JPH10337197A - 光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランの製造方法 - Google Patents

光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランの製造方法

Info

Publication number
JPH10337197A
JPH10337197A JP15132497A JP15132497A JPH10337197A JP H10337197 A JPH10337197 A JP H10337197A JP 15132497 A JP15132497 A JP 15132497A JP 15132497 A JP15132497 A JP 15132497A JP H10337197 A JPH10337197 A JP H10337197A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydroxytetrahydrofuran
ester
optically active
enzyme
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP15132497A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiki Nomoto
史樹 野本
Naoteru Shirasaka
直輝 白坂
Kotaro Otsuka
耕太郎 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagase and Co Ltd
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagase and Co Ltd filed Critical Nagase and Co Ltd
Priority to JP15132497A priority Critical patent/JPH10337197A/ja
Publication of JPH10337197A publication Critical patent/JPH10337197A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Furan Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフ
ランを製造すること。 【解決手段】 本発明により、酵素法を用いて、(R、
S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランのエステ
ルを加水分解、あるいは(R、S)−3−ハイドロキシ
テトラハイドロフランを適当なアシル化剤の存在下にお
いてエステル化し、光学活性な3−ハイドロキシテトラ
ハイドロフランを製造する方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品の合成原料
として有用である光学活性な3−ハイドロキシテトラハ
イドロフランおよび3−ハイドロキシテトラハイドロフ
ランのエステルの製造方法に関する。より詳細には、本
発明は、酵素法を用いて、(R、S)−3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランのエステルを加水分解するか、
あるいは(R、S)−3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランを適当なアシル化剤の存在下においてエステル化
して、光学活性な3−ハイドロキシテトラハイドロフラ
ンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】所望の光学異性体を得るための適当な手
段または手法がない場合には、数多くの生物学的に活性
な化合物が、ラセミ体として、製薬用途にしばしば用い
られている。しかし、ラセミ体の使用は、しばしば目的
とする生物学的活性を著しく低減させ得、そして毒性な
どの望ましくない生理作用を伴い得るという問題点を有
していた。
【0003】この問題を解消するために、光学異性体の
分割のための種々の方法が検討されている。例えば、分
割される光学異性体の各種エステルを調製し、光学選択
的にこのエステルを加水分解する能力を有する酵素をこ
のエステルに作用させ、そして反応系に用いられる溶媒
に対する溶解度の差などを利用して光学異性体を互いに
分離する方法が提案されている。さらに、この方法にお
いて使用され得る、種々の光学選択性を有するエステル
分解酵素を生産する微生物が開発されている。
【0004】生物学的活性を呈する化合物の一つである
光学活性な3−ハイドロキシテトラハイドロフランは、
医薬の用途のために有用な生理活性物質の合成中間体で
あるので、その光学活性体を製造するための実際的かつ
工業的な製造方法が、望まれていた。
【0005】例えば、3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランは、HIVプロテアーゼ阻害剤(Journal of the
American Chemical Society、1993、115、801〜803)
をはじめとする生理活性物質の合成中間体、あるいはア
ミンの有用な分割剤として知られるアトロラクチン酸
(Indian Journal of Chemistry 33B、February 1994、
200〜202)の合成中間体などとして用いられる化合物で
ある。
【0006】現在までに報告されている光学活性な3−
