JPH0646839A - 植物の組織培養法 - Google Patents
植物の組織培養法Info
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- JPH0646839A JPH0646839A JP4224726A JP22472692A JPH0646839A JP H0646839 A JPH0646839 A JP H0646839A JP 4224726 A JP4224726 A JP 4224726A JP 22472692 A JP22472692 A JP 22472692A JP H0646839 A JPH0646839 A JP H0646839A
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- Japan
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- plant
- plants
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- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 本発明は、植物の組織を無菌的に分離し、こ
の組織を培養することを特徴とする植物の組織培養法で
ある。 【効果】 本発明の培養法を用いれば、各種の植物、特
にサクラソウ科植物、サトイモ科植物、ユリ科植物、ミ
ズトンボ属植物、ツワブキ属植物の大量生産が可能にな
ると共に季節に左右されず周年生産が可能となる。
の組織を培養することを特徴とする植物の組織培養法で
ある。 【効果】 本発明の培養法を用いれば、各種の植物、特
にサクラソウ科植物、サトイモ科植物、ユリ科植物、ミ
ズトンボ属植物、ツワブキ属植物の大量生産が可能にな
ると共に季節に左右されず周年生産が可能となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物を組織培養する方
法に関する。
法に関する。
【0002】
【従来の技術】サクラソウ科植物は低性の多年草であ
り、花菖蒲、朝顔、菊等と並ぶ日本の伝統的な園芸草花
である。サクラソウ属の1種であるサクラソウは、特に
多くの園芸種を有する。しかしながら、サクラソウの園
芸品はただ1種の種子播を繰り返した結果得られた変異
品で成り立っており、増殖はもっぱら株分けにより行わ
れる。
り、花菖蒲、朝顔、菊等と並ぶ日本の伝統的な園芸草花
である。サクラソウ属の1種であるサクラソウは、特に
多くの園芸種を有する。しかしながら、サクラソウの園
芸品はただ1種の種子播を繰り返した結果得られた変異
品で成り立っており、増殖はもっぱら株分けにより行わ
れる。
【0003】サトイモ科植物(特にテンナンショウ属)
は、地下に球茎を有する夏緑の多年草であるが、1年に
1度しか葉を展開せず、根が出るのも葉の展開期であ
る。増殖は実生によるが、開花株になるまでに数年を要
するため、ほとんどの場合山採りにより採取され自然集
団が壊滅的な打撃を受けている。
は、地下に球茎を有する夏緑の多年草であるが、1年に
1度しか葉を展開せず、根が出るのも葉の展開期であ
る。増殖は実生によるが、開花株になるまでに数年を要
するため、ほとんどの場合山採りにより採取され自然集
団が壊滅的な打撃を受けている。
【0004】また、球根植物のササユリなどユリ科植物
の増殖は実生、球根分割、鱗片挿し、珠芽を利用する方
法が知られている。しかし多くの土地および労力を必要
とするほか、ウイルスに汚染され、生育の遅延が生じた
り、品質が低下している。このため近年、組織培養によ
るユリ類の増殖も試みられている。(特開平2−462
39号、特開昭63−164819号、特開昭63−2
79721号等参照) また安価で簡便に球根を増殖できる実用的な増殖技術も
検討されている。(園学雑61別1.'92,p446) ミズトンボ属植物は、日本に約11種が自生している。
特にミズトンボ属の1種であるサギソウは、花姿が白鷺
の飛ぶ様子に似ているところから名付けられている。こ
の属の植物は一般に塊根を有するが、生育サイクルの中
で子珠を年に数個付けるのみであり、繁殖効率は必ずし
もよくない。
の増殖は実生、球根分割、鱗片挿し、珠芽を利用する方
法が知られている。しかし多くの土地および労力を必要
とするほか、ウイルスに汚染され、生育の遅延が生じた
り、品質が低下している。このため近年、組織培養によ
