JP2000004768A - 製パン用改良剤およびパン類の製造方法 - Google Patents

製パン用改良剤およびパン類の製造方法

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JP2000004768A
JP2000004768A JP10178517A JP17851798A JP2000004768A JP 2000004768 A JP2000004768 A JP 2000004768A JP 10178517 A JP10178517 A JP 10178517A JP 17851798 A JP17851798 A JP 17851798A JP 2000004768 A JP2000004768 A JP 2000004768A
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weight
vitamin
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dough
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Atsuo Watanabe
厚夫 渡邊
Takao Shimizu
孝朗 清水
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Riken Vitamin Co Ltd
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Riken Vitamin Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改良剤として化学的合成品である食品添加物
を使用することなく、製造工程の作業性に優れ、品質の
良好なパン類を得る改良剤および製パン方法の開発を目
的とする。 【解決手段】 製パン用改良剤として、固形分中に0.
01重量%以上を含む有用植物果実あるいはこれと窒素
含有天然物、特定油脂を原料とする粉末脂質、カルボヒ
ドラーゼ等の酵素あるいは天然カルシウムのいずれか1
種又は2種以上とを組み合わせ使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製パン用改良剤
(イーストフードおよび/または生地改良剤および/ま
たは品質改良剤)およびパン製品類の製造方法に関する
ものである。本発明にいうパン製品類とは、小麦粉生地
をイーストで発酵する製品をいい、食品衛生法でいうパ
ンの他に発酵を伴う饅頭、ドーナツあるいはその他の焼
き菓子類も対象として含むものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】市場に
流通するパンの製造規模は、家内的な小規模なものから
広域販売を目的とする機械的な大量生産規模のものまで
大小様々であるが、市場の流通量からは大量生産方式が
大きな比重を占めている。このような大量生産方式にお
いては、製造工程での機械耐性の良いパン生地の調整あ
るいは品質が良く保存性の良い製品を得る目的で、一般
にイーストフード、酸化剤、生地改良剤あるいは老化防
止剤等の改良剤が使用されている。
【0003】一方、近年の食品市場の状況として、化学
的合成品である食品添加物の摂取を避けたいという消費
者の意向の高まりが見られ、製パン業界においてもその
流れに対応する必要に迫られてきている。しかしなが
ら、機械による大量生産方式においては、これらイース
トフードや生地改良剤等の改良剤を使用しない場合、製
パン時の作業性の低下やパンの品質の低下が起こるとい
う問題が生じる。
【0004】パンの製造工程は一般に、仕込み−混捏−
発酵−分割−ベンチ−成型−ホイロ−焼成等から構成さ
れ、最終的に焼成されたパンの品質は、発酵の状態、分
割・成型工程での生地の物性や品質によって大きく左右
される。
【0005】発酵工程においては、発酵パン特有のフレ
ーバー成分の生成、発酵産物による小麦粉中のグルテン
の物性の修正あるいはイーストの呼吸による炭酸ガスの
発生に由来する生地中の気泡の形成等が行われ、発酵の
良否が焼成されたパンの品質に大きく影響する。この発
酵を好適に行うためには、イーストが適切に働くことが
必要であるが、イーストの成育促進のために小麦粉中に
不足する栄養成分としてアンモニウム塩、カルシウム塩
等の無機塩類がイーストフードとして添加されるのが一
