JPH10210997A - 光学活性3−キヌクリジノールの製法 - Google Patents
光学活性3−キヌクリジノールの製法Info
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- JPH10210997A JPH10210997A JP1944197A JP1944197A JPH10210997A JP H10210997 A JPH10210997 A JP H10210997A JP 1944197 A JP1944197 A JP 1944197A JP 1944197 A JP1944197 A JP 1944197A JP H10210997 A JPH10210997 A JP H10210997A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】医薬または農薬に利用される光学活性な生理活
性化合物および液晶材料の合成中間体として有用であ
る、光学活性(R)-(−)-3-キヌクリジノールまた
は(S)-(+)-3-キヌクリジノールを効率よく製造
する方法を提供すること。 【解決手段】ラセミ体または光学純度の低い3-キヌク
リジノールエステルに、該3-キヌクリジノールエステ
ルを光学選択的に加水分解する能力を有するAspergillu
s属またはPseudomonas属に属する微生物に由来するエス
テル分解酵素を作用させ、光学純度の高い光学活性
(R)-(−)-3-キヌクリジノールまたは(S)-
(+)-3-キヌクリジノールを製造する方法。
性化合物および液晶材料の合成中間体として有用であ
る、光学活性(R)-(−)-3-キヌクリジノールまた
は(S)-(+)-3-キヌクリジノールを効率よく製造
する方法を提供すること。 【解決手段】ラセミ体または光学純度の低い3-キヌク
リジノールエステルに、該3-キヌクリジノールエステ
ルを光学選択的に加水分解する能力を有するAspergillu
s属またはPseudomonas属に属する微生物に由来するエス
テル分解酵素を作用させ、光学純度の高い光学活性
(R)-(−)-3-キヌクリジノールまたは(S)-
(+)-3-キヌクリジノールを製造する方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬に利用
される光学活性な生理活性化合物および液晶材料の合成
中間体として有用である光学活性(R)-(−)-3-キ
ヌクリジノールおよび(S)-(+)-3-キヌクリジノ
ールの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、酵
素法を用いて、(R,S)-3-キヌクリジノールエステ
ルを光学選択的に加水分解し、光学純度が高い光学活性
(R)-(−)-3-キヌクリジノールおよび(S)-
(+)-3-キヌクリジノールを製造する方法に関する。
される光学活性な生理活性化合物および液晶材料の合成
中間体として有用である光学活性(R)-(−)-3-キ
ヌクリジノールおよび(S)-(+)-3-キヌクリジノ
ールの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、酵
素法を用いて、(R,S)-3-キヌクリジノールエステ
ルを光学選択的に加水分解し、光学純度が高い光学活性
(R)-(−)-3-キヌクリジノールおよび(S)-
(+)-3-キヌクリジノールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、生理作用を有する多くの化合物
は、その光学異性体の混合物として使用されている。し
かし、望ましい活性は、一方の光学異性体のみに存在す
る場合が多い。さらに、所望の活性を有しない他方の光
学異性体が、生体に対して毒性を有する場合があること
も知られている。従って、有効かつ安全な医薬または生
理活性化合物を提供するためには、光学純度の高い化合
物の製造方法を開発することが強く要望されている。
は、その光学異性体の混合物として使用されている。し
かし、望ましい活性は、一方の光学異性体のみに存在す
る場合が多い。さらに、所望の活性を有しない他方の光
学異性体が、生体に対して毒性を有する場合があること
も知られている。従って、有効かつ安全な医薬または生
理活性化合物を提供するためには、光学純度の高い化合
物の製造方法を開発することが強く要望されている。
【0003】3-キヌクリジノールは、スクアレンシン
ターゼ阻害作用を有する動脈効果の治療剤またはムスカ
リン受容体拮抗作用を有する気管支拡張剤および胃腸運
動抑制剤などの合成中間体として知られる化合物である
(特開平8-134067号、EP-404737A2、EP-424021A1、WO92
/04346、およびWO93/06098を参照)。この化合物は、不
斉炭素原子を有し、光学異性体が有用であることからそ
れらを分離する必要があり、現在までにいくつかの試み
がなされている。
ターゼ阻害作用を有する動脈効果の治療剤またはムスカ
リン受容体拮抗作用を有する気管支拡張剤および胃腸運
