JP2017055670A - カルスの誘導方法、カルスの培養方法、不定胚の誘導方法、植物の再生方法及び植物の増殖方法 - Google Patents

カルスの誘導方法、カルスの培養方法、不定胚の誘導方法、植物の再生方法及び植物の増殖方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イソプレノイド産生植物の組織片から効率的にカルスを誘導するカルスの誘導方法、カルスを効率的に生育させるカルスの培養方法、効率的に不定胚を形成させる不定胚の誘導方法、カルスを安定的に植物に再生できる植物の再生方法、天候や季節等に影響されずに安定的に植物を増殖できる植物の増殖方法、及び成熟胚の発根を誘導する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、カルスを安定的に植物に再生できる植物の再生方法、安定的に植物を増殖できる植物の増殖方法等に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、カルスの誘導方法、カルスの培養方法、不定胚の誘導方法、植物の再生方法、及び植物の増殖方法に関する。
現在、工業用ゴム製品に用いられている天然ゴム(ポリイソプレノイドの1種)は、トウダイグサ科のパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)や桑科植物のインドゴムノキ(Ficus elastica)などのゴム産生植物を栽培し、その植物体が有する乳管細胞で天然ゴムを生合成させ、該天然ゴムを植物から手作業により採取することにより得られる。
現状、工業用天然ゴムは、パラゴムノキをほぼ唯一の採取源としている。またゴム製品の主原料として、様々な用途において幅広くかつ大量に用いられている。しかしながら、パラゴムノキは東南アジアや南米などの限られた地域でのみ生育可能な植物である。更に、パラゴムノキは、植樹からゴムの採取が可能な成木になるまでに7年程度を要し、また、採取出来る季節が限られる。また、成木から天然ゴムを採取できる期間は20〜30年に限られる。
今後、開発途上国を中心に天然ゴムの需要の増大が見込まれており、上述の理由によりパラゴムノキによる天然ゴムの大幅な増産は困難である。そのため、天然ゴム資源の枯渇が懸念されており、パラゴムノキでの収率の向上が望まれている。
パラゴムノキは、播種により実生苗を育成させ成長させた後台木とし、クローン苗から得た芽を台木に接ぎ芽する事で苗を増殖させる。クローン苗から得られる芽には限りがあるため、優良品種を普及させるには、優良品種のクローン苗を大量増殖させる必要がある。
また従来のクローン増殖技術である接ぎ木は、元の木がもつ病気を一緒に継いでしまう可能性があり、罹病した苗を増殖させる可能性がある。従って、安定的に植物を増殖できる方法が望まれている。
なお、台木の選択によって生産性やその品質が変化する可能性があることが知られている。現在使用されている台木の多くは実生台木であり、遺伝的な性質が不均一であり、優良な台木を選定することは難しい。
しかも、台木として利用できる大きさまでに成長するには時間がかかり、種子繁殖では品種の形質が安定しにくいため、一般的な交雑育種を活用することは困難である。さらに接ぎ穂は、台木の影響を受ける場合があるため、真のクローン苗とはならないおそれがある。
一方、植物におけるイソプレノイドの生産量を増大させるためには、例えば、耐ストレス性の向上や、植物中に蓄積されるイソプレノイド量の増大を目的として、植物を改良する方法が考えられる。植物の改良方法としては、人工交配や突然変異を利用する方法も考えられるが、所望する性質を効率的に付与することが難しく、その実現性は低いものと考えられる。そのため、植物の改良には、植物細胞に標的遺伝子を導入し、所望する性質を付与するという細胞工学的手法が利用されることになると考えられる。
細胞工学的手法を利用する場合、標的遺伝子を導入した植物細胞を植物体へ再分化させる必要がある。すなわち、植物細胞(例えば、カルス)から植物を再生する必要がある。しかしながら、従来から、植物において、種々の組織培養の検討が行われているものの、イソプレノイドを生産する植物のカルスから植物を再生する方法を検討した例はほとんどなく、カルスを安定的に植物に再生することは困難であった。
本発明は、前記課題を解決し、イソプレノイド産生植物の組織片から効率的にカルスを誘導するカルスの誘導方法、カルスを効率的に生育させるカルスの培養方法、効率的に不定胚を形成させる不定胚の誘導方法、カルスを安定的に植物に再生できる植物の再生方法、天候や季節等に影響されずに安定的に植物を増殖できる植物の増殖方法、及び成熟胚の発根を誘導する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、カルスから不定胚を誘導することにより、その後、安定的に発芽及び発根させることができ、再生個体を得ることができることを見出した。すなわち、カルスから不定胚を誘導することにより、カルスを安定的に植物に再生できること、更には、安定的に植物の増殖が可能であることを見出した。これらの知見については、既に特許出願(PCT/JP2013/073740)を行っている。
更に、本発明者らは、鋭意検討した結果、イソプレノイド産生植物の組織片からカルスを誘導する際の誘導条件の違いによって、カルスから不定胚を誘導する際の効率が異なることを見出した。すなわち、ある培養条件で誘導されたカルスは容易に不定胚が誘導される一方で、ある培養条件で誘導されたカルスからは不定胚が誘導されにくいことを見出した。
この知見に基づいて、カルスへの誘導条件について鋭意検討した結果、以下の知見を見出した。
イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、
(1−1)誘導培地が、金属イオン含有化合物を含む場合、
(1−2)誘導培地が、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸及びベンジルアデニンを含み、誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上である場合、
(1−3)誘導培地が、植物抽出物を含み、誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上である場合、又は
(1−4)組織片が幼葉の場合、誘導培地が、ポリビニルピロリドンを含む場合に、誘導したカルスから効率的に不定胚が誘導されることを見出した。すなわち、上記(1−1)〜(1−4)のいずれかの場合、誘導したカルスから効率的に不定胚が誘導され、その結果、カルスを安定的に植物に再生できること、更には、安定的に植物の増殖が可能であることを見出した。
すなわち、第1−1の本発明は、イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、上記誘導培地が、金属イオン含有化合物を含むカルスの誘導方法に関する。
また、第1−2の本発明は、イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、上記誘導培地が、上記植物生長ホルモンとして、オーキシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含み、上記オーキシン系植物ホルモンが、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、上記サイトカイニン系植物ホルモンが、ベンジルアデニンであり、上記誘導培地中の上記オーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上であるカルスの誘導方法に関する。該誘導培地が、金属イオン含有化合物を含むことが好ましい。
また、第1−3の本発明は、イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、上記誘導培地が、植物抽出物を含み、上記誘導培地が、上記植物生長ホルモンとして、オーキシン系植物ホルモンを含み、上記誘導培地中の上記オーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上であるカルスの誘導方法に関する。
また、第1−4の本発明は、イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、上記組織片が幼葉であり、上記誘導培地が、ポリビニルピロリドンを含むカルスの誘導方法に関する。
第1−1〜第1−4の本発明において、上記イソプレノイド産生植物が、トウダイグサ科に属する植物であることが好ましく、Hevea属に属する植物であることがより好ましく、パラゴムノキであることが更に好ましい。
更に、本発明者らは、鋭意検討した結果、誘導されたカルスを生育させる培養条件の違いによっても、カルスから不定胚を誘導する際の効率が異なることを見出した。すなわち、ある培養条件で生育されたカルスは容易に不定胚が誘導される一方で、ある培養条件で生育されたカルスからは不定胚が誘導されにくいことを見出した。
この知見に基づいて、カルスを生育させるカルスの培養方法について鋭意検討した結果、以下の知見を見出した。
イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む生育培地中で培養することによりカルスを生育させるカルスの培養方法において、
(2−1)生育培地が、金属イオン含有化合物を含む場合、
(2−2)生育培地が、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸及びベンジルアデニンを含み、生育培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上である場合、又は
(2−3)生育培地が、ジベレリン系植物ホルモンを含む場合に、生育させたカルスから効率的に不定胚が誘導されることを見出した。すなわち、上記(2−1)〜(2−3)のいずれかの場合、生育させたカルスから効率的に不定胚が誘導され、その結果、カルスを安定的に植物に再生できること、更には、安定的に植物の増殖が可能であることを見出した。
すなわち、第2−1の本発明は、イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む生育培地中で培養することによりカルスを生育させるカルスの培養方法において、上記生育培地が、金属イオン含有化合物を含むカルスの培養方法に関する。