般的である。
【0006】また、焼成されたパンが良好な容積と内相
を得るためには、工程中のパン生地の物性が重要であ
り、その生地の改良のために酸化剤、還元剤、乳化剤等
が添加されている。酸化剤は生地中のグルテンの三次元
的な網目構造を形成し、焼成パンの内相を整えるために
必須の成分であり、従来は臭素酸カリウムが広く使用さ
れてきたが、安全性等の問題がクローズアップし、今日
ではそれに替わってビタミンCが一般に使用されてい
る。天然物系の酸化剤としては、グルコースオキシダー
ゼとシスチンを併用する方法(特開昭64−4730号
公報)、カタラーゼとシスチンを併用する方法(特開昭
57−86234号公報)、グルコースオキシダーゼ、
カタラーゼ、シスチンを使用する方法(特開昭57−8
6235号公報)あるいはシスチンを溶解して使用する
方法(特開昭60−221030号公報)等が開示され
ているが、いずれも酸化剤効果が十分満足されるもので
はない。
【0007】一方、本発明者らは、工程中の生地の損傷
の防止や焼成されたパンの老化の進行を抑制する目的で
使用されるステアロイル乳酸カルシウムあるいはグリセ
リン脂肪酸エステル等の化学的合成による食品添加物で
ある改良剤の代替策として高融点油脂を原料とする粉末
脂質とリン脂質およびカルボヒドラーゼの使用が有効で
あることを見出し提示している(特願平10−4284
1号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】パンの製造工程は一般
に、仕込み−混捏−発酵−分割−ベンチ−成型−ホイロ
−焼成等から構成され、最終的に焼成されたパンの品質
は、発酵の状態、分割・成型工程での生地の物性や品質
によって大きく左右される。大量生産を目的とした製パ
ンでは、特にパン生地の物性の良否が焼成されたパンの
品質に大きく影響するために、各種の化学的合成品であ
る食品添加物が改良剤として使用されている。
【0009】しかしながら、近年の化学的合成品である
食品添加物の摂取を避けたいという消費者の意向の高ま
りの中で、これらの化学的合成品である食品添加物を使
用することなく品質の良好なパンを製造するというニー
ズが大きくなっている。本発明は、このような社会的背
景を鑑みて化学的合成品である食品添加物を使用するこ
となく、作業性が問題なく、品質に優れたパンを提供す
ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、固形分中に
0.01%以上のビタミンCを含有する有用植物果実を
使用することにより、食品添加物としてのイーストフー
ドおよび酸化剤を使用することなく良好な発酵と生地調
製がなされ得ることを見出し、また、これに蛋白加水分
解物や動物エキス等の窒素含有天然物を添加することに
より発酵が更に改良されること、加えて本発明者らの既
発明である融点40℃以上の油脂類から構成される粉末
脂質、カルボヒドラーゼ等の酵素等の併用、あるいは卵
殻カルシウム等のカルシウムイオンの添加により、化学
的合成品である食品添加物を改良剤として使用すること
なく円滑な製パン工程の進行と良好な品質の焼成パン製
品が得られることを見出し、本発明を完成させたもので
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明でいう固形分中に0.01
重量%以上のビタミンCを含有する有用植物果実とは、
大橋勇夫著「植物の辞典」520頁に記載されている有
用植物一覧表に代表される植物果実の中で所定の含有量
のビタミンCを含むものをいい、例えば、アセロラ、グ
アバ、スダチ、柚子、苺、ネーブルオレンジ、柿、キウ
イフルーツ、金柑、パパイア、レモン、カボス、タンゴ
ール、ブンタン、ミカン、バレンシアオレンジ、グレー
プフルーツ、三宝柑、橙、タンゼロ、ナツカン、ハッサ
ク、ポンカン、メロン等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。製パンへの応用に際しては、これ
らの果実は細かく破砕して添加される。例えば、ピュー
レ、果汁、それらの濃縮物あるいは乾燥物等の形で使用
できるが、長期保存や取り扱い性の便からは乾燥粉末が
適当である。また、保存あるいは加工上必要であれば、
糖類、高分子安定剤等の賦形剤等を併用することは妨げ
ない。
【0012】これらビタミンCを含有する有用植物果実
の製パン改良効果の一つは、ビタミンCの酸化還元効果
によるものであるが、純粋なビタミンCをイーストフー