ハイドロキシテトラハイドロフランの合成法としては、
天然に存在するL−リンゴ酸を原料として(S)−3−
ハイドロキシテトラハイドロフランを合成する方法(Th
e Journal of Organic Chemistry、1983、48、 2767〜2
769)、2,3-ジヒドロフランからハイドロボレイション
法を用いて合成する方法(Journal of the American Ch
emical Society、1986、108、2049〜2054)などが挙げ
られる。
【0007】しかし、これらの方法は、合成工程が繁雑
である、そして用いる原料が高価であるなどの理由か
ら、大量生産への適用が容易でないという問題を有して
いた。
【0008】それゆえ、光学活性3−ハイドロキシテト
ラハイドロフランを製造するための新たな方法の開発が
強く要望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術が有していた課題を解決するためのものであり、
その目的は、光学活性な3−ハイドロキシテトラハイド
ロフランを、微生物または酵素を用いて安価なラセミ体
原料から生産する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、光学活
性3−ハイドロキシテトラハイドロフランの製造方法で
あって、該方法は、以下の一般式:
【0011】
【化3】
【0012】(ここで、Rは、炭素数1〜20の、直
鎖、分枝、あるいは環状の置換または非置換の飽和また
は不飽和炭化水素基を表す)で表される(R、S)−3
−ハイドロキシテトラハイドロフランのエステルと、該
(R、S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランの
エステルを光学選択的に加水分解し得る酵素とを反応さ
せる工程;および生成した光学活性3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランと光学活性3−ハイドロキシテトラ
ハイドロフランのエステルとを分離する工程、を包含す
る、方法が提供される。
【0013】好ましい実施態様においては、前記方法は
さらに、生成した3−ハイドロキシテトラハイドロフラ
ンの所望されない異性体を立体反転させ、所望の異性体
を得る工程を包含する。
【0014】好ましい実施態様においては、前記方法は
さらに、分離した光学活性3−ハイドロキシテトラハイ
ドロフランのエステルを加水分解して、光学活性3−ハ
イドロキシテトラハイドロフランを生成する工程を包含
する。
【0015】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、(R、S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフラ
ンのエステルの(S)−3−ハイドロキシテトラハイド
ロフランのエステルを加水分解して、(S)−3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランおよび(R)−3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランのエステルを生成する。
【0016】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、精製酵素、微生物菌体、微生物菌体培養液、および
微生物菌体の処理物からなる群から選択される。
【0017】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、クレブシエラ(Klebsiella)属、セラチア(Serrat
ia)属、キャンディダ(Candida)属、アクロモバクタ
ー(Achromobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligene
s)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、シュードモ
ナス(Pseudomonas)属、またはバチルス(Bacillus)
属の微生物あるいはブタ膵臓に由来する。
【0018】好ましい実施態様においては、前記微生物
は、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoc
a)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescen
s)、キャンディダ・シリンドラッセ(Candida cylindr
acea)、キャンディダ・ルゴーサ(Candida rugosa)、
アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アス
ペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)、バチ
ルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliqu
efaciens)からなる群から選択される微生物である。
【0019】さらに好ましい実施態様においては、前記
微生物は、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxy
toca)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcesc
ens)、キャンディダ・シリンドラッセ(Candida cylin
dracea)、キャンディダ・ルゴーサ(Candida rugosa)
からなる群から選択される微生物である。
