JPH07255304A - アカシア属植物の大量増殖法 - Google Patents

アカシア属植物の大量増殖法

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JPH07255304A
JPH07255304A JP7129494A JP7129494A JPH07255304A JP H07255304 A JPH07255304 A JP H07255304A JP 7129494 A JP7129494 A JP 7129494A JP 7129494 A JP7129494 A JP 7129494A JP H07255304 A JPH07255304 A JP H07255304A
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JP
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medium
plant
callus
shoot
auxin
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JP7129494A
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Yoshiaki Yamaguchi
善紀 山口
Kazutsune Tsurumi
和恒 鶴見
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New Oji Paper Co Ltd
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New Oji Paper Co Ltd
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アカシア属植物の組織培養による大量増殖法
を提供する。 【構成】 アカシア属植物の組織片をサイトカイニン系
植物ホルモン0.01〜10.0mg/l、オーキシン
系植物ホルモン0〜10.0mg/lを組み合わせた培
地を用いて無菌的にカルスを誘導し、次いで誘導された
カルスをオーキシン系植物ホルモン0.01〜10.0
mg/l、サイトカイニン系植物ホルモン0〜10.0
mg/lを組み合わせた培地を用いてシュートを再分化
し、次いで再分化されたシュートをオーキシン系植物ホ
ルモン0.01〜10.0mg/lを含む培地にて発根
させることを特徴とするアカシア属植物の大量増殖法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアカシア属植物の大量増
殖法に関し、更に詳しくはアカシア属植物の組織培養に
よる大量増殖法に関する。
【0002】
【従来の技術】アカシア属植物は世界的に約600 種知ら
れており、おもに南半球の熱帯、亜熱帯地方に広く分布
する。このアカシア属植物は、根に根粒菌を持ち、痩せ
地でも成長が早い事が知られていてパルプ用材をはじ
め、切り花、庭園木、緑化樹として用いられ、パルプ、
家具材、香水、タンニン、アラビアゴムなどの広い用途
がある。これらのアカシア属植物の増殖は、通常種子又
は挿木によって行われている。しかし種子による増殖に
よる場合は、苗木の遺伝的性質が安定しない欠陥があ
る。また挿木による増殖の場合は、遺伝的には均一の苗
木の増殖ができるが、この方法を用いた大量増殖は、組
織培養を用いた場合と比較すると極端に効率が落ちる。
組織培養の手法を用いた、アカシア属植物の増殖の例と
しては、以下の例がある。
【0003】Crawford及びHartney は、Acacia mangium
とA. stenophyllaの発芽後2.5 週間の子葉をMurashige-
Skoog (MS)培地にベンジルアデニン(BA)とナフ
タレン酢酸(NAA)を添加し培養を行った。この結
果、A. mangiumでは完全な植物体を再生できたが、A. s
tenophyllaではシュートの伸長は認められたものの発根
せず完全な植物体は再生できなかった(ACIAR proceedi
ng No.35、64〜65頁)。またSemsuntud 及びNitiwattan
achai は、A. auriculiformis の精英樹の芽を用いてマ
ルチプルシュートの誘導を行った。この結果、シュート
の増殖率は1〜10倍、発根率は40%という値を得ている
(ACIAR proceeding No.35、39〜42頁)。
【0004】さらにDewan et al.は、A. nilotica の発
芽15日後の子葉をB5培地にサイトカイニン系植物ホル
モンとしてBA、2-イソペンテニルアデニン(2i
P)、ゼアチン、カイネチンを添加し、マルチプルシュ
ートの誘導を行った。この結果、植物体の再生はできた
が、増殖率は3倍程度と低い値を示している(Plant Ce
llReport、vol.12 18〜21頁)。また齋藤らは、A. man
giumの発芽6カ月後の茎を用い、MS培地にBAとIA
Aを添加し、マルチプルシュートの誘導を行い、完全な
植物体を得た。しかし、増殖率は1〜6倍程度、発根率
は14〜20%程度と低い値しか得られていない(植物組織
培養、vol.10、163 〜168 頁)。これらの報告は、基礎
的な試験結果であるため、事業的な大量増殖には不向き
なものであるだけでなく、本発明に比べ増殖率、発根率
ともに低い値を示している。
【0005】本発明と同様にアカシア属植物を用いてカ
ルスを経由した増殖方法は、Rao 及びPrasadによってA.