ドの添加なしで使用した場合においては、焼成されたパ
ンの品質は乏しいものとなる。このことから、果実成分
がイーストの成育や生地物性の改良効果をもたらし、製
パン改良効果が得られるものと推測される。
【0013】有用植物果実のパン生地への添加量として
は、小麦粉100部に対してビタミンCとして0.5pp
m以上あれば効果は得られるが、好ましくはビタミンC
として3ppm以上である。添加の上限は、パンの種類、
製法によって異なるが、ビタミンCとして0.1%以下
であり、好ましくはビタミンCとして200ppm以下で
ある。ビタミンCとして0.5ppm以下では充分な効果
が得られず、0.1%以上ではパンの風味に影響がで
る。また、パン生地物性にも悪影響が現れ、パンの品質
が低下するため好ましくない。
【0014】従来、果実をパンに添加した例は見られる
が、それらはいずれもパンにフルーツの風味を付与する
目的であって、本発明の如く、生地改良を目的としたも
のではない。
【0015】また、果汁熟成物を使用する方法(特開平
9−107869号公報)が提案されているが、指定さ
れている果汁の種類が、リンゴ、パイナップル、パパイ
ヤ、ブドウと必ずしもビタミンC含量の高いものではな
い上、50日〜70日間の熟成をとる必要があるため、
果汁に含まれているビタミンCは分解してしまう。よっ
て、有用植物果実に含まれるビタミンCを利用する本発
明とは内容が異なる。本発明の粉末脂質とは、融解した
脂質と水に溶かした水溶性の粉末化基材とを乳化剤の介
在により水中油型乳化液を調製し、該乳化液を乾燥、粉
末化して得られる。乾燥には、噴霧乾燥、ドラム乾燥等
が使用されるが、特に乾燥方法を限定するものではな
い。
【0016】本発明の粉末脂質の製造に用いられる脂質
としては、大豆油、菜種油、トウモロコシ油、綿実油、
ヒマワリ油、サフラワー油、パーム油、ヤシ油、パーム
核油等の植物性脂肪およびそれらの水素添加された硬化
油、豚脂、牛脂、鶏脂等の動物性油脂およびそれらの水
素添加された硬化油、あるいはこれらの油脂類のエステ
ル交換油およびそれらの水素添加された硬化油、フィト
ステロール、コレステロール等のステロール類、ミツロ
ウ、カルナバロウ等のワックス類等が挙げられ、その融
点が40℃以上であれば単独であっても、2種類以上の
混合物であってもよい。好ましくは融点50℃以上の極
硬油がより効果的である。
【0017】本発明の粉末脂質の製造に用いられる粉末
化基材としては、乳蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白、トウモ
ロコシ蛋白、脱脂粉乳、小麦粉、脱脂大豆粉等の蛋白質
物質あるいはそれらの加水分解物、トウモロコシ澱粉、
小麦澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉等の澱粉物質ある
いはそれらの加水分解物、グルコース、乳糖等の糖類、
グアーガム、キサンタンガム等のガム質等が挙げられ
る。これらの粉末化基材の中では特に乳蛋白、カゼイン
ナトリウム、大豆蛋白等の蛋白と乳糖、デキストリン等
との併用が好ましいが、必要において適当な原料の選択
配合が可能である。本発明の粉末脂質の製造に用いられ
る乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグ
リセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エ
ステルあるいはリン脂質等が挙げられる。これらの乳化
剤は粉末脂質製造のための水中油型乳化を効率よく調製
するために用いられるものであり、製パン工程への直接
的な効果を期待するものではなく、目的とする粉末脂質
を得るために必要な物質が最低量存在すればよい。
【0018】粉末脂質中の脂質含量は、30%〜95重
量%、さらには50%〜90重量%がより好ましい。含
量が30重量%未満では十分な生地改良効果が発現でき
ず、95重量%を越えると良好な粉末脂質を得るのが困
難である。本発明の粉末脂質を添加することにより、機
械的分割・成型によっても損傷が少なく、且つベタツキ
のない生地が得られる。
【0019】本発明による粉末脂質の添加によるパン生
地物性の改善の機構は明確ではないが、一種の滑剤効果
および保水力向上効果によるものと考えられ、機械的衝
撃の緩和とベタツキの防止により、加えられた水分は小
麦粉のグルテン成分と十分に水和することによりグルテ
