JP2021112149A - しっとり感が増強されたパン類 - Google Patents
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Abstract
【課題】添加剤の使用量が低減されているにもかかわらずしっとり感が焼成直後からより長期にわたり持続するパン類、あるいはかかるパン類を製造するための技術を提供すること。【解決手段】パフ小麦粉を含むパン類。【選択図】なし
Description
本発明は、しっとり感が増強されたパン類に関する。
パン類は、米飯とともに主食として供される食材であるところ、パン類においても、他の食材と同様に保管中に品質が低下することは避けられない。
パン類の品質の低下に対処するための技術として、乳化剤や加工澱粉といった添加剤を添加して品質の低下を防ぐといった方法が知られている。
また、特許文献1にはパフ現象を伴いながら焙煎した小麦を用いた小麦粉を用いたパンについての記載がある。
例えばコンビニエンスストアやスーパー等の店舗において販売されるパン類は、製造と販売を兼ねているリテールのパン店のものに比べて製造がされてから顧客に消費されるまでの時間が長い。またこれらパン類は、食べやすいように事前にスライスされていたり、小さい形態で顧客に提供されているものが多く、表面積が大きいことから劣化がさらに進みやすい状態にさらされている。そのため、これらの要因により、上記のパン類においては、喫食時においてしっとり感が失われた状態になりやすい。
上記のとおり従来技術においては、乳化剤や加工澱粉といった添加剤の添加によりパン類の品質を保つ試みはなされている。しかしながら、パン類の原料に添加剤を使用した場合は、食品表示関連法規の規定に基づき、原材料にこれら添加剤の表示が必須となる。近年、「乳化剤不使用」と表示されたパンに、実は乳化剤と同じ成分が入っている報告がされており、パン製造業界や添加物表示を見直す政府の検討会においても、「無添加」や「不使用」の表示に関する是非が論点となっている。このような背景から、品質を保つために先行技術を利用したパン類は「無添加」や「不使用」を謳うことが難しく、天然志向、自然志向の消費者に対しては訴求力が弱い。よって、添加剤を用いないパン類への需要は常に存在する。
さらに特許文献1では、パン全体にローストした風味が付与されてしまう。また購入したパン類の劣化を抑制する従来技術しては冷凍保存することが知られている。しかし、これら従来技術は、パン類を食す前にトーストすることを前提としており、パン類を二次加工せずにそのまま食すような、パン本来の風味や食感を味わう場合には適さない。
このような背景のもと、本発明においては、添加剤の使用量が低減されているにもかかわらずしっとり感が焼成直後からより長期にわたり持続するパン類、あるいはかかるパン類を製造するための技術を提供することを課題とした。
上記のとおり従来技術においては、乳化剤や加工澱粉といった添加剤の添加によりパン類の品質を保つ試みはなされている。しかしながら、パン類の原料に添加剤を使用した場合は、食品表示関連法規の規定に基づき、原材料にこれら添加剤の表示が必須となる。近年、「乳化剤不使用」と表示されたパンに、実は乳化剤と同じ成分が入っている報告がされており、パン製造業界や添加物表示を見直す政府の検討会においても、「無添加」や「不使用」の表示に関する是非が論点となっている。このような背景から、品質を保つために先行技術を利用したパン類は「無添加」や「不使用」を謳うことが難しく、天然志向、自然志向の消費者に対しては訴求力が弱い。よって、添加剤を用いないパン類への需要は常に存在する。
さらに特許文献1では、パン全体にローストした風味が付与されてしまう。また購入したパン類の劣化を抑制する従来技術しては冷凍保存することが知られている。しかし、これら従来技術は、パン類を食す前にトーストすることを前提としており、パン類を二次加工せずにそのまま食すような、パン本来の風味や食感を味わう場合には適さない。
このような背景のもと、本発明においては、添加剤の使用量が低減されているにもかかわらずしっとり感が焼成直後からより長期にわたり持続するパン類、あるいはかかるパン類を製造するための技術を提供することを課題とした。
上記課題に鑑み、本発明者は上記のようなパン類について検討したところ、パン類に用いる素材としてこれまで用いられることがなかった特定の素材を用いることにより上記課題が解決できる可能性があることを見出し、さらに鋭意研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも下記の各発明に関する:
[1]
パフ小麦粉を含むパン類。
[2]
パフ小麦粉を、用いられる小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物から得られる[1]のいずれかに記載のパン類。
[3]
組成物に用いられるパフ小麦粉が、60%以上のα化度及び500μm未満の最大粒径を有する[2]に記載のパン類。
[4]
組成物に用いられるパフ小麦粉が、4700cp〜5900cpの粘度を有する2又は3に記載のパン類。
[5]
組成物に用いられるパフ小麦粉の乾燥固形分あたり、7.5重量%〜11.3重量%のタンパク含量を有する[2]〜[4]のいずれかに記載のパン類。
[6]
(A)/(B)の値が0.13以上の組成物を用いる、[2]〜[5]のいずれかに記載のパン類、ただし上記式において(A)及び(B)はそれぞれ下記の意味を有する:
