JPH09322770A - 油中に安定分散した酵素剤組成物及びその製造法と利用方法 - Google Patents

油中に安定分散した酵素剤組成物及びその製造法と利用方法

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JPH09322770A
JPH09322770A JP8161014A JP16101496A JPH09322770A JP H09322770 A JPH09322770 A JP H09322770A JP 8161014 A JP8161014 A JP 8161014A JP 16101496 A JP16101496 A JP 16101496A JP H09322770 A JPH09322770 A JP H09322770A
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oil
fatty acid
fat
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JP8161014A
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Tetsuo Nakamura
哲郎 中村
Mitsuo Kimoto
三夫 木本
Shigeo Tomita
茂夫 富田
Takeshi Niimi
武 新美
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Ichibiki Co Ltd
Original Assignee
Ichibiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】酵素活性を安定に保持する酵素剤組成物及びそ
の製造法、さらにこの方法で活性の安定化された酵素剤
の利用方法を提供する。 【構成】平均粒径0.5〜10μmの大きさに微粒子化した
酵素を、油脂に対して0.05〜50重量%安定的に分散させ
ることにより安定な酵素剤組成物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素を油脂中に安
定な状態に分散させ、酵素活性を安定に保持する酵素剤
組成物及びその製造法、さらにこの方法で活性の安定化
された酵素剤の利用に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素は、温和な条件で特異的、選択的な
反応を行う触媒として多くの分野で利用が進んでいる。
現在市販されている酵素の多くは粉末製品であり、使用
時に溶解するなどの手順が必要なものが多い。又、粉末
状酵素は作業中に飛散し、種類によっては人体に危害を
与えるものがある。さらに、粉末酵素製品は保管や使用
中に吸湿による失活が起きやすい。酵素の利用にあたっ
ては種々の使用方法があるが、特に溶液状態として用い
るのが便利である。しかし、水溶液にした場合多くの酵
素は不安定であり、安定した活性を維持することは難し
く、例えば濃厚グリセリン水溶液などに溶解又は分散し
て、低温保管する方法などが行われている。
【0003】酵素を水溶液中で安定化させるには、他に
も種々の方法が試みられてきた。例えば、グルタミン酸
ナトリウム、アルブミン、スキムミルク等のアミノ酸ま
たは蛋白質の添加や、グルタチオン、メルカプトエタノ
ール等の還元性物質の添加や、ショ糖などの糖類や、グ
リセロール、ソルビトールなどの多価アルコールの添加
や、カルシウム塩、マグネシウム塩などの無機塩類の添
加などの方法である。特に蛋白質分解酵素では、水溶液
中では酵素相互の作用による失活も起こるため、その安
定化は更に困難であった。
【0004】酵素を油脂中に分散して使用する方法は、
リパーゼなどの脂質関連酵素には適用されていた。しか
しながら、その他の酵素についてはその例は少ない。例
えば、特公昭62−40983号は、蛋白質分解酵素を油脂中
に含む肉の軟化処理剤を開示している。この方法は、液
状の油脂に0.05〜5%の蛋白質分解酵素を加え、常温で
ゆるやかに撹拌するものである。しかし、当該方法では
酵素の溶解はもとより起こらず、酵素は直ちに沈降を始
めるため、畜肉などの基質に均一に酵素を作用させるこ
とは困難である。また、水相の調味液と同時に存在する
場合には、沈降した酵素が水相に移行してしまう欠点を
有する。
【0005】一方、肉の柔軟処理への蛋白質分解酵素の
利用には、その水溶液の塗布などが従来から行われてき
た。最近はこの目的に対して、例えば、特開平7−3131
07号、及び特開平7−313108号は、モノグリセリド、ポ
リカルボン酸のモノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エス
テル、レシチン、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤
と、蛋白質分解酵素とを併用した、主として粉末状の改
質剤を開示している。また、前者では、この改質剤を液
状植物油に配合して使用する例も開示されている。しか
し、これらの液状油中の配合物は、使用時には、加熱し
て攪拌する必要があり、また酵素の沈降を起こし不均一
となる。そこで、実用に当たっては、混合して配合した
直後に肉に使用する必要がある。油脂などの脂質を基質
