JPH1056948A - 酵素処理小麦粉の製造法 - Google Patents

酵素処理小麦粉の製造法

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JPH1056948A
JPH1056948A JP8239818A JP23981896A JPH1056948A JP H1056948 A JPH1056948 A JP H1056948A JP 8239818 A JP8239818 A JP 8239818A JP 23981896 A JP23981896 A JP 23981896A JP H1056948 A JPH1056948 A JP H1056948A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ない加水量で小麦粉を酵素処理できるよう
にして、乾燥、粉砕等の工程を容易に、短時間で行える
ようにし、しかも、使用に際して水を加えて時間が経過
しても物性等が変化しない酵素処理小麦粉の製造法を提
供する。 【解決手段】 小麦粉に、この小麦粉100 重量部に対し
て3〜30重量部、好ましくは5〜10重量部の酵素溶液を
噴霧して均一に混合し、酵素反応させた後、加熱して酵
素反応を停止させると共に小麦粉を乾燥させ、次いで粉
砕処理することにより、酵素処理小麦粉を得る。小麦粉
を、薄い層状にするか、流動状態にするか、又は飛散状
態にして、酵素溶液を噴霧することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小麦粉に酵素溶液
を添加して酵素処理した後、乾燥、粉砕する酵素処理小
麦粉の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、小麦粉の物性や、小麦粉を適
用する具材の食感を改良するため、小麦粉に酵素を添加
したり、小麦粉を加水処理した後、乾燥することなどが
行われている。
【0003】例えば、特開平6−237722号には、
プロテアーゼと共に、リパーゼ及びα−アミラーゼの少
なくとも一方を含有することを特徴とするカラ揚げ粉が
開示されている。このカラ揚げ粉は、肉等の具材にまぶ
して室温で5分間程度放置した後、油で揚げると、食味
が良好で柔らかい衣と、柔らかでジューシー感に富みば
さつきのない具部分とからなるカラ揚げが得られるとさ
れている。
【0004】また、特開平1−165332号には、小
麦リポキシゲナーゼを小麦粉1g当たり50〜500 ユニッ
ト添加したことを特徴とする改良小麦粉が開示されてい
る。この小麦粉は、製パン時に生地をしめ、パンのボリ
ュームを大きくし、パンの内相の白度を向上させ、しか
も異臭がしないという利点を有するとされている。
【0005】更に、特開昭62−107742号には、
原料小麦粉に40〜500 重量%の加水を行い、均一に混合
した後、小麦粉中の蛋白質及び澱粉が変性しない温度で
乾燥することを特徴とする菓子用小麦粉の製造法が開示
されている。こうして得られた小麦粉は、加工適性が優
れており、この小麦粉を用いることにより、体積が大き
く、しかも内相、食感の優れたケーキ、カステラ等の菓
子類が得られるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平6−23772
2号及び特開平1−165332号に開示された技術で
は、小麦粉に酵素を乾燥状態で添加するだけであるか
ら、その小麦粉に水を添加して生地やバッター液にした
り、その小麦粉を具材にまぶして具材の水分と接触した
ときに、酵素が作用し始めることになる。
【0007】しかしながら、業務用に用いる場合、例え
ば生地やバッター液を作ってから一度に使用することな
く、長い時間をかけて少しずつ使用することが多く、そ
のような場合、時間が経過するにつれて酵素反応が進行
して、生地やバッター液の粘度等の物性が変化してしま
うという不都合があった。
【0008】また、特開昭62−107742号に開示
された改良小麦粉の製造法では、原料小麦粉に40〜500
重量%の加水を行うため、後に乾燥する工程において、
時間がかかり、エネルギーも多量に必要になり、製造コ
ストが高くなるという問題があった。更に、この方法で
は、酵素を用いていないため、酵素処理による特別な効
果は期待できなかった。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、少ない加水量で小麦粉を酵素処理で