(A):パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量
(B):組成物の水分含量。
[7]
以下の工程を含むパン類の製造方法:
(a)パフ小麦粉を、用いられる小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物を調製する工程;
(b)工程(a)において得られる組成物をパン類に調製してパン類を得る工程。
[8]
(A)/(B)の値が0.13以上の組成物を用いる、[7]に記載の製造方法、ただし上記式において(A)及び(B)はそれぞれ下記の意味を有する:
(A):パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量
(B):組成物の水分含量。
[9]
パフ小麦粉を組成物に含有させることを含む、パン類のしっとり感を向上させる方法。
[10]
パン類のしっとり感を維持するためのパフ小麦粉の使用。
すなわち本発明は、少なくとも下記の各発明に関する:
[1]
パフ小麦粉を含むパン類。
[2]
パフ小麦粉を、用いられる小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物から得られる[1]のいずれかに記載のパン類。
[3]
組成物に用いられるパフ小麦粉が、60%以上のα化度及び500μm未満の最大粒径を有する[2]に記載のパン類。
[4]
組成物に用いられるパフ小麦粉が、4700cp〜5900cpの粘度を有する2又は3に記載のパン類。
[5]
組成物に用いられるパフ小麦粉の乾燥固形分あたり、7.5重量%〜11.3重量%のタンパク含量を有する[2]〜[4]のいずれかに記載のパン類。
[6]
(A)/(B)の値が0.13以上の組成物を用いる、[2]〜[5]のいずれかに記載のパン類、ただし上記式において(A)及び(B)はそれぞれ下記の意味を有する:
(A):パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量
(B):組成物の水分含量。
[7]
以下の工程を含むパン類の製造方法:
(a)パフ小麦粉を、用いられる小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物を調製する工程;
(b)工程(a)において得られる組成物をパン類に調製してパン類を得る工程。
[8]
(A)/(B)の値が0.13以上の組成物を用いる、[7]に記載の製造方法、ただし上記式において(A)及び(B)はそれぞれ下記の意味を有する:
(A):パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量
(B):組成物の水分含量。
[9]
パフ小麦粉を組成物に含有させることを含む、パン類のしっとり感を向上させる方法。
[10]
パン類のしっとり感を維持するためのパフ小麦粉の使用。
本発明によれば、焼成直後のしっとり感が、より長期にわたり持続するパン類が提供される。
また本発明のパン類のうち、パフ小麦粉を、用いられる小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物(パン生地)から得られるものによれば、しっとり感をより確実に付与することができるという効果を奏する。
また本発明のパン類のうち、パフ小麦粉を、用いられる小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物(パン生地)から得られるものによれば、しっとり感をより確実に付与することができるという効果を奏する。
パフ小麦粉は、唐揚げ粉やてんぷら粉に用いることが知られている(特許文献2又は3)。前記唐揚げ粉においては唐揚げにクリスピーな触感を付与するものであり、前記てんぷら粉は、てんぷらの花咲きを向上する効果を奏するとされている。
一方、パフ小麦粉を唐揚げ粉やてんぷら粉ではなく、パン類に用いることについては知られていない。
本発明においては、パフ小麦粉は、揚げ物のクリスピー感や好ましい外観を与えるために用いられるのではなく、酵母を用いた発酵後またはベーキングパウダー等を用いて膨化や成形させた生地を焼成されてなるパン類に、より長期にわたるしっとり感を付与するためのものである。パフ小麦粉がパン類により長期にわたるしっとり感を付与することは、従来技術からは予測することができなかった効果である。
さらに、本実施形態のパン類であれば原材料名に添加物の表示が不要なため、自然志向、天然指向の消費者に対し付加価値を訴求できる。
一方、パフ小麦粉を唐揚げ粉やてんぷら粉ではなく、パン類に用いることについては知られていない。
本発明においては、パフ小麦粉は、揚げ物のクリスピー感や好ましい外観を与えるために用いられるのではなく、酵母を用いた発酵後またはベーキングパウダー等を用いて膨化や成形させた生地を焼成されてなるパン類に、より長期にわたるしっとり感を付与するためのものである。パフ小麦粉がパン類により長期にわたるしっとり感を付与することは、従来技術からは予測することができなかった効果である。
さらに、本実施形態のパン類であれば原材料名に添加物の表示が不要なため、自然志向、天然指向の消費者に対し付加価値を訴求できる。
以下に本発明についてさらに説明する。
本発明においてパン類の「しっとり感」とは、パン類における、ぱさつかずかつパンを複数回咀嚼しても、口中の唾液を取られず保水性を保っている感覚であり、また「もちもち感」とは、咀嚼した際に感じる、適度な弾力を有する感覚であり、パン類における好適な食感を意味するものとして用いられる。
