JPH10117670A - 乾燥パン種の製造方法および本パン種を用いた製パン・製菓方法 - Google Patents

乾燥パン種の製造方法および本パン種を用いた製パン・製菓方法

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JPH10117670A
JPH10117670A JP30857596A JP30857596A JPH10117670A JP H10117670 A JPH10117670 A JP H10117670A JP 30857596 A JP30857596 A JP 30857596A JP 30857596 A JP30857596 A JP 30857596A JP H10117670 A JPH10117670 A JP H10117670A
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yeast
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drying
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Tatsuo Kai
達男 甲斐
Satoshi Hayano
悟志 早野
Masahiro Harada
昌博 原田
Shusuke Shimizu
秀典 清水
Daigorou Ikenaga
大五郎 池長
Seiji Yamamoto
征児 山本
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TORIGOE SEIFUN KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】パン種の保存性向上と、さらに、本パン種を有
効に使用するための製パン方法を提供することを目的と
する。 【構成】従来の製法により作成したパン種を0〜50℃
の温度範囲で5〜120時間通風乾燥して製造する乾燥
パン種の製造方法、および本パン種を使用しての製パン
方法。 【効果】本発明の乾燥パン種の製造方法によれば、冷蔵
保存で6カ月以上の保存性を有するパン種を製造するこ
とができ、さらに、本発明の製パン方法を用いれば、優
れた製パン性と、従来のパン種を使用した場合と劣るこ
とのない好ましい風香味を、パンに醸し出すことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製パンおよび製菓用の保
存性の良いパン種の製造方法および本発明によるパン種
を用いた製パン・製菓方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パンおよび菓子類を製造する方法
において、パン種を使用する方法は、種の製造に熟練と
1週間程度の長い期間が要され、手間がかかるものの、
でき上がったパンに優れた特徴のある風香味を与えるこ
とが知られている。パン種には、果実種、穀物種、ホッ
プス種、ビール種、酒種、サワー種など、数多くの方法
があるが、これらは基本的には種作りに使用される材料
に付着している製パンに有用な酵母菌、乳酸菌、麹菌な
どの発酵微生物を、発酵条件を上手くコントロールする
ことで増殖させて、パン生地を発酵・膨化させるスター
ターを作る方法である。
【0003】果実種の製造にはりんごやぶどうが最も多
く利用されるが、製パンに有用な酵母菌、乳酸菌、麹菌
などの発酵微生物が付着しているものであれば、どのよ
うな果実でも材料として利用できる。果実種の製造方法
に関しては製造期間を短縮するためや、より強い発酵力
を持たせる方法が様々に検討されてきているが(特開昭
63−251039、特開昭63−79551、特開平
1−95722)、一般的には使用する果実をすりつぶ
したものを30℃程度の温度で2〜10日間培養するこ
とを基本とし、応用的には発酵促進の目的で少量の砂
糖、モルト、ライ麦粉、ビール、水分が添加されること
があり、また、酵母菌を他菌類よりも優先的に増殖させ
るためにホップを添加したり、発酵途中で嫌気的にする
方法がとられる。
【0004】穀物種の製造には馬鈴薯、山芋、大麦、ラ
イ麦などが利用されることが多いが、やはり製パンに有
用な酵母菌、乳酸菌、麹菌などの発酵微生物が付着して
いるものであれば、どのような穀物でも材料として利用
できる。基本的な製法は果実種と同じであるが、穀物種
の場合は製パンに使用する小麦粉を少量練り込んで種を
製造する場合が多い。
【0005】ホップス種はホップの煮汁に馬鈴薯、小麦
粉、リンゴなどが添加され、26〜28℃で約1週間程
培養して作られるが、この間に何度も種継ぎする必要が
あり、種継ぎの際には砂糖が添加され、さらに種継ぎの
度に微量の食塩で発酵条件をコントロールする。操作が
煩雑であるために、製法を若干簡略化した方法(特開昭
