JP2005245338A - パンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製パン時の生地の膨らみと扱いやすさを向上させ、焼き上がり時に柔らかく弾力のあるパンの製造方法を提供する。
【解決手段】 中種法に適用する場合は、小麦粉と水とイーストとを含む中種材料をミキシングして中種生地を調整する第1工程と、中種生地を発酵させる第2工程と、発酵させた中種生地に、小麦粉と水と塩と乳酸菌生産物質とを含む本捏ね材料を加えてミキシングし、本捏ね生地を調整する第3工程と、本捏ね生地を成形する第4工程と、成形した本捏ね生地を発酵させる第5工程と、発酵させた本捏ね生地を焼成する第6工程とを経てパンを製造する。乳酸菌生産物質を添加することによってイーストの働きが活性化され、発酵によるパン生地の膨らみが良くなる。また、パン生地がべたつかないため、製パン作業がしやすくなる。
【選択図】 なし
【解決手段】 中種法に適用する場合は、小麦粉と水とイーストとを含む中種材料をミキシングして中種生地を調整する第1工程と、中種生地を発酵させる第2工程と、発酵させた中種生地に、小麦粉と水と塩と乳酸菌生産物質とを含む本捏ね材料を加えてミキシングし、本捏ね生地を調整する第3工程と、本捏ね生地を成形する第4工程と、成形した本捏ね生地を発酵させる第5工程と、発酵させた本捏ね生地を焼成する第6工程とを経てパンを製造する。乳酸菌生産物質を添加することによってイーストの働きが活性化され、発酵によるパン生地の膨らみが良くなる。また、パン生地がべたつかないため、製パン作業がしやすくなる。
【選択図】 なし
Description
この発明はパンの製造方法に関し、特に乳酸菌生産物質を添加したパンの製造方法に関するものである。
食事用パンとして利用される普通の食パンやフランスパンの他に、これらに更にクルミやレーズン等の乾燥果実や、ライ麦等の小麦以外の穀物を添加したパンが従来より知られている。
上記のような従来の乾燥果実や穀物入りのパンは、添加された材料により独特の風味や食感が加わって、普通の食パンやフランスパンとはまた別の味わいがある。
しかしながら、乾燥果実や穀物等を添加すると、発酵時にグルテンの発達が阻害されるため、一般に生地が膨らみにくくなる。また、穀物分を添加する場合、その種類によっては小麦粉と比べると吸水性が悪いために、生地がべたつきやすく製パン作業がしにくくなることもある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、製パン時の生地の膨らみと扱いやすさを向上させ、焼き上がり時に柔らかく弾力のあるパンの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、小麦粉を含む穀物粉と水とイーストと塩とを少なくとも含む生地材料を用いるパンの製造方法において、生地材料に乳酸菌生産物質を更に添加したことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、乳酸菌生産物質は、所定の乳酸菌と所定の酵母とを共棲培養して得た液体よりなるものである。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、所定の乳酸菌は、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・フェカーリス、ストレプトコッカス・ラクテイス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カセイ、ラクトバチルス・デルブルツキイ、ラクトバチルス・アラビノースス、ラクトバチルス・カウカシクス、ラクトバチルス・ラクテイス、ラクトバチルス・ライシュマニ、ラクトバチルス・ムシカス、ラクトバチルス・サーモフィルス、ラクトバチルス・プランタルム及びロイコノストック・メゼンテロイデスの16種類からなり、所定の酵母は、サッカロマイセス・セリビジェー、サッカロマイセス・パストリアヌス、サッカロマイセス・インタメディウス、サッカロマイセス・ヴァリドウス、サッカロマイセス・エリプソイデウス、サッカロマイセス・マリリスラー、サッカロマイセス・マンシュリカス、サッカロマイセス・フォルデルマニ、サッカロマイセス・ペーカー、サッカロマイセス・シアシング、サッカロマイセス・ピリフォルミス、サッカロマイセス・アナメンシス、サッカロマイセス・カルティラギノースス、サッカロマイセス・アワモリ、サッカロマイセス・バタタエ、サッカロマイセス・コレアヌス、サッカロマイセス・ロブストウス、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス、サッカロマイセス・モナセンシス、サッカロマイセス・マルキシアヌス、チゴサッカロミセス・マヨール、サッカロマイセス・ラクテイス、サッカロマイセス・ルクシー、ハンゼヌーラ・アノマーラの24種類からなるものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、乳酸菌生産物質は、穀物粉100gに対して0.07ml以上0.7ml以下となるように添加するものである。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、イーストは天然酵母よりなり、生地材料は、小麦粉の一部と水の一部とイーストとを含む中種材料と、小麦粉の一部を除く穀物粉の残部と水の残部と塩と乳酸菌生産物質とを含む本捏ね材料とからなり、中種材料をミキシングして中種生地を調整する第1工程と、中種生地を発酵させる第2工程と、発酵させた中種生地に本捏ね材料を加えてミキシングし、本捏ね生地を調整する第3工程と、本捏ね生地を成形する第4工程と、成形した本捏ね生地を発酵させる第5工程と、発酵させた本捏ね生地を焼成する第6工程とからなるものである。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、穀物粉は、小麦粉と玄米粉とからなり、玄米粉の重量の割合は、穀物粉の重量のうち10%以上30%以下であるものである。
請求項7記載の発明は、請求項6または請求項7記載の発明の構成において、本捏ね材料は、穀物粉の重量の20%以上30%以下の乾燥いちじくを更に含むものである。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、乳酸菌生産物質によってイーストの働きが促進されるため、パン生地の膨らみが良くなると共に、発酵時間が短くなる。また、生地がべたつかず、製パン作業がしやすくなる。更に、焼き上がりの状態が柔らかく且つ弾力のあるパンを製造することが可能となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、乳酸菌と酵母とを共棲発酵して得られた乳酸菌生産物質を使用することにより、パン生地の発酵状態が向上する。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、特定の乳酸菌及び酵母による乳酸菌生産物質を使用することにより、パン生地の発酵状態がより向上する。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、パン生地の膨らみと扱いやすさとのバランスが最適になる。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、天然酵母の使用によりパンの風味が向上する。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、玄米粉の添加によってパンの中身が堅すぎず適度に柔らかくなる。また、時間が経っても堅くなりにくいパンを製造することが可能となる。更に、玄米粉自体に含まれるビタミンや食物繊維等の栄養素の摂取が可能となる。
請求項7記載の発明は、請求項6または請求項7記載の発明の効果に加えて、いちじくの添加によって、パンの焼き色が玄米のような黄金色となり、食欲を喚起するより良い見た目になる。また、いちじくの甘みと食感が加わり、パン全体の旨味と食感が向上する。
この発明の第1の実施の形態によるパンの製造方法について、以下、各工程に沿って説明する。尚、この実施の形態は、玄米粉と乾燥いちじくとを含んだ「玄米いちじく入りパン」を中種法によって製造するものである。
第1工程
まず、第1工程では、中種生地を調整する。ここでは、一例として、中種材料には、小麦粉(強力粉)500g、天然酵母50g、水350gを使用する。中種生地の小麦粉500gのうちの一部を後述する本捏ね材料に加えることにより、中種材料の小麦粉を200g〜500gの範囲とすることも可能である。この中種材料をミキサーに入れて、低速で2分、更に中速で3分ミキシングし、中種生地とする。
