JPH08308412A - フタバガキ科樹木の組織培養による多芽体作出法 - Google Patents
フタバガキ科樹木の組織培養による多芽体作出法Info
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- JPH08308412A JPH08308412A JP12152195A JP12152195A JPH08308412A JP H08308412 A JPH08308412 A JP H08308412A JP 12152195 A JP12152195 A JP 12152195A JP 12152195 A JP12152195 A JP 12152195A JP H08308412 A JPH08308412 A JP H08308412A
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- Japan
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- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 フタバガキ科樹木の多芽体作出法
【構成】 フタバガキ科樹木の茎頂部を、ベンジルアミ
ノプリン(BAP)を含むB5培地またはその改変培地
で回転培養することにより効率良く多芽体を誘導でき
る。更にこの多芽体を同様の培地で増殖させることによ
って芽を大量に生産することが可能である。
ノプリン(BAP)を含むB5培地またはその改変培地
で回転培養することにより効率良く多芽体を誘導でき
る。更にこの多芽体を同様の培地で増殖させることによ
って芽を大量に生産することが可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フタバガキ科樹木、特
にShorea属に属するShorea roxbur
ghii(Shorea taluraと命名されるこ
ともある)の組織培養による多芽体作出法並びにそれを
用いたフタバガキ科樹木の増殖法に関する。
にShorea属に属するShorea roxbur
ghii(Shorea taluraと命名されるこ
ともある)の組織培養による多芽体作出法並びにそれを
用いたフタバガキ科樹木の増殖法に関する。
【0002】
【従来の技術】フタバガキ科樹木は東南アジアの主要用
材樹種であるが、結実に豊凶があり、また鳥獣虫による
食害が甚だしく、かつ採取後の貯蔵が困難であり、数週
間で発芽力を消失するなど、実生による繁殖が難しいと
されている。挿し木についても研究がなされたが、一般
に難しい。このように繁殖力が極めて低いとされている
フタバガキ科樹木は、遺伝子保存や造林に際しての苗の
確保が大きな問題となっている。近年、幾つかの研究グ
ループによって、これらの問題点の解決を目的として組
織培養技術を用いた研究がなされているが、成功した報
告は非常に少ない。特に、Shorea roxbur
ghiiについては今日まで2例の報告があるのみであ
る(Eilcen S.Scotto,A.N.Rao
and C.S.Loh(1988)Product
ion of plantlet ofShorea
roxburghii G.Don.from emb
ryonic axes cultured in v
itro. Annals ofBotany 61:
233−236;及びD.S.Gunasekara,
E.S.Scott and A.N.Rao(198
8)Suspension culture of t
he dipterocarp Shorearoxb
urghii G.Don.Somatic Cell
Genetics of Woody Plant
s:137−141)。しかしながら、これらの方法
は、胚組織及びカルスを培養する方法であり、大量増殖
の目的を達成することはできない。したがって、より効
率的な培養方法の開発が望まれている。
材樹種であるが、結実に豊凶があり、また鳥獣虫による
食害が甚だしく、かつ採取後の貯蔵が困難であり、数週
間で発芽力を消失するなど、実生による繁殖が難しいと
されている。挿し木についても研究がなされたが、一般
に難しい。このように繁殖力が極めて低いとされている
フタバガキ科樹木は、遺伝子保存や造林に際しての苗の
確保が大きな問題となっている。近年、幾つかの研究グ
ループによって、これらの問題点の解決を目的として組
織培養技術を用いた研究がなされているが、成功した報
告は非常に少ない。特に、Shorea roxbur
