JPH09316044A - 光学活性3−クロロラクトニトリル及びそのエステル並びにそれらの製造方法 - Google Patents

光学活性3−クロロラクトニトリル及びそのエステル並びにそれらの製造方法

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JPH09316044A
JPH09316044A JP13003396A JP13003396A JPH09316044A JP H09316044 A JPH09316044 A JP H09316044A JP 13003396 A JP13003396 A JP 13003396A JP 13003396 A JP13003396 A JP 13003396A JP H09316044 A JPH09316044 A JP H09316044A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 光学活性3−クロロラクトニトリル及び
その酢酸エステル。エステル加水分解酵素の存在下、ラ
セミ体3−クロロラクトニトリル酢酸エステルを不斉加
水分解することを特徴とする、前記光学活性3−クロロ
ラクトニトリル又はその酢酸エステルの製造方法。有機
溶媒中、エステル加水分解酵素の存在下、ラセミ体3−
クロロラクトニトリルをアシル化剤で不斉エステル化す
ることを特徴とする、光学活性3−クロロラクトニトリ
ル又はその酢酸エステルの製造方法。 【効果】 医薬、農薬、液晶等の原料、中間体等として
有用な光学活性体を効率的に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学活性3−クロロ
ラクトニトリル及び光学活性3−クロロラクトニトリル
酢酸エステル、並びにこれらの光学活性体を生物化学的
な不斉加水分解又は不斉合成反応により製造する方法に
関する。本発明で得られる光学活性3−クロロラクトニ
トリル及び光学活性3−クロロラクトニトリル酢酸エス
テルは医薬、農薬、液晶等の原料、中間体等として有用
な化合物である。
【0002】
【従来の技術】ラセミ体3−クロロラクトニトリルおよ
びその酢酸エステルは、クロロアセトアルデヒド、青酸
及び酢酸を原料として合成されることが報告されている
が(Journal of Organic Chemistry, 28, 1182(1963))、
Journal of Organic Chemistry, 29, 1800(1964)等) 、
それらの光学活性体及びその製造法に関しては知られて
いない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、光学活性3−クロロラクトニトリル及びその酢
酸エステル、並びにそれらの効率的な製造方法を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酵素反応によりラセ
ミ体3−クロロラクトニトリル酢酸エステルを不斉加水
分解するか、或いはラセミ体3−クロロラクトニトリル
を酢酸ビニルなどのアシル化剤で不斉エステル化するこ
とにより、光学活性3−クロロラクトニトリル及びその
酢酸エステルが容易に、しかも、高い光学純度で合成さ
れることを見い出して本発明を完成した。本発明は、下
記式(1) :
【0005】
【化5】
【0006】又は下記式(2) :
【0007】
【化6】
【0008】で表される光学活性3−クロロラクトニト
リルである。また、本発明は、下記式(3) :
【0009】
【化7】
【0010】又は下記式(4) :
【0011】
【化8】
【0012】で表される光学活性3−クロロラクトニト
リル酢酸エステルである。更に、本発明は、エステル加
水分解酵素の存在下、ラセミ体3−クロロラクトニトリ
ル酢酸エステルを不斉加水分解することを特徴とする、
上記光学活性3−クロロラクトニトリル又は光学活性3
−クロロラクトニトリル酢酸エステルの製造方法であ
る。
【0013】更に、本発明は、有機溶媒中、エステル加
水分解酵素の存在下、ラセミ体3−クロロラクトニトリ
ルをアシル化剤で不斉エステル化することを特徴とす
る、上記光学活性3−クロロラクトニトリル又は光学活
性3−クロロラクトニトリル酢酸エステルの製造方法で
ある。以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の光学活性体の製造方法に
使用する原料は、ラセミ体3−クロロラクトニトリル又
はラセミ体3−クロロラクトニトリル酢酸エステルであ
る。これらの化合物は公知の方法により合成することが
できる。すなわち、ラセミ体3−クロロラクトニトリル
は、例えば、2−クロロアセトアルデヒドの重亜硫酸塩
水溶液に、アンモニウム塩存在下、冷却しながらシアン
化カリウム水溶液を滴下して反応させることによって合
成することができる。得られた反応混合物から、常法、