まず、第1工程では、中種生地を調整する。ここでは、一例として、中種材料には、小麦粉(強力粉)500g、天然酵母50g、水350gを使用する。中種生地の小麦粉500gのうちの一部を後述する本捏ね材料に加えることにより、中種材料の小麦粉を200g〜500gの範囲とすることも可能である。この中種材料をミキサーに入れて、低速で2分、更に中速で3分ミキシングし、中種生地とする。
このときミキシング終了時の中種生地の中心部の温度が、28℃となるように調整するのが好ましい。中種生地の温度測定方法は特に限定されるものではなく、市販の温度計を通常の方法で用いて温度を測定すれば良い。また、以降の工程において生地の温度を測定する際にも、同様の測定方法を適用することが可能である。
ミキシングを行う際の湿度は特に限定されるものではないが、通常70〜75%程度であることが好ましい。
尚、天然酵母の代わりに、生イーストやドライイースト等を使用しても良いが、天然酵母を使用した場合には、天然酵母特有の働きによって、パンの風味がより向上する。
第2工程
次に、第2工程では、第1工程で調整した中種生地を26℃で15時間以上発酵させる。このときの発酵温度は、26℃以上32℃以下であれば良く、この中でも26℃以上29℃以下となるように調整するのが好ましい。また、発酵時間は15時間以上168時間以下であれば可能であり、この中でも15時間以上48時間以下であれば好ましい。第2工程の発酵時間は、中種生地から酸い匂いがする時点を発酵完了の目安として適宜調整する。発酵室の湿度は、通常高い方が好ましく、特に90〜100%程度であることが好ましい。ただし、これらの発酵条件は必ずしもこれらの範囲に限定されるものではなく、使用する酵母の性質等に応じて、最適な条件を設定すれば良い。
次に、第2工程では、第1工程で調整した中種生地を26℃で15時間以上発酵させる。このときの発酵温度は、26℃以上32℃以下であれば良く、この中でも26℃以上29℃以下となるように調整するのが好ましい。また、発酵時間は15時間以上168時間以下であれば可能であり、この中でも15時間以上48時間以下であれば好ましい。第2工程の発酵時間は、中種生地から酸い匂いがする時点を発酵完了の目安として適宜調整する。発酵室の湿度は、通常高い方が好ましく、特に90〜100%程度であることが好ましい。ただし、これらの発酵条件は必ずしもこれらの範囲に限定されるものではなく、使用する酵母の性質等に応じて、最適な条件を設定すれば良い。
第3工程
第3工程では、本捏ね生地を調整する。ここでは、本捏ね材料として、玄米粉300g、フランスパン専用小麦粉200g、塩20g、水350g、乳酸菌生産物質1.4ml(約20滴)及びセミドライ乾燥いちじく250gを使用する。尚、乳酸菌生産物質の詳細については後述する。
第3工程では、本捏ね生地を調整する。ここでは、本捏ね材料として、玄米粉300g、フランスパン専用小麦粉200g、塩20g、水350g、乳酸菌生産物質1.4ml(約20滴)及びセミドライ乾燥いちじく250gを使用する。尚、乳酸菌生産物質の詳細については後述する。
まず、第2工程で発酵が完了した中種生地と、いちじく以外の本捏ね材料とをミキサーに入れて、低速で2分、更に中速で2分ミキシングし、次に、いちじくを加えて、更に中速で2分間ミキシングする。このときミキシング終了時の本捏ね生地の中心部の温度が、28℃となるように調整するのが好ましい。また、ミキシングを行う際の湿度は特に限定されるものではないが、通常70〜75%程度であることが好ましい。そして、捏ね上げ後は、本捏ね生地をそのまま約30分間休ませる。
使用する玄米の種類は特に限定されるものではないが、米の胚芽部分も含まれているため、無農薬栽培玄米の粉末を使用した方が、安全性及び食味がより向上するため好ましい。玄米粉の配合の割合は、中種材料の小麦粉と本捏ね材料の小麦粉と玄米粉との合計重量の10%以上30%以下となるように配合すれば、玄米粉を配合しない場合と比べて、玄米粉の配合によるパンの柔らかさとこの持続効果が明確に発揮されるため好ましい。ただし、玄米粉を粉総重量の30%を超えて配合すると、生地が膨らみにくくなるため、焼き上がりの面でやや劣ってしまう。尚、この例では、中種材料の小麦粉500gと本捏ね材料の小麦粉200gと玄米粉300gとからなる穀物粉の重量1000gのうち、玄米粉の重量の割合が30%(300g)となるように玄米粉を配合している。
