JP2002186409A - 食パンの製造方法 - Google Patents

食パンの製造方法

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JP2002186409A
JP2002186409A JP2000390429A JP2000390429A JP2002186409A JP 2002186409 A JP2002186409 A JP 2002186409A JP 2000390429 A JP2000390429 A JP 2000390429A JP 2000390429 A JP2000390429 A JP 2000390429A JP 2002186409 A JP2002186409 A JP 2002186409A
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bread
fermentation
feeling
yeast
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Osamu Naka
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OISIS CO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】香りと味が良好で、且つ食感(もちもち感、ふ
わふわ感、くちどけ感、サクサク感、しっとり感、喉ご
し感)のバランスに優れた食パンの製造方法を提供す
る。 【解決手段】食パンの製造方法であって、小麦粉、イー
スト、脱脂粉乳及び水を含む原料をミキシングして中種
生地を調製する第一工程、当該中種生地を20℃以下の
発酵室で8〜24時間発酵させる第二工程、砂糖、食
塩、油脂及び水を含む本捏生地原料を中種生地に添加
し、本捏することによりパン生地を調製する第三工程、
当該パン生地を発酵させた後、パン生地をシート状に成
形する第四工程、及び当該シート状生地を分割後、パン
ニング及び最終発酵を経て焼成する第五工程、を有する
ことを特徴とする食パンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、香りと味が良好
で、且つ食感(もちもち感、ふわふわ感、くちどけ感、
サクサク感、しっとり感及び喉ごし感)のバランスに優
れた食パンの製造方法に関する。
【0002】なお、本発明においては、もちもち感、ふ
わふわ感、くちどけ感、サクサク感、しっとり感及び喉
ごし感の各定義は、下記の通りである。
【0003】もちもち感とは、口に含んだ時に、弾力感
及び歯切れ感があることをいう。
【0004】ふわふわ感とは、いわゆるソフト感のこと
であり、柔らかく、ボリューム感があることをいう。
【0005】くちどけ感とは、口の中でダマになりにく
く、舌触りが良いことをいう。
【0006】サクサク感とは、歯触りがよく、口当たり
が軽いことをいう。
【0007】しっとり感とは、口に含んだ時にみずみず
しさがあることをいう。
【0008】喉ごし感とは、ダマがなくすっと喉を通る
感じがすることをいう。
【0009】
【従来の技術】パン類は、通常ストレート法(直捏法)
もしくは中種法でパン生地を作り、常法に従って焼成す
ることにより製造される。
【0010】ストレート法(直捏法)は、原料全ての混
捏−第一発酵−分割・丸目−ベンチタイム−成形−第二
発酵−焼成の一連の工程からなる製造方法である。この
方法は、小麦粉をはじめとする原料を複数回に分けて添
加せず、最初から全量を使用してパン生地を調製するこ
とを特徴とする。
【0011】中種法は、原料の一部(小麦粉の一部を含
む)の混捏−第一発酵−残部原料(小麦粉の残部を含
む)の添加−本混捏−フロアタイム−分割・丸目−以下
ストレート法と同一の工程からなる製造方法である。こ
の方法は、少なくとも小麦粉を2回に分けて添加するこ
とを特徴とする。
【0012】一般に、食パンの品質としては、香りと味
が良好で、且つ食感(もちもち感、ふわふわ感、くちど
け感、サクサク感、しっとり感、喉ごし感)のバランス
に優れているものほどおいしいと感じられ、高い評価を
受けている。
