JP7170102B1 - パン粉用パン生地、パン粉、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パン粉用パン生地として、小麦粉100質量部に対して3~30質量部の割合で湯種を含有する生地を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、こうした一連の知見に基づいて、検討を重ねて完成したものであり、下記の実施形態を包含するものである。
(I-1)小麦粉100質量部に対して3~30質量部の割合で湯種を含有する、パン粉用パン生地。
(I-2)小麦粉100質量部に対して3~30質量部の割合で湯種を配合してパン生地を調製する工程を有することを特徴とする、パン粉用パン生地の製造方法。
(II-1)(I-1)に記載のパン粉用パン生地を、発酵、焼成及び粉砕して得られるパン粉。
(II-2)油調用パン粉である、(II-1)に記載するパン粉。
(II-3)(I-2)に記載する製造方法で得られるパン粉用パン生地を、発酵、焼成、及び粉砕する工程を有する、パン粉の製造方法。
(III-1)(II-2)に記載するパン粉を用いて製造される油調食品。
本発明のパン粉用パン生地は、パン粉を調製するためのパンの焼成に使用される生地であり、小麦粉100質量部に対して3~30質量部の割合で湯種を含有することを特徴とする。
本発明で用いられる湯種は、小麦粉を水と共に40~125℃の範囲の温度条件で混捏して調製した生地であり、小麦粉100質量部に対する水の割合が55~375質量部の範囲にあるものをいう。
前記湯種は、本発明のパン粉用パン生地の材料として使用される。すなわち、本発明のパン粉用パン生地は、パン生地用の材料(パン生地材料)と水に加えて、上記方法で得られた湯種を混捏することによって製造される(これを「生地作製工程」ともいう)。具体的には、前記湯種、生地材料及び水をミキサーに投入して、一度に混捏することによりパン粉用パン生地を作製することができる。
本発明のパン粉は、前記の方法で作製したパン粉用パン生地を用いる以外は、定法に従って製造することができる。
前記方法で調製される本発明のパン粉は、油調食品の衣の材料として好適に使用することができる。このため、本発明のパン粉は、油調用パン粉(フライ用パン粉)ということができる。本発明のパン粉を用いて製造される油調食品は、パン粉を付けて油調される食品であればよく、制限されないものの、例えばトンカツ、魚や海老のフライ、野菜のフライ、コロッケ等を挙げることができる。これらの油調食品は、本発明のパン粉を用いる以外は、定法により製造することができる。
小麦粉1:かみぐるま(奥本製粉(株)製)(強力系パン用小麦粉、粗蛋白含量12.5%)
小麦粉2:麺京美人(奥本製粉(株)製)(中力系麺用小麦粉、粗蛋白含量8.9%)
小麦粉3:青凧(奥本製粉(株)製)(強力系パン用小麦粉、粗蛋白含量13.0%)
小麦粉4:白水車 (奥本製粉 (株)製 ) (薄力系菓子用小麦粉、粗蛋白含量8.0%)
精製塩:日本食塩製造株式会社製
湯種:参考製造例1~4参照
熱湯 (90℃) を160部いれたミキサー (レオニーダーKH、株式会社カジワラ製) の中に、小麦粉1を100部、精製塩を10部の割合で投入し、6分間混合し、生地温度70℃の湯種を製造した。これを包装し、0℃の冷水で、生地温が10℃程度になるまで冷却し、4℃で一晩冷蔵保管した後、-30℃まで急速凍結し、冷凍保存した。使用に際して、4℃の冷蔵庫に24時間入れて解凍し、品温を4℃に調整して使用した(湯種1)
温湯(52℃)を55部いれたミキサー(縦型ミキサー、関東混合機工業株式会社製)の中に小麦粉1を100部、精製塩を2部の割合で投入し、6分間混合し、生地温度40℃の湯種を製造した。これを包装し、0℃の冷水で、生地温が10℃程度になるまで冷却し、4℃で一晩冷蔵保管した後、-30℃まで急速凍結し、冷凍保存した。 使用に際して、4℃の冷蔵庫に24時間入れて解凍し、品温を4℃に調整して使用した(湯種2)。