本捏ね材料の小麦粉としては、ここではフランスパン専用小麦粉を使用しているが、必ずしもこれに限られるものではなく、代わりに強力粉等の他の小麦粉を使用しても良い。
水の量は、この実施の形態では350gとしているが、粉の乾燥の程度や中種生地の状態に合わせて概ね350g〜410gの範囲で調整する。
配合するいちじくの量は特に限定されないが、中種材料と本捏ね材料の小麦粉及び玄米粉からなる穀物粉の重量に対して20%以上30%以下となるように配合すれば、パンの焼き色向上の効果の面で好ましい。この範囲の中でも特に、いちじくを小麦粉及び玄米粉の合計重量に対して25%となるように配合すれば、パンの焼き色及び食感の両面で最も好ましいものとなる。尚、この例においては、穀物粉(小麦粉の全量及び玄米粉)の重量1000gの25%の重量の乾燥いちじく(250g)を加えている。この実施の形態による製造方法のようにいちじくを加えた場合、パンの焼き色が玄米のように、食欲を喚起するような黄金色になるという効果が発揮される。これは、乾燥いちじく自体の色といちじくに含まれる糖分とによるものと思われる。また、いちじくの甘みや食感が加わることにより、パン全体の旨味や香りや食感が向上する。
表1は、この実施の形態で使用する乳酸菌生産物質の生成に使用される16種類の所定の乳酸菌と24種類の所定の酵母の菌種を示したものである。
この実施の形態における乳酸菌生産物質とは、学術名”Psyche(プシュケー)”として知られているほか、一般名「小牧原液」として市販されている液体であり、人間が摂取して腸内細菌叢を改善するための健康食品として考えられたものである。乳酸菌生産物質の製造方法の概略について説明すると、まず、表1に示したすべての乳酸菌と酵母とを同じ培地で同時に培養する。すると、乳酸菌及び酵母が互いの分泌物を取り込むことによりその繁殖が促進されるため、乳酸菌または酵母を単独で培養した場合よりも多量の生産物質が培地中へと分泌される。この培地から菌体を除いた後、濃縮加工することによって得られたものが、液体の乳酸菌生産物質である。尚、乳酸菌生産物質の液体を更に乾燥加工した粉末状の製品も市販されており、液体の代わりにこれをパンの製造に利用することも可能である。
上記のようにして製造された市販の乳酸菌生産物質を本捏ね材料に添加する。その添加量は、必ずしも限定されるものではなく適宜調整すれば良いが、穀物粉の重量(ここでは、中種材料の小麦粉と本捏ね材料の小麦粉と玄米粉との合計重量)100gに対して0.07ml(約1滴)以上0.7ml(約10滴)となるように調整するのが好ましい。この範囲でも、普通の食パンやフランスパン等の生地に具材を入れないパンの場合は、穀物粉100gに対して0.07ml(約1滴)、生地に例えば乾燥果実等の具材を入れるパンの場合は、穀物粉100gに対して0.14ml(約2滴)の添加した場合に、生地が膨らみやすいとう発酵状態の促進効果が顕著に発揮されると共に、生地の取り扱いやすさも良好であるため、最も好ましい。尚、この実施の形態では上述したように、穀物粉1000gに対して14ml(約20滴)、すなわち穀物粉100gに対して0.14ml(約2滴)の添加量に設定されている。
また、乳酸菌生産物質の添加量が多ければ多いほど発酵の促進効果も大きくなるが、穀物粉100gに対して0.7ml(約10滴)より多くの量を添加した場合、生地が発酵によって膨らみすぎるため、製パン作業が若干しにくくなる。
第4工程
第4工程では、第3工程で休ませた本捏ね生地を適当な大きさに分割して、乾燥しないように室温で20分間休ませた後、生地の成形を行う。このとき、生地は所望の形状に成形すれば良いが、例えば、なまこ型に成形すれば見た目にも新しいパンとなる。尚、分割は、使用する材料が少ない場合には必ずしも必要なものではない。
第4工程では、第3工程で休ませた本捏ね生地を適当な大きさに分割して、乾燥しないように室温で20分間休ませた後、生地の成形を行う。このとき、生地は所望の形状に成形すれば良いが、例えば、なまこ型に成形すれば見た目にも新しいパンとなる。尚、分割は、使用する材料が少ない場合には必ずしも必要なものではない。
第5工程
第5工程では、成形した本捏ね生地を35℃で、概ね40〜60分間発酵させる。この工程での発酵温度は、適宜調整が可能であるが、温度が低すぎると発酵速度が遅くなるため、発酵時間をより長くする必要がある。また、発酵時間は生地の大きさが発酵前の大きさの約2倍に膨らむ程度を目安として調整すれば良い。更に、この工程での発酵室の湿度は特に限定されないが、通常60〜90%程度が好ましく、特に65%〜75%に設定するのがより好ましい。
