JP4153609B2 - 組織培養を用いたコーキセンダンの大量増殖法 - Google Patents

組織培養を用いたコーキセンダンの大量増殖法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーキセンダン(Azadirachta excelsa JACOBS)の組織培養による大量増殖法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コーキセンダンは、世界の熱帯地域における造林木であり、材は用材として利用され、樹皮や葉は薬用として用いられている。増殖法は実生苗を育成する方法又は挿し木苗を育成する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、組織培養技術の発達により、薬用物質の大量生産、それに係わる遺伝子の単離が行われており、コーキセンダンにおいてもそのような技術の開発が期待されている。しかしながら、このような技術開発を行う場合、優良苗を無菌増殖する必要があるが、コーキセンダンの組織培養による大量増殖法は、未だ開発されておらず、効率的な培養方法の開発が望まれている。
本発明の目的は、コーキセンダンの大量生産を可能にする大量増殖法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コーキセンダンの頂芽、腋芽、葉あるいは茎からシュートを大量生産し、植物体を再生することができることを特徴とするコーキセンダンの大量増殖法である。
即ち、コーキセンダンの苗木、あるいは成木を用いて、大量生産を可能にする大量増殖法を開発することを目的として鋭意研究した結果、コーキセンダンの頂芽、腋芽、葉あるいは茎を培養して多芽体又は不定胚又は不定芽を効率よく誘導させ、更には誘導された多芽体、不定胚あるいは不定芽を増殖させ、次いで多芽体あるいは不定胚からシュートを伸長させることを見出した。増殖したシュートを、発根培地で培養することにより、更なるシュート伸長及び発根が可能になることを見出した。
【0005】
従って本発明は、コーキセンダン(Azadirachta excelsa JACOBS)の頂芽、腋芽、葉あるいは茎を培養して多芽体、不定胚あるいは不定芽を誘導し増殖させ、増殖した多芽体、不定胚あるいは不定芽をシュート伸長培地で培養してシュートを伸長させ、次いで伸長したシュートを発根培地で培養して発根させる、ことを特徴とするコーキセンダンの組織培養による大量増殖法に関する。
更に本発明は、コーキセンダンの頂芽をベンジルアミノプリン(BAP)を含有するMS培地またはその改変培地で培養して多芽体を誘導し増殖させ、増殖した多芽体をBAPを含有するMS培地またはその改変培地で培養してシュートを伸長させ、次いで伸長したシュートを植物成長調節物質を含有しないMS培地またはその改変培地で培養して発根させる、コーキセンダンの組織培養による大量増殖法に関する。
【0006】
更に本発明は、コーキセンダンの腋芽をゼアチンを含有するMS培地またはその改変培地で培養して多芽体を誘導し、次いでBAPを含有するMS培地またはその改変培地で培養して多芽体を増殖し、増殖した多芽体をBAPを含有するMS培地またはその改変培地で培養してシュートを伸長させ、次いで伸長したシュートを植物成長調節物質を含有しないMS培地またはその改変培地で培養して発根させる、コーキセンダンの組織培養による大量増殖法に関する。
更に本発明は、コーキセンダンの葉をBAPを含有するMS培地またはその改変培地で培養して不定胚を誘導し増殖させ、増殖した不定胚を2,4−ジクロロフェノキシ酢酸及びBAPを含有するMS培地またはその改変培地でシュートを伸長させ、次いで伸長したシュートを植物成長調節物質を含有しないMS培地またはその改変培地で培養して発根させる、コーキセンダンの組織培養による大量増殖法に関する。
更に本発明はコーキセンダンの茎をBAPを含有するMS培地またはその改変培地で培養して不定芽を誘導し、次いでBAPを含有するMS培地またはその改変培地で培養して多芽体を形成させ、形成した多芽体をBAPを含有するMS培地またはその改変培地で培養して多芽体を増殖し、増殖した多芽体をBAPを含有するMS培地またはその改変培地で培養してシュートを伸長させ、次いで伸長したシュートを植物成長調節物質を含有しないMS培地またはその改変培地で培養して発根させる、コーキセンダンの組織培養による大量増殖法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、コーキセンダンの苗及び成木の頂芽、腋芽、葉あるいは茎から、多芽体又は不定胚又は不定芽を誘導、増殖させ、次いで得られた多芽体、不定胚あるいは不定芽からシュートを伸長させ、これを発根させることにより、大量の幼植物体を効率よく生産することができる。