auriculiformis の発芽後10日の胚軸を用いてカルスを
誘導し、このカルスからシュートを再分化させ、完全な
植物体を再生した報告がある(Journal of plant physi
ology 、vol.137 、625 〜627 頁)。この報告では、胚
軸をMS培地を1/2に希釈した基本培地にBAとNA
Aとを添加し、カルスを誘導し、シュートの再分化を図
っている。しかし、この培地ではシュートの増殖率が4
〜5倍と低いため、グルタミンを添加することによって
増殖率を20倍程度に増加させている。本発明では、外植
体として胚軸以外でも完全な植物体が再生できたこと、
シュートの再分化の際に基本培地にグルタミン等の添加
物がなくても増殖率が30倍程度と高いこと、発根に用い
た基本培地の濃度が低いこと等がこの報告と異なる点で
ある。
【0006】現在までに公開された特許出願の中には、
アカシア属植物の上位に位置するマメ科植物に関する組
織培養関連のものとして、苗条原基による一年生豆科植
物の多年生化大量増殖法(特開昭62−236415号公報)、
植物の組織培養法(特開昭63−245668号公報)、マメ科
植物のプロトプラスト由来カルスの製法(特開昭63−31
3579号公報)、甘草由来細胞賦活物質(特開平2−1176
87号公報)、まめ科甘草の組織培養物の製造方法(特開
平2−119773号公報)、体細胞不定胚によるブラシノス
テロイドの生産方法(特開平2−299595号公報)がある
が、これらはマメ科一年生作物を対象としたものであ
り、本発明に用いた木本性のマメ科植物ではない。
【0007】また、木本性マメ科植物としては、抗アレ
ルギー剤の製造方法(特開平1−102027号公報)の中
に、クズ、エンジュが含まれているが、前者はPueraria
属であり、後者はSophora 属であるため、本発明のアカ
シア属とは別の属の植物である。また、植物細胞培養物
における二次代謝産物のエリシター誘導方法(特開平5
−184355号公報)については、植物体の再生は行ってい
ない。アカシアの名前がついている木本生殖物として、
ニセアカシア、トゲナシニセアカシアがあるが、これら
はRobinia 属であり、本発明のアカシア属植物とは異な
るものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これまで実
生繁殖に頼っていたアカシア属植物の増殖を、組織培養
の手法によって大量増殖することを目的とするものであ
る。さらにこの方法は遺伝子組み替えの手法にも用いる
ことが可能な組織培養方法を提供することを目的とする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、アカシア属植
物の組織片をサイトカイニン系植物ホルモン0.01〜10.0
mg/l、オーキシン系植物ホルモン0〜10.0mg/lを含む培
地を用いて無菌的にカルスを誘導し、次いで誘導された
カルスをオーキシン系植物ホルモン0.01〜10.0mg/l、サ
イトカイニン系植物ホルモン0〜10.0mg/lを含む培地を
用いてシュートを再分化し、次いで再分化されたシュー
トを少なくとも1種類以上のオーキシン系植物ホルモン
0.01〜2.0mg/l を含む培地にて発根させることを特徴と
するアカシア属植物の大量増殖法に存する。
【0010】また、カルス誘導時の植物ホルモンがオー
キシン系植物ホルモン0.01〜5.0mg/l 、サイトカイニン
系植物ホルモンが0.05〜5.0mg/l である上記アカシア属
植物の大量増殖法に存する。また、シュート再分化時の
植物ホルモンがオーキシン系植物ホルモン0.05〜5.0mg/
l 、サイトカイニン系植物ホルモンが0.01〜5.0mg/l で
ある上記アカシア属植物の大量増殖法に存する。また、