きるようにして、乾燥、粉砕等の工程を容易に、短時間
で行えるようにし、しかも、使用に際して経時変化しな
い、一定の物性の小麦粉を得ることができる酵素処理小
麦粉の製造法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第1は、小麦粉に、この小麦粉100 重量部
に対して3〜30重量部の酵素溶液を噴霧して均一に混合
し、酵素反応させた後、加熱して酵素反応を停止させる
と共に小麦粉を乾燥させ、次いで粉砕処理することを特
徴とする酵素処理小麦粉の製造法を提供するものであ
る。
【0011】本発明の第2は、上記発明において、0.00
1 〜1.0 重量%の酵素を含む酵素溶液を用い、前記酵素
反応を小麦粉温度30〜70℃で、10〜100 分間行い、前記
酵素反応停止及び乾燥を小麦粉温度75〜150 ℃で、10〜
60分間行う酵素処理小麦粉の製造法を提供するものであ
る。
【0012】本発明の第3は、上記各発明において、前
記酵素溶液中の酵素が、プロテアーゼ、リパーゼ、リポ
キシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、アミラーゼ、ヘ
ミセルラーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、グルコー
スオキシダーゼから選ばれた少なくとも一種である酵素
処理小麦粉の製造法を提供するものである。
【0013】本発明の第4は、上記各発明において、前
記小麦粉を、薄い層状にするか、流動状態にするか、又
は飛散状態にして、前記酵素溶液を噴霧する酵素処理小
麦粉の製造法を提供するものである。
【0014】本発明の第5は、上記各発明において、前
記酵素溶液の添加量を、小麦粉100重量部に対して5〜1
0重量部とする酵素処理小麦粉の製造法を提供するもの
である。
【0015】本発明の第1によれば、小麦粉に酵素溶液
を噴霧して均一に混合し、酵素反応させるようにしたの
で、小麦粉100 重量部に対して酵素溶液3〜30重量部と
いう少ない加水量でも、酵素反応を効果的に進行させ
て、改良された小麦粉を作ることができる。そして、加
水量が少ないので、酵素処理後の乾燥工程を容易に短時
間で行うことができ、また、ドウが形成されにくく固ま
りにくいので、粉砕工程も容易に短時間で行うことがで
きる。
【0016】本発明の第2によれば、0.001 〜1.0 重量
%の酵素を含む酵素溶液を用い、酵素反応を小麦粉温度
30〜70℃で、10〜100 分間行い、酵素反応停止及び乾燥
を小麦粉温度75〜150 ℃で、10〜60分間行うようにした
ので、酵素反応を適切に進行させ、かつ、酵素反応の停
止と乾燥を確実に行うことができる。
【0017】本発明の第3によれば、プロテアーゼ、リ
パーゼ、リポキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、ア
ミラーゼ、ヘミセルラーゼ、アスコルビン酸オキシダー
ゼ、グルコースオキシダーゼから選ばれた少なくとも一
種の酵素を用いることにより、小麦粉中の蛋白質、脂
質、澱粉質等、酵素処理したい成分に応じて酵素を選択
することができ、所望の物性の小麦粉を得ることができ
る。
【0018】本発明の第4によれば、小麦粉を、薄い層
状にするか、流動状態にするか、又は飛散状態にして、
酵素溶液を噴霧することにより、少ない加水量でも、小
麦粉に酵素を均一に混合することができる。
【0019】本発明の第5によれば、酵素溶液の添加量
を、小麦粉100 重量部に対して5〜10重量部とすること
により、酵素反応後の乾燥、粉砕処理を更に容易に短時
間で行うことが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において、小麦粉の種類、
等級等は限定されず、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉
等のいずれであってもよい。ただし、揚げ物の衣、菓子
などの用途に用いる小麦粉の改良の場合には、薄力粉を
用いることが好ましい。
【0021】また、酵素の種類も特に限定されず、目的
とする改良小麦粉に応じて適宜選択すればよいが、例え
ば、プロテアーゼ、リパーゼ、リポキシダーゼ、トラン
スグルタミナーゼ、アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、アス