としない種々の酵素を安定に保持しながら、直ちに使用
し得るような製剤形態には種々の態様があるが、使用す
る油脂が植物油のように常温以下の温度で液体であり、
しかも、分散した酵素が実質的に沈降しない形態の製剤
は、従来は知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、酵素
の水性溶液に代えて、安定的に酵素を利用し得る油性の
酵素剤組成物を提供することを目的としたものである。
また本発明の第二の課題は、液状油の中に加えた酵素を
特定の粉砕機で微粒子化する酵素剤組成物の製造方法に
関する。本発明の第三の課題は、前記の酵素剤組成物の
有効な利用方法に関する。これらの目的を達する最良の
手段の一つは、微粒子化した酵素を、油脂又は界面活性
剤を含む油脂に加え、安定な状態に分散して実質的に沈
降しないようにし、また、同時に酵素活性を安定に維持
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記のとおり本発明者ら
は、水性溶液に代えて、安定的に酵素を利用し得る油性
の製剤化を目的として、鋭意検討を行った。その結果、
例えば油脂中に微粒子化した酵素を混合することによ
り、目的を達することができた。すなわち、平均粒径が
0.5〜10μmの大きさに微粒子化した酵素を、油脂に対
して0.05〜50重量%加え、安定的に分散させてなる酵素
剤組成物である。酵素を粉砕する方法によって、酵素の
平均粒径は変化するが、上記範囲内では実質的に油中で
沈降しない製剤を得ることができ、本発明の第一の部分
を完成した。又、必要に応じて分散、基質への浸透剤等
として界面活性剤を含むこともできる。
【0008】本発明の組成物を得る方法として特に優れ
た方法は、液状油の中に酵素を加え、予備的な分散を行
った上、粉砕機を用いて酵素を微粉砕する方法である。
この方法によって、油性溶液中で酵素が微粒子化して均
一に分散し、かつ実質的に沈降せず、さらに酵素が安定
化するための汎用的な方法が得られた。さらに本発明の
方法は油性液体中の処理であるために、冷却や脱気によ
って、微粒子化処理による発熱や空気酸化による、酵素
の活性低下を容易に避けることができた。また、得られ
た酵素製剤は、長期間その活性を維持することができ
た。すなわち本発明の第二の部分は、液状油中で酵素を
粉砕し、平均粒径0.5〜10μmの大きさに微粒子化し、
酵素を安定的に分散させることを特徴とする酵素剤組成
物の製造方法である。本製造法においては、分散、基質
への浸透剤として界面活性剤を加えて行うこともでき
る。
【0009】さらに、本発明の第三の部分は、前記酵素
剤組成物の酵素として、蛋白質分解酵素、澱粉分解酵
素、繊維素分解酵素、ポリガラクチュロナーゼなどを選
ぶことによって、優れた肉類の柔軟化処理剤や調味液、
製パン改良剤、漬け物の柔軟化剤などを得る利用方法で
ある。
【0010】具体的には、本発明の第一の部分は、(1)
平均粒径0.5〜10μmの大きさに微粒子化した酵素を、
油脂に対して0.05〜50重量%安定的に分散させてなる酵
素剤組成物であり、(2) 平均粒径0.5〜10μmの大きさ
に微粒子化した酵素を、界面活性剤0.1〜20重量%を含
む油脂に対して、0.05〜50重量%安定的に分散させてな
る酵素剤組成物であり、好ましくは、(3) 酵素の平均粒
径が0.5〜5μmの大きさである上述の酵素剤組成物で
あり、(4) 油脂が液状油である上述の酵素剤組成物であ
り、(5) 油脂が液状油であり、界面活性剤が脂肪酸モノ
グリセリド、脂肪酸ジグリセリド、ポリグリセリン脂肪
酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、リン脂質の中から選ばれた1種以上である上
述の酵素剤組成物であり、(6) 酵素が蛋白質分解酵素及
び/又は澱粉分解酵素である上述の酵素剤組成物であ
る。
【0011】本発明の第二の部分は、(7) 液状油に対し
て、0.05〜50重量%の酵素を加え、粉砕機によって酵素
を平均粒径0.5〜10μmの大きさに微粒子化し、酵素を
安定的に分散させることを特徴とする酵素剤組成物の製
造方法であり、(8) 界面活性剤0.1〜20重量%を含む液
状油に対して、0.05〜50重量%の酵素を加え、粉砕機に
よって酵素を平均粒径0.5〜10μmの大きさに微細化
し、酵素を安定的に分散させることを特徴とする酵素剤
組成物の製造法であり、(9) 界面活性剤が、脂肪酸モノ
グリセリド、脂肪酸ジグリセリド、ポリグリセリン脂肪
酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、リン脂質の中から選ばれた1種以上である上
述の酵素剤組成物の製造方法である。
【0012】本発明の第三の部分は(10)上述した酵素剤
組成物を、肉軟化剤として肉に塗布、散布、注入又は肉
片と混合することを特徴とする利用法であり、(11)上述
した酵素剤組成物を、水相からなる調味液の上部に重層
して加えることを特徴とする、肉軟化能を有する調味液
の製造法であり、(12)上述した酵素剤組成物を、使用の
前に水相からなる調味液に加え混合することを特徴とす
る、肉軟化能を有する調味液の製造法であり、(13)酵素
がα−アミラーゼである上述した酵素剤組成物を食用固
形脂と混合して可塑性固形脂となし、パン類の老化防止