動抑制剤などの合成中間体として知られる化合物である
(特開平8-134067号、EP-404737A2、EP-424021A1、WO92
/04346、およびWO93/06098を参照)。この化合物は、不
斉炭素原子を有し、光学異性体が有用であることからそ
れらを分離する必要があり、現在までにいくつかの試み
がなされている。
【0004】これまでに、1-ベンジル-3-ヒドロキシ
キヌクリジウムクロライドをD-酒石酸で光学分割し、
(S)-(+)-キヌクリジノールを生産する方法(Isra
el Journal of Chemistry, 9, 267-268 (1971))、およ
びD-グルコースからの(S)-(+)-3-キヌクリジノ
ールの合成方法 (Tetrahedron Letters, 27, 3057-3058
(1986))などが報告されている。
キヌクリジウムクロライドをD-酒石酸で光学分割し、
(S)-(+)-キヌクリジノールを生産する方法(Isra
el Journal of Chemistry, 9, 267-268 (1971))、およ
びD-グルコースからの(S)-(+)-3-キヌクリジノ
ールの合成方法 (Tetrahedron Letters, 27, 3057-3058
(1986))などが報告されている。
【0005】また、微生物や酵素を利用する方法とし
て、(R,S)-キヌクリジニルブチレートに、馬血清
ブチリルコリンエステラーゼを作用させ、光学活性な
(S)-(+)-3-キヌクリジニルブチレートを残存さ
せる方法 (Life Science, 21, 1293-1302 (1977))、お
よびBacillus 属に属する微生物由来のプロテアーゼを
作用させ、(R)-(−)-3-キヌクリジニルブチレー
トを残存させ、高い光学純度の光学活性3-キヌクリジ
ノールを製造する方法(US 5215918A)などが開示され
ている。
て、(R,S)-キヌクリジニルブチレートに、馬血清
ブチリルコリンエステラーゼを作用させ、光学活性な
(S)-(+)-3-キヌクリジニルブチレートを残存さ
せる方法 (Life Science, 21, 1293-1302 (1977))、お
よびBacillus 属に属する微生物由来のプロテアーゼを
作用させ、(R)-(−)-3-キヌクリジニルブチレー
トを残存させ、高い光学純度の光学活性3-キヌクリジ
ノールを製造する方法(US 5215918A)などが開示され
ている。
【0006】しかし、これらの方法は、低光学純度、ま
たは合成工程の煩雑さから大量生産が容易でないなどの
問題を含むものであった。
たは合成工程の煩雑さから大量生産が容易でないなどの
問題を含むものであった。
【0007】このような観点から、光学活性(R)-
(−)-3-キヌクリジノールおよび(S)-(+)-3-
キヌクリジノールを極めて高い光学純度で効率よく製造
する方法が強く要望されている。
(−)-3-キヌクリジノールおよび(S)-(+)-3-
キヌクリジノールを極めて高い光学純度で効率よく製造
する方法が強く要望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解消するものであり、その目的とするところは、光学選
択性の高い酵素を利用し、高い光学純度を有する光学活
性(R)-(−)-3-キヌクリジノールおよび(S)-
(+)-3-キヌクリジノールを効率よく製造する方法を
提供することにある。
解消するものであり、その目的とするところは、光学選
択性の高い酵素を利用し、高い光学純度を有する光学活
性(R)-(−)-3-キヌクリジノールおよび(S)-
(+)-3-キヌクリジノールを効率よく製造する方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、光学活性3-
キヌクリジノールまたは光学活性3-キヌクリジノール
エステルの製造方法であって、以下の一般式:
キヌクリジノールまたは光学活性3-キヌクリジノール
エステルの製造方法であって、以下の一般式:
【0010】
【化2】
【0011】(ここで、 Rは、炭素数1〜20の、直
鎖、分枝、あるいは環状の置換または非置換の飽和また
は不飽和炭化水素基を表す。)で表される(R,S)-
3-キヌクリジノールエステルと、該脂肪酸エステルを
光学選択的に分解し得るアスペルギルス(Aspergillu
s)属またはシュードモナス(Pseudomonas)属に属する
微生物に由来する酵素とを反応させる工程;および、生
成した光学活性3-キヌクリジノールと光学活性3-キヌ
クリジノールエステルとを分離する工程;を包含する、
方法に関する。
鎖、分枝、あるいは環状の置換または非置換の飽和また
は不飽和炭化水素基を表す。)で表される(R,S)-
3-キヌクリジノールエステルと、該脂肪酸エステルを
光学選択的に分解し得るアスペルギルス(Aspergillu
s)属またはシュードモナス(Pseudomonas)属に属する
微生物に由来する酵素とを反応させる工程;および、生