水(20℃)を375部いれたボールの中に小麦粉2を100部、精製塩を2部入れて攪拌し、滑らかなバッター状の生地を作製。これを95℃に調整した熱湯上で攪拌しながら湯煎を行い、生地温度75℃の湯種を製造した。これを包装し、0℃の冷水で、生地温が10℃程度になるまで冷却し、4℃で一晩冷蔵保管した後、品温4℃で使用した(湯種3)。
水(20℃)を150部いれたボールの中に小麦粉1を100部、精製塩を1部入れて攪拌し、滑らかなバッター状の生地を作製。これをオートクレーブ可能な袋に入れ、125℃で15分間オートクレーブ処理を行った。処理後常温まで冷却し、品温20℃で使用した (湯種4)。
湯種を使用してパン生地を調製し、それを用いて製造した食パンを粉砕してパン粉を調製した。調製したパン粉を評価するために、パン粉付け油調食品としてコロッケを作り、その表面のパン粉の食感(サクサク感[噛んだときの歯応えと歯切り感]、油っぽさ)をパネルにより官能評価した。なお、パン粉と衣は一体化しており、しかも衣部分は薄いため、パン粉付け衣の食感を、パン粉の食感として評価した(以下、同じ。)。
また、一部のパン粉については、粉砕する前の食パンをカットしたパン片を油調したものの破断強度を、クリープメーターで測定し、官能評価(歯応え感)との相関性を評価した。さらに一部のパン粉については、油調後に荷重をかけた後の油の染みだし量を測定し、官能評価(油っぽさ)との相関性を評価した。
(1)パン生地及びパンの製造方法
表1に記載する割合で各成分を用いて、下記の方法で各種の食パン(比較例1~4、実施例1~6)を製造した。
カントーミキサー製20コート縦型ミキサーを使用して、小麦粉2kgに対し、ショートニング以外の材料を混捏した。生地のグルテンが結合し、生地の膜が出来上がった時点で、ショートニングを加え、再度混捏し、パンの生地のグルテンが十分に結合され、膜がなめらかに伸びる生地状態になった段階で混捏を終了した。この時の生地温度は27℃であった。その後、温湿度28℃、80%の恒温室で60分間一次発酵させ、生地を12分割し(1つあたり245g)、丸く形を整えた。
20分室温でベンチタイムを取った後、生地のガスを抜き、モルダーを使用して生地を成型した。成型したパン生地を(12分割のうち6つを)、一斤用食パン型(364(内345)×137(内123)×H140mm)に詰めた。
温湿度38℃、80%の恒温室で50分間二次発酵した後、上火190℃、下火220℃のオーブンで40分間焼成を行い、山食パンを作製した。
前記(1)で製造した食パンを4℃の冷蔵庫で24時間冷却した後に、ロボクープ カッターミキサー ((株)エフ・エム・アイ製)にて粉砕した。
粉砕物を目開き13mmの篩にかけ、スルー部分を目開き5mmの篩でふるい、オーバー部分(パン粉の大きさとしては13mm~5mm)を集めて、これを生パン粉(比較例1~4、実施例1~6)とした(水分含量35~38%)。なお、湯種添加量が小麦粉100部に対して40部を超えてくると粉砕しにくくなる傾向がみられた(比較例3及び4)。
40gのじゃがいもパテをバッター液 (小麦粉4 100g、卵1個、水150cc) に浸漬し、これを上記(2)で製造した各種生パン粉(比較例1~4、実施例1~6)を、約5g付着させて得られたコロッケ種を急速冷凍した。
次いで、冷凍されたコロッケを175℃に加熱された食用油脂で4分30秒間油調(フライ)した。なお、湯種添加量が小麦粉100部に対して40部以上になると、パン粉同士がくっつきあい、均一にパン粉付けするのが難しくなり、作業性が悪くなる傾向がみられた(比較例3及び4)。