コルビン酸オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等か
ら選ばれたものが好ましく使用される。
【0022】酵素として、例えばプロテアーゼを用いた
場合には、小麦粉中のグルテンを加水分解することによ
り、粘性の低い生地又はスラリーを得ることができる。
それによって、天ぷらなどの揚げ物に使用することによ
り、衣のサクサク感を向上させ、揚げた後に時間が経っ
ても、衣の食感を良好に維持することができ、ホワイト
ソースなどのソース基材に用いた場合には、サラッとし
た食感になり、ケーキ、クッキーなどの菓子に用いた場
合には、サク味がでて、口どけがよくなるという効果が
得られる。
【0023】また、酵素としてリポキシダーゼを用いた
場合には、小麦粉中の脂質、特に不飽和脂肪酸が酸化さ
れるので、生地が白くなり、生地感(生地のしまり)が
改良され、生地のミキシング耐性も向上し、内相の白
い、膜延びのよいベーカリー製品を製造できるという効
果が得られる。
【0024】上記の各酵素は、いずれも市販されてお
り、当業者が容易に入手することができる。例えば、プ
ロテアーゼとしては、「プロチン」(商品名、大和化成
製)、「ヌクレイシン」(商品名、阪急バイオインダス
トリー社製)、「ニュートラーゼ」(商品名、ノボノル
ディスクバイオインダストリー社製)、「オリエンター
ゼ22BF」(商品名、阪急バイオインダストリー社
製)「VERON P」(商品名、レーム社製)、「V
ERON W」(商品名、レーム社製)等の細菌プロテ
アーゼ、「アクチナーゼAS」(商品名、科研製薬製)
等の放線菌プロテアーゼ、「プロテアーゼ アマノ」
(商品名、天野製薬製)、「コクラーゼSS」(商品
名、三共製)、「スミチーム LPL」(商品名、新日
本化学工業製)、「XP−415」(商品名、ナガセ生
化学工業製)、「VERON PS/PS10」(商品
名、レーム社製)等のかびプロテアーゼ、「精製パパイ
ン」(商品名、朝日ビール食品製)、「パパインW−4
0」(商品名、天野製薬製)、「食品用精製パパイン」
(商品名、ナガセ生化学工業製)、「COROLASE
P」(商品名、レーム社製)等のパパイン、「プロメ
ライン」(商品名、バイオコン社製)等のプロメライン
などを用いることができる。
【0025】また、リパーゼとしては、例えば、「タリ
パーゼ」(商品名、田辺製薬製)、「リパーゼ アマ
ノ」(商品名、天野製薬製)、「リパーゼOF、MY」
(商品名、名糖産業製)、「ホスホリパーゼ」(商品
名、名糖産業製)等を用いることができる。更に、リポ
キシダーゼとしては、「DOSOY」(商品名、日本バ
イオコン製)等、トランスグルタミナーゼとしては、
「アクティバ」(商品名、味の素株式会社製)等、アミ
ラーゼとしては、「コクラーゼ」(商品名、三共製)
等、ヘミセルラーゼとしては、「スミチームX」(商品
名、新日本化学工業製)等、アスコルビン酸オキシダー
ゼとしては、「ASOナガセ」(商品名、長瀬産業製)
等、グルコースオキシダーゼとしては「ハイデラーゼ」
(商品名、天野製薬製)等を用いることができる。
【0026】酵素溶液の濃度は、それぞれの酵素の力価
に応じて、目的とする酵素処理効果が得られるように適
宜設定すればよいが、通常、0.001 〜1.0 重量%とする
ことが好ましい。
【0027】酵素溶液の添加量(すなわち加水量)は、
小麦粉100 重量部に対して3〜30重量部、好ましくは5
〜10重量部とする。酵素溶液の添加量が3重量部未満で
は、酵素溶液が小麦粉全体にいきわたらないので、酵素
反応を効果的に行わせることが困難であり、30重量部を
超えると、酵素処理後の乾燥に時間がかかり、また、ド
ウができて固まるため、粉砕が困難になるので好ましく
ない。
【0028】小麦粉への酵素溶液の添加、混合方法とし
ては、少ない加水量で酵素をできるだけ均一に混合する
ため、小麦粉を、薄い層状にするか、流動状態にする
か、又は飛散状態にして、酵素溶液を噴霧することが好
ましい。このような混合方法を工業的に実施するには、
例えば「ターピュライザー」(商品名、ホソカワミクロ
ン製)、「マッハミキサー」(商品名、イソベ麺機
製)、「フロージェッター」(商品名、ニップン機工
製)等の瞬間混合器を用いることが好ましい。
【0029】上記のようにして小麦粉に酵素溶液を混合
した後、好ましくは小麦粉温度30〜70℃で、10〜100 分
間保持して酵素反応させる。上記温度が30℃未満の場合
には、酵素が短時間で十分に作用しにくく、70℃を超え
る場合には、酵素が失活し始めるので好ましくない。ま
た、上記時間が10分間未満の場合には、酵素が十分に作
用せず、100 分間を超えると、生産性が低下するので好
ましくない。
【0030】こうして酵素処理した後、好ましくは小麦
粉温度75〜150 ℃で、10〜60分間保持して酵素反応を停
止させると共に、小麦粉を乾燥させる。上記温度が75℃
未満では、酵素反応が確実に停止しないことがあり、15
0 ℃を超えると、小麦粉が焙焼されて着色することがあ
るので好ましくない。また、上記時間が10分間未満の場
合には、酵素反応が確実に停止しないことがあり、60分
間を超えると、熱エネルギーの浪費となり、小麦粉が焙
焼されて着色することがあるので好ましくない。なお、
乾燥は、通常の小麦粉と同様の水分含量、すなわち、水
分量14〜15重量%前後まで行うことが好ましい。
【0031】酵素反応処理と、酵素反応停止及び乾燥処
理とは、別々の装置に入れてそれぞれ行うこともできる
が、工業的には、例えば、パドルドライヤー(奈良機械
製作所製)、流動層乾燥機(大河原製作所製)、気流乾
燥機(大河原製作所製)等の温度コントロールが可能な
装置を用いて連続して行うことが好ましい。
【0032】上記のようにして酵素処理を終了し、乾燥
した小麦粉は、多少固まり(ダマ)ができているので、
粉砕処理して、通常の小麦粉と同様な粉状とする。粉砕
処理は、小麦粉の固まりを粉砕又は解砕して粉状にでき
るものであればよく、例えばピンミル(マキノ産業
製)、アトマイザー(東京アトマイザー製)、パルペラ
イザー(ホソカワミクロン製)等を用いて行うことがで
きる。
【0033】本発明の酵素処理小麦粉の製造法により得
られた酵素処理小麦粉は、例えば、天ぷら粉、唐揚粉等
の揚げ物用粉、ホワイトソース等のソース基材、スポン
ジケーキ、クッキー等の菓子原料等、小麦粉を原料とす
る各種の用途に用いることができる。なお、使用した酵
素の種類に応じて、改良効果が異なるので、それぞれに
適した用途に用いることが好ましい。
【0034】
【実施例】
実施例1 プロテアーゼ(商品名「パパインW−40」、天野製薬株
式会社製)1gを、蒸留水50gに溶解させて酵素溶液を
得た。
【0035】薄力粉を、厚さ1〜2cmで、なるべく均一
になるように広げた後、薄力粉(商品名「ホワイトフェ
ザー」、日東製粉製)100 重量部に対して5重量部の酵
素溶液を、噴霧器を用いて均一に噴霧し、均一に混合し
た。
【0036】こうして酵素溶液を混合した薄力粉700 g
をビニール袋に入れて密閉し、60℃にセットした電気乾
燥機(商品名「DN−60」、ヤマト科学株式会社製)に
入れて、90分間保持して、酵素反応させた。この時、粉
温は、50〜55℃となった。
【0037】その後、この薄力粉をビニール袋から取り
出し、蓋を開けた容器に入れ替えて再び電気乾燥機に入
れ、90℃にセットして、45分間保持した。電気乾燥機を
90℃にセットして、25分後に粉温が75℃に到達し、それ
から更に20分後に80〜85℃となった。
【0038】加熱処理終了後、電気乾燥機から取り出し
て放冷し、粉砕機(商品名「サイクロテック」、ティケ
ーター社製)で粉砕して、通常の薄力粉と同粒度の粉状
として、プロテアーゼ処理薄力粉(酵素処理薄力粉)を
得た。
【0039】試験例1 実施例1で得られたプロテアーゼ処理薄力粉について、
ゲル濾過クロマトグラフィーを行い、小麦蛋白がどの程
度酵素処理されているかをみた。なお、比較のため、実
施例1で得られたプロテアーゼ処理薄力粉以外について
も、同様な試験を行った。試験したサンプルは以下の通
りである。
【0040】A:実施例1において、酵素溶液を水に代
え、あとは実施例1と同様に処理したもの。 B:未処理薄力粉(商品名「ホワイトフェザー」、日東
製粉製)。 C:実施例1で得られたプロテアーゼ処理薄力粉。 D:実施例1において、薄力粉に酵素溶液を噴霧、混合
するのではなく、薄力粉1000gに、酵素粉末「パパイン
W−40」1gを混合した後、水50gを添加し、あとは実
施例1と同様に処理したもの。 E:使用酵素「パパインW−40」自体。
【0041】上記サンプルを5g採取して、pH7.0 のリ
ン酸緩衝液25mlを加え、5℃下に、1時間撹拌して可溶
化画分を抽出した後、8000rpm.で10分間遠心分離し、上
清をゲル濾過カラムにチャージした。なお、ゲル濾過ク
ロマトグラフィーは、「Superdex 75 Hi-load 16/60」
(商品名、Pharmacia 製)を用い、0.15M NaCl+50mMリ
ン酸緩衝液(pH7.0 )で溶出することにより行った。こ
の結果を図1に示す。なお、図1中のA〜Eは、上記サ
ンプルA〜Eに対応する。
【0042】図1の結果から、ゲル濾過クロマトグラフ
ィーにおいて、Cの実施例1で得られたプロテアーゼ処
理薄力粉のみピークが出現し、小麦蛋白が分解されてい
ることがわかる。また、Dの薄力粉に酵素粉末「パパイ
ンW−40」を混合した後、水を加えて処理したものには
ピークがなく、小麦蛋白は分解されていないことがわか
る。
【0043】試験例2 実施例1で得られたプロテアーゼ処理薄力粉と、未処理
薄力粉とを用いた天ぷら用バッターで、エビの天ぷらを
製造した。
【0044】天ぷら用バッターは、プロテアーゼ処理薄
力粉又は未処理薄力粉90重量部、コーンスターチ10重量
部、ベーキングパウダー1.5 重量部とを混合した粉ミッ
クス100 gに対して、冷水130 〜150 gを加え、ホイッ
パーを用いて撹拌して調製した。
【0045】これらのバッターについて、バッター調製
した後、0分後、15分後、30分後、45分後、 及び60分後
に、B型粘度計(芝浦システム社製)のロータ No.2を
用いて、6rpm 、12rpm の条件で粘度を測定したとこ
ろ、いずれのバッターも粘度の経時的変化は起こらなか
った。
【0046】これらの天ぷら用バッターを用いて、エビ
の天ぷらを調製し、製造直後のもの、製造後、6時間放
置したもの、製造後、冷凍し、再フライしたものについ
て、6人のパネラーに試食させて食感を評価させた。
【0047】その結果、プロテアーゼ処理薄力粉を用い
た天ぷらの衣は、未処理薄力粉を用いた天ぷらの衣よ
り、サク味のある食感であり、口どけがよいという評価
を得た。また、プロテアーゼ処理薄力粉を用いた天ぷら
の衣は、製造後、6時間放置したもの、及び製造後、冷
凍し、再フライしたものについても、サク味のある良好
な食感が得られたが、未処理薄力粉を用いた天ぷらの衣
では、食感がべたつき、サク味が著しく低下していた。
【0048】試験例3 通常の未処理薄力粉に、実施例1で得られたプロテアー
ゼ処理薄力粉を10重量%、20重量%、30重量%配合した
薄力粉を用いてスポンジケーキを製造した。なお、比較
のため、未処理薄力粉のみを用いたもの(対照)も製造
した。
【0049】上白糖100 重量部と、全卵100 重量部とを
混合して、比重0.28〜0.29のクリームマスを製造し、次
いで、上記各種の薄力粉100 重量を静かに混合し、水40
重量部を加えた後、型に入れ、180 ℃で、30分間焼成し
て、各種のスポンジケーキを得た。
【0050】得られたスポンジケーキを、6人のパネラ
ーに試食させて、外観、食感を評価させた。その結果を
表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1の結果から、未処理薄力粉に、実施例
1で得られたプロテアーゼ処理薄力粉を10重量%、20重
量%、30重量%配合した薄力粉を用いて製造したスポン
ジケーキは、いずれも、外観は未処理薄力粉のみを用い
て製造したスポンジケーキ(対照)と変わらないが、食
感は、対照より口どけがよく、サクみがあることがわか
る。
【0053】実施例2 リポキシダーゼ(Feinbiochemica GmbH & Co製)200mg
を、蒸留水100ml に溶解させて酵素溶液を得た。
【0054】薄力粉(商品名「ホワイトフェザー」、日
東製粉製)2000gを、厚さ約2cmで、なるべく均一にな
るように広げた後、上記で得られた酵素溶液を、噴霧器
を用いて均一に噴霧し、均一に混合した。
【0055】こうして酵素溶液を混合した薄力粉をビニ
ール袋に入れて密閉し、60℃にセットした実施例1と同
様の電気乾燥機に入れて、60分間保持して、酵素反応さ
せた。この時、粉温は、50〜55℃となった。
【0056】その後、この薄力粉をビニール袋から取り
出し、蓋を開けた容器に入れ替えて再び電気乾燥機に入
れ、90℃にセットして、45分間保持した。電気乾燥機を
90℃にセットして、25分後に粉温が75℃に到達し、それ
から更に20分後に80〜85℃となった。
【0057】加熱処理終了後、電気乾燥機から取り出し
て放冷し、実施例1と同様の粉砕機で粉砕して、通常の
薄力粉と同粒度の粉状として、リポキシダーゼ処理薄力
粉(酵素処理薄力粉)を得た。
【0058】試験例4 薄力粉として、未処理薄力粉(商品名「ホワイトフェザ
ー」、日東製粉製)だけのもの(対照)、未処理薄力粉
50重量部に、実施例2で得られたリポキシダーゼ処理薄
力粉を50重量部配合したもの、実施例2で得られたリポ
キシダーゼ処理薄力粉だけのものの三種類を用いて、表
2の配合割合で、クッキーを製造した。なお、ミルク溶
液は、脱脂粉乳を5重量倍の水に溶解させた溶液であ
る。
【0059】
【表2】
【0060】まず、食塩と、砂糖と、ショートニング
と、重曹とを混合し、低速で3分間、1分毎にかきおと
しながらミキシングし、次いで、水と、ミルク溶液とを
加えて、低速で1分間、中速1分間、1分毎にかきおと
しながらミキシングし、更に、薄力粉を加えて、低速で
2分間、30秒毎にかきおとしながらミキシングしてクッ
キー生地を得た。
【0061】得られたクッキー生地をほぼ6等分にし
て、それぞれアルミ板の上に載せ、掌で軽く抑えた後、
6mm厚のガードを用い、ローラで伸ばして生地厚さ7mm
とし、直径60mmの丸型を用いて型抜きし、抜き型の周り
の余分な生地は取り除いた。
【0062】型抜きした生地を、ロータリーオーブンに
入れ、210 ℃で、10分間焼成してクッキーを得た。
【0063】得られたクッキーを、「American associa
tion of cereal chemists approvedmethod 」の「10-50
D」の方法に準拠してクッキー試験を行い、生地の物
性、クッキー表面のひび割れ、食味・食感を評価した。
これらの結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】表3の結果から、未処理小麦粉にリポキシ
ダーゼ処理小麦粉を配合することにより、生地の物性、
クッキーの表面のひび割れ、食味・食感のいずれもがよ
くなり、酵素処理小麦粉のみにすると更によくなること
がわかる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の酵素処理
小麦粉の製造法によれば、小麦粉に酵素溶液を噴霧して
均一に混合し、酵素反応させるようにしたので、小麦粉
100 重量部に対して酵素溶液3〜30重量部という少ない
加水量でも、酵素反応を効果的に進行させて、改良され
た小麦粉を作ることができる。そして、加水量が少ない
ので、酵素処理後の乾燥、粉砕工程を、容易に、短時間
で行うことができる。また、酵素処理した後、酵素反応
を停止させ、乾燥、粉砕するので、使用に際して加水し
た状態で時間が経過しても、物性が変化することがな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵素処理小麦粉の製造法の一実施例に
より得られた小麦粉と、比較のための試験標品とをゲル
濾過クロマトグラフィーにかけたときの流出パターンを
示す図表である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦粉に、この小麦粉100 重量部に対し
    て3〜30重量部の酵素溶液を噴霧して均一に混合し、酵
    素反応させた後、加熱して酵素反応を停止させると共に
    小麦粉を乾燥させ、次いで粉砕処理することを特徴とす
    る酵素処理小麦粉の製造法。
  2. 【請求項2】 0.001 〜1.0 重量%の酵素を含む酵素溶
    液を用い、前記酵素反応を小麦粉温度30〜70℃で、10〜
    100 分間行い、前記酵素反応停止及び乾燥を小麦粉温度
    75〜150 ℃で、10〜60分間行う請求項1記載の酵素処理
    小麦粉の製造法。
  3. 【請求項3】 前記酵素溶液中の酵素が、プロテアー
    ゼ、リパーゼ、リポキシダーゼ、トランスグルタミナー
    ゼ、アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、アスコルビン酸オキ
    シダーゼ、グルコースオキシダーゼから選ばれた少なく
    とも一種である請求項1又は2記載の酵素処理小麦粉の
    製造法。
  4. 【請求項4】 前記小麦粉を、薄い層状にするか、流動
    状態にするか、又は飛散状態にして、前記酵素溶液を噴
    霧する請求項1〜3のいずれか1つに記載の酵素処理小
    麦粉の製造法。
  5. 【請求項5】 前記酵素溶液の添加量を、小麦粉100 重
    量部に対して5〜10重量部とする請求項1〜4のいずれ
    か1つに記載の酵素処理小麦粉の製造法。
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