JPH09135640A - シクラメンの倍数体の作製方法 - Google Patents

シクラメンの倍数体の作製方法

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JPH09135640A
JPH09135640A JP29648195A JP29648195A JPH09135640A JP H09135640 A JPH09135640 A JP H09135640A JP 29648195 A JP29648195 A JP 29648195A JP 29648195 A JP29648195 A JP 29648195A JP H09135640 A JPH09135640 A JP H09135640A
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JP
Japan
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medium
colchicine
cyclamen
cultured
cultured cells
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JP29648195A
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English (en)
Inventor
Masanori Yamaguchi
将憲 山口
Teruhiko Terakawa
輝彦 寺川
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シクラメンの新品種を得るために有用なシク
ラメンの同質倍数体を、しかも効率よく作製する方法を
提供する。 【解決手段】 シクラメンの倍数体を下記工程に従って
作製する。 (A)シクラメンの種子又は組織を培養して培養細胞を
得る工程、(B)前記(A)工程で得られる培養細胞を
コルヒチンを含有する培地に浸漬する工程、(C)前記
(B)工程で得られるコルヒチン処理培養細胞を培地で
培養してエンブリオジェニックカルスを形成させる工
程、(D)前記(C)の工程で得られるエンブリオジェ
ニックカルスを培養して不定胚を形成させ、これを培養
する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シクラメンの倍数
体の作製方法に関し、詳しくは、シクラメンの同質倍数
体を効率よく作製するシクラメン倍数体の作製方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】植物の種子や組織をコルヒチンなどで処
理して得られる同質倍数体は、倍数化前のものに比べる
と、植物の細胞や器官の大きさが増したり、生育が旺盛
になったり、病害虫への抵抗性が高まったり、種々の体
内成分の含量が増えたりする等の効果が得られるため、
倍数化による植物の育種が各種の植物について試みられ
ている。
【0003】例えば、薬用ニンジンの種子胚から摘出し
た子葉をMS固体培地で静置培養して直接不定胚を誘導
し、次いでこの不定胚をB5液体培地で振盪培養して2
次胚を形成しつつ増殖中の不定胚集塊を5mm角程度の
極小角に調整し、更にこの不定胚集塊を所要濃度のコル
ヒチン溶液に浸漬して所要時間振盪した後、再分化固体
培地で静置培養することを特徴とする薬用ニンジンの4
倍体誘導法が知られている(特開平6−153731号
公報)。
【0004】一方、シクラメンでは、胚珠をコルヒチン
処理してこれを組織培養すると複二倍体が得られる(ブ
リーディング サイエンス Breeding Science、第44
巻、第161頁(1994))ことが知られているが、
この方法は、種間交配によるもので胚珠形成数や倍数体
形成数が少なく、しかも得られる植物体は、異質倍数体
のため園芸品種との交配育種には使用しがたいという問
題があった。また、シクラメン園芸品種を用いた育種の
ための同質4倍体、同質8倍体のような倍体数及びその
作製方法については知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点から