62−175132)も考案されている。ビール種は、
ホップス種を改良したもので、ホップの代わりにビール
に含まれるホップ成分を利用したものであるため、基本
的にはホップス種と同じと言える。最近では、発酵に使
用したビール酵母を濾過によって除去していないビール
を利用して、その残存するビール酵母でパン種を作る方
法もビール種と呼ぶが、これは基本的にはビール酵母に
よる製パンと言える。
【0006】酒種は、麹、米、飯、および水を混合して
23〜24℃で5日間程度発酵して製造するが、この
間、3〜4回種継ぎを実施する。出来上がった酒種はど
ぶろく状の白濁液であり、清酒様のアルコール臭と酸
味、渋味、甘味が適度に調和したものが良品と言える。
【0007】サワー種は材料に付着している乳酸菌、酢
酸菌、酵母菌をバランス良く増殖させて作るが、この種
で作られたパンは、乳酸菌と酢酸菌によって発酵生産さ
れる豊富な有機酸が独特の酸臭と酸味を醸し出し、パン
の保存性を高めている。サワー種は使用する材料、種継
ぎ方法、発酵条件(温度、湿度)により、その中に育成
してくる乳酸菌や酢酸菌、酵母菌の種類やバランスが異
なる。一般的にはライ麦粉、小麦粉、馬鈴薯が材料に使
用されるが、生まれたての子牛が初めて母乳を飲んだ後
の腸内物質を取り出して小麦粉と混合させて作られるパ
ネトーネ種もサワー種のひとつである。一般にサワー種
の製造には数回の種継ぎが必要であるが、他のパン種と
違って、低温で5日程度の保存が効くことが特長であ
る。
【0008】これらのパン種を用いた製パン・製菓法
は、使用するパン種の種類によって異なり、適するパン
や菓子の種類(ハースブレッド、食パン、テーブルロー
ル、菓子パン、スイートロール、蒸しパン、蒸し饅頭、
クッキー、など)も使用するパン種の種類によって異な
る上に、同じ種類のパンや菓子でも発酵方法(使用材
料、温度、時間)や焼成方法(加熱時間や温度)が異な
ってくる。従って、新しいパン種を開発したり、従来の
パン種に改良を加える時には、これに併せて、そのパン
種に適した製パン方法の開発も必須となる。
【0009】一方、これらのパン種に共通した特徴とし
て、保存性がない、つまり常温保存では当日限り、また
冷蔵保存でも新鮮な状態の発酵力は2〜3日しか維持で
きず、ほとんどの種類のパン種が冷蔵保存1週間程度で
発酵力を失って製パンに使用できなくなる。また、さら
に共通した特徴のひとつに、市販の製パン用生イースト
やドライイーストに比較して発酵力が劣る欠点がある。
このため一般には、中種の時点で発酵力をつけるため
に、中種法による製パン法がとられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】パン種を用いた製パン
方法は、でき上がったパンに優れた特徴のある風香味が
あり消費者に大変好まれているものの、種の製造に熟練
と1週間程度の長い期間が要され手間がかかる上に、前
述したように、パン種の保存が効かないために製パンの
度に種を作り直したり、品質が変わらないように工夫し
て種継ぎしていく必要がある。この煩雑さのために一般
のベーカリーでは余り利用されていないのが現状であ
る。本発明は、パン種を作り直す手間を省くためにパン
種の保存性を高めることを目的としており、さらに、本
発明によるパン種を有効に使用するための製パン方法を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの問題を
解決すべく、種々のパン種について保存性を向上するた
めの方法について鋭意検討を重ねた結果、パン種を0〜
50℃の温度範囲で5〜120時間通風乾燥することで
パン種の効力が数カ月間維持できることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0012】本発明の乾燥方法は、時間をかけて、通風
によって徐々にパン種の水分を蒸発させて行くことに特
徴があり、このような乾燥方法をとることによって、パ
ン種に含まれる製パンに有用な酵母菌、乳酸菌、麹菌な
どの発酵微生物類が死滅することなく保存可能となる。
乾燥時間としては5〜120時間の範囲内であれば、作
業計画によっていかなる時間を選択しても良いが、パン
種をより長期間保存する上では12〜48時間が好まし
い。5時間未満の乾燥では水分の蒸散が不十分で、パン
種の保存性の改善が十分ではない。また、5時間未満で
乾燥させるために通風を強くすると、乾燥したパン種が
強風で飛散したり、また乾燥が急激なために、やはりパ
ン種の保存性の改善が十分ではない。120時間を越え
る乾燥では、乾燥速度が余りにも緩慢過ぎるために、パ
ン種の保存性が悪くなってしまうという問題があり、特
に30℃以上での長時間乾燥の場合はこの保存性の低下
が著しい。
【0013】さらに乾燥温度については0〜50℃の温
度範囲であれば、いかなる温度を利用しても構わない