本発明において「パフ小麦粉」とは、内部に多数の細孔を有する(パフ化された/膨化された)小麦を粉砕して得られる小麦粉を意味する。
本発明においてパン類の「しっとり感」とは、パン類における、ぱさつかずかつパンを複数回咀嚼しても、口中の唾液を取られず保水性を保っている感覚であり、また「もちもち感」とは、咀嚼した際に感じる、適度な弾力を有する感覚であり、パン類における好適な食感を意味するものとして用いられる。
本発明において「パフ小麦粉」とは、内部に多数の細孔を有する(パフ化された/膨化された)小麦を粉砕して得られる小麦粉を意味する。
本発明によるパフ小麦粉を含むパン類は、パフ小麦粉をパフ小麦粉でない通常の小麦粉に適量に添加したり、通常の小麦粉の一部を代替してなるパン生地を焼成して得られる、パン類である。
●パン類
本発明のパン類は限定されず、食パン、イギリスパン、フランスパン、ライ麦パン、デニッシペストリー、イングリッシュマフィン、フォカッチャ、コッペパン、ロールパン、クロワッサン、菓子パン、調理パン、パイ、ピタ、ナン、蒸しパン、ドーナッツ、ワッフル、パイなどが例示される。
本発明のパン類として、スライスした状態で提供される食パン、イギリスパン、フランスパンなどのパン類は、本発明の効果がより効率よく奏されるため好ましい。
本発明のパン類は限定されず、食パン、イギリスパン、フランスパン、ライ麦パン、デニッシペストリー、イングリッシュマフィン、フォカッチャ、コッペパン、ロールパン、クロワッサン、菓子パン、調理パン、パイ、ピタ、ナン、蒸しパン、ドーナッツ、ワッフル、パイなどが例示される。
本発明のパン類として、スライスした状態で提供される食パン、イギリスパン、フランスパンなどのパン類は、本発明の効果がより効率よく奏されるため好ましい。
本発明のパン類に用いられる小麦の種類は、本発明の所期の効果が奏されるものであれば限定されない。このような小麦として、軟質小麦、中間質小麦、硬質小麦などが例示される。
●パフ小麦粉
本発明のパン類に用いられるパフ小麦粉の製造方法は限定されず、従来技術による製造方法を用いてよい。膨化処理を行う場合の温度や圧力等の条件は、使用する装置に応じ適宜設定してよく、例えば、気流加熱方式による膨化食品製造装置(特公昭46−34747号参照)を使用する場合においては、ゲージ圧力4〜7kg/cm2の範囲で、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い加熱水蒸気を用いて、原料である小麦を数秒間加圧加熱すればよい。
本発明のパン類に用いられるパフ小麦粉の製造方法は限定されず、従来技術による製造方法を用いてよい。膨化処理を行う場合の温度や圧力等の条件は、使用する装置に応じ適宜設定してよく、例えば、気流加熱方式による膨化食品製造装置(特公昭46−34747号参照)を使用する場合においては、ゲージ圧力4〜7kg/cm2の範囲で、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い加熱水蒸気を用いて、原料である小麦を数秒間加圧加熱すればよい。
本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉は、通常のパン類の製造に用いられる小麦粉(強力粉)とともに用いられる。前記パフ小麦粉の量は、本発明の所期の効果が奏されるものであれば限定されない。
本発明のパン類のうち、小麦粉全体の重量に対してパフ小麦粉を5重量%〜40重量%の量で含む組成物(パン生地)から得られるパン類はしっとり感が焼成直後からより長期にわたり持続し、さらに5重%重量〜20重量%は作業性が良く焼成後の膨らみや柔らかさがより優れるため一層好ましい。
パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量を(A)とし、全生地の水分含量を(B)とした場合、(A)/(B)の値が約0.13以上のパン生地から得られる本発明のパン類は好ましい。これらのパン類においては、しっとり感及びもちもち感についての効果が一層明瞭に奏されるからである。
本発明のパン類のうち、小麦粉全体の重量に対してパフ小麦粉を5重量%〜40重量%の量で含む組成物(パン生地)から得られるパン類はしっとり感が焼成直後からより長期にわたり持続し、さらに5重%重量〜20重量%は作業性が良く焼成後の膨らみや柔らかさがより優れるため一層好ましい。
パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量を(A)とし、全生地の水分含量を(B)とした場合、(A)/(B)の値が約0.13以上のパン生地から得られる本発明のパン類は好ましい。これらのパン類においては、しっとり感及びもちもち感についての効果が一層明瞭に奏されるからである。
本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉のα化度は、本発明の所期の効果が奏されるものであれば限定されない。本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉のα化度として、60%以上が例示され、パフ小麦粉としてα化度が70%以上であるパフ小麦粉を用いる本発明のパン類は好ましい。
