JP4257910B2 - シクラメンの増殖法 - Google Patents

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、シクラメンの根に特殊な方法で塊根(球根)を形成させることによりシクラメン塊根を生産、それを用いて遺伝的に安定なシクラメンのクローン個体を増殖する方法に関する。
【0002】
背景技術
シクラメンは、虫媒による他家受精植物であるが、人為的に自殖も可能である。しかし、シクラメンは自殖を繰り返すことにより自殖弱勢が現れるため、通常は、個体間の交配により種子を生産することが行われている。そのため、遺伝的に固定した、いわゆる純系個体を得ることができない。特にシクラメンの四倍体品種では、遺伝的に固定することは極めて困難である。
このような問題を解決するために、シクラメンの植物体組織片を培養して遺伝的に同じ形質を表す個体を得るための栄養繁殖方法が開発されてきた。それらの多くは、組織片を培養してカルスを誘導し、それから不定芽・不定根を分化させた後に幼苗を形成させる増殖法である。
このような増殖法として、安藤と村崎は、暗黒条件下で葉柄部分を徒長させることにより得られる黄化葉柄を用いたシクラメンの増殖法を提案している(非特許文献1参照)。
大橋らは、種子を殺菌した無菌幼植物からシクラメンを増殖させる方法を報告している(非特許文献2参照)。
一方、市橋らは、固形培地上で誘導した不定芽を外植片とし、これを液体培養することにより塊茎様体を誘導する方法を検討し、固形培地のみを使用する方法よりも効率良くシクラメンを増殖させる方法を提案している(非特許文献3参照)。
さらに、シクラメンの葉柄を液体培養して塊茎様体を生産する際に、液体培地中の糖質濃度をいったん高めることにより発芽率の高いシクラメン塊茎様体を得ることが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、本発明者の研究によれば、これらの方法は、再現性・安定性に問題があること、そして、増殖して株を得られた場合でも株を得るまでに6ヶ月程度の日数を要すること、がわかった。
本発明は、上述のような従来法に比べて、格段に再現性よく安定的かつ効率的にシクラメンの塊根(球根)を生産し得る方法、その塊根を用いてシクラメンのクローン植物を増殖・生育する方法を提供しようとするものである。
(非特許文献1) 安藤、村崎、「千葉大学園芸学部報告」vol.32,pp.1−5,1983)
(非特許文献2) 大橋ら、「栃木県農業試験所研究報告」No.36,pp.93−108,1989)
(非特許文献3) 市橋ら、「岐阜県農業総合研究センター研究報告」No.5,pp.1−23,1992)
(特許文献1) 特開平9−313058号公報
【0003】
発明の開示
本来、シクラメンは、胚軸が肥大して塊茎を形成し、そこから発芽・発根する植物である。これまでシクラメンの塊根(球根)を形成させ、この塊根を用いてシクラメンのクローン植物を増殖するという方法は知られていない。本発明者は、シクラメンのクローン植物を効率的に増殖させる方法について研究を進め、特殊な方法でシクラメンの根に塊根を形成させることに成功した。本発明は、このような新知見に基づき、上記の塊根を生産する方法を提供するものである。また本発明は、この塊根から発芽・発根させ、安定的かつ効率的にシクラメンのクローン植物を増殖・生育させる方法等を提供するものである。
【0004】
本発明は、シクラメンの根の先端全部を切除し、その状態で塊根形成用培地の中で生育させることにより、該切除部に塊根(球根)を形成させることを特徴とする。
すなわち本発明は、発芽・発根したシクラメンの根の先端部を切除し、該シクラメンを、少なくとも切除した根の先端部が塊根形成用培地と接するようにして生育させ先端部に塊根(球根)を形成させ、しかる後、こうして形成されたシクラメン塊根をシクラメンの根から切り離し、個々に、発芽・発根用培地で発芽・発根させることにより、クローン植物を得ることを特徴とするシクラメンの増殖法である。
本発明によれば、好ましくは、試験管内等で無菌的に発芽・発根させたシクラメンの根の全部または一部を切除し、これを植物ホルモンを含む固形培地または液体培地で培養することによって、その根の切除部に塊根を形成させる。その結果、目的とするシクラメンのクローン植物の塊根を安定的に生産することができる。そして、この塊根を母体から切り離し、新たな培地中または土壌中で培養することにより、発芽・発根させて遺伝的にも安定なクローン植物を得ることができる。