が、パン種をより長期間保存する上では0〜20℃の温
度範囲が好ましい。50℃を越える温度では、パン種に
含まれる製パンに有用な酵母菌、乳酸菌、麹菌などの発
酵微生物類の死滅率が急激に上昇し、パン種の発酵力が
消失してしまう。また、0℃未満の温度では、これら有
用な発酵微生物類が乾燥するより前に、菌体内水分の凍
結障害のために死滅し、パン種の発酵力が消失してしま
う。
【0014】使用する乾燥装置については、特別な装置
を使用しなくとも、冷暖房装置を備えて0〜50℃を制
御できる室内であれば十分本発明の目的を達することが
でき、また、通風装置についても特別な装置は必要なく
風を起こす装置であればどのようなものでも良く、市販
の扇風機、または冷暖房装置から吹き出る風を利用して
も良い。好ましくは、空気中から飛来する有害菌がパン
種を汚染することを避けるために、清潔な部屋や装置を
使用することが望ましい。このように簡便な装置類で製
造できる他、温度や通風の制御が可能な専門の乾燥装置
を用いることが出来れば、より望ましい。例えば、通風
装置の付いた恒温器、恒温恒湿器、流動層乾燥装置、遠
赤外線を熱源とする乾燥装置など、がこの例である。
【0015】本発明の乾燥パン種の製造方法では、乾燥
前のパン種に小麦粉、各種澱粉や加工澱粉、とうもろこ
し粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉、大豆粉、きなこ、など
の穀粉類を添加・混合することによって乾燥初期の水分
を落として、乾燥期間を短縮することもできる。特に、
液状のパン種では、このような方法が有効である。
【0016】さらに、菌体の保存安定性を高めるために
一般に使用される糖類(トレハロース、シュークロー
ス、マルトース、グルコースなど)、脱脂粉乳、グルタ
ミン酸ソーダ、グリセロールなどを必要に応じて、乾燥
前もしくは乾燥後のパン種に添加・混合することも出来
る。
【0017】また、微生物によっては乾燥前に低温状態
にしばらくおくことで菌体内に低温ストレス蛋白質など
が生産・蓄積されて保存耐性が増すことが一般に知られ
ている。本発明によるパン種の乾燥処理を施す前に、こ
のような低温処理を適時施すことによってパン種中の有
用発酵微生物類のストレス耐性を増加させたところで乾
燥処理を施して、これら有用菌類の生存率を上げること
もできる。
【0018】本発明の乾燥パン種を製パンに用いる際
は、従来のパン種と同様に中種法が適するが、10時間
以上の中種の発酵時間をとる、いわゆる宵種法が適す
る。発酵温度によって中種の至適発酵時間は変わるが、
最終のパンに良好な製品を得るためには、発酵時間と温
度の兼ね合いよりも、中種のpHで発酵終了適期を判断
することが好ましい。様々な製パン条件で検討した結
果、中種の至適終了pHは4.5〜5.4であった。
【0019】本乾燥パン種の保存性については、冷蔵保
存では、6カ月程度保存しても発酵力の低下は少なく、
さらに1年程度保存した場合でも製パン時の使用量を増
やしたり、また発酵温度をやや高くしたり発酵時間を長
くしたりするなど、加工条件を調整することで十分使用
可能であり、常温での保存においても1カ月程度は十分
に製パンに使用できる。さらに、本乾燥パン種を使用し
た場合の最適の製パン方法を鋭意検討した結果、優れた
製パン性と、従来のパン種を使用した場合と劣ることの
ない好ましい風香味を、パンに醸し出すことに成功し
た。
【0020】
【作用】良好に作られたパン種においては製パンに有用
な酵母菌、乳酸菌、麹菌などの発酵微生物が主に繁殖し
ており、製パンに有害な微生物の繁殖は抑制されてい
る。これら有用発酵微生物類は、0〜50℃の温度範囲
で5〜120時間かけて緩やかに通風乾燥されること
で、乾燥ストレスに対する十分な耐性を獲得する時間的
なゆとりを持つことができ、最終的には死滅を免れて休
眠状態に入ることができるものと考えられる。これら休
眠状態に入ったパン種中の微生物類は、再度活性化する
のに必要な条件、つまり適当な水分や、製パン材料の中
に混合されパン生地として適度な温度下に置かれること
で、一気に目覚めてパン発酵を開始することになる。
【0021】乾燥ストレスに対する耐性の獲得機構は未
だ十分には解明されていないが、乾燥環境にさらされた
微生物細胞は水分を維持することが最優先課題となるた
め、代謝活性や蛋白質の構造や機能に阻害効果を及ぼさ
ない低分子有機化合物(適合溶質)を菌体内に蓄積して
乾燥耐性を獲得していることが推測される。例えば、高
塩環境に晒されて水分維持が必要になった時には、適合
溶質として単糖類のソルビトール、マンニトール、ピニ
トール、二糖類のシュークロース、トレハロース、アミ
ノ酸のプロリン、4級アンモニウム化合物のグリシンベ
タインなどが細胞内に生産・蓄積されることが良く知ら
れる (バイオサイエンスとインダストリー、Vol.
