JPH11266728A - ツツジ属植物の大量増殖方法 - Google Patents

ツツジ属植物の大量増殖方法

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JPH11266728A
JPH11266728A JP15601298A JP15601298A JPH11266728A JP H11266728 A JPH11266728 A JP H11266728A JP 15601298 A JP15601298 A JP 15601298A JP 15601298 A JP15601298 A JP 15601298A JP H11266728 A JPH11266728 A JP H11266728A
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shoots
plant
plant hormone
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azalea
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JP15601298A
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Takehiko Shimada
武彦 島田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ツツジ属植物の新規な大量増殖方法の提供。 【解決手段】 ツツジ属植物の大量増殖方法において、
(1)ツツジ属植物の組織片をオーキシン系植物ホルモ
ン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含有する培地中
で培養することによりカルスの形成せしめ;(2)該カ
ルスをサイトカイニン系植物ホルモンを含有する培地中
で培養することにより、多数のシュートを有する多芽体
を形成せしめ;(3)該多芽体から個々のシュートを切
り取り、所望によりオーキシン系植物ホルモンを含有す
る培地中で培養した後、該シュートを植物ホルモンを含
有しない培地で培養することにより発根せしめる;こと
を特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ツツジ属植物の大
量増殖方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6−189643号公報には、シ
ャクナゲ属植物の茎頂部の組織片を、第1回培養として
オーキシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホ
ルモンを含む培地で無菌的に茎頂部を伸長させて実質的
に根を持たない苗条を培養し、ついで第2回目の培養と
して、この苗条をオーキシン系植物ホルモン及びサイト
カイニン系植物ホルモンを含む培地に移植して増殖を行
い、さらに、この増殖した根を持たない苗条をオーキシ
ン系植物ホルモンを含む培地に移植して発根させ、引き
続いて完全な植物体に育成する方法が記載されている。
【0003】また、特開平6−187646号公報に
は、シャクナゲ属植物の茎頂部の組織片をオーキシン系
植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含む
培地で無菌的に茎頂部を伸長させて根を持たない苗条を
培養し、ついでこの苗条を該両植物ホルモンを含む培地
に移植して増殖を行い、さらにこの苗条の基部から切除
した葉をオーキシン系植物ホルモン溶液に浸漬した後、
発根用床土に移植して発根させる方法が記載されてい
る。
【0004】しかしながら、これらの方法はいずれも、
親植物の茎頂部を使用する必要があるため、多数の植物
の増殖には、出発材料として多数の親植物を必要とする
という問題点がある。従来技術においては、少数のツツ
ジ属親植物体を用いて、大量にツツジ属植物を増殖する
方法は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、少
数のツツジ属親植物体を用いてツツジ属植物を大量に増
殖する方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく種々検討した結果、花弁、葉片等、1本
の親植物から多数採取することができる出発材料を使用
して、多数のシュートを有する多芽体を介することによ
り、ツツジ属植物を効率よく大量に増殖せしめることが
できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】従って、本発明は、ツツジ属植物の大量増
殖方法において、 (1)ツツジ属植物の組織片をオーキシン系植物ホルモ
ン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含有する培地中