【0005】
<シクラメン>
本発明方法で使用することができるシクラメンは、栽培品種に限らず、野生種も使用できる。シクラメンの品種としては、ビクトリア、バーバーグ、ピュアホワイト、パステル、ミニシクラメン等を例示することができるが、これらの品種に限定されるものではない。
シクラメンとして、例えば、Murashige & Skoog培地(以下「MS培地」と略称することがある)等に無菌播種し、そこで発芽・発根した幼植物を用いることができる。また、同様な培地に何代も継代した植物等も用いることができる。また、本発明方法により形成された塊根を発芽・発根させ、それらを次の材料として用いることもできる。これらは発芽・発根した幼植物に限らず、多数の花、葉や茎も有する生長した植物でもよい。
【0006】
<塊根形成>
本発明方法では、発芽・発根したシクラメンの根の先端部を切除し、その状態で、適当な固形もしくは液状の培地中にて培養することにより、根の各切除部に塊根を発生させる。
この際、適当な培地を用いて培養するのが好ましい。このような塊根形成用培地として、上記MS培地またはこれをベースとして多量要素の量を変更した修正MS培地に、少なくとも1種の植物ホルモンを添加した固形培地または液体培地が好適に使用される。本発明方法では、例えば第1図に示すように、この培地に、シクラメンの無菌植物の根をその全部または一部を切除した状態で置床する。通常、ほぼ30日間培養すれば第2図に示すような目で見えるほどの小さな塊根が、切除した根の先端部に生成してくる。
培養は、15〜20℃の大気中で、暗黒下で静置培養するのが好ましいが、弱光下で行ってもよく、また培養液を流通させた状態で行ってもよい。
塊根形成用培地としては、例えば、Murashige & Skoog培地(略称:MS培地)、White培地、Lismaier & Skoog培地、GamborgのB5培地等の組織培養用培地に、1種または2種以上の植物ホルモンを添加したものが用いられる。なかでも、MS培地、あるいはMS培地において多量要素(Major Element)と少量要素(Minor Element)からなる無機塩成分のうち多量要素を1/3〜1/2とした修正MS培地に、特定の植物ホルモンを添加して使用するのが好ましい。
ここでMS培地とは、Toshio Murashige と Folke Skoog とが1962年にタバコの培養に開発した培地であり、NHNO、KNO、CaCl、MgSO、KHPO等の特定の無機塩とショ糖、ミオイノシトール等の特定の有機物とを含み、pH5.7〜5.8に調整後、必要に応じて寒天で固化した培地である。その具体的構成および特性については、“Physiologia Plantarum” Vol. 13, p473-p497,(1962) に詳しく記載されている。かかるMS培地は、そのままで、あるいはMS培地中の多量要素である無機塩類の量を変更して広く使用されており、後者の培地は一般に修正MS培地と総称される。
【0007】
本発明方法で培地に添加する植物ホルモンとしては、例えば、α−ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、インドール酢酸等のオーキシン類やベンジルアミノプリン(BA)、カイネチン、ゼアチン等のサイトカイニン類を挙げることができる。
好適な塊根形成用培地の例としては、
(i)MS培地の多量要素を1/3〜1/2に変更した修正MS培地であって、植物ホルモンとして0.01〜10mg/l、好ましくは0.1〜10mg/lのBA、10〜100g/l、好ましくは30〜90g/lのショ糖および6〜8g/lの寒天を含有する固形培地が挙げられる。かかる培地は、必要に応じてさらに0.01〜1mg/l、好ましくは0.01〜0.5mg/l、さらに好ましくは0.01〜0.05mg/lのα−ナフタレン酢酸(NAA)を含有していてもよい。あるいは、
(ii)MS培地の多量要素の量を1/3〜1/2に変更した修正MS培地であって、0.01〜10mg/l、好ましくは0.1〜10mg/lのベンジルアミノプリン(BA)および10〜100g/l、好ましくは30〜90g/lのショ糖を含有する液体培地が挙げられる。かかる培地は、必要に応じてさらに、0.01〜1mg/l、好ましくは0.01〜0.5mg/l、さらに好ましくは0.01〜0.05mg/lのα−ナフタレン酢酸(NAA)を含有していてもよい。