【0020】好ましい実施態様においては、前記一般式
のRは、炭素数1〜9の炭化水素基である。
【0021】好ましい実施態様においては、前記一般式
のRは、2〜4のアルキル基である。
【0022】本発明によれば、光学活性3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランの製造方法であって、該方法
は、以下の一般式:
【0023】
【化4】
【0024】で表される(R、S)−3−ハイドロキシ
テトラハイドロフランと、(R、S)−3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランを光学選択的にエステル化し得
る酵素を、アシル化剤の存在下、適当な溶媒の存在下ま
たは非存在下で反応させる工程;生成した光学活性3−
ハイドロキシテトラハイドロフランと光学活性3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランのエステルとを分離する
工程;および生成した3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランの所望されない異性体を立体反転させ、所望の異
性体を収率よく得る工程を包含する、方法が提供され
る。
【0025】好ましい実施態様においては、前記方法は
さらに、分離した光学活性3−ハイドロキシテトラハイ
ドロフランのエステルを加水分解して、光学活性3−ハ
イドロキシテトラハイドロフランを生成する工程を包含
する。
【0026】好ましい実施態様においては、前記方法は
さらに、光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフラ
ンのエステルまたは光学活性3−ハイドロキシテトラハ
イドロフランを酵素による加水分解またはエステル化の
基質として用いて、より光学純度の高い3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランを生成する工程を包含する。
【0027】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、(R、S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフラ
ンの(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランを
エステル化して、(S)−3−ハイドロキシテトラハイ
ドロフランのエステルのおよび(R)−3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランのを生成する。
【0028】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、精製酵素、微生物菌体、微生物菌体培養液、および
微生物菌体の処理物からなる群から選択される。
【0029】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、セラチア(Serratia)属に属する微生物に由来す
る。
【0030】好ましい実施態様においては、前記酵素
は、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescen
s)である。
【0031】好ましい実施態様においては、前記アシル
化剤が、酸無水物またはエステルである。
【0032】好ましい実施態様においては、前記酸無水
物は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、
無水酪酸、無水プロピオン酸、無水酪酸または無水吉草
酸である。
【0033】好ましい実施態様においては、前記溶媒
は、トルエン、イソ-プロピルエーテル、アセトニトリ
ル、テトラハイドロフラン、イソ-オクタン、イソ-ブチ
ルメチルケトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、
酢酸エチル、シクロヘキサン、n-ヘキサンまたはヘプタ
ンである。
【0034】本発明によれば、光学活性3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランのトシル酸エステルを、立体反
転させる工程を包含する、光学活性3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランまたはその酢酸エステルを製造する
方法が提供される。
【0035】好ましい実施態様においては、前記立体反
転させる工程は、含水アセトン中で加水分解反応を行う
ことによる。
【0036】好ましい実施態様においては、前記立体反
転させる工程は、アセトン溶媒中で、酢酸テトラアンモ
ニウムの存在下、反応を行うことによる。
【0037】好ましい実施態様においては、前記立体反
転させる工程は、ベンゼン溶媒中で、18−クラウン−
6の存在下、カルボン酸の塩との反応を行うことによ
る。
【0038】好ましい実施態様においては、前記カルボ
ン酸の塩は、酢酸セシウムまたは酢酸カリウムである。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0040】本明細書中において、「(R、S)−3−
ハイドロキシテトラハイドロフラン」とは、(S)−3
−ハイドロキシテトラハイドロフランおよび(R)−3
−ハイドロキシテトラハイドロフランのラセミ混合物を
意味する。ラセミ混合物は、必ずしも(R)体と(S)
体の混合比が1:1でなくてもよい。
【0041】本発明の一つの方法は、(R、S)−3−
ハイドロキシテトラハイドロフランのエステルに、微生