剤として使用することを特徴とする利用法である。
【0013】本発明に利用できる酵素としては、動物、
植物及び微生物由来のいずれの酵素でもよいが、脂質
(油脂など)を基質としない酵素が好ましい。酵素は粗
製のものでも、高純度のものでも、また蛋白質系の物質
で、または澱粉系の物質で増量されたものであってもよ
い。例えば、酵素の種類としては、加水分解酵素、酸化
還元酵素、転移酵素などのいずれでもよい。リパーゼや
ホスフォリパーゼのような脂質加水分解酵素であって
も、厳格に無水とすれば本発明の目的を達することがで
きる。具体例をあげるならば、ペプチド系や澱粉など多
糖類や少糖類の加水分解酵素、酸化還元酵素のグルコー
スオキシダーゼなど、転移酵素のトランスグルコシダー
ゼやトランスグルタミナーゼなどである。
【0014】本発明に使用できる油脂としては、食用油
脂としての植物油、動物油脂など液状、半固形、固形の
油脂のいずれでもよく、それらの混合物でもよい。固形
脂としては植物硬化油、パーム油、牛脂、豚脂、乳脂、
などが用いられる。また油中での酵素粉砕を行うには、
室温で液状の植物油などが適する。例えば、ナタネ油、
トウモロコシ油、大豆油、コメ油、綿実油、ゴマ油、オ
リーブ油、ピーナッツ油、ひまわり油、サフラワー油な
どや、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ヤシ油、パーム核
油、及びそれらの混合物やエステル交換油などが望まし
い。液状油の中で粉砕した酵素組成物は、固形脂と配合
することにより、常温で固形の組成物や、さらに急冷可
塑化してショートニング様油脂にすることもできる。
【0015】非食用の酵素用途に対しては、ひまし油、
桐油、パラフィン、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸
の低級アルコールエステルなどを用いることができる。
液中での酵素粉砕には、常温以下で液体である反応性の
少ない油性溶媒を用いることができる。また、非食用用
途では液相油性溶媒に高融点のパラフィンなどを配合し
て、固形化することもできる。
【0016】本発明の酵素剤組成物は必要に応じて界面
活性剤を含有させることもできる。本発明に使用できる
界面活性剤としては、例えば、脂肪酸モノグリセリド、
脂肪酸ジグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、
ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、リ
ン脂質等の中から選ばれた1種以上であり、特に、油中
での界面活性剤の沈降を避けるためには、その界面活性
剤又はそれらの混合物のHLBが8以下、さらに好まし
くは7以下であることが適する。例えば、レシチンなど
HLBが7.5程度である界面活性剤の使用に当たって
は、脂肪酸モノグリセリドなど油溶性の界面活性剤と併
用することで油溶性を向上させることができる。なお、
非食用の酵素剤組成物に使用する界面活性剤としては、
同様に、単独又は混合後のHLBが8、好ましくは7以
下である非イオン性、イオン性の非食用界面活性剤を用
いることができる。
【0017】本発明に使用できる界面活性剤をさらに具
体的に記すると、まず、グリセリンなどの前記多価アル
コール(含む糖類)と、炭素数10〜22の飽和及び/又は
不飽和脂肪酸の、モノ、ジ、ポリエステルおよびこれら
の混合物があげられる。さらにポリグリセリンの縮合リ
シノレン酸エステルも用い得る。また、グリセリンのモ
ノ脂肪酸エステルに、クエン酸、酒石酸、琥珀酸、リン
ゴ酸などのポリカルボン酸の結合した有機酸モノグリセ
リド、大豆リン脂質、大豆リン脂質を分別して得られる
イノシトール脂質、エタノールアミンなどの界面活性
剤、大豆リン脂質とリゾリン脂質の混合物は、いずれも
蛋白質との相互作用を有し、複合体を形成する性質があ
る。このことで、これら酸性界面活性剤は親油基を外側
に配列するので、油中の微粒子分散や、肉類への油脂の
浸透を容易にすると認められ、本発明の目的に適する。
また、前記界面活性剤自体にも肉の軟化、多汁性保持の
効果が知られている(特開平7−313105号及び特開平7
−313106号)ので肉の軟化剤への応用の場合には、その
効果も期待できる。
【0018】本発明に使用する微粒子化した酵素を得る
方法としては、温度上昇が少なく空気酸化を起こさない
ような方法が好ましく、乾式、湿式いずれの方法もとり
得る。乾式では凍結粉砕の手段などをとることで、より
容易に目的を達することができる。例えば、凍結粉砕機
を使用し、液体窒素にて酵素を冷却し、低温の窒素ガス
気流中で微粉砕することで本発明の範囲の酵素微粒子を
得ることができる。さらに、ポットミル粉砕を用い、特
に低温化した酵素粉末を、窒素ガスを充填させた容器内
で微粉砕することで、本発明の範囲の酵素微粒末を得る
ことがことができる。この場合も粗粉砕を行った酵素を
微粉砕することが好ましい。
【0019】また、液状油中で酵素を微粉砕する方法と
しては、コロイドミル、サンドミルなどがあり特定され
ない。しかしこれら液状油による湿式法では、冷却が容
易で、また無気的に冷却した状態で酵素を微粒子化する
ことが可能であり、本発明の実施に適する。またこの場
合、組成物中に分散可能な酵素の量は、油相に対して0.