成した光学活性3-キヌクリジノールと光学活性3-キヌ
クリジノールエステルとを分離する工程;を包含する、
方法に関する。
【0012】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、(R,S)-3-キヌクリジノールエステルの(S)
-(+)-3-キヌクリジノールエステルを加水分解し
て、(S)-(+)-3-キヌクリジノールおよび(R)-
(−)-3-キヌクリジノールエステルを生成する。
は、(R,S)-3-キヌクリジノールエステルの(S)
-(+)-3-キヌクリジノールエステルを加水分解し
て、(S)-(+)-3-キヌクリジノールおよび(R)-
(−)-3-キヌクリジノールエステルを生成する。
【0013】好ましい実施態様においては、さらに、前
記分離した(R)-(−)-3-キヌクリジノールエステ
ルを加水分解して、(R)-(−)-3-キヌクリジノー
ルを生成する。
記分離した(R)-(−)-3-キヌクリジノールエステ
ルを加水分解して、(R)-(−)-3-キヌクリジノー
ルを生成する。
【0014】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、精製酵素、微生物菌体、微生物菌体培養液、および
微生物菌体の処理物からなる群から選択される。
は、精製酵素、微生物菌体、微生物菌体培養液、および
微生物菌体の処理物からなる群から選択される。
【0015】好ましい実施態様においては、前記微生物
は、Aspergillus oryzaeおよびAspergillus melleusか
らなる群から選択される微生物である。
は、Aspergillus oryzaeおよびAspergillus melleusか
らなる群から選択される微生物である。
【0016】好ましい実施態様においては、前記一般式
のRは、炭素数1〜9の炭化水素基である。
のRは、炭素数1〜9の炭化水素基である。
【0017】好ましい実施態様においては、前記一般式
のRは、炭素数3〜7のアルキル基である。
のRは、炭素数3〜7のアルキル基である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0019】本明細書中において「(R,S)-3-キヌ
クリジノール」とは、および(R)-(−)-3-キヌク
リジノールおよび(S)-(+)-キヌクリジノールのラ
セミ混合物を意味する。ラセミ混合物は、必ずしも
(R)体と(S)体の混合比が1:1でなくてもよい。
クリジノール」とは、および(R)-(−)-3-キヌク
リジノールおよび(S)-(+)-キヌクリジノールのラ
セミ混合物を意味する。ラセミ混合物は、必ずしも
(R)体と(S)体の混合比が1:1でなくてもよい。
【0020】本発明の方法は、(R,S)-3-キヌクリ
ジノールエステルに、微生物由来のエステル加水分解活
性を有する酵素を作用させて、(R)または(S)-3-
キヌクリジノールエステルのいずれか一方を光学選択的
に加水分解することにより、(R,S)-3-キヌクリジ
ノールエステルを3-キヌクリジノールエステルと3-キ
ヌクリジノールとの混合物に変換し、これらの化合物の
化学的特性または物理的特性の差異を利用してそれぞれ
を分取することに基づく。
ジノールエステルに、微生物由来のエステル加水分解活
性を有する酵素を作用させて、(R)または(S)-3-
キヌクリジノールエステルのいずれか一方を光学選択的
に加水分解することにより、(R,S)-3-キヌクリジ
ノールエステルを3-キヌクリジノールエステルと3-キ
ヌクリジノールとの混合物に変換し、これらの化合物の
化学的特性または物理的特性の差異を利用してそれぞれ
を分取することに基づく。
【0021】本発明に用いられる酵素反応基質は、式:
【0022】
【化3】
【0023】により示される3-キヌクリジノールのエ
ステルである。ここでRは、直鎖、分枝、あるいは環状
の置換または非置換の飽和または不飽和炭化水素基であ
り、その炭素数は、1〜20、好ましくは1〜9、より
好ましくは3〜7である。
ステルである。ここでRは、直鎖、分枝、あるいは環状
の置換または非置換の飽和または不飽和炭化水素基であ
り、その炭素数は、1〜20、好ましくは1〜9、より
好ましくは3〜7である。
【0024】本発明の酵素反応基質となる3-キヌクリ
ジノールエステルは、用いる酵素の基質特異性、酵素反
応溶媒への溶解性、酵素反応後の分離の容易性などから
適宜選択される。本発明では、3-キヌクリジノール脂
肪酸エステルを用いることが好ましいが、これに限定さ
れるものではない。
ジノールエステルは、用いる酵素の基質特異性、酵素反
応溶媒への溶解性、酵素反応後の分離の容易性などから
適宜選択される。本発明では、3-キヌクリジノール脂
肪酸エステルを用いることが好ましいが、これに限定さ
れるものではない。
【0025】3-キヌクリジノール脂肪酸エステルは、
3ーキヌクリジノールと、例えば、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン
酸、オクチル酸、デカン酸のエステルなどが用いられ