で培養することによりカルスを形成せしめ; (2)該カルスをサイトカイニン系植物ホルモンを含有
する培地中で培養することにより、多数のシュートを有
する多芽体を形成せしめ; (3)該多芽体から個々のシュートを切り取り;そして (4)該シュートを、植物ホルモンを含有しない培地で
培養することにより発根せしめる;ことを特徴とする方
法を提供する。上記方法において、前記段階(3)の後
であって前記段階(4)の前に、該段階(3)において
切り取ったシュートを、オーキシン系植物ホルモンを含
有する培地中で培養するのがより好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。図1において、例えば、出発材料とし
て、ツツジ属植物の花弁又はその1部分をオーキシン系
植物ホルモンとサイトカイニン系植物ホルモンとの両者
を含有する培地で培養すれば2〜3ヶ月で淡黄色〜緑色
のカルスが形成される。次にこのカルスを、サイトカイ
ニン系植物ホルモンを含有する培地中で約4ヶ月間培養
することにより多数(例えば20〜30本)のシュート
を有する多芽体を形成せしめる。
【0009】次に、シュートを1回に数本〜10本程度
切りとり、植物ホルモンを含有しない培地で培養するこ
とにより発根せしめ、これにより幼植物を再生する。シ
ュートを採取した後の多芽体は、そのまま培養を続ける
(例えば1ヶ月)ことによりシュートを形成せしめ、こ
れを数本〜10本採取して、植物ホルモンを含有しない
培地で培養することにより発根させ、幼植物を再生す
る。上記のようにして多芽体を培養し続けることによ
り、多数の幼植物を再生させることができる。
【0010】本発明の方法を適用することができるツツ
ジ属植物としては、例えばヒラドツツジ、サツキ、キリ
シマ、ミヤマキリシマ、フジツツジ、ヤマツツジ、クロ
フネツツジ、ゴヨウツツジ、アマギツツジ、オニツツ
ジ、ジングウツツジ、ミツバツツジ、コバノミツバツツ
ジ、レンゲツツジ、ムラサキツツジ、アケボノツツジ、
キシツツジ、チョウセンヤマツツジ、モチツツジ、サキ
シマツツジ、ケラマツツジ、タイワンヤマツツジ、マル
バサツキ、コメツツジ、バイカツツジ、ヒカゲツツジ、
ゲンカイツツジ、エゾツツジ、ホンシャクナゲ、ハクサ
ンシャクナゲ、キバナシャクナゲ、などの他、これらの
栽培品種および種間雑種が挙げられる。
【0011】本発明の方法において出発材料として使用
する組織としては、葉、茎、花弁、根、子葉、胚軸、等
種々の組織を使用することができるが、花弁、葉等、1
本の親植物から多数の組織片を得ることができる組織が
好ましい。
【0012】第1段階としては、上記の組織片を、オー
キシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモ
ンを含有する培地中で培養することによりカルスを形成
せしめる。オーキシン系植物ホルモンとしては、インド
ール−3−酪酸(IBA)、1−ナフタレン酢酸(NA
A)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−
D)、インドール−3−酢酸(IAA)等が挙げられ、
これらを単独で又は組合わせて使用することができる。
サイトカイニン系植物ホルモンとしてはN6 −(2−イ
ソペンテニルアデニン)(2−iP)、6−ベンジルアミ
ノプリン(BAP)、1−フェニル−3−(1,2,3
−チアジアゾール−5−イル)尿素、N−(2−クロロ
−4−ピリジル)N′−フェニル尿素(CPPU)等が
挙げられ、これらを単独で、又は組合わせて使用するこ
とができる。
【0013】オーキシン系植物ホルモンとサイトカイニ
ン系植物ホルモンとの組合せは、上記の各系統に属する
個々のホルモンを任意に組合わせることができるが、例
えばインドール−3−酪酸(IBA)とN6 −(2−イ
ソペンテニルアデニン)(2−iP)との組合せ、1−ナ
フタレン酢酸(NAA)と6−ベンジルアミノプリン
(BAP)との組合せ、インドール−3−酢酸(IA
A)と1−フェニル−3−(1,2,3−チアジアゾー
ル−5−イル)尿素(TDZ)との組合せ、2,4−ジ
クロロフェノキシ酢酸(2,4−D)とN−クロロ−4
−ピリジル)N′−フェニル尿素(CPPU)との組合
せ、ナフタレン酢酸(NAA)とN−(2−クロロ−4
−ピリジル)N′−フェニル尿素(CPPU)との組合
せ、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)と
1−フェニル−3−(1,2,3−チアジアゾール−5
−イル)尿素(TDZ)との組合せ、ナフタレン酢酸
(NAA)と1−フェニル−3−(1,2,3−チアジ
アゾール−5−イル)尿素(TDZ)との組合せ等の組
合せが好ましく、これらの組合せは、増殖の対象となる
ツツジ属植物の種類により選択することができる。
【0014】オーキシン系植物ホルモンとサイトカイニ
ン系植物ホルモンとの使用比率及び濃度の最適値は、個
々の植物ホルモン及びそれらの組合せ、植物の種類等に