液体培地を使用する場合は、培養液を循環させて培養液中の各成分の濃度や温度を常にあるいは一定時間ごとに監視し、培養期間中これらをほぼ一定に保つよう調整することが好ましい。培養液の温度は15〜20℃度の範囲内に調整するのが好ましい。
【0008】
なお、固形培地および液体培地ともに、培地中に微生物が発生するのは好ましくない。このため培地中にクロラムフェニコールなどの抗生物質を添加することもできる。
このような培地を用いて培養して生成した塊根は、これを母体より切り離して、直ちに発芽・発根させることもできる。安定的に増殖・生育させるには、切り離さずにさらに新しい培地に移して継代培養し、塊根をより肥大させた後で切り離すのが好ましい。この際使用する継代培養にための培地は、すでに述べた発芽・発根用の培地と同じ組成のものが好ましい。
【0009】
<発芽・発根>
上述のような本発明方法により得られたシクラメン塊根は、もとのシクラメンの根から切り離して、適正な培地中または土壌中に移す。そして、さらに30日間程度培養して発芽・発根させるとシクラメンのクローン植物の苗を得ることが出来る。これを育成することにより元のシクラメンと同一の形状・色調を有する花卉を再現させることができる。
【0010】
この段階の培養において使用するに適した発芽・発根用培地としては、例えば、
(i)MS培地の多量要素の量を1/3〜1/2とした修正MS培地であって、植物ホルモンとして0.01〜10mg/l、好ましくは0.01〜1mg/lのベンジルアミノプリン(BA)、10〜100g/l、好ましくは30〜90g/lのショ糖および6〜8g/lの寒天を含有する固形培地が挙げられる。かかる培地は植物ホルモンとしてさらに、0.01〜1mg/l、好ましくは0.01〜0.5mg/l、さらに好ましくは0.01〜0.05mg/lのα−ナフタレン酢酸(NAA)を含有していてもよい。あるいは、
(ii)多量要素を1/3〜1/2とした修正MS培地であって、0.01〜10mg/l、好ましくは0.01〜1mg/lのベンジルアミノプリン(BA)および10〜100g/l、好ましくは30〜90g/lのショ糖を含有する液体培地が挙げられる。かかる培地はさらに、0.01〜1mg/l、好ましくは0.01〜0.5mg/l、さらに好ましくは0.01〜0.05mg/lのα−ナフタレン酢酸(NAA)を含有していてもよい。
【0011】
液体培地を使用する場合は、培養液を循環させ培養液中の各成分の濃度や温度をほぼ一定に調整することができる。この段階の培養は、通常、15〜20℃の温度で、弱光または暗黒下(好ましくは暗黒条件下)で行われる。上記(ii)の液体培地で培養すると、根端部が肥大し塊根になることが確認された。さらに、この塊根は根から切り離して培養することにより発芽・発根させることができることも判明した。このことは、この塊根を使用してシクラメンのクローン個体を多数作出することができることを意味する。
【0012】
発明の効果
本発明によれば、所要労力の高い作目であるシクラメンを再現性よく、安定的に、かつ効率的に生産する方法が提供される。すなわち、本発明によれば、遺伝的に安定したシクラメンの塊根を再現性よく生産することができる。またかかる方法は、どのシクラメン品種(野生種も含む)にも適用することができる。
本発明のシクラメンの増殖方法によれば、最短では約3ヶ月でクローン株を得ることができ、従来法よりも極めて効率的に遺伝的に安定したシクラメンのクローン苗を得ることができる。
【0013】
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好適な実施態様について説明する。
本発明方法では、まず、シクラメンの種子を例えば1(重量)%次亜塩素酸ナトリウム水溶液等で表面を滅菌後、培養試験管等に無菌的に播種し、発芽・発根させる。植物に内生菌が存在すると本発明の再現性が低下するので、無菌的に培養するのが適当である。
【0014】
<塊根の形成>