本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉の最大粒径やメディアン径は、本発明の所期の効果が奏されるものであれば限定されない。本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉の粒径は、最大粒径500μm未満および又はメディアン径20〜100μmが例示される。
前記最大粒径およびメディアン径を測定する方法は限定されず、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いた粒子径解析−レーザ回折・散乱法(ISO13320、ISO9276、JISZ8825:2013)など本技術分野における通常の方法により行ってよい。
前記最大粒径およびメディアン径を測定する方法は限定されず、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いた粒子径解析−レーザ回折・散乱法(ISO13320、ISO9276、JISZ8825:2013)など本技術分野における通常の方法により行ってよい。
本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉の粘度は、本発明の所期の効果が奏されるものであれば限定されない。本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉の粘度は、4700cp〜5900cpが例示される。粘度はパフ小麦粉に5.5倍量の水を加え十分に均質化した溶液を、15℃にて、B型粘度計によって計測(測定条件:No.3ローター、10rpm)した粘度である。かかる粘度を有するパフ小麦粉を用いるパン類は、しっとり感を維持しつつ、歯にまとわりつかない程度が増大されているため好ましい。
本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉のタンパク含量は、本発明の所期の効果が奏されるものであれば限定されない。
本発明のパン類のうち、パン生地に含まれるパフ小麦粉の乾燥固形分あたり7.5重量%〜11.3重量%のタンパク含量を有するパフ小麦粉であるパン類は、製造を行いやすいため好ましい。
本発明のパン類のうち、パン生地に含まれるパフ小麦粉の乾燥固形分あたり7.5重量%〜11.3重量%のタンパク含量を有するパフ小麦粉であるパン類は、製造を行いやすいため好ましい。
本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉の吸水性は、本発明の所期の効果が奏されるものであれば限定されない。本発明のパン類において用いられるパフ小麦粉の吸水性として、3.5〜4.0の吸水倍率を有することが例示される。
前記吸水性を特定する方法は限定されず、例えば以下の操作及び計算式により求めてよい:
・所定の量の小麦粉に所定の量の水を加える。
・水中の上記小麦粉を十分に水に溶解させた後、所定時間の間静置する。
・所定のチューブに上記小麦粉の水溶液を所定量入れ、遠心分離(例えば2500rpm、10分、4℃)に付す。
・沈殿量を測定する。
・(沈殿量(g)−最初に加えた粉の量(g))/最初に加えた粉の量(g)の計算式により吸水倍率を求め、当該小麦粉の吸水性とする。
前記吸水性を特定する方法は限定されず、例えば以下の操作及び計算式により求めてよい:
・所定の量の小麦粉に所定の量の水を加える。
・水中の上記小麦粉を十分に水に溶解させた後、所定時間の間静置する。
・所定のチューブに上記小麦粉の水溶液を所定量入れ、遠心分離(例えば2500rpm、10分、4℃)に付す。
・沈殿量を測定する。
・(沈殿量(g)−最初に加えた粉の量(g))/最初に加えた粉の量(g)の計算式により吸水倍率を求め、当該小麦粉の吸水性とする。
なお、本発明により、パン類のしっとり感を増強し、これを長期保持するためのパフ小麦粉の使用方法も提供される。すなわち、本発明の方法は、パフ小麦粉を通常の小麦粉に配合して用いることによりパン類のしっとり感を増強し維持する、パフ小麦粉の使用方法である。
●製造方法
本発明のパン類の製造方法は限定されない。例えば食パンの製造においては、通常の小麦粉と前記パフ小麦粉とを混合し、該混合物に砂糖、食塩、イーストフード、ショートニング、生イースト等の副材料を添加し、水とともに混捏してパン生地を調製にする。かかるパン生地を本技術分野における通常の方法により醗酵させ、焼成することにより本発明の食パンを製造してよい。また、最終的なパン生地を得た後、常法により一次発酵、分割、成型、二次発酵、焼成の工程を経て食パンを製造してよい。
その他のパン類についても、上記の食パンの製造方法に準じて、各種パン類の通常の製造方法により製造してよい。
本発明のパン類の製造方法は限定されない。例えば食パンの製造においては、通常の小麦粉と前記パフ小麦粉とを混合し、該混合物に砂糖、食塩、イーストフード、ショートニング、生イースト等の副材料を添加し、水とともに混捏してパン生地を調製にする。かかるパン生地を本技術分野における通常の方法により醗酵させ、焼成することにより本発明の食パンを製造してよい。また、最終的なパン生地を得た後、常法により一次発酵、分割、成型、二次発酵、焼成の工程を経て食パンを製造してよい。
その他のパン類についても、上記の食パンの製造方法に準じて、各種パン類の通常の製造方法により製造してよい。
より具体的には、以下の工程を含む製造方法であってよい:
(a)パフ小麦粉を小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物を調製する工程;
(b)工程(a)において得られる組成物をパン類に調製してパン類を得る工程。