油調後、コロッケを、縦掛け式網付き天ぷらバットに上げ、室温でそのまま放冷した。油調してから30分間経過したコロッケの衣のパン粉の食感を後述する「官能評価方法」に従って官能評価を行った。また、油調してからプラスチックケースに入れて蓋をした状態で4時間室温放置した後、皿に移して、電子レンジで500W、1分間加熱し、縦掛け式網付き天ぷらバットに上げて、室温で30分放冷した後のコロッケの衣のパン粉の食感についても官能評価を行った。
(1)官能評価
パン粉付け油調食品(コロッケ)の衣のパン粉の食感(サクサク感[噛んだときの歯応えと歯切り感]、油っぽさ)を評価した。評価は、社内の官能評価者の基準を満たし、日常的に官能評価を行っている者(パネル)12名で行った。また評価は、比較例1(湯種無添加)のパン粉を使用して製造したコロッケの油調直後(湯種無添加油調直後)の衣のパン粉の食感(以下、これを「対照食感」と称する)をスコア5又は評価○とし、下記の評価基準に従って実施した。下記の評価基準は、事前にパネル間で協議及び摺り合わせをして、各人の内的基準が同じになるように調整した。
(a)歯応え:パン粉に適度な強度があり、噛んだ際に適度な歯応えを感じること
[評価基準]
5点:対照食感(歯応え)と同等
4点:対照食感と比較すると劣るが、歯応えは感じる
3点:へナっとして対照食感と比較するとかなり劣るが、歯応えはやや残っている
2点:へナっとしていて歯応えは少ない。
1点:歯応えは全くない。
[評価基準]
5点:対照食感(歯切れ感)と同等
4点:対照食感と比較すると劣るが、十分な崩壊感はあり、歯の通りもよい。
3点:崩壊感はあるが、噛んだ際の歯の通りが劣り、歯に引っかかりを感じる。
2点:崩壊感が少なく歯に引っかかりを感じ、対照食感と比較して崩壊感も歯通りもいずれも劣る
1点:崩壊感は全くなく、歯に引っかかりを強く感じ歯の通りが悪い。
[評価基準]
○:対照食感(油っぽさ)と同等で、油っぽさを感じない
△:対照食感と比較して、少し油っぽさを感じる。
×:対照食感と比較して、強く油っぽさを感じる
表1に記載する処方に基づいて(A)(2)に記載する方法で製造された食パン(比較例1 (湯種無添加) 、実施例3(湯種10部)、実施例5(湯種20部) 、実施例6 (湯種30部)、比較例3 (湯種40部) 、比較例4 (湯種50部))の中央部を、15mm×40mm×6mmにカットし、175℃に加熱した食用油脂で潜行式にて3分30秒間油調(フライ)した。油調後、縦掛け式網付き天ぷらバットに上げ、室温でそのまま10分間放冷した後に、厚み幅(6mm)に対する破断強度を、クリープメーターを用いて下記条件で分析した。
・クリープメーター:RHEONER II (株式会社山電製)
測定条件:プランジャー直径8mmの円柱型
測定速度0.5 mm/sec、圧縮率50%
表1に記載する処方に基づいて(A)(3)に記載する方法で製造された生パン粉(比較例1 (湯種無添加) 、実施例3(湯種10部)、実施例5(湯種20部) 、実施例6 (湯種30部)、比較例3 (湯種40部) 、比較例4 (湯種50部))のうち、目開き13mm篩下かつ、目開き8mm篩上の粗めのパン粉(被験試料)を用いて、下記の方法により測定した。
1)あらかじめ使用するろ紙(8枚)の重量Aを測定する。
2)上記の被験試料を素揚げ用の容器(底がメッシュ)に5g入れ、フライヤーにて175℃、3分間素揚げした後、3分間の油切りをする。
3)油切りした被験試料(油調前5g)を、下4枚上4枚の合計8枚のろ紙で挟み、アルミ製のバットの中心に置き、さらに上から同じ大きさのアルミ製バットを重ねて、ろ紙に挟んだ被験試料を挟みこむ。
4)3)のアルミ製のバットに25kgのおもりを置き、5分間静置させ、ろ紙に油調した被験試料の油を染み込ませる。
5)おもりと重ねたアルミ製のバットを取り除き、ろ紙から被験試料を完全に取り除く。
6)油が染み込んだろ紙(8枚)の重量Bを測定する。
7)被験試料(油調前のパン粉単位1g当たり)の油の染み出し量を算出する。
パン粉1g当たりの油の染み出し量:C=(B-A)÷5
8)比較例1のCを100として、それとの相対比を算出する。