54,p273)。トレハロースは高塩環境や乾燥環境
だけでなく、低温環境においても細胞内に蓄積されるこ
とが知られている。これらの各種ストレスに対応するた
めの耐性物質は、ストレスに接した際に細胞内に生産さ
れるストレス蛋白によってそれら耐性物質の代謝に関わ
る遺伝子群のスイッチが制御されて、生産が誘導される
ものと考えられている。さらに、微生物の種類によって
は乾燥ストレス蛋白によってさらに胞子形成が誘導され
て極めて高い保存性を有するものもあると推測される。
【0022】本発明のように、微生物の体内蛋白質が変
性しないような温度帯で緩慢な乾燥を行うことで、十分
な量のストレス蛋白が菌体内に生産されることができ、
これらが乾燥耐性に関わる全ての正の遺伝子群を活性化
し、かつ負の遺伝子群を不活性化するのに十分な時間的
ゆとりが与えられるために、パン種中の有用発酵微生物
類の最大限の保存性・安定性が獲得されるものと思われ
る。
【0023】
【試験例】本発明の内容を以下の試験例によりさらに詳
細に説明する。なお、実施例は単に具体例を例示したも
のにすぎず、本発明の内容を限定するものではない。
【0024】試験例1 表1に一般的な製法による各種パン種の製造条件と、本
発明による乾燥方法を用いた実施例およびその対照とな
る比較例における乾燥条件、さらに、それらの方法によ
って製造した乾燥パン種の発酵力を示す数値を示した。
実施例2では、ビールはベルギー産のセント・ポール・
トリプルを使用した。実施例1に用いた遠赤外線乾燥装
置は(株)EMエンジニアリング社のコンベックCV−
MODELを使用した。発酵力の測定は次のようにして
実施した。つまり、パン用強力小麦粉500gを品川工
業(株)製の5コートミキサー用のボールにとり、続い
て乾燥パン種5gを水300ccに十分溶解・分散した
水溶液を添加した後、フックを用いて低速2分間ミキシ
ングを行った。ミキシング後の生地温度は正確に30℃
になるように使用水の温度を調整した。でき上がった生
地は50gに分割し、直径9cmの200ccガラスビ
ーカーの底に平らに敷き詰め、ビーカーの口をサランラ
ップで被って生地が乾燥しないようにした。これを30
℃の恒温器に10時間静置後、膨化した生地表面のビー
カーの底からの高さ(mm)を測定して、2つのサンプ
ルの数値の平均をとって使用したパン種の発酵力を示す
数値とした。ここでの発酵力テストに用いたパン種は、
製造後アルミパックに入れて口を閉じた状態にして8℃
で3ヶ月間保存したものを使用した。実施例3と比較例
1については、使用したパン種は同一のものを用い、乾
燥温度を変えて発酵力を比較した。
【0025】
【表1】
【0026】表1には示していないが、発酵力の測定に
ついては、コントロールとして実施したパン種無添加の
ものでは、12mmの数値を示した。実施例1、2、3
で製造した乾燥パン種は、無添加のものに比較してかな
り強い発酵力を示しており、これらはそのまま以下に述
べる試験例2および試験例3にも用いられ、良好な製パ
ン性を示した。比較例1については、乾燥処理温度が高
すぎたためにパン種中の発酵微生物の多くが死滅してし
まい、正常な発酵力を失った。
【0027】試験例2 ここでは、前述の実施例の方法で製造した乾燥パン種を
用いたリーンなタイプの製パン実例を示す。使用した乾
燥パン種は、実施例4では実施例1で製造したものを、
実施例5では実施例2で製造したものを、実施例6では
実施例3で製造したものを、それぞれ使用した。表中、
ミキシングに示されている記号L、MLは低速、中低速
をそれぞれ意味する。また、記号↓はショートニングの
添加時期を示す。使用したミキサーは関東混合機工業
(株)製の縦型ミキサー、オーブンは佐々木工業(株)
製のエンゼルオーブンであるが、本実施例に示された方
法はどのようなメーカーの機器にも適応できる。
【0028】
【表2】
【0029】実施例4のパン・ド・カンパーニュでは、
りんごの酸味が程良く効いたボリュームのある製品が得
られた。実施例5のハースブレッドではコクのある深い