01〜50重量%になる。例えば、サンドグラインダーの使
用が本発明の目的に適する。尚、微粒子化を行う酵素は
液状油中で、例えば、ホモミキサー等の高速攪拌、その
他の方法によって前処理を行うことが好ましい。
【0020】本発明の酵素微粒子の平均粒径は、種々の
粒度分布測定装置で求められるが、例えば、レーザー解
析粒度測定機を用いて測定することができる。本発明の
酵素は、平均粒径0.5〜10μmの大きさに微粒子化する
必要がある。また、酵素の平均粒径が0.5〜5μmの大
きさにすることが好ましく、本発明の酵素剤組成物は液
状油の場合でも、極めて安定な分散系とすることができ
る。
【0021】当然のことであるが、酵素の粒径は組成物
利用の態様によって、適宜に選定することが好ましい。
より好ましくは、酵素の粒径を約3μm以下とすると、
液状油中での酵素の沈降は実質的に起こらなくなる。微
粉にするほど処理に要する費用と時間が増加する為、平
均粒径で0.5μm以下にする必要はない。組成物の油脂
が常温で固形脂又は半固形状油脂であるならば、加温に
よってそれが液状化したときに、使用時に実質的に均一
な分散が保たれる程度、すなわち、平均粒径10μm以下
の大きさに微粒子化することが適当である。
【0022】酵素の平均粒径が10μm以上である場合
は、液状油中でも数週間は目立った沈降が起こらないこ
とがあるが、水素添加を行った植物油脂など固形脂を加
えたり、油溶性の界面活性剤を添加して、油脂の粘性を
増加させることで、沈降を遅延させることができる。こ
の場合、液状油の水素添加によるトランス酸への異性化
をできるだけ避けた半固形状の油脂を配合すると、広範
囲の温度で液相の流動性を維持しつつ、酵素の沈降を避
けることができる。
【0023】前記の方法で調製した酵素の微粉末を、前
記界面活性剤を添加又は無添加の液状の油脂に加え、攪
拌して本発明の組成物を得る。分散媒が常温で固形脂の
場合は、加温して液状としてから酵素微粉末を添加し、
攪拌によって均一に分散せしめ、放置して冷却するか、
ボテーターやコンビネーターなどの急冷可塑化装置によ
ってショートニング様油脂組成物にする。本発明の油相
中で酵素の微粉末化を行う場合は、前記界面活性剤を添
加又は無添加の液状油中で微粉砕を行えばよい。いずれ
の方法によるにせよ、酵素は油相の0.05〜50重量%に分
散せしめることができる。
【0024】油相に対する酵素の量は、酵素の種類と純
度によって適当な範囲が異なるが、0.05〜50重量%であ
ることが適する。酵素が0.05重量%以下では油相に対す
る酵素活性が少なすぎて不具合になる場合が多く、ま
た、油相中での酵素の微粉末化が非効率的になる。酵素
が50重量%以上では、油相の粘性が高くなりすぎて、液
状の油脂でも流動性が減少して使用が困難になり、又、
液状油中での酵素の微粉砕が困難になる。
【0025】本発明に必要に応じて添加する界面活性剤
の量は、それらの合計量で油脂に対し0.1〜20重量%で
あることが適する。好ましくは油脂に対して0.1〜10重
量%であり、使用する界面活性剤の種類にもよるが、0.
1重量%以下では界面活性剤としての一般機能が不充分
になり、10重量%以上では油脂の風味を害することが多
い。もとより分散剤としての界面活性剤の最適量は、通
常は最大で酵素量の20重量%程度が使用の目安となる。
しかし、組成物の使用目的によって、例えば、パンの老
化防止作用を求める場合は、風味の低下作用が少なく、
また界面活性作用の弱い蒸留された飽和脂肪酸のモノグ
リセリドや、ステアリル乳酸カルシウムなどの界面活性
剤を適宜増量することは差し支えない。
【0026】本発明の酵素剤組成物の利用方法として
は、食品用、医薬用、工業用など多岐にわたる。即ち、
酵素反応の実施において、油脂類が介在しても可能な反
応、及び油脂類の介在が必要である反応における、本発
明の組成物の有用性は大きい。その有効性は以下の、蛋
白質分解酵素組成物の肉軟化剤としての利用、澱粉分解
酵素組成物の製パン改良剤としての利用などによって証
明できる。
【0027】本発明の好適な応用例の一つは肉軟化剤と
しての利用である。この場合、酵素としては、パパイ
ン、ブロメライン、アクチニジン、フィシンなど植物起
源のもの、ペプシン、トリプシンなどの動物起源のも
の、糸状菌プロテアーゼ、放線菌プロテアーゼ、細菌プ
ロテアーゼなどの微生物起源のものが用いられる。しか
し、苦味発生などの見地から、植物由来及び微生物由来
のコウジ菌及び枯草菌の酵素が適する。本発明の組成物
は、食肉100gに対して油脂でおよそ1〜50gの範囲、
市販蛋白質分解酵素の量で0.005〜0.5gであり、200〜2
00,000Uの添加量の範囲であることが適する。この酵素
力価測定は、ミルクカゼインを基質として蛋白質分解酵
素を作用させ、未消化のミルクカゼインをトリクロル酢
酸溶液で沈澱させて除き、可溶性の分解生成物をアルカ
リ性下フォーリン試薬にて発色させ、波長660nmにおけ
る吸光度を測定することで行う。蛋白消化力は、60分間
に反応濾液1ml中にチロシン100μgに相当するアミノ
酸を生成させる酵素量を1単位とし、次式で与えられ