本発明で用いる培養材料としては、苗木及び成木から採取した頂芽、腋芽、葉又は茎が用いられる。採取した材料は、通常の方法に従って、エタノール及び次亜塩素酸ナトリウムあるいは過酸化水素水あるいは塩化水銀(昇汞水)で表面殺菌を行い、滅菌水で洗浄後、培地中で培養する。
培養に用いる基本培地としては、無機成分及び炭素源を必須成分とし、その他植物成長調節物質、ビタミン、アミノ酸を含有する培地が用いられる。無機成分としては、窒素、燐、カリウム、ナトリウム、カルシウム、硫黄、鉄、マンガン、亜鉛、沃素、硼素、モリブデン、塩素、コバルト等の元素を含む無機化合物が用いられる。炭素源としては、炭水化物、例えばしょ糖又はグルコースが用いられる。植物成長調節物質としては、オーキシン、サイトカイニンが用いられる。オーキシンとしては、例えば、3−インドール酢酸(IAA)、3−インドール酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、4−クロロ−2−メチルフェノキシ酢酸、p−クロロフェノキシ酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸等が挙げられ、サイトカイニンとしては、例えばベンジルアミノプリン(BAP)、カイネチン、ゼアチン、6−(r,r−ジメチルアラミノ)プリン(ZiP)、N−(2−クロロ−4−ピリド)−N′−フェニルウレア(CPPU)、1−フェニル−3−(1,2,3−ティアディアゾール−5−YL)ウレア(4ディアズロン)等が挙げられる。ビタミンとしては、例えばチアミン、ピリドキシン、ニコチン酸等が挙げられる。アミノ酸としては、例えばグリシン、グルタミン酸、リジン等が挙げられる。
【0008】
実際に培養する際に用いられる培地としては、植物組織培養に用いられる培地、例えばMS培地(Murashige, T.(1962), Physiol. Plant. 15: 473 - 497) 、B5培地(Gamborg, O.L. (1968), Exp. Cell. Res. 50: 151 - 158)、WP培地(Lloyd, G. (1981), Int. Plant Prop. Soc. 30: 421 - 427) 、BTM培地(Chalupa, V. (1984) Biologia Plnt. (praha) 26: 374 - 377)等が挙げられる。
特に、MS培地及びその改変培地(全培地成分を半分量にしたMS培地)が好ましい。定芽、不定芽からなる多芽体の誘導及び成長を促進するため、頂芽を材料に用いる場合には、BAPを5μM〜10μM、特に5μM含有する培地、腋芽を材料に用いる場合には、ゼアチンを0μM〜10μM、特に0.1μM程度含有する培地、葉から不定胚を誘導するには、BAPを10〜20μM程度含有する培地を用いることが好ましく、また茎を材料に用いる場合には、BAPを1〜30μM、特に10μM程度含有する培地を用いることが好ましい。
【0009】
次いで、得られた多芽体、不定胚あるいは不定芽を増殖培地に移植することにより、多芽体、不定胚あるいは不定芽を効率よく増殖させることができる。
増殖培地としては、多芽体又は不定芽では、前記の無機成分及び炭素源、ビタミン、アミノ酸等を含有し、BAPを1μM〜10μM、特に5μM程度含有するMS培地またはその改変培地が好ましく、不定胚では、BAPを10〜20μM程度含有するMS培地またはその改変培地が好ましい。
【0010】
次いで、増殖した多芽体、不定胚あるいは不定芽を、シュート伸長培地に移植することにより、多芽体、不定胚あるいは不定芽から効率よくシュートを伸長させることができる。
シュート伸長培地としては、前記の無機成分及び炭素源、ビタミン、アミノ酸等を含有し、多芽体あるいは不定芽ではBAPを0μM〜10μM、特に5μM程度含有するMS培地またはその改変培地が好ましく、不定胚では2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)を0μM〜1.0μM、特に0.1μM、BAPを0μM〜20μM、特に20μM程度含有するMS培地またはその改変培地が好ましい。
【0011】