なされたものであり、シクラメンの新品種を得るために
有用なシクラメンの同質倍数体を、しかも効率よく作製
する方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するためにシクラメンの同質倍数体を得ようと種
々検討した結果、シクラメンの種子又は組織を培養して
培養細胞を得、これをコルヒチン含有培地に浸漬後、再
度カルス化し不定胚を形成させることによってシクラメ
ンの同質倍数体が効率よく作製できることを見出し、本
発明を完成させた。
【0007】すなわち本発明は、下記工程からなるシク
ラメンの倍数体の作製方法である。 (A)シクラメンの種子又は組織を培養して培養細胞を
得る工程、(B)前記(A)工程で得られる培養細胞を
コルヒチンを含有する培地に浸漬する工程、(C)前記
(B)工程で得られるコルヒチン処理培養細胞を培地で
培養してエンブリオジェニックカルスを形成させる工
程、(D)前記(C)の工程で得られるエンブリオジェ
ニックカルスを培養して不定胚を形成させ、これを培養
する工程。
【0008】ここで、上記本発明の(A)工程で得られ
る培養細胞は、具体的にはエンブリオジェニックカルス
及び/又は不定胚を含有する培養細胞であり、前記
(A)工程に、さらに培養細胞中のエンブリオジェニッ
クカルス及び/又は不定胚を5μ〜3mm、好ましくは
10μm〜2mmに微細化する操作を加え、この微細化
されたエンブリオジェニックカルス及び/又は不定胚
を、次の(B)工程でコルヒチン処理することが本発明
のシクラメン倍数体の作製方法として好ましい。
【0009】また、上記本発明のシクラメン倍数体の作
製方法での(B)工程における培養細胞のコルヒチン処
理の具体的な方法であるが、(A)工程で得られる培養
細胞を、コルヒチン含有濃度が0.01〜10%程度の
コルヒチン含有培地に、概ね10〜120時間、浸漬す
る処理方法を挙げることができる。
【0010】本発明のシクラメンの倍数体作製方法、す
なわち、(A)工程でシクラメンの種子又は組織を培養
し得られた培養細胞を、(B)工程でコルヒチン処理
し、これを(C)工程でカルス化し、次の(D)工程で
カルスから不定胚を形成させ、さらに植物体を再生させ
るシクラメンの倍数体の作製方法によれば、シクラメン
の同質倍数体を作製することが可能である。また、本発
明のシクラメンの倍数体作製方法によれば、(B)工程
におけるコルヒチン処理を概ね99%の不定胚が枯死す
る程度、言い換えれば、(C)工程においてエンブリオ
ジェニックカルスの形成率が0.1〜5%となる程度の
処理条件にすること、及び(A)〜(D)の工程中で、
培養細胞、好ましくはエンブリオジェニックカルス及び
/又は不定胚を個別にコルヒチン処理し、再度カルス化
させて選抜を行うことにより、倍数化していない細胞の
ほとんどを除去することができるので、最終的に効率よ
く倍数体を作製することが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるシクラメン
の倍数体の作製方法を(A)シクラメンの種子又は組織
からの培養細胞の誘導工程、(B)コルヒチン処理工
程、(C)エンブリオジェニックカルス形成工程、
(D)エンブリオジェニックカルスからの不定胚形成・
植物体再生工程に分けて具体的に説明する。
【0012】(A)シクラメンの種子又は組織からの培
養細胞の誘導工程(以下「A工程」という) 本発明のシクラメン倍数体作製方法では、まずA工程で
シクラメンの種子又は組織から培養細胞を誘導する。
【0013】本発明が適用されるシクラメンとしては、
シクラメン属に属する植物であれば品種は特に制限され
るものではなく、例えば、4倍体品種のビクトリア、バ
ーバーグや、2倍体品種のピュアホワイト、パステル、
ミニシクラメンなどを挙げることができる。
【0014】A工程では、上記の様なシクラメンの種子
又は組織を培養するが、本発明のシクラメンの倍数体作
製方法において、後の工程で培養細胞として好ましく用
いられるのは、エンブリオジェニックカルスのような不
定胚形成能を持つカルスやこの様なカルスから発達した