るユリ類の増殖も試みられている。(特開平2−462
39号、特開昭63−164819号、特開昭63−2
79721号等参照) また安価で簡便に球根を増殖できる実用的な増殖技術も
検討されている。(園学雑61別1.'92,p446) ミズトンボ属植物は、日本に約11種が自生している。
特にミズトンボ属の1種であるサギソウは、花姿が白鷺
の飛ぶ様子に似ているところから名付けられている。こ
の属の植物は一般に塊根を有するが、生育サイクルの中
で子珠を年に数個付けるのみであり、繁殖効率は必ずし
もよくない。
【0005】さらに、キク科の多年草であるツワブキ属
植物は、日本と中国との特産で2種存在する。特にツワ
ブキは江戸時代から茶室の庭に植えられ、現在も広く栽
培されているが、幾つかの変種が栽培されているほか、
山菜として食用としたり民間薬としても利用されてい
る。増殖は種子にもよる場合もあるが、主に株分けによ
ることが多い。そのとき鉢や植え込み材により極度に小
型化することがあり、繁殖効率は必ずしもよくない。
植物は、日本と中国との特産で2種存在する。特にツワ
ブキは江戸時代から茶室の庭に植えられ、現在も広く栽
培されているが、幾つかの変種が栽培されているほか、
山菜として食用としたり民間薬としても利用されてい
る。増殖は種子にもよる場合もあるが、主に株分けによ
ることが多い。そのとき鉢や植え込み材により極度に小
型化することがあり、繁殖効率は必ずしもよくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、効率
的な植物の組織培養法を提供することにある。本発明の
目的はサクラソウ科植物、サトイモ科植物、ユリ科植
物、ミズトンボ属植物、ツワブキ属植物の効率的な増殖
をはかることにある。
的な植物の組織培養法を提供することにある。本発明の
目的はサクラソウ科植物、サトイモ科植物、ユリ科植
物、ミズトンボ属植物、ツワブキ属植物の効率的な増殖
をはかることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記の課題に
ついて種々検討を重ねた結果、本発明を完成するに至っ
た。
ついて種々検討を重ねた結果、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】本発明は植物の組織を無菌的に分離し、こ
の組織を培養することを特徴とする植物の組織培養法を
提供するものである。
の組織を培養することを特徴とする植物の組織培養法を
提供するものである。
【0009】本発明の組織培養法によれば、特にサクラ
ソウ科植物、サトイモ科植物、ユリ科植物、ミズトンボ
属植物およびツワブキ属植物の効率的な組織培養を行う
ことができる。
ソウ科植物、サトイモ科植物、ユリ科植物、ミズトンボ
属植物およびツワブキ属植物の効率的な組織培養を行う
ことができる。
【0010】本発明はまず、植物の組織を無菌的に分離
し培養することからなる。分離する組織としては、一般
に茎、葉、花、根などがいずれも用いられるが、特に好
ましいのはサクラソウ科植物の場合は根茎、サトイモ科
植物の場合は球茎、ユリ科植物の場合は球根の鱗片、ミ
ズトンボ属植物の場合は塊根、ツワブキ属植物の場合は
根出葉である。
し培養することからなる。分離する組織としては、一般
に茎、葉、花、根などがいずれも用いられるが、特に好
ましいのはサクラソウ科植物の場合は根茎、サトイモ科
植物の場合は球茎、ユリ科植物の場合は球根の鱗片、ミ
ズトンボ属植物の場合は塊根、ツワブキ属植物の場合は
根出葉である。
【0011】植物の組織を無菌的に分離するには、界面
活性剤、アルコール、塩化ベンザルコンニウム液、次亜
塩素酸ナトリウム溶液などを用いるのが好ましい。分離
にあたっては組織を界面活性剤で洗浄し、アルコール、
塩化ベンサルコンニウム液、次亜塩素酸ナトリウムに順
次浸したあと滅菌水で洗浄し無菌的に分離する。
活性剤、アルコール、塩化ベンザルコンニウム液、次亜
塩素酸ナトリウム溶液などを用いるのが好ましい。分離
にあたっては組織を界面活性剤で洗浄し、アルコール、
塩化ベンサルコンニウム液、次亜塩素酸ナトリウムに順
次浸したあと滅菌水で洗浄し無菌的に分離する。
【0012】培地組成としては、通常植物の培養に用い
られるLS培地(Linsmaier &Skoog, 1965)、W
培地(White, 1963)、B5培地(Gamborg, 196
8)、MS培地(Murashige & Skoog, 1962)な