また、第2−2の本発明は、イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む生育培地中で培養することによりカルスを生育させるカルスの培養方法において、上記生育培地が、上記植物生長ホルモンとして、オーキシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含み、上記オーキシン系植物ホルモンが、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、上記サイトカイニン系植物ホルモンが、ベンジルアデニンであり、上記生育培地中の上記オーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上であるカルスの培養方法に関する。該生育培地が、金属イオン含有化合物を含むことが好ましい。
また、第2−3の本発明は、イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む生育培地中で培養することによりカルスを生育させるカルスの培養方法において、上記生育培地が、上記植物生長ホルモンとして、ジベレリン系植物ホルモンを含むカルスの培養方法に関する。
第2−1〜第2−3の本発明において、上記イソプレノイド産生植物が、トウダイグサ科に属する植物であることが好ましく、Hevea属に属する植物であることがより好ましく、パラゴムノキであることが更に好ましい。
更に、本発明者らは、鋭意検討した結果、カルスから不定胚を誘導する際、培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度、ジベレリン系植物ホルモンの濃度の比率が重要であり、「オーキシン系植物ホルモンの濃度/ジベレリン系植物ホルモンの濃度」を特定値以上とすることにより、カルスから効率的に不定胚が誘導され、その結果、カルスを安定的に植物に再生できること、更には、安定的に植物の増殖が可能であることを見出した。
すなわち、第3の本発明は、イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む不定胚誘導培地中で培養することにより不定胚を形成させる不定胚の誘導方法において、上記不定胚誘導培地が、上記植物生長ホルモンとして、オーキシン系植物ホルモン及びジベレリン系植物ホルモンを含み、オーキシン系植物ホルモンの濃度/ジベレリン系植物ホルモンの濃度が0.7以上である不定胚の誘導方法に関する。該イソプレノイド産生植物のカルスが、イソプレノイド産生植物の種子の外皮又は葯から誘導されたものであることが好ましい。
第3の本発明において、上記イソプレノイド産生植物が、トウダイグサ科に属する植物であることが好ましく、Hevea属に属する植物であることがより好ましく、パラゴムノキであることが更に好ましい。
第3の本発明により、カルスから効率的に不定胚が誘導され、その結果、カルスを安定的に植物に再生することが可能である。
すなわち、第4−1の発明は、上記不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることによりカルスを植物に再生する植物の再生方法に関する。
また、第1−1〜第1−4の本発明により誘導されたカルスや第2−1〜第2−3の本発明により生育されたカルスを使用すると効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生することが可能である。
すなわち、第4−2の発明は、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルス、又は上記カルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)により生育させたカルスを用いて、不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることによりカルスを植物に再生する植物の再生方法に関する。
また、第1−1〜第1−4の本発明により誘導されたカルスを使用すると効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
すなわち、第5の発明は、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを用いて、不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることにより植物を増殖させる植物の増殖方法に関する。
更に、第3の本発明により、カルスから効率的に不定胚が誘導され、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
すなわち、第5の発明は、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを用いて、上記不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることにより植物を増殖させる植物の増殖方法であることが好ましい。
また、第5の発明は、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを、上記カルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)により生育させ、生育させたカルスを用いて、上記不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることにより植物を増殖させる植物の増殖方法であることが好ましい。
本発明者らはまた、鋭意検討した結果、イソプレノイド産生植物の成熟胚を特定の発根培地中で培養することにより発根させることができることも見出した。
すなわち、第6の発明は、イソプレノイド産生植物の成熟胚を炭素源を含む発根培地中で培養することにより発根させる成熟胚の発根誘導方法に関する。
また、第6の発明は、上記発根培地が、金属イオン含有化合物を含むことが好ましく、上記発根培地が、活性炭を含むことも好ましい。
第6の本発明において、上記イソプレノイド産生植物が、トウダイグサ科に属する植物であることが好ましく、Hevea属に属する植物であることがより好ましく、パラゴムノキであることが更に好ましい。
本発明のカルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)によれば、イソプレノイド産生植物の組織片から効率的にカルスを誘導できると共に、得られたカルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
また、本発明のカルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)によれば、カルスを効率的に生育させることができると共に、生育させたカルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
また、本発明の不定胚の誘導方法(第3の本発明)によれば、カルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
また、本発明の植物の再生方法(第4−1、第4−2の本発明)によれば、カルスを安定的に植物に再生できる。
また、本発明の植物の増殖方法(第5の発明)によれば、制御された環境下で組織培養を行うことにより、天候や季節等に影響されずに安定的に植物を増殖できる。
また、本発明の成熟胚の発根誘導方法(第6の発明)によれば、イソプレノイド産生植物の成熟胚を特定の発根培地中で培養することにより発根させることができる。
パラゴムノキにおけるカルスの形成、カルスの生育、不定胚の形成、不定胚の生育、及び植物体への再生の様子を示す写真である。 パラゴムノキの組織片から誘導されたカルスの一例を示す写真である。
本発明のカルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)によれば、イソプレノイド産生植物の組織片を上記(1−1)〜(1−4)の特定の培養条件で培養することにより、イソプレノイド産生植物の組織片から効率的にカルスを誘導できると共に、得られたカルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
また、本発明のカルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)によれば、イソプレノイド産生植物のカルスを上記(2−1)〜(2−3)の特定の培養条件で培養することにより、カルスを効率的に生育させることができると共に、生育させたカルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
また、本発明の不定胚の誘導方法(第3の本発明)によれば、「オーキシン系植物ホルモンの濃度/ジベレリン系植物ホルモンの濃度」を特定値以上とすることにより、カルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
また、本発明の植物の再生方法(第4−1の発明)によれば、上記不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることにより、カルスを安定的に植物に再生できる。すなわち、第3の本発明により、カルスから効率的に不定胚が誘導される結果、カルスを安定的に植物に再生することが可能となる。
また、本発明の植物の再生方法(第4−2の発明)によれば、第1−1〜第1−4の本発明により誘導されたカルスや第2−1〜第2−3の本発明により生育されたカルスを使用することにより、効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生することが可能である。
また、本発明の植物の増殖方法(第5の発明)によれば、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを用いて、不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させる(本発明の植物の再生方法(第4−2の発明))ことにより、より好ましくは、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを用いて、上記不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させる(本発明の植物の再生方法(第4−1の発明))ことにより、更に好ましくは、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを、上記カルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)により生育させ、生育させたカルスを用いて、上記不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることにより、天候や季節等に影響されずに安定的に植物を増殖できる。