発根時の植物ホルモンがオーキシン系植物ホルモン0.01
〜5.0mg/l である上記アカシア属植物の大量増殖法に存
する。
【0011】以下に本発明をさらに詳細に説明する。 (アカシア属植物の組織)本発明に適用できるアカシア
属植物としては、代表的なものとしてAcacia aulacocar
pa、A.auriculiformis、A.cincinnata、A.crassicarpa
、A.fasciculifera 、A.flavescens、A.hylonoma、A.m
angium 、A.melanoxylon 、A.oraria、A.polystachya
、A.shirleyi、A.spirorbis 、A.alata 、A.baileyana
、A.boormanii 、A.confusa 、A.cultriformis、A.cya
nophylla 、A.dealbata、A.deanei、A.decurrens 、A.d
iffusa 、A.drummondii、A.elata 、A.falcata 、A.fim
briata、A.floribunda、A.implexa 、A.lineata 、A.lo
ngifolia、A.mearnsii、A.oxycedrus 、A.penninervis
、A.podalyriifolia、A.pravissima、A.prominens 、
A.pycnantha 、A.retinodes 、A.rubida、A.spectabili
s 、A.uncinata、A.verticillata、A.stenophylla 、A.
nilotica等がある。さらに、これらの種間雑種があげら
れる。
【0012】また、組織培養に用いる組織片(外植体)
としては頂芽及び腋芽における茎頂、枝及び幹における
形成層、子葉及び幼葉における葉肉組織、根等のよう
に、分裂細胞を持っている組織であれば良いが、特に茎
頂と子葉を用いるのが有効である。
【0013】(培地)本発明に使用する培地は植物の組
織培養に一般に用いられる培地を広く用いることができ
る。例えば、ガンボーグB5培地(B−5培地)、ムラ
シゲ・スクーグ培地(MS培地)、Litvayの培地(LM
培地)、Woody plant medium培地(WPM培地)、Whit
e の培地(White 培地)、井出・齋藤の培地(IS培
地)あるいはこれらの培地の組成を改変した培地などで
ある。
【0014】(植物ホルモン)培地の植物ホルモンとし
てナフタレン酢酸(NAA)、インドール−3−酢酸
(IAA)、インドール−3−酪酸(IBA)、2,4
−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、インドール−3
−プロピオン酸(IPA)、ベンゾフラン−3−酢酸
(BFA)、フェニル酪酸(PBA)、及びこれらの誘
導体等のオーキシン類、及びベンヂルアデニン(B
A)、カイネチン、ゼアチン、2−イソペンテニルアデ
ニン(2iP)、(2−クロル−4−ピリジン)−3−
フェニル尿素(4PU)等のサイトカイニン類を例示で
きる。
【0015】(カルスの誘導)上記の培地にサイトカイ
ニン類とオーキシン類との組み合せによる植物ホルモン
及びショ糖を添加した固体もしくは液体培地に、表面殺
菌を行ったアカシア属植物の組織片を植え付ける。この
ときのサイトカイニン類の濃度は0.01〜10.0mg/l、好ま
しくは0.05〜5.0mg/l である。また、オーキシン類は0
〜10.0mg/l、好ましくは0.01〜5.0mg/l である。培地
は、寒天0.1 〜1.5 %、ショ糖1〜5%を添加したもの
が好ましい。培養条件は、温度15〜35℃、照度1000〜20
000luxで明期10〜16時間、暗期14〜8時間を与え培養す
る。このとき、培養温度は20〜30℃、照度1500〜3000lu