る。 蛋白消化力(単位/g)=(反応溶液の吸光度−ブラン
ク液の吸光度)×n ここで、nは酵素試料溶液の希釈倍数を表す。
【0028】本発明の組成物の使用の対象になる肉類に
は、牛、豚、羊などの畜肉類、ニワトリなどの鳥肉類、
サケなどの魚肉類、イカなどの軟体動物肉類などがあげ
られる。肉は通常種々の形態にカットしたものに使用す
るが、またそれらの挽き肉にも用いることができる。本
発明の組成物は、軟化剤としてこれらの肉類に対して、
塗布、散布、注入又は肉片と混合して利用することがで
きる。また、本発明の組成物を、水相からなる調味液の
上部に重層して加えることで、肉軟化能を有する調味
液、すなわち油相分離型のドレッシング様調味液を得る
ことができる。さらに、これらの組成物を、使用の前に
水相からなる調味液に加え、混合して用いることもでき
る。前記の水相からなる調味液とは、例えば、醤油、た
れ、だし汁、ソース、流動性の味噌だれ、酢味噌などを
いう。前記の種々な組成物は、加熱調理に先立って肉に
作用させることもできるし、調理中に用いることもで
き、また作用させた肉を冷蔵後調理することもできる。
【0029】澱粉分解酵素を含む本発明組成物は、澱粉
食品の加工や調理において、油脂の介在が可能又は必要
なもので、特に遅効的な澱粉の加水分解を望む場合に好
都合である。酵素としては、植物、微生物起源のグルコ
アミラーゼ、α−アミラ−ゼ、β−アミラーゼなどが用
いられる。製パン改良剤としてのα−アミラーゼの利用
は、本発明の好適な例である。パンの老化は、一旦糊化
したアミロースの再結晶によるところが大きい。
【0030】老化防止には、モノグリセリドなどの界面
活性剤の利用と、α−アミラーゼによるアミロースの部
分的加水分解が有効である。例えば、特公平4−24970
号に記載されるように、アミロースの分解によるデキス
トリンの生成が早すぎると、パン生地の軟化やベトツキ
が起こり、製パン性が損なわれるので、α−アミラーゼ
の添加が制限される。この点は、生地段階でのα−アミ
ラーゼの作用を抑制し、パンの焼成時にα−アミラーゼ
を作用させることで解決される。
【0031】老化防止用アミラーゼとしては、コウジ菌
由来及び麦芽のα−アミラーゼが好適である。製パン用
には固形脂が適するので、液状油中に界面活性剤とα−
アミラーゼを含む本発明の組成物を、食用固形脂に加え
て溶解した後、急冷可塑化を行ってショートニングを作
る。小麦粉1kgに対して、ショートニングが20〜50g、
α−アミラーゼが(澱粉糖化力によるアミラーゼ力価と
して)500〜5,000Uの添加になるようにすることが好ま
しい。この酵素力価測定は、1%の可溶性澱粉溶液10ml
に濃度既知の酵素溶液1mlを加え、40℃で10分間で遊離
する糖を、フェーリング溶液と沃化カリウム、チオ硫酸
ナトリウムによる定法で測定する。本条件下10mgのブド
ウ糖に相当する還元力を示す時を1単位とし次式で算出
する。 澱粉糖化力(単位/g)=遊離ブドウ糖(mg)×1/10
W ここで、Wは酵素試料溶液1ml中の酵素量(g)であ
る。
【0032】この方法による組成物は、中種法及びスト
レート法の製パンの生地工程中では、ほとんど酵素が作
用しないので製パン性を損なわず、焼成の段階で澱粉の
加水分解が進みデキストリンが生成する。このことによ
って、従来にない老化の抑制されたパン製品を得ること
ができる。この原因はα−アミラーゼの作用によるばか
りでなく、澱粉の部分分解後には、ゲル化した澱粉の直
鎖の末端部分が増加し、澱粉/界面活性剤の包接による
複合体の生成が促進されるためと推定される。
【0033】
【実施例】以下に実施例、比較例をあげて、本発明の内
容を具体的に説明する。なお以下の文中において、特に
断らない場合は、「%」とは「重量%」を意味し、
「部」とは「重量部」を意味する。なお、本発明は以下
に示す実施例に限定されるものではない。
【0034】実施例1 天野製薬(株)製の蛋白質分解酵素であるパパイン(商
品名パパインW40)を5kgとり、日本酸素(株)社
製の冷凍粉砕機、クライオミールT−250を使用して粉
砕を行った。LEEDS&NORTHRUP社製のマイ
クロトラックMICIIにて粒度測定の結果、固形物の平
均粒径10μmのパパイン酵素微粉末を得た。この酵素微
粉末1g、蛋白消化力による力価400,000U相当量をと
り、200gの日清精油(株)製のサラダオイルに分散さ
せた。分散は、特殊機化工業(株)製のTKホモミキサ
ーMK2を用いて行った。攪拌中は、酵素含有油を冷却
水で冷やしながら室温に保ち、パパイン酵素含有油を得
た。
【0035】実施例2 新日本化学製のグルコアミラーゼ(商品名スミチーム)
を5kgとり、日陶科学(株)社製の磁製ポットミルN−
107に入れ窒素ガス充填下にて粉砕を行った。LEED
S&NORTHRUP社製のマイクロトラックMICII
にて粒度測定の結果、固形物の平均粒径10μmのグルコ
アミラーゼ酵素微粉末を得た。この酵素微粉末1g、澱
粉糖化力による力価で2,000U相当量とり、200gの日清
精油(株)製のサラダオイルに分散させた。分散は、特