また、本発明のパン類の製造方法として、(A)/(B)の値が0.13以上の組成物を用いる方法は好ましい。かかる製造方法により製造されるパン類においては、しっとり感及びもちもち感についての効果が一層明瞭に奏されるからである。
なお、上記式において(A)及び(B)はそれぞれ下記の意味を有する:
(A):パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量
(B):組成物の水分含量。
(a)パフ小麦粉を小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物を調製する工程;
(b)工程(a)において得られる組成物をパン類に調製してパン類を得る工程。
また、本発明のパン類の製造方法として、(A)/(B)の値が0.13以上の組成物を用いる方法は好ましい。かかる製造方法により製造されるパン類においては、しっとり感及びもちもち感についての効果が一層明瞭に奏されるからである。
なお、上記式において(A)及び(B)はそれぞれ下記の意味を有する:
(A):パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量
(B):組成物の水分含量。
●パン類のしっとり感を向上させる方法
本発明はパン類のしっとり感を向上させる方法も提供するところ、該方法はパフ小麦粉をパン生地に含有させることを含む、パン類のしっとり感を向上させる方法である。該方法によれば、パン生地を調製するいずれかのタイミングにおいてパフ小麦粉を他の材料と配合してパン生地を得て、該パン生地を用いて得られるパン類におけるしっとり感を向上させることができる。
該方法に用いられるパフ小麦粉、パン生地を調製する方法、及びパン類を製造する方法等については、上記した事項をそれぞれに適用してよい。
本発明はパン類のしっとり感を向上させる方法も提供するところ、該方法はパフ小麦粉をパン生地に含有させることを含む、パン類のしっとり感を向上させる方法である。該方法によれば、パン生地を調製するいずれかのタイミングにおいてパフ小麦粉を他の材料と配合してパン生地を得て、該パン生地を用いて得られるパン類におけるしっとり感を向上させることができる。
該方法に用いられるパフ小麦粉、パン生地を調製する方法、及びパン類を製造する方法等については、上記した事項をそれぞれに適用してよい。
以下に具体的な例により本発明をより詳細に説明するが、これは如何なる意味においても本発明を限定するものではない。
[実施例1]しっとり感の持続(1)(パフ小麦粉の添加量の検討)
[材料と方法]
コントロールの配合に対して、強力粉をパフ小麦粉に5重量%、10重量%、15重量%、20重量%置き換え、さらに下表に示す他の成分を添加してパン生地を調製し、それらのパン生地を用いて食パンを作製した。
水の量について、強力粉の量とは無関係に一定量(200g)を用いた区とともに、パフ小麦粉の含量に合わせて、コントロールの水の量に一定割合で水を加えた区を設けた。
パン生地の組成は以下のとおりであった:
パン生地の焼成にはホームベーカリー(SD-BH103-P、Panasonic製)を用い、食パンの早焼きコース、すなわち、ねり⇒ねかし⇒ねり⇒発酵⇒ねり⇒発酵⇒焼き、の工程を経て作製した。
食パンに焼き上がり後、取り出して1時間静置してあら熱をとり、ジッパー付きのポリエチレン製の袋に密閉し、常温で保存した。
作製された食パンのしっとり感及びもちもち感の評価を、3名の訓練された構成員からなる分析型官能評価パネル(訓練期間:2〜45年)により、製造1日後、製造2日後及び製造3日後に行った。
<評価方法>
各パンの評価は、以下の方法で実施した。官能評価におけるパネルのバイアス(偏り)を排除し、評価の精度を高めるために、サンプルは、各保存期間の焼成パンをスライサーで2.5cmにスライスし、クラスト(皮)を除き、クラム(内層)部分を一口大にカットし、これを官能評価に供した。その際、サンプルの試験区番号や配合組成はパネルに知らせず、各試験区のサンプルをランダムに提示した。また、評価を実施するにあたり、パネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが共通認識を持つようにした。官能評価の指標についても、官能評価の結果をもとに基準化できるように、パネル全体で事前に協議した上で設定した。
しっとり感及びもちもち感の評価は、コントロールとの比較により行った。比較の指標は下記のとおりであり、「0」はコントロールと同程度であったことを示す:
[実施例1]しっとり感の持続(1)(パフ小麦粉の添加量の検討)
[材料と方法]
コントロールの配合に対して、強力粉をパフ小麦粉に5重量%、10重量%、15重量%、20重量%置き換え、さらに下表に示す他の成分を添加してパン生地を調製し、それらのパン生地を用いて食パンを作製した。
水の量について、強力粉の量とは無関係に一定量(200g)を用いた区とともに、パフ小麦粉の含量に合わせて、コントロールの水の量に一定割合で水を加えた区を設けた。
パン生地の組成は以下のとおりであった:
パン生地の焼成にはホームベーカリー(SD-BH103-P、Panasonic製)を用い、食パンの早焼きコース、すなわち、ねり⇒ねかし⇒ねり⇒発酵⇒ねり⇒発酵⇒焼き、の工程を経て作製した。
食パンに焼き上がり後、取り出して1時間静置してあら熱をとり、ジッパー付きのポリエチレン製の袋に密閉し、常温で保存した。
作製された食パンのしっとり感及びもちもち感の評価を、3名の訓練された構成員からなる分析型官能評価パネル(訓練期間:2〜45年)により、製造1日後、製造2日後及び製造3日後に行った。
<評価方法>
各パンの評価は、以下の方法で実施した。官能評価におけるパネルのバイアス(偏り)を排除し、評価の精度を高めるために、サンプルは、各保存期間の焼成パンをスライサーで2.5cmにスライスし、クラスト(皮)を除き、クラム(内層)部分を一口大にカットし、これを官能評価に供した。その際、サンプルの試験区番号や配合組成はパネルに知らせず、各試験区のサンプルをランダムに提示した。また、評価を実施するにあたり、パネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが共通認識を持つようにした。官能評価の指標についても、官能評価の結果をもとに基準化できるように、パネル全体で事前に協議した上で設定した。
しっとり感及びもちもち感の評価は、コントロールとの比較により行った。比較の指標は下記のとおりであり、「0」はコントロールと同程度であったことを示す:
パフ小麦粉として、下記の製造条件により実機にて製造したものを用いた:
小麦を、膨化食品製造装置(特公昭46−34747号公報記載)を用いて、ゲージ圧力4〜7kg/cm2、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い過熱水蒸気により数秒間加熱し、パフ小麦を得た。これを粉砕機で粉砕してパフ小麦粉(最大粒径500μm未満)とした。
小麦を、膨化食品製造装置(特公昭46−34747号公報記載)を用いて、ゲージ圧力4〜7kg/cm2、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い過熱水蒸気により数秒間加熱し、パフ小麦を得た。これを粉砕機で粉砕してパフ小麦粉(最大粒径500μm未満)とした。
[結果]
結果は下表に示すとおりであった(各表における下段に記載した「しっとり感」及び「もちもち感」は各パネリストの評点の合計値)。本発明の食パンはいずれも、パフ小麦粉を含まない食パンより、いずれの調査日においてもしっとり感及びもちもち感が優れていた。
本発明の食パンにおいては、製造3日後においてもしっとり感及びもちもち感が良好であった。
また、試験区1及び試験区2以外のサンプルにおいては、製造時の作業性、焼成直後のパンの膨らみや柔らかさ、パンをスライスした断面のキメの細かさについても、本発明の食パンにおいて問題はなかった。
一方、試験区1は、焼成前の生地がべたつき、作業性が悪化し、キメが粗くなりパンが備えるべき品質が損なわれていた。また、試験区2は、試験区1と同等のしっとり感及びもちもち感であり、パフ化小麦粉を添加することによる食感の改善は見られなかった。
本試験に加え、強力粉をパフ小麦粉に30重量%および40重量%にそれぞれ置き換えたパン生地を調製し、これらパン生地を用いて食パンを作製した。その結果、試験区8に比べて食パンの膨らみは若干小さいものの、いずれも保存期間中のしっとり感は試験区8と同等の結果であり、食パンとしての品質を保持していた。
なお、パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量を(A)とし、全生地の水分含量を(B)とし、(A)/(B)の値としっとり感又はもちもち感との関係をみると、(A)/(B)の値が大きいほうがしっとり感及びもちもち感は良好であった。また、(A)/(B)の値が0.132の場合にはしっとり感又はもちもち感が向上した一方、0.105の場合にはしっとり感及びもちもち感はいずれも向上しなかった(表6の表)。したがって、(A)/(B)×100の値が約0.13以上のパン生地から得られる本発明のパン類においては、所期の効果が一層明瞭に奏されると推察された。
結果は下表に示すとおりであった(各表における下段に記載した「しっとり感」及び「もちもち感」は各パネリストの評点の合計値)。本発明の食パンはいずれも、パフ小麦粉を含まない食パンより、いずれの調査日においてもしっとり感及びもちもち感が優れていた。
本発明の食パンにおいては、製造3日後においてもしっとり感及びもちもち感が良好であった。
また、試験区1及び試験区2以外のサンプルにおいては、製造時の作業性、焼成直後のパンの膨らみや柔らかさ、パンをスライスした断面のキメの細かさについても、本発明の食パンにおいて問題はなかった。
一方、試験区1は、焼成前の生地がべたつき、作業性が悪化し、キメが粗くなりパンが備えるべき品質が損なわれていた。また、試験区2は、試験区1と同等のしっとり感及びもちもち感であり、パフ化小麦粉を添加することによる食感の改善は見られなかった。
本試験に加え、強力粉をパフ小麦粉に30重量%および40重量%にそれぞれ置き換えたパン生地を調製し、これらパン生地を用いて食パンを作製した。その結果、試験区8に比べて食パンの膨らみは若干小さいものの、いずれも保存期間中のしっとり感は試験区8と同等の結果であり、食パンとしての品質を保持していた。
なお、パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量を(A)とし、全生地の水分含量を(B)とし、(A)/(B)の値としっとり感又はもちもち感との関係をみると、(A)/(B)の値が大きいほうがしっとり感及びもちもち感は良好であった。また、(A)/(B)の値が0.132の場合にはしっとり感又はもちもち感が向上した一方、0.105の場合にはしっとり感及びもちもち感はいずれも向上しなかった(表6の表)。したがって、(A)/(B)×100の値が約0.13以上のパン生地から得られる本発明のパン類においては、所期の効果が一層明瞭に奏されると推察された。