得、これらは公知のエステル化の方法により容易に合成
することができる。例えば、3-キヌクリジノールのラ
セミ混合物に、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪
酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無水ヘプタン酸、無
水オクタン酸、無水オクチル酸、無水デカン酸あるいは
脂肪酸ハライドを、ピリジンあるいはトリエチルアミ
ン、トリブチルアミン、ジメチルアミノピリジンなどの
アミン存在下で反応させることにより得られる。
3ーキヌクリジノールと、例えば、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン
酸、オクチル酸、デカン酸のエステルなどが用いられ
得、これらは公知のエステル化の方法により容易に合成
することができる。例えば、3-キヌクリジノールのラ
セミ混合物に、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪
酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無水ヘプタン酸、無
水オクタン酸、無水オクチル酸、無水デカン酸あるいは
脂肪酸ハライドを、ピリジンあるいはトリエチルアミ
ン、トリブチルアミン、ジメチルアミノピリジンなどの
アミン存在下で反応させることにより得られる。
【0026】本発明に用いられる微生物由来の酵素は、
(R,S)-3-キヌクリジノールエステルの一方の光学
異性体を光学選択的に加水分解する酵素であれば、いず
れの酵素でも用いることができる。好ましくは、Asperg
illus属またはPseudomonas属に属する微生物由来のエス
テル分解酵素である。好ましくは、(S)-(+)-3-
キヌクリジノールエステルを光学選択的に加水分解する
酵素である。さらに、前記の酵素の活性を含有する精製
酵素、微生物菌体、微生物菌体培養液、および微生物菌
体の処理物なども使用され得る。酵素としては、例え
ば、D-150(Aspergillus oryzae由来、ナガセ生化
学工業社製)、XP-488(Aspergillusmelleus由
来、ナガセ生化学工業社製)、スミチームMP(Asperg
illus melleus由来、新日本化学社製)、またはリパー
ゼ2G(Pseudomonas sp.由来、ナガセ生化学工業社
製)などが好適に使用され得る。微生物菌体は、当業者
に周知の方法で培養し得る。3-キヌクリジノールエス
テルを基質とし、酵素が誘導され得る。この培養で得ら
れた微生物菌体、その培養液、菌体を破砕等の処理をし
た処理物、およびこの処理物から当業者に公知の方法で
粗精製した酵素もまた用いられ得る。
(R,S)-3-キヌクリジノールエステルの一方の光学
異性体を光学選択的に加水分解する酵素であれば、いず
れの酵素でも用いることができる。好ましくは、Asperg
illus属またはPseudomonas属に属する微生物由来のエス
テル分解酵素である。好ましくは、(S)-(+)-3-
キヌクリジノールエステルを光学選択的に加水分解する
酵素である。さらに、前記の酵素の活性を含有する精製
酵素、微生物菌体、微生物菌体培養液、および微生物菌
体の処理物なども使用され得る。酵素としては、例え
ば、D-150(Aspergillus oryzae由来、ナガセ生化
学工業社製)、XP-488(Aspergillusmelleus由
来、ナガセ生化学工業社製)、スミチームMP(Asperg
illus melleus由来、新日本化学社製)、またはリパー
ゼ2G(Pseudomonas sp.由来、ナガセ生化学工業社
製)などが好適に使用され得る。微生物菌体は、当業者
に周知の方法で培養し得る。3-キヌクリジノールエス
テルを基質とし、酵素が誘導され得る。この培養で得ら
れた微生物菌体、その培養液、菌体を破砕等の処理をし
た処理物、およびこの処理物から当業者に公知の方法で
粗精製した酵素もまた用いられ得る。
【0027】本発明の反応は、3-キヌクリジノールエ
ステルのラセミ混合物を含有する水、緩衝液、または含
水有機溶媒中に、前記の酵素剤、微生物および培養物よ
り採取したエステル分解酵素を添加し、撹拌することに
より行う。
ステルのラセミ混合物を含有する水、緩衝液、または含
水有機溶媒中に、前記の酵素剤、微生物および培養物よ
り採取したエステル分解酵素を添加し、撹拌することに
より行う。
【0028】酵素反応は、pHを調節して行い得る。酵
素反応のための至適なpHを保持するために、例えばリ
ン酸緩衝液などの緩衝液が使用される。反応液のpH
は、5〜9、好ましくは6〜8である。
素反応のための至適なpHを保持するために、例えばリ
ン酸緩衝液などの緩衝液が使用される。反応液のpH
は、5〜9、好ましくは6〜8である。
【0029】用いる酵素の量は特に限定されないが、基
質(R,S)-3-キヌクリジノールエステルに対し、
0.1〜10g/基質mol程度が好ましい範囲であ