次いで、伸長したシュートを分割、あるいは分割せずに発根培地に移植することにより、シュートを更に伸長させ、かつ発根させることができる。
発根培地としては、前記の無機成分及び炭素源、ビタミン、アミノ酸等を含有するMS培地またはその改変培地が好ましい。また、植物成長調節物質は含有しないMS培地またはその改変培地が好ましい。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
材料
マレーシアから入手したコーキセンダン苗木(高さ0.2〜0.5m) を温室で成育させ、高さ1.0〜6.0mに成長させた後、材料を採取した。
【0014】
材料の殺菌
コーキセンダンの成木から頂芽、腋芽、葉および茎を採取し、70%エタノール中で30秒、2%次亜塩素酸ナトリウム中で7分間表面殺菌を行い、滅菌水で数回洗浄後、滅菌濾紙上で風乾した。風乾後、寒天培地で培養した。
【0015】
実施例1
頂芽からの大量増殖
(1) 多芽体誘導
培地としては、改変MS培地(全培地成分を半分量にしたMS培地)にショ糖30g/l及び植物成長調節物質としてBAPを0〜10μM添加し、pHを5.7に調整後、殺菌して用いた。培養は26±2℃、16時間日長(3,000lux)で行った。培養1〜3ヶ月後には、伸長した頂芽の基部より新しい芽の形成が始まり、頂芽は多芽体へ成長した。1ヶ月後の多芽体誘導の結果を表1に示した。
【0016】
【表1】
Figure 0004153609
【0017】
表1の結果から明らかなように、特に、BAP5μMを添加することが効果的であった。
(2) 多芽体の増殖
(1) で得られた多芽体は1個ずつの芽に分割し、増殖培地に移植した。培地には、BAPを0〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、上記(1) と同様な条件で行った。1ヶ月後の多芽体増殖の結果を表2に示した。
【0018】
【表2】
Figure 0004153609
【0019】
表2の結果から明らかなように、培養1カ月後には、1個ずつの芽から多芽体が再生され、特に、BAP5μMを添加することが効果的であった。
(3) シュート伸長
(2) で増殖した多芽体をそのままシュート伸長培地に移植した。培地には、BAPを0〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、(1) と同様である。1ヶ月後のシュート伸長の結果を表3に示した。
【0020】
【表3】
Figure 0004153609
【0021】
表3の結果から明らかなように、培養1カ月後には、5〜10本の芽を長さ約10〜40mmに伸長することができ、特に、BAP5μMを添加することが効果的であった。
(4) 発根
(3) で得られた大量のシュートを一本ずつに切り分け、発根培地に移植した。培地には、NAAを0〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、(1) と同様である。2ヶ月後の発根率の結果を表4に示した。
【0022】
【表4】
Figure 0004153609
【0023】
表4の結果から明らかなように、培養2カ月後には、80%の個体で発根が観察され、同時に3〜5cmのシュートを伸長、2〜5枚の新葉を展開させることができ、特に、植物成長調節物質を添加しないことが効果的であった。
【0024】
実施例2
腋芽からの大量増殖
(1) 多芽体誘導
培地としては、改変MS培地(全培地成分を半分量にしたMS培地)にショ糖30g/l及び植物成長調節物質としてIBAを0〜1μM、ゼアチンを0〜10μM添加し、pHを5.7に調整後、殺菌して用いた。培養は26±2℃、16時間日長(3,000lux)で行った。培養1ヶ月後には、腋芽の伸長が起こり、長さ15〜40mm程度のシュートが得られた。このシュートを同組成の培地に移植すると、培養1〜2ヶ月後には、シュートの基部より新しい芽の形成が始まり、多芽体へと成長した。1ヶ月後の多芽体誘導の結果を表5に示した。
【0025】
【表5】
Figure 0004153609
【0026】
表5の結果から明らかなように、特に、ゼアチン0.1μMを添加することが効果的であった。
(2) 多芽体の増殖
(1) で得られた多芽体は1個ずつの芽に分割し、増殖培地に移植した。培地には、BAPを0 〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、上記(1) と同様な条件で行った。1ヶ月後の多芽体の増殖の結果を表6に示した。
【0027】
