃、1.2kg/cm2 、15分
間)。
【0023】
【表1】
【0024】茎頂の植え付け及び培養条件 これに前述の表面殺菌した茎頂を含む枝から成長点を含
む3mmの大きさの茎頂部分を切り取って、これを1フ
ラスコ当り2茎頂ずつ植え付け、25℃で16時間明期
(2000lux )、8時間暗期の培養条件で1カ月培養
し、カルスを誘導した。この結果、表1に示したように
カルス誘導率はBAの濃度が0.5mg/lのものが最
も良かったので、カルス誘導に使用するホルモンはBA
を0.5mg/lの濃度とした。得られたカルスの写真
を図1に示す。
【0025】シュートの再分化 カルスを誘導した同じ培地にシュートを再分化させるた
めに使用するホルモンの種類と濃度を明らかにするため
にNAAおよびIBAを表2に示す種々の濃度でそれぞ
れ添加し、pH5.8に調製して100ml容量のガラ
ス製の三角フラスコに40mlずつ分注した。これに寒
天0.7%を加えオートクレーブによって滅菌した。
【0026】
【表2】
【0027】この培地に先に誘導したカルスを直径5〜
10mm程度に分割して各ホルモン濃度毎に、1フラス
コ当り2個ずつ移植した。なお、培養条件はカルス誘導
の際と同じとし、1カ月培養しシュートの再分化率を調
べた。この結果、シュート再分化率の最も高かったのは
NAAを0.01mg/lまたは0.05mg/l添加
したものであった。
【0028】培養後1カ月の段階で、カルスは1.5〜
2cm程度の大きさに生長し、さらにここからシュート
が1カルス当り20〜30本再分化した。これを同じ組
成の培地に移植し、さらに1カ月培養した。この時シュ
ートの数は30〜40本程度で3〜4cmの大きさにな
った。この時点でシュートをカルスから切取り、次の述
べる発根培地に移植した。得られたシュートの写真を図
2に示す。
【0029】シュートからの発根 培地はMS培地の1/4希釈培地とし、これにショ糖1
%、寒天0.7%とし、オーキシンについてはその種類
と濃度を明らかにするためにNAAとIBAについて
0.1および0.5mg/lの濃度で添加した。培養条
件は、カルス誘導およびシュート再分化時と同様とし
た。この条件で、3カ月培養後発根が確認できた。な
お、表3に示した発根率は、シュート再分化率の高かっ
たNAA0.01mg/lを添加した試験区から取った
シュートの発根率であるが、この結果から、IBAを
0.5mg/lの濃度で添加した培地で最も発根率が高
かった。
【0030】
【表3】
【0031】この後3カ月で順化可能となるように根が
発育した。この発根した個体をすでに明らかにされてい
る方法でパーライトに移植し、徐々に湿度を下げ、高照
度に移していくことによって約1カ月で順化を終了し、
正常な苗木となった。順化可能となるように発育した根
の状態を示す写真を図3に示す。この方法によって、1
個の茎頂から約9カ月で10本の苗木が生産できた。
【0032】実施例−2外植体とその表面殺菌方法 カラマツとグイマツの2年生の交雑種個体から当年生枝
部分を2cmの長さに切り取って、実施例−1と同様の
方法で滅菌した。
【0033】カルス誘導条件 MS培地の1/2希釈培地にショ糖3%を添加し、さら
にBAを0.5mg/lの濃度で添加し、pH5.8に
調製した。この培地を100ml容量の三角フラスコに
40mlずつ分注し、寒天0.7%を加えオートクレー
ブによって滅菌した。
【0034】外植体の植え付け及び培養条件 これに前述の表面殺菌したカラマツ交雑種の枝を1フラ
スコ当り2本ずつ植え付け、実施例−1と同じ条件で1
カ月培養し、カルスを誘導した。
【0035】シュートの再分化 カルスを誘導したものと同じ培地にNAA0.01mg
/l及びショ糖を3%添加し、pH5.8に調製した。
この培地を100ml容量の三角フラスコに40mlず
つ分注し、寒天0.7%を加えオートクレーブによって
滅菌した。この培地に誘導したカルスを直径5〜10m
m程度分割し、1フラスコ当り2個のカルスを移植し
た。シュートの再分化率は60%であった。
【0036】培養後2週間の段階で、カルスは1.5〜
2cm程度に生長し、シュート数は1カルス当り20〜
30本再分化した。これをさらに1カ月培養し、シュー
ト数が30〜40本程度になった時点でシュートをカル
スから切取り、発根培地に移植した。
【0037】シュートからの発根 このとき、培地はMS培地の1/4希釈培地とし、これ
にショ糖1%、寒天0.7%およびIBAを0.5mg
/lの濃度で添加した。この方法では、発根率は40%
であった。移植後約1カ月から発根が認められ、2カ月
を過ぎると順化に出せるような状態まで根が発育する。
この後、順化を経て健全な苗木に生長した。この試験で
は、1本の枝から約7カ月で約25本の苗木を生産する
ことができた。
【0038】実施例−3外植体とその表面殺菌方法 カラマツとグイマツの17年生の交雑種個体から当年生