より異なり、実験的に決定することができるが、オーキ
シン系植物ホルモンの培地濃度はおよそ1μM〜10μ
M、サイトカイニン系植物ホルモンの培地濃度はおよそ
1μM〜10μMである。
【0015】基礎培地としては、MS培地、WPM培
地、Anderson培地等植物細胞又は組織を培養す
るための常用の任意の培地を用いることができるが、M
S培地、1/2MS培地等が好ましい。この培地には炭
素源として糖類、例えば単糖類又は二糖類を加えること
が望ましく、ショ糖が特に好ましい。糖の培地濃度は、
例えば10g/L〜50g/Lであり、30g/L程度
が好ましい。培養は15℃〜30℃、好ましくは約25
℃において、静置培養として、光の照射のもとで、例え
ば1,000〜20,000Lxの光の照射のもとで行わ
れる。カルスの形成のための培養は通常、2〜3ヶ月間
行われる。
【0016】次に、上記のようにして形成したカルス
を、サイトカイニン系植物ホルモンを含有する培地で培
養することにより、多数のシュートを有する多芽体を形
成せしめる。サイトカイニン系植物ホルモンとしては前
記のものを単独で又は複数種組合わせて使用することが
できる。サイトカイニン系植物ホルモンとしては、1−
フェニル−3−(1,2,3−チアジアゾール−5−イ
ル)尿素(TDZ)、N−2−クロロ−4−ピリジル)
N′−フェニル尿素(CPPU)等が好ましく、培地中
の濃度は好ましくは1〜10μMである。基本培地は、
カルス形成用培地と同じでよい。
【0017】カルスを3〜5ヶ月、例えば4ヶ月程度培
養することにより多芽体が形成される。培養は15℃〜
30℃、好ましくは約25℃において、静置して行われ
る。培養中、光を、例えば1,000〜20,000Lx
の強度で照射する。多芽体は通常20〜30本のシュー
トを有する。その1部分、例えば数本〜10本を切り取
り、植物ホルモンを含有しない培地で培養することによ
り発根を誘導して幼植物を再生せしめる。シュート採取
した後の多芽体はさらに培養を続けることにより、さら
にシュートを形成することができる。こうして、例えば
多芽体を約1ヶ月培養した後数本〜約10本のシュート
を採取し、これを反復することにより多数をシュートを
採取して発根させることができる。
【0018】発根による幼植物の形成は、植物ホルモン
を含有しない低濃度の常用の植物組織培養用培地、例え
ば1/2MS培地、1/4MS培地等を使用することが
でき、これには、単糖類又は多糖類、例えばショ糖を添
加することができる。糖類の濃度は0g/L〜50g/
L、好ましくは7.5g/L〜15g/Lである。培地
を固化するため、例えばゲランガム等を添加することが
でき、この添加量は通常約0.25%である。培養は、
15℃〜30℃、好ましくは約25℃において、静置し
て行う。光照射は、例えば、16時間の明及び8時間の
暗(光照射なし)とし、照射の強度は1,000〜2
0,000Lxの範囲が好ましい。通常、10〜40日間
の培養で発根する。
【0019】本発明の好ましい態様においては、上記の
ようにしてシュートを採取した後、植物ホルモンを含有
しない培地で培養して発根せしめる前に、オーキシン系
植物ホルモンを含有する培地でシュートを培養し、その
後で植物ホルモンを含有しない培地に移して発根させる
ことにより、発根率を90〜100%に上昇せしめるこ
とができる。この場合のオーキシン系植物ホルモンとし
ては前記のものを使用することができるがインドール−
3−酪酸が特に好ましい。オーキシン系植物ホルモンの
濃度は好ましくは1μM〜10μMである。基本培地と
しては前に列挙したものを使用することができるが、1
/2MS培地(ショ糖15g/L、ゲランガム0.25
%)が好ましい。オーキシン系植物ホルモンを含有する
培地での培養期限は2〜4日間が好ましい。
【0020】次に、発根した幼植物を、バーキュライト
等の人工土壌に移して馴化するのが好ましい。あるい
は、多芽体から得られたシュートを、直接、バーキュラ
イト等に移して発根させてもよい。
【0021】
【実施例】次に、本発明を、実施例によりさらに具体的
に説明する。実施例1. ヒラドツツジの増殖 カルスの形成 50〜70cmに生長したヒラドツツジの苗木を人工気象
室(小糸工業、コイトトロン)内で育成した。環境条件
は照度6000Lx、日長16時間、温度25℃、湿度7
0%とした。実験には枝の先端から6葉程度までの若い
葉片を用いた。葉片を流水で1〜2時間洗浄した後、7
0%エタノールで2分間、有効塩素濃度0.5%の次亜
塩素酸ナトリウム溶液で10分間浸漬撹拌した。続いて
滅菌水で3回すすいだ後、5mm四方程度の大きさに調整
した。
【0022】基本培地として、1/2MS培地にショ糖
を15g/L添加したものを用いた。この基本培地に、
オーキシン系植物ホルモンとサイトカイニン系植物ホル
モンとの組合せとして、インドール−3−酪酸(IB
A)とN6 −(2−イソペンテニルアデニン)(2−i