ghiiについては今日まで2例の報告があるのみであ
る(Eilcen S.Scotto,A.N.Rao
and C.S.Loh(1988)Product
ion of plantlet ofShorea
roxburghii G.Don.from emb
ryonic axes cultured in v
itro. Annals ofBotany 61:
233−236;及びD.S.Gunasekara,
E.S.Scott and A.N.Rao(198
8)Suspension culture of t
he dipterocarp Shorearoxb
urghii G.Don.Somatic Cell
Genetics of Woody Plant
s:137−141)。しかしながら、これらの方法
は、胚組織及びカルスを培養する方法であり、大量増殖
の目的を達成することはできない。したがって、より効
率的な培養方法の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フタ
バガキ科樹木、特にShorea属に属するShore
a roxburghiiの大量増殖を可能にする多芽
体作出法及びそれを用いたフタバガキ科樹木の増殖法を
提供することにある。
バガキ科樹木、特にShorea属に属するShore
a roxburghiiの大量増殖を可能にする多芽
体作出法及びそれを用いたフタバガキ科樹木の増殖法を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、フタバガキ科
樹木の苗木を用いて、大量増殖を可能にする多芽体作出
法を開発することを目的として鋭意研究した結果、フタ
バガキ科樹木の茎頂を含む茎頂部を培養して定芽及び/
または不定芽を有する多芽体を誘導させることに成功し
た。更に得られた多芽体を増殖培地に移植し大量の芽を
生産させることにも成功した。特に多芽体を誘導させる
ために用いる誘導培地と多芽体を増殖させるために用い
る増殖培地に添加する植物成長調節物質として、ベンジ
ルアミノプリン(BAP)を用いることにより、効率よ
く多芽体を誘導しかつ増殖することが可能になることを
見い出し、また様々な光条件下でも多芽体の作出が可能
であることを見い出し、本発明を完成させた。即ち、本
発明は、フタバガキ科樹木の茎頂を含む茎頂部を培養し
て定芽及び/または不定芽を有する多芽体であって、増
殖培地に移植し大量の芽を生産できる多芽体を得ること
を特徴とするフタバガキ科樹木の多芽体作出法である。
更に本発明は、かくして得られる多芽体を、増殖培地と
してB5培地またはその改変培地を用いて増殖させて大
量の芽を生産すること特徴とするフタバガキ科樹木の増
殖法である。
樹木の苗木を用いて、大量増殖を可能にする多芽体作出
法を開発することを目的として鋭意研究した結果、フタ
バガキ科樹木の茎頂を含む茎頂部を培養して定芽及び/
または不定芽を有する多芽体を誘導させることに成功し
た。更に得られた多芽体を増殖培地に移植し大量の芽を
生産させることにも成功した。特に多芽体を誘導させる
ために用いる誘導培地と多芽体を増殖させるために用い
る増殖培地に添加する植物成長調節物質として、ベンジ
ルアミノプリン(BAP)を用いることにより、効率よ
く多芽体を誘導しかつ増殖することが可能になることを
見い出し、また様々な光条件下でも多芽体の作出が可能
であることを見い出し、本発明を完成させた。即ち、本
発明は、フタバガキ科樹木の茎頂を含む茎頂部を培養し
て定芽及び/または不定芽を有する多芽体であって、増
殖培地に移植し大量の芽を生産できる多芽体を得ること
を特徴とするフタバガキ科樹木の多芽体作出法である。
更に本発明は、かくして得られる多芽体を、増殖培地と
してB5培地またはその改変培地を用いて増殖させて大
量の芽を生産すること特徴とするフタバガキ科樹木の増
殖法である。
【0005】本発明によれば、苗の枝から茎頂を含む茎
頂部を得、この茎頂部から多芽体を誘導し、次いで得ら
れた多芽体を増殖させることにより、大量の芽を得るこ
とができる。本発明で対象するフタバガキ科樹木として
は、より具体的には、Shorea属に属するものが挙
げられ、特にShorea roxburghiiが更
に具体的なものとして例示することができる。本発明で
用いる培養材料としては、温室で栽培している苗木から
茎頂部を含む頂芽を採取したものが用いられる。採取し
た頂芽は、通常の方法に従って、エタノール及び次亜塩
素酸ナトリウムあるいは塩化水銀(昇汞水)で表面殺菌
を行ない、滅菌水で洗浄後、培地中で培養する。培養に
用いる基本培地としては、無機成分及び炭素源を必須成
分とし、その他植物成長調節物質、ビタミン、アミノ酸
を含有する培地が用いられる。無機成分としては、窒
素、燐、カリウム、ナトリウム、カルシウム、硫黄、
鉄、マンガン、亜鉛、沃素、硼素、モリブデン、塩素、
コバルト等の元素を含む無機化合物が用いられる。炭素
源としては、炭水化物、例えばしょ糖又はブドウ糖が用
いられる。植物成長調節物質としては、オーキシン、サ
イトカイニンを用い、特にサイトカイニンを用いるのが
好ましい。オーキシンとしては、例えば3−インドール
酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)等が挙げら
れ、サイトカイニンとしては、例えばベンジルアミノプ
リン(BAP)、カイネチン、ゼアチン、4−フェニル
ウレア(4PU)等が挙げられる。ビタミンとしては、
例えばチアミン、ピリドキシン、ニコチン酸等が挙げら
れる。アミノ酸としては、例えばグリシン、グルタミン
酸、リジン等が挙げられる。
頂部を得、この茎頂部から多芽体を誘導し、次いで得ら
れた多芽体を増殖させることにより、大量の芽を得るこ
とができる。本発明で対象するフタバガキ科樹木として
は、より具体的には、Shorea属に属するものが挙
げられ、特にShorea roxburghiiが更
に具体的なものとして例示することができる。本発明で
用いる培養材料としては、温室で栽培している苗木から
茎頂部を含む頂芽を採取したものが用いられる。採取し
た頂芽は、通常の方法に従って、エタノール及び次亜塩
素酸ナトリウムあるいは塩化水銀(昇汞水)で表面殺菌
を行ない、滅菌水で洗浄後、培地中で培養する。培養に
用いる基本培地としては、無機成分及び炭素源を必須成
分とし、その他植物成長調節物質、ビタミン、アミノ酸
を含有する培地が用いられる。無機成分としては、窒
素、燐、カリウム、ナトリウム、カルシウム、硫黄、
鉄、マンガン、亜鉛、沃素、硼素、モリブデン、塩素、
コバルト等の元素を含む無機化合物が用いられる。炭素
源としては、炭水化物、例えばしょ糖又はブドウ糖が用
いられる。植物成長調節物質としては、オーキシン、サ
イトカイニンを用い、特にサイトカイニンを用いるのが
好ましい。オーキシンとしては、例えば3−インドール
酪酸(IBA)、ナフタレン酢酸(NAA)等が挙げら
れ、サイトカイニンとしては、例えばベンジルアミノプ
リン(BAP)、カイネチン、ゼアチン、4−フェニル
ウレア(4PU)等が挙げられる。ビタミンとしては、
例えばチアミン、ピリドキシン、ニコチン酸等が挙げら
れる。アミノ酸としては、例えばグリシン、グルタミン
酸、リジン等が挙げられる。
【0006】実際に培養する際に用いる培地としては、
植物組織培養に用いられる培地、例えばMS培地(Mu
rashige T(1962)A revised
medium for rapid growth a
nd bioassayswith tobacco
tissue cultures,Physiol.P
lant.15:473−497)、B5培地(Gam
borg OL(1968) Nutrient re
quirements of suspension
cultures of soybean root
cells,Exp.Cell.Res.50:151
−158)、WP培地(LloydG(1981)Co
mmercially feasible micro
propagation of mountai la
urel(Kalmia latifolia)by
use of shoot tip culture,
Pro.Inc.Proc.Int.Plant Pr
op.Soc.30:421−427)等が挙げられ
る。特に、B5培地及びその改変培地が好ましい。定
芽、不定芽の誘導及び成長を促進するため、BAPを
0.1−1.0mg/リットル程度含有する培地を用いる
ことが好ましい。培養は、液体培地を用いることが好ま
しい。また、液体回転培養により培養するのが好まし
い。特に、1−2回転/分の条件での液体回転培養が好
ましい。培養温度は、通常15〜35℃、好ましくは2
5℃程度である。光照射下で培養するのが好ましく、特
に1日当たり16〜24時間程度、照度1,000〜1
2,000ルクスの条件下で培養すると、定芽、不定芽
の成長が促進される。こうして多芽体は、効率よく得る
ことができる。多芽体はmultiple shoot
sと呼ばれ、多数のシュート(苗条)が発生して培養体
自体がシュートの塊となったものを通常意味する。茎頂
