JP2002262687A - アカシア属植物の多芽体作出方法及びそれを用いて作出された植物体 - Google Patents

アカシア属植物の多芽体作出方法及びそれを用いて作出された植物体

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Etsuko Hattori
悦子 服部
Tatsuro Kimura
達郎 木村
Satoshi Kondo
聡 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アカシア属植物の組織培養による多芽体作出
法、多芽体からのアカシア属植物体の大量増殖。 【解決手段】 アカシア属植物の種子の胚軸部を植物ホ
ルモンを含む培地を用いて多芽体を誘導するアカシア属
植物の多芽体作出法、多芽体を培養してシュートを伸長
させ、さらに伸長したシュートを植物ホルモンを含まな
い培地で発根させることを特徴とするアカシア属植物の
増殖方法、及び該方法によって得られたアカシア属植物
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アカシア属植物の
組織培養による多芽体作出法及び多芽体からの植物体の
増殖法に関し、具体的にはアカシア属植物の種子の胚軸
部から多芽体を誘導する方法、得られた多芽体をシュー
ト伸長培地で伸長させ、シュートを発根培地で発根させ
ることによりアカシア属植物を大量増殖させる方法及び
その方法により作出された植物体に関する。
【0002】
【従来の技術】アカシア属植物は世界的に約600種知ら
れており、根に根粒菌を持ち窒素固定するので、痩せ地
でも成長が早いことが知られている。アカシア属植物
は、パルプ、家具材、香水、タンニンやアラビアゴムな
どの材料になり、広い用途を有する。
【0003】組織培養の手法を用いたアカシア属植物の
増殖法として、アカシア属植物の組織片からカルスを誘
導し、カルスからシュート(苗条)を再分化させ、シュ
ートを発根させることによりアカシア属植物を増殖させ
る方法(特開平7-255304号公報)、アカシア属植物の組
織片から茎頂部を伸長させて苗条を再生させ、苗条を増
殖させて発根させ植物体を得る方法(特開平9-205917号
公報)、及びアカシア属植物の生長点を含まない組織か
ら苗条を誘導する方法(特開平11-155403号公報)があ
った。しかし、これらの方法では、最終的に植物体まで
増殖する確率は必ずしも高くなく、またカルス形成の工
程を含んでいて植物体を増殖させるまでに手間がかかっ
たり、さらに発根の工程で植物ホルモンの添加が必要で
あったりと、効率的に大量のアカシア属植物の植物体を
増殖させることはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、今まで大量
に増殖させることが困難であったアカシア属植物の大量
増殖を可能にするために、アカシア属植物の多芽体作出
方法、該多芽体からの植物体の増殖方法を提供すること
を目的とし、さらにこれらの方法により得られた植物体
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来法が
多芽体を誘導するのに複数の工程を要し、材料として実
生を生育する必要があったのに対して、工程数を少なく
し、材料調製の手間を削減できないか検討した。さら
に、多芽体から伸長したシュートから植物体を増殖させ
るのに植物ホルモンを添加した培地を用いると健全な植
物体が得られないことが多いことに鑑み、健全な植物体
を大量に得ることができる方法を検討した。
【0006】その結果、本発明者らは、アカシア属植物
の種子の胚軸部を植物ホルモンを含む培地を用いて多芽
体を誘導して多芽体を作出し、該多芽体を培養してシュ
ートを伸長させ、さらにシュートを植物ホルモンを含ま
ない培地で発根させることにより健全なアカシア属植物
が効率的に増殖することを見出し、本発明を完成させる
に至った。
【0007】すなわち、本発明は、(1)アカシア属植
物の種子の胚軸部を植物ホルモンを含む培地を用いて多
芽体を誘導するアカシア属植物の多芽体作出法、(2)
培地がオーキシン系植物ホルモン0〜10.0mg/Lとサイト
カイニン系植物ホルモン0.001〜10.0mg/Lを含む(1)
のアカシア属植物の多芽体作出法、(3)培地がオーキ
シン系植物ホルモン0〜2.2mg/Lとサイトカイニン系植物
ホルモン0.2〜2.3mg/Lを含む(2)のアカシア属植物の
多芽体作出法、(4)オーキシン系植物ホルモンが2,4-
Dでありサイトカイニン系植物ホルモンがベンジルアミ
ノプリン(BAP)又はチヂアズロン(TDZ)である(3)
のアカシア属植物の多芽体作出法、(5)オーキシン系
植物ホルモンがインドール-3-酢酸(IAA)でありサイト
カイニン系植物ホルモンがベンジルアミノプリン(BA
P)である(3)のアカシア属植物の多芽体作出法、
(6)(1)〜(5)のいずれかの方法により誘導され
た多芽体を培養してシュートを伸長させ、さらに伸長し
たシュートを植物ホルモンを含まない培地で発根させる
ことを特徴とするアカシア属植物の増殖方法、(7)
(6)の方法によって得られたアカシア属植物体、であ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においては、アカシア属植
物の種子の胚軸部を植物ホルモンを含む培地を用いてま