【0013】従って、このような品質を有する食パンを
製造すべく、上記のストレート法や中種法を基調とする
種々の食パンの製造方法が提案されている。
【0014】例えば、特開平5−227873号公報に
は、特にしっとり感を向上させ得るパンの製造方法が開
示されている。また、特開平10−113115号公報
には、特にもちもち感を向上させ得るパン類の製造方法
が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来開
発された食パンの製造方法は、例えばもちもち感、しっ
とり感等の食感のいずれかを向上させるにすぎず、上記
食感(もちもち感、ふわふわ感、くちどけ感、サクサク
感、しっとり感、喉ごし感)を全てにわたりバランスよ
く向上させることはできない。
【0016】従って、本発明は、特に、香りと味が良好
で、且つ食感のバランスに優れている食パンの製造方法
を提供することを主な目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来技術の
問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の
生地調製方法、発酵方法等を含む食パンの製造方法が上
記目的を達成できることを見出し、ついに本発明を完成
するに至った。
【0018】即ち、本発明は、下記の食パンの製造方法
に係るものである。
【0019】1.食パンの製造方法であって、小麦粉、
イースト、脱脂粉乳及び水を含む原料をミキシングして
中種生地を調製する第一工程、当該中種生地を20℃以
下の発酵室で8〜24時間発酵させる第二工程、砂糖、
食塩、油脂及び水を含む本捏生地原料を中種生地に添加
し、本捏することによりパン生地を調製する第三工程、
当該パン生地を発酵させた後、パン生地をシート状に成
形する第四工程、及び当該シート状生地を分割後、パン
ニング及び最終発酵を経て焼成する第五工程、を有する
ことを特徴とする食パンの製造方法。
【0020】2.原料として用いられる小麦粉の全量を
中種生地に使用する上記項1に記載の食パンの製造方
法。
【0021】3.第一工程のイーストが天然酵母である
上記項1又は2に記載の食パンの製造方法。
【0022】4.第二工程において、発酵後の中種生地
の膨脹倍率が発酵前の体積と比較して2〜4倍となるよ
うに制御する上記項1〜3のいずれかに記載の食パンの
製造方法。
【0023】5.第二工程の発酵後における中種生地の
pHが5〜5.7の範囲となるように制御する上記項1
〜4のいずれかに記載の食パンの製造方法。
【0024】6.第四工程の発酵後におけるパン生地の
pHが5.2〜5.4の範囲となるように制御する上記
項1〜5のいずれかに記載の食パンの製造方法。
【0025】7.第五工程の最終発酵後におけるパン生
地のpHが5.1〜5.5の範囲となるように制御する
上記項1〜6のいずれかに記載の食パンの製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の食パンの製造方法
を工程順に説明する。
【0027】第一工程 第一工程では、小麦粉、イースト、脱脂粉乳及び水を含
む原料をミキシングして中種生地を調製する。
【0028】中種生地の原料は、小麦粉、イースト、脱
脂粉乳及び水を含む。これらの原料は特に限定されず、
公知のもの又は市販品を使用することができる。
【0029】原料の配合割合は特に限定されず適宜設定
できるが、通常は小麦粉100重量部(以下、単に
「部」と表記する。)に対し、イースト2〜3部、脱脂
粉乳1〜2部及び水50〜55部を配合することが好ま
しい。
【0030】なお、本発明では、食パンの生地原料とし
て用いられる小麦粉の全量を中種生地に使用することが
好ましい。
【0031】また、次に続く第二工程では、中種生地を
20℃以下の発酵室で8〜24時間発酵させるため、上
記「イースト」としては、長時間発酵に適した酵母を使
用することが好ましく、当該酵母の中でも特に天然酵母
を使用することが好ましい。天然酵母の種類に特に限定
はなく、公知のもの又は市販品を使用することができる
が、その中でも、特にりんご、ぶどう等の天然果実を野