細胞分裂の活性の高い不定胚等を微細化したものである
ので、培養方法としても、得られる培養細胞がエンブリ
オジェニックカルスや不定胚を多く含有する様な培養方
法をとることが好ましい。
【0015】この様な培養方法としては、通常の培養方
法に従えばよく、例えば、「バイオホルティ」(農耕と
園芸、別冊、30〜31頁、1990年)、特公平6−
48949号公報及び特開平5−211824号公報な
どに記載されている方法に準拠した方法が挙げられる。
【0016】具体的には、シクラメンの種子又は組織を
適当な方法で殺菌処理し、これを無菌条件下で切断して
小切片とする。これを、植物の育成に必要な窒素、リ
ン、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、
銅、亜鉛、ホウ素、モリブデンおよび鉄などの元素を含
む無機塩を含有する水溶液であり、従来より植物組織培
養用培地として用いられている液体培地、例えば、ムラ
シゲ・スクーグ培地(以下「MS」培地という)、ガン
ボルグのB培地、ホワイト培地、ニッチーニッチ培地、
N6培地などに、適当な濃度で炭素源、植物ホルモン等
を配合し、さらにゲル化剤等を加えて固形培地としたも
のに置床し、好ましくは10〜30℃の、より好ましく
は20℃程度の暗所で、好ましくは50〜150日間、
より好ましくは120日間程度培養する。
【0017】この様にして得られる培養細胞は、エンブ
リオジェニックカルスや不定胚を含む培養細胞である。
また、次の工程すなわちコルヒチン処理工程に好ましく
用いられるのはエンブリオジェニックカルスや不定胚等
を微細化したもの、より好ましくは不定胚を微細化した
ものであるので、A工程において、さらに培養細胞中の
エンブリオジェニックカルス及び/又は不定胚を、5μ
〜3mm、好ましくは10μm〜2mmに微細化する操
作を加えることが好ましい。微細化の方法としては、シ
クラメンの培養細胞中のエンブリオカルスも不定胚も軽
く押圧すると細かくなるので、例えば、前記培養細胞か
ら、好ましくは直径5μm〜3mmの、より好ましくは
直径10μm〜2mmの大きさのステンレスメッシュ等
を組み合わせて用いて、エンブリオジェニックカルス及
び/又は不定胚を、好ましくは不定胚のみを微細化する
方法等を挙げることができる。また、不定胚としては、
カルス上に直接形成した1次胚を用いることが好まし
い。
【0018】(B)コルヒチン処理工程(以下「B工
程」という) 上記A工程に次いで行われるB工程は、上記A工程で得
られた培養細胞、好ましくは、前記培養細胞中の微細化
されたエンブリオジェニックカルス及び/又は不定胚、
より好ましくは、微細化された不定胚を、コルヒチン含
有培地に浸漬し、静置又は振盪して染色体の倍数化を行
う工程である。
【0019】コルヒチン含有培地としては、適当量の炭
素源等を配合した上記従来より植物組織培養用培地とし
て用いられている液体培地、好ましくはMS培地に、コ
ルヒチンを0.01〜10%濃度、好ましくは、0.0
1〜0.2%濃度、さらに好ましくは0.05%程度の
濃度となるように添加したものが用いられる。
【0020】また、上記コルヒチン含有培地に用いる、
従来より植物組織培養用培地として用いられている液体
培地は、そのまま用いてもよいし、あるいは水を加えて
1/3〜1/2程度に希釈して用いてもよい。炭素源と
して添加される成分としては、ショ糖、グルコースなど
が挙げられ、添加量は、例えば、ショ糖であれば好まし
くは10g/リットル〜50g/リットル、より好まし
くは30g/リットル程度である。
【0021】上記コルヒチン含有培地にA工程で得られ
る培養細胞を、添加浸漬するが、好ましい添加密度は1
0〜100個/ml、より好ましくは50個/ml程度
である。浸漬時間は、好ましくは10〜120時間、よ
り好ましくは20〜26時間程度である。培養細胞を上
記コルヒチン含有培地に浸漬する際に、静置しておいて
もよいが振盪等を加えてもよい。振盪は、好ましくは5
〜100rpm、より好ましくは30〜50rpmで行
われる。
【0022】ここで、上記コルヒチン処理における、コ
ルヒチン含有培地のコルヒチン濃度を0.01〜10%
とし、またコルヒチン含有培地での培養細胞の浸漬時間
を10〜120時間とすることにより培養細胞は効率よ
く倍数化され、コルヒチン処理後の培養細胞中における
倍数化していない培養細胞の含有量を少なくすることが
できる。この様なコルヒチン処理を行うことにより、結
果として、次の工程において、カルス形成培地でのエン
ブリオジェニックカルスの形成率は、0.1〜5%の範
囲となり、さらに、より好ましい条件でコルヒチン処理
された場合には、エンブリオジェニックカルスの形成率
は、0.5%〜2%の範囲となる。
【0023】上記の様にしてコルヒチン含有培地で培養
細胞が浸漬処理されるが、好ましくは、前記浸漬処理
後、処理液から培養細胞を残してコルヒチン含有培地だ
けを除き、次いでこのコルヒチン処理培養細胞を上記コ
ルヒチン含有培地よりコルヒチンを除いた培地等で好ま
しくは1〜5回、より好ましくは3回程度洗浄する操作
がさらに加えられ、得られたコルヒチン処理培養細胞が
次の工程に用いられる。
【0024】(C)エンブリオジェニックカルス形成工
程(以下「C工程」という) 上記B工程に次いで行われるC工程は、上記B工程で得
られるコルヒチン処理培養細胞をカルス形成用培地(以
下「カルス形成培地」という)に移植してエンブリオジ
ェニックカルス形成を行う工程である。この工程で用い
るカルス形成培地は、上記A工程やB工程で用いた従来
の植物組織培養培地に、炭素源や植物ホルモン等を添加
して調製した液体培地や、さらにこれにゲル化剤を加え
て固体培地に調製したもの等が使用できる。培地の好ま
しいpHは4〜6程度であり、また滅菌して用いること
が好ましい。
【0025】上記カルス形成培地に添加される炭素源と
しては、ショ糖、グルコースなどの糖類が挙げられ、こ
のうち、ショ糖が好ましく用いられる。これらの炭素源
の培地への添加濃度は、糖類の種類などによって適宜選
択されるが、概ね10〜80g/リットル、好ましくは
50g/リットル程度の添加濃度である。
【0026】また、上記カルス形成培地に添加される植
物ホルモンとしては、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸
(以下「2,4−PA」という)とカイネチンを混合し
たものが好ましく使用される。これらの植物ホルモンの
培地への添加濃度は、2,4−PAが、好ましくは0.
01〜40mg/リットル、より好ましくは0.5〜1
0mg/リットル、さらに好ましくは4mg/リットル
程度であり、カイネチンが、好ましくは0.001〜2
mg/リットル、より好ましくは0.05〜0.5mg
/リットル、さらに好ましくは、0.1mg/リットル
程度である。
【0027】また、固体培地を調製する際に用いる培地
を固化させるためのゲル化剤としては、寒天、アガロー
ス、ゲルライト(ゲランガム)などを挙げることができ
るが、これらのうちでも本発明においてはゲルライトが
好ましく用いられる。上記ゲル化剤の培地への添加量
は、ゲル化剤の種類によって適宜選択されるが、概ね
0.1〜10g/リットル、好ましくは1〜5g/リッ
トル、より好ましくは2g/リットル程度の添加量で用
いられる。
【0028】この様なカルス形成用培地上に上記B工程
で得られるコルヒチン処理した培養細胞を、シャーレ当
たり概ね20〜200個、好ましくは100個の割合で
置床し、好ましくは15〜30℃、より好ましくは25
℃程度で暗所の恒温室内で、好ましくは20〜60日、
より好ましくは30日程度培養することで、コルヒチン
処理培養細胞からエンブリオジェニックカルスを形成さ
せることができる。
【0029】さらに、この様にして得られるエンブリオ
ジェニックカルスはカルス形成培地上で一定日数毎に継
代培養し、例えば、30日毎に継代培養して、次の工程
に用いることが好ましい。
【0030】(D)エンブリオジェニックカルスから不
定胚形成・植物体再生工程(以下「D工程」という) 上記C工程で得られるエンブリオジェニックカルスから
不定胚を形成させ、さらに不定胚から植物体を再生させ
る工程がD工程である。エンブリオジェニックカルスか
ら不定胚を形成させる方法は、通常の方法に従えばよ
