JP3715689B2 - 組織培養を用いたGmelina属樹木の大量増殖法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Gmelina属樹木、特にGmelina属に属するGmelina arborea ROXB.の組織培養による大量増殖法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Gmelina属樹木は、世界の熱帯地域(インド、東南アジア)における主要造林木であり、その材は建築材、彫刻材、パルプ、ファイバーボード、合板等に、樹皮、根、果実は薬用として用いられる早生樹である。近年、組織培養技術の発達により、遺伝子資源の保存を目的として、組織培養を用いた優良品種の保存が多くの樹木で行われてきており、Gmelina属樹木においても優良品種の保存等に組織培養技術の利用が期待されている。また、一般に有用老齢木の増殖を試みる際には、挿し木等の既存法を用いることができず、精鋭樹の増殖は困難とされている。
近年、幾つかの研究グループによって、これらの問題点の解決を目的として、Gmelina属樹木における組織培養技術の研究がなされているが、成功例は今日まで2例のみである(J.C.Yang,G.Y.Tsay,J.D.Chung,Z.Z.Chen(1992) Micropropagationof Gmelina arborea R.,Proceedings ofthe SABRAO international symposium29:213−218,及びCrizaldo,E.N.(1980)Tissue culture of fast−growing trees,Sylvatrop 5(2);123−137)。
しかしながら、これらの方法は、無菌条件下で発芽させた幼植物体を材料に用いており、フェノール性物質を多く含む成木から採取した材料からの幼植物体の再生及び大量増殖を達成することはできない。したがって、成木からの効率的な培養方法の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、Gmelina属樹木、特にGmelina arborea ROXB.のクローン苗の大量生産を可能にする大量増殖法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、Gmelina属樹木の苗木、あるいは成木を用いて、大量生産を可能にする大量増殖法を開発することを目的として鋭意研究した結果、Gmelina属樹木の茎頂を培養して、多数の定芽及び/又は不定芽を有する多芽体を誘導し、更にこの多芽体を効率よく増殖させることに成功した。特に、多芽体を誘導させるために用いる培地と多芽体を増殖させるために用いる培地に、ベンジルアミノプリン(BAP)、あるいはインドール酢酸(IBA)とBAPを添加することにより、効率よく多芽体を誘導し、かつ増殖することができ、かつ増殖させた多芽体から効率よくシュート伸長を促すことができることを見出した。増殖したシュートを植物成長調節物質を添加しない培地、あるいはBAP、あるいはBAPとIBAを添加した培地で培養することにより、更なるシュート伸長及び発根が可能になることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、
Gmelina属樹木の茎頂を培養して、定芽及び/又は不定芽を多数有する多芽体を誘導、増殖させ更に多芽体から大量のシュートを生産し、
次いでシュートを発根培地に移植して発根させ、植物体を再生する、
ことを特徴とするGmelina属樹木の大量増殖法である。
【0005】
本発明によれば、Gmelina属樹木の苗木及び成木の茎頂から多芽体を誘導、増殖させ、次いで得られた多芽体からシュートを伸長させ、これを発根させることにより、大量の幼植物体を効率よく生産することができる。
本発明で対象とするGmelina属としては、より具体的には、Gmelina arborea ROXB.を例示することができる。
本発明で用いる培養材料としては、Gmelina属樹木の苗木及び成木から採取した茎頂が用いられる。採取した茎頂は、通常の方法に従って、エタノール及び次亜塩素酸ナトリウム、あるいは過酸化水素水、あるいは塩化水銀(昇汞水)で表面殺菌を行い、滅菌水で洗浄後、培地中で培養する。
培養に用いる基本培地としては、無機成分及び炭素源を必須成分とし、その他植物成長調節物質、ビタミン、アミノ酸を含有する培地が用いられる。無機成分としては、窒素、燐、カリウム、ナトリウム、カルシウム、硫黄、鉄、マンガン、亜鉛、沃素、硼素、モリブデン、塩素、コバルト等の元素を含む無機化合物が用いられる。炭素源としては、炭水化物、例えばしょ糖又はブドウ糖が用いられる。植物成長調節物質としては、オーキシン、サイトカイニンを用いられる。オーキシンとしては、例えば3−インドール酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)等が挙げられ、サイトカイニンとしては、例えばベンジルアミノプリン(BAP)、カイネチン、ゼアチン、4−フェニルウレア(4PU)等が挙げられる。ビタミンとしては、例えばチアミン、ピリドキシン、ニコチン酸等が挙げられる。アミノ酸としては、例えばグリシン、グルタミン酸、リジン等が挙げられる。
【0006】
実際に培養する際に用いられる培地としては、植物組織培養に用いられる培地、例えばMS培地(Murashige,T.(1962),Physiol.Plant.15:473−497)、B5培地(Gamborg,O.L.(1968),Exp.Cell.Res.50:151−158)、WP培地(Lloyd,G.(1981),Int.Plant Prop.Soc.30:421−427)、BTM培地(Chalupa,V.(1984)Biologia Plnt.(praha)26:374−377)等が挙げられる。特に、B5培地及びその改変培地が好ましい。定芽、不定芽の誘導及びそれらの成長、多芽体からのシュート伸長を促進するため、BAPを0.01〜0.3mg/l、あるいはBAP0.01〜0.3mg/lとIBAを0.002mg/l程度含有するB5培地又はその改変培地を用いることが好ましい。