生酵母及び植物性乳酸菌の作用により発酵及び熟成させ
て得られる天然酵母種が好適に使用できる。
【0032】本発明では、中種生地に上記以外の他の原
料が含まれていてもよい。例えば、食塩、油脂、イース
トフード、乳製品、乳化剤、ビタミンC等が挙げられ
る。これらの原料は特に限定されず、公知のもの又は市
販品を使用することができる。
【0033】他の原料の配合割合は特に限定されず適宜
設定できるが、通常は上記の小麦粉100重量部に対
し、食塩0.2部以下、油脂4部以下、イーストフード
0.1部以下、乳製品10部以下、乳化剤1部以下、ビ
タミンC0.002部以下等を配合することが好まし
い。
【0034】なお、上記「油脂」の種類は特に限定され
ず、通常の製パン用油脂を用いることができるが、本発
明においては、特に発酵バターを含む油脂が好ましく、
例えばパーム油6部、発酵バター3部及び水1部の割合
で混合して得られる油脂を好適に使用することができ
る。また、上記「乳製品」は、製品となる食パンに好ま
しい風味付けができるものならば特に限定されず、例え
ば市販のベーカリークリーム等を好適に使用することが
できる。
【0035】上記原料のミキシングに際しては、例えば
ミキサー等の公知のミキシング装置を使用することがで
きる。ミキシングを行う部屋の温度は特に限定されない
が、通常25〜28℃程度であることが好ましい。ま
た、ミキシングを行う部屋の湿度は特に限定されない
が、通常70〜75%程度であることが好ましい。
【0036】ミキシング時間は特に限定されず、ミキシ
ングする原料の量、その他の条件等に応じて適宜設定で
きるが、通常は低速3分間及び高速1〜3分間程度行う
ことが好ましい。
【0037】ミキシング終了時の中種生地中心部の温度
は、通常15〜20℃程度、好ましくは17〜19℃で
あればよい。
【0038】中種生地の温度測定方法は特に限定され
ず、市販の温度計を常法に従って使用して温度を測定す
ればよく、他の工程におけるパン生地の温度測定におい
ても同様の測定方法が適用できる。しかしながら、温度
測定の対象となる生地には、雰囲気温度の影響を受けて
生地中心部と生地表層部で温度差が生じている場合があ
るため、温度測定をする際は、全工程を通して、雰囲気
温度の影響の少ない生地中心部の温度を測定することが
好ましい。
【0039】第二工程 第二工程では、第一工程で得られた中種生地を20℃以
下の発酵室で8〜24時間発酵させる。
【0040】本工程における発酵室の温度は20℃以下
であれば特に制限されず、使用するイーストの働きが損
なわれない温度に適宜設定できる。好ましくは15〜2
0℃程度、より好ましくは17〜19℃程度である。
【0041】本工程における発酵時間は8〜24時間で
あれば特に制限されず、使用するイーストの種類、中種
生地の分量等に応じて適宜設定することができるが、通
常12〜24時間程度が好ましく、より好ましくは15
〜18時間である。
【0042】本工程における発酵室の湿度は特に制限さ
れないが、通常高いほど好ましく、特に90〜100%
程度であることが好ましい。
【0043】本発明では、上記のように発酵室の温度を
20℃以下と比較的低温に設定し、発酵時間を8〜24
時間と比較的長時間に設定するため、中種生地に含まれ
る小麦粉でん粉を充分にα化させることができる。従っ
て、製品の食パンに自然な甘みを与えることができると
共に、もちもち感を向上させることができる。また、同
時にグルテン形成を充分に行わせることができるため、
製品の食パンのしっとり感、くちどけ感、ふわふわ感及
びトースト時の表面のサクサク感を向上させることがで
きる。
【0044】中種生地の発酵による膨脹倍率は限定的で
はないものの、通常は発酵前の体積と比較して2〜4倍
程度となることが好ましい。
【0045】発酵終了時における中種生地中心部の温度
は、通常17〜23℃程度が好ましく、より好ましくは
20〜22℃である。
【0046】発酵終了時における中種生地のpHは特に
限定されないが、通常5〜5.7程度が好ましく、より
好ましくは5.3〜5.5程度である。pHが5未満で
ある場合は、製品である食パンの酸味が強くなるおそ
れ、又は小麦タンパクの軟化により製パン性が悪くなる