例えば、エーテルにて抽出後減圧蒸留することによりラ
セミ体3−クロロラクトニトリルを分離することができ
る。
【0015】また、ラセミ体3−クロロラクトニトリル
酢酸エステルは、例えば、前記ラセミ体3−クロロラク
トニトリルをピリジン溶媒中でアセチルクロライドでエ
ステル化することにより容易に合成することができる。
本発明に用いられる酵素は、ラセミ体3−クロロラクト
ニトリル酢酸エステルを加水分解して光学活性3−クロ
ロラクトニトリル及びその対掌体エステルを製造する能
力を有するエステル加水分解酵素であれば酵素の種類、
その製造源を問わない。また、このような酵素は、溶
媒、温度等の反応条件を適宜選択することにより、不斉
加水分解反応又は不斉エステル化反応のいずれの反応に
も使用することができる。
【0016】本発明においては、例えば、シュウドモナ
ス(Pseudomonas) 属、アスペルギルス(Aspergirus)属、
アシネトバクター(Acinetobacter) 属、エシェリキア(E
scherichia) 属、クロモバクテリウム(Chromobacteriu
m) 属、ムコール(Mucor) 属及びキャンディダ(Candida)
属からなる群から選ばれる微生物であって、上記エス
テル加水分解酵素生産能を有する微生物が生産するエス
テル加水分解酵素を使用することができる。シュウドモ
ナス属に属し、エステル加水分解酵素生産能を有する微
生物としては、例えば、シュウドモナス sp.(Pseudomon
as sp.) MR-2068株(FERM-BP-3846)、シュウドモナス s
p. MR-2301株(FERM-BP-4870)、シュウドモナス フルオ
レッセンス(Pseudomonas fluorescens) IFO3018 等が挙
げられる。アスペルギルス属に属し、エステル加水分解
酵素生産能を有する微生物としては、例えば、アスペル
ギルス ニガー(Aspergilus niger)、アスペルギルス
オリザエ(Aspergilus oryzae) 等が挙げられる。アシネ
トバクター属に属し、エステル加水分解酵素生産能を有
する微生物としては、例えば、アシネトバクター sp.(A
cinetobacter sp.)MR-2302株(FERM-BP-4871)等が挙げら
れる。クロモバクテリウム属に属し、エステル加水分解
酵素生産能を有する微生物としては、例えば、クロモバ
クテリウム ビスコサム(Chromobacterium viscosum)等
が挙げられる。ムコール属に属し、エステル加水分解酵
素生産能を有する微生物としては、例えば、ムコール
ミエヒー(Mucor Miehei)、ムコール ジャバニカス(Muc
or javanicus) 等が挙げられる。キャンディダ属に属
し、エステル加水分解酵素生産能を有する微生物として
は、例えば、キャンディダ アンターチカ(Candida ant
artica) 、キャンディダ リポリティカ(Candida lipol
ytica)、キャンディダ ルゴーサ(Candida rugosa)等が
挙げられる。エシェリキア属に属し、エステル加水分解
酵素生産能を有する微生物としては、シュウドモナス s
p. MR-2068(FERM-BP-3846)のエステル加水分解酵素をコ
ードする遺伝子により形質転換された、エシェリキア・
コリ(E. coli)MR-2103株(FERM-BP-3835)等が挙げられ
る。これらの中で好ましいのは、シュウドモナス属に属
する微生物、キャンディダ属に属する微生物、及びエシ
ェリキア コリ MR-2013株である。
【0017】エステル加水分解酵素としては、具体的に
はリパーゼが例示され、市販されているリパーゼとして
は、リパーゼアマノP(商品名、天野製薬製、シュウド
モナス属由来酵素) 、リパーゼアマノPS(商品名、天
野製薬製、シュウドモナス属由来酵素) 、リパーゼアマ
ノA6(商品名、天野製薬製、アスペルギルス属由来酵
素)、リパーゼアマノAP4(商品名、天野製薬製)、
リパーゼM10(商品名、天野製薬製、ムコール属由来
酵素)、名糖リパーゼOF(商品名、名糖産業製、キャ
ンディダ属由来酵素)、東洋紡トヨチームLIP(商品
名、東洋紡製、シュウドモナス属由来酵素) 、リパーゼ
LP-051-S(商品名、旭化成工業製、クロモバクテリウム
属由来酵素) 、キャンディダリパーゼ(商品名、シグマ
製、キャンディダ属由来酵素)等が挙げられる。
【0018】本発明の製造方法において、上記エステル
加水分解酵素を反応に供するに際しては、該酵素が活性
を示す限りその使用の態様は特に限定されず、精製され
たエステル加水分解酵素はもちろんのこと、上記エステ
ル加水分解酵素生産能を有する微生物の菌体を含む培養
液をそのまま、又は該培養液から遠心分離などの手段に
よって分離して得られる菌体もしくはその処理物をも用