部を培養して得られる細胞集塊を指す苗条原基(sho
ot primodium)と、多芽体とはその意味内
容が重複し得るが、本発明では、いずれにせよ、定芽及
び/または不定芽を有するシュートの塊となったもので
ある多芽体を対象としている。
植物組織培養に用いられる培地、例えばMS培地(Mu
rashige T(1962)A revised
medium for rapid growth a
nd bioassayswith tobacco
tissue cultures,Physiol.P
lant.15:473−497)、B5培地(Gam
borg OL(1968) Nutrient re
quirements of suspension
cultures of soybean root
cells,Exp.Cell.Res.50:151
−158)、WP培地(LloydG(1981)Co
mmercially feasible micro
propagation of mountai la
urel(Kalmia latifolia)by
use of shoot tip culture,
Pro.Inc.Proc.Int.Plant Pr
op.Soc.30:421−427)等が挙げられ
る。特に、B5培地及びその改変培地が好ましい。定
芽、不定芽の誘導及び成長を促進するため、BAPを
0.1−1.0mg/リットル程度含有する培地を用いる
ことが好ましい。培養は、液体培地を用いることが好ま
しい。また、液体回転培養により培養するのが好まし
い。特に、1−2回転/分の条件での液体回転培養が好
ましい。培養温度は、通常15〜35℃、好ましくは2
5℃程度である。光照射下で培養するのが好ましく、特
に1日当たり16〜24時間程度、照度1,000〜1
2,000ルクスの条件下で培養すると、定芽、不定芽
の成長が促進される。こうして多芽体は、効率よく得る
ことができる。多芽体はmultiple shoot
sと呼ばれ、多数のシュート(苗条)が発生して培養体
自体がシュートの塊となったものを通常意味する。茎頂
部を培養して得られる細胞集塊を指す苗条原基(sho
ot primodium)と、多芽体とはその意味内
容が重複し得るが、本発明では、いずれにせよ、定芽及
び/または不定芽を有するシュートの塊となったもので
ある多芽体を対象としている。
【0007】次いで、得られた多芽体を増殖培地に移植
し、効率よく増殖させることができ。増殖培地として
は、前記の無機成分及び炭素源、ビタミン、アミノ酸等
を含有し、BAPを0.1−1.0mg/リットル含有す
る培地が好ましい。特にBAPを0.1mg/リットル含
有するB5培地またはその改変培地が好ましい。培養温
度は、通常15〜35℃、好ましくは25℃程度であ
る。1日当たり16〜24時間程度、照度1,000〜
12,000ルクスの光照射の条件で培養するのが好ま
しい。増殖培地に移植する際には、誘導した多芽体をそ
のまま移植するか、あるいは1〜数個の定芽、不定芽に
分割して移植するのが好ましい。
し、効率よく増殖させることができ。増殖培地として
は、前記の無機成分及び炭素源、ビタミン、アミノ酸等
を含有し、BAPを0.1−1.0mg/リットル含有す
る培地が好ましい。特にBAPを0.1mg/リットル含
有するB5培地またはその改変培地が好ましい。培養温
度は、通常15〜35℃、好ましくは25℃程度であ
る。1日当たり16〜24時間程度、照度1,000〜
12,000ルクスの光照射の条件で培養するのが好ま
しい。増殖培地に移植する際には、誘導した多芽体をそ
のまま移植するか、あるいは1〜数個の定芽、不定芽に
分割して移植するのが好ましい。
【0008】
【発明の効果】本発明によれば、フタバガキ科樹木の組
織培養、挿し木用に供する芽を、試験管内で短期間に大
量に生産することができ、フタバガキ科樹木の苗の大量
生産への可能性が高くなる。
織培養、挿し木用に供する芽を、試験管内で短期間に大
量に生産することができ、フタバガキ科樹木の苗の大量
生産への可能性が高くなる。
【0009】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。インドネシアから入手したShorea rox
burghii種子を温室で発芽させ、育成した苗木
(高さ20〜70cm)を供試した。 (1)材料の滅菌 Shorea roxburghiiの実生苗から頂芽
を採取し、70%エタノールで30秒間及び2%次亜塩
素酸ナトリウムで6分間表面殺菌を行い、滅菌水で5回