[参考試験例1]吸水性
[材料と方法]
小麦粉としてパフ小麦粉を用いを用いた。
パフ小麦粉として、下記の製造条件により実機にて製造したものを用いた:
小麦を、膨化食品製造装置(特公昭46−34747号公報記載)を用いて、ゲージ圧力4〜7kg/cm2、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い過熱水蒸気により数秒間加熱し、パフ小麦を得た。これを粉砕機で粉砕してパフ小麦粉とした。
[材料と方法]
小麦粉としてパフ小麦粉を用いを用いた。
パフ小麦粉として、下記の製造条件により実機にて製造したものを用いた:
小麦を、膨化食品製造装置(特公昭46−34747号公報記載)を用いて、ゲージ圧力4〜7kg/cm2、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い過熱水蒸気により数秒間加熱し、パフ小麦を得た。これを粉砕機で粉砕してパフ小麦粉とした。
吸水性の測定は以下のようにして行った:
粉体(パフ小麦粉)3gに水30gを加える。
粉体:水=1:10の条件下で粉体を十分に水に溶解させ、溶解後30分間静置。
得られた粉体の水溶液をファルコンチューブに33g入れ(粉体を3gを含む量)、2500rpm、10分、4℃で遠心分離する。
上澄みを捨て、沈殿量を測定する。
計算式:
(沈殿量(g)−最初に加えた粉体の量(g))/最初に加えた粉体の量(g)
により、吸水倍率を求め吸水性とする。
試験は2回行った。
粉体(パフ小麦粉)3gに水30gを加える。
粉体:水=1:10の条件下で粉体を十分に水に溶解させ、溶解後30分間静置。
得られた粉体の水溶液をファルコンチューブに33g入れ(粉体を3gを含む量)、2500rpm、10分、4℃で遠心分離する。
上澄みを捨て、沈殿量を測定する。
計算式:
(沈殿量(g)−最初に加えた粉体の量(g))/最初に加えた粉体の量(g)
により、吸水倍率を求め吸水性とする。
試験は2回行った。
[参考試験例2]粘度
[材料と方法]
小麦粉としてパフ小麦粉をを用いた。
パフ小麦粉として、下記の製造条件により実機にて製造したものを用いた:
小麦を、膨化食品製造装置(特公昭46−34747号公報記載)を用いて、ゲージ圧力4〜7kg/cm2、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い過熱水蒸気により数秒間加熱し、パフ小麦を得た。これを粉砕機で粉砕してパフ小麦粉とした。
[材料と方法]
小麦粉としてパフ小麦粉をを用いた。
パフ小麦粉として、下記の製造条件により実機にて製造したものを用いた:
小麦を、膨化食品製造装置(特公昭46−34747号公報記載)を用いて、ゲージ圧力4〜7kg/cm2、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い過熱水蒸気により数秒間加熱し、パフ小麦を得た。これを粉砕機で粉砕してパフ小麦粉とした。
粘度の測定は以下のようにして行った:
粉体に所定量(粉体の5.5倍重量)の水を加える。
粉体を十分に水に溶解させ、溶解後30分間静置。
得られた粉体の水溶液の粘度を、B型粘度計(型式BH 株式会社東京計器製造所製)によって計測(測定条件:15℃、No.3ローター、10rpmにて分析)した。
粉体に所定量(粉体の5.5倍重量)の水を加える。
粉体を十分に水に溶解させ、溶解後30分間静置。
得られた粉体の水溶液の粘度を、B型粘度計(型式BH 株式会社東京計器製造所製)によって計測(測定条件:15℃、No.3ローター、10rpmにて分析)した。
[実施例2]しっとり感の持続(2)(焙煎パフ小麦粉との対比)
[材料と方法]
コントロールの配合に対して、強力粉をパフ小麦粉または焙煎パフ小麦粉に10重量%置き換え、さらに下表に示す他の成分を添加してパン生地を調製し、それらのパン生地を用いて食パンを作製した。
焙煎パフ小麦粉の製造は特許文献1に記載の方法に従って行った。参考試験例1に示した方法と同様な方法により求めた当該焙煎パフ小麦粉の吸水倍率は、本発明において用いられるパフ小麦粉よりやや小さい程度であった。
水の量について、強力粉の量とは無関係に一定量(200g)を用いた。
パン生地の組成は以下のとおりであった:
パン生地の焼成にはホームベーカリー(SD-BH103-P、Panasonic製)を用い、食パンの早焼きコース、すなわち、ねり⇒ねかし⇒ねり⇒発酵⇒ねり⇒発酵⇒焼き、の工程を経て作製した。
食パンに焼き上がり後、取り出して1時間静置してあら熱をとり、ジッパー付きのポリエチレン製の袋に密閉し、常温で保存した。
作製された食パンのしっとり感及びもちもち感の評価を、3名の訓練された構成員からなるパネルにより、製造1日後、製造2日後、製造3日後及び製造4日後に行った。
しっとり感及びもちもち感の評価は、コントロールとの比較により行った。比較の指標は実施例1において用いた指標と同じ指標を用いた。
[材料と方法]
コントロールの配合に対して、強力粉をパフ小麦粉または焙煎パフ小麦粉に10重量%置き換え、さらに下表に示す他の成分を添加してパン生地を調製し、それらのパン生地を用いて食パンを作製した。
焙煎パフ小麦粉の製造は特許文献1に記載の方法に従って行った。参考試験例1に示した方法と同様な方法により求めた当該焙煎パフ小麦粉の吸水倍率は、本発明において用いられるパフ小麦粉よりやや小さい程度であった。