ず多芽体を誘導し、この誘導された多芽体を植物ホルモ
ンを含むか含まない培地にて培養し、シュートを伸長さ
せ、次いで伸長したシュートを植物ホルモンを含まない
培地で発根させることによりアカシア属植物を増殖させ
る。
【0009】本発明を適用できるアカシア属植物として
は、代表的なものとしてアカシア・アラタ(Acacia ala
ta)、アカシア・アウラコパルカ(A. aulacocarpa)、
アカシア・アウリカリフォルミス(A. auriculiformi
s)、アカシア・バイレヤナ(A. baileyana)、アカシ
ア・ブールマニイ(A. boormanii)、アカシア・シンシ
ナタ(A. cincinnata)、アカシア・コンフサ(A. conf
usa)、アカシア・クラシカルパ(A. crassicarpa)、
アカシア・クルトリホルミス(A.cultriformis)、アカ
シア・シアノフィラ(A. cyanophylla)、アカシア・デ
アルバタ(A. dealbata)、アカシア・デアネイ(A. de
anei)、アカシア・デクレンス(A. decurrens)、アカ
シア・ジフサ(A. diffusa)、アカシア・ドルモンディ
イ(A. drummnodii)、アカシア・エラタ(A. elat
a)、アカシア・ファルカタ(A. falcata)、アカシア
・ファシクリフェラ(A. fasciculifera)、アカシア・
フィンブリアタ(A. fimbriata)、アカシア・フラベセ
ンス(A. flavescens)、アカシア・フロリブンダス
(A. floribundas)、アカシア・ヒロノマ(A. hylonom
a)、アカシア・インプレキサ(A. implexa)、アカシ
ア・ラベセンス(A. lavescens)、アカシア・リネアタ
(A. lineata)、アカシア・ロンギホリア(A. longifo
lia)、アカシア・マンギウム(A. mangium)、アカシ
ア・メラノキシロン(A. melanoxylon)、アカシア・メ
アルンシー(A. mearnsii)、アカシア・ニロチカ(A.
nilotica)、アカシア・オラリア(A. oraria)、アカ
シア・オキシセドルス(A. oxycedrus)、アカシア・ペ
ンニネルビス(A. penninervis)、アカシア・ポダリリ
ホリア(A. podalyriifolia)、アカシア・ポリスタキ
ア(A. polystachya)、アカシア・プラビシマ(A. pra
vissima)、アカシア・プロミネンス(A. prominen
s)、アカシア・ピクナンタ(A. pycnantha)、アカシ
ア・レチノデス(A. retinodes)、アカシア・ルビダ
(A. rubida)、アカシア・シレイ(A. shirleyi)、ア
カシア・スピロルビス(A. spirorbis)、アカシア・ス
ペクタビリス(A. spectabilis)、アカシア・ステノフ
ィラ(A. stenophylla)、アカシア・ウンシナタ(A. u
ncinata)、アカシア・ベルチシラタ(A. verticilla
t)等がある。さらにこれらの種間雑種も挙げられる。
【0010】本発明に使用する培地としては植物の組織
培養に一般に用いられる培地を広く用いることができ
る。例えば、ムラシゲ・スクーグ培地(MS培地)、ガン
ボルグB5培地(B-5培地)、Litvayの培地(LM培地)、W
oody plant medium 培地(WPM培地)、Whiteの培地(Wh
ite培地)など又はこれらの培地の組成を改変した培地
を挙げることができる。これらの培地を適宜希釈して用
いることもできる。これらの培地には適宜糖、ゲルライ
ト等を添加して用いることが望ましい。
【0011】培地に添加するオーキシン系植物ホルモン
として、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、ナフ
タレン酢酸(NAA)、インドール-3-酢酸(IAA)、インド
ール-3-酪酸(IBA)、4-クロロインドール酢酸(4-Cl-I
AA)等及びこれらの誘導体が挙げられる。また、サイト
カイニン系植物ホルモンとしては、ベンジルアミノプリ
ン(BAP)、カイネチン(Kin)等及びこれらの誘導体が
挙げられる。
【0012】本発明で胚軸部とは、種子の胚軸部をい
い、種子の中の芽と根が出る部分である。ここで、本発
明では材料として用いる胚軸部を種子から切り出しやす
くするために、切り出しの前に種子を吸水させて1日程
度おき根を伸長させて種皮の一部を破らせてもよいが、
この状態の種子の胚軸部も含む。
【0013】胚軸部を得るには、まず植物の種子を滅菌
し吸水させた後に胚軸部を切り出せばよい。植物種子の
滅菌にはアルコール、次亜塩素酸ナトリウム溶液、硫
酸、アンチホルミン等を適宜希釈して用いることができ
る。さらに、滅菌した種子を吸水させた後に、適当な培
地に播種して、1〜数日置いてもよい。この作業により
根が少し伸長し種皮が一部破れるので胚軸部を容易に切
り出すことができる。このように滅菌した種子から胚軸
部を適当な大きさに切り出す。切り出した胚軸部をオー
キシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモ
ンの一方又は両方を含む培地で1〜3ヶ月間培養すること
により多芽体を形成させることができる。オーキシン系
植物ホルモンの濃度は、0〜10.0mg/L、好ましくは0〜5.