く、例えば、C工程で得られたエンブリオジェニックカ
ルスを上記C工程で用いたのと同様なカルス形成培地に
移植し、好ましくは10〜30℃、より好ましくは20
℃程度の暗所で、好ましくは30〜90日間、より好ま
しくは60日間程度培養すればよい。この様な培養によ
りエンブリオジェニックカルス表面に不定胚を形成させ
ることができる。
【0031】上記不定胚から植物体を再生させる方法で
あるが、これも通常の方法に従えばよく、例えば、上記
で得られた不定胚を培養密度が、好ましくは10〜10
0個/培地30ml、より好ましくは、30個/培地3
0ml程度となるように再分化用固体培地(以下、「再
分化培地」という)に移植し、好ましくは15〜30
℃、より好ましくは25℃程度の暗所の恒温室内で、好
ましくは15〜60日間、より好ましくは30日間程度
培養する方法が挙げられる。この様な培養により不定胚
を発芽させることができる。
【0032】また、上記で用いられる再分化培地は、従
来より植物組織培養用に用いられている培地であれば何
れの培地でもよいが、上記C工程で用いた様なカルス形
成培地に準ずる培地を用いることが好ましく、例えば、
MS培地の無機塩組成の培地に炭素源、植物ホルモン、
ゲル化剤等を添加し、pHを4〜6に調整、オートクレ
ーブなどにより滅菌した培地等が挙げられる。
【0033】上記再分化培地が含有する炭素源として
は、ショ糖等が挙げられ、その含有量は好ましくは10
〜50g/リットル、より好ましくは30g/リットル
程度である。また、再分化培地で用いられる植物ホルモ
ンとしては、ナフタレン酢酸(以下、「NAA」とい
う)とベンジルアデニンおよびジベレリンとの混合物等
が好ましく使用される。これらの植物ホルモンの培地中
での濃度は、NAAが、好ましくは0.001〜0.1
mg/リットル、より好ましくは0.01mg/リット
ル程度であり、ベンジルアデニンが、好ましくは0.0
1〜1mg/リットル、より好ましくは0.1mg/リ
ットル程度であり、ジベレリンが好ましくは0.02〜
2mg/リットル、より好ましくは0.2mg/リット
ル程度である。さらに、再分化培地に用いられるゲル化
剤としては、ゲルライト等を挙げることができ、培地へ
の添加量が、好ましくは0.1〜10g/リットル、よ
り好ましくは2〜7g/リットル、さらに好ましくは5
g/リットル程度となるように用いられる。
【0034】この様にして得られる発芽した不定胚を、
さらに培養を行うと、例えば、上記再分化培地から植物
ホルモンを除いた組成の培地に置床し、好ましくは10
00〜5000ルクス、より好ましくは、3000ルク
スの照射下、好ましくは10〜30℃、より好ましくは
20℃程度の恒温室内で、好ましくは30〜120日
間、より好ましくは60日間程度の培養を行うと、培地
上に出た根がねじれている約4cmの幼植物体が得られ
る。
【0035】この様な本発明の作製方法により得られた
植物体が倍数化されていることを確認する方法として
は、上記幼植物体の根端の染色体を観察することにより
行うことができる(「植物バイオテクの基礎知識」、2
02頁、1994年9月発行)。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0037】
【実施例1】 (A)シクラメンの組織から培養細胞を誘導する工程 シクラメンとして2倍体品種であるミニシクラメン(品
種:ライラックローズ)を用い、その葉片を材料に用い
て、「バイオホルティ」(農耕と園芸、別冊、30〜3
1頁、1990年)に記載の方法に準じて培養し、エン
ブリオジェニックカルスと不定胚を含む培養細胞を得
た。
【0038】すなわち、葉身を70%エタノール溶液に
10秒間、次いで有効塩素濃度が約1%の次亜塩素酸ナ
トリウム溶液に20分間浸漬することで、葉身の殺菌処
理を行った。次いで、次亜塩素酸ナトリウム溶液から葉
身を取り出し、その表面に付着した次亜塩素酸ナトリウ
ムを滅菌水で3回洗浄後、これを無菌条件下で切断して
1cm角の小切片とした。これをMS培地にショ糖50
g/リットル、2,4−PAを4mg/リットル、カイ
ネチン0.1mg/リットルをそれぞれ加え、pH5.