x 、明期12〜16時間、暗期12〜8時間が好ましい。組織
片植え付け後、約2週間程度で組織片のカルス化が始ま
り、約4週間後には直径5〜15mm程度のカルスに生長す
る。
【0016】(植物体の再生)上記によって誘導された
カルスを、前述の培地にオーキシン類単独又は、オーキ
シン類とサイトカイニン類とを組み合せた植物ホルモン
及びショ糖を添加した液体もしくは固体培地に移植す
る。このとき、サイトカイニン類の濃度は0.01〜10.0mg
/l、好ましくは0.01〜5.0mg/l である。また、オーキシ
ン類は0〜10.0mg/l、好ましくは0.05〜5.0mg/l 含まれ
ているのが好ましい。培地は、寒天0.1 〜1.5 %、ショ
糖1〜5%を添加したものが好ましい。培養条件は、カ
ルス誘導の条件と同様である。このとき、培養温度は20
〜30℃、照度1500〜3000lux 、明期12〜16時間、暗期12
〜8時間が好ましい。カルス移植後、1〜3週間程度で
シュートの再分化が確認できる。約5週間後には5〜15
mmの長さのシュートが5〜30本程度カルスから再分化す
る。
【0017】(シュートからの発根)シュート再分化に
用いた培地を1/2 〜1/8 程度に希釈し、これにオーキシ
ン類を添加した培地に再分化したシュートをカルスから
切り放し移植を行う。このとき、培地のショ糖濃度はで
きるだけ低い方がよい。場合によってはショ糖は添加し
なくてもよい。このとき、オーキシン類は0〜10.0mg/
l、好ましくは0.01〜5.0mg/l 。培地は、ゲランガム0.1
〜1.5 %、ショ糖1〜5%を添加したものが好まし
い。
【0018】発根時の培養条件は、カルス誘導、ショー
ト再分化時の条件と同様である。このとき、培養温度は
20〜30℃、照度1500〜3000lux 、明期12〜16時間、暗期
12〜8時間が好ましい。発根培地へ移植後、早いもので
約1週間程度で発根が認められる。この後2〜4週間で
順化を行えるような状態まで根が発達する。この発根個
体を従来知られている方法により順化することによっ
て、健全な苗木を多数得ることができる。以下に本発明
を実施例によって具体的に説明する。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例−1 Acacia auriculiformis の増殖(外植体に茎頂を用いた
場合) カルス誘導の培地及び植物ホルモン:MS、LM、WP
M、B−5の各培地にショ糖3%を添加し、第1表に示
す各種の濃度のNAAとBAを加えpH5.6 に調製した。
この培地を100ml 容量のガラス製の三角コルベンに40ml
ずつ分注し、さらに寒天0.7%を加えオートクレーブに
よって滅菌した(121 ℃、1.2Kg/cm2 、15分間)。
【0020】
【表1】
【0021】茎頂の植え付け及び培養条件:これらの培
地に、A.auriculiformisの種子を殺菌処理後、LM培地
で無菌播種し、2〜3週間で得られた芽生えの茎頂部分
を切りとって1コルベン当たり2茎頂ずつ植え付け、28
℃で14時間明期(2,000lux)、10時間暗期の培養条件で
1カ月培養し、カルスを誘導した。この結果、第1表に
示したようにカルス誘導率はLM培地が最も良かったの
で、カルス誘導に使用した基本培地はLM培地とした。
【0022】シュートの再分化:MS、LM、WPM、
B−5の各培地にショ糖3%を添加し、シュートを再分
化させるために使用するホルモンの種類と濃度を明らか
にするためにNAA及びBAを表2に示す種々の濃度で
それぞれ添加し、pH5.6に調製して100ml 容量のガ
ラス製の三角コルベンに40mlずつ分注した。これに寒天
0.7%を加えオートクレーブによって滅菌した。
【0023】
【表2】