P)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)
と2−イソペンテニルアデニン(2−iP)、インドー
ル−3−酢酸(IAA)と2−イソペンテニルアデニン
(2−iP)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,
4−D)とN−(2−クロロ−4−ピリジル)N′−フ
ェニル尿素(CPPU)との組合せ、インドール−3−
酢酸(IAA)とN−2−クロロ−4−ピリジル)N′
−フェニル尿素(CPPU)との組合せ、2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)と1−フェニル−3
−(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)尿素(T
DZ)との組合せ、又はインドール−3−酢酸(IA
A)と1−フェニル−3−(1,2,3−チアジアゾー
ル−5−イル)尿素(TDZ)との組合せ、ナフタレン
酢酸(NAA)と6−ベンジルアミノプリン(BAP)
の組み合せを添加してカルス形成用培地とした。添加量
は下記の表1及び表2に示す。培地はNaOH及びHC
lによりpH5.8に調整し、120℃にて20分間オー
トクレーブ滅菌した。
【0023】培養は、照度3000Lx、日長16時間
(明期16時間、暗期8時間)、温度25℃にて、静置
培養として行った。培養15週間後の結果を表1に示し
た。
【0024】
【表1】
【0025】表中の記号は、Ng:変化なし、Nbr:
褐変、Cg:カルス化(緑)、Clg:カルス化(黄
緑)、Cw:カルス化(白色)、Ccy:カルス化(澄
黄色)、Cbr:カルス化(茶)、Cbl:カルス化
(枯死)、B:培養5〜6週間で褐変又は枯死を示す。
+は直径10mm以上のカルスが誘導されたことを示す。
緑色又は黄緑色のカルスが好ましい。
【0026】上記の表から明らかな通り、インドール−
3−酪酸(IBA)10μMとN6−(2−イソペンテ
ニルアデニン)(2−iP)1〜10μMとの組合せ、1
−ナフタレン酢酸(NAA)10μMと6−ベンジルア
ミノプリン(BAP)10μMとの組合せ、及びインド
ール−3−酢酸(IAA)1μM〜10μMと1−フェ
ニル−3−(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)
尿素(TDZ)1μM〜10μMとの組合せにおいて、
緑色〜淡黄色の好適なカルスが得られた。
【0027】多芽体の形成 1/2MS培地にシュークロースを30g/L添加した
ものを基礎培地とし、これに種々の植物ホルモンを添加
した培地で上記のようにして形成したカルスを、培養し
た。植物ホルモンとしては、N−(2−クロロ−4−ピ
リジル)N′−フェニル尿素(CPPU)、1−フェニ
ル−3−(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)尿
素(TDZ)、N6 −(2−イソペンテニルアデニン)
(2−iP)、6−ベンジルアミノプリン(BAP)又
はゼアチン(N6 −(trans−4−ヒドロキシイソ
ペンテニルアデニン))を1〜10μMの濃度で添加し
た。
【0028】照度3000Lx、日長16時間(明期16
時間、暗期8時間)温度25℃において19週間培養し
た。培養したカルスに対する、多芽体が誘導された転換
したカルスの数の比率は次の表2及び表3に示す通りで
あった。なお、10本以上のシュートを生じさせている
カルスを多芽体と称する。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表2及び表3に示す通り、サイトカイニン
系植物ホルモンに属するN−(2−クロロ−4−ピリジ
ル)N′−フェニル尿素(CPPU)1μM〜10μM
が有効であった。
【0032】発根 1/2MS培地に、15g/Lのショ糖及び0.25%
のゲランガムを含む培地に前記の多芽体から採取したシ
ュートを置床し、25℃、照度3000Lx、日長16時
間(明期16時間、暗期8時間)にて1ヶ月間培養し
た。発根率は約60%であった。
【0033】実施例2. サツキの増殖 カルスの形成 50〜70cmに生長したサツキ(Rhododenndoron indic
um)の苗木を、人工気象室(小糸工業、コイトトロン)
内で育成した。環境条件は照度6000Lx、日長16時
間、温度25℃、湿度70%とした。実験には開花数日
前の花蕾を用いた。花蕾を流水で1〜2時間洗浄した
後、有効塩素濃度0.5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液
で10分間浸漬撹拌した。続いて滅菌水で3回すすいだ
後、花弁を5mm四方程度の大きさに調整し、培地に置床
した。
【0034】基本培地として、1/2MS培地にシュー
クロースを15g/L添加したものを用いた。この基本
培地に、オーキシン系植物ホルモンとサイトカイニン系