どがいずれも用いられるが、MS培地が特に好ましい。
培地固形成分としてはジェランガムを用いるのが好まし
い。
られるLS培地(Linsmaier &Skoog, 1965)、W
培地(White, 1963)、B5培地(Gamborg, 196
8)、MS培地(Murashige & Skoog, 1962)な
どがいずれも用いられるが、MS培地が特に好ましい。
培地固形成分としてはジェランガムを用いるのが好まし
い。
【0013】また、各植物の新芽やユリ科植物の球根、
ミズトンボ属植物の新根、ツワブキ属植物の脱分化細胞
など植物組織の誘導を促進させるため、これらの培地に
植物ホルモンとしてオーキシン類、サイトカイニン類等
を添加してもよい。オーキシン類としては2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、インドール酢酸
(IAA)、ナフタレン酢酸(NAA)等が挙げられ
る。また、サイトカイニン類としてはカイネチン、ベン
ジルアデニン(BA)等が挙げられる。新芽の誘導を促
進するには、これらの植物ホルモンを0.02〜2mg
/Lの濃度で培地に添加するのが好ましい。
ミズトンボ属植物の新根、ツワブキ属植物の脱分化細胞
など植物組織の誘導を促進させるため、これらの培地に
植物ホルモンとしてオーキシン類、サイトカイニン類等
を添加してもよい。オーキシン類としては2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、インドール酢酸
(IAA)、ナフタレン酢酸(NAA)等が挙げられ
る。また、サイトカイニン類としてはカイネチン、ベン
ジルアデニン(BA)等が挙げられる。新芽の誘導を促
進するには、これらの植物ホルモンを0.02〜2mg
/Lの濃度で培地に添加するのが好ましい。
【0014】サクラソウ科植物の場合、新芽の形成は、
通常15〜25℃の温度で16hr日長で30日前後培
養することにより行い、この培養により組織片から新芽
が誘導される。
通常15〜25℃の温度で16hr日長で30日前後培
養することにより行い、この培養により組織片から新芽
が誘導される。
【0015】サトイモ科植物の場合、新芽の形成には通
常15〜25℃の温度で16hr日長で30〜60日培
養することにより行い、この培養により組織片から新芽
が誘導される。
常15〜25℃の温度で16hr日長で30〜60日培
養することにより行い、この培養により組織片から新芽
が誘導される。
【0016】ユリ科植物の場合、球根の形成は、通常暗
所で15〜25℃の温度で60日前後培養することによ
り行い、この培養により組織片から新しい球根が形成さ
れる。
所で15〜25℃の温度で60日前後培養することによ
り行い、この培養により組織片から新しい球根が形成さ
れる。
【0017】ミズトンボ属植物の場合、新根の形成は、
通常15〜25℃の温度で16hr日長で約20日間培
養することにより行い、この培養により組織片から新根
が誘導される。
通常15〜25℃の温度で16hr日長で約20日間培
養することにより行い、この培養により組織片から新根
が誘導される。
【0018】ツワブキ属植物の場合、脱分化細胞の形成
は、通常15〜25℃の温度で16hr日長で約40日
間培養することにより行い、この培養により組織片から
脱分化細胞が誘導される。
は、通常15〜25℃の温度で16hr日長で約40日
間培養することにより行い、この培養により組織片から
脱分化細胞が誘導される。
【0019】ミズトンボ属植物の場合、植物組織から人
為的に根のみを大量培養することが可能になる。このこ
とは根から新塊根が形成されることによりインビトロで
ミズトンボ属植物の増殖が可能となるばかりでなく、増
殖した根から芽を誘導すれば幼植物を分化させることが
できる。
為的に根のみを大量培養することが可能になる。このこ
とは根から新塊根が形成されることによりインビトロで
ミズトンボ属植物の増殖が可能となるばかりでなく、増
殖した根から芽を誘導すれば幼植物を分化させることが
できる。
【0020】このようにして形成された各植物の新芽、
球根、脱分化細胞などの植物組織は、新鮮培地に移植し
て培養し増殖する。ユリ科植物の新しい球根の増殖培養
にあたっては、培地形態により次の2通りの方法が用い
られる。
球根、脱分化細胞などの植物組織は、新鮮培地に移植し
て培養し増殖する。ユリ科植物の新しい球根の増殖培養
にあたっては、培地形態により次の2通りの方法が用い
られる。