おそれがある。pHが5.7を超える場合は、発酵が不
十分であることが考えられ、製品である食パンの風味、
食感等を低下させるおそれがある。
【0047】中種生地のpH測定方法は特に限定されな
いが、例えば中種生地10gを100gの蒸留水に充分
に懸濁させた懸濁液のpHを測定することが好ましい。
pH測定装置は特に限定されず、市販のpHメーターを
常法に従って使用すればよい。なお、他の工程における
パン生地のpH測定においても同様の測定方法が適用で
きる。
【0048】第三工程 第三工程では、砂糖、食塩、油脂及び水を含む本捏生地
原料を中種生地に添加し、本捏することによりパン生地
を調製する。
【0049】本捏生地の原料は、砂糖、食塩、油脂及び
水を含む。これらの原料は特に限定されず、公知のもの
又は市販品を使用することができる。
【0050】原料の配合割合は特に限定されず適宜設定
できるが、通常は第一工程の中種生地に使用する小麦粉
100部に対し、砂糖3〜12部、好ましくは6〜9
部、食塩1.3〜2部、油脂1〜5部及び水1〜5部を
配合することが好ましい。
【0051】本発明では、本捏生地の必須原料として油
脂を含む他、前記中種生地原料にも必要に応じて油脂を
添加することができるが、その添加量の合計は、中種生
地に使用する小麦粉100部に対して5〜7部程度であ
ることが好ましい。
【0052】本発明では、本捏生地に上記以外の他の原
料が含まれていてもよい。例えば、増粘多糖類、のり、
脱脂粉乳、粉末モルト、イースト等が挙げられる。これ
らの原料は特に限定されず、公知のもの又は市販品を使
用することができる。
【0053】他の原料の配合割合は特に限定されず適宜
設定できるが、通常は中種生地に使用する小麦粉100
部に対し、増粘多糖類3部以下、のり15部以下、脱脂
粉乳3部以下、粉末モルト0.1部以下、イースト1.
8部以下等を配合することが好ましい。
【0054】なお、上記「増粘多糖類」は特に制限され
ず、公知のもの又は市販品を使用することができるが、
その中でも特にマンナンを主成分とする増粘多糖類を使
用することが好ましい。本発明では、マンナンを主成分
として含有する増粘多糖類を使用することにより、第二
工程の低温長時間発酵で引き出されたもちもち感をさら
に向上させることができる。
【0055】本発明における「のり」は、でん粉を倍重
量の熱湯に溶解させたものであり、熱湯に溶解させてα
化したでん粉溶液が有する甘味、粘性等を利用して、製
品となる食パンの甘み、もちもち感を向上させることが
できる。使用するでん粉の種類は特に限定されず、例え
ば小麦粉でん粉、米粉でん粉等を用いることができる
が、本発明では特に小麦粉でん粉を使用することが好ま
しい。なお、上記「粉末モルト」は、前記したでん粉の
α化促進剤として好適に使用することができる。
【0056】本工程において使用する「イースト」は、
中種生地原料に好適に使用される天然酵母に限定され
ず、一般的に用いられる通常の製パン用イーストを使用
することができる。
【0057】上記原料をミキシングする部屋の温度は特
に限定されないが、通常25〜28℃程度であることが
好ましい。ミキシングする部屋の湿度は特に限定されな
いが、通常70〜75%程度であることが好ましい。
【0058】ミキシングに際しては、先ず砂糖、水及び
必要に応じて配合される他の原料を発酵後の中種生地に
添加し、通常低速3分間及び高速6〜8分間程度ミキシ
ングすることが好ましい。その後、食塩及び油脂を添加
し、通常低速3分間及び高速6〜8分間程度ミキシング
することが好ましい。
【0059】その理由は、パン生地のグルテン形成の阻
害を防止するためであり、ミキシングに際しグルテン形
成を阻害する食塩及び油脂は、ミキシング工程の最初か
ら添加するのではなく、ある程度パン生地のグルテン形
成がなされた後に添加することが好ましい。
【0060】ミキシング後のパン生地中心部の温度は、
通常25〜29℃程度が好ましく、より好ましくは26
〜28℃である。
【0061】第四工程 第四工程では、当該パン生地を発酵させた後、パン生地
をシート状に成形する。
【0062】本工程における発酵室の温度は特に限定さ
れず、使用するイーストの種類、パン生地量等に応じて