0mg/L、さらに好ましくは0〜2.3mg/Lである。また、サ
イトカイニン系植物ホルモンの濃度は、0.001〜10.0mg/
L、好ましくは0.001〜5.0mg/L、さらに好ましくは0.2〜
2.3mg/Lである。培地には、ショ糖、グルコース又はマ
ルトースを1〜5%、ゲルライトを0.1〜0.5%添加するのが
望ましい。培養条件は、温度が15〜35℃である。また、
暗所でも多芽体が形成されるが、一日当たり12〜24時間
程度、照度1000〜12000ルクスの光照射の条件で培養す
るのが多芽体の形成率上望ましい。
【0014】形成した多芽体を植物ホルモン無添加の培
地に移植して培養するとシュートが伸長してくる。伸長
したシュートを切り出し発根培地に移植して培養するこ
とにより発根が認められ植物体を得ることができる。シ
ュートを切り出した後の基部を再度植物ホルモン無添加
の培地で培養することにより再びシュートが伸長してく
るので、この作業を繰り返すことにより半永久的に植物
体を得ることができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範
囲が限定されるものではない。 〔実施例1〕アカシア・アウリカリフォルミス(Acacia
auriculiformis)の胚軸部からの2,4-D及びベンジルア
ミノプリン(BAP)を含む培地を用いての多芽体の誘導 アカシア属のアカシア・アウリカリフォルミスの種子を
以下の方法で無菌的に播種した。濃硫酸中に種子を1分
間浸漬し、続いて70%エタノール中に5分間浸漬した後0.
1% Tween-20を含む10倍に希釈したアンチホルミン(有
効塩素濃度1%)に10分間浸漬した。その後、滅菌水で3
回すすぎ、アンチホルミンを除き、滅菌水中に1晩浸漬
して吸水させた。滅菌吸水後の種子を発芽培地に播種し
た。発芽培地としてショ糖1.5%、ゲルライト0.25%を含
む2倍に希釈したMS培地を用いた。
【0016】播種1日後の種子から胚軸部を切り出し、M
S培地にショ糖3%、ゲルライト0.25%を添加し、オーキシ
ン系植物ホルモンとして2,4-D及びサイトカイニン系植
物ホルモンとしてベンジルアミノプリン(BAP)の一方
又は両方を添加した培地(pH5.8)に植え付けた。2,4-D
及びベンジルアミノプリンの添加濃度は、2,4-Dが0、0.