第5工程では、成形した本捏ね生地を35℃で、概ね40〜60分間発酵させる。この工程での発酵温度は、適宜調整が可能であるが、温度が低すぎると発酵速度が遅くなるため、発酵時間をより長くする必要がある。また、発酵時間は生地の大きさが発酵前の大きさの約2倍に膨らむ程度を目安として調整すれば良い。更に、この工程での発酵室の湿度は特に限定されないが、通常60〜90%程度が好ましく、特に65%〜75%に設定するのがより好ましい。
この実施の形態では、乳酸菌生産物質により発酵工程における天然酵母の働きが促進されるため、パン生地の発酵による膨らみが良くなる。そのため、乳酸菌生産物質を添加しない場合と比べると、発酵時間が約20〜30分(約3割程度)の短縮となり、より短時間で製パン作業を完了することが可能となる。また、玄米粉や乾燥いちじくを添加しても、加えない場合と同様に生地がしっかり膨らむ。その上、発酵した生地がべたつかないため、後続の製パン作業がしやすくなる。このような点は、特に具材を入れたパンの場合に効果的に発揮される。
尚、発酵の状態によっては、別途、最終発酵の工程を追加することも可能である。
第6工程
第6工程では、第5工程で発酵させた生地の表面にクープ(切れ目)を入れ、高温のスチームを生地にあてて、230℃で35分間焼成する。スチームを生地にあてることで、生地表面が張った状態となり、焼き上がり時にフランスパンのようにパリパリした皮が形成される。スチームの代わりに、生地表面に刷毛で水を塗ってから焼成し、焼き上がりに再度刷毛で水を塗っても、ほぼ同様の効果が得られる。また、焼成温度及び焼成時間は、必ずしもこの実施の形態のものに限らず、適宜調整する。
第6工程では、第5工程で発酵させた生地の表面にクープ(切れ目)を入れ、高温のスチームを生地にあてて、230℃で35分間焼成する。スチームを生地にあてることで、生地表面が張った状態となり、焼き上がり時にフランスパンのようにパリパリした皮が形成される。スチームの代わりに、生地表面に刷毛で水を塗ってから焼成し、焼き上がりに再度刷毛で水を塗っても、ほぼ同様の効果が得られる。また、焼成温度及び焼成時間は、必ずしもこの実施の形態のものに限らず、適宜調整する。
焼き上がりの状態
以上のような製造方法によって焼き上げた「いちじく玄米粉入りパン」は、表面はフランスパンのようにパリパリした状態となるが、乳酸菌生産物質によって天然酵母の働きが促進された結果、中身は柔らかく弾力のある状態となり、パンの甘みも向上する。そして、乳酸菌生産物質そのものが雑菌の忌避効果を有するため、季節にもよるが概ね2〜3週間程度、焼き上げたパンがカビにくく長持ちする。
以上のような製造方法によって焼き上げた「いちじく玄米粉入りパン」は、表面はフランスパンのようにパリパリした状態となるが、乳酸菌生産物質によって天然酵母の働きが促進された結果、中身は柔らかく弾力のある状態となり、パンの甘みも向上する。そして、乳酸菌生産物質そのものが雑菌の忌避効果を有するため、季節にもよるが概ね2〜3週間程度、焼き上げたパンがカビにくく長持ちする。
また、パンによって乳酸菌生産物質を容易に摂取することによってができるため、乳酸菌生産物質そのものの機能である腸内細菌叢の改善効果も期待することができる。
更に、この実施の形態では、玄米粉と乾燥いちじくとが配合されている。玄米粉によって、焼き上げたパンの柔らかさが持続し、乾燥いちじくによって焼き色が美しい黄金色となる。しかも、玄米といちじくとの食味によって、そのまま食べて美味しいだけでなく、例えば、和風の料理でも相性が良くなり、様々な料理と柔軟に組み合わせることが可能となる。このような風味や食感のみならず、玄米粉やいちじくに含まれる種々の成分が加わることによって、栄養バランス的にも優れたパンとなる。
尚、上記の実施の形態では、小麦粉と玄米粉と乾燥いちじくとを用いた「いちじく玄米入りパン」について適用しているが、必ずしも玄米粉や乾燥いちじくを加える必要はなく、小麦粉のみの普通のパンにも同様に適用することが可能である。玄米粉を加えない場合は、乳酸菌生産物質による雑菌の忌避効果によって、季節にもよるが概ね7〜10日程度カビにくく日持ちする。
