JP2000300159A - 製パン改良剤及びそれを利用した製パン方法 - Google Patents
製パン改良剤及びそれを利用した製パン方法Info
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Abstract
良好にすることができる製パン改良剤及びそれを利用し
た製パン方法を提供する。 【解決手段】 剥皮した麦粒を含む原料に麹菌を培養し
て麦麹を調製し、これを更に乾燥、粉砕して製パン改良
剤を得る。上記製パン改良剤をパン原料に添加し、発酵
及び焼成を行ってパンを製造する。この場合、小麦粉を
含む原料に上記製パン改良剤を添加し、発酵させて麦麹
種を作り、この麦麹種をパン原料に添加して発酵及び焼
成を行うことが好ましい。
Description
改良剤及びそれを利用した製パン方法に関する。
香りを向上させるため、種々の製パン改良剤が用いられ
ている。例えば特許第2534870号公報には、麦麹
と、小麦もしくは米と小麦の混合物を混ぜ、これに清酒
酵母を添加し、発酵せしめることを特徴とするパン用酒
種の製造方法が開示されている。麦麹としては市販のも
のを含水率35%程度になるまで散水して用いることが
記載されている。そして、上記酒種をパン生地に添加
し、発酵、焼成することにより、強い香味のするパンを
製造できることが記載されている。
を低温除湿乾燥して水分10%以下とし、微粉末状とし
たパン生地発酵促進剤が開示されている。そして、この
パン生地発酵促進剤を本捏ね工程において添加し、発酵
させることによって、ソフトで外観が良く、香味に優れ
たパンが得られることが記載されている。
2534870号公報に記載された方法では、市販の全
粒の麦麹を用いているため、パンの組織中にフスマ片が
混在し、見た目や食感が悪くなるという問題があった。
たパン生地発酵促進剤では、米麹を用いているため、パ
ン生地中に小麦とは異なる異種澱粉が混合されることと
なり、食感等が通常のパンと変わってしまうという問題
があった。
の体積を増大させて、食感等を改善する効果が十分とは
言えなかった。
を増大させて、食感や風味をより良好にすることができ
る製パン改良剤及びそれを利用した製パン方法を提供す
ることにある。
め、本発明の製パン改良剤は、剥皮した麦粒を含む原料
に麹菌を培養して得られた麦麹を、更に乾燥、粉砕した
ものを含むことを特徴とする。
である麦粒を用いて調製されたものであることが好まし
い。
料として剥皮した麦粒を用いたことにより、麹菌の繁殖
が一定化して良好な品質の麦麹が得られ、これを製パン
改良剤として用いることにより、パンの体積を増大させ
て、食感や風味の改善効果を高めることができる。ま
た、剥皮した麦粒を原料とし、かつ、得られた麦麹を乾
燥、粉砕したことにより、フスマ分に由来するざらつき
がなくなり良好な食感が得られ、保存性も向上する。
改良剤をパン原料に添加して発酵及び焼成を行うことを
特徴とする。
製パン改良剤を添加し、発酵させて麦麹種を作り、この
麦麹種をパン原料に添加して発酵及び焼成を行うことが
好ましい。更に、前記麦麹種を中種原料に添加して中種
を調製し、この中種に残りの原料を添加して本捏ねを行
い、発酵及び焼成を行うことが好ましい。
製された製パン改良剤を使用することにより、従来使用
していた無機フード、乳化剤等が必要なくなり、米麹の
ような異種澱粉の混入による食感の変化もない。また、
上記製パン改良剤を用いることにより、体積が増大し、
食感、風味が優れたパンを得ることができる。更に、小
麦粉を含む原料に上記製パン改良剤を添加し、発酵させ
て麦麹種を作り、この麦麹種をパン原料に添加して発酵
させる場合には、麹臭の付着を軽減させることができ、
より良好な風味のパンを製造することができる。
ては、小麦、大麦等の麦粒が用いられるが、特に小麦粒
を用いることが好ましい。麦粒は、剥皮装置を用いて剥
皮(パーリング)する。このときの剥皮の度合い(剥皮
された皮の重量/麦粒の初期重量)は、3〜30重量%