次いで、発芽・発根した植物の根の全部または一部を切除し、第1図のように、少なくとも切除した部分は培地と接するように培地中に入れて培養を行う。適当な期間培養を継続することにより、第2図のように、切除した根の先に小さな塊根を生成してくる。切除する根の本数や切除部位には特に制限はないが、生産性・作業性等の観点から複数の根の先端部を切除するのが好ましい。このように根の一部または全部を切除した状態で適当な培地中で培養すると、その根の先に塊根が形成されるということは従来全く知られておらず、本発明者によって初めて見出された新事実である。
根の全部または一部を切除したシクラメンの培養に使用するのに適した塊根形成用培地としては、既に述べたように、MS培地あるいはMS培地の多量要素を1/3〜1/2とした修正MS培地に、1種または2種以上の植物ホルモンを添加したものが好適である。
培地に添加する植物ホルモンとしては、すでに述べたように、NAA(α−ナフタレン酢酸)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、インドール酢酸等のオーキシン類やBA(ベンジルアミノプリン)、カイネチン、ゼアチン等のサイトカイニン類が使用されるが。なかでもBAの使用が推奨される。
特に、植物ホルモンとして、BAを、0.01〜10mg/l、特に0.1〜10mg/lの濃度で含有する培地が好適である。
かかる培地は、必要に応じてさらに0.01〜1mg/l、好ましくは0.01〜0.5mg/l、さらに好ましくは0.01〜0.05mg/lのα−ナフタレン酢酸(NAA)を含有していてもよい。
また、この培養に使用する培地の炭素源としては、ショ糖やブドウ糖等の糖質を例示することができるが、好ましくはショ糖が使用される。なお、ショ糖濃度は、10〜100g/lが適当であるが30〜90g/lが好ましく、50〜70g/lが特に好ましい。この培地は、寒天を6〜8g/lの濃度で含有させ固形化したものが特に好適に使用される。
【0015】
本発明方法では液体培地を使用することもできる。液体培地として、MS培地の多量要素の量を1/3にした修正MS培地(1/3MS培地)であって、ショ糖を10〜100g/l、好ましくは30〜90g/lの濃度で含有し、BAを0.01〜10mg/l、特に0.1〜10mg/lの濃度で含有する培地が好適である。
かかる培地は、必要に応じてさらに0.01〜1mg/l、好ましくは0.01〜0.5mg/l、さらに好ましくは0.01〜0.05mg/lのα−ナフタレン酢酸(NAA)を含有していてもよい。
かかる培地により、根端を切除したシクラメンを培養すれば、塊根が誘導できる。
上記培地のpHは5.0〜8.0、好ましくは7.0付近に調整する。そして、培養は室温を15〜25℃、好ましくは15〜20℃の温度に設定して行う。なお、培養は光照射条件下(500〜5,000ルックス、好ましくは1,000〜2,000ルックス)で行ってもよいし、暗黒条件下で行ってもよいが、暗黒条件下の方がより好ましい。
このような条件で、ほぼ30日間培養すれば、第2図に示すように、目で見えるほどの小さな塊根が切除した根の先端部に生成してくる。
【0016】
<発芽・発根>
このようにして得られたシクラメン塊根を母体から切り離し、新たな培地(発芽・発根用培地)に置床し、30日間程度培養して発芽・発根させるとクローン植物となる。したがって、本発明方法によれば、当初のシクラメン種子から約3ヶ月程度で効率的にクローン植物を得ることが可能となる。
なお、この段階の培養に使用する発芽・発根用培地としては、固形培地、液体培地のいずれでもよい。
例えば、固形培地の場合は、前述した1/3MS培地であって、0.01〜10mg/l、好ましくは0.01〜1mg/lのBA、10〜100g/l、好ましくは30〜90g/lのショ糖および6〜8g/lの寒天を含有する固形培地を使用することができる。かかる培地は、さらにNAAを0.01〜1mg/l、好ましくは0.01〜0.5mg/l、さらに好ましくは0.01〜0.05mg/l含有していてもよい。
液体培地の場合は、1/3MS培地であって、0.01〜10mg/l、好ましくは0.01〜1mg/lのBA、10〜100g/l、好ましくは30〜90g/lのショ糖を含有する培地を使用することができる。かかる培地は、さらにNAAを0.01〜1.0mg/l、好ましくは0.01〜0.5mg/l、さらに好ましくは0.01〜0.05mg/l含有していてもよい。
【0017】
かかる液体培地で、根端を切除したシクラメンを培養すれば、塊根が誘導できるので好適である
発芽・発根のための培養は、通常、室温下で、弱光または暗黒下(好ましくは暗黒条件下)で行われる。