すなわち、第1−1〜第1−4の本発明により誘導されたカルスを使用する結果、又は第1−1〜第1−4の本発明により誘導されたカルスを使用すると共に、第3の本発明により、カルスから効率的に不定胚が誘導される結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能となる。具体的には、植物の葉や茎など大量に入手可能な植物の組織片からカルスを誘導し、カルスから不定胚を経て植物に再生することにより、安定的かつ大量に植物を増殖させることが可能である。更に、不定胚を増殖させることにより、より大量に植物を増殖させることが可能である。
また、再生された植物は、カルスの状態で維持(継代培養)する場合よりも変異が起こりにくく、安定的に植物を供給することができる。また、再生された植物は、土壌中で生育させることができるため、カルス等の植物細胞と異なり、細胞を維持するために高価な植物成長調整物質を必要としないため、コストを抑制できる。
また、本発明の成熟胚の発根誘導方法(第6の発明)によれば、イソプレノイド産生植物の成熟胚を特定の発根培地中で培養することにより発根させることができる。具体的には、イソプレノイド産生植物の不定胚を培養することにより、該不定胚は成熟した不定胚(成熟胚)となり、この成熟胚を特定の発根培地中で培養することにより発根させることができ、カルスを安定的に植物に再生することができる。より具体的には、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを用いて、不定胚を誘導した後に、該不定胚を培養することにより得られる成熟胚を特定の発根培地中で培養することにより、より好ましくは、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを用いて、上記不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、該不定胚を培養することにより得られる成熟胚を特定の発根培地中で培養することにより、更に好ましくは、上記カルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを、上記カルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)により生育させ、生育させたカルスを用いて、上記不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、該不定胚を培養することにより得られる成熟胚を特定の発根培地中で培養することにより、発根させることができ、カルスを安定的に植物に再生することができる。
このように、上記成熟胚の発根誘導方法(第6の発明)を用いることにより、上記植物の再生方法(第4−1、第4−2の本発明)や上記植物の増殖方法(第5の発明)において、より好適に発根させることができる。
本発明において、カルスとは、分化していない状態の植物細胞又は分化していない状態の植物細胞塊を意味する。また、本発明において、不定胚とは、カルスから誘導された胚様の組織を意味する。また、本発明において、成熟胚とは、成熟した不定胚を意味し、ここで、成熟とは、受精胚と同様の形態での発生が見られることを意味する。
本発明の方法が適用できるイソプレノイド産生植物としては、イソプレノイドを産生可能な植物であれば特に限定されず、例えば、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)等のHevea属;ノゲシ(Sonchus oleraceus)、オニノゲシ(Sonchus asper)、ハチジョウナ(Sonchus brachyotus)、タイワンハチジョウナ(Sonchus arvensis)等のSonchus属;セイタカアワダチソウ(Solidago altissima)、アキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. asiatica)、ミヤマアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. leipcarpa)、キリガミネアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. leipcarpa f. paludosa)、オオアキノキリンソウ(Solidago virgaurea subsp. gigantea)、オオアワダチソウ(Solidago gigantea Ait. var. leiophylla Fernald)等のSolidago属;ヒマワリ(Helianthus annuus)、シロタエヒマワリ(Helianthus argophyllus)、ヘリアンサス・アトロルベンス(Helianthus atrorubens)、ヒメヒマワリ(Helianthus debilis)、コヒマワリ(Helianthus decapetalus)、ジャイアントサンフラワー(Helianthus giganteus)等のHelianthus属;タンポポ(Taraxacum)、エゾタンポポ(Taraxacum venustum H.Koidz)、シナノタンポポ(Taraxacum hondoense Nakai)、カントウタンポポ(Taraxacum platycarpum Dahlst)、カンサイタンポポ(Taraxacum japonicum)、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale Weber)、ロシアンタンポポ(Taraxacum koksaghyz)等のTaraxacum属;イチジク(Ficus carica)、インドゴムノキ(Ficus elastica)、オオイタビ(Ficus pumila L.)、イヌビワ(Ficus erecta Thumb.)、ホソバムクイヌビワ(Ficus ampelas Burm.f.)、コウトウイヌビワ(Ficus benguetensis Merr.)、ムクイヌビワ(Ficus irisana Elm.)、ガジュマル(Ficus microcarpa L.f.)、オオバイヌビワ(Ficus septica Burm.f.)、ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)等のFicus属;グアユール(Parhenium argentatum)、レタス(Lactuca serriola)等が挙げられる。なかでも、Sonchus属、Solidago属、Helianthus属、Taraxacum属に属する植物等のキク科(Asteraceae)に属する植物、Hevea属に属する植物等のトウダイグサ科(Euphorbiaceae)に属する植物であることが好ましく、Hevea属に属する植物であることがより好ましく、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)であることが更に好ましい。
以下において、本発明の植物の増殖方法(第5の発明)について具体的に説明する。なお、本発明の植物の増殖方法(第5の発明)は、基本的に本発明のカルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)、本発明の植物の再生方法(第4−2の発明)を利用した植物の増殖方法であり、その好適な態様は、本発明のカルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)、本発明の不定胚の誘導方法(第3の本発明)、(本発明の植物の再生方法(第4−1の発明、第4−2の発明))に加えて、本発明のカルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)、本発明の成熟胚の発根誘導方法(第6の発明)をも利用した植物の増殖方法であるので、本発明の植物の増殖方法(第5の発明)を説明することにより、本発明のカルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)、本発明のカルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)、本発明の不定胚の誘導方法(第3の本発明)、(本発明の植物の再生方法(第4−1の発明、第4−2の発明))、本発明の成熟胚の発根誘導方法(第6の発明)についても説明したこととなる。
本発明の植物の増殖方法(第5の発明)は、本発明のカルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを用いて、不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させる(本発明の植物の再生方法(第4−2の発明))ことにより、植物を増殖させる植物の増殖方法である。
より好適には、本発明のカルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを用いて、本発明の不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させる(本発明の植物の再生方法(第4−1の発明、第4−2の発明))ことにより、植物を増殖させる植物の増殖方法である。
更に好適には、本発明の植物の増殖方法(第5の発明)は、本発明のカルスの誘導方法(第1−1〜第1−4の本発明)により誘導されたカルスを、本発明のカルスの培養方法(第2−1〜第2−3の本発明)により生育させ、生育させたカルスを用いて、本発明の不定胚の誘導方法(第3の本発明)により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させる(本発明の植物の再生方法(第4−1の発明、第4−2の発明))ことにより植物を増殖させる植物の増殖方法である。
更に好適には、上記方法において誘導された不定胚を培養することにより得られる成熟胚を特定の発根培地中で培養することが好ましい。
以下において、上記各工程について説明する。
(誘導工程)
誘導工程では、イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導する。カルスを誘導させる条件としては、特に限定されないが、イソプレノイド産生植物の組織片を上記(1−1)〜(1−4)の特定の培養条件で培養することにより、イソプレノイド産生植物の組織片から効率的にカルスを誘導できると共に、得られたカルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
組織片としては、特に限定されないが、具体的には、葉、幼葉、葉柄、茎、根、芽、花弁、子葉、胚軸、葯、及び種子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、不定胚を誘導しやすいカルスを好適に得られるという理由から、葯、種子(好ましくは種子の外皮)、葉、幼葉、葉柄、根が好ましく、葯、種子(好ましくは種子の外皮)がより好ましい。葯、種子(好ましくは種子の外皮)から誘導したカルスは、特に、不定胚を誘導しやすい。
ここで、本明細書において、幼葉とは、成木及び苗木の新芽から芽吹いた若い葉を意味する。