ンの伸びをも促進するものであって、従来使用される乳
化剤とは異なり直接的に小麦粉成分と結合して改善効果
をもたらすものではないと考えられる。
【0020】本発明の粉末脂質のパン生地への添加量
は、粉末脂質の組成によって勘案されるが、通常小麦粉
100部に対して0.1部以上、好ましくは0.3部以
上である。0.1部未満であると所期の効果が十分に得
られない。上限は特に定めないが、粉末脂質中の脂質含
量、パンの種類、製造工程、経済性等を勘案して添加量
が決められる。概々小麦粉100部に対して30部以下
が適当である。本発明でいう酵素とは、炭水化物分解酵
素であるカルボヒドラーゼおよび酸化酵素であるパーオ
キシダーゼおよびトランスグルタミナーゼを指す。カル
ボヒドラーゼとは、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、
グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、マルトジェニックア
ミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等に代表され、
焼成されたパンをソフトに保つ目的で使用される。パー
オキシダーゼは、グルコースオキシダーゼ、カタラー
ゼ、リポキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ等に
代表され、生地物性の改善の目的で使用される。トラン
スグルタミナーゼはグルテン間の結合により網目構造を
強化する。
【0021】これらの酵素は、有用植物果実、脂質の粉
末化時に混合することも可能であるが、粉末化時に失活
するおそれがあり、各成分と粉末混合する方が好まし
い。酵素の添加量としては、パンの配合・工程により適
正量が異なる。澱粉を基質とするアミラーゼ類では、小
麦粉100部に対して0.01単位〜2000単位、好
ましくは、1単位〜100単位である。0.01単位以
下では充分な効果が得られず、2000単位以上では生
地の軟化が起きるため、作業性が低下する。
【0022】α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコ
アミラーゼの1単位は、40℃、30分反応させた時、
葡萄糖に換算して10mgの糖を生成させる酵素力価をい
う。プルラナーゼの1単位は、pH6、30℃におい
て、1分間に1マイクロモル(μmol)のマルトトリオ
ースを生成する酵素力価をいう。
【0023】マルトジェニックアミラーゼの1単位は、
pH5、37℃において、1分間に1μmolのマルトト
リオースを分解する酵素力価をいう。セルラーゼおよび
ヘミセルラーゼについては、小麦粉100部に対して1
単位〜20000単位、好ましくは、10単位〜100
0単位である。1単位以下では充分な効果が得られず、
20000単位以上では生地の軟化が起きるため、作業
性が低下する。
【0024】セルラーゼ100単位は、pH4.5、4
0℃において、30分反応させた時、1分間に葡萄糖に
換算して、1mgの糖を生成する酵素力価をいう。
【0025】ヘミセルラーゼ100単位は、pH4.
5、40℃において、30分反応させた時、1分間にキ
シロースに換算して、1mgの糖を生成する酵素力価をい
う。
【0026】グルコースオキシダーゼの添加量として
は、小麦粉100部に対して0.1単位〜100単位、
好ましくは、1単位〜20単位である。0.1単位以下
では充分な効果が得られず、100単位以上ではパンの
風味への影響がでたり、生地物性への悪影響がでたりす
るため、実用的でない。
【0027】グルコースオキシダーゼの1単位は、pH
7、40℃において1分間に1μmolのグルコン酸を生
成させる酵素力価をいう。
【0028】カタラーゼの添加量としては、小麦粉10
0部に対して、1単位〜2000単位、好ましくは10
単位〜400単位である。
【0029】カタラーゼの1単位は、pH7、25℃に
おいて1分間に1μmolの過酸化水素を分解する酵素力
価をいう。
【0030】リポキシダーゼの添加量としては、小麦粉
100部に対して、100単位〜10000単位、好ま
しくは500単位〜5000単位である。
【0031】リポキシダーゼの1単位は、リノール酸を
基質として、pH9、25℃において1分間に234nm
における吸光度を0.001増加させる酵素力価をい
う。アスコルビン酸オキシダーゼの添加量としては、小