る。
質(R,S)-3-キヌクリジノールエステルに対し、
0.1〜10g/基質mol程度が好ましい範囲であ
る。
【0030】反応温度は10℃〜50℃、好ましくは2
0℃〜40℃である。反応時間は、用いる酵素の量、反
応温度、反応pHなどに依存して変動するが、通常1〜
24時間程度で完了する。
0℃〜40℃である。反応時間は、用いる酵素の量、反
応温度、反応pHなどに依存して変動するが、通常1〜
24時間程度で完了する。
【0031】反応終了後、生成した3-キヌクリジノー
ルと未反応の3-キヌクリジノールエステルを溶媒抽出
法、結晶析出法、カラムクロマトグラフ法など通常用い
られる分離操作で分取する。溶媒抽出法では、塩基の存
在下でn-ヘキサンやヘプタン、トルエン、シクロヘキ
サン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、t-ブチ
ルメチルエーテルを用いる場合、3-キヌクリジノール
エステルを反応液から95%以上の回収率で回収するこ
とが可能である。
ルと未反応の3-キヌクリジノールエステルを溶媒抽出
法、結晶析出法、カラムクロマトグラフ法など通常用い
られる分離操作で分取する。溶媒抽出法では、塩基の存
在下でn-ヘキサンやヘプタン、トルエン、シクロヘキ
サン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、t-ブチ
ルメチルエーテルを用いる場合、3-キヌクリジノール
エステルを反応液から95%以上の回収率で回収するこ
とが可能である。
【0032】分取した3-キヌクリジノールエステルを
酸、塩基等を用いる化学的加水分解法、過剰のメタノー
ル中でのエステル交換反応、または任意の加水分解酵素
を用いる酵素法により、容易に光学活性3-キヌクリジ
ノールを得ることができる。
酸、塩基等を用いる化学的加水分解法、過剰のメタノー
ル中でのエステル交換反応、または任意の加水分解酵素
を用いる酵素法により、容易に光学活性3-キヌクリジ
ノールを得ることができる。
【0033】一方、加水分解反応によって生成した他方
の光学異性体である3-キヌクリジノールは、反応液か
ら、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等
の溶媒を用い、95%以上の回収率で回収することが可
能である。
の光学異性体である3-キヌクリジノールは、反応液か
ら、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等
の溶媒を用い、95%以上の回収率で回収することが可
能である。
【0034】本発明では、(S)-(+)-3-キヌクリ
ジノールエステルを光学選択的に加水分解する酵素を用
いて、(S)-(+)-3-キヌクリジノールと(R)-
(−)-3-キヌクリジノールエステルとの混合物を生成
し、それぞれを上記の方法を用いて分離することが好ま
しい。
ジノールエステルを光学選択的に加水分解する酵素を用
いて、(S)-(+)-3-キヌクリジノールと(R)-
(−)-3-キヌクリジノールエステルとの混合物を生成
し、それぞれを上記の方法を用いて分離することが好ま
しい。
【0035】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0036】なお、実施例における反応液中の3-キヌ
クリジノールと3-キヌクリジノールエステルの定量及
び光学純度の測定は、以下の分析条件を用いて、高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)により行った。
クリジノールと3-キヌクリジノールエステルの定量及
び光学純度の測定は、以下の分析条件を用いて、高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)により行った。
【0037】(高速液体クロマトグラフィー分析条件) カラム:キラルセルOD 0.46cmφ×25cm
(ウオーターズ社製) 移動相:ヘキサン・イソプロパノール・トリフルオロ酢
酸 (90:10:0.1) 流速 1mL/分 検出 UV 210nm (実施例1)蒸留水1000mlに、(R,S)-3-キ
ヌクリジニルブチレート197g(1mol)を添加
し、塩酸で反応液のpHを7.5に調整した。反応液に
5gのXP-488(Aspergillus melleus由来、ナガセ
生化学工業社製)を加え、5-N KOHで反応液のpH
を7.5に調整しながら、30℃で24時間撹拌した。
反応終了後、反応液をロータリーエバポレーターで50
0mlまで濃縮し、この濃縮液に10N-水酸化ナトリ
ウムを加えてpHを9.7に調整した。次いで3-キヌク
リジニルブチレートを500mlのヘプタンを用いて3
回抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分析した。得
られた(R)-(−)-3-キヌクリジニルブチレートの
光学純度は99% e.e. 以上であり、収率は45%であ