植物ホルモンとの組合せとして、2,4−ジクロロフェ
ノキシ酢酸(2,4−D)とN−(2−クロロ−4−ピ
リジル)N′−フェニル尿素(CPPU)との組合せ、
2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)と2−
イソペンテニルアデニン(2−iP)との組合せ、2,
4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)と6−ベン
ジルアミノプリン(BAP)との組合せ、2,4−ジク
ロロフェノキシ酢酸(2,4−D)と1−フェニル−3
−(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)尿素(T
DZ)との組合せ、ナフタレン酢酸(NAA)とN−
(2−クロロ−4−ピリジル)N′−フェニル尿素との
組合せ、ナフタレン酢酸(NAA)と2−イソペンテニ
ルアデニン(2−iP)との組合せ、ナフタレン酢酸
(NAA)と6−ベンジルアミノプリン(BAP)との
組合せ、又はナフタレン酢酸(NAA)と1−フェニル
−3−(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)尿素
との組合せ、を添加してカルス形成用培地とした。添加
量は下記表4の通りである。NaOH及びHClにより
pHを5.8に調整し、120℃にて20分間オートクレ
ーブ滅菌した。培養9週間後の結果を表4に示す。
【表4】
【0035】表中の記号は、Cg:カルス化(緑色)、
Ccy:カルス化(淡黄色)、Cbr:カルス化(茶
色)、Cbl:(枯死)、B:培養5週間で褐変又は枯
死、を示す。+は、直径が10mm程度以上のカルスを示
す。上記の表から明らかな通り、2,4−ジクロロフェ
ノキシ酢酸(2,4−D)1μMとN−(2−クロロ−
4−ピリジル)N′−フェニル尿素(CPPU)1〜1
0μMとの組合せ、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸
(2,4−D)1μMと1−フェニル−3−(1,2,
3−チアジアゾール−5−イル)尿素(TDZ)1〜1
0μMとの組合せ、ナフタレン酢酸(NAA)1μMと
N−(2−クロロ−4−ピリジル)N′−フェニル尿素
(CPPU)1〜10μMとの組合せ、及びナフタレン
酢酸(NAA)1μMと1−フェニル−3−(1,2,
3−チアジアゾール−5−イル)尿素(TDZ)1〜1
0μMとの組合せにおいて、緑色〜淡黄色の良好なカル
スが得られた。
【0036】多芽体の形成 1/2MS培地にシュークロースを30g/L添加した
ものを基本培地とし、これに種々の植物ホルモンを添加
した培地で上記のようにして形成したカルスを、培養し
た。植物ホルモンとしては、N−(2−クロロ−4−ピ
リジル)N′−フェニル尿素(CPPU)、1−フェニ
ル−3−(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)尿
素(TDZ)、2−イソペンテニルアデニン(2−i
P)、6−ベンジルアミノプリン(BAP)又はゼアチ
ン(N6 −(trans−4−ヒドロキシイソペンテニ
ルアデニン))を1〜10μMの濃度で添加した。
【0037】照度3000Lx、日長16時間(明期16
時間、暗期8時間)温度25℃において19週間培養し
た。培養したカルスに対する、多芽体が誘導されたカル
スの数の比率は次の表5に示す通りであった。なお、1
0本以上のシュートを生じさせているカルスを多芽体と
称する。
【0038】
【表5】
【0039】表5に示す通り、2,4−DとCPPUの
組み合わせで誘導したカルスにおいて、サイトカイニン
系植物ホルモンに属するN−(2−クロロ−4−ピリジ
ル)N′−フェニル尿素(CPPU)又は1−フェニル
−3−(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)尿素
(TDZ)5〜10μMが有効であった。
【0040】発根 1/2MS培地に、15g/Lのショ糖及び0.25%
のゲランガムを含む培地に前記の多芽体から採取したシ
ュートを置床し、25℃、照度3000Lx、日長16時
間(明期16時間、暗期8時間)にて1ヶ月間培養し
た。発根率は約26%であった。
【0041】実施例3、ヒラドツツジの増殖(2) 実施例1に記載したのと同様にしてヒラドツツジの葉片
からカルスを生成せしめ、さらに多芽体を形成せしめ、
実体顕微鏡下で5〜10mmのシュートを切り取った。次
に、この切り取ったシュートを、10μMのインドール
−3−酪酸を添加した1/2MS培地(ショ糖15g/
L、ゲランガム0.25%)で、0日間(無処理)、1
日間、2日間、4日間又は42日間培養し、次に、植物
ホルモン及びMS成分を含有しない0.8%寒天培地に
移植して6週間培養した。培養条件は実施例1と同様に
した。その結果、次の表6に示す発根率が得られた。
【0042】
【表6】