【表6】
Figure 0004153609
【0028】
表6の結果から明らかなように、培養1カ月後には、1個ずつの芽から多芽体が再生され、特に、BAP5μMを添加することが効果的であった。
(3) シュート伸長
(2) で増殖した多芽体をそのままシュート伸長培地に移植した。培地には、BAPを0 〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、(1) と同様である。1ヶ月後のシュート伸長の結果を表7に示した。
【0029】
【表7】
Figure 0004153609
【0030】
表7の結果から明らかなように、培養1カ月後には、5〜10本の芽を長さ約10〜40mmに伸長することができ、特に、BAP5μMを添加することが効果的であった。
(4) 発根
(3) で得られた大量のシュートを一本ずつに切り分け、発根培地に移植した。培地には、NAAを0〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、(1) と同様である。2ヵ月後のシュートからの発根率の結果を表8に示した。
【0031】
【表8】
Figure 0004153609
【0032】
表8の結果から明らかなように、培養2カ月後には、90%の個体で発根が観察され、同時に3〜5cmのシュートを伸長、2〜5枚の新葉を展開させることができ、特に、植物成長調節物質を添加しないことが効果的であった。
【0033】
実施例3
葉からの大量増殖
(1) 不定胚誘導
殺菌した葉を2cm角に切り分け、培地に植えつけた。培地としては、改変MS培地(全培地成分を半分量にしたMS培地)にショ糖30g/l及び植物成長調節物質としてNAAを0〜1μM、BAPを10〜20μM添加し、pHを5.7に調整後、殺菌して用いた。培養は26±2℃、暗所で行った。培養1〜2ヶ月後には、葉の切り口よりカルスの形成が起こり、培養3ヶ月後にはカルス表面に不定胚が形成された。
3ヶ月後の不定胚誘導の結果を表9に示した。
【0034】
【表9】
Figure 0004153609
【0035】
表9の結果から明らかなように特に、BAP10〜20μMを添加することが効果的であった。
(2) 不定胚増殖
(1) で得られた不定胚は1個ずつ増殖培地に移植した。培地には、NAAを0〜1μM、BAPを10〜20μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、(1) と同様である。
1ヶ月後の不定胚増殖の結果を表10に示した。
【0036】
【表10】
Figure 0004153609
【0037】
表10の結果から明らかなように、培養1カ月後には、不定胚上に新たな胚(2次胚)の形成が認められ、特に、BAP20μMを添加することが効果的であった。
(3) シュート伸長
(2) で増殖した不定胚をそのままシュート伸長培地に移植した。培地には、2,4−Dを0〜0.1μM、BAPを10〜20μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養は26±2℃、16時間日長(3,000lux)で行った。
1ヶ月後のシュート伸長の結果を表11に示した。
【0038】
【表11】
Figure 0004153609
【0039】
表11の結果からも明らかなように、培養1カ月後には、不定胚上から数十本の芽が伸長し始め、培養2ヶ月後には5〜10本の芽を長さ約10〜40mmに伸長することができた。特に、2,4−D0.1μM、BAP20μMを添加することが効果的であった。
(4) 発根
(3) で得られた大量のシュートを一本ずつに切り分け、発根培地に移植した。培地には、NAAを0〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、(2) と同様である。
2ヶ月後のシュートの発根率の結果を表12に示した。
【0040】
【表12】
Figure 0004153609
【0041】
表12の結果から明らかなように、培養2カ月後には、100%の個体で発根が観察され、同時に3〜5cmのシュートを伸長、2〜5枚の新葉を展開させることができ、特に、植物成長調節物質を添加しないことが効果的であった。
【0042】
実施例4
茎からの大量増殖
(1) 不定芽誘導