8とし、ゲルライト2g/リットルを加えた固形培地に
置床した。これを25℃の暗所で培養し、置床90日後
にエンブリオジェニックカルスと不定胚を含む培養細胞
を得た。
【0039】得られた培養細胞を孔径2mmおよび1m
mの2種類のステンレスメッシュを用いて順に濾過し直
径1mm以上2mm以下の培養細胞(不定胚)を得た。
【0040】(B)コルヒチン処理工程 上記(A)工程で得られた培養細胞(不定胚)200個
を直径6cmの大きさのシャーレに入れ、これにコルヒ
チン含有培地4mlを加えた。コルヒチン含有培地は、
MS培地の無機塩濃度を1/3に希釈し、この溶液にシ
ョ糖を30g/リットル、コルヒチンを表1に記載した
濃度になるように添加し、pH5.8に調整したもので
あった。このシャーレを、上記コルヒチン含有培地に、
暗黒下、ロータリーシェーカーにより60rpmで振盪
しながら、表1に記載した時間(12、24、36、4
8、96時間)だけ浸漬した。浸漬終了後、シャーレに
コルヒチン処理された培養細胞を残して上記コルヒチン
含有培地のみを除いた。次いで、シャーレに上記のコル
ヒチン含有培地よりコルヒチンを除いた培地4mlを加
えてコルヒチン処理培養細胞を洗浄した。この洗浄操作
を3回行った。試験区はコルヒチンの濃度毎に4反復で
あった。
【0041】(C)エンブリオジェニックカルス形成工
程 直径9cmの大きさのシャーレに、MS培地の無機塩組
成の培地にショ糖を50g/リットル、2,4−PAを
4mg/リットル、カイネチンを0.1mg/リット
ル、ゲルライトを2g/リットルの割合で添加した組成
の培地であってpHが5.8に調整されたカルス形成培
地を充填し、これに上記(B)工程で得られたコルヒチ
ン処理培養細胞(不定胚)を、各処理条件毎に1シャー
レ当たり100個ずつ8枚のシャーレに(計800個)
置床した。これを25℃の暗所の恒温室内で、30日間
静置培養してエンブリオジェニックカルスを形成させ
た。培地上に形成されたエンブリオジェニックカルス数
を調べ、これとコルヒチン処理培養細胞(不定胚)の個
数800個から、以下の式を用いてエンブリオジェニッ
クカルスの形成率(%)を算出した。
【0042】
【数1】エンフ゛リオシ゛ェニックカルス形成率(%) = 100 × エンフ゛
リオシ゛ェニックカルス数 / 不定胚数
【0043】(D)エンブリオジェニックカルスから不
定胚形成・植物体再生工程 上記(C)工程で得られたエンブリオジェニックカルス
を上記と同じ組成のカルス形成培地で60日間培養し
て、不定胚を形成させた。直径9cmの大きさのシャー
レに、MS培地の無機塩組成の培地にショ糖を30g/
リットル、NAAを0.01mg/リットル、ベンジル
アデニンを0.1mg/リットル、ジベレリンを0.2
mg/リットル、ゲルライトを5g/リットルの割合で
添加した組成の培地であってpHが5.8に調整された
再分化培地30mlを充填し、これに上記で得られた不
定胚30個/シャーレ(試験条件によっては30個以
下)を置床した。これを25℃の暗所にて30日間培養
して、不定胚を発芽させた。これをさらに、再分化培地
から植物ホルモンを除去した培地(pH5.8)を充填
したプラントボックス(8×8cm)に置床して、20
℃の明所(3000ルクス)恒温室内で、60日間静置
培養して幼植物体を得た。
【0044】倍数体の判断は、「植物バイオテクの基礎
知識」に記載の方法に準じて行った。すなわち、上記で
得られた幼植物体の根端を切り出し、根端を組織固定液
(エタノール:酢酸を3容:1容に混合した溶液)に1
時間浸漬し、処理後、根端を蒸留水に2時間浸漬し、次
いで、根端をスライドガラス上に取り出して、セルラー
ゼ(植物細胞壁分解酵素)を含む溶液を滴下し、15分
間の酵素処理を行った。次に、スライドガラス上に根端
を残して酵素液を蒸留水で洗浄した後、アセトオルセイ
ン染色による押しつぶし法にて染色体を染色した。これ