2、又は2.2mg/Lで、ベンジルアミノプリンが0、0.2又は
2.3mg/Lであった。培養条件は、25℃で16時間明期(30
〜50μmol/m/s)、8時間暗期とし、1〜3ヶ月培養を行
った。2,4-Dとベンジルアミノプリンの各濃度の組合わ
せにつき20の胚軸部を植え付け、培養後に多芽体形成数
と多芽体当たりの数を測定した。その結果、表1に示す
ように多芽体形成を誘導することができた。2,4-D 0.2m
g/L、ベンジルアミノプリン 2.3mg/L添加したときに多
芽体誘導効果が最大であった。
【0017】
【表1】
【0018】誘導された多芽体当たりの芽の平均数は、
2.0〜3.9であった。誘導された多芽体を同組成の培地に
移植してさらに2〜3ヶ月培養すると、芽の数は多芽体当
たり10〜30に増殖した。また、増殖してきた多芽体を植
物ホルモン無添加のMS培地に移植して培養すると、多数
のシュートの伸長が認められた。図1に得られたシュー
トを示す。
【0019】〔実施例2〕 アカシア・アウリカリフォ
ルミス(Acacia auriculiformis)の胚軸部からのα-ナ
フタレン酢酸(NAA)及びベンジルアミノプリン(BAP)を
含む培地を用いての多芽体の誘導 実施例1と同様の方法で調製した胚軸部を、MS培地にシ
ョ糖3%、ゲルライト0.25%を添加し、オーキシン系植物
ホルモンとしてα-ナフタレン酸(NAA)及びサイトカイ
ニン系植物ホルモンとしてベンジルアミノプリン(BA
P)の一方又は両方を添加した培地(pH5.8)に植え付
け、実施例1と同様の条件で培養した。α-ナフタレン酸
及びベンジルアミノプリンの添加濃度は、α-ナフタレ
ン酸が0、又は1.9mg/Lで、ベンジルアミノプリンが0、
0.2又は2.3mg/Lであった。表2に培養約2ヵ月後の多芽体
形成数及び多芽体当たりの芽の数を示した。総てのα-
ナフタレン酸とベンジルアミノプリン濃度の組合わせで
多芽体を形成し、多芽体当たりの芽の平均数は約2であ
った。
【0020】
【表2】
【0021】〔実施例3〕 アカシア・アウリカリフォ
ルミス(Acacia auriculiformis)の胚軸部からの2,4-D
及びカイネチン(Kin)を含む培地を用いての多芽体の
誘導 実施例1と同様の方法で調製した胚軸部を、MS培地にシ
ョ糖3%、ゲルライト0.25%を添加し、オーキシン系植物
ホルモンとして2,4-D及びサイトカイニン系植物ホルモ
ンとしてカイネチン(Kin)の一方又は両方を添加した
培地(pH5.8)に植え付け、実施例1と同様の条件で培養
した。2,4-D及びカイネチンの添加濃度は、2,4-Dが0、
0.2又は2.2mg/Lで、カイネチンが0.2又は2.2mg/Lであっ
た。表3に培養約2ヵ月後の多芽体形成数及び多芽体当
たりの芽の数を示した。表3に示すように、2,4-D 2.2m
g/L及びカイネチン2.2mg/Lの組み合わせ以外の組み合わ
せで多芽体の形成が認められ、2,4-D 0.2mg/L及びカイ
ネチン0.2mg/Lのときに多芽体形成数が一番多かった。
多芽体当たりの芽の平均数は約2であった。
【0022】
【表3】
【0023】〔実施例4〕 アカシア・アウリカリフォ
ルミス(Acacia auriculiformis)の胚軸部からの2,4-D
チヂアズロン(TDZ)を含む培地を用いての多芽体の誘
導 実施例1と同様の方法で調製した胚軸部を、MS培地にシ
ョ糖3%、ゲルライト0.25%を添加し、オーキシン系植物
ホルモンとして2,4-D及びサイトカイニン系植物ホルモ
ンとしてチヂアズロン(TDZ)の一方又は両方を添加し
た培地(pH5.8)に植え付け、実施例1と同様の条件で
培養した。2,4-D及びチヂアズロン(TDZ)の添加濃度
は、2,4-Dが0、0.2若しくは2.2mg/L及びチヂアズロン
(TDZ)が0.2若しくは2.2mg/Lであった。表4に培養2ヶ
月後の多芽体形成数及び多芽体当たりの芽の数を示し
た。表4に示すように、2,4-D 2.2mg/L及びチヂアズロン
(TZD)0.2又は2.2mg/Lの組み合わせ以外の組み合わせ
で多芽体の形成が認められ、多芽体当たりの芽の数は3
〜4であった。
【0024】
【表4】
【0025】〔実施例5〕 アカシア・アウリカリフォ
ルミス(Acacia auriculiformis)の胚軸部からのイン
ドール-3-酢酸(IAA)及びベンジルアミノプリン(BA
P)を含む培地を用いての多芽体の誘導 実施例1と同様の方法で調製した胚軸部を、MS培地にシ
ョ糖3%、ゲルライト0.25%を添加し、オーキシン系植物
ホルモンとしてインドール-3-酢酸(IAA)及びサイトカイ
ニン系植物ホルモンとしてベンジルアミノプリン(BA
P)の一方又は両方を添加した培地(pH5.8)に植え付
け、実施例1と同様の条件で培養した。インドール-3-
酢酸(IAA)及びベンジルアミノプリン(BAP)の添加濃
度は、インドール-3-酢酸(IAA)が0.2若しくは1.8mg/L