適宜設定できるが、通常20〜35℃程度が好ましく、
より好ましくは26〜28℃である。本工程における発
酵室の湿度は特に限定されないが、通常60〜90%程
度が好ましく、より好ましくは65〜75%である。
【0063】発酵時間は特に限定されず、使用するイー
ストの種類、パン生地量等に応じて適宜調整することが
できるが、通常30〜60分間程度であることが好まし
い。
【0064】パン生地の発酵による膨脹倍率は限定的で
はないものの、発酵前のパン生地の体積と比較して通常
1.5〜2倍程度であればよい。
【0065】発酵終了時におけるパン生地のpHは特に
限定されないが、通常5.2〜5.4の範囲であること
が好ましい。
【0066】発酵終了時におけるパン生地中心部の温度
は、通常26〜30℃程度が好ましく、より好ましくは
27〜29℃である。
【0067】本発明では、当該発酵後にパン生地をシー
ト状に成形する。シート状成形の方法は特に限定され
ず、例えばシート状形成機能を有する市販の製パンライ
ン等を使用することができるが、できるだけパン生地の
グルテンに損傷を与えない方法であることが好ましい。
シート化されたパン生地の大きさに特に限定はないが、
通常厚さ2〜3cm程度、幅30〜35cm程度のシー
ト状であることが好ましい。
【0068】第五工程 第五工程では、当該シート状パン生地を分割後、パンニ
ング及び最終発酵を経て焼成する。なお、パンニング
は、パン生地を食型に詰めることである。
【0069】第四工程においてシート状に成形したパン
生地は、本工程において所望の大きさに分割する。分割
に係る条件は特に限定されないが、例えばカッター等の
切削具で比容積4となるように分割することが好まし
い。
【0070】上記「比容積4」は、分割したパン生地の
体積が、焼成前にパンニングを行う食型の1/4の体積
であることを意味する。例えば、6000ccの容積の
食型にパン生地を詰める場合は、1500ccの体積の
パン生地が比容積4の分割量となる。
【0071】なお、通常の製パン工程では、パン生地の
分割の後、丸目工程があるため、当該丸目工程で損傷を
受けたパン生地のゲルの状態を回復させるために、中間
発酵(いわゆるベンチタイム)を行うことが多い。
【0072】これに対し、本発明では、本捏後の発酵の
後、予めパン生地をシート状に成形して、極力パン生地
に損傷を与えないように分割を行うため、当該中間発酵
をする必要はない。但し、パン生地の性質及び状況に合
わせて適宜中間発酵工程を導入することはできる。
【0073】上記分割後のパン生地は、次に食型にパン
ニングを行う。パンニングの方法は特に制限されず、常
法に従って行うことができるが、本発明では、巻き締め
成形をした後に、パン生地をM型もしくはN型に折りた
たんでパンニングすることが好ましい。
【0074】なお、上記「巻き締め成形」は、一般的に
は、分割後のパン生地をモルダー等の装置を用いて通常
1.5〜3.5mm程度の厚さに薄くのばした後、端か
らロール状に巻き締めを行うことである。
【0075】パンニング後のパン生地は、最終発酵を経
て焼成される。本工程における発酵室の温度は特に限定
されず、使用するイーストの種類、パン生地量等に応じ
て適宜設定できるが、通常38〜40℃程度であること
が好ましい。本工程における発酵室の湿度は特に限定さ
れないが、通常80〜85%程度であることが好まし
い。発酵時間は特に限定されず、使用するイーストの種
類、パン生地の分量等に応じて適宜調整することができ
るが、通常45〜50分間程度であることが好ましい。
【0076】パン生地の発酵による膨脹倍率は限定的で
はないものの、発酵前のパン生地の体積と比較して通常
1.2〜1.5倍程度が好ましい。また、最終発酵後の
パン生地のpHは特に限定されないが、通常5.1〜
5.5の範囲であることが好ましい。さらに、発酵終了
後のパン生地中心部の温度は特に限定されないが、通常
38〜40℃程度であることが好ましい。
【0077】焼成に係る条件は特に限定されず所望の製
品特性を考慮して適宜設定することができるが、例えば
200℃のオーブンで30〜35分間程度焼成すること
が好ましい。パン生地の焼成による膨脹倍率は限定的で