洗浄後、滅菌濾紙上で風乾させた。 (2)材料の調整 風乾後、実体顕微鏡下で頂芽の葉原基を取り除き、長さ
0.2〜5mmの茎頂部を摘出し、液体培地中で培養し
た。 (3)多芽体の誘導 培地としては、改変B5培地(全培地成分を半量にした
B5培地)にしょ糖20g/リットル及び植物成長調節
物質としてBAPを0.1〜1.0mg/リットル、IB
Aを0〜0.2mg/リットル添加し、pH5.7に調整
し、殺菌して用いた。培養温度は26±2℃とし、1−
2回転/分の条件で液体回転培養を行った。1日当たり
24時間蛍光灯(3,000ルクス)照明した。培養3
ケ月後に多芽体が誘導された。BAPとIBAの各種濃
度での多芽体の誘導割合いを図1に示した。図1から、
特にPAP 1mg/リットルを添加した場合に、多芽体
が効率良く誘導されることが判る。 (4)多芽体の増殖 (3)で得られた多芽体をそのまま、あるいは1〜数個
の芽に分割し、増殖培地に移植した。培地には、BAP
を0.1−1.0mg/リットル、IBAを0〜0.2mg
/リットル添加した改変B5培地(前記(3)と同じ)
をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養温度は、
26±2℃とし、1日当たり24時間蛍光灯(3,00
0ルクス)照明とした。その結果、1ケ月後には開始時
の約6倍の芽を得ることができた。BAPとIBAの各
種濃度での芽の増殖割合いを図2に示した。図2から、
BAP 0.1mg/リットルの処理区では一つの芽から
平均6.3個の芽が増殖しており、増殖の際にはBAP
0.1mg/リットルを培地に添加することが好ましい
ことが判る。
する。インドネシアから入手したShorea rox
burghii種子を温室で発芽させ、育成した苗木
(高さ20〜70cm)を供試した。 (1)材料の滅菌 Shorea roxburghiiの実生苗から頂芽
を採取し、70%エタノールで30秒間及び2%次亜塩
素酸ナトリウムで6分間表面殺菌を行い、滅菌水で5回
洗浄後、滅菌濾紙上で風乾させた。 (2)材料の調整 風乾後、実体顕微鏡下で頂芽の葉原基を取り除き、長さ
0.2〜5mmの茎頂部を摘出し、液体培地中で培養し
た。 (3)多芽体の誘導 培地としては、改変B5培地(全培地成分を半量にした
B5培地)にしょ糖20g/リットル及び植物成長調節
物質としてBAPを0.1〜1.0mg/リットル、IB
Aを0〜0.2mg/リットル添加し、pH5.7に調整
し、殺菌して用いた。培養温度は26±2℃とし、1−
2回転/分の条件で液体回転培養を行った。1日当たり
24時間蛍光灯(3,000ルクス)照明した。培養3
ケ月後に多芽体が誘導された。BAPとIBAの各種濃
度での多芽体の誘導割合いを図1に示した。図1から、
特にPAP 1mg/リットルを添加した場合に、多芽体
が効率良く誘導されることが判る。 (4)多芽体の増殖 (3)で得られた多芽体をそのまま、あるいは1〜数個
の芽に分割し、増殖培地に移植した。培地には、BAP
を0.1−1.0mg/リットル、IBAを0〜0.2mg
/リットル添加した改変B5培地(前記(3)と同じ)
をpH5.7に調整し、殺菌して用いた。培養温度は、
26±2℃とし、1日当たり24時間蛍光灯(3,00
0ルクス)照明とした。その結果、1ケ月後には開始時
の約6倍の芽を得ることができた。BAPとIBAの各
種濃度での芽の増殖割合いを図2に示した。図2から、
BAP 0.1mg/リットルの処理区では一つの芽から
平均6.3個の芽が増殖しており、増殖の際にはBAP
0.1mg/リットルを培地に添加することが好ましい
ことが判る。
【図1】誘導培地に添加するIBAとBAPの濃度と誘
導される多芽体の割合いを示すグラフである。
導される多芽体の割合いを示すグラフである。
【図2】増殖培地に添加するIBAとBAPの濃度と増
殖する芽の割合いを示すグラフである。
殖する芽の割合いを示すグラフである。
Claims (8)
- 【請求項1】 フタバガキ科樹木の茎頂を含む茎頂部を
誘導培地で培養して、定芽及び/または不定芽を有する
多芽体であって、増殖培地に移植し大量の芽を生産でき
る多芽体を得ることを特徴とするフタバガキ科樹木の多
芽体作出法。 - 【請求項2】 誘導培地として、ベンジルアミノプリン
(BAP)を0.1−1.0mg/リットル含有するB5
培地またはその改変培地を用いる請求項1記載の多芽体
作出法。 - 【請求項3】 フタバガキ科樹木の茎頂を含む茎頂部
を、誘導培地で液体回転培養により培養する請求項1ま
たは2記載の多芽体作出法。 - 【請求項4】 多芽体を作出する際に、照度1,000