殊機化工業(株)製のTKホモミキサーMK2を用い行
った。攪拌中は、酵素含有油を冷却水で冷やしながら室
温に保ち、グルコアミラーゼ酵素含有油を得た。
【0036】実施例3 天野製薬(株)製の蛋白質分解酵素であるパパイン(商
品名パパインW40)を24g、蛋白消化力による力価
で96,000,000U相当量をとり、日清製油(株)社製のサ
ラダオイル240g中に加え、(株)アイメックス社製の
サンドグラインダー6TSG−(1/4G)型を用い粉
砕を行った。LEEDS&NORTHRUP社製のマイ
クロトラックMICIIにて粒度測定の結果、固形物の平
均粒径3μmのパパイン酵素含有油を得た。
【0037】実施例4 新日本化学製のグルコアミラーゼ(商品名スミチーム)
を50g澱粉糖化力による力価で100,000U相当量をと
り、日清製油(株)社製サラダオイル300g中に加え、
(株)アイメックス社製のサンドグラインダー6TSG
−(1/4G)型を用い粉砕を行った。LEEDS&N
ORTHRUP社製のマイクロトラックMICIIにて粒
度測定の結果、固形物の平均粒径5μmのグルコアミラ
ーゼ酵素含有油を得た。
【0038】実施例5 天野製薬(株)製の蛋白質分解酵素であるパパイン(商
品名パパインW40)2g、蛋白消化力による力価で80
0,000U相当量をとり、三菱化学フーズ(株)社製ショ
糖脂肪酸エステル(商品名シュガーエステルS−770)
8gを、日清製油(株)社製サラダオイル192gに溶解
分散した油相に加えた。この油相を特殊機化工業(株)
製TKホモミキサーMK2で予め予備分散を行った後、
その80gを(株)アイメックス社製のサンドグラインダ
ー6TSG−(1/4G)型を用い粉砕を行った。LE
EDS&NORTHRUP社製のマイクロトラックMI
CIIにて粒度測定の結果、固形物の平均粒径3μmのパ
パイン酵素含有油を得た。
【0039】実施例6 天野製薬(株)製のα−アミラーゼ(商品名アミラーゼ
AD)2g、澱粉糖化力による力価で2,100U相当量を
とり、三菱化学フーズ(株)社製ショ糖脂肪酸エステル
(商品名シュガーエステルS−570)4gと太陽化学
(株)社製乳酸モノグリセリド(商品名サンソフトN
O.661AS)4gを、ホーネンコーポレーション社
製サラダオイル192gに溶解分散した油相に加えた。こ
の油相を特殊機化工業(株)製TKホモミキサーMK2
で予め予備分散を行った後、それを直ちに増幸産業
(株)社製のスーパーマイクロイダーMICZA6−5
を用いグラインダーを水冷しながら粉砕を行った。LE
EDS&NORTHRUP社製のマイクロトラックMI
CIIにて粒度測定の結果、固形物の平均粒径5μmのα
−アミラーゼ酵素含有油を得た。
【0040】比較例1 天野製薬(株)製の蛋白質分解酵素であるパパイン(商
品名パパインW40)を0.5g、蛋白消化力による力価
で200,000U相当量をとり、水100mlに溶解させた。
【0041】比較例2 新日本化学製のグルコアミラーゼ(商品名スミチーム)
1g、澱粉糖化力による力価で2,000U相当量をとり、
水100mlに溶解させた。
【0042】「酵素含有油の保存安定性の確認」実施例
1〜6の各種酵素含有油の保存性を確認した。保存条件
は、保存温度を5℃、25℃、37℃とし、保存期間を1日
後、7日後、14日後、30日後とし、それぞれ残存力価測
定を行った。プロテアーゼは蛋白消化力を、アミラーゼ
は澱粉糖化力の残存力価を測定した。比較例として酵素
水溶液の残存力価を測定した(比較例1、2)。その結
果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1から明らかなように油中に酵素を分散
させることによって酵素は溶液状態で長期間安定である
ことが分かる。
【0045】「酵素含有油の分散安定性の確認」実施例
1〜6を25℃にて24時間放置し、酵素含有油の活性測定
と酵素粒径分布の測定を行った。粒度測定はLEEDS
&NORTHRUP社製のマイクロトラックMICIIに
て行った。力価測定、粒径測定とも、酵素含有油の上
部、中部、下部より油を採取し、残存力価測定を行っ
た。比較例として以下に示す比較例3、4とともに酵素
力価、粒径測定結果を表2、表3に示す。
【0046】比較例3 天野製薬(株)製の蛋白質分解酵素であるパパイン(商
品名パパインW40)1g、蛋白消化力による力価で40
0,000U相当量をとり、日清精油(株)製のサラダオイ
ル200gに分散させた。分散は、(株)井内盛栄堂社製
のマグネティックスターラーHS−50Eを用い、室温に
て緩やかに2〜3分攪拌を行い、パパイン酵素含有油を
得た。
【0047】比較例4 新日本化学製のグルコアミラーゼ(商品名スミチーム)
50gを澱粉糖化力による力価 で100,000U相当量をと
り、日清精油(株)製のサラダオイル300gに分散させ
た。分散は、ステンレス製薬匙を用い、室温にて緩やか
に2〜3分攪拌を行い、グルコアミラーゼ酵素含有油を
得た。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表2から明らかなように酵素を微粒子にし