物由来の加水分解活性を有する酵素を作用させて、
(S)または(R)−3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランのエステルのうちのいずれか一方を光学選択的に
加水分解することにより、(R、S)−3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランのエステルを光学活性な3−ハ
イドロキシテトラハイドロフランと光学活性な3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランのエステルとの混合物に
変換し、これらの化合物の化学的特性または物理的特性
の差異を利用してそれぞれを分取することに基づく。
【0042】本発明に用いられる酵素反応基質は、式:
【0043】
【化5】
【0044】により示される3−ハイドロキシテトラハ
イドロフランのエステルである。ここでRは、直鎖、分
枝、あるいは環状の置換または非置換の飽和または不飽
和炭化水素であり、その炭素数は、1〜20、好ましく
は1〜9、より好ましくは2〜5である。
【0045】本願発明法の酵素反応基質となる(R、
S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランのエステ
ルとしては、用いる酵素の基質特異性、酵素反応溶液へ
の溶解性、酵素反応後の分離の容易性などから適宜選択
される。本発明の方法のためには、3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランの脂肪酸エステルを用いることが好
ましいが、これに限定されるものではない。
【0046】3−ハイドロキシテトラハイドロフランの
脂肪酸エステルとしては、3−ハイドロキシテトラハイ
ドロフランと、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、オクチル酸、デカン酸
のエステルなどが用いられ得、これらは、公知のエステ
ル化法により容易に合成することができる。例えば、
(R、S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフラン
に、プロピオン酸クロリド、酪酸クロリド、吉草酸クロ
リド、あるいは酸無水物をピリジンあるいはトリエチル
アミン、トリブチルアミン、ジメチルアミンなどの塩基
の存在下で反応させることにより得られる。
【0047】本発明の方法において用いられる微生物由
来の酵素は、(R、S)−3−ハイドロキシテトラハイ
ドロフランのエステルの一方の光学異性体を光学選択的
に加水分解する酵素であれば、いずれの酵素でも用いる
ことができる。好ましくは、クレブシエラ(Klebsiell
a)属、セラチア(Serratia)属、キャンディダ(Candi
da)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アル
カリゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseud
omonas)属、またはバチルス(Bacillus)属の微生物由
来のエステル分解酵素であり、さらに好ましくは、クレ
ブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、セラチ
ア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、キャン
ディダ・シリンドラッセ(Candida cylindracea)、キ
ャンディダ・ルゴーサ(Candida rugosa)、アスペルギ
ルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス
・メレウス(Aspergillus melleus)バチルス・アミロ
リクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由
来のエステル分解酵素であり、なおさらに好ましくは、
クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、セ
ラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、キ
ャンディダ・シリンドラッセ(Candida cylindrace
a)、キャンディダ・ルゴーサ(Candida rugosa)由来
のエステル分解酵素である。好ましくは、(S)−3−
ハイドロキシテトラハイドロフランのエステルを光学選
択的に加水分解する酵素である。さらに、前記の酵素の
活性を含有する精製酵素、微生物菌体、微生物菌体培養
液、および微生物菌体の処理物なども使用され得る。酵
素としては、例えば、SNSM-87(クレブシエラ・
オキシトカ由来、ナガセ生化学工業社製)、SM酵素
(セラチア・マルセッセンス由来、ナガセ生化学工業社
製)、リパーゼ-OF(キャンディダ・シリンドラッセ
由来、名糖産業社製)、リパーゼAL(アクロモバクタ
ー由来、名糖産業社製)、リパーゼ-PL-679(アル
カリゲネス由来、名糖産業社製)、リパーゼAY「アマ
ノ」(キャンディダ・ルゴーサ由来、天野製薬社製)、
D−150(アスペルギルス・オリゼ由来、ナガセ生化
学工業社製)、リパーゼタイプII(ブタ膵臓由来、シグ
マ社製)、リパーゼP原末(シュードモナス・sp由
来、ナガセ生化学工業社製)、XP−488(アスペル
ギルス・メレウス由来、ナガセ生化学工業社製)、結晶
細菌アルカリプロテアーゼ(バチルス・アミロリクエフ
ァシエンス由来、ナガセ生化学工業社製)、スミチーム