はないものの、通常は焼成前のパン生地の体積と比較し
て1.3〜1.4倍程度が好ましい。
【0078】
【発明の効果】本発明のパン類の製造方法によれば、特
定の生地調製方法、発酵方法等を採用するため、香りと
味が良好で、且つ食感(もちもち感、ふわふわ感、くち
どけ感、サクサク感、しっとり感、喉ごし感)のバラン
スに優れた食パンを製造することができる。
【0079】
【実施例】以下に実施例及び試験例を示し、本発明の特
徴を一層明確にする。但し、本発明は実施例の記載の範
囲に限定されるものではない。
【0080】実施例1 中種生地原料;小麦粉(製パン用強力粉)100部(1
00kg)、イースト(りんご果実を野生酵母及び植物
性乳酸菌を使用して発酵・熟成させて得た天然酵母)2
部(2kg)、脱脂粉乳1部(1kg)、水50部(5
0kg)、食塩0.2部(200g)、油脂(パーム油
6部、発酵バター3部及び水1部の割合で混合したも
の)3部(3kg)、イーストフード0.1部(100
g)、乳製品4部(4kg)及びビタミンC0.001
5部(1.5g)をミキサーに入れ、低速3分間及び高
速2分間ミキシングした。ミキシングをする部屋の温度
は27℃、湿度は70%であった。ミキシング終了時の
中種生地中心部の温度は18℃であった。温度測定は、
市販の温度計を用いて、センサー部分を中種生地中心部
に挿入して測定した。
【0081】次に、中種生地を室温15℃、湿度90%
の発酵室に運び、15時間発酵させた。肉眼で認められ
る発酵による中種生地の膨脹倍率は4倍であった。発酵
終了時の中種生地中心部の温度は20℃であり、pHは
5.4であった。pH測定は、先ず中種生地10gを1
00gの蒸留水に充分に懸濁させた懸濁液を調製し、そ
の懸濁液のpHを市販のpHメーターを用いて測定し
た。
【0082】次に、本捏生地原料;砂糖8部(8k
g)、水1部(1kg)、増粘多糖類(マンナンを主原
料として含むもの)2部(2kg)、のり(小麦粉5k
gを10kgの熱湯に溶解させたもの)15部(15k
g)、脱脂粉乳1部(1kg)、粉末モルト0.01部
(10g)及びイースト(通常の製パン用イースト)
1.5部(1.5kg)を上記中種生地に添加し、低速
3分間及び高速6分間ミキシングした。その後、食塩
1.8部(1.8kg)及び油脂(上記油脂と同一成分
のもの)4部(4kg)を添加し、再度低速3分間及び
高速6分間ミキシングした。ミキシングする部屋の温度
は27℃、同湿度は70%であった。ミキシング後のパ
ン生地中心部の温度は27℃であった。
【0083】次に、ミキシングしたパン生地を温度27
℃、湿度75%の発酵室に運び、40分間発酵させた。
肉眼で認められる発酵によるパン生地の膨脹倍率は1.
5倍であった。発酵終了時のパン生地中心部の温度は2
8℃であり、pHは5.4であった。次に、パン生地
を、厚さ2cm、幅30cmのシート状生地に成形し
た。シート状に成形後、分割カッターで1500ccの
体積となるように分割し、さらにモルダーで厚さ3mm
になるようにのばした。のばした生地は、端から巻き締
めし、細長い円柱状の生地とした後、全体をN型に折り
たたんで容積が6000ccの食型にパンニングした。
パンニング後のパン生地は、食型に入った状態で温度4
0℃、湿度85%の発酵室で50分間最終発酵させた。
肉眼により確認できた最終発酵によるパン生地の膨脹倍
率は1.3倍であった。発酵終了時のパン生地中心部の
温度は39℃、pHは5.2であった。発酵終了後、2
00℃のオーブンで30分間焼成して食パン(仮称「S
F100α」)を得た。
【0084】試験例1 本発明の特質を明らかにするために、SF100α及び
他社製食パン3種(A、B及びC)を用意し、試食によ
る食感アンケートを実施した。
【0085】アンケート方法は、アンケート対象者に商
品サンプル2品(1品はSF100α、他の1品は他社
製食パンA、B及びCのいずれか1種)を実際に試食さ
せ、各サンプルについて、6種の食感(もちもち感、ふ
わふわ感、くちどけ感、サクサク感、しっとり感及び喉
ごし感)の有無を評価させる方法とした。
【0086】評価方法は、6種の食感それぞれに対し、
「ない」、「ややない」、「普通」、「ややある」及び