った。この抽出液を、ロータリーエバポレーターで30
0mlまで濃縮した後、1000mlのメタノールと1
0gの炭酸ナトリウムとを加え、65℃でエステル交換
を行い、光学純度99% e.e. の(R)-(−)-3-キ
ヌクリジノールを収率42%で得た。
(ウオーターズ社製) 移動相:ヘキサン・イソプロパノール・トリフルオロ酢
酸 (90:10:0.1) 流速 1mL/分 検出 UV 210nm (実施例1)蒸留水1000mlに、(R,S)-3-キ
ヌクリジニルブチレート197g(1mol)を添加
し、塩酸で反応液のpHを7.5に調整した。反応液に
5gのXP-488(Aspergillus melleus由来、ナガセ
生化学工業社製)を加え、5-N KOHで反応液のpH
を7.5に調整しながら、30℃で24時間撹拌した。
反応終了後、反応液をロータリーエバポレーターで50
0mlまで濃縮し、この濃縮液に10N-水酸化ナトリ
ウムを加えてpHを9.7に調整した。次いで3-キヌク
リジニルブチレートを500mlのヘプタンを用いて3
回抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分析した。得
られた(R)-(−)-3-キヌクリジニルブチレートの
光学純度は99% e.e. 以上であり、収率は45%であ
った。この抽出液を、ロータリーエバポレーターで30
0mlまで濃縮した後、1000mlのメタノールと1
0gの炭酸ナトリウムとを加え、65℃でエステル交換
を行い、光学純度99% e.e. の(R)-(−)-3-キ
ヌクリジノールを収率42%で得た。
【0038】次に、3-キヌクリジニルブチレートを抽
出した後の残渣の濃縮液から(S)-(+)-3-キヌク
リジノールを、500mlのクロロホルムを用いて3回
抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分析した。得ら
れた(S)-(+)-3-キヌクリジノールの光学純度は
97% e.e.であり、収率は45%であった。
出した後の残渣の濃縮液から(S)-(+)-3-キヌク
リジノールを、500mlのクロロホルムを用いて3回
抽出し、高速液体クロマトグラフィーで分析した。得ら
れた(S)-(+)-3-キヌクリジノールの光学純度は
97% e.e.であり、収率は45%であった。
【0039】(実施例2)種々の(R,S)-3-キヌク
リジノール脂肪酸エステル1molを、表1に示す各種
エステル分解酵素により、実施例1に準じた方法により
反応させ、光学活性な(R)-(−)-3-キヌクリジノ
ールおよび(S)-(+)-3-キヌクリジノールを得
た。その結果を、それぞれ(R)-(−)-3-キヌクリ
ジノールについては表1に、そして(S)-(+)-3-
キヌクリジノールについては表2に示す。
リジノール脂肪酸エステル1molを、表1に示す各種
エステル分解酵素により、実施例1に準じた方法により
反応させ、光学活性な(R)-(−)-3-キヌクリジノ
ールおよび(S)-(+)-3-キヌクリジノールを得
た。その結果を、それぞれ(R)-(−)-3-キヌクリ
ジノールについては表1に、そして(S)-(+)-3-
キヌクリジノールについては表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、動脈硬化、気管支喘
息、または胃腸運動抑制などの治療剤を製造するための
光学活性な合成中間体である光学活性(R)-(−)-3
-キヌクリジノールおよび(S)-(+)-3-キヌクリジ
ノールを、高い光学純度で効率よく製造することができ
る。
息、または胃腸運動抑制などの治療剤を製造するための
光学活性な合成中間体である光学活性(R)-(−)-3
-キヌクリジノールおよび(S)-(+)-3-キヌクリジ
ノールを、高い光学純度で効率よく製造することができ
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 光学活性3-キヌクリジノールまたは光
学活性3-キヌクリジノールエステルの製造方法であっ
て、該方法は、以下の一般式: 【化1】 (ここで、Rは、炭素数1〜20の、直鎖、分枝、ある
いは環状の置換または非置換の飽和または不飽和炭化水
素基を表す。)で表される(R,S)-3-キヌクリジノ
ールエステルと、該(R,S)-3-キヌクリジノールエ
ステルを光学選択的に加水分解し得るアスペルギルス
(Aspergillus)属またはシュードモナス(Pseudomona
s)属に属する微生物に由来する酵素とを反応させる工
程;および生成した光学活性3-キヌクリジノールと光
学活性3-キヌクリジノールエステルとを分離する工
程;を包含する、方法。 - 【請求項2】 前記酵素が、(R,S)-3-キヌクリジ
ノールエステルの(S)-(+)-3-キヌクリジノール
エステルを加水分解して、(S)-(+)-3-キヌクリ
ジノールおよび(R)-(−)-3-キヌクリジノールエ
ステルを生成する、請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 さらに、分離した(R)-(−)-3-キ