MP(アスペルギルス・オリゼ由来、新日本化学社
製)、リパーゼQL(アルカリゲネス・sp.、名糖産
業社製)、ビオプラーゼAL−45(バチルス・ズブチ
リス由来、ナガセ生化学工業社製)などが好適に使用さ
れ得る。微生物菌体は、当業者に周知の方法で培養し得
る。3−ハイドロキシテトラハイドロフランを基質と
し、酵素が誘導され得る。この培養で得られた微生物菌
体、その培養液、あるいは菌体を破砕等の処理をするこ
とにより得られた処理物またはその処理物から当業者に
公知の方法で祖精製した酵素もまた用いられ得る。
【0048】本発明の反応は(R、S)−3−ハイドロ
キシテトラハイドロフランのエステルを含有する水また
は緩衝液または含水有機溶媒中に、前記酵素を添加し、
撹拌することにより行う。
【0049】酵素反応は、pHを調節して行い得る。酵
素反応のための至適なpHを保持するために、例えばリ
ン酸緩衝液が使用される。好ましい反応液のpHは5〜
9である。
【0050】用いる酵素の量に特に限定はないが、基質
である3−ハイドロキシテトラハイドロフランのエステ
ルに対し、0.1〜10g/基質モル程度が好ましい範囲
である。
【0051】反応温度は10℃〜60℃、好ましくは2
0℃〜50℃である。反応時間は、酵素使用量、反応温
度、反応pH等の条件で変動するが、通常1〜24時間
程度である。
【0052】反応終了後、生成した3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランと未反応の3−ハイドロキシテトラ
ハイドロフランのエステルを溶媒抽出法、カラムクロマ
ト法、蒸留法などの通常用いられる分離操作で分取す
る。溶媒抽出法では、溶媒として例えば、トルエン、n
−ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタ
ン、イソプロピルエーテル、あるいはt−ブチルメチル
エーテルを用いる場合、未反応の光学活性3−ハイドロ
キシテトラハイドロフランのエステルを反応液から95
%以上の回収率で回収することができる。
【0053】分取した3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランのエステルを酸、塩基等を用いる化学的加水分解
法、過剰のメタノール中でのエステル交換反応、または
任意の加水分解酵素を用いる酵素法により、容易に光学
活性な3−ハイドロキシテトラハイドロフランを得るこ
とができる。
【0054】加水分解反応によって生成した3−ハイド
ロキシテトラハイドロフランのもう一方の光学異性体
は、反応液から蒸留で分離することにより、90%以上
の回収率で回収することができる。
【0055】本発明のもう一つの方法は、(R、S)−
3−ハイドロキシテトラハイドロフランに、アシル化剤
の存在下、微生物由来のエステル化活性を有する酵素を
作用させて、(S)または(R)−3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランのいずれか一方を光学選択的にエス
テル化することにより、(R、S)−3−ハイドロキシ
テトラハイドロフランを光学活性な3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランと光学活性な3−ハイドロキシテト
ラハイドロフランのエステルとの混合物に変換し、これ
らの化合物の化学的特性または物理的特性の差異を利用
してそれぞれを分取することに基づく。
【0056】本発明に用いられる酵素反応基質は、式:
【0057】
【化6】
【0058】により示される3−ハイドロキシテトラハ
イドロフランである。
【0059】用いられる酵素は、(R、S)−3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランの一方の光学異性体をア
シル化剤の存在下においてエステル化する能力を有する
ものであればいずれの酵素も使用され得る。好ましくは
(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランを光学
選択的にエステル化する酵素である。さらに前記の酵素
活性を含有する精製酵素、微生物菌体、微生物菌体培養
液、および菌体処理物等であってもよい。酵素は例え
ば、セラチア(Serratia)属由来のエステル分解酵素で
あり、より詳細にはセラチア・マルセッセンス(Serrat
ia marcescens)由来のエステル分解酵素である。より
特定すると、SM酵素(セラチア・マルセッセンス由
来、ナガセ生化学工業社製)が好適に使用され得る。微
生物菌体は、当業者に周知の方法で培養し得る。
【0060】本発明の反応はアシル化剤、および(R、
S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランを含有す
る溶媒に、前記酵素を添加し、撹拌することにより行
う。
【0061】上記アシル化剤としては、かかる酵素の存
在下、(R、S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフ
ランをエステル化し、光学活性3−ハイドロキシテトラ
ハイドロフランのエステルに変換する能力を有するもの
であればいずれも使用され得る。
【0062】好ましくは、アシル化剤は、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、無水酪酸、無水プロ
ピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸である。
【0063】また、上記反応溶媒としては、かかる酵
素、アシル化剤の存在下、(R、S)−3−ハイドロキシ