いることができる。菌体処理物としては、微生物菌体を
凍結乾燥したもの、微生物菌体をアセトン乾燥したも
の、微生物菌体組織を破砕した無細胞抽出物、これらか
ら酵素を抽出した粗酵素液等が挙げられる。また、当該
酵素を固定化したものや、上記微生物を固定化したもの
も用いることができる。精製酵素や微生物の菌体等は、
そのままで、或いは適当な溶媒に懸濁させた懸濁液の状
態で反応に供することができる。
【0019】不斉加水分解反応は、通常、リン酸緩衝液
等の水性媒体中で行うが、この水性媒体と有機溶媒との
混合液中で行うこともできる。有機溶媒としては、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール、tert−ブチルアル
コール、tert−アミルアルコール等のアルコール類;エ
チルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル類等が挙げられる。水性媒体に有機溶
媒を添加すると、基質であるラセミ体3−クロロラクト
ニトリル酢酸エステルの濃度を調製しながら反応を行う
ことができるので、反応速度の調節や高濃度の基質によ
る酵素の失活を防ぐことができる。
【0020】また、基質の溶媒中の濃度は、 0.1〜30重
量%で行うことができるが、生産性等を考慮すると5〜
20重量%が好ましい。基質である3−クロロラクトニト
リル酢酸エステルは、単独で、あるいはそれが溶解する
有機溶媒、例えば、tert−ブチルアルコール、イソプロ
ピルエーテル等に溶解した状態で反応に供することがで
きる。
【0021】不斉加水分解反応は、通常、10〜60℃、好
ましくは20〜40℃の温度で行われる。また、この反応
は、通常、pH4〜8、好ましくは、pH6〜7.5 で行われ
る。反応液中の酵素量は当該反応に対する接触能力に応
じて適宜調製すればよく、具体的には、0.01〜10重量%
の濃度である。この不斉加水分解反応においては、反応
の進行に伴い、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ
を添加してpHを一定に保持するのが好ましい。これによ
り、反応の進行が促進される場合が多い。
【0022】このような不斉加水分解反応により、光学
活性3−クロロラクトニトリルが生成する。また、残存
基質は、光学活性3−クロロラクトニトリルの対掌体3
−クロロラクトニトリル酢酸エステルとなる。不斉エス
テル化反応は、有機溶媒中で、上記エステル加水分解酵
素の存在下、基質である3−クロロラクトニトリルと、
酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル、無水酢酸等のアシル
化剤とを反応させることにより行われる。
【0023】不斉エステル化反応に用いる溶媒として
は、例えば、tert−ブチルアルコール、tert−アミルア
ルコール、イソプロピルエーテル等が挙げられ、これら
の有機溶媒は予め脱水しておくのが好ましい。不斉エス
テル化反応は、通常、10〜60℃、好ましくは20〜40℃の
温度で行われる。
【0024】このような不斉エステル化反応により、光
学活性3−クロロラクトニトリル酢酸エステルが生成す
る。また、残存基質は、光学活性3−クロロラクトニト
リル酢酸エステルの対掌体3−クロロラクトニトリルと
なる。不斉加水分解反応又は不斉エステル化反応は、い
ずれも、溶液状又は懸濁状で振盪等により攪拌しながら
行われる。尚、基質濃度、反応温度、酵素濃度等の反応
条件は、条件の相違による反応収率、光学収率、立体選
択性の厳密さなどを考慮して、目的とする光学活性体が
最も多く採取できる条件を選択する。通常、反応が1時
間〜1週間、好ましくは1〜72時間で終了する反応条件
を選択することが好ましい。また、必要に応じてpHを調
整しながら反応を行うことも可能である。
【0025】また、上述のように、不斉加水分解反応及
び不斉エステル化反応のいずれによっても、反応終了後
の反応混合物中には光学活性3−クロロラクトニトリル
及びその対掌体3−クロロラクトニトリル酢酸エステル
が生成する。生成した光学活性3−クロロラクトニトリ
ル及びその対掌体3−クロロラクトニトリル酢酸エステ
ルの反応混合物からの分離は一般的な分離法で行うこと
ができる。例えば、反応混合物を蒸留することにより溶
媒を除去した後、例えば、エチルエーテル等の有機溶媒
により光学活性3−クロロラクトニトリルとその対掌体
3−クロロラクトニトリルエステルを抽出分離すること
ができる。光学活性3−クロロラクトニトリルとその対
掌体3−クロロラクトニトリルエステルの分離は種々の
方法で行うことができるが、簡便に行う方法としては、
例えば、これらをシリカゲルクロマトグラフィーを用い
て通常の方法で溶出分離する方法が挙げられる。
【0026】得られた光学活性3−クロロラクトニトリ
ルは、通常の方法で有機酸によりエステル化することに