【0024】これらの培地に先にLM培地で誘導したカ
ルスを直径5〜10mm程度に分割して各ホルモン濃度毎
に、1コルベン当たり2個ずつ移植した。なお、培養条
件はカルス誘導の際と同じとし、2カ月培養しシュート
の再分化率を調べた。この結果、シュート再分化率の最
も高かったのは、基本培地ではMS、ホルモンではNA
A0.1mg/l とBA1mg/lの組合せを添加したものであっ
た。培養後1カ月の段階で、カルスは1.5 〜2cm程度の
大きさに生長し、さらにここからシュートが1カルス当
たり10〜30本再分化した。この時点でシュートをカルス
から切り取り、次に述べる発根培地に移植した。
【0025】シュートからの発根:培地はMS、LM、
WPM、B−5のそれぞれの培地の1/6 希釈培地とし、
これにショ糖1.5 %、ゲランガム0.4 %とし、ホルモン
としてIBAをその適正濃度を明らかにするために0.05
mg/l及び0.1 mg/lの濃度で添加した。培養条件は、カル
ス誘導及びシュート再分化時と同様とした。この条件
で、2ヶ月培養後発根が確認できた。なお、表3に示し
た発根率は、シュート再分化率の高かったMS培地のN
AA0.1 mg/l及びBA1mg/lを添加した試験区から取っ
たショートの発根率であるが、この結果から、IBA0.
1 mg/lの濃度を添加したWPM培地で最も発根率が高か
った。
【0026】
【表3】
【0027】この後1カ月で順化可能となるように根が
発育した。この発根した個体をすでに明らかにされてい
る方法で培養土に移植し、徐々に湿度を下げ、高照度に
移していくことによって約1ヶ月で順化を終了し、正常
な苗木となった。この方法によって、1個の茎頂から約
8カ月で約30本の苗木が生産できた。
【0028】実施例−2 Acacia auriculiformis の増殖(外植体に子葉を用いた
場合) カルス誘導の培地および植物ホルモン:MS、LM、W
PM、B−5の各培地にショ糖3%を添加し、第4表に
示す各種の濃度のNAAとBAを加えpH5.6 に調製し
た。この培地を100ml 容量のガラス製の三角コルベンに
40mlずつ分注し、さらに寒天0.7 %を加えオートクレー
ブによって滅菌した(121 ℃、1.2Kg/cm2 、15分間)。
【0029】
【表4】
【0030】子葉の植え付け及び培養条件:これらの培
地にA.auriculiformisの種子を殺菌処理後、LM培地で
無菌播種後、2〜3週間で得られた芽生えの子葉部分を
切りとって1コルベン当たり2枚の子葉を植え付け、28
℃で14時間明期(2,000lux)、10時間暗期の培養条件で
1カ月培養し、カルスを誘導した。この結果、第4表に
示したようにカルス誘導率はWPM培地が最も良かった
ので、カルス誘導に使用した基本培地はWPM培地とし
た。
【0031】シュートの再分化:MS、LM、WPM、
B−5の各培地にショ糖3%を添加し、シュートを再分
化させるために使用するホルモンの種類と濃度を明らか
にするためにNAA及びBAを表5に示す種々の濃度で
それぞれ添加し、pH5.6 に調製して100ml 容量のガラス
製の三角コルベンに40mlずつ分注した。これに寒天0.7
%を加えオートクレーブによって滅菌した。
【0032】
【表5】
【0033】これらの培地に先にWPM培地で誘導した
カルスを直径5〜10mm程度に分割して各ホルモン濃度毎
に、1コルベン当たり2個ずつ移植した。なお、培養条
件はカルス誘導の際と同じとし、1カ月培養しシュート
の再分化率を調べた。この結果、シュート再分化率の最
も高かったのは、基本培地ではB−5、ホルモンではN
AA0.5mg/l とBA1mg/lの組合せを添加したものであ
った。培養後1カ月の段階で、カルスは1.5 〜2cm 程度
の大きさに生長しさらにここからシュートが1カルス当