について顕微鏡下で染色体本数を測定し、4倍体(染色
体本数96本)の存在を確認した。上記で得られた幼植
物体全てについて染色体数を測定して倍数体数を調べ、
以下の式により倍数体作製率を算出した。結果をエンブ
リオジェニックカルスの形成率と共に表1に示す。
【0045】
【数2】倍数体作製率(%)=100 × 倍数体数 /
エンフ゛リオシ゛ェニックカルス形成数
【0046】
【表1】
【0047】
【実施例2】シクラメンの2倍体品種であるパステル
(品種:シューベルト)、ピュアホワイト及び4倍体品
種であるバーバーグ、ビクトリアの葉片を用いて同質倍
数体を作製する実験を行った。
【0048】実験は、上記実施例1において、(B)の
コルヒチン処理工程に用いるコルヒチン含有培地のコル
ヒチン濃度を0.05%、コルヒチン処理時間を24時
間とした以外は、実施例1と全く同様の方法で行った。
なお、コルヒチン処理の試験区は、パステルが4反復、
ピュアホワイト及びバーバーグがそれぞれ2反復、ビク
トリアが6反復であった。
【0049】実験で得られたエンブリオジェニックカル
ス形成数とコルヒチン処理不定胚数からエンブリオジェ
ニックカルス形成率(%)を、また、倍数体数と前記エ
ンブリオジェニックカルス形成数から倍数体作製率
(%)を、実施例1と同様にして算出した。結果を表2
に示す。
【0050】
【表2】
【0051】これらの結果から、本発明のシクラメンの
倍数体の作製方法によれば、シクラメンの同質倍数体
を、しかも高作製率で作製できることがわかる。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、シクラメンの同
質倍数体を作製することができ、しかもこの様な同質倍
数体を効率よく高い作製率で作製することができる。よ
って、本発明の方法は、シクラメンの新品種を得るため
に有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程からなるシクラメンの倍数体の
    作製方法: (A)シクラメンの種子又は組織を培養して培養細胞を
    得る工程、(B)前記(A)工程で得られる培養細胞を
    コルヒチンを含有する培地に浸漬する工程、(C)前記
    (B)工程で得られるコルヒチン処理培養細胞を培地で
    培養してエンブリオジェニックカルスを形成させる工
    程、(D)前記(C)の工程で得られるエンブリオジェ
    ニックカルスを培養して不定胚を形成させ、これを培養
    する工程。
  2. 【請求項2】 (A)工程で得られる培養細胞がエンブ
    リオジェニックカルス及び/又は不定胚を含有すること
    を特徴とする請求項1記載のシクラメンの倍数体の作製
    方法。
  3. 【請求項3】 (A)工程に、さらに培養細胞中のエン
    ブリオジェニックカルス及び/又は不定胚を5μm〜3
    mmに微細化する操作を加えることを特徴とする請求項
    1記載のシクラメンの倍数体の作製方法。
  4. 【請求項4】 (B)工程において、コルヒチン含有培
    地のコルヒチン濃度を0.01〜10%とし、培養細胞
    のコルヒチン含有培地への浸漬時間を10〜120時間
    とすることを特徴とする請求項1記載のシクラメンの倍
    数体の作製方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011062141A (ja) * 2009-09-17 2011-03-31 Fuji Kagaku Kk チガヤ属の増殖方法
KR101289655B1 (ko) * 2011-05-19 2013-07-26 영남대학교 산학협력단 참억새의 배수체 생산방법

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