より光学活性を保持したまま3−クロロラクトニトリル
有機酸エステルにすることができる。また、得られた光
学活性3−クロロラクトニトリル酢酸エステルは通常の
方法で加水分解することにより光学活性を維持したまま
3−クロロラクトニトリルとすることができる。この光
学活性3−クロロラクトニトリル及び光学活性3−クロ
ロラクトニトリル酢酸エステルは種々の医薬品や生理活
性物質の重要な中間体として利用することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて更に詳細に説
明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって何ら
限定されるものではない。 〔調製例1〕ラセミ体3−クロロラクトニトリル酢酸エステルの製造
方法 2−クロロアセトアルデヒドの40〜45重量%水溶液30.2
g、亜硫酸水素ナトリウム27g及び水30mlを混合して85
℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を冷却した
後、該混合物を、それと等量の酢酸エチルで洗浄した。
洗浄後、水相に、水70mlに塩化アンモニウム13.9g及び
青酸カリウム16.9gを溶解した水溶液を、氷冷下で徐々
に添加して5〜10℃で2時間放置した。得られた溶液に
ついて、100ml の酢酸エチルによる抽出を3回行った。
得られた抽出液を無水酢酸ナトリウムで脱水し、溶媒を
留去した。このようにして、ラセミ体3−クロロラクト
ニトリル14.4gが得られた。
【0028】次いで、塩化メチレン40mlに上記で得られ
たラセミ体3−クロロラクトニトリル2.36g及びピリジ
ン2.77gを加えた。次いで、これに、アセチルクロライ
ド2.25gを氷冷下にて滴下した後、室温にて1時間放置
した。その後、得られた反応混合物を50mlの水で2回洗
浄した。洗浄後、有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水
し、溶媒を留去した。このようにしてラセミ体3−クロ
ロラクトニトリル酢酸エステル 2.4gが得られた。
【0029】〔実施例1〕下記の組成からなる液体培地
を調製した。培地組成 ペプトン(Difco 社製)10g、酵母エキス(Difco社
製)5g、食塩5g、蒸留水1L 上記液体培地を、 300mlエルレンマイヤーフラスコに50
mlずつ分注し、 120℃で15分間蒸気滅菌した。
【0030】このフラスコ5本にシュウドモナス sp. M
R-2068株(FERM-BP-3846)を1白金耳植菌し、30℃で1日
間振盪培養した。次に、各フラスコ内の培養液から遠心
分離により菌体を集めて水洗した後、各菌体を50mMリン
酸緩衝液(pH 7.2)10ml に懸濁した。この菌体懸濁液を
下記に示す反応液 100mlに加え、30℃にて攪拌しながら
24時間反応を行った。
【0031】反応液組成 5重量%ラセミ体3−クロロラクトニトリル酢酸エステ
ルの50mMリン酸バッファー(pH7.2)/tert−ブチルアル
コール(1:9 vol/vol) 溶液 反応終了後、反応混合物から遠心分離により菌体を除去
し、得られた上清について、ガスクロマトグラフィー
(カラム:Chirasil-DEX CB 0.25mm×25M (クロムパッ
ク社製))により残存基質及び生成物濃度並びにそれら
の光学純度を分析した。
【0032】生成物である3−クロロラクトニトリルは
光学活性体(R体)であり、その光学純度は92.8e.e.%
であった。残存基質である3−クロロラクトニトリル酢
酸エステルも光学活性体(S体)であり、その光学純度
は99.0e.e.%であった。また、得られた上清の溶媒を50
℃にて除去した後、残油分をクロロホルム20mlに溶解
し、 100mlのシリカゲルカラム(充填剤:ワコーゲルc
-300 (和光純薬工業(株)製))を用いてクロロホルム
を溶離液として常法にしたがってR−3−クロロラクト
ニトリルとS−3−クロロラクトニトリル酢酸エステル
を溶出分離した。
【0033】溶出分離したシアノヒドリン画分とエステ
ル画分をそれぞれまとめた後、溶媒を除去した。このよ
うにして、R−3−クロロラクトニトリル1.78g及びS
−3−クロロラクトニトリル酢酸エステル1.16gが得ら
れた。得られたR−3−クロロラクトニトリル及びS−
3−クロロラクトニトリル酢酸エステルのNMR分析結
果を下記に示す。
【0034】(R−3−クロロラクトニトリル)1 H−NMRδ(ppm in CDCl3、270MHz):4.731(t, J=
5.37Hz, 1H),3.775(w, J=4.88Hz, 2H), 3.369(s, 1H) (S−3−クロロラクトニトリル酢酸エステル)1 H−NMRδ(ppm in CDCl3、270MHz):5.494(t, J=