及びベンジルアミノプリン(BAP)が0、0.2若しくは2.3
mg/Lであった。表5に培養2ヶ月後の多芽体形成数及び
多芽体当たりの芽の数を示した。表5に示すように、す
べてのインドール-3-酢酸(IAA)とベンジルアミノプリ
ン(BAP)濃度の組み合わせで多芽体が形成し、インド
ール-3-酢酸(IAA)1.8mg/L及びベンジルアミノプリン
(BAP)2.3mg/Lのときに多芽体形成数が一番多かった。
多芽体当たりの芽の数は2〜3であった。
【0026】
【表5】
【0027】〔実施例6〕 多芽体から得られたシュー
トからの植物体の増殖 実施例1において伸長してきたシュートを1本ずつ切り
分け、発根培地に移植培養したところ、2〜3週間でほぼ
100%の発根が観察された。発根培地はショ糖1.5%、ゲル
ライト0.25%を含む2倍希釈のMS培地またはショ糖0.75
%、ゲルライト0.25%を含4倍希釈のMS培地であった。発
根した小植物体を定法により順化することにより再生個
体を得ることができた。図2に得られた植物体を示す。
また、シュートを切り出した後の基部を植物ホルモン無
添加のMS培地に移植して培養したところ、再びシュート
が伸長してきた。この作業を繰り返すことにより、半永
久的に植物体の増殖が可能になる。
【0028】〔実施例7〕 多芽体からの植物体の増殖 実施例1と同様に調製した胚軸部を、糖の種類を変えて
添加したMS培地に2,4-D 0.2mg/Lとベンジルアミノプリ
ン(BAP)2.3mg/Lを添加し、ゲルライト2.5g/Lを添加し
た培地に植え付け培養した。添加した糖及びその濃度は
ショ糖3%、グルコース1.6%、ソルビトール1.6%、マルト
ース3.2%、マンニトール1.6%又はラクトース3.2%であっ
た。
【0029】培養1ヵ月後にショ糖、グルコース及びマ
ルトースを添加した培地で培養した胚軸部から多芽体の
形成が認められた。それらの多芽体を同組成の培地に移
植して培養したところ、移植後約2ヵ月後に多数のシュ
ートの伸長が認められた。さらに、シュートを1本ずつ
切り分けて、ショ糖1.5%及びゲルライト0.25%を含む2倍
希釈のMS培地に移植して培養したところ、発根し植物体
が得られた。
【0030】
【発明の効果】本発明により、従来組織培養の手法によ
っては大量増殖が困難であったアカシア属植物の大量増
殖が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により胚軸部から再生したシュー
トの写真である。
【図2】本発明の方法により胚軸部から再生した植物体
の写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 聡 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 2B030 AA03 AB03 AD06 CB02 CD03 CD06 CD09 CD13 CD14 4H011 AB03 BA06 BB06 BB09 BB10 DA13 DD03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アカシア属植物の種子の胚軸部を植物ホ
    ルモンを含む培地を用いて多芽体を誘導するアカシア属
    植物の多芽体作出法。
  2. 【請求項2】 培地がオーキシン系植物ホルモン0〜10.
    0mg/Lとサイトカイニン系植物ホルモン0.001〜10.0mg/L
    を含む請求項1に記載のアカシア属植物の多芽体作出
    法。
  3. 【請求項3】 培地がオーキシン系植物ホルモン0〜2.2
    mg/Lとサイトカイニン系植物ホルモン0.2〜2.3mg/Lを含
    む請求項2に記載のアカシア属植物の多芽体作出法。
  4. 【請求項4】 オーキシン系植物ホルモンが2,4-Dであ
    りサイトカイニン系植物ホルモンがベンジルアミノプリ
    ン(BAP)又はチヂアズロン(TDZ)である請求項3に記
    載のアカシア属植物の多芽体作出法。
  5. 【請求項5】 オーキシン系植物ホルモンがインドール
    -3-酢酸(IAA)でありサイトカイニン系植物ホルモンが
    ベンジルアミノプリン(BAP)である請求項3に記載の
    アカシア属植物の多芽体作出法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方
    法により誘導された多芽体を培養してシュートを伸長さ
    せ、さらに伸長したシュートを植物ホルモンを含まない
    培地で発根させることを特徴とするアカシア属植物の増
    殖方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の方法によって得られた
    アカシア属植物体。
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