また、本明細書において、葉とは、幼葉以外の葉を意味する。
誘導工程では、まず、イソプレノイド産生植物の組織片の表面を洗浄する。組織片として植物の内部にある組織を利用する場合は、例えば、磨き粉で洗浄しても良いが、界面活性剤を約0.1%含む水で洗浄してもよい。葉などを利用する場合は、軟らかいスポンジで表面を洗浄することが好ましい。
次に、組織片を殺菌又は滅菌する。殺菌又は滅菌は、周知の殺菌剤、滅菌剤を用いて行うことができるが、エタノール、塩化ベンザルコニウム、次亜塩素酸ナトリウム水溶液が好ましい。
次に、殺菌又は滅菌した組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することにより、カルスの誘導を行う。なお、誘導培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、カルス化しやすいため、固体培養が好ましい。また、誘導培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよく、振とう培養を行ってもよい。
植物生長ホルモンとしては、例えば、オーキシン系植物ホルモン、サイトカイニン系植物ホルモン、ジベレリン系植物ホルモンが挙げられる。なかでも、オーキシン系植物ホルモン、サイトカイニン系植物ホルモンが好ましい。
オーキシン系植物ホルモンとしては、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸、インドール酪酸、インドール酢酸、インドールプロピオン酸、クロロフェノキシ酢酸、ナフトキシ酢酸、フェニル酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、パラクロロフェノキシ酢酸、2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸、4−フルオロフェノキシ酢酸、2−メトキシ−3,6−ジクロロ安息香酸、2−フェニル酸、ピクロラム、ピコリン酸等が挙げられる。なかでも、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸、インドール酪酸、インドール酢酸が好ましく、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸がより好ましく、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸が更に好ましい。
サイトカイニン系植物ホルモンとしては、ベンジルアデニン、カイネチン、ゼアチン、ベンジルアミノプリン、イソペンチニルアミノプリン、チジアズロン、イソペンテニルアデニン、ゼアチンリポシド、ジヒドロゼアチン等が挙げられる。なかでも、ベンジルアデニン、カイネチン、チジアズロン、ゼアチンが好ましく、ベンジルアデニン、カイネチンがより好ましく、ベンジルアデニンが更に好ましい。
ジベレリン系植物ホルモンとしては、ジベレリンA〜A136等が挙げられる。なかでも、ジベレリンAが好ましい。
第1−1の本発明においては、オーキシン系植物ホルモンとして、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、サイトカイニン系植物ホルモンとして、ベンジルアデニンを使用することが好ましい。
また、第1−2の本発明においては、オーキシン系植物ホルモンとして、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、サイトカイニン系植物ホルモンとして、ベンジルアデニンを使用する。
また、第1−3の本発明においては、オーキシン系植物ホルモンとして、ナフタレン酢酸、及び/又は2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、サイトカイニン系植物ホルモンとして、カイネチンを使用することが好ましく、オーキシン系植物ホルモンとして、ナフタレン酢酸及び2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、サイトカイニン系植物ホルモンとして、カイネチンを使用することがより好ましい。
また、第1−4の本発明においては、サイトカイニン系植物ホルモンとして、ベンジルアデニン、及び/又はチジアズロンを使用することが好ましく、ベンジルアデニン及びチジアズロンを使用することがより好ましい。なお、第1−4の本発明においては、オーキシン系植物ホルモンを使用しないことが好ましい。
炭素源としては、特に限定されず、スクロース、グルコース、トレハロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アロース、タロース、グロース、アルトロース、マンノース、イドース、アラビノース、アピオース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖類が挙げられる。なかでも、スクロース、グルコースが好ましく、スクロースがより好ましい。
第1−1の本発明においては、誘導培地が金属イオン含有化合物を含む。誘導培地中に存在する金属イオン(特に、銀イオン)が、組織片に対するエチレンの作用を阻害するため、不定胚を誘導しやすいカルスを好適に得られる。
なお、第1−2〜第1−4の本発明(特に、第1−2の本発明)においても、誘導培地が金属イオン含有化合物を含むことが好ましい。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスをより好適に得られる。
金属イオン含有化合物としては、金属イオンを含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、金属イオンの塩が挙げられる。金属イオンとしては、特に限定されないが、銀、鉄、鉛、金、白金、銅、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、ヒ素、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、スズ、ビスマス、ウラン、プルトニウム等の重金属のイオンが好ましく、銀イオンがより好ましい。塩形態としては特に限定されず、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、塩素酸塩、ヨウ素酸塩、過塩素酸塩、クロム酸塩、臭素酸塩、塩化塩、硫化塩、アジ化塩、フッ化塩、酸化塩、ヨウ化塩、シアン化塩、臭化塩、水酸化塩等が挙げられる。なかでも、硝酸塩が好ましい。
銀イオン含有化合物としては、例えば、硝酸銀、硫酸銀、リン酸銀、酢酸銀、炭酸銀、塩素酸銀、ヨウ素酸銀、過塩素酸銀、クロム酸銀、臭素酸銀、塩化銀、硫化銀、アジ化銀、フッ化銀、酸化銀、ヨウ化銀、シアン化銀、臭化銀、水酸化銀等が挙げられる。なかでも、本発明の効果が好適に得られるという理由から、硝酸銀が好ましい。
第1−3の本発明においては、誘導培地が植物抽出物を含む。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスを好適に得られる。
なお、第1−1〜第1−2、第1−4の本発明においても、誘導培地が植物抽出物を含むことが好ましい。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスをより好適に得られる。
植物抽出物としては、植物(好ましくは果実)から抽出したものであれば特に限定されないが、例えば、ココナッツミルク、バナナ抽出物、バナナパウダー、ジャガイモ抽出物、トマトジュース等が挙げられる。なかでも、ココナッツミルク(ココナッツウォーター)等の液状の胚乳(好ましくは果実由来の液状の胚乳)が好適に使用できる。
第1−4の本発明においては、誘導培地がポリビニルピロリドンを含む。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスを好適に得られる。誘導培地にポリビニルピロリドンを添加する効果は、組織片が幼葉の場合に特に大きいが、他の組織片を用いる場合にも誘導培地にポリビニルピロリドンを添加してもよい。また、第1−1〜第1−3の本発明においても、誘導培地がポリビニルピロリドンを含むことが好ましい。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスをより好適に得られる。
誘導培地としては、Whiteの培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、Hellerの培地(Heller R, Bot.Biol.Veg.Paris 14 1−223(1953))、SH培地(SchenkとHildebrandtの培地)、MS培地(MurashigeとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、LS培地(LinsmaierとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、Gamborg培地、B5培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、MB培地、WP培地(Woody Plant:木本類用)等の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に植物生長ホルモンを加えたものを使用すればよい。なかでも、MS培地、B5培地、WP培地に植物生長ホルモンを加えたものが好ましい。また、カルスの維持および細胞分裂の促進に適しているという理由から、オーキシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含むことが好ましい。
誘導培地を固体培地とする場合、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。固形化剤としては、特に限定されず、寒天、ゲランガム、アガロース、ゲルライト、ゼラチン、シリカゲル、アガー、フィタゲル等が挙げられる。
好適な誘導培地の組成及び培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、トウダイグサ科に属する植物(好ましくはHevea属に属する植物、特に、パラゴムノキ)の場合は)以下の組成である。
第1−1、第1−2、第1−4の本発明においては、誘導培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
一方、第1−3の本発明においては、誘導培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上、最も好ましくは5質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。
なお、本明細書において、炭素源の濃度とは、糖類の濃度を意味する。