殺菌した茎(腋芽を含まない節間)の表皮を剥ぎ、縦に2分割して培地を植えつけた。培地としては、改変MS培地(全培地成分を半分量にしたMS培地)にショ糖30g/l及び植物成長調節物質として、BAPを0〜30μM添加し、pHを5.7に調整後、殺菌して用いた。培養は、26±2℃、暗所で行った。培養1〜2ヶ月後には、材料の表面全体にカルスの形成が起こり、培養3ヶ月後にはカルス表面に不定芽が形成された。
3ヶ月後の不定芽誘導の結果を表13に示した。
【表13】
Figure 0004153609
【0043】
表13の結果から明らかなように特に、BAP5〜10μMを添加することが効果的であった。
(2) 不定芽増殖
(1) で得られた不定芽は1個ずつ増殖培地に移植した。培地には、BAP0〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、26±2℃、16時間日長(3,000lux)で行った。
1ヶ月後の不定芽増殖の結果を表14に示した。
【0044】
【表14】
Figure 0004153609
【0045】
表14の結果から明らかなように、培養1ヶ月後には、不定芽が多芽体へと成長し、不定芽の増殖が認められ、特にBAP5μMを添加することが効果的であった。
(3) シュート伸長
(2) で増殖した多芽体をそのままシュート伸長に移植した。培地には、0〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、(2) と同様である。
1ヶ月後のシュート伸長の結果を表15に示した。
【0046】
【表15】
Figure 0004153609
【0047】
表15の結果からも明らかなように、培養1ヶ月後には、5〜10本の芽を長さ約10〜40mmに伸長することができ、特に、BAP5μMを添加することが効果的であった。
(4) 発根
(3) で得られた大量のシュートを1本ずつに切り分け、発根培地に移植した。培地には、NAAを0〜10μM添加した改変MS培地(前記(1) と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養条件は、(2) と同様である。
2ヶ月後のシュートの発根率の結果を表16に示した。
【0048】
【表16】
Figure 0004153609
【0049】
表16の結果から明らかなように、培養2ヶ月後には、90%の個体で発根が観察され、同時に3〜5cmのシュートを伸長、2〜5枚の新葉を展開させることができ、特に植物成長調節物質を添加しないことが効果的であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、コーキセンダンの組織培養用に供する無菌幼植物体、挿し木用に供する苗及び挿し穂を、試験管内で短期間に大量に生産することができ、コーキセンダンの大量生産の可能性が高くなる。

Claims (1)

  1. コーキセンダン(Azadirachta excelsa JACOBS)の頂芽、腋芽、葉あるいは茎を培養して多芽体、不定胚あるいは不定芽を誘導し増殖させ、増殖した多芽体、不定胚あるいは不定芽をシュート伸長培地で培養してシュートを伸長させ、次いで伸長したシュートを発根培地で培養して発根させる、コーキセンダンの組織培養による大量増殖法であって
    頂芽をベンジルアミノプリン(BAP)5μM〜10μMを含有するMS培地またはその改変培地で培養して多芽体を誘導し;腋芽をゼアチン0.1μM〜10μMを含有するMS培地またはその改変培地で培養して多芽体を誘導し;葉をBAP10μM〜20μMを含有するMS培地またはその改変培地で培養して不定胚を誘導し;あるいは茎をBAP1μM〜30μMを含有するMS培地またはその改変培地で培養して不定芽を誘導し、次いで不定芽をBAP1μM〜10μMを含有するMS培地またはその改変培地で培養して多芽体を形成させ、
    多芽体をBAP1μM〜10μMを含有するMS培地またはその改変培地で増殖させ:あるいは不定胚をBAP10μM〜20μMを含有するMS培地またはその改変培地で増殖させ、
    増殖した多芽体をBAP1μM〜10μMを含有するMS培地またはその改変培地で培養してシュートを伸長させ;あるいは不定胚を2,4−ジクロロフェノキシ酢酸0.1μM〜1.0μMおよびBAP10μM〜20μMを含有するMS培地またはその改変培地で培養してシュートを伸長させ、
    次いで伸長したシュートを植物成長調節物質を含有しないMS培地またはその改変培地で培養して発根させる
    コーキセンダンの組織培養による大量増殖法。
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