【0007】
次いで、伸長したシュートを分割、あるいは分割せずに発根培地に移植することにより、シュートを更に伸長させ、かつ発根させることができる。
発根培地としては、前記の無機成分及び炭素源、ビタミン、アミノ酸等を含有し、植物成長調節物質無添加、あるいはBAP0.01〜0.3mg/lとIBA0.002mg/l程度を含有する培地が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の組織培養によるGmelina属樹木の大量増殖法の好ましい実施の形態の一つとしては、先ずGmelina arborea ROXB の成木から茎頂を採取し、IBAを0.002mg/l及びBAPを0.01〜0.3mg/l添加した改変B5培地で培養して、定芽及び/又は不定芽を多数有する多芽体を誘導、増殖させ更に多芽体から大量のシュートを生産させる。次いで得られたシュートを、BAP0.01〜0.3mg/lとIBA0.02mg/l添加した改変B5培地である発根培地に移植して発根させ、植物体を効率良く再生することができる。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、Gmelina属樹木の苗木、あるいは成木から採取した材料から、Gmelina属樹木の無菌幼植物体、苗及び挿し穂を、試験管内で短期間に大量に生産することができ、Gmelina属樹木の苗の大量生産の可能性が高くなる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
Gmelina arborea ROXB.苗木(高さ0.2〜0.5m)及び成木(6.0〜10.0m)から材料を採取した。
(1)材料の殺菌
Gmelina arborea ROXB.の苗木及び成木から頂芽を採取し、70%エタノール中で30秒、2%次亜塩素酸ナトリウム中で6分間表面殺菌を行い、滅菌水で数回洗浄後、滅菌濾紙上で風乾した。風乾後、光学顕微鏡下で頂芽の外皮を取り除き、茎頂を摘出し、寒天培地で培養した。その結果、苗木、成木から採取した材料の生存率は、苗木から採取した材料の方が若干良好であったが、本発明の方法によれは、苗木、あるいは成木から採取した材料どちらも用いることができた。
表1に、苗木及び成木から採取した茎頂の生存率を比較したデータを示す。
【0011】
【表1】
【0012】
(2)多芽体の誘導、増殖及びシュート伸長
培地としては、改変B5培地(全培地成分を半分量にしたB5培地)にしょ糖20g/l、ゲルライト3.4g/l及び植物成長調節物質としてIBAを0.002mg/l、BAPを0.01〜0.3mg/l添加し、pHを5.7に調整後、殺菌して用いた。培養温度は26±2℃とし、1日当たり16時間蛍光灯(3,000〜5,000lux)照明とした。培養2〜3ケ月後に多芽体が誘導された。特に、IBA0.002mg/lとBAP0.03mg/lを添加することが効果的であり、材料による大きな差は、見られなかった(図1,3)。
(3)発根
(2)で得られた大量のシュートを一本ずつに切り分け、発根培地に移植した。培地には、植物成長調節物質を添加しない改変B5培地、あるいはBAP0.01〜0.3mg/lとIBAを0.002mg/l添加した改変B5培地(前記(2)と同じ)をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養温度は、26±2℃とし、1日当たり16時間蛍光灯(3,000〜5,000lux)照明とした。その結果、培養1〜2カ月後には、33.3%の個体で発根が観察され、同時に3〜10cmのシュートを伸長、2〜8枚の新葉を展開させることができ、特に、植物成長調節物質を添加しない培地、あるいはBAP0.01〜0.03mg/lmg/lとIBA0.002mg/lを添加することが効果的であり、材料による大きな差は見られなかった(図2,4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】苗木由来の材料を用いた場合の多芽体の誘導におけるIBAとBAP濃度の影響を示すグラフである。
【図2】苗木由来の材料を用いた場合の発根に対するIBAとBAPの影響を示すグラフである。
【図3】成木由来の材料を用いた場合の多芽体の誘導におけるIBAとBAP濃度の影響を示すグラフである。
【図4】成木由来の材料を用いた場合の発根に対するIBAとBAPの影響を示すグラフである。
Claims (3)
- 培地として、ベンジルアミノプリン(BAP)を0.01〜0.3mg/L、あるいはBAP0.01〜0.3mg/Lとともにインドール酪酸(IBA)を0.002mg/L含有するB5培地、又はそのB5培地の改変培地を用いて、Gmelina属樹木の茎頂を培養して、定芽及び/不定芽を多数有する多芽体を誘導、増殖させ更に多芽体から大量のシュートを生産し、
次いでシュートを、発根培地として、植物成長調節物質無添加、あるいはBAP0.01〜0.3mg/LとともにIBAを0.002mg/Lを含有するB5培地、又はそのB5培地の改変培地を用いて、発根培地に移植して発根させ、植物体を再生する、
ことを特徴とするGmelina属樹木の大量増殖法。 - Gmelina属樹木の苗木あるいは成木から茎頂を用いる請求項1に記載の大量増殖法。
- Gmelina属樹木がGmelina arboreaRoxbである請求項1または2に記載の大量増殖法。
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