第1−2、第1−3の本発明においては、誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、1.2mg/l以上である。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスを好適に得られる。第1−1の本発明においても、誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、1.2mg/l以上であることが好ましい。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスをより好適に得られる。
第1−1〜第1−3の本発明において、誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、より好ましくは1.4mg/l以上、更に好ましくは1.6mg/l以上、特に好ましくは1.8mg/l以上である。該オーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは20mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは4mg/l以下、特に好ましくは2.5mg/l以下である。
一方、第1−4の本発明においては、オーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0.1mg/l以下、より好ましくは0.05mg/l以下、更に好ましくは0.01mg/l以下である。
誘導培地中のサイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0mg/l以上、より好ましくは1×10−3mg/l以上、更に好ましくは0.1mg/l以上、特に好ましくは0.5mg/l以上、最も好ましくは0.8mg/l以上である。該サイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは15mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは5mg/l以下、特に好ましくは3mg/l以下である。
誘導培地中の金属イオン含有化合物の濃度は、好ましくは0.1mg/l以上、より好ましくは0.3mg/l以上、更に好ましくは0.5mg/l以上、特に好ましくは0.7mg/l以上、最も好ましくは0.8mg/l以上である。該金属イオン含有化合物の濃度は、好ましくは15mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは5mg/l以下、特に好ましくは3mg/l以下、最も好ましくは2mg/l以下である。
誘導培地中の植物抽出物の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上である。該植物抽出物の濃度は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。
誘導培地中のポリビニルピロリドンの濃度は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上である。該ポリビニルピロリドンの濃度は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下である。
誘導培地のpHは、4.0〜10.0が好ましく、5.6〜6.5がより好ましく、5.7〜5.8が更に好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、20〜35℃がより好ましく、25〜30℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、暗所が好ましい。培養時間は、特に限定されないが、1〜10週間培養することが好ましい。
なお、本明細書において、固体培地のpHは、固形化剤を除く全成分を添加した培地のpHを意味する。また、本明細書において、暗所とは、照度が0〜0.1lxであることを意味し、明所とは、照度が0.1lxを超えていることを意味する。
固体培地の場合、誘導培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。
以上のように、殺菌又は滅菌した組織片を上記誘導培地中で培養することにより、カルスの誘導を行うことが可能である。また、該カルスは、不定胚を誘導しやすいカルスである。
本発明では、誘導されたカルスの遺伝子を組み換えてもよい。組み換え遺伝子の導入方法は一般的に用いられているものを、通常知られた条件で使用すればよく、例えば、プロトプラスト法、パーティクルガン法、アグロバクテリウム法(以上「生物化学実験法41植物細胞工学入門」1998年9月1日、学会出版センター、第255頁〜326頁,「植物バイオテクノロジー」2009年5月25日、幸書房、第130頁〜136頁)などがあるが、これらに限らない。
誘導したカルスをそのまま後述する不定胚誘導工程に用いてもよいが、より多量の植物を増殖できるという理由から、誘導したカルスをまず増殖させ、増殖させたカルスを不定胚誘導工程に用いることが好ましい。カルスの増殖は、カルスが増殖可能な条件でカルスを培養すればよく、例えば、誘導工程と同様の培地組成、培養条件でカルスの培養を行うことにより、カルスの増殖(生育)が可能である。なかでも、以下の増殖工程でカルスを生育させることが好ましい。
(増殖工程)
増殖工程では、例えば、誘導工程により誘導されたカルス(上述の方法等により遺伝子が組み替えられていてもよい)を植物生長ホルモン及び炭素源を含む生育培地中で培養して増殖(生育)させる。カルスを生育させる条件としては、特に限定されないが、イソプレノイド産生植物のカルスを上記(2−1)〜(2−3)の特定の培養条件で培養することにより、カルスを効率的に生育させることができると共に、生育させたカルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
なお、生育培地は、液体であっても固体であってもよい。また、生育培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよく、振とう培養を行ってもよい。
植物生長ホルモンとしては、上記誘導培地と同様のものが使用できる。
第2−1の本発明においては、オーキシン系植物ホルモンとして、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、サイトカイニン系植物ホルモンとして、ベンジルアデニンを使用することが好ましい。
また、第2−2の本発明においては、オーキシン系植物ホルモンとして、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、サイトカイニン系植物ホルモンとして、ベンジルアデニンを使用する。
また、第2−3の本発明においては、ジベレリン系植物ホルモンを使用するが、ジベレリン系植物ホルモンに加えて、オーキシン系植物ホルモンを使用することが好ましく、オーキシン系植物ホルモンとして、ナフタレン酢酸を使用することがより好ましい。また、第2−3の本発明においては、ジベレリン系植物ホルモンに加えて、サイトカイニン系植物ホルモンを使用してもよく、サイトカイニン系植物ホルモンとして、ベンジルアデニン、カイネチンを使用することが好ましい。
第2−1の本発明においては、生育培地が金属イオン含有化合物を含む。生育培地中の金属イオン(特に、銀イオン)が、カルスに対するエチレンの作用を阻害するため、不定胚を誘導しやすいカルスを好適に生育できる。
なお、第2−2、第2−3の本発明(特に、第2−2の本発明)においても、生育培地が金属イオン含有化合物を含むことが好ましい。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスをより好適に生育できる。
生育培地としては、Whiteの培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、Hellerの培地(Heller R, Bot.Biol.Veg.Paris 14 1−223(1953))、SH培地(SchenkとHildebrandtの培地)、MS培地(MurashigeとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、LS培地(LinsmaierとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、Gamborg培地、B5培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)、MB培地、WP培地(Woody Plant:木本類用)等の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に植物生長ホルモンを加えたものを使用すればよい。なかでも、MS培地、B5培地、WP培地に植物生長ホルモンを加えたものが好ましい。金属イオン含有化合物、炭素源、ジベレリン系植物ホルモンとしては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できる。
生育培地を固体培地とする場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。
好適な生育培地の組成及び培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、トウダイグサ科に属する植物(好ましくはHevea属に属する植物、特に、パラゴムノキ)の場合は)以下の組成である。
生育培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
第2−2の本発明においては、生育培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、1.2mg/l以上である。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスを好適に生育できる。第2−1の本発明においても、生育培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、1.2mg/l以上であることが好ましい。これにより、不定胚を誘導しやすいカルスをより好適に生育できる。
第2−1、第2−2の本発明において、生育培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、より好ましくは1.4mg/l以上、更に好ましくは1.6mg/l以上、特に好ましくは1.8mg/l以上である。該オーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは20mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは4mg/l以下、特に好ましくは2.5mg/l以下である。