テトラハイドロフランをエステル化し、光学活性3−ハ
イドロキシテトラハイドロフランのエステルに変換する
ものであればいずれも使用され得る。
【0064】好ましくは溶媒は、トルエン、イソ-プロ
ピルエーテル、アセトニトリル、テトラハイドロフラ
ン、イソ-オクタン、イソ-ブチルメチルケトン、メチル
エチルケトン、クロロホルム、酢酸エチル、シクロヘキ
サン、n-ヘキサン、ヘプタンである。
【0065】用いる酵素の量に特に限定はないが、基質
である3−ハイドロキシテトラハイドロフランに対し、
0.1〜10g/基質モル程度が好ましい範囲である。
【0066】反応温度は−20℃〜40℃である。
【0067】反応時間は、酵素使用量、反応温度、で変
動するが、通常1〜48時間程度である。
【0068】反応終了後、生成した3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランのエステルと未反応の3−ハイドロ
キシテトラハイドロフランを溶媒抽出法、カラムクロマ
ト法、蒸留法などの通常用いられる分離操作で分取す
る。まず、ろ過により酵素を除き、この溶液を水により
抽出することにより95%以上の回収率で3−ハイドロ
キシテトラハイドロフランを回収することができる。
【0069】一方、エステル化反応によって生成した3
−ハイドロキシテトラハイドロフランのエステルのもう
一方の光学異性体は、上記の水抽出の際、反応溶液中に
95%以上の回収率で残存する。残存したエステルは、
酸、塩基等を用いる化学的加水分解法、例えば過剰メタ
ノール中でのエステル交換反応、または任意の加水分解
酵素を用いる酵素法により、容易に光学活性な3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランを得ることができる。
【0070】また、上記により、生成された(S)−3
−ハイドロキシテトラハイドロフランおよび(R)−3
−ハイドロキシテトラハイドロフランのうち、所望され
ない光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフラン
は、トシル酸エステルとし、そしてこれを効率よく立体
反転させることにより、所望とする光学活性3−ハイド
ロキシテトラハイドロフラン、または光学活性3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランの酢酸エステルを得るこ
とができる。 3−ハイドロキシテトラハイドロフラン
のトシル酸エステルは、公知のエステル化法により容易
に合成することができる。例えば、(S)または(R)
−3−ハイドロキシテトラハイドロフランに、トシル酸
クロリドをピリジンあるいはトリエチルアミン、トリブ
チルアミン、ジメチルアミンなどの塩基の存在下で反応
させることにより得られる。
【0071】また、用いる反応条件は目的に応じて適宜
選択される。
【0072】例えば、得られた光学活性3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランのトシル酸エステルを、含水ア
セトン中で加水分解反応を行うことにより、収率80%
以上で、立体反転した3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランを得ることができる。
【0073】また、光学活性3−ハイドロキシテトラハ
イドロフランのトシル酸エステルを、アセトン溶媒中で
酢酸テトラアンモニウムの存在下、反応を行うことによ
り、収率85%以上で、立体反転した3−ハイドロキシ
テトラハイドロフランの酢酸エステルを得ることができ
る。
【0074】また、光学活性3−ハイドロキシテトラハ
イドロフランのトシル酸エステルをベンゼン溶媒中で1
8−クラウン−6の存在下、酢酸セシウム、酢酸カリウ
ムなどと反応を行うことにより、収率90%以上で、立
体反転した3−ハイドロキシテトラハイドロフランの酢
酸エステルを得ることができる。
【0075】さらに、光学活性3−ハイドロキシテトラ
ハイドロフランをさらに高い光学純度にする方法とし
て、得られた(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランのエステルを合成し、前記同様の酵素を用いて再
び加水分解する、または、得られた(S)−3−ハイド
ロキシテトラハイドロフランを前記同様の酵素を用いて
再びエステル化する方法がある。これにより、80%以
上の収率で、80%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランの脂肪酸エステルを97%e.e.の
(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランに、ま
たは80%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハイ
ドロフランを97%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランの脂肪酸エステルにすることができ
る。
【0076】本発明では3−ハイドロキシテトラハイド
ロフランのエステルを光学選択的に加水分解する酵素、
または3−ハイドロキシテトラハイドロフランを光学選
択的にエステル化する酵素を用いて3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランの光学異性体と、3−ハイドロキシ
テトラハイドロフランのエステルの光学異性体との混合
物を生成し、それぞれを上記の方法を用いて分離して