(1)官能評価結果
油調30分間放冷した後のコロッケのパン粉の食感を表2に、油調4時間後にレンジ加熱し30分間放冷した後のコロッケのパン粉の食感を表3に示す。結果は12名のパネルの平均値である。
一方、パン生地中の湯種の配合割合が小麦粉100部に対して30部以上、特に40部以上と多くなるにつれて、油調後のパン粉が油っぽくなることが確認された。この点から、小麦粉100部に対する湯種の配合割合は30部以下、好ましくは20部以下であることが望ましいと考えられる。
また、(A)(2)生パン粉の製造方法で、目開き5mmの篩にスルーした部分(パン粉の大きさとしては5mm未満)の生パン粉を用いた場合も、上記と同様の結果が得られた。
一方、パン生地中の湯種の配合割合が小麦粉100部に対して20部以上、特に40部以上と多くなるにつれて、油調後のパン粉が油っぽくなることが確認された。この点から、小麦粉100部に対する湯種の配合割合は30部以下、好ましくは20部以下であることが望ましいと考えられる。
また、(A)(2)生パン粉の製造方法で、目開き5mmの篩にスルーした部分(パン粉の大きさとしては5mm未満)の生パン粉を用いた場合も、上記と同様の結果が得られた。
各被験試料(比較例1 (湯種無添加) 、実施例3(湯種10部)、実施例5(湯種20部) 、実施例6 (湯種30部)、比較例3 (湯種40部) 、比較例4 (湯種50部))の最大荷重 (N) を表したグラフを図1に示す。この結果から、小麦粉100部に対する湯種の割合が多くなるほど、破断強度が強くなる一方で、湯種の配合量が30部を超えると低下していくことが確認された。また、この結果は、前記の官能評価(歯応え)と同じ傾向であり、両結果が相関していることが確認された。
各被験試料(比較例1 (湯種無添加) 、実施例3(湯種10部)、実施例5(湯種20部) 、実施例6 (湯種30部)、比較例3 (湯種40部) 、比較例4 (湯種50部))の油の染みだし量を示したグラフを図2に示す。図2に示すように、油の染み出し量 は、実施例6 (湯種30部) より上昇し、比較例3 (湯種40部) 、比較例4 (湯種50部) になると、比較例1と比較して10%以上の増加が見られた。この結果は、前記の官能評価(油っぽさ)と同じ傾向であり、両結果が相関していることが確認された。
実験例1で用いた湯種1に代えて、湯種2~4を用いて、表4に記載する処方に基づいて、実験例1の(A)(1)及び(2)に記載する方法で食パン及び生パン粉(実施例7~9)を製造した。さらにその生パン粉を用いて、実験例1の(A)(3)に記載する方法でコロッケを製造した。
Claims (5)
- 油調後放冷した後もサクサクした食感を有する油調用パン粉を製造するためのパン生地であって、
小麦粉100質量部に対して3~30質量部の割合で湯種を含有するものであることを特徴とする、
前記パン粉用パン生地(但し、パン粉以外のベーカリー製品を製造するためのパン生地を除く)。 - 油調後放冷した後もサクサクした食感を有する油調用パン粉を製造するためのパン生地の使用であって、
前記パン生地は小麦粉100質量部に対して3~30質量部の割合で湯種を含有するものであることを特徴とする、
前記使用。 - 小麦粉100質量部に対して3~30質量部の割合で湯種を含有するパン粉用パン生地の発酵物の焼成粉砕物である、油調用パン粉。
- 油調後放冷した後もサクサクした食感を有する油調用パン粉を製造するためのパン生地の製造方法であって、
小麦粉100質量部に対して3~30質量部の割合で湯種を配合してパン生地を調製する工程を有することを特徴とする、
前記油調用パン粉用パン生地の製造方法。 - 請求項4に記載する製造方法で得られる油調用パン粉用パン生地を、発酵、焼成、及び粉砕する工程を有する、
油調用パン粉の製造方法。
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