であることが好ましい。剥皮の度合いが3重量%未満で
は麹菌の繁殖が一定ではなく、均一な麦麹を製造するこ
とが難しくなる。また、30重量%以上剥皮する場合
は、経済的でない。なお、残存する繊維分は、麹菌が産
生するヘミセルラーゼによって分解され、フスマ由来の
ざらつきがなくなり、かつ、繊維分の分解物は、製パン
性向上に寄与する。
定されないが、その好ましい一例を挙げると次の通りで
ある。まず、剥皮した麦粒は、水で数回洗い、そのまま
水に浸漬して、水分含量40%前後になるように調節す
る。この水分は、後の工程で蒸麦したときに、麦中の澱
粉を適度にα化させるために必要である。水に浸漬した
後、水切りをして蒸麦し、更に雑菌をなくすためにオー
トクレーブ処理する。オートクレーブ処理は、完全に滅
菌することを目的としたものではなく、雑菌の量を通常
より減らすことで麹菌を生えやすくすることを目的とす
る。
で下げて麹菌を接種する。原料に麹菌が行き渡るように
よく混ぜた後、恒温槽に入れてそのまま一晩培養する。
約14時間後に全体をかき混ぜ、原料の一粒一粒をでき
るだけ離して混ぜる作業(切り返し)を行う。この作業
の後、再び恒温槽の中で8時間程度培養し、2回目のか
き混ぜ作業(切り返し)を行う。この後、更に18時間
程度培養して、麦麹を得る。
燥、通風乾燥、スプレードライなどの方法で乾燥させ、
更に粉砕する。粉砕は、小麦粉程度の大きさ、好ましく
は5〜200メッシュの大きさとなるまで行うことが好
ましい。この時点ではまだ麹菌は生きており、ここに水
分が加われば繁殖してくるので、熱による殺菌工程を行
って製品とする。殺菌工程は、例えば90℃で30〜6
0分間加熱することにより行うことができる。
ゼ)、蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)、キシラン分解
酵素(キシラナーゼ)、ヘミセルロース分解酵素(ヘミ
セルラーゼ)を含んでいる。なお、本発明において、酵
素活性は、麦麹1g中に含まれる酵素が1分間当たりに
基質と反応して生成した分解物又は分解された基質量の
μg量で表した。基質として、α−アミラーゼは可溶性
澱粉、プロテアーゼはカゼイン、キシラナーゼはカラス
ムギ由来のキシラン、ヘミセルラーゼは水溶性ヘミセル
ロースをそれぞれ基質として用いた。
された麦麹を有効成分として含有するものであるが、こ
の麦麹に必要に応じて他の成分、例えばビタミン、ミネ
ラル、油脂、食物繊維、澱粉、ライ麦等の他の穀類など
を添加混合してもよい。
剤をパン原料に添加して発酵及び焼成を行う。この場
合、製パン改良剤は、パン原料に直接添加して常法に従
って発酵及び焼成を行ってもよいが、好ましくは、ま
ず、小麦粉を含む原料に上記製パン改良剤を添加し、発
酵させて麦麹種を作る。この場合、製パン改良剤の添加
量は、パン原料全体で使用する小麦粉を100重量部と
したとき、麦麹の量として0.05〜5重量部が好まし
く、0.3〜1.5重量部がより好ましい。麦麹種を作
る際には、上記小麦粉の一部、例えば20重量部を用
い、これに上記割合の麦麹と、小麦粉とほぼ同量の水と
を混合し、室温なら30〜180分程度、冷蔵なら3〜
72時間程度放置する。
種をパン原料に添加して、発酵及び焼成を行うことによ
りパンを製造することが好ましい。なお、本発明の製パ
ン改良剤を用いる場合は、パン原料として乳化剤、無機
フードは必要ない。
いられるものが自由に使用でき、例えば小麦粉、パン酵
母、食塩、糖類、油脂、乳原料、ビタミン、カルシウム
等の栄養強化剤、保存料等が使用される。
法のいずれを採用してもよいが、中種法が好ましく採用
される。例えば中種法による場合には、上記麦麹種を中
種原料に添加混合し、中種を発酵させた後、残りの原料
を添加して本捏ねを行い、仕上げ、焙炉、焼成を行って
パンを製造することが好ましい。
されず、例えば食パン、バラエティブレッド、フランス
パン、セミハード、テーブルロール、菓子パン、スィー
トグッズなどに適用することができる。
いて、小麦粒を剥皮の度合いが20重量%となるように