5.86Hz, 1H), 3.755(d, J=5.37Hz, 2H), 2.113(s, 3H)
【0035】更に、得られたR−3−クロロラクトニト
リル及びS−3−クロロラクトニトリル酢酸エステルの
旋光度 [α] D 25を測定したところ、それぞれ−6.26
(5.16重量%CHCl3 溶液)、+76.3(2.25重量%CHCl3
溶液)であった。また、得られたR−3−クロロラクト
ニトリル 0.5gを前記調製例1に記載の方法に従ってエ
ステル化することにより、R−3−クロロラクトニトリ
ル酢酸エステル 0.4gが得られた。更に、上記で得られ
たS−3−クロロラクトニトリル酢酸エステル(0.5g)
を名糖リパーゼOF(名糖産業製)を用いて同様に加水分
解することにより、S−3−クロロラクトニトリル 0.2
gが得られた。
【0036】〔実施例2〕表1に示す微生物を、実施例
1と同様にして培養、集菌して菌体懸濁液を調製した。
この菌体懸濁液 0.2mlを2重量%濃度のラセミ体3−ク
ロロラクトニトリル酢酸エステルの50mMリン酸バッファ
ー(pH7.2) 0.8mlに添加し、30℃にて振盪攪拌しながら
24時間反応を行った。
【0037】反応終了後、反応混合物から遠心分離によ
り菌体を除去した。得られた上清について、ガスクロマ
トグラフィー(カラム:Chirasil-DEX CB 0.25mm×25M
(クロムパック社製))により残存基質である3−クロ
ロラクトニトリル酢酸エステルの濃度(重量%)及びそ
の光学純度(e.e.%)を分析した。その結果を表1に示
す。
【0038】
【表1】
【0039】〔実施例3〕表2に示す酵素を、それぞ
れ、2重量%濃度のラセミ体3−クロロラクトニトリル
酢酸エステルの50mMリン酸バッファー(pH7.2)溶液に
0.1〜0.2wt/vol %の濃度で添加し、30℃にて24時間反
応を行った。反応終了後、反応混合物中の残存基質であ
る3−クロロラクトニトリル酢酸エステルの濃度(重量
%)及びその光学純度(e.e.%)を、実施例2と同様に
して分析した。その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】〔実施例4〕表3に示す溶媒10mlに、ラセ
ミ体3−クロロラクトニトリルを1重量%及び酢酸ビニ
ルを5重量%の濃度で溶解し、次いでそれぞれにリパー
ゼA6(天野製薬製) 1.0gを添加して30℃にて3日間
振盪攪拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物中
の3−クロロラクトニトリル酢酸エステルの濃度(重量
%)及びその光学純度(e.e.%)を実施例2と同様にし
てガスクロマトグラフィーにて分析した。その結果を表
3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】〔実施例5〕ラセミ体3−クロロラクトニ
トリル及び酢酸ビニルを、それぞれ2重量%濃度で溶解
したtert−ブチルアルコール溶液5mlに、表4に示す酵
素を 0.5g添加し、30℃にて3日間振盪攪拌して反応を
行った。反応終了後、反応混合物中の3−クロロラクト
ニトリル酢酸エステルの濃度(重量%)及びその光学純
度(e.e.%)を実施例2と同様にしてガスクロマトグラ
フィーにて分析した。その結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明の光学活性3−クロロラクトニト
リル及び光学活性3−クロロラクトニトリル酢酸エステ
ルは医薬、農薬、液晶等の原料、中間体等として有用な
化合物である。また、本発明により、それらの光学活性
体を効率的に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:38) (C12P 41/00 C12R 1:39) (C12P 41/00 C12R 1:01) (C12P 41/00 C12R 1:19) C07M 7:00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) : 【化1】 又は下記式(2) : 【化2】 で表される光学活性3−クロロラクトニトリル。
  2. 【請求項2】 下記式(3) : 【化3】 又は下記式(4) : 【化4】 で表される光学活性3−クロロラクトニトリル酢酸エス
    テル。
  3. 【請求項3】 エステル加水分解酵素の存在下、ラセミ
    体3−クロロラクトニトリル酢酸エステルを不斉加水分
    解することを特徴とする、請求項1に記載の光学活性3
    −クロロラクトニトリルの製造方法。
  4. 【請求項4】 エステル加水分解酵素の存在下、ラセミ
    体3−クロロラクトニトリル酢酸エステルを不斉加水分
    解することを特徴とする、請求項2に記載の光学活性3