一方、第2−3の本発明においては、オーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0.01〜5mg/l、より好ましくは0.05〜3mg/l、更に好ましくは0.1〜1mg/lである。
第2−1、第2−2の本発明において、生育培地中のサイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0mg/l以上、より好ましくは1×10−3mg/l以上、更に好ましくは0.1mg/l以上、特に好ましくは0.5mg/l以上、最も好ましくは0.8mg/l以上、より最も好ましくは1.5mg/l以上である。該サイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは15mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは5mg/l以下、特に好ましくは3mg/l以下である。
第2−3の本発明において、生育培地中のサイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0〜10mg/lであり、上限は、より好ましくは7mg/l、更に好ましくは5mg/lである。
第2−3の本発明において、生育培地中のジベレリン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0.01〜10mg/l、より好ましくは0.03〜5mg/lであり、上限は、更に好ましくは3mg/l、特に好ましくは1mg/lである。
生育培地中の金属イオン含有化合物の濃度は、好ましくは0.1mg/l以上、より好ましくは0.3mg/l以上、更に好ましくは0.5mg/l以上、特に好ましくは0.7mg/l以上、最も好ましくは0.8mg/l以上である。該金属イオン含有化合物の濃度は、好ましくは15mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは5mg/l以下、特に好ましくは3mg/l以下、最も好ましくは2mg/l以下である。
生育培地のpHは、4.0〜10.0が好ましく、5.6〜6.5がより好ましく、5.7〜5.8が更に好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、20〜35℃がより好ましく、25〜30℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、暗所が好ましい。培養時間は、特に限定されないが、1〜10週間培養することが好ましい。
固体培地の場合、生育培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。
以上のように、増殖工程では、カルスを上記生育培地中で培養することにより、カルスを増殖(生育)させることが可能である。また、該カルスは、不定胚を誘導しやすいカルスである。この増殖工程により増殖させたカルスは、次の不定胚誘導工程に使用される。
(不定胚誘導工程)
不定胚誘導工程では、植物生長ホルモン及び炭素源を含む不定胚誘導培地中でカルスを培養することにより不定胚を形成させる。カルスから不定胚を誘導(形成)し、不定胚を培養することにより、該不定胚は成熟した不定胚(成熟胚)となり、安定的に植物に再生することができるため、不定胚誘導工程の培養条件は、カルスから不定胚を誘導できる条件であれば、特に限定されないが、「オーキシン系植物ホルモンの濃度/ジベレリン系植物ホルモンの濃度」を特定値以上とすることにより、カルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生でき、更には、安定的に植物の増殖が可能である。
不定胚誘導工程では、例えば、誘導工程により誘導されたカルス(上述の方法等により遺伝子が組み換えられていてもよく、また、誘導工程により誘導されたカルスを増殖工程により増殖させたものであってもよい)を不定胚誘導培地中で培養して不定胚を誘導する。なお、不定胚誘導培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、不定胚を誘導しやすいため、固体培養が好ましい。また、不定胚誘導培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよく、振とう培養を行ってもよい。
植物生長ホルモンとしては、上記誘導培地と同様のものが使用できるが、第3の本発明においては、オーキシン系植物ホルモン及びジベレリン系植物ホルモンを使用する。オーキシン系植物ホルモンとしては、インドール酢酸が好ましく、ジベレリン系植物ホルモンとしては、ジベレリンAが好ましい。
不定胚誘導培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等のベースとなる培地に植物生長ホルモンを加えたものを使用すればよい。なかでも、MS培地、LS培地、B5培地、WP培地に植物生長ホルモンを加えたものが好ましく、MS培地に植物生長ホルモンを加えたものがより好ましい。炭素源としては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できる。
不定胚誘導培地が固体培地の場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。
好適な不定胚誘導培地の組成及び培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、トウダイグサ科に属する植物(好ましくはHevea属に属する植物、特に、パラゴムノキ)の場合は)以下の組成である。
不定胚誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度/ジベレリン系植物ホルモンの濃度が、0.7以上であり、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上である。オーキシン系植物ホルモンの濃度/ジベレリン系植物ホルモンの濃度が、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下である。オーキシン系植物ホルモンの濃度/ジベレリン系植物ホルモンの濃度が上記範囲内であると、カルスからより効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスをより安定的に植物に再生でき、更には、より安定的に植物の増殖が可能である。
不定胚誘導培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0.1mg/l以上、より好ましくは0.5mg/l以上、更に好ましくは1mg/l以上、特に好ましくは1.5mg/l以上、最も好ましくは1.8mg/l以上である。該オーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは15mg/l以下、より好ましくは8mg/l以下、更に好ましくは5mg/l以下、特に好ましくは3mg/l以下である。
不定胚誘導培地中のジベレリン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0.1mg/l以上、より好ましくは0.5mg/l以上、更に好ましくは1mg/l以上、特に好ましくは1.5mg/l以上、最も好ましくは1.8mg/l以上である。該ジベレリン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは15mg/l以下、より好ましくは8mg/l以下、更に好ましくは5mg/l以下、特に好ましくは3mg/l以下である。
不定胚誘導培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上、最も好ましくは6質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。
不定胚誘導培地のpHは、特に限定されないが、4.0〜10.0が好ましく、5.6〜6.5がより好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、20〜35℃がより好ましく、25〜32℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、24時間中12〜20時間明所で培養を行うことが好ましく、明所の照度は、2000〜25000lxが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、4〜48週間培養することが好ましく、6〜24週間培養することがより好ましい。
固体培地の場合、不定胚誘導培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。
以上のように、不定胚誘導工程では、カルスを上記不定胚誘導培地中で培養することにより、不定胚を形成させることが可能である。この不定胚誘導工程により形成された不定胚は、更に培養することで、成熟し、成熟胚となる。
(不定胚成熟工程)
不定胚成熟工程では、形成された不定胚を成熟培地で培養することにより不定胚を成熟させる。
不定胚成熟工程では、例えば、不定胚誘導工程により形成された不定胚を成熟培地中で培養して不定胚を成熟させる。なお、成熟培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、不定胚を成熟させやすいため、固体培養が好ましい。また、成熟培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよく、振とう培養を行ってもよい。
成熟培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等を使用すればよいが、不定胚を好適に成熟できるという理由から、上記不定胚誘導培地と同様の組成のものが好適に使用できる。
成熟培地が固体培地の場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。
不定胚成熟工程における好適な培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、トウダイグサ科に属する植物(好ましくはHevea属に属する植物、特に、パラゴムノキ)の場合は)以下の条件である。
成熟培地のpHは、特に限定されないが、4.0〜10.0が好ましく、5.6〜6.5がより好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、20〜36℃がより好ましく、20〜30℃が更に好ましい。培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、24時間中10〜16時間明所で培養を行うことが好ましく、明所の照度は、2000〜25000lxが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、4〜16週間培養することが好ましい。