(S)および(R)−3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランを生成し、目的に応じて不必要な光学異性体を立
体反転させることが好ましい。
【0077】
【実施例】本発明の方法の好適な実施態様を以下の実施
例において具体的に詳述するが、下記実施例は例示目的
のものであり、本発明を限定するように解釈されるべき
ではない。
【0078】なお、以下の実施例において、反応液中の
3−ハイドロキシテトラハイドロフランと3−ハイドロ
キシテトラハイドロフラン脂肪酸エステルの定量および
3−ハイドロキシテトラハイドロフラン脂肪酸エステル
の光学純度の測定は、以下の分析条件によりガスクロマ
トグラフィー(SIMADZU GC−17A:島津製
作所製)により行なった。また、3−ハイドロキシテト
ラハイドロフランの光学純度は、ピリジンの存在下、酪
酸クロリドと反応させ、酪酸誘導体にしてから、以下の
条件で測定を行った。
【0079】 ==ガスクロマトグラフィー分析条件== カラム :キラルデックスG−TA、30m(アステック社製 ) カラム温度 :112℃(定温) インジェクター温度 :250℃ 検出器温度 :250℃ キャリアーガス :ヘリウム(1.5ml/分) 検出器 :FID (実施例1)蒸留水1000mlに、(R、S)−3−
ハイドロキシテトラハイドロフランの酪酸エステル15
8g(1mol)を添加し、反応液に10gのSNSM
-87(クレブシエラ・オキトカ由来、ナガセ生化学工
業社製)を加え、5N-NaOHで反応液のpHを7.5
に調製しながら、30℃で24時間撹拌した。反応終了
後、反応液から3−ハイドロキシテトラハイドロフラン
の酪酸エステルを、500mlのトルエンを用いて3回
抽出し、ガスクロマトグラフィーで分析した。得られた
(R)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランの酪酸
エステルの光学純度は99%e.e.であり、収率は37%
であった。この抽出液をロータリーエバポレーターで濃
縮し、500mlのメタノールと10gの炭酸ナトリウ
ムを加え、65℃にて6時間撹拌を行うことにより、エ
ステル交換を行なった。この反応液をロータリーエバポ
レーターで濃縮し、ろ過により炭酸ナトリウムを取り除
いた。これにより、光学純度99%e.e.の(R)−3−
ハイドロキシテトラハイドロフランが30g(収率34
%)得られた。
【0080】(実施例2)各種(R、S)−3−ハイド
ロキシテトラハイドロフランの脂肪酸エステル1mol
を、表1に示す各種エステル分解酵素により、実施例1
に準じた方法により反応させ、光学活性な(R)−3−
ハイドロキシテトラハイドロフランまたは(S)−3−
ハイドロキシテトラハイドロフランを得た。その結果を
表1に示す。ここで、表中の光学純度の値に−表記があ
るものは(S)体を示す。
【0081】
【表1】
【0082】(実施例3)実施例1と同様に、酵素反応
させ得られた光学純度99%e.e.の(R)−3−ハイド
ロキシテトラハイドロフラン30g(0.34mol)
を、55gのピリジンに溶解させ、トシル酸クロリド8
4gを加え、30℃で4時間撹拌した。反応溶液にエチ
ルエーテル100gを加え、100mlの5N-塩酸で
3回、飽和炭酸水素ナトリウム100mlで3回それぞ
れ洗浄した後、ロータリーエバボレーターで濃縮するこ
とにより、(R)−3−ハイドロキシテトラハイドロフ
ランのトシル酸エステルが58g(0.24mol)得
られた。これを20%のアセトンを含む650mlの蒸
留水に加え、75℃にて24時間、加水分解による立体
反転をさせることにより、光学純度90%e.e.の(S)
−3−ハイドロキシテトラハイドロフランが、17g
(0.19mol)得られた。
【0083】(実施例4)実施例1と同様に酵素反応さ
せ、実施例3と同様にトシル化させて得られた(R)−
3−ハイドロキシテトラハイドロフランのトシル酸エス
テル58g(0.24mol)を350mlのアセトン
に溶解させ、酢酸テトラアンモニウム189gを加え、
環流させながら10時間反応を行うことにより、光学純
度97%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハイド
ロフランの酢酸エステルが得られた。これを実施例1と
同様にエステル交換反応させ、光学純度97%e.e.の
(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランが18
g(0.20mol)得られた。
【0084】(実施例5)実施例1と同様に酵素反応さ
せ、実施例3と同様にトシル化させて得られた(R)−
3−ハイドロキシテトラハイドロフランのトシル酸エス
テル58g(0.24mol)を650mlのベンゼン
に溶解させ、酢酸セシウム140gおよび18-クラウ
ン-6を30g加え、環流させながら10時間反応を行
うことにより、光学純度96%e.e.の(S)−3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランの酢酸エステルが得られ
た。これを実施例1と同様にエステル交換反応させ、光
学純度96%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハ
イドロフランが19g(0.22mol)得られた。
【0085】(実施例6)実施例1と同様に酵素反応さ
せ、実施例3と同様にトシル化させて得られた(R)−
3−ハイドロキシテトラハイドロフランのトシル酸エス
テル58g(0.30mol)を650mlのベンゼン
に溶解させ、酢酸セシウム140gおよび18-クラウ
ン-6を30g加え、環流させながら40時間反応を行