〜12,000ルクスの光照度下で培養する請求項1−
3のいずれかに記載の多芽体作出法。 - 【請求項5】 フタバガキ科樹木がShorea属に属
するものである請求項1−4のいずれか1項記載の多芽
体作出法。 - 【請求項6】 フタバガキ科樹木がShorea ro
xburghiiである請求項1−5のいずれか1項記
載の多芽体作出法。 - 【請求項7】 請求項1−6のいずれかに記載された方
法によって得られた多芽体を、増殖培地としてB5培地
またはその改変培地を用いて増殖させて大量の芽を生産
することを特徴とするフタバガキ科樹木の増殖法。 - 【請求項8】 増殖培地として、BAPを0.1mg/リ
ットル含有するB5培地またはその改変培地を用いる請
求項7記載の増殖法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12152195A JPH08308412A (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | フタバガキ科樹木の組織培養による多芽体作出法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12152195A JPH08308412A (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | フタバガキ科樹木の組織培養による多芽体作出法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08308412A true JPH08308412A (ja) | 1996-11-26 |
Family
ID=14813289
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12152195A Pending JPH08308412A (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | フタバガキ科樹木の組織培養による多芽体作出法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08308412A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103190343A (zh) * | 2013-03-16 | 2013-07-10 | 福建农林大学 | 一种有机添加物对金线莲产业化快速繁殖关键技术 |
CN103416305A (zh) * | 2013-07-19 | 2013-12-04 | 福建省农业科学院农业生物资源研究所 | 金线莲种苗的无激素组织培养及快速繁殖方法 |
CN103416310A (zh) * | 2013-08-28 | 2013-12-04 | 叶宝鑫 | 用于金线莲有机组织培养的培养基 |
CN103858762A (zh) * | 2014-03-17 | 2014-06-18 | 厦门涌泉科技有限公司 | 一种金线莲组织培养快速增殖方法 |
CN106258957A (zh) * | 2016-08-08 | 2017-01-04 | 四川千草生物技术股份有限公司 | 一种金线莲无激素容器化培养方法及其培养基 |
-
1995
- 1995-05-19 JP JP12152195A patent/JPH08308412A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103190343A (zh) * | 2013-03-16 | 2013-07-10 | 福建农林大学 | 一种有机添加物对金线莲产业化快速繁殖关键技术 |
CN103416305A (zh) * | 2013-07-19 | 2013-12-04 | 福建省农业科学院农业生物资源研究所 | 金线莲种苗的无激素组织培养及快速繁殖方法 |
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CN106258957A (zh) * | 2016-08-08 | 2017-01-04 | 四川千草生物技术股份有限公司 | 一种金线莲无激素容器化培养方法及其培养基 |
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Effective date: 20060127 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |