JP2003219826A - 油ちょう食品用バッターおよび油ちょう食品の製造方法 - Google Patents

油ちょう食品用バッターおよび油ちょう食品の製造方法

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JP2003219826A
JP2003219826A JP2002020403A JP2002020403A JP2003219826A JP 2003219826 A JP2003219826 A JP 2003219826A JP 2002020403 A JP2002020403 A JP 2002020403A JP 2002020403 A JP2002020403 A JP 2002020403A JP 2003219826 A JP2003219826 A JP 2003219826A
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Akiko Morita
晶子 森田
Hiroyuki Nakakoshi
裕行 中越
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加熱調理後、長時間経過しても、また解凍工程
などによっても衣の食感が向上、維持された油ちょう食
品を得ること。 【解決手段】蛋白質を含む穀粉素材からなるバッターに
トランスグルタミナーゼを添加し、バッター中で蛋白質
に対する架橋反応を進め、続いてバッターを具材に付着
させて油ちょうさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は油ちょう食品用バ
ッターおよび油ちょう食品の製造方法、より詳しくはト
ランスグルタミナーゼを使用し衣の食感が改善された、
油ちょう食品用バッターおよび油ちょう食品の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】 油ちょう食品の製造に使用されるバッ
ター用粉に要求される品質特性は、具への衣付きが良い
こと、食感がよりサクサクになること、油ちょう後の保
存期間中にサクサク感の低下が少ないこと、油ちょう食
品を冷凍保存し、電子レンジで再加熱したときの食感の
劣化が少ないことが挙げられる。特に、油ちょう後の保
存ならびに再加熱による食感劣化はその商品価値を大幅
に低下させるため、食感劣化を防止することは、近年の
油ちょう済み加工食品の普及に伴い特に重要な課題とな
ってきている。特に近年市場が拡大している冷凍油ちょ
う食品においては、長期間の冷凍保存による衣への水分
移行と、オーブントースターや電子レンジによる再加熱
により、衣の食感が柔らかくなることが大きな課題とな
っている。
【0003】 更に、日販品等の常温流通される天ぷ
ら、カツ、コロッケなど、再加熱を行わずに食すること
のある揚げ物では、油ちょう後の時間経過と共に具材か
ら衣に水分が移行し、揚げたての衣の好ましい食感が損
なわれた状態となることが問題とされている。また、汁
物に乗せて食する揚げ物においては、汁物の上にのせて
もサクサクした食感を長い間維持することが求められて
いる。特に即席麺に添付される「乾燥かき揚げ」などの
天ぷら様油ちょう乾燥具材は、この性質が強く求められ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような課題に対
し、これまでにも化工澱粉や乳化剤、各種蛋白質素材を
バッターに配合して、サクサク感を向上させ、または保
存時の食感の劣化を抑制するさまざまな工夫がなされて
きた。しかし、これらの素材はそれ独特の風味や食感を
もっており、バッターに配合すると油ちょう食品に異風
味や不自然な食感を与えるものが多く配合量が限られる
ため、十分な効果を発揮させることができないことが少
なくない。このように従来の技術では現在のニーズに対
しては満足すべき効果が得られていないのが実状であ
る。
【0005】 一方、蛋白質を架橋結合する作用を持つ
酵素、トランスグルタミナーゼ(以下「TG」と略す場
合がある)を用いて、油ちょう食品の品質を改良しよう
とする試みが報告されている。特開平9−299041
では、トランスグルタミナーゼで改質処理した蛋白質を
油ちょう食品用バッターに添加することで、油ちょう食
品の品質を向上させている。このTGによる品質改良
は、様々な産業上の利点がある。第一に、他の改質剤よ
りも比較的微量な酵素添加量で効果を示し、また食品蛋
白質に直接トランスグルタミナーゼが作用して効果を示
すので、食感への悪い影響は比較的少ない。例えば増粘
多糖類をバッターに添加して物性改良したときなどは、
増粘多糖類自体の糊的食感の為に、必ずしも全体として
の品質向上につながらない場合がある。第二には、いわ
ゆる食品添加物の摂取をなるべく減らそうとしている消
費者のニーズに対して、このような酵素の使用は、天然
感があり、商品の高付加価値化にもつながる。既に、天
然の微生物由来のトランスグルタミナーゼが商業化され
ており、各種食品加工に広く利用されている。
【0006】 このように利点が多いと考えられるトラ
ンスグルタミナーゼを利用した油ちょう食品は、実際に
これを利用した商品はまだ市場にあまり出回っていな
い。その原因として、トランスグルタミナーゼによる蛋
白質の改質処理は労力がかかり、コスト高になる為であ
る。すなわち、実際の油ちょう食品の製造においては、
トランスグルタミナーゼを添加した効果が得られるにし
ても、産業的価値をもつほどの大きさではない、という
ことである。もちろん、トランスグルタミナーゼは酵素
であるので、より大きな効果を得るためには、蛋白質の
処理時のトランスグルタミナーゼ添加量を多くする、反
応時間を長くする、処理蛋白質のバッターへの配合量を
多くするなどの手段がある。しかし、これらは、産業的
観点から見ると、最終製品のコストアップにつながり、
好ましくない。このような背景から、より実際的な効果
が得られるようなトランスグルタミナーゼの油ちょう食
品への利用方法が望まれていた。
【0007】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、これらの課
題を克服すべく鋭意検討を行った結果、バッター中の蛋
白質にトランスグルタミナーゼを作用させ、それらに架
橋結合を形成させた上で、常法に従い油ちょう食品を製
造することにより、上述の諸欠点を克服できることを新
たに見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発
明は、バッターにトランスグルタミナーゼを添加し、バ
ッター中で穀粉中の蛋白質に対する架橋反応を進めるこ
とを特徴とする油ちょう食品用バッターおよび、そのバ
ッターを具材に付着させた後、油ちょうすることを特徴
とする油ちょう食品に関するものである。
【0008】 トランスグルタミナーゼを用いた油ちょ
う食品についてすでに開示されている技術があるが、そ
れらとの違いを次に述べる。特開平9−299041で
は、トランスグルタミナーゼ処理を施した蛋白質素材を
添加することにより、水分移動に伴う食感劣化を抑制さ
れた油ちょう食品を提供している。特開平9−2990
41には、処理蛋白質中のトランスグルタミナーゼ活性
については一切述べていないが、一般的に酵素処理蛋白
質素材は、酵素反応を施した後に、殺菌工程を経るの
で、得られた蛋白質素材中のトランスグルタミナーゼは
完全に失活しているのが一般的である。従って、特開平
9−299041によると、バッター中でトランスグル
タミナーゼによる架橋反応は進まない。ゆえに、バッタ
ーにトランスグルタミナーゼを直接添加し、バッター内
で蛋白質間の架橋反応を進める本発明とは作用機構が全
く異なる。また、架橋反応によって形成される蛋白質マ
トリクスについて言及すると、特開平9−299041
では高分子化された蛋白質が他の高分子成分とは独立し
てバッター中に分散しているのに対し、本願のバッター
では澱粉など他の高分子成分の共存下で架橋反応が進む
ため、それら他の高分子成分を包含した形態のマトリク
ス構造が形成されると推測される。さらに、前者はあら
かじめ蛋白質素材を処理する工程が必要であるため、効
果を奏するに必要な労力やコストは本発明を大幅に上回
る。さらに、特開平9−299041の明細書中ではト
ランスグルタミナーゼ処理蛋白素材をバッターに添加し
た際の効果について実施例には何ら記載されておらず、
本発明の効果を想起させる記述は全くみられない。
【0009】 特開平6−78663は、ドーナツミッ
クスにトランスグルタミナーゼを添加混練し、油ちょう
することにより、油ちょう後の吸油率が低減されたドー
ナツが得られることを開示している。この発明は、穀粉
と水とトランスグルタミナーゼで構成され、その後油ち
ょうを行う点で本発明と共通する。しかし、ドーナツ生
地とバッターでは望ましい物性(粘度)が全く異なり、
ゆえにそれぞれに適した加水量は全く異なる。また、本
発明は衣としての食感の改良とその経時的な食感劣化を
抑制することを目的としているのに対し、特開平6−7
8663は、ドーナツの食感を変えずに吸油率を下げる
ことを目的としており、構造、目的および効果は両者で
全く異なる。このように、特開平6−78663には本
発明を想起させる記述は全くみられない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の対象とする油ちょう食品とは、穀粉とト
ランスグルタミナーゼと水(溶き水)を主体とする液状
またはペースト状のバッター(衣液)を具材に付着もし
くは混合し、天ぷらやフリッターの場合はそのまま、フ
ライの場合はさらにパン粉を付着させて、油で揚げてつ
くった、天ぷら、フライ、かつ、からあげ、フリッター
などを指す。
【0011】 本発明の油ちょう食品の製造方法につい
て説明する。まず、具材に打ち粉を付ける。この作業は
必須でないが、打ち粉をしたほうが、バッターを十分に
付着させることができ、さらに衣剥がれしにくい。打ち
粉の種類には制限は無く、小麦粉、澱粉、蛋白質素材な
どが使用できる。
【0012】 本発明のバッターに使用される穀粉とし
ては、主として小麦粉であるが、それ以外に、大麦粉、
ライ麦粉、はと麦粉、とうもろこし粉、じゃがいも粉、
サツマイモ粉、米粉などが使用できる。小麦粉としては
薄力小麦粉、中力小麦粉、強力小麦粉のいずれも使用す
ることができるが、薄力粉が望ましい。
【0013】 なお、本発明のバッターに更に添加使用
される他の原料としては、一般的にバッター原料として
使用されているものを用いることができる。例えば、重
曹、ベーキングパウダー、イスハタ、焼きみょうばんな
どの膨張剤、小麦蛋白、カゼイン、グルテン、粉末大豆
蛋白、粒状大豆蛋白、卵黄、全卵、卵白、ホエー蛋白、
血漿蛋白、ゼラチン、各種の蛋白分解物、などの蛋白質
素材(液状、粉末問わず)およびその分解物、リン酸エ
ステル化澱粉、酢酸エステル化澱粉、ヒドロキシプロピ
ル化澱粉などの化工澱粉、シュガーエステル、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルなどの乳化剤、キサンタンガム、
アラビアガム、ジェランガム、ペクチン、カラギーナ
ン、セルロース、デキストリンなどの増粘剤、各種油
脂、微粒パン粉、調味料、食塩、香辛料などが挙げられ
る。蛋白質素材のなかで、カゼイン、大豆蛋白、ゼラチ
ンはトランスグルタミナーゼによる架橋反応を受けやす
く、トランスグルタミナーゼと併用すると効果が大きく
現れやすい。
【0014】 増粘多糖類は、バッターの粘度を上げて
その付着量を増やし、パン粉を付けやすくしたり、油ち
ょう食品の大きさを増やしたりする目的で使用される。
トランスグルタミナーゼもバッターの粘度を上げるた
め、増粘多糖類の一部もしくは全てを代替することがで
きる。増粘多糖類は独特の食感を付与するため、場合に
よっては不自然な食感と感じられることもあるが、トラ
ンスグルタミナーゼは穀粉およびバッターに配合された
各種蛋白質素材に含まれる蛋白質そのものに働きかけ、
その物性を改質するため、食感に不自然さを感じること
が比較的少ない。
【0015】 本発明においてバッターに加えられる水
の量、すなわち加水量は、バッターを構成する粉末原料
に対し重量比で0.8〜3倍、特に1.2〜2.5倍と
するのが好ましい。加水量が少なすぎるとそぼろ状にな
ってしまいバッターとして利用できないか、溶解できて
も粘度が高くなるためバッターの付着量が制御しにく
く、衣が厚くなりすぎて好ましい食感が得られない。加
水量が多すぎると、粘度が低く、十分な量のバッターを
つけることができず、衣の厚さが薄くなりすぎて、好ま
しい食感が得られない。
【0016】 本発明に使用される酵素であるトランス
グルタミナーゼは、トランスグルタミナーゼ活性作用を
有するものであればいずれも使用することができ、既に
公知のトランスグルタミナーゼを使用すればよい。
【0017】 トランスグルタミナーゼにはカルシウム
非依存性のものとカルシウム依存性のものがあり、何れ
も本発明に使用することができる。前者の例としては、
放線菌由来(登録2572716号公報参照)、枯草菌
由来(特開平11−137254号公報参照)等の微生
物由来のものをあげることができる。後者の例としては
モルモット肝臓由来のもの(登録1689614号公報
参照)、卵菌等の微生物由来のもの(WO96/2236
6参照)、牛血液、豚血液等の動物由来のもの、サケ、
マダイ等の魚由来のもの(N.Sekiら、Nippon Suisan Ga
kkaishi(1990)56, 125-132)、カキ由来のもの(米国特
許5736356号)、等をあげることができる。この他、遺
伝子組み換えるにより製造されるもの(例えば、特開平
11−75876号公報参照)等、をあげることができ
る。本発明には何れのトランスグルタミナーゼでも使用
することができ、起源及び製法に限定されることはな
い。ただし、食品用途としての機能性、使いやすさの点
から、好ましくはカルシウム非依存性のものがよい。例
えば、上記微生物由来のトランスグルタミナーゼで放線
菌由来のもの(登録2572716号公報参照)は何れ
の条件をも満足するものであり、現時点では最適という
ことができる。
【0018】 本発明に使用するトランスグルタミナー
ゼの活性単位は、次のように測定され、かつ定義され
る。即ち、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニ
ルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行
い、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で
鉄錯体に変換させた後、525nmの吸光度で、その量を測
定する。1分間に1マイクロモルのヒドロキサム酸を生
成する酵素量をトランスグルタミナーゼの活性単位、1
ユニットと定義する。この測定法(いわゆるハイドロキ
サメート法)の詳細は既に報告されている通り(例え
ば、登録2572716号公報参照)である。
【0019】 既に述べたように、トランスグルタミナ
ーゼには様々な起源があることが知られており、起源に
よっては、上記のハイドロキサメート法により活性が定
義できないような基質特異性を持つものもあるから、そ
の場合には異なる方法でユニットが定義される場合もあ
る。どのような活性測定法により定義されるにしろ、実
質的に本発明でいう油ちょう食品の物性改良効果を示す
量であれば、本発明のトランスグルタミナーゼ添加範囲
の範疇に入る。
【0020】 本発明において効果がみられるトランス
グルタミナーゼの添加量は、バッター中の蛋白質1gに
対し、3〜150ユニットであり、好ましくは5〜80
ユニット、さらに好ましくは8〜50ユニットである。
反応時間は製造工程上の都合を鑑みて適当な時間を決め
ればよく、確保できる反応時間にあわせてトランスグル
タミナーゼの適当な添加量を決めればよい。反応時間を
長くとるほど少ない添加量ですむことは言うまでもな
い。反応量の目安としてのトランスグルタミナーゼの添
加量と反応時間の積を、バッター中の蛋白質1gに対し
1.5〜75ユニット・時間、好ましくは2.5〜40
ユニット・時間、さらに好ましくは4〜25ユニット・
時間とすると、より好ましい食感の油ちょう食品を安定
して作ることができる。
【0021】 なお、ここでいう反応時間とは、トラン
スグルタミナーゼが配合されたプレミックスが水溶きさ
れ、またはバッター液にトランスグルタミナーゼが添加
されてから、そのバッターが塗布された具材が油ちょう
されるまでの間をいう。つまり、トランスグルタミナー
ゼと蛋白質が水和して架橋反応が開始される時点から、
油ちょうによる高温によりトランスグルタミナーゼが失
活する時点までの間をいう。油ちょうは一般的に120
℃以上の高温の油中で行われるため、油ちょうが開始さ
れたあとは衣の温度は瞬時にトランスグルタミナーゼの
失活温度を超え、トランスグルタミナーゼは加熱失活
し、架橋反応は停止する。従って、反応時間は、(具材
に塗布する前の)作り置きしたバッター中で確保しても
よいし、具材にバッターを付けてから油ちょうまでの時
間をとることで確保してもよい。
【0022】 反応量が小さい、すなわちトランスグル
タミナーゼの添加量が少なすぎたり、反応時間が短すぎ
たりすると、効果が十分に発揮されない。反応量が多
い、すなわちトランスグルタミナーゼの添加量が多すぎ
たり、反応時間が長すぎたりすると、衣が硬くなりすぎ
て望ましい食感ではなくなる。
【0023】 反応温度は凍らない程度の低温から、3
0℃程度までの常温が好ましい。これより高いと穀粉に
含まれるグルテンの形成が進みすぎて食感が好ましくな
くなるし、衛生的にも好ましくない。
【0024】 トランスグルタミナーゼの添加方法とし
ては、必ずしも穀粉と事前に混合してミックス粉にする
方法に限定されるものではなく、穀粉を主体としたミッ
クス粉を水で溶き、そこにトランスグルタミナーゼもし
くはトランスグルタミナーゼを主体とした酵素製剤をさ
らに添加する方法でもよい。もちろん穀粉を主体とした
ミックス粉とトランスグルタミナーゼもしくはトランス
グルタミナーゼを主体とした酵素製剤を溶き水に同時に
添加してもよい。トランスグルタミナーゼもしくはトラ
ンスグルタミナーゼを主体とした酵素製剤を事前に溶き
水に溶解してからバッターに加えてもよい。多くの場
合、トランスグルタミナーゼを配合してミックス粉を作
っておき、それに溶き水を加えてバッターを調製する方
法が便利である。
【0025】 続いて蛋白質とトランスグルタミナーゼ
を含むバッターを具材に付着させる。蛋白質としては、
小麦粉に含まれる蛋白質のみでもよいが、小麦粉以外の
蛋白質素材を配合してもよい。バッターの付着方法は、
バッター中に具材を浸漬させる方法、バッターを具材に
塗りつける方法、バッターを具材にふりかけるかスプレ
ーするという方法があげられ、これらのいずれの方法も
本発明に適用できる。
【0026】 バッターを付着させた後は、天ぷらや唐
揚げはそのまま油ちょうされ、フライではさらにパン粉
を付着してから油ちょうされる。バッターを付着させた
後は、すみやかに油ちょうしてもよいし、油ちょうでき
る直前の形態のまま(天ぷら、唐揚げではバッターを付
けた状態、フライではパン粉をまぶした状態で)しばら
く放置してから油ちょうしてもよいし、冷凍保存してか
ら油ちょうしてもよい。油ちょうされたあとは、すみや
かに食すのが食感の面で望ましいが、保存する場合は冷
蔵ないしは冷凍されるのが一般的である。冷凍された油
ちょう食品を電子レンジで暖め直すと衣の食感は軟化し
やすいが、本発明によればこの軟化が抑制され、食感が
劣化しにくい。
【0027】 さて、本発明において効果が発揮される
メカニズムの本質は、バッターに含まれる蛋白質(穀粉
およびバッターに配合された各種蛋白質素材に含まれる
蛋白質)のグルタミン残基とリジン残基の間がトランス
グルタミナーゼの触媒作用により架橋されることにあ
る。この架橋結合により、バッター中の蛋白質間に強固
なネットワークが形成され、油ちょう後にサクサク感が
向上し、油ちょう後の放置および再加熱による食感劣化
が抑制された油ちょう食品が製造できるのである。従っ
て、トランスグルタミナーゼによって触媒された架橋反
応の量が効果の程度に大きく影響する。トランスグルタ
ミナーゼは酵素であるため、架橋反応の量はトランスグ
ルタミナーゼの添加量と、反応時間および温度によって
ほぼ決まる。
【0028】
【実施例】以下に実施例および使用例を示し、本発明を
より具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例
に何ら限定されるものではない。
【0029】<実施例1〜12>天ぷらの調製 薄力粉(日清フラワー小麦粉、蛋白質含量9.0%)8
8.5g、コーンスターチ10g、ベーキングパウダー
1g、粉末卵白0.5g、に加え、トランスグルタミナ
ーゼを第1表に従って配合し、天ぷら用プレミックスを
調製した。なお、トランスグルタミナーゼは1000ユ
ニット/gの粉末を用いた(参考までに、25ユニット/
g蛋白質の場合は薄力粉88.5gあたり、1000ユ
ニット/gのトランスグルタミナーゼ粉末を0.2g配
合した)。このプレミックス100gに対し、水を15
0g加えてダマが無くなる程度に軽く攪拌してバッター
を調製し、20℃で表1に示す時間(加水から油ちょう
までの時間)放置した。
【0030】 放置時間が終わる3分前に、各バッター
15gを千切りにした人参15gとタマネギ25gに加
えて混合した。続いて180度に加熱した大豆油中で2
分間油ちょう処理し、かき揚げを調製した。一部を揚げ
た直後、一部を20℃の室内で5時間放置した後に官能