て油に分散した実施例は上部、中部、下部とも近似値を
示し、酵素が沈降せず、均一に分散されていることが分
かる。比較例3、4は下部に酵素が沈澱しており、上
部、中部には酵素力価がなく沈降してしまったことがわ
かる。
【0051】表3から明らかなように微粒子化した酵素
は平均粒径10μm以下ならば沈澱を起こさず均一分散さ
れていることが分かる。市販酵素粉末の平均粒径は比較
例3、4で分かるように20μm程度の大きさであること
が分かる。
【0052】実施例7 厚さ1cmのオーストラリア産牛ステーキ肉150gに対し
て実施例1で調整したパパイン酵素含有油をハケで両面
に5g塗布した後、室温で60分間放置した。これに適当
量の塩、胡椒を振り、220℃に加熱したホットプレート
上で両面に焦げ目がつく程度(3〜5分間)に焼成しス
テーキをつくった。
【0053】比較例5 実施例7において使用した実施例1のパパイン酵素含有
油を比較例3のパパイン酵素含有油に変更した以外は実
施例7と同様にしてステーキをつくった。
【0054】「ステーキ肉の柔らかさの評価」上記のよ
うにして得られたステーキ肉を20人のパネルにより官能
評価を行った。評価は食感について行い、非酵素処理区
に比べて柔らかくなっているかどうかに関して「格段に
柔らかくなっている」を2点、「わずかに柔らかくなっ
ている」を1点、「変わらない」を0点として評価させ
た。3回行い、パネラー20名の平均点を算出した。その
結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】表4からわかるように比較例3を使用して
軟化させたステーキ(比較例5)は、軟化効果がほとん
ど認められず、効果もバラツキがあった。従って、簡単
な攪拌では、酵素による肉の軟化作用にバラツキが起こ
り均一に作用しないことがわかる。対して酵素を微粒子
化したもの(実施例7)は、優れた肉軟化効果を示し、
何回行っても安定な評価を得た。
【0057】実施例8 表5に記した配合の焼き肉用の漬け込みたれをつくっ
た。その漬け込みたれ90gに実施例1でつくったパパイ
ン酵素含有油を10g重層した。このたれを振とうし、水
相に酵素を移行させた状態にし、焼き肉用の厚さ5mmの
米国産モモ肉200gに対してたれ50gを用いて漬け込
み、室温で30分放置した。この肉を220℃のホットプレ
ートで片面1分づつ焼成し、焼き肉をつくった。
【0058】
【表5】
【0059】実施例9 焼き肉用の厚さ5mmの米国産モモ肉200gに対して、表
5に記した配合の焼き肉のたれ45gをからめ、さらに実
施例1でつくったパパイン酵素含有油5gを入れ、箸で
全体によくからめた後、漬け込み、室温で30分放置し
た。この肉を220℃のホットプレートで片面1分づつ焼
成した。
【0060】比較例6及び比較例7 実施例8、実施例9において使用したパパイン酵素含有
油を比較例3のパパイン酵素含有油に変更し、同様にし
て焼き肉をつくった。それぞれ比較例6、比較例7とす
る。
【0061】「焼肉の柔らかさの評価」上記のようにし
て得られた焼き肉を20人のパネルにより官能評価を行っ
た。評価は食感について行い、非酵素処理区に比べて柔
らかくなっているかどうかに関して「格段に柔らかくな
っている」を2点、「わずかに柔らかくなっている」を
1点、「変わらない」を0点として評価させた。3回行
い、パネラー20名の平均点を算出した。その結果を表6
に示す。
【0062】
【表6】
【0063】表6からわかるように比較例3を使用して
軟化させた焼き肉(比較例6、比較例7)は、軟化効果
がほとんど認められず、効果にもバラツキがあった。従
って、簡単な攪拌では、酵素作用にバラツキが起こり均
一に作用しないことがわかる。対して酵素を微粒子化し
たもの(実施例8、実施例9)は、優れた軟化効果を示
し、何回行っても安定な評価を得た。
【0064】実施例10 三共(株)製のコウジ菌α−アミラーゼ(商品名コクラ
ーゼ)を、澱粉糖化力による力価で20,000U相当量をと
り、味の素(株)製大豆レシチン4g、理研ビタミン
(株)製の牛脂脂肪酸モノグリセリド(商品名エマルジ
ーMT)4gを、ナタネ白絞油192gに溶解分散した油
相に加えた。この油相を特殊機化工業(株)製TKホモ
ミキサーMK2で室温にて攪拌を行った後、その80gを
(株)アイメックス社製のサンドグラインダー6TSG
−(1/4G)型で処理した。LEEDS&NORTH
RUP社製のマイクロトラックMICIIにて粒度測定の
結果、固形物の平均粒径3μmのα−アミラーゼ酵素含
有油を得た。
【0065】実施例11 三共(株)製のコウジ菌α−アミラーゼ(商品名コクラ
ーゼ)を、澱粉糖化力による力価で40,000U相当量をと
り、味の素(株)製大豆レシチン8g、理研ビタミン
(株)製の硬化牛脂脂肪酸モノグリセリド(商品名エマ
ルジーMS)8g、牛脂脂肪酸モノグリセリド(商品名
エマルジーMT)10g、武蔵野化学(株)製ステアリル
乳酸カルシウム4gを、ナタネ白絞油170gに溶解分散
した油相に加えた。この油相を特殊機化工業(株)製T