【0021】固形培地に移植して培養する場合は球根数
の増加が期待できる。液体培地に移植して培養する場合
は各球根重の増加が期待できる。つまり、固形培地で数
量を増やし、ついで液体培地で球根を充実させるとい
う、2段階の増殖培養が球根の大量生産には好ましい方
法である。
の増加が期待できる。液体培地に移植して培養する場合
は各球根重の増加が期待できる。つまり、固形培地で数
量を増やし、ついで液体培地で球根を充実させるとい
う、2段階の増殖培養が球根の大量生産には好ましい方
法である。
【0022】このようにして得られたユリ植物の球根は
約30日の低温処理により開花珠となり、ポット栽培が
可能になる。
約30日の低温処理により開花珠となり、ポット栽培が
可能になる。
【0023】
【実施例】つぎに本発明を実施例にもとづきさらに具体
的に説明するが、これは本発明を何等限定するものでは
ない。
的に説明するが、これは本発明を何等限定するものでは
ない。
【0024】[実施例1](サクラソウ科植物の培養) (1)クリンソウ(Primulajaponica)の培養 クリンソウより根茎を取り、流水および中性洗剤で充分
に洗浄した。次に70%エタノール溶液で30秒間、2
%次亜鉛素酸ナトリウム溶液に20分間浸して滅菌を行
った。滅菌を行った根茎を滅菌水で充分に洗浄し、約1
〜3mm四方の大きさとしたあと培地に置いた。培地は
MS培地(硝酸アンモニウムと硝酸カリウムは何れも1
/2濃度に調整)に植物ホルモンとしてベンジルアデニ
ンとナフテレン酢酸を0〜0.2mg/L、蔗糖を1
%、ジェランガムを0.2%加えpH5.7に調整した。
20℃16hr照明にて約30日培養したところ、植物
ホルモンを含まない区に新芽を1組織1芽誘導した。 (2)サクラソウ(Primula sieboldii)の培養 実施例1と同様にして滅菌し、同様のMS培地で培養し
た。20℃16hr照明で約40日培養したところ、植
物ホルモンを含まない区に新芽を1組織1芽誘導した。
また、植物ホルモンとしてベンジルアデニンを0.2m
g/L含む区において新芽を1組織5芽以上含む多芽体
を誘導した。
に洗浄した。次に70%エタノール溶液で30秒間、2
%次亜鉛素酸ナトリウム溶液に20分間浸して滅菌を行
った。滅菌を行った根茎を滅菌水で充分に洗浄し、約1
〜3mm四方の大きさとしたあと培地に置いた。培地は
MS培地(硝酸アンモニウムと硝酸カリウムは何れも1
/2濃度に調整)に植物ホルモンとしてベンジルアデニ
ンとナフテレン酢酸を0〜0.2mg/L、蔗糖を1
%、ジェランガムを0.2%加えpH5.7に調整した。
20℃16hr照明にて約30日培養したところ、植物
ホルモンを含まない区に新芽を1組織1芽誘導した。 (2)サクラソウ(Primula sieboldii)の培養 実施例1と同様にして滅菌し、同様のMS培地で培養し
た。20℃16hr照明で約40日培養したところ、植
物ホルモンを含まない区に新芽を1組織1芽誘導した。
また、植物ホルモンとしてベンジルアデニンを0.2m
g/L含む区において新芽を1組織5芽以上含む多芽体
を誘導した。
【0025】[実施例2](サトイモ科植物の培養) (1)ユキモチソウ(Arisaema sikokianum)の培養 ユキモチソウの球茎より茎頂付近の組織を取り、流水お
よび中性洗剤で充分に洗浄した。次に70%エタノール
溶液で30秒間、2%次亜鉛素酸ナトリウム溶液に20
分間浸し滅菌を行った。滅菌を行った根茎を滅菌水で充
分に洗浄し、約1〜3mm四方の大きさとしたあと培地
に置いた。培地は実施例1と同様のMS培地に植物ホル
モンとしてナフタレン酢酸を0.02mg/L、蔗糖を
10%、ジェランガムを0.2%加えpH5.7に調整し
た。20℃16hr照明で約30日培養したところ、根
を伴った新芽を誘導した。 (2)キャンディディシマム(Arisaema candidissimu
m)の培養 実施例1と同様にして滅菌し、同様のMS培地で培養し
た。20℃暗所で約30日培養したあと、新鮮培地に移
植した。新鮮培地にはMS培地(硝酸アンモニウムと硝
酸カリウムは何れも1/2濃度に調整)に植物ホルモン
としてベンジルアデニンとナフタレン酢酸を0〜0.2
mg/L、蔗糖を1%、ジェランガムを0.2%加えp
H5.7に調整したものを用いた。20℃16hr照明
で約30日培養したところ、植物ホルモンとして、ナフ
タレン酢酸を0.02〜2mg/L含む区に新芽を1組
織1〜2芽誘導した。
よび中性洗剤で充分に洗浄した。次に70%エタノール