固体培地の場合、成熟培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。
以上のように、不定胚成熟工程では、形成された不定胚を上記成熟培地中で培養することにより、不定胚を成熟させることが可能である。また、この不定胚成熟工程では、不定胚が成熟するだけではなく、発芽がみられてもよい。不定胚成熟工程において、不定胚を上記成熟培地中で培養することにより、不定胚が成熟し、その後、発芽が観察される。この不定胚成熟工程により成熟させた不定胚は、次の発根工程に使用される。次の発根工程に移るタイミングとしては、発芽がみられた後が好ましい。なお、不定胚誘導工程において既に不定胚が成熟している場合には、この不定胚成熟工程を省略してもよい。
(発根工程)
発根工程では、炭素源を含む発根培地で成熟胚を培養することにより発根させる。ここで、成熟胚としては、不定胚成熟工程により得られた成熟胚を使用してもよく、不定胚誘導工程により成熟された成熟胚を直接使用してもよい。
発根工程では、例えば、不定胚成熟工程により得られた成熟胚を発根培地中で培養して発根させる。なお、発根培地は、液体であっても固体であってもよいが、培地上に置床して培養することで、発根させやすいため、固体培養が好ましい。また、発根培地が液体培地である場合には、静置培養を行ってもよく、振とう培養を行ってもよい。
発根培地としては、上述の基本培地や、該基本培地の組成に変更を加えた改変基本培地等を使用すればよいが、好適に発根できるという理由から、発根培地が、トウダイグサ科に属する植物(好ましくはHevea属に属する植物、特に、パラゴムノキ)の場合、MS培地、MS培地の組成に変更を加えたMS改変培地が好ましく、1/2MS培地がより好ましい。なお、発根培地(特に、1/2MS培地)は、植物生長ホルモンを含んでいてもよく、含まなくてもよいが、植物生長ホルモンを含むことが好ましい。植物生長ホルモンとしては、上記誘導培地と同様のものが使用できるが、オーキシン系植物ホルモンを含むことがより好ましく、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸、インドール酪酸、インドール酢酸が好ましく、インドール酪酸を含むことが更に好ましく、インドール酪酸を含むことが特に好ましい。
上記発根培地が、金属イオン含有化合物を含むことが好ましい。これにより、より好適に発根を誘導できる。金属イオン含有化合物としては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できる。
上記発根培地が、活性炭を含むことが好ましい。これにより、組織の成長を阻害する物質の蓄積を防止でき、より好適に発根を誘導できる。
また、炭素源としては、上記誘導培地と同様のものが好適に使用できる。なお、成熟培地と発根培地の組成が同一であってもよい。また、不定胚誘導工程や不定胚成熟工程において既に発根している場合には、この発根工程を省略してもよい。
発根培地が固体培地の場合、上記誘導培地の場合と同様に、固形化剤を使用して培地を固体にすればよい。
好適な発根培地の組成及び培養条件は、植物種により異なり、また培地が液体培地であるか固体培地であるかによっても異なるが、通常は(特に、トウダイグサ科に属する植物(好ましくはHevea属に属する植物、特に、パラゴムノキ)の場合は)以下の条件である。
発根培地中のオーキシン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0.5〜15mg/l、より好ましくは1〜10mg/l、更に好ましくは3〜6mg/lである。
発根培地中のサイトカイニン系植物ホルモンの濃度は、好ましくは0〜7mg/lである。上限は好ましくは5mg/l、より好ましくは1mg/l、更に好ましくは0.01mg/lであり、実質的に含有しない(0mg/l)ことが特に好ましい。
発根培地中の炭素源の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。該炭素源の濃度は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
発根培地中の活性炭の濃度は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上である。該活性炭の濃度は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.07質量%以下である。
発根培地中の金属イオン含有化合物の濃度は、好ましくは0.1mg/l以上、より好ましくは0.3mg/l以上、更に好ましくは0.5mg/l以上、特に好ましくは0.7mg/l以上、最も好ましくは0.8mg/l以上である。該金属イオン含有化合物の濃度は、好ましくは15mg/l以下、より好ましくは10mg/l以下、更に好ましくは5mg/l以下、特に好ましくは3mg/l以下、最も好ましくは2mg/l以下である。
発根培地のpHは、特に限定されないが、4.0〜10.0が好ましく、5.5〜6.5がより好ましく、5.6〜6.0が更に好ましい。培養温度は、0〜40℃が好ましく、20〜35℃がより好ましく、25〜32℃が更に好ましい。
培養は、暗所で行っても明所で行ってもよいが、24時間中14〜16時間明所で培養を行うことが好ましく、明所の照度は、2000〜25000lxが好ましい。培養時間は、特に限定されないが、4〜10週間培養することが好ましい。
固体培地の場合、発根培地中の固形化剤の濃度は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。該固形化剤の濃度は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、更に好ましくは0.8質量%以下である。
以上のように、発根工程では、成熟胚を上記発根培地中で培養することにより、発根させることが可能であり、発根させた成熟胚(幼植物)が得られる。この幼植物は、直接土壌に移植してもよいが、バーキュライト等の人工土壌に移して馴化してから土壌に移植することが好ましい。
以上の説明の通り、本発明では、カルスから不定胚を誘導し、不定胚を培養することにより、安定的に植物に再生できる。また、制御された環境下で組織培養を行うことにより、天候や季節等に影響されずに安定的に植物を増殖できる。図1に、葯からカルスが誘導され、誘導されたカルスが生育され、不定胚が誘導され、更に不定胚が成熟胚となり、植物体に再生する様子の一例を示した。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、パラゴムノキを用いた実施例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NAA:ナフタレン酢酸
2,4−D:2,4−ジクロロフェノキシ酢酸
BA:ベンジルアデニン
KI:カイネチン
IAA:インドール酢酸
IBA:インドール酪酸
GA3:ジベレリンA
TDZ:チジアズロン
PVP:ポリビニルピロリドン
ゲル化剤:アガー
パラゴムノキ:Prince of Songkla Universityに自生しているパラゴムノキ
(カルスの誘導(誘導工程))
パラゴムノキから表1に記載の各組織片を採取した。次に、採取した各組織片の表面を流水で洗浄し、さらに70%エタノールで洗浄した後、約5〜10%に希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液で滅菌し、再度流水で洗浄した。
次に、滅菌した各組織片の組織を誘導培地(固体培地)に差込み、培養を行った(誘導工程)。パラゴムノキのカルス化に用いた誘導培地の組成を表1に示す。誘導培地は、MS培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)に、表1に記載の各成分を添加し、培地のpHを5.7〜5.8に調整した後、ゲル化剤を0.75質量%となるように添加し、オートクレーブ(121℃、20分)で滅菌し、クリーンベンチ内で冷却することにより調製した。
パラゴムノキの各組織片を誘導培地(固体培地)に差込み、培養温度28℃、暗所で4週間培養し、パラゴムノキの組織片からカルス(未分化細胞)を誘導した。
上記誘導培地で4週間培養した後、目視によりカルスの誘導を確認し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:50%以上の組織片でカルスの形成が確認できた
×:カルスの形成なし又は死滅

表1の結果より、イソプレノイド産生植物(パラゴムノキ)の組織片を上記(1−1)〜(1−4)の特定の培養条件で培養することにより、イソプレノイド産生植物(パラゴムノキ)の組織片から効率的にカルスを誘導できることが分かった。更に、得られたカルスが、不定胚を誘導しやすいカルスであること、すなわち、得られたカルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生できることも確認した。特に、誘導培地が金属イオン含有化合物を含む実施例4−7により誘導されたカルスは、不定胚を誘導しやすいカルスであった。また、パラゴムノキの組織片から誘導されたカルスの一例を示す写真を図2に示した。
なお、表1において、実施例4−7が第1−1の本発明の実施態様に該当し、実施例2、4−7が第1−2の本発明の実施態様に該当し、実施例1が第1−3の本発明の実施態様に該当し、実施例3が第1−4の本発明の実施態様に該当する。
次に、誘導されたカルス(表2に示す由来組織が葯、種子外皮、葉柄、葉、根と記載のものは、それぞれ実施例1、7、4、5、6の条件により誘導されたカルスを使用、表2に示す由来組織が茎と記載のものは、組織片として茎を使用して実施例4と同様の条件により誘導されたカルスを使用)を約1ヶ月ごとに生育培地(固体培地)で継代培養してカルスを増殖させた(増殖工程)。生育培地の組成を表2に示す。
生育培地は、MS培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)に、表2に記載の各成分を添加し、培地のpHを5.7〜5.8に調整した後、ゲル化剤を0.75質量%となるように添加し、オートクレーブ(121℃、20分)で滅菌し、クリーンベンチ内で冷却することにより調製した。
培養は、暗所(0〜0.1lx)又は明所(10000lx、日長時間は表2に記載)で培養し、カルスの生育を促した。
上記生育培地で4週間培養した後、目視によりカルスの生育を確認し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
○:50%超のカルスで増殖が確認できた
△:50%以下のカルスで増殖が確認できた
×:カルスの増殖なし又は死滅