たり10〜30本再分化した。この時点でシュートをカルス
から切り取り、次に述べる発根培地に移植した。
【0034】シュートからの発根:培地はMS、LM、
WPM、B−5のそれぞれの培地の1/6 希釈培地とし、
これにショ糖1.5 %、ゲランガム0.4 %とし、ホルモン
としてIBAをその濃度を明らかにするために0.05mg/l
及び0.1mg/l の濃度で添加した。培養条件は、カルス誘
導及びシュート再分化時と同様とした。この条件で、1
ヶ月培養後発根が確認できた。なお、表6に示した発根
率は、シュート再分化率の高かったB−5培地のNAA
0.5mg/g 及びBA1mg/lを添加した試験区から取ったシ
ョートの発根率であるが、この結果から、IBA0.1mg/
l の濃度を添加したWPM培地で最も発根率が高かっ
た。
【0035】
【表6】
【0036】この後1カ月で順化可能となるように根が
発育した。この発根した個体をすでに明らかにされてい
る方法で培養土に移植し、徐々に湿度を下げ、高照度に
移していくことによって約1ヶ月で順化を終了し、正常
な苗木となった。この方法によって、1個の茎頂から約
8カ月で約20本の苗木が生産できた。
【0037】実施例−3 Acacia mangiumの増殖: カルス誘導の培地及び植物ホルモン:MS、LM、WP
M、B−5の各培地にショ糖3%を添加し、第7表に示
す各種の濃度のNAAとBAを加えpH5.6 に調製した。
この培地を100ml 容量のガラス製の三角コルベンに40ml
ずつ分注し、さらに寒天0.7 %を加えオートクレーブに
よって滅菌した(121 ℃、1.2Kg/cm2 、15分間)。
【0038】
【表7】
【0039】茎頂の植え付け及び培養条件:これらの培
地にA.mangium の種子を殺菌処理後、LM培地で無菌播
種後、2〜3週間で得られた芽生えの茎頂部分を切りと
って1コルベン当たり2茎頂ずつ植え付け、28℃で14時
間明期(2,000lux)、10時間暗期の培養条件で1カ月培
養し、カルスを誘導した。この結果、第7表に示したよ
うにカルス誘導率はLM培地が最も良かったので、カル
ス誘導に使用した基本培地はLM培地とした。
【0040】シュートの再分化:MS、LM、WPM、
B−5の各培地にショ糖3%を添加し、シュートを再分
化させるために使用するホルモンの種類と濃度を明らか
にするためにNAA及びBAを表8に示す種々の濃度で
それぞれ添加し、pH5.6 に調製して100ml 容量のガラス
製の三角コルベンに40mlずつ分注した。これに寒天0.7
%を加えオートクレーブによって滅菌した。
【0041】
【表8】
【0042】これらの培地に先にLM培地で誘導したカ
ルスを直径5〜10mm程度に分割して各ホルモン濃度毎
に、1コルベン当たり2個ずつ移植した。なお、培養条
件はカルス誘導の際と同じとし、2カ月培養しシュート
の再分化率を調べた。この結果、シュート再分化率の最
も高かったのは、基本培地ではMS、ホルモンではNA
A0.1mg/l とBA1mg/lの組合せを添加したものであっ
た。培養後1カ月の段階で、カルスは1.5 〜2cm程度の
大きさに生長し、さらにここからシュートが1カルス当
たり10〜30本再分化した。この時点でシュートをカルス
から切り取り、次に述べる発根培地に移植した。
【0043】シュートからの発根:培地はMS、LM、
WPM、B−5のそれぞれの培地の1/6 希釈培地とし、
これにショ糖1.5 %、ゲランガム0.4 %とし、ホルモン
としてIBAをその濃度を明らかにするために0.05mg/l
及び0.1mg/l の濃度で添加した。培養条件は、カルス誘
導及びシュート再分化時と同様とした。この条件で、1
ヶ月培養後発根が確認できた。なお、表9に示した発根
率は、シュート再分化率の高かったMS培地のNAA0.