剥皮した。この剥皮小麦粒を洗浄した後、水に3時間浸
漬して水切りし、30分間放置した後、30分間蒸麦
し、110℃で10分間オートクレーブ処理した。この
小麦粒に麹菌を植菌し、恒温槽に入れて35℃で14時
間放置した後、1回目の切り返しを行った。更に、33
℃で8時間放置して2回目の切り返しを行い、最後に3
0℃で18時間放置して仕上げ、凍結乾燥機(商品名
「FD−81」,東京理化製)を用いて乾燥し、粉砕機
(商品名「160Z」、槙野産業製)を用いて粉砕し、
90℃で60分間加熱して、乾燥粉末化した麦麹からな
る本発明の製パン改良剤(実施例1)を得た。
記と同様にして麦麹(比較例1)を製造した。
について、その成分、酵素活性を測定し、衛生検査をし
た結果を表1、2、3に示す。
粉末麦麹1重量部と、水20重量部とを混合し、室温で
120分間放置して麦麹種を製造した。
記で作成した麦麹種と、生酵母2.5重量部と、水21
重量部とを混合し(捏ね上げ温度24℃)、28℃で4
時間発酵させ(終温度29℃)、中種を製造した。
塩2重量部と、上白糖5重量部と、脱脂粉乳3重量部
と、ショートニング6重量部と、水6重両部とを混合
し、本捏ねを行った(捏ね上げ温度27℃)。
イム20分とり、38℃、湿度80%、時間45分の条
件でホイロをとり、210℃で35分間焼成してパンを
製造した。
上記において麦麹を添加せず、乳化剤、イーストフード
を添加して、他の原料配合は上記と同じにして常法によ
り製造したパン(比較例2品)と、中種に比較例1の全
粒麦麹を添加して他の原料配合は上記と同様にして常法
により製造したパン(比較例3品)とを10名のパネラ
ーに試食させ、食感、風味が最も好ましいものを選択さ
せたところ、表4の結果が得られた。
PC−10」、三菱電気ホーム機器株式会社製)を用
い、下記表5の配合に各種の改良剤を加えてパンを製造
し、得られたパンの体積を比較した。なお、改良剤を添
加する場合は、その重量を小麦粉から差し引いて添加
し、その添加量は1重量%とした。試験は一点について
3回繰り返した。
たものを「対照」、実施例1で得た粉末麦麹を添加した
ものを「粉末麦麹」、比較例1の全粒麦麹粉末を添加し
たものを「全粒麦麹」、特許第2740073号公報に
記載の方法で製造した米麹粉末を添加したものを「粉末
米麹」、市販米麹を添加したものを「市販米麹」と表し
た。これらの結果を表6に示す。
例1の粉末麦麹を添加したものは、パンの体積が最も増
大しており、食感、風味の点でも他のサンプルより良好
な結果が得られた。
したものは、フスマ片が見た目及び食感的に問題とな
り、米麹は異種澱粉混入のためか、いずれも食感的にコ
ントロールとは異なっていた。
剥皮した麦粒を原料として麦麹を調製し、この麦麹を乾
燥、粉砕して得た製パン改良剤を用いることにより、パ
ンの体積を増大させて、食感や風味の改善効果を高める
ことができる。また、フスマ分に由来するざらつきがな
くなり良好な食感が得られ、製パン改良剤である麦麹粉
末の保存性も向上する。
Claims (5)
- 【請求項1】 剥皮した麦粒を含む原料に麹菌を培養し
て得られた麦麹を、更に乾燥、粉砕したものを含むこと
を特徴とする製パン改良剤。 - 【請求項2】 剥皮の度合いが3〜30重量%である麦
粒を用いて調製された請求項1記載の製パン改良剤。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の製パン改良剤をパ
ン原料に添加して発酵及び焼成を行うことを特徴とする
製パン方法。 - 【請求項4】 小麦粉を含む原料に前記製パン改良剤を
添加し、発酵させて麦麹種を作り、この麦麹種をパン原
料に添加して発酵及び焼成を行う請求項3記載の製パン
方法。 - 【請求項5】 前記麦麹種を中種原料に添加して中種を
調製し、この中種に残りの原料を添加して本捏ねを行
い、発酵及び焼成を行う請求項4記載の製パン方法。
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