表2の結果より、イソプレノイド産生植物(パラゴムノキ)のカルスを上記(2−1)〜(2−3)の特定の培養条件で培養することにより、カルスを効率的に生育させることができることが分かった。更に、生育させたカルスが、不定胚を誘導しやすいカルスであること、すなわち、生育させたカルスから効率的に不定胚を誘導でき、その結果、カルスを安定的に植物に再生できることも確認した。特に、生育培地が金属イオン含有化合物を含む実施例11−15により生育されたカルスは、不定胚を誘導しやすいカルスであった。
なお、表2において、実施例11−15が第2−1の本発明の実施態様に該当し、実施例10−15が第2−2の本発明の実施態様に該当し、実施例8、9が第2−3の本発明の実施態様に該当する。
(不定胚形成のための培地検討(不定胚誘導工程))
次に、誘導されたカルス(表3に示す由来組織が葯、種子外皮と記載のものは、それぞれ実施例1、7の条件により誘導されたカルスを使用)を用いて、カルスから不定胚を形成させるための培地(不定胚誘導培地)条件の検討を基本培地であるMS培地を用いて行った(表3参照)。また、pHは、5.7〜5.8に調整した。なお、固形化剤であるゲル化剤(ファイタゲル)は0.75質量%となるように培地に添加した。そして、調製した各固体培地(滅菌済み)を用いて、誘導工程により誘導されたカルスを培養温度28℃、24時間中16時間の照明下(10000lx)で1〜3ヶ月培養した。なお、1ヶ月培養する毎に培地を交換した。
上記不定胚誘導培地で1〜3ヶ月培養した後、目視により不定胚の形成を確認し、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
○:10%のカルスで不定胚の形成が確認できた
×:不定胚の形成なし又は死滅

(不定胚の成熟(不定胚成熟工程))
次に、不定胚を成熟させるために、形成された不定胚を、不定胚誘導培地と同様の組成の培地で継代培養した。培養温度25℃、24時間中12時間の照明下(10000lx)で8週間培養した。良好に不定胚が成熟して成熟胚となり、発芽も観察された。
このように、不定胚が形成された培地では、不定胚の形成後に該不定胚が成熟し成熟胚となり、発芽も観察された。一方、不定胚が形成されなかった培地では、そのまま培養を継続しても成熟胚は形成されなかった。このことから、カルスから不定胚を誘導することにより、安定的に成熟胚が形成されることが分かった。
(発根(発根工程))次に、発根のために、3cm程度に成長した成熟胚を発根培地に移植した。
発根培地の組成を表4に示す。発根培地は、1/2MS培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20〜p36に記載)に、表4に記載の各成分を添加し、培地のpHを5.7〜5.8に調整した後、ゲル化剤を0.75質量%となるように添加し、オートクレーブ(121℃、20分)で滅菌し、クリーンベンチ内で冷却することにより調製した。
3cm程度に成長した成熟胚を発根培地(固体培地)に差込み、培養温度28℃、24時間中16時間の照明下(10000lx)で8週間培養した。特定の発根培地を使用した実施例18では、上記培地で培養することにより、良好に発根が観察され、幼植物を得ることができた。なお、4週間ごとに同培地に移植する作業を実施した。一方、特定の発根培地を使用しなかった比較例11では、発根は見られずまた培養を続けることで不定胚が枯渇した。

Claims (31)

  1. イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、
    前記誘導培地が、金属イオン含有化合物を含むカルスの誘導方法。
  2. イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、
    前記誘導培地が、前記植物生長ホルモンとして、オーキシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含み、
    前記オーキシン系植物ホルモンが、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、前記サイトカイニン系植物ホルモンが、ベンジルアデニンであり、
    前記誘導培地中の前記オーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上であるカルスの誘導方法。
  3. イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、
    前記誘導培地が、植物抽出物を含み、
    前記誘導培地が、前記植物生長ホルモンとして、オーキシン系植物ホルモンを含み、
    前記誘導培地中の前記オーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上であるカルスの誘導方法。
  4. イソプレノイド産生植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導するカルスの誘導方法において、
    前記組織片が幼葉であり、
    前記誘導培地が、ポリビニルピロリドンを含むカルスの誘導方法。
  5. 前記誘導培地が、金属イオン含有化合物を含む請求項2記載のカルスの誘導方法。
  6. 前記イソプレノイド産生植物がトウダイグサ科に属する植物である請求項1〜5のいずれかに記載のカルスの誘導方法。
  7. 前記イソプレノイド産生植物がHevea属に属する植物である請求項1〜5のいずれかに記載のカルスの誘導方法。
  8. 前記イソプレノイド産生植物がパラゴムノキである請求項1〜5のいずれかに記載のカルスの誘導方法。
  9. イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む生育培地中で培養することによりカルスを生育させるカルスの培養方法において、
    前記生育培地が、金属イオン含有化合物を含むカルスの培養方法。
  10. イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む生育培地中で培養することによりカルスを生育させるカルスの培養方法において、
    前記生育培地が、前記植物生長ホルモンとして、オーキシン系植物ホルモン及びサイトカイニン系植物ホルモンを含み、
    前記オーキシン系植物ホルモンが、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、前記サイトカイニン系植物ホルモンが、ベンジルアデニンであり、
    前記生育培地中の前記オーキシン系植物ホルモンの濃度が1.2mg/l以上であるカルスの培養方法。
  11. イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む生育培地中で培養することによりカルスを生育させるカルスの培養方法において、
    前記生育培地が、前記植物生長ホルモンとして、ジベレリン系植物ホルモンを含むカルスの培養方法。
  12. 前記生育培地が、金属イオン含有化合物を含む請求項10記載のカルスの培養方法。
  13. 前記イソプレノイド産生植物がトウダイグサ科に属する植物である請求項9〜12のいずれかに記載のカルスの培養方法。
  14. 前記イソプレノイド産生植物がHevea属に属する植物である請求項9〜12のいずれかに記載のカルスの培養方法。
  15. 前記イソプレノイド産生植物がパラゴムノキである請求項9〜12のいずれかに記載のカルスの培養方法。
  16. イソプレノイド産生植物のカルスを、植物生長ホルモン及び炭素源を含む不定胚誘導培地中で培養することにより不定胚を形成させる不定胚の誘導方法において、
    前記不定胚誘導培地が、前記植物生長ホルモンとして、オーキシン系植物ホルモン及びジベレリン系植物ホルモンを含み、
    オーキシン系植物ホルモンの濃度/ジベレリン系植物ホルモンの濃度が0.7以上である不定胚の誘導方法。
  17. 前記イソプレノイド産生植物のカルスが、イソプレノイド産生植物の種子の外皮又は葯から誘導されたものである請求項16記載の不定胚の誘導方法。
  18. 前記イソプレノイド産生植物がトウダイグサ科に属する植物である請求項16又は17記載の不定胚の誘導方法。
  19. 前記イソプレノイド産生植物がHevea属に属する植物である請求項16又は17記載の不定胚の誘導方法。
  20. 前記イソプレノイド産生植物がパラゴムノキである請求項16又は17記載の不定胚の誘導方法。
  21. 請求項16〜20のいずれかに記載の不定胚の誘導方法により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることによりカルスを植物に再生する植物の再生方法。
  22. 請求項1〜8のいずれかに記載のカルスの誘導方法により誘導されたカルス、又は請求項9〜15のいずれかに記載のカルスの培養方法により生育させたカルスを用いて、不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることによりカルスを植物に再生する植物の再生方法。
  23. 請求項1〜8のいずれかに記載のカルスの誘導方法により誘導されたカルスを用いて、不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることにより植物を増殖させる植物の増殖方法。
  24. 請求項1〜8のいずれかに記載のカルスの誘導方法により誘導されたカルスを用いて、請求項16〜20のいずれかに記載の不定胚の誘導方法により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることにより植物を増殖させる植物の増殖方法。
  25. 請求項1〜8のいずれかに記載のカルスの誘導方法により誘導されたカルスを、請求項9〜15のいずれかに記載のカルスの培養方法により生育させ、生育させたカルスを用いて、請求項16〜20のいずれかに記載の不定胚の誘導方法により不定胚を誘導した後に、発芽及び発根させることにより植物を増殖させる植物の増殖方法。
  26. イソプレノイド産生植物の成熟胚を炭素源を含む発根培地中で培養することにより発根させる成熟胚の発根誘導方法。
  27. 前記発根培地が、金属イオン含有化合物を含む請求項26記載の成熟胚の発根誘導方法。
  28. 前記発根培地が、活性炭を含む請求項26又は27記載の成熟胚の発根誘導方法。
  29. 前記イソプレノイド産生植物がトウダイグサ科に属する植物である請求項26〜28のいずれかに記載の成熟胚の発根誘導方法。
  30. 前記イソプレノイド産生植物がHevea属に属する植物である請求項26〜28のいずれかに記載の成熟胚の発根誘導方法。
  31. 前記イソプレノイド産生植物がパラゴムノキである請求項26〜28のいずれかに記載の成熟胚の発根誘導方法。
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