JP4119520B2 - サンダ−ソニア球根の生産方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物組織培養の技術を応用して、サンダーソニア茎頂から不定芽組織を誘導し、この不定芽組織から球根を生産する方法に関する。本発明の方法によると、効率良く、かつ大量にサンダーソニア球根を生産することができる。
【0002】
【従来の技術】
サンダーソニアは、独特の花姿と鮮やかなオレンジ色の花色が特徴の切り花として人気の高い南アフリカ原産のユリ科の球根植物である。そして、従来より、サンダーソニア種苗の増殖は、形成された球根の分球や実生繁殖により行われているが、球根による分球では増殖率が低く、また、実生による方法では種子の発芽率が低いことが知られている(農業および園芸,vol.69, pp.75-80, 1994) 。そこで、サンダーソニア種苗の増殖における問題を解決するために、様々な組織培養法が試みられてきた。そして、その結果、通常の植物組織培養において使用される原植物球根、茎葉、花器官等の組織からカルスや不定芽組織を形成させることはできなかったが、胚を含む胚珠や未熟種子を使用することで、不定芽組織を効率的に誘導できることが判明し、この技術を利用したサンダーソニア球根の生産方法が提案された(特開平9-285232号公報)。これにより、サンダーソニア球根の生産効率は従来よりも大幅に向上することになった。しかし、さらなるサンダーソニア種苗の増殖率向上及び迅速化が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、従来より、例えば母植物から茎頂や腋芽、葉片や節間などのさまざまな培養材料を採取し、組織培養技術を利用して、サンダーソニア球根を効率良く生産する方法を鋭意研究してきた。そして、サンダーソニアにおいては、球根を効率良く得るための植物組織として知られていなかった茎頂を培養して不定芽組織を誘導し、この不定芽組織を培養することにより得られる幼植物体から球根を生産させる方法を見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発明は、サンダーソニア球根を生産する方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記したように、サンダーソニア茎頂を培養して不定芽組織を誘導した後、この不定芽組織を培養して得られる幼植物体から球根を形成させることよりなるサンダーソニア球根の生産方法に関する。
本発明では、まず、植物組織培養の技術を利用して、サンダーソニア茎頂から不定芽組織を誘導する。ここでいう茎頂とは、半球形の形状を有する茎頂分裂組織(生長点)とこの組織から分化した数枚の葉原基からなる組織であり、サンダーソニアにおいては、一般の栽培で生産した球根や組織培養等の手法で生産した球根の表面組織に形成された茎頂、それらの球根から発芽し育成した植物体に形成された茎頂等をいう。そして、植物組織を培養するに際しては、これらの茎頂を培養しても良いし、また、茎頂分裂組織のみを摘出して培養しても良い。
【0005】
なお、このサンダーソニア茎頂を培養して不定芽組織を誘導するに際して使用することができる培地としては、Murashige & Skoog 培地(MS培地)、White 培地、Linsmaier & Skoog 培地、Gamborg のB5培地等の培地を例示することができるが、特に、MS培地を使用することが好ましい。また、培地に添加することができる植物ホルモンとしては、GA3 、GA4 、GA7 等のジベレリン、ベンジルアデニン、4−CPPU、カイネチン、ゼアチン等のサイトカイニン、NAA、2,4−D、Picloram、Dicamba 等のオーキシンを例示することができるが、特に、0〜50μM 濃度の範囲でGA3 を、0〜50μM 濃度の範囲でベンジルアデニン(BA)を、0〜50μM 濃度の範囲でNAAを、0〜50μM 濃度の範囲で4−CPPUをそれぞれ単独あるいは組み合わせて添加することが好ましい。さらに、培地に使用することができる炭素源としては、ショ糖やブドウ糖等の糖質を例示することができるが、特に、20〜70g/l 濃度のショ糖を使用することが好ましい。そして、培地の固形剤として、好ましくは 0.5〜1.2 %の寒天や 0.1〜0.4 %のジェランガムを使用し、pHを 4.0〜7.0 、好ましくは 5.8に調整した培地で、15〜30℃、好ましくは20〜25℃の温度に設定し、光照射条件は、暗黒条件又は1日12〜18時間の光照射条件で、サンダーソニア茎頂を培養する。
【0006】
次に、サンダーソニア茎頂を培養して誘導した不定芽組織を培養し、幼植物体を形成させる。ここで不定芽組織を培養するに際して使用することができる培地としては、サンダーソニア茎頂を培養して不定芽組織を誘導するに際して使用することができる培地と同様の培地を使用すれば良く、また、植物ホルモンも同様のものを同様の濃度範囲で使用すれば良いが、植物ホルモンを無添加としたり、植物ホルモンとしてサイトカイニンのみを加えたり、サイトカイニンとオーキシンを組み合わせて加えたりしても良いし、さらに、炭素源や培地の固形剤も同様のものを同様の濃度範囲で使用すれば良い。そして、同様のpHに調整した培地で、15〜30℃、好ましくは20〜25℃の温度に設定し、光照射条件は、暗黒条件又は1日12〜18時間の光照射条件を採用して、不定芽組織を培養する。
そして、この幼植物体を不定芽組織を培養するのと同様の培地で継代培養することにより、球根を形成し肥大させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明では、植物組織培養の技術を応用し、サンダーソニア茎頂を培養して不定芽組織を誘導した後、この不定芽組織を培養して幼植物体を形成させ、さらに、培養を継続して球根を形成させる。なお、サンダーソニア茎頂を培養して不定芽組織を誘導するに際しての培養条件、不定芽組織を培養して幼植物体を形成させるに際しての培養条件、幼植物体を培養して球根を形成させるに際しての培養条件等は、通常の植物組織培養技術に基づいて適宜設定すれば良い。
このようにして、効率良く、かつ大量にサンダーソニア茎頂から球根を生産することができる。
次に、実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。
【0008】
【実施例1】
サンダーソニア球根を中性洗剤で洗浄した後、70%エタノールで1分間、1%次亜塩素酸ナトリウム溶液(界面活性剤を含む)に15〜30分間浸漬し、殺菌処理を行った。この球根を滅菌水で3回洗浄した後、茎頂を摘出して培地に置床し、25℃、暗所で培養して不定芽組織を誘導した。なお、培地は、 30g/l濃度のショ糖及び0.23%濃度のジェランガムを含むMS培地に、植物ホルモンとして0〜10μM 濃度のGA3 及び0〜10μM 濃度の4−CPPUを組み合わせて添加し、pHを 5.8に調整したものを使用した。
次に、培養を開始して約1ヶ月が経過した頃より形成し始めた不定芽組織を同様の組成の培地で継代培養したところ、約1ヶ月で多数の不定芽を含む幼植物体となった。そして、この幼植物体を同様の組成の培地、あるいは、植物ホルモン無添加の 30g/l濃度のショ糖及び0.23%濃度のジェランガムを含むMS培地で継代培養したところ、約1ヶ月で伸長した茎葉基部に球根が形成された。
【0009】
【発明の効果】
本発明のように、サンダーソニア茎頂を培養して不定芽組織を誘導し、この不定芽組織を培養して幼植物体を形成させ、さらに、幼植物体を培養することにより、従来の方法よりも効率良く、かつ大量にサンダーソニア球根を生産することができる。

Claims (1)

  1. サンダーソニアにおける球根の表面組織に形成された茎頂、それらの球根から発芽し育成した植物体に形成された茎頂を、植物ホルモンを添加した培地において培養して不定芽組織を誘導した後、該不定芽組織を培養して得られる幼植物体から球根を形成させることを特徴とするサンダーソニア球根の生産方法。
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