1mg/l 及びBA1mg/lを添加した試験区から取ったシュ
ートの発根率であるが、この結果から、IBA0.1mg/l
の濃度を添加したMS培地とWPM培地で最も発根率が
高かった。
【0044】
【表9】 この後1カ月で順化可能となるように根が発育した。こ
の発根した個体をすでに明らかにされている方法で培養
土に移植し、徐々に湿度を下げ、高照度に移していくこ
とによって約1ヶ月で順化を終了し、正常な苗木となっ
た。この方法によって、1個の茎頂から約8カ月で約2
0本の苗木が生産できた。
【0045】
【発明の効果】本発明によって、これまで実生繁殖に頼
っていたアカシア属植物の増殖を、組織培養の手法によ
って大量増殖するものである。さらにこの方法は遺伝子
組み替えの手法にも用いる事が可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】アカシア属植物は世界的に約600種知
られており、おもに南半球の熱帯、亜熱帯地方に広く分
布する。このアカシア属植物は、根に根粒菌を持ち、痩
せ地でも成長が早い事が知られていてパルプ用材をはじ
め、切り花、庭園木、緑化樹として用いられ、パルプ、
家具材、香水、タンニン、アラビアゴムなどの広い用途
がある。これらのアカシア属植物の増殖は、通常種子又
は挿木によって行われている。しかし種子による増殖
場合は、苗木の遺伝的性質が安定しない欠陥がある。ま
た挿木による増殖の場合は、遺伝的には均一の苗木の増
殖ができるが、この方法を用いた大量増殖は、組織培養
を用いた場合と比較すると極端に効率が落ちる。組織培
養の手法を用いた、アカシア属植物の増殖の例として
は、以下の例がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、アカシア属植
物の組織片をサイトカイニン系植物ホルモン0.01〜
10.0mg/l、オーキシン系植物ホルモン0〜1
0.0mg/lを含む培地を用いて無菌的にカルスを誘
導し、次いで誘導されたカルスをオーキシン系植物ホル
モン0.01〜10.0mg/l、サイトカイニン系植
物ホルモン0〜10.0mg/lを組み合わせた培地を
用いてシュートを再分化し、次いで再分化されたシュー
トを少なくとも1種類以上のオーキシン系植物ホルモン
0.01〜2.0mg/lを含む培地にて発根させるこ
とを特徴とするアカシア属植物の大量増殖法に存する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アカシア属植物の組織片をサイトカイニ
    ン系植物ホルモン0.01〜10.0mg/l、オーキシン系植物ホ
    ルモン0〜10.0mg/lを組み合わせた培地を用いて無菌的
    にカルスを誘導し、次いで誘導されたカルスをオーキシ
    ン系植物ホルモン0.01〜10.0mg/l、サイトカイニン系植
    物ホルモン0〜10.0mg/lを組み合わせた培地を含む培地
    を用いてシュートを再分化し、次いで再分化されたシュ
    ートをオーキシン系植物ホルモン0.01〜10.0mg/lを含む
    培地にて発根させることを特徴とするアカシア属植物の
    大量増殖法。
  2. 【請求項2】 カルス誘導時の植物ホルモンがオーキシ
    ン系植物ホルモン0.01〜5.0mg/l 、サイトカイニン系植
    物ホルモンが0.05〜5.0mg/l である請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 シュート再分化時の植物ホルモンがオー
    キシン系植物ホルモン0.05〜5.0mg/l 、サイトカイニン
    系植物ホルモンが0.01〜5.0mg/l である請求項1又は2
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 発根時の植物ホルモンがオーキシン系植
    物ホルモン0.01〜5.0mg/l である請求項1、2又は3記
    載の方法。
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