評価に供した。さらに一部は−20℃で一晩冷凍した
後、電子レンジで湯気が立つ程度に加熱した(500w
の電子レンジでかきあげ5個あたり3分間加熱)。比較
例としてトランスグルタミナーゼを配合しないプレミッ
クスで同様に調製したかき揚げを調製した。調製された
かきあげを表3に示す基準にしたがって評価した。評点
を表1に示す。
【0031】表1
【0032】このように、本発明によれば、天ぷらのサ
クサク感、固さを向上させ、揚げ直後のみならず、室温
放置後および電子レンジ加熱後の食感をも改善できるこ
とが示された。トランスグルタミナーゼの添加量が低す
ぎる場合は衣のサクサク感、固さが無添加区と差がみら
れず、添加量が多すぎる場合は、固すぎて天ぷらとして
は好ましくない食感となった。
【0033】<実施例13〜19>フライコロッケの調
製 薄力粉(日清フラワー小麦粉、蛋白質含量9.0%)9
7.7g、卵白粉1.6g、グアーガム0.7gに加え
トランスグルタミナーゼを第4表に従って配合し、フラ
イバッター用プレミックスを調製した。なお、トランス
グルタミナーゼは1000ユニット/gの粉末を用いた
(参考までに、25ユニット/g蛋白質の場合は薄力粉
97.7gあたり、1000ユニット/gのトランスグ
ルタミナーゼ粉末を0.22g配合した)。このプレミ
ックス100gに対し、水を180g加えてダマが無く
なるまでよく攪拌してバッターを調製し、20℃で表2
に示す時間(加水から油ちょうまでの時間)放置した。
玉葱、挽肉、馬鈴薯を用いて常法によりポテトコロッケ
の具を作り、30gずつに小分けして小判型に整形した
コロッケの中具を用意した。バッターの放置時間が終了
する3分前に中具を各バッターにくぐらせて付着させ、
続けてパン粉を付着させ、すみやかに180度に加熱し
た大豆油中で2分間油ちょう処理した。一部を揚げた直
後、一部を−20℃で一晩冷凍した後、電子レンジで湯
気が立つ程度に加熱した(500wの電子レンジでコロ
ッケ5個あたり3分間加熱)。比較例としてトランスグ
ルタミナーゼを配合しないプレミックスで同様に調製し
たコロッケを調製した。調製されたコロッケを表下に示
す基準にしたがって評価した。評点を表2に示す。
【0034】表2
【0035】このように、本発明によれば、コロッケの
サクサク感、固さを向上させ、揚げ直後のみならず、電
子レンジ加熱後の食感をも改善できることが示された。
トランスグルタミナーゼの添加量が低すぎる場合は衣の
サクサク感、固さが無添加区と差がみられず、添加量が
多すぎる場合は、固すぎてコロッケとしては好ましくな
い食感となった。揚げ直後では固すぎる食感のもので
も、電子レンジ加熱してから食した場合は好ましい食感
となった実施例もあった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、蛋白質を含むバッター
にトランスグルタミナーゼを添加することにより、油ち
ょう直後及び油ちょう後に時間が経過しても、あるいは
油ちょう後に冷凍もしくは冷蔵保存した後、電子レンジ
などの加熱機器で温め直しても衣の食感が向上、維持さ
れた油ちょう食品が得られる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穀粉およびトランスグルタミナーゼを含
    み、加水された油ちょう食品用バッター。
  2. 【請求項2】 加水量が、バッターを構成する粉末原料
    に対し0.8〜3倍である請求項1記載の油ちょう食品
    用バッター。
  3. 【請求項3】 トランスグルタミナーゼの配合量がバッ
    ター中の蛋白質1gあたり3〜150ユニットである請
    求項1ないし請求項2に記載された油ちょう食品用バッ
    ター。
  4. 【請求項4】 穀粉およびトランスグルタミナーゼに加
    水してから、油ちょうするまでの間に、該トランスグル
    タミナーゼと該穀粉中の蛋白質を反応させることを特徴
    とする油ちょう食品の製造方法。
  5. 【請求項5】 バッター中の蛋白質1gあたりのトラン
    スグルタミナーゼ配合量と反応時間の積が、1.5〜7
    5ユニット・時間である請求項4記載の油ちょう食品の
    製造方法。
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