このようにして得られた発芽・発根した塊根類は、これを水道水で洗浄し、その後次第に自然状態に馴化し、塊根植物として乾燥に耐える状態にし、それをシクラメンクローン植物の塊根として栽培者等に供給することもできる。
この塊根は、他の植物の球根のように畑や鉢に植え、潅水してやることにより植物体を得ることも可能である。
【0018】
【実施例】
以下に、実施例に示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、例中に述べる「1/3MS培地」は、MS培地において多量要素を1/3にした修正MS培地を意味する。
【0019】
実施例1(固形培地)
<無菌幼植物の育成>
シクラメン(品種;ドレッシースカレット)の種子を、エチルアルコール濃度70(重量)%のエチルアルコール水溶液に10秒、次に有効塩素濃度1(重量)%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に10分間浸漬し、表面殺菌を行った。次いで、この種子を滅菌水で3回洗浄することにより種子表面の次亜塩素酸ナトリウムを取り除いた。これをショ糖を30g/l、寒天を6g/l含むMS固形培地に無菌播種し、培養温度20℃、弱光の条件で30日間培養し発芽・発根させた。
【0020】
<塊根の形成>
上述の発芽・発根したシクラメン幼植物の根の先端部をメスで切除し以下の固形培地に置床した。培地としては、1/3MS培地に、植物ホルモンとして表1〜表3に示す濃度になるようにNAAおよびBAを添加し、これにショ糖を30〜90g/lになるように添加した多数の試験区を準備した。いずれの培地にも寒天を6g/lになるように加え、pH=7.0として、オートクレーブで滅菌処理した。この固形培地10mlを50ml容の培養試験管に入れた。これらの培地に置床した幼植物を、20℃の培養温度で、弱光下で一定日数、静置培養し、根の先端部に塊根を得た。その結果を後掲の表1、表2および表3に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0004257910
【0022】
【表2】
Figure 0004257910
【0023】
【表3】
Figure 0004257910
【0024】
<塊根類の発芽=クローン植物の増殖>
このようにして得られたシクラメンの塊根を母体から切り離し、後掲の表4に示すように、1/3MS培地にNAA、BAを添加し、これにショ糖を30〜90g/l添加した試験区に置床した。培地には寒天6g/l加え、pH=7.0としてオートクレーブで滅菌処理した固形培地とした。培養試験管は毎日照明下12時間と暗黒条件下12時間静置した。その結果、塊根類が肥大しながら発芽・発根した。これらの実験結果を表4に示す。
【0025】
【表4】
Figure 0004257910
【0026】
さらに、発芽・発根のための培養時の光の照射の影響について調べた。すなわち、下記基本培地をベースとしBAおよびショ糖の添加量を変えた下記のA,B,C,Dの4種の培地に10個ずつ塊根を置床してテストを行った。
基本培地:1/3MS培地+NAA0.05mg/l+寒天6g/l,pH=7.0
培地A:BA 0mg/l、ショ糖90g/l
培地B:BA 0.05mg/l、ショ糖30g/l
培地C:BA 0.5 mg/l、ショ糖90g/l
培地D:BA 0.5 mg/l、ショ糖50g/l
を使用し、それぞれの直上から1500ルックスの照明を毎日一定時間ずつ照射して発芽・発根の様子を観察した。なお、表5中の照射時間0は暗黒下での培養を意味する。その結果、表5に示す。表5から明らかなように、暗黒下での培養が最も効果的である。
【0027】
【表5】
Figure 0004257910
【0028】
比較例1(葉片および葉柄の培養)
比較のため、シクラメン(品種;フラメンコ)の葉片および葉柄を、それぞれ、1/3MS培地+NAA0.05mg/l+寒天6g/lからなるpH=7.0の基本培地において、添加するBAおよびショ糖の濃度を変えて30日間培養を行った。その結果を後掲の表6に示すが、いずれの場合も、培養で大きく肥大化したものは少なく、まして再分化まで至ったものは稀で、再現性よくクローン植物を得ることはできなかった。
【0029】
【表6】
Figure 0004257910
【0030】
実施例2(液体培地)