ヌクリジノールエステルを加水分解して、(R)-
(−)-3-キヌクリジノールを生成する、請求項1また
は2に記載の方法。 - 【請求項4】 前記酵素が、精製酵素、微生物菌体、微
生物菌体培養液、および微生物菌体の処理物からなる群
から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の方
法。 - 【請求項5】 前記微生物が、Aspergillus oryzaeおよ
びAspergillus melleusからなる群から選択される微生
物である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。 - 【請求項6】 前記一般式のRが、炭素数1〜9の炭化
水素基である、請求項1から5のいずれかに記載の方
法。 - 【請求項7】 前記一般式のRが、炭素数3〜7のアル
キル基である、請求項1から6のいずれかに記載の方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1944197A JPH10210997A (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 光学活性3−キヌクリジノールの製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1944197A JPH10210997A (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 光学活性3−キヌクリジノールの製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10210997A true JPH10210997A (ja) | 1998-08-11 |
Family
ID=11999397
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1944197A Withdrawn JPH10210997A (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 光学活性3−キヌクリジノールの製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10210997A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008212144A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-09-18 | Nagase & Co Ltd | アルコール脱水素酵素、これをコードする遺伝子、およびそれを用いた光学活性(r)−3−キヌクリジノールの製造方法 |
US7645599B2 (en) | 2001-12-07 | 2010-01-12 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Methods for producing optically active alcohols |
WO2012007965A1 (en) | 2010-07-14 | 2012-01-19 | Cadila Healthcare Limited | Enzyme for the production of optically pure 3 - quinuclidinol |
-
1997
- 1997-01-31 JP JP1944197A patent/JPH10210997A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7645599B2 (en) | 2001-12-07 | 2010-01-12 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Methods for producing optically active alcohols |
JP2008212144A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-09-18 | Nagase & Co Ltd | アルコール脱水素酵素、これをコードする遺伝子、およびそれを用いた光学活性(r)−3−キヌクリジノールの製造方法 |
WO2012007965A1 (en) | 2010-07-14 | 2012-01-19 | Cadila Healthcare Limited | Enzyme for the production of optically pure 3 - quinuclidinol |
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Legal Events
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