「ある」のいずれかの評価を付す方法とした。
【0087】なお、配布したサンプル2品は、いずれも
5枚切り食パン1枚分を無地包装したものであり、アン
ケート対象者にはいずれのパンであるか判別できないよ
うにした。
【0088】アンケートは、20代〜50代の男女計1
20人に対して行った。但し、アンケート用紙の回収率
は97.5%であり、有効なアンケート結果数は117
であった。
【0089】〔アンケート結果の分析〕各サンプルに対
する食感評価を視覚的に認識できるように、各食感評価
(「ない」〜「ある」の5評価)それぞれに「−2」、
「−1」、「0」、「1」、「2」のウェイトをつけて
最高30ポイントの数値評価に置き換え、レーダーチャ
ート化した。
【0090】各サンプルについてのレーダーチャートを
図1〜図4に示した。
【0091】各レーダーチャートは、評価ポイントが3
0に近づくほど食感支持率が高く、評価部分(網目)の
形状が正六角形に近づくほど食感バランスが優れている
ことを意味する。
【0092】〔各レーダーチャートの比較〕各レーダー
チャートを比較すると、SF100αの評価部分が最も
外側まで広がっており、且つ広がりのバランスが優れて
いることが分かる。
【0093】他社商品A及びCは、もちもち感の評価ポ
イントのみが高く、他の食感とのバランスが非常に悪い
ことが分かる。また、評価部分の面積はSF100αの
方が大きいことは明確である。従って、SF100αの
方が、より食感バランスに優れていると言える。
【0094】他社商品Bは、評価部分の広がりのバラン
スは良いが、3種の食感の評価ポイントが20未満であ
り、評価部分の面積がSF100αの方が大きいことが
分かる。従って、SF100αの方が、より食感バラン
スに優れていること言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】SF100αに対する6種の食感評価の結果を
レーダーチャートに表したものである。
【図2】他社商品Aに対する6種の食感評価の結果をレ
ーダーチャートに表したものである。
【図3】他社商品Bに対する6種の食感評価の結果をレ
ーダーチャートに表したものである。
【図4】他社商品Cに対する6種の食感評価の結果をレ
ーダーチャートに表したものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食パンの製造方法であって、 小麦粉、イースト、脱脂粉乳及び水を含む原料をミキシ
    ングして中種生地を調製する第一工程、 当該中種生地を20℃以下の発酵室で8〜24時間発酵
    させる第二工程、 砂糖、食塩、油脂及び水を含む本捏生地原料を中種生地
    に添加し、本捏することによりパン生地を調製する第三
    工程、 当該パン生地を発酵させた後、パン生地をシート状に成
    形する第四工程、及び当該シート状生地を分割後、パン
    ニング及び最終発酵を経て焼成する第五工程、を有する
    ことを特徴とする食パンの製造方法。
  2. 【請求項2】原料として用いられる小麦粉の全量を中種
    生地に使用する請求項1に記載の食パンの製造方法。
  3. 【請求項3】第一工程のイーストが天然酵母である請求
    項1又は2に記載の食パンの製造方法。
  4. 【請求項4】第二工程において、発酵後の中種生地の膨
    脹倍率が発酵前の体積と比較して2〜4倍となるように
    制御する請求項1〜3のいずれかに記載の食パンの製造
    方法。
  5. 【請求項5】第二工程の発酵後における中種生地のpH
    が5〜5.7の範囲となるように制御する請求項1〜4
    のいずれかに記載の食パンの製造方法。
  6. 【請求項6】第四工程の発酵後におけるパン生地のpH
    が5.2〜5.4の範囲となるように制御する請求項1
    〜5のいずれかに記載の食パンの製造方法。
  7. 【請求項7】第五工程の最終発酵後におけるパン生地の
    pHが5.1〜5.5の範囲となるように制御する請求
    項1〜6のいずれかに記載の食パンの製造方法。
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