JP6006073B2 - 植物の再生方法及び植物の増殖方法 - Google Patents
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Description
以上のように、本発明の植物の再生方法は、カルスをグリーン化し、グリーン化したカルスから不定胚を誘導するため、高効率で不定胚を誘導でき、カルスを高効率で安定的に植物に再生できる。従って、植物の再生に必要なカルス量を低減でき、より安価に植物の再生を行うことができるだけではなく、少量のカルスから植物の再生を行うことが可能となり、植物分野の研究開発の促進にも寄与でき、植物の大量培養、分子育種にも貢献できる。
誘導工程では、例えば、植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導する。
なお、本明細書において、固体培地のpHは、固形化剤を除く全成分を添加した培地のpHを意味する。また、本明細書において、暗所とは、照度が0〜0.1lxであることを意味し、明所とは、照度が0.1lxを超えていることを意味する。
グリーン化工程では、五炭糖を含むグリーン化培地中でカルスを培養することによりカルスをグリーン化する。五炭糖を含む培地中でカルスを培養することにより、カルスをグリーン化できる。
再生誘導工程では、植物生長ホルモン及び炭素源を含む再生誘導培地中で、グリーン化したカルスを培養することにより不定胚及びシュートを形成させる。カルスから不定胚を誘導(形成)し、不定胚を培養することにより、安定的にシュートの形成を行うことができるため、再生誘導工程の培養条件は、カルスから不定胚を誘導できる条件であれば、特に限定されない。また、グリーン化したカルスは、通常のカルス(グリーン化していないカルス)に比べて、不定胚の形成率が高く、高効率で不定胚を誘導できる。そのため、本発明では、グリーン化したカルスから不定胚を誘導するため、高効率で不定胚を誘導でき、その結果、カルスを高効率で安定的に植物に再生できる。
伸長工程では、形成されたシュートを伸長培地で培養することによりシュートを伸長させる。
発根工程では、伸長させたシュートを発根培地で培養することにより発根させる。
NAA:ナフタレン酢酸
BA:ベンジルアデニン
ノゲシ:神戸市灘区で自生しているノゲシの種子から、無菌的に発芽させた植物体を使用した
ノゲシから葉及び茎を採取した。次に、採取した葉及び茎の表面を流水で洗浄し、さらに70%エタノールで洗浄した後、約5〜10%に希釈した次亜塩素酸ナトリウム溶液で滅菌し、再度流水で洗浄した。
次に、誘導されたカルスを用いて、カルスをグリーン化するための培地(グリーン化培地)条件の検討を基本培地であるMS培地を用いて行った。具体的には、MS培地に、オーキシン系植物ホルモンであるNAA、サイトカイニン系植物ホルモンであるBAを添加し、更に、五炭糖であるキシロースを種々の濃度となるように添加した培地を用いて検討を行った(表1参照)。なお、比較例1では、スクロース濃度を3質量%とした。また、pHは、5.7〜5.8に調整した。なお、固形化剤であるゲランガムは0.2質量%となるように培地に添加した。そして、調製した各固体培地(滅菌済み)を用いて、誘導工程により誘導されたカルスを培養温度23℃、24時間中12時間の照明下(10000lx)で4週間培養した。4週間培養した後の成長率、4週間培養した後のグリーン化率を表1に示す。
なお、成長率は、4週間培養した後のカルスの総質量を、再生誘導培地に移植したカルスの総質量で割ることにより算出した。また、グリーン化率は、4週間培養した後、グリーン化したカルスの個数を、再生誘導培地に移植したカルスの個数で割ることにより算出した。
次に、実施例2により得られたカルス(グリーン化したカルス)若しくは誘導工程により誘導されたカルス(グリーン化していないカルス)を、カルスから不定胚及びシュートを形成させるために、MS培地に、オーキシン系植物ホルモンであるNAA、サイトカイニン系植物ホルモンであるBA、糖類であるスクロースを種々の濃度となるように添加した培地に移植した。該培地のpHは、5.7〜5.8に調整した。なお、固形化剤であるゲランガムは0.2質量%となるように培地に添加した。そして、調製した各固体培地(滅菌済み)を用いて、実施例2により得られたカルス(グリーン化したカルス)若しくは誘導工程により誘導されたカルス(グリーン化していないカルス)を、培養温度23℃、24時間中12時間の照明下(10000lx)で8週間培養した。8週間培養した後の不定胚の形成率を表2に示す。不定胚が形成された培地では、不定胚の形成後にシュートの形成も観察された。一方、不定胚が形成されなかった培地では、シュートも形成されなかった。このことから、カルスから不定胚を誘導することにより、安定的にシュートが形成されることが分かった。
なお、不定胚の形成率は、不定胚を形成したカルスの個数を、再生誘導培地に移植したカルスの個数で割ることにより算出した。
次に、シュート伸長のために、形成されたシュート(実施例4、5、比較例2、3により得られたシュート)を、植物生長ホルモンを含まないMS培地に移植した。該培地のpHは、5.7に調整した。0.4%のゲランガムを含む固体培地(滅菌済み)を用い、培養温度23℃、24時間中12時間の照明下(10000lx)で8週間培養した。植物生長ホルモンを含まない培地で培養することにより、良好にシュート伸長が観察された。また、不定胚の形成率が高かったものほど、より良好にシュート伸長が観察された。
次に、発根のために、3cm程度に成長したシュートを、植物成長ホルモンを含まないB5培地に移植した。該培地のpHは、5.8に調整した。0.4%のゲランガムを含む固体培地(滅菌済み)を用い、培養温度23℃、24時間中12時間の照明下(10000lx)で8週間培養した。植物生長ホルモンを含まない培地で培養することにより、良好に発根が観察された。また、不定胚の形成率が高かったものほど、より良好に発根が観察された。
Claims (17)
- キシロースを含むグリーン化培地中でカルスを培養することによりカルスをグリーン化するグリーン化工程と、グリーン化したカルスから不定胚を誘導する工程とを含む植物の再生方法。
- キシロースを含むグリーン化培地中でカルスを培養することによりカルスをグリーン化するグリーン化工程と、植物生長ホルモン及び炭素源を含む再生誘導培地中で、グリーン化したカルスを培養することにより不定胚及びシュートを形成させる再生誘導工程と、形成されたシュートを伸長培地で培養することにより伸長させる伸長工程と、伸長させたシュートを発根培地で培養することにより発根させる発根工程とを含む請求項1記載の植物の再生方法。
- 前記グリーン化培地中のキシロースの濃度が1〜10質量%である請求項1又は2記載の植物の再生方法。
- 前記伸長培地及び前記発根培地が、植物生長ホルモンを含まない培地である請求項2記載の植物の再生方法。
- 前記植物がイソプレノイド産生植物である請求項1〜4のいずれかに記載の植物の再生方法。
- 前記植物がキク科に属する植物である請求項1〜4のいずれかに記載の植物の再生方法。
- 前記植物がSonchus属に属する植物である請求項1〜4のいずれかに記載の植物の再生方法。
- 前記植物がノゲシである請求項1〜4のいずれかに記載の植物の再生方法。
- キシロースを含むグリーン化培地中でカルスを培養することによりカルスをグリーン化するグリーン化工程と、グリーン化したカルスから不定胚を誘導する工程とを含む植物の増殖方法。
- 植物の組織片からカルスを誘導する工程を含む請求項9記載の植物の増殖方法。
- 植物の組織片を植物生長ホルモン及び炭素源を含む誘導培地中で培養することによりカルスを誘導する誘導工程と、キシロースを含むグリーン化培地中でカルスを培養することによりカルスをグリーン化するグリーン化工程と、植物生長ホルモン及び炭素源を含む再生誘導培地中で、グリーン化したカルスを培養することにより不定胚及びシュートを形成させる再生誘導工程と、形成されたシュートを伸長培地で培養することにより伸長させる伸長工程と、伸長させたシュートを発根培地で培養することにより発根させる発根工程とを含む請求項9記載の植物の増殖方法。
- 前記グリーン化培地中のキシロースの濃度が1〜10質量%である請求項9〜11のいずれかに記載の植物の増殖方法。
- 前記伸長培地及び前記発根培地が、植物生長ホルモンを含まない培地である請求項11記載の植物の増殖方法。
- 前記植物がイソプレノイド産生植物である請求項9〜13のいずれかに記載の植物の増殖方法。
- 前記植物がキク科に属する植物である請求項9〜13のいずれかに記載の植物の増殖方法。
- 前記植物がSonchus属に属する植物である請求項9〜13のいずれかに記載の植物の増殖方法。
- 前記植物がノゲシである請求項9〜13のいずれかに記載の植物の増殖方法。
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