溶液で30秒間、2%次亜鉛素酸ナトリウム溶液に20
分間浸し滅菌を行った。滅菌を行った根茎を滅菌水で充
分に洗浄し、約1〜3mm四方の大きさとしたあと培地
に置いた。培地は実施例1と同様のMS培地に植物ホル
モンとしてナフタレン酢酸を0.02mg/L、蔗糖を
10%、ジェランガムを0.2%加えpH5.7に調整し
た。20℃16hr照明で約30日培養したところ、根
を伴った新芽を誘導した。 (2)キャンディディシマム(Arisaema candidissimu
m)の培養 実施例1と同様にして滅菌し、同様のMS培地で培養し
た。20℃暗所で約30日培養したあと、新鮮培地に移
植した。新鮮培地にはMS培地(硝酸アンモニウムと硝
酸カリウムは何れも1/2濃度に調整)に植物ホルモン
としてベンジルアデニンとナフタレン酢酸を0〜0.2
mg/L、蔗糖を1%、ジェランガムを0.2%加えp
H5.7に調整したものを用いた。20℃16hr照明
で約30日培養したところ、植物ホルモンとして、ナフ
タレン酢酸を0.02〜2mg/L含む区に新芽を1組
織1〜2芽誘導した。
【0026】[実施例3](ユリ科植物の培養) (1)覆輪ササユリ(Lilium japonicum var.albomarg
inatum)の培養 覆輪ササユリの開花球より鱗片を取り、流水および中性
洗剤で充分に洗浄した。次に70%エタノール溶液で3
0秒間、2%次亜鉛素酸ナトリウム溶液に40分間浸し
滅菌を行った。滅菌を行った鱗片を滅菌水で充分に洗浄
し培地に置いた。このとき培地はMS培地(硝酸アンモ
ニウムと硝酸カリウムは何れも1/2濃度に調整)に植
物ホルモンとしてナフタレン酢酸を0.2mg/L、蔗
糖を10%、ジェランガムを0.2%加えpH5.7に調
整した。
inatum)の培養 覆輪ササユリの開花球より鱗片を取り、流水および中性
洗剤で充分に洗浄した。次に70%エタノール溶液で3
0秒間、2%次亜鉛素酸ナトリウム溶液に40分間浸し
滅菌を行った。滅菌を行った鱗片を滅菌水で充分に洗浄
し培地に置いた。このとき培地はMS培地(硝酸アンモ
ニウムと硝酸カリウムは何れも1/2濃度に調整)に植
物ホルモンとしてナフタレン酢酸を0.2mg/L、蔗
糖を10%、ジェランガムを0.2%加えpH5.7に調
整した。
【0027】22℃16hr照明で約30日培養した
後、新鮮培地には、MS培地(硝酸アンモニウムと硝酸
カリウムは何れも1/4濃度に調整)を用い蔗糖を3
%、ジェランガムを0.2%加え、pH5.7に調整し
た。このとき鱗片を垂直に3等分した。
後、新鮮培地には、MS培地(硝酸アンモニウムと硝酸
カリウムは何れも1/4濃度に調整)を用い蔗糖を3
%、ジェランガムを0.2%加え、pH5.7に調整し
た。このとき鱗片を垂直に3等分した。
【0028】22℃暗条件で約30日培養し鱗片に新球
を形成した。 (2)ヒメサユリ(Lilium rubellum)の培養 実施例1と同様にして滅菌し、ナフタレン酢酸を0.2
mg/L含むMS培地(硝酸アンモニウムと硝酸カリウ
ムは何れも1/2濃度に調整)で22℃、16hr照明
で約40日培養し、鱗片に新球を形成した。 (3)ササユリ(Lilium japonicum)の培養 実施例1と同様にしてMS培地(硝酸アンモニウムと硝
酸カリウムは何れも1/4濃度に調整、蔗糖を3%、ジ
ェランガムを2%加えpH5.7に調整)で培養してい
るササユリの新球を採り、3%の蔗糖を加えpH5.7
に調整したMS培地20mlを含む直茎30mm長さ2
00mmの試験管に移植し、回転培養機(広島設備開発
(株)製)にて2rpm連続照明で培養した。約30に後
に同組成の新鮮培地に移植し、更に約30日培養したと
ころササユリは直径約10mm程度に生長した。
を形成した。 (2)ヒメサユリ(Lilium rubellum)の培養 実施例1と同様にして滅菌し、ナフタレン酢酸を0.2
mg/L含むMS培地(硝酸アンモニウムと硝酸カリウ
ムは何れも1/2濃度に調整)で22℃、16hr照明
で約40日培養し、鱗片に新球を形成した。 (3)ササユリ(Lilium japonicum)の培養 実施例1と同様にしてMS培地(硝酸アンモニウムと硝
酸カリウムは何れも1/4濃度に調整、蔗糖を3%、ジ
ェランガムを2%加えpH5.7に調整)で培養してい
るササユリの新球を採り、3%の蔗糖を加えpH5.7
に調整したMS培地20mlを含む直茎30mm長さ2
00mmの試験管に移植し、回転培養機(広島設備開発
(株)製)にて2rpm連続照明で培養した。約30に後