【0043】上記の結果の通り、多芽体から切り取った
シュートを、植物ホルモンを含有しない培地で培養して
発根させるのに先立って、オーキシン系植物ホルモンを
含有する培地で1〜4日間培養(処理)することによ
り、発根率が、無処理の場合(84%)に比べて93%
〜100%に上昇した。
【0044】実施例4、サツキの増殖(2) 実施例2に記載したのと同様にしてサツキの花弁からカ
ルスを生成せしめ、さらに多芽体を形成せしめ、実体顕
微鏡下で5〜10mmのシュートを切り取った。次に、こ
の切り取ったシュートを、1μM又は10μMのインド
ール−3−酪酸を添加した1/2MS培地(ショ糖15
g/L、ゲランガム0.25%)で、0日間(無処
理)、1日間、2日間、4日間、8日間、16日間又は
42日間培養し、次に、植物ホルモンを含有しない1/
4MS培地(ショ糖7.5g/L、ゲランガム0.24
%)に移植して6週間培養した。培養条件は実施例1と
同様にした。その結果、次の表7に示す発根率が得られ
た。
【0045】
【表7】
【0046】上記の結果の通り、多芽体から切り取った
シュートを、植物ホルモンを含有しない培地で培養して
発根させるのに先立って、オーキシン系植物ホルモンで
あるインドール−3−酪酸(IBA)を10μM含有す
る培地で2〜4日間培養(処理)することにより、発根
率が、無処理の場合(26%)に比べて90%に上昇し
た。
【0047】比較例1 実施例4において多芽体から切り取ったシュートを、イ
ンドール−3−酢酸、インドール−3−酪酸、クロロイ
ンドール−3−酢酸、又は1−ナフタレン酢酸を1μM
又は10μM含有する1/2MS培地(ショ糖15g/
L、ゲランガム0.25%)で、明条件16時間、30
00Lxの条件下で6週間培養したが、発根は全く見ら
れなかった。
【0048】比較例2 実施例4において多芽体から切り取ったシュートを、バ
ーミンライト、鹿沼土又は水苔に植え付けて3ヶ月間培
養したところ、発根率にバーミュライトで33%、鹿沼
土で50%、水苔で17%と非常に低かった。
【0049】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、ツツジ属
の少数の親植物体から、非常に効率的に、大量の植物を
増殖させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法を模式的に示す図であ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ツツジ属植物の大量増殖方法において、 (1)ツツジ属植物の組織片をオーキシン系植物ホルモ
    ン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含有する培地中
    で培養することによりカルスを形成せしめ; (2)該カルスをサイトカイニン系植物ホルモンを含有
    する培地中で培養することにより、多数のシュートを有
    する多芽体を形成せしめ; (3)該多芽体から個々のシュートを切り取り;そして (4)該シュートを、植物ホルモンを含有しない培地で
    培養することにより発根せしめる;ことを特徴とする方
    法。
  2. 【請求項2】 前記段階(3)の後、前記段階(4)の
    前に、該段階(3)において切り取ったシュートを、オ
    ーキシン系植物ホルモンを含有する培地で培養すること
    を特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記分化した組織片が花弁又は葉片であ
    る、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記オーキシン系植物ホルモンが、イン
    ドール−3−酪酸(IBA)、インドール−3−酢酸
    (IAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4
    −D)もしくは1−ナフタレン酢酸(NAA)又はこれ
    らの組合せである、請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 前記サイトカイニン系植物ホルモンが、
    6 −(2−イソペンテニルアデニン)(2−iP)、6
    −ベンジルアミノプリン(BAP)、1−フェニル−3
    −(1,2,3−チアジアゾール−5−イル)尿素(T
    DZ)もしくはN−(2−クロロ−4−ピリジル)N′
    −フェニル尿素(CPPU)、又はこれらの組合せであ
    る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記オーキシン系植物ホルモンを含有す
    る培地でのシュートの培養を2〜4日間行う、請求項2
    に記載の方法。
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