水の量について、強力粉の量とは無関係に一定量(200g)を用いた。
パン生地の組成は以下のとおりであった:
パン生地の焼成にはホームベーカリー(SD-BH103-P、Panasonic製)を用い、食パンの早焼きコース、すなわち、ねり⇒ねかし⇒ねり⇒発酵⇒ねり⇒発酵⇒焼き、の工程を経て作製した。
食パンに焼き上がり後、取り出して1時間静置してあら熱をとり、ジッパー付きのポリエチレン製の袋に密閉し、常温で保存した。
作製された食パンのしっとり感及びもちもち感の評価を、3名の訓練された構成員からなるパネルにより、製造1日後、製造2日後、製造3日後及び製造4日後に行った。
しっとり感及びもちもち感の評価は、コントロールとの比較により行った。比較の指標は実施例1において用いた指標と同じ指標を用いた。
[結果]
結果は下表に示すとおりであった。本発明の食パンはいずれも、コントロール及び焙煎パフ小麦粉を含む食パンより、いずれの調査日においてもしっとり感及びもちもち感が優れていた。
本発明の食パンにおいては、製造4日後においてもしっとり感及びもちもち感が良好であり、すべての調査時点において焙煎パフ小麦粉を使用した食パン及びコントロールを上回った。
製造時の作業性、焼成直後のパンの膨らみや柔らかさ、パンをスライスした断面のキメの細かさについても、本発明の食パンにおいて問題はなかった。
これに対し焙煎パフ小麦粉を使用した試験区2は、焼成前の生地がべたつき、作業性が悪化し、キメが粗くなりパンが備えるべき品質が損なわれていた。
また、試験区2は焙煎パフ小麦粉の粒径が大きいことによるざらつきや後味に残るえぐみも感じられた。
結果は下表に示すとおりであった。本発明の食パンはいずれも、コントロール及び焙煎パフ小麦粉を含む食パンより、いずれの調査日においてもしっとり感及びもちもち感が優れていた。
本発明の食パンにおいては、製造4日後においてもしっとり感及びもちもち感が良好であり、すべての調査時点において焙煎パフ小麦粉を使用した食パン及びコントロールを上回った。
製造時の作業性、焼成直後のパンの膨らみや柔らかさ、パンをスライスした断面のキメの細かさについても、本発明の食パンにおいて問題はなかった。
これに対し焙煎パフ小麦粉を使用した試験区2は、焼成前の生地がべたつき、作業性が悪化し、キメが粗くなりパンが備えるべき品質が損なわれていた。
また、試験区2は焙煎パフ小麦粉の粒径が大きいことによるざらつきや後味に残るえぐみも感じられた。
本発明によれば焼成直後のしっとり感が、より長期にわたり持続するパン類が提供される。
したがって本発明は、パン類製造産業及び食品産業の発展に寄与するところ大である。
したがって本発明は、パン類製造産業及び食品産業の発展に寄与するところ大である。
Claims (10)
- パフ小麦粉を含むパン類。
- パフ小麦粉を、用いられる小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物から得られる請求項1に記載のパン類。
- 組成物に用いられるパフ小麦粉が、60%以上のα化度及び500μm未満の最大粒径を有する請求項2に記載のパン類。
- 組成物に用いられるパフ小麦粉が、4700cp〜5900cpの粘度を有する請求項2又は3に記載のパン類。
- 組成物に用いられるパフ小麦粉が、7.5重量%〜11.3重量%のタンパク含量を有する請求項2〜4のいずれかに記載のパン類。
- (A)/(B)の値が0.13以上の組成物を用いる、請求項2〜5のいずれかに記載のパン類、ただし上記式において(A)及び(B)はそれぞれ下記の意味を有する:
(A):パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量
(B):組成物の水分含量。 - 以下の工程を含むパン類の製造方法:
(a)パフ小麦粉を小麦粉全体の重量に対して5重量%〜40重量%の量で含む組成物を調製する工程;
(b)工程(a)において得られる組成物をパン類に調製してパン類を得る工程。 - (A)/(B)×100の値が0.13以上の組成物を用いる、請求項7に記載の製造方法、ただし上記式において(A)及び(B)はそれぞれ下記の意味を有する:
(A):パフ小麦粉の重量/小麦粉全体の重量
(B):組成物の水分含量。 - パフ小麦粉を組成物に含有させることを含む、パン類のしっとり感を向上させる方法。
- パン類のしっとり感を維持するためのパフ小麦粉の使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020006181A JP2021112149A (ja) | 2020-01-17 | 2020-01-17 | しっとり感が増強されたパン類 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020006181A JP2021112149A (ja) | 2020-01-17 | 2020-01-17 | しっとり感が増強されたパン類 |
Publications (1)
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2020
- 2020-01-17 JP JP2020006181A patent/JP2021112149A/ja active Pending
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