枝部分を2cmの長さに切り取って、実施例−1と同様
の方法で滅菌した。
【0039】カルス誘導条件 MS培地の1/2希釈培地にショ糖3%を添加し、さら
に表4に示す濃度のBAおよびNAAを組み合わせて添
加し、pH5.8に調製した。この培地を100ml容
量の三角フラスコに40mlずつ分注し、寒天0.7%
を加えオートクレーブによって滅菌した。
【0040】
【表4】
【0041】茎頂の植え付け及び培養条件 これに前述の表面殺菌したカラマツ交雑種の茎頂を1フ
ラスコ当り2茎頂ずつ植え付け、実施例−1と同じ条件
で1カ月培養し、カルスを誘導した。この結果、カルス
誘導率はBA0.5mg/l+NAA0.01mg/l
の組み合わせが最も高かったが、後述するシュート再分
化率はBA0.1mg/l+NAA0.01mg/lの
組み合わせが最も高かったので、これをカルス誘導の適
正ホルモンの組み合わせとした。
【0042】シュートの再分化 カルスを誘導したものと同じ培地にNAA0.01mg
/l及びショ糖を3%添加し、pH5.8に調製した。
この培地を100ml容量のガラス製三角フラスコに4
0mlずつ分注し、寒天0.7%を加えオートクレーブ
によって滅菌した。この培地に誘導したカルスを直径5
〜10mm程度分割して、1フラスコ当り2個のカルス
を移植した。各ホルモンの組み合わせによって誘導した
各カルスのシュートの再分化率を表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】培養後2週間の段階で、カルスは1.5〜
2cm程度に生長し、シュート数は1カルス当り20〜
30本再分化した。これをさらに1カ月培養し、シュー
ト数を30〜40本程度になった時点でシュートをカル
スから切取り、発根培地に移植した。
【0045】シュートからの発根 このとき、培地はMS培地の1/4希釈培地とし、これ
にショ糖1%、寒天0.7%加え、さらに表6に示した
ようにオーキシンとしてNAAとIBAを種々の割合で
それぞれ添加した。
【0046】
【表6】
【0047】移植後約1カ月から発根が認められた。こ
の時、発根率は表6に示すようにNAA1.0mg/l
+IBA0.5mg/lの組み合わせが発根率が高かっ
た。2カ月を過ぎると順化に出せるような状態まで根が
発育する。この後、順化を経て健全な苗木に生長する。
この方法によって、1個の茎頂から約5カ月で約30本
の苗木を生産することができた。
【0048】
【発明の効果】本発明によって、いままで接ぎ木によっ
てしかクローン増殖ができなかったカラマツ属植物が茎
頂だけでなく、芽、枝、針葉等の組織培養によって大量
に増殖できるようになった。この方法によって、有用で
かつ優れた形質を持つカラマツ属植物効率よく大量に増
殖することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニホンカラマツとグイマツの交雑種成木茎頂か
ら誘導されたカルスを示す図
【図2】図1に示すカルスから再分化したシュートを示
す図
【図3】カルスから再分化したシュートの発根した状態
を示す図
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】ニホンカラマツとグイマツの交雑種成木茎頂か
ら誘導されたカルスを示す写真
【図2】図1に示すカルスから再分化したシュートを示
す写真
【図3】カルスから再分化したシュートの発根した状態
を示す写真

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラマツ属植物の組織片をオーキシン系
    植物ホルモン0〜0.01mg/l、サイトカイニン系
    植物ホルモン0.01〜5.0mg/lを含む培地を用
    いて無菌的にカルスを誘導し、次いで誘導されたカルス
    をオーキシン系植物ホルモン0〜0.1mg/lを含む
    培地を用いてシュートを再生し、次いで再分化したシュ
    ートを少なくとも1種類以上のオーキシン系植物ホルモ
    ン0.2〜3.0mg/lを含む培地にて発根させるこ
    とを特徴とするカラマツ属植物の大量増殖法。
  2. 【請求項2】 カラマツ属植物の組織片が茎頂、および
    枝である請求項1に記載したカラマツ属植物の大量増殖
    方法。
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KR20180080487A (ko) * 2017-01-04 2018-07-12 대한민국(산림청 국립산림과학원장) 갈변 억제제 또는 폴리아민 처리에 의한 일본잎갈나무의 배발생 조직 생장 증진방법

Cited By (4)

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