また、上記の実施の形態では、乳酸菌生産物質を用いたパンの製造方法を、小麦粉を少なくとも2回に分けて加える中種法に適用しているが、ストレート法(直捏法)にも同様に適用することが可能である。すなわち、小麦粉、水、塩、イースト及び乳酸菌生産物質を含む生地材料の全量を使用してパン生地を調整した後、一次発酵、ベンチタイム、成形、二次発酵、焼成の一連の手順によってパンを製造しても、乳酸菌生産物質の添加によって同様の効果が発揮される。尚、ストレート法を採用する場合でも、添加する乳酸菌生産物質の量や発酵時間は、上記の実施の形態によるものとほぼ同様である。
更に、上記の実施の形態では、イーストとして天然酵母を使用しているが、生イーストやドライイーストを使用しても良く、この場合に添加する乳酸菌生産物質の量や発酵時間は、上記の実施の形態によるものとほぼ同様である。
更に、上記の実施の形態では、焼成前に生地にスチームをあてているが、必ずしもこのようにする必要はなく、スチームをあてずに焼成しても中身の食感や風味が同等のパンを製造することが可能である。
更に、上記の実施の形態では、玄米粉の全量を本捏ね材料として使用しているが、玄米粉の一部または全部を中種材料に加えても良い。
Claims (7)
- 小麦粉を含む穀物粉と水とイーストと塩とを少なくとも含む生地材料を用いるパンの製造方法において、
前記生地材料に乳酸菌生産物質を更に添加したことを特徴とする、パンの製造方法。 - 前記乳酸菌生産物質は、所定の乳酸菌と所定の酵母とを共棲培養して得た液体よりなる、請求項1記載のパンの製造方法。
- 前記所定の乳酸菌は、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・フェカーリス、ストレプトコッカス・ラクテイス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カセイ、ラクトバチルス・デルブルツキイ、ラクトバチルス・アラビノースス、ラクトバチルス・カウカシクス、ラクトバチルス・ラクテイス、ラクトバチルス・ライシュマニ、ラクトバチルス・ムシカス、ラクトバチルス・サーモフィルス、ラクトバチルス・プランタルム及びロイコノストック・メゼンテロイデスの16種類からなり、
前記所定の酵母は、サッカロマイセス・セリビジェー、サッカロマイセス・パストリアヌス、サッカロマイセス・インタメディウス、サッカロマイセス・ヴァリドウス、サッカロマイセス・エリプソイデウス、サッカロマイセス・マリ リスラー、サッカロマイセス・マンシュリカス、サッカロマイセス・フォルデルマニ、サッカロマイセス・ペーカー、サッカロマイセス・シアシング、サッカロマイセス・ピリフォルミス、サッカロマイセス・アナメンシス、サッカロマイセス・カルティラギノースス、サッカロマイセス・アワモリ、サッカロマイセス・バタタエ、サッカロマイセス・コレアヌス、サッカロマイセス・ロブストウス、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス、サッカロマイセス・モナセンシス、サッカロマイセス・マルキシアヌス、チゴサッカロミセス・マヨール、サッカロマイセス・ラクテイス、サッカロマイセス・ルクシー、ハンゼヌーラ・アノマーラの24種類からなる、請求項2記載のパンの製造方法。 - 前記乳酸菌生産物質は、前記穀物粉100gに対して0.07ml以上0.7ml以下となるように添加する、請求項3記載のパンの製造方法。
- 前記イーストは天然酵母よりなり、
前記生地材料は、前記小麦粉の一部と前記水の一部と前記イーストとを含む中種材料と、前記小麦粉の一部を除く前記穀物粉の残部と前記水の残部と前記塩と前記乳酸菌生産物質とを含む本捏ね材料とからなり、
前記中種材料をミキシングして中種生地を調整する第1工程と、
前記中種生地を発酵させる第2工程と、
前記発酵させた中種生地に前記本捏ね材料を加えてミキシングし、本捏ね生地を調整する第3工程と、
前記本捏ね生地を成形する第4工程と、
前記成形した本捏ね生地を発酵させる第5工程と、
前記発酵させた本捏ね生地を焼成する第6工程とからなる、請求項1から請求項4のいずれかに記載のパンの製造方法。 - 前記穀物粉は、小麦粉と玄米粉とからなり、
前記玄米粉の重量の割合は、前記穀物粉の重量のうち10%以上30%以下である、請求項5記載のパンの製造方法。 - 前記本捏ね材料は、前記穀物粉の重量の20%以上30%以下の乾燥いちじくを更に含む、請求項6または請求項7記載のパンの製造方法。
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