に同組成の新鮮培地に移植し、更に約30日培養したと
ころササユリは直径約10mm程度に生長した。
【0029】[実施例4](ミズトンボ属植物の培養) サギソウ(Habenaria radiata)の培養 サギソウの塊根の表面の毛をガスバーナーで焼いた後、
流水および中性洗剤で充分に洗浄した。次に70%エタ
ノール溶液で30秒間、2%次亜鉛素酸ナトリウム溶液
に40分間浸し滅菌を行った。滅菌を行った塊根を滅菌
水で充分に洗浄したあと培地に置いた。このとき培地は
1/2濃度のMS培地に蔗糖を3%、ジェランガムを
0.2%加え、pH5.7に調整した。
流水および中性洗剤で充分に洗浄した。次に70%エタ
ノール溶液で30秒間、2%次亜鉛素酸ナトリウム溶液
に40分間浸し滅菌を行った。滅菌を行った塊根を滅菌
水で充分に洗浄したあと培地に置いた。このとき培地は
1/2濃度のMS培地に蔗糖を3%、ジェランガムを
0.2%加え、pH5.7に調整した。
【0030】20℃16hr照明で約20日培養し発芽
発根した。このとき根の先端の生長組織を約0.5mm
採り、植物ホルモンを含む培地に置床した。このとき培
地にはMS培地(ただし硝酸アンモニウム、および硝酸
カリウムの濃度は1/2に調整)に蔗糖を3%、ジェラ
ンガムを0.2%加えpH5.7に調整したものを用い
た。
発根した。このとき根の先端の生長組織を約0.5mm
採り、植物ホルモンを含む培地に置床した。このとき培
地にはMS培地(ただし硝酸アンモニウム、および硝酸
カリウムの濃度は1/2に調整)に蔗糖を3%、ジェラ
ンガムを0.2%加えpH5.7に調整したものを用い
た。
【0031】20℃16hr照明で約40日培養したと
ころ、植物ホルモンとしてナフタレン酢酸を0.2mg
/L含む区において根を複数誘導し、またベンジルアデ
ニンを0〜0.2mg/L含む区においてベンジルアデ
ニンの量が増すほど根の伸長が阻害された。
ころ、植物ホルモンとしてナフタレン酢酸を0.2mg
/L含む区において根を複数誘導し、またベンジルアデ
ニンを0〜0.2mg/L含む区においてベンジルアデ
ニンの量が増すほど根の伸長が阻害された。
【0032】[実施例5](ツワブキ属植物の培養) ツワブキ(Farfugium japonicum) ツワブキの根出葉をとり表面の毛をガスバーナーで焼い
た後、流水および中性洗剤で充分に洗浄した。次に70
%エタノール溶液で30秒間、2%次亜鉛素酸ナトリウ
ム溶液に20分間浸し滅菌を行った。滅菌を行った葉片
を滅菌水で充分に洗浄したあと培地に置いた。このとき
培地はMS培地(ただし硝酸アンモニウム、および硝酸
カリウムの濃度は1/2に調整)に蔗糖を1%、ジェラ
ンガムを0.2%加えpH5.7に調整したものを用い
た。
た後、流水および中性洗剤で充分に洗浄した。次に70
%エタノール溶液で30秒間、2%次亜鉛素酸ナトリウ
ム溶液に20分間浸し滅菌を行った。滅菌を行った葉片
を滅菌水で充分に洗浄したあと培地に置いた。このとき
培地はMS培地(ただし硝酸アンモニウム、および硝酸
カリウムの濃度は1/2に調整)に蔗糖を1%、ジェラ
ンガムを0.2%加えpH5.7に調整したものを用い
た。
【0033】20℃16hr照明で約20日培養したと
ころ、植物ホルモンとしてナフタレン酢酸を0.2mg
/L含みベンジルアデニンを0.02〜0.2mg/L含
む区において脱分化細胞を誘導した。
ころ、植物ホルモンとしてナフタレン酢酸を0.2mg
/L含みベンジルアデニンを0.02〜0.2mg/L含
む区において脱分化細胞を誘導した。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、各種の植物、特にサク
ラソウ科植物、サトイモ科植物、ユリ科植物、ミズトン
ボ属植物、ツワブキ属植物の大量生産が可能になると共
に季節に左右されず周年生産が可能となる。
ラソウ科植物、サトイモ科植物、ユリ科植物、ミズトン
ボ属植物、ツワブキ属植物の大量生産が可能になると共
に季節に左右されず周年生産が可能となる。
【0035】また、耐寒性のあるサクラソウ科植物の培
養は、遺伝子の材料として有用であり、耐寒性遺伝子の
解析や耐暑性遺伝子の導入などに利用できる。
養は、遺伝子の材料として有用であり、耐寒性遺伝子の
解析や耐暑性遺伝子の導入などに利用できる。
【0036】また、開花期待時期から逆算して低温処理
の適期が求められることから、ユリ科植物の場合などを
はじめ出荷調整が可能になる。また、低温処理可能な充