麦粉100部に対して0.001単位〜1単位、好まし
くは0.01単位〜0.1単位である。0.001単位
以下では充分な効果が得られず、1単位以上では生地物
性への悪影響がでてくるため、実用的でない。
【0032】アスコルビン酸オキシダーゼの1単位は、
pH5.6、25℃において1分間に1μmolのデヒド
ロアスコルビン酸を生成する酵素力価をいう。トランス
グルタミナーゼの添加量としては、小麦粉100部に対
して、0.1単位〜5000単位、好ましくは10単位
〜500単位である。0.1単位以下では充分な効果が
得られず、500単位以上では生地物性への悪影響がで
てくるため、実用的でない。
【0033】トランスグルタミナーゼの1単位は、pH
6、37℃において1分間に1μmolのヒドロキサム酸
を生成する酵素力価をいう。本発明でいう天然カルシウ
ムとは、カルシウムを1%(対固形分)以上含む天然物
を示し、乳製品、卵殻粉、貝殻粉、珊瑚粉、骨粉等に代
表されるが、これらに限定されるものではない。カルシ
ウムの添加はグルテン分子の結合をもたらし、生地の強
化がはかられる。
【0034】天然カルシウムの添加量としては、小麦粉
100部に対してカルシウムとして10ppm〜1000p
pmであり、好ましくは20ppm〜200ppmである。10
ppm以下では充分な効果が得られず、1000ppm以上で
は生地物性への悪影響がでてくるため、実用的でない。
【0035】本発明でいう窒素含有天然物とは、固形分
換算で1%以上の窒素を含有する天然物を指し、酵母エ
キス、ビーフエキス、ポークエキス、チキンエキス、ホ
タテエキス等のエキス類、ゼラチン分解物等の動物蛋白
分解物、小麦蛋白分解物等の植物蛋白分解物、乳清、ヨ
ーグルト等の乳蛋白、魚醤、酒粕等に代表されるがこれ
らに限定されない。窒素含有天然物の中でも水溶性窒素
の方が好ましく、アミノ態窒素は特に有効である。これ
らの窒素含有天然物を有用植物果実と併用することによ
り発酵状態はより改善される。
【0036】窒素含有天然物の添加量としては、小麦粉
100部に対して窒素として1ppm以上あれば効果は得
られるが、好ましくは10ppm以上である。上限は特に
定めないが、経済性を考えれば、パンの種類によって異
なるものの、5%以下が実用的といえる。
【0037】本発明は化学的合成品である食品添加物を
使用しないパン類の製造法を開示するものであるが、パ
ン製造者の好みによってそれら化学的合成品である食品
添加物の併用を否定するものではない。
【0038】
【実施例】以下、製パン評価の実施例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定
されるものではない(%はいずれも重量%で示す)。 [配合] (中種) (本捏) 強力粉 70% 強力粉 30% イースト 2.3 上白糖 5 改良剤 所定量 食塩 2 水 41 脱脂粉乳 2 ショートニング 5 水 26
【0039】 [工程] 中種 混合時間 低速3分中速1分 (関東混合機製SS-71使用) 捏上温度 24℃ 発酵条件 27℃ 4時間 本捏 混合時間 低速3分中速2分高速1分(油脂投入) 低速2分高速6分 捏上温度 27℃ フロアー 20分 分割 分割機 (オシキリ製DQE)使用 分割重量 ワンローフ:450g (型/生地比容積=3.3) プルマン :250g×6個(型/生地比容積=4.2) 丸め ラウンダー (オシキリ製RQ)使用 ベンチ 20分 成型 モルダー (オシキリ製WF)使用 焙炉 38℃ 85%RH ワンローフ:型上1.5cmで焙炉出し プルマン :型の85%で焙炉出し 焼成 上火:200℃/下火:210℃ ワンローフ:25分 プルマン :35分
【0040】(実施例1)グアバ果肉部分をミキサーで
粉砕し、布で濾過して得た果汁(ビタミンC含有量0.
27重量%/対果汁)を単独で対小麦粉0.3重量%添
加した。
【0041】(実施例2)大豆菜種極度硬化油(140
0kg)、レシオンP(20kg理研ビタミン(株)粉末レ
シチン)、カゼインナトリウム(200kg)、デキスト
リン(380kg)および水(2000kg)を常法により
水中油型乳化液とし、スプレードライヤーを使用して乾
燥し、粉末脂質を得た。本粉末脂質99重量部とアセロ
ラ果汁粉末(日野薬品(株)製、ビタミンC含有量17
重量%)1重量部を混合した配合物を対小麦粉0.5重
量%添加した。
【0042】(実施例3)キウイ果肉部分をミキサーで
粉砕し、布で濾過して得た果汁(ビタミンC含有量0.