    −クロロラクトニトリル酢酸エステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 不斉加水分解反応を水、又は水と有機溶
    媒との混合液中で行う、請求項3又は4に記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 有機溶媒中、エステル加水分解酵素の存
    在下、ラセミ体3−クロロラクトニトリルをアシル化剤
    で不斉エステル化することを特徴とする、請求項1に記
    載の光学活性3−クロロラクトニトリルの製造方法。
  7. 【請求項7】 有機溶媒中、エステル加水分解酵素の存
    在下、ラセミ体3−クロロラクトニトリルをアシル化剤
    で不斉エステル化することを特徴とする、請求項2に記
    載の光学活性3−クロロラクトニトリル酢酸エステルの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 エステル加水分解酵素がリパーゼであ
    る、請求項3〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 エステル加水分解酵素が、シュウドモナ
    ス(Pseudomonas) 属、アスペルギルス(Aspergirus)属、
    アシネトバクター(Acinetobacter) 属、エシェリキア(E
    scherichia) 属、クロモバクテリウム(Chromobacteriu
    m) 属、ムコール(Mucor) 属及びキャンディダ(Candida)
    属からなる群から選ばれる微生物により生産されるも
    のである、請求項3〜8のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 不斉加水分解反応をシュウドモナス(P
    seudomonas) 属、アスペルギルス(Aspergirus)属、アシ
    ネトバクター(Acinetobacter) 属、エシェリキア(Esche
    richia) 属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)
    属、ムコール(Mucor) 属及びキャンディダ(Candida) 属
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物であっ
    て、エステル加水分解酵素生産能を有する微生物の菌体
    又はその処理物の存在下で行うことを特徴とする、請求
    項3〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 不斉エステル化反応をシュウドモナス
    (Pseudomonas) 属、アスペルギルス(Aspergirus)属、ア
    シネトバクター(Acinetobacter) 属、エシェリキア(Esc
    herichia) 属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)
    属、ムコール(Mucor) 属及びキャンディダ(Candida) 属
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の微生物であっ
    て、エステル加水分解酵素生産能を有する微生物の菌体
    又はその処理物の存在下で行うことを特徴とする、請求
    項6又は7に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 微生物が、シュウドモナス sp.(Pseud
    omonas sp.)MR-2068株(FERM-BP-3846)、シュウドモナス
    sp.(Pseudomonas sp.) MR-2301 株(FERM-BP-4870)、及
    びシュウドモナス フルオレッセンス(Pseudomonas flu
    orescens)IFO3018からなる群より選ばれる少なくとも1
    種である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 微生物が、アシネトバクター sp.(Aci
    netobacter sp.)MR-2302株(FERM-BP-4871)である、請求
    項9〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 微生物が、エシェリキア コリ(Esche
    richia coli)MR-2103 株(FERM-BP-3835)である、請求項
    9〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
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