実球も培養を続ければ新しい球根を形成し続けるので、
出荷調整のための在庫管理方法が簡便になる。このよう
な大量培養方法により、絶滅の危機に瀕している植物を
増殖して自生地に戻すことにより環境保全に貢献するこ
とができる。
の適期が求められることから、ユリ科植物の場合などを
はじめ出荷調整が可能になる。また、低温処理可能な充
実球も培養を続ければ新しい球根を形成し続けるので、
出荷調整のための在庫管理方法が簡便になる。このよう
な大量培養方法により、絶滅の危機に瀕している植物を
増殖して自生地に戻すことにより環境保全に貢献するこ
とができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 植物の組織を無菌的に分離し、この組織
を培養することを特徴とする植物の組織培養法。 - 【請求項2】 植物がサクラソウ科植物、サトイモ科植
物、ユリ科植物、ミズトンボ属植物またはツワブキ属植
物である前記請求項1記載の組織培養法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4224726A JPH0646839A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 植物の組織培養法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4224726A JPH0646839A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 植物の組織培養法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0646839A true JPH0646839A (ja) | 1994-02-22 |
Family
ID=16818288
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4224726A Pending JPH0646839A (ja) | 1992-07-31 | 1992-07-31 | 植物の組織培養法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0646839A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002302403A (ja) * | 2001-03-30 | 2002-10-18 | Kagoshima Prefecture | 暗黒培養によるユリ類の試験管内保存,増殖,球根養成法 |
CN103004609A (zh) * | 2013-01-10 | 2013-04-03 | 中国科学院昆明植物研究所 | 白花灯台报春的组织培养方法 |
CN103404444A (zh) * | 2013-08-26 | 2013-11-27 | 四川省自然资源科学研究院 | 迎阳报春组培快繁方法 |
CN109089883A (zh) * | 2018-08-31 | 2018-12-28 | 贵州民族大学人文科技学院 | 一种川东灯台报春的离体保存方法 |
-
1992
- 1992-07-31 JP JP4224726A patent/JPH0646839A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002302403A (ja) * | 2001-03-30 | 2002-10-18 | Kagoshima Prefecture | 暗黒培養によるユリ類の試験管内保存,増殖,球根養成法 |
CN103004609A (zh) * | 2013-01-10 | 2013-04-03 | 中国科学院昆明植物研究所 | 白花灯台报春的组织培养方法 |
CN103404444A (zh) * | 2013-08-26 | 2013-11-27 | 四川省自然资源科学研究院 | 迎阳报春组培快繁方法 |
CN109089883A (zh) * | 2018-08-31 | 2018-12-28 | 贵州民族大学人文科技学院 | 一种川东灯台报春的离体保存方法 |
CN109089883B (zh) * | 2018-08-31 | 2021-07-27 | 贵州民族大学人文科技学院 | 一种川东灯台报春的离体保存方法 |
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