味わいの、芳ばしい香りの製品が得られた。実施例6の
パン・オ・ルバンでは、爽やかなサワー臭と軽い酸味の
あるボリューム豊かな製品が得られた。いずれも、通常
のパン種を用いた場合と同等以上の特長のある製品が得
られた。
【0030】試験例3 本試験例では、表3に示されるようにリッチなタイプの
パンの製法を示す。試験に使用した乾燥パン種は、実施
例7および実施例9では実施例3で製造されたものを、
実施例8では実施例2で製造されたものを、それぞれ用
いた。表中、ミキシングに示されている記号L、MLは
低速、中低速をそれぞれ意味する。また、記号↓はマー
ガリンおよびショートニングの添加時期を示す。使用し
たミキサーは関東混合機工業(株)製の縦型ミキサー、
オーブンは佐々木工業(株)製のエンゼルオーブンであ
るが、本実施例に示された方法はどのようなメーカーの
機器にも適応できる。
【0031】
【表3】
【0032】実施例7の食パンと実施例9の菓子パンで
は、爽やかなサワー臭と軽い酸味のあるボリューム豊か
な製品が得られた。実施例8のテーブルロールではコク
のある深い味わいの、かすかなビールの香りの漂う芳香
の強い製品が得られた。いずれも、通常のパン種を用い
た場合と同等以上の特長のある製品が得られた。
【0033】実施例10 本実施例では、実施例2で製造した乾燥パン種を用いた
クッキーの製造方法を示す。中種は、菓子用薄力粉50
部に対して、乾燥パン種2部を水30部に溶解・懸濁さ
せたものを加え、製パン製菓用の縦型ミキサーでフック
を用いて低速3分間混合し、これをボールにとり、生地
が乾燥しないように容器をビニールで覆って、これを2
8℃で12〜18時間置いて生地を発酵させる。中種発
酵終了の目安は、生地のpHが5.0〜5.4になった
時点が適当である。続いて本捏では、先ずは、製パン製
菓用の縦型ミキサーでビーターを用いてマーガリン30
部、バター20部を低速3分混合後、中種の全量、菓子
用薄力粉50部、砂糖50部、卵10部、食塩3部、重
炭酸ソーダ1部、バニラフレーバー0.2部、を添加し
て、さらに、低速1分、中低速2分混合してクッキー生
地を作成後、生地を馴染ませるために8℃の冷蔵庫内で
一晩生地を休ませた。これを麺棒で厚さ7ミリに圧延
後、5g程度の生地重量になるような葉型の型抜きで生
地を抜きとって天板上に並べ、オーブンで180℃14
分間焼成した。
【0034】でき上がったクッキー製品は、外観は通常
のクッキーと何ら変わるところなく、食感はさくさくし
て心地良く、かすかなビールの香りとバターの香りがマ
ッチしており、こくのある深い味わいを有する、好まし
い製品が得られた。
【0035】
【発明の効果】本発明の乾燥パン種の製造方法によれ
ば、冷蔵保存で6カ月以上の保存性を有するパン種を製
造することができ、さらに本乾燥パン種を使用した場
合、本発明の製パン方法を用いれば、優れた製パン性
と、従来のパン種を使用した場合に劣ることのない好ま
しい風香味を、パンに醸し出すことができる。
フロントページの続き (72)発明者 清水 秀典 福岡県福岡市東区箱崎ふ頭6丁目8番8号 鳥越製粉株式会社研究開発部内 (72)発明者 池長 大五郎 福岡県福岡市東区箱崎ふ頭6丁目8番8号 鳥越製粉株式会社研究開発部内 (72)発明者 山本 征児 福岡県福岡市東区箱崎ふ頭6丁目8番8号 鳥越製粉株式会社研究開発部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パン種を0〜50℃の温度範囲で5〜1
    20時間通風乾燥することを特徴とする乾燥パン種の製
    造方法
  2. 【請求項2】 請求項1記載の乾燥パン種を用いること
    を特徴とする製パン・製菓方法
JP30857596A 1996-10-15 1996-10-15 乾燥パン種の製造方法および本パン種を用いた製パン・製菓方法 Pending JPH10117670A (ja)

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