植物ホルモンフリーの1/3MS培地にシクラメン種子を無菌播種し、発芽が揃った40日苗の根端部をメスで切除し、表7に示す組成の、無機塩、ショ糖、植物ホルモンとしてのNAAやBAを含有量が異なる4種類の液体培地で、30日間培養した。塊茎部にフロートを巻き付け、塊茎部が液体培地に浮遊した状態で、回転培養した。
その結果、表7に示すように、ショ糖50g/l、BA0.5mg/lを含有する1/3MS培地では塊根形成率が100%であった。この2つの培地を比較すると、NAAが添加されない方が塊根の肥大はむしろ良くなることが判明した。
さらに、30日という試験期間であれば、無機塩を含まない培地でもショ糖とBAが添加されておれば塊根が誘導できることも判明した。しかし、これらの条件下では、誘導される塊根はあまり肥大しない。
以上の結果、液体培地でも、寒天で固形化した培地と同様に、根端を切除したシクラメンから塊根が誘導できることが確認された。
【0031】
【表7】
Figure 0004257910
【0032】
以上の実施例1および2から明らかなごとく、シクラメンの根端部を切除し、ショ糖、およびBAを含む1/3MS固形培地、あるいは、多量要素を1/3〜1/2とした修正MS培地であって、0.01〜10mg/lのBAおよび10〜100g/lのショ糖を含む液体培地、で培養すると、根端部が肥大し塊根になることが確認された。さらに、この塊根は根から切り離して培養することにより発芽・発根させることができることも判明した。このことは、この塊根を使用してシクラメンのクローン個体を多数作出することができることを意味する。
【0033】
産業上の利用可能性
本発明により得られるシクラメンのクローン苗は、株の形質が揃い、出荷時における商品価値が高いので、シクラメンの商業的生産に用いるのに適している。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法にしたがって、シクラメンの無菌苗の根端部を切除した後、その根端部を固形培地中に植え付けて培養を開始する段階におけるシクラメンの根の写真である。さらに詳しくは、表2中の培地組成:ショ糖50g/l、BA1.0mg/l、NAA0.05mg/lで培養を開始する段階におけるシクラメンの根の写真である。
【図2】 上記の培養開始から30日目における上記根の先に塊根が形成した状況を示す写真である。

Claims (7)

  1. 発芽・発根したシクラメンの根の先端部を切除し、該シクラメンを、少なくとも切除した根の先端部が塊根形成用培地と接するようにして生育させ先端部に塊根(球根)を形成させ、しかる後、こうして形成されたシクラメン塊根をシクラメンの根から切り離し、個々に、発芽・発根用培地で発芽・発根させることにより、クローン植物を得ることを特徴とするシクラメンの増殖法。
  2. シクラメンとして、シクラメンの種子を無菌的に播種し、発芽・発根育成した植物を使用する請求項1記載のシクラメンの増殖法。
  3. 塊根形成用培地として、Murashige & Skoog培地(MS培地)またはこれを基とする修正MS培地に、植物ホルモンを添加したものを使用する請求項1記載のシクラメンの増殖法。
  4. 塊根形成用培地として、MS培地の多量要素を1/3〜1/2とした修正MS培地であって、0.01〜10mg/lのベンジルアミノプリン(BA)、10〜100g/lのショ糖、6〜8g/lの寒天を含有する固形培地を使用する請求項記載のシクラメンの増殖法。
  5. 塊根形成用培地として、MS培地の多量要素を1/3〜1/2とした修正MS培地であって、0.01〜10mg/lのベンジルアミノプリン(BA)、10〜100g/lのショ糖を含有する液体培地を使用する請求項記載のシクラメンの増殖法。
  6. 発芽・発根用培地として、MS培地の多量要素を1/3〜1/2とした修正MS培地であって、0.01〜10mg/lのベンジルアミノプリン(BA)および10〜100g/lのショ糖を含有する液体培地を使用する請求項記載のシクラメンの増殖法。
  7. 発芽・発根用培地として、MS培地の多量要素を1/3〜1/2とした修正MS培地であって、0.01〜10mg/lのベンジルアミノプリン(BA)、10〜100g/lのショ糖および6〜8g/lの寒天を含有する固形培地を使用する請求項記載のシクラメンの増殖法。
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