KホモミキサーMK2で室温にて攪拌を行った後、その
80gを(株)アイメックス社製のサンドグラインダー6
TSG−(1/4G)型で処理した。LEEDS&NO
RTHRUP社製のマイクロトラックMICIIにて粒度
測定の結果、固形物の平均粒径10μmのα−アミラーゼ
酵素含有油を得た。
【0066】実施例10及び11のα−アミラーゼ酵素
含有油を用いて、次の表7に示す処方の製パン用ショー
トニング剤を作り、これらをそれぞれ実施例12、13
とする。その方法としては、各油相をステンレス鋼製ビ
ーカーにとり約50℃で溶解の後、寒剤をいれた氷浴中に
冷却しながら激しく攪拌して、急冷可塑化を行った。
【0067】
【表7】
【0068】次に実施例12及び13のショートニング
剤を用いた食パン製造への使用例を示す。食パンの配合
は表8に示す70%中種法によった。
【0069】
【表8】
【0070】イーストフードは各種無機塩45%、L−
アスコルビン酸5%、小麦粉46%を含むものを使用し
た。尚、対照食パンには、実施例ショートニングに代え
て、実施例12と同組成で酵素を含まないものを用い
た。製パン工程は小麦粉全量で3kgを用い10コート縦型
ミキサーにより、定法によって行い、ワンローフ450g
に分割して、ベンチ、成型、ほいろ工程を経て、220
℃、25分で焼成した。製パン試験結果は表9に示した。
【0071】
【表9】
【0072】表中で◎、○、△は良好さの順位を示す。
【発明の効果】本発明によれば、油中に酵素を微粒子化
して酵素を分散すれば、長期に渡って安定で、沈降を起
こすようなことはなかった。又、酵素力価に於いても長
期に渡って安定であり、しかも当然のことながら油中に
於いて均一に力価が認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新美 武 愛知県半田市岩滑中町3丁目215番地(タ ウン66A棟102号)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒径0.5〜10μmの大きさに微粒子化
    した酵素を、油脂に対して0.05〜50重量%安定的に分散
    させてなる酵素剤組成物。
  2. 【請求項2】平均粒径0.5〜10μmの大きさに微粒子化
    した酵素を、界面活性剤0.1〜20重量%を含む油脂に対
    して、0.05〜50重量%安定的に分散させてなる酵素剤組
    成物。
  3. 【請求項3】油脂が液状油である請求項1又は2記載の
    酵素剤組成物。
  4. 【請求項4】界面活性剤が、脂肪酸モノグリセリド、脂
    肪酸ジグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、シ
    ョ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、リン
    脂質の中から選ばれた1種以上である請求項2記載の酵
    素剤組成物。
  5. 【請求項5】油脂に対して、0.05〜50重量%の酵素を加
    え、粉砕機によって酵素を平均粒径0.5〜10μmの大き
    さに微粒子化し、酵素を油脂に安定的に分散させること
    を特徴とする安定分散した酵素剤組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】界面活性剤0.1〜20重量%を含む液状油に
    対して、0.05〜50重量%の酵素を加え、粉砕機によって
    酵素を平均粒径0.5〜10μmの大きさに微粒子化し、酵
    素を分散させることを特徴とする安定分散した酵素剤組
    成物の製造方法。
  7. 【請求項7】界面活性剤が、脂肪酸モノグリセリド、脂
    肪酸ジグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、シ
    ョ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、リン
    脂質の中から選ばれた1種以上である請求項6記載の酵
    素剤組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】酵素が蛋白質分解酵素である請求項1乃至
    4記載の酵素剤組成物。
  9. 【請求項9】請求項8記載の酵素剤組成物を、肉に塗
    布、散布、注入又は肉片と混合することを特徴とする肉
    の軟化方法。
  10. 【請求項10】請求項8記載の組成物を、水相からなる
    調味液の上部に重層してなる調味液。
  11. 【請求項11】請求項8記載の組成物と水相からなる調
    味液を使用時に混合してなる調味液。
  12. 【請求項12】酵素が澱粉分解酵素である請求項1乃至
    4記載の酵素剤組成物。
  13. 【請求項13】請求項12記載の酵素剤組成物を食用固
    形脂と混合して可塑性固形脂となしたパン類の老化防止
    剤。
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