08重量%)99.4重量部にヘミセルラーゼ(900
00単位/g)0.6重量部を混合して得た配合物を対
小麦粉1.0重量%添加した。
【0043】(実施例4)オレンジ果汁粉末(ビタミン
C含有量0.3重量%、CRYSTALS INTERNATIONAL社製CR
YSTALS ORANGE 12009)75重量部と卵殻粉(カルシウ
ム含有量36重量%)を混合して得た配合物を対小麦粉
0.4重量%添加した。
【0044】(実施例5)レモン果汁粉末(ビタミンC
含有量0.03重量%、CRYSTALS INTERNATIONAL社製CR
YSTALS LEMON 12209)95重量部と酵母エキス粉末(K
AT:DHW社製,窒素含有量11.7重量%)1重量
部を混合して得た配合物を対小麦粉2.0重量%添加し
た。
【0045】(実施例6)ストロベリー粉末(ビタミン
C含有量0.2重量%、CRYSTALS INTERNATIONAL社製CR
YSTALS STRAWBERRY 10566)50.0重量部、実施例2
で得た粉末脂質29.7重量部α−アミラーゼ(300
00単位/g)0.3重量部およびトランスグルタミナ
ーゼ(20単位/g)20.0重量部を混合して得た配
合物を対小麦粉1.0重量%添加した。
【0046】(実施例7)アセロラ果汁粉末(ビタミン
C含有量17%、日野薬品(株)製)1.0重量部、実
施例2で得た粉末脂質70.8重量部、α−アミラーゼ
(30000単位/g)0.6重量部、グルコースオキ
シダーゼ(1500単位/g)0.6重量部ミルクカル
シウム(カルシウム含有量26重量%)25.0重量部
および小麦蛋白加水分解物粉末(窒素含有量13.6重
量%)を混合して得た配合物を対小麦粉0.5重量%添
加した。
【0047】(比較例1)市販のイーストフード(ビタ
ミンC含有量0.6重量%)を対小麦粉0.1重量%お
よびエマルジーMM100(理研ビタミン(株)製、モ
ノグリセライド製剤)を対小麦粉0.3重量%併用添加
した。
【0048】(比較例2)市販のイーストフードを対小
麦粉0.1重量%添加した。
【0049】(比較例3)ビタミンCを対小麦粉6ppm
添加した。
【0050】(比較例4)実施例2で得た粉末脂質7
2.8部、α−アミラーゼ(30000単位/g)0.
6重量部、グルコースオキシダーゼ(1500単位/
g)0.6重量部、ミルクカルシウム(カルシウム含有
量26重量%)25.0重量部および小麦蛋白加水分解
物粉末(窒素含有量13.6重量%)2.0重量部を混
合して得た配合物を対小麦粉0.5重量%およびビタミ
ンC6ppmを併用添加した。
【0051】(比較例5)実施例2で得た粉末脂質を対
小麦粉0.5重量%添加した。
【0052】[結果]評価結果を表1に示した。但し、
パンの老化評価は、室温で3日間保存した3斤プルマン
型食パンを2cm厚にスライスし、5cm×5cmにカットし
てテストピースを作成、レオメーターにて1cm圧縮した
時の応力を測定した。
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明の組成物を使用することにより化
学的合成品である食品添加物由来の改良剤を使用するこ
となく、製造工程中の作業性に優れ、内相が綺目細か
く、ボリュームがあり、老化の遅い品質の良好なパンが
得られる。本発明に使用される改良剤はイースト発酵を
行う饅頭、ドーナツあるいはその他の焼き菓子類にも有
効である。また、製造方法についても中種法に限らずス
トレート法、冷凍生地、冷蔵生地等についても同様に有
効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A21D 2/26 A21D 2/26 2/34 2/34

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固形分中に0.01重量%以上のビタミン
    Cを有する有用植物果実を有効成分とする製パン用改良
    剤。
  2. 【請求項2】請求項1記載の有用植物果実と、(1)融
    点が40℃以上の油脂類から構成される粉末脂質、
    (2)酵素、(3)天然カルシウムおよび(4)窒素含
    有天然物のいずれか1種又は2種以上との併用を有効成
    分とする製パン用改良剤。
  3. 【請求項3】請求項2記載の酵素がカルボヒドラーゼ、
    パーオキシダーゼ及びトランスグルタミナーゼのいずれ
    か1種又は2種以上の混合物である製パン用改良剤。
  4. 【請求項4】請求項2記載の窒素含有天然物が蛋白加水
    分解物、酵母エキスおよび動物エキスのいずれか1種又
    は2種以上の混合物である製パン用改良剤。
  5. 【請求項5】請求項1から4までのいずれか1項記載の
    製パン用改良剤を使用することを特徴とするパン類の製
    造方法。
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