うことにより、光学純度94%e.e.の(S)−3−ハイ
ドロキシテトラハイドロフランの酢酸エステルが得られ
た。これを実施例1と同様にエステル交換反応させ、光
学純度94%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハ
イドロフランが19g(0.22mol)得られた。
【0086】(実施例7)トルエン1000mlに、8
8g(1mol)の(R、S)−3−ハイドロキシテト
ラハイドロフラン、10gのSM酵素(セラチア・マル
ッセッセンス由来、ナガセ生化学工業社製)、114g
の酪酸ビニル、および5gの蒸留水を添加し、4℃で2
4時間撹拌した。反応終了後、ろ過により酵素を取り除
いた後、反応液から3−ハイドロキシテトラハイドロフ
ランを、500mlの蒸留水を用いて3回抽出し、ロー
タリーエバポレーターで濃縮した。これにより、光学純
度99%e.e.の(R)−3−ハイドロキシテトラハイド
ロフランが33g(収率38%)得られた。
【0087】(実施例8)(R、S)−3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランの1molを、各種のアシル化
剤、反応溶媒、反応温度において実施例7に準じた方法
により、SM酵素(セラチア・マルッセッセンス由来、
ナガセ生化学工業社製)を用いて反応させ、光学活性な
(R)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランを得
た。アシル化剤を酪酸ビニル、反応温度は4℃にて各種
の溶媒中で行った結果を表2に、反応溶媒をトルエン、
反応温度は4℃にて各種のアシル化剤で行った結果を表
3に、アシル化を酪酸ビニル、反応溶媒はトルエンにて
各温度で行った結果を表4に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】(実施例9)トルエン1000mlに、8
8g(1mol)の(R、S)−3−ハイドロキシテト
ラハイドロフラン、5gのSM酵素(セラチア・マルッ
セッセンス由来、ナガセ生化学工業社製)、114gの
酪酸ビニル、および5gの蒸留水を添加し、4℃で撹拌
を行い、ガスクロマトグラフィーにて反応を確認しなが
ら転換率が約50%のところで反応を終了した。反応液
から3−ハイドロキシテトラハイドロフランを、500
mlの蒸留水を用いて3回抽出し、ガスクロマトグラフ
ィーで分析した。得られた(R)−3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランの光学純度は84%e.e.であり、収
率は47%であった。この抽出液をロータリーエバボレ
ーターで50mlまで濃縮し、トルエン100mlを加
え再び濃縮することにより、38g(0.43mol)
の(R)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランが得
られた。70gのピリジンに、ここで得られた(R)−
3−ハイドロキシテトラハイドロフランおよびトシル酸
クロリド106gを加え、30℃で4時間撹拌した。反
応溶液を100mlの5N-塩酸で3回、飽和炭酸水素
ナトリウム100mlで3回それぞれ洗浄した後、ロータ
リーエバボレーターで乾固することにより、(R)−3
−ハイドロキシテトラハイドロフランのトシル酸エステ
ルが73g(0.30mol)得られた。これを20%
のアセトンを含む800mlの蒸留水に加え、75℃に
て24時間、加水分解による立体反転をさせることによ
り、光学純度78%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランが、21g(収率24%)得られ
た。
【0092】また、酵素反応後、水抽出を行った後のト
ルエン溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、実施
例1と同様にエステル交換を行うことにより、光学純度
80%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロ
フランが42g(収率48%)得られた。これを反転に
より得られたものと合わせることにより、光学純度79
%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフラ
ンが63g(収率72%)得られた。
【0093】さらに、この(S)−3−ハイドロキシテ
トラハイドロフラン63gを0.5%の蒸留水を含むト
ルエン1000mlに溶解させ、反応液に5gのSM酵
素(セラチア・マルッセッセンス、ナガセ生化学工業社
製)と酪酸ビニル158gを加え、4℃で24時間撹拌
した。反応終了後、実施例3と同様な操作を行うことに
より、光学純度は97%e.e.の(S)−3−ハイドロキ
シテトラハイドロフランが51g(収率58%)得られ
た。
【0094】(実施例10)実施例9と同様に、酵素反
応させ、トシル化させて得られた(R)−3−ハイドロ
キシテトラハイドロフランのトシル酸エステル73g
(0.30mol)を400mlのアセトンに溶解さ
せ、酢酸テトラアンモニウム236gを加え、還流させ
ながら10時間反応を行うことにより、光学純度82%
e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフラン
の酢酸エステルが得られた。これを実施例1と同様にエ
ステル交換反応させ、光学純度82%e.e.の(S)−3
−ハイドロキシテトラハイドロフランが21g(0.2
4mol)得られた。
【0095】(実施例11)実施例9と同様に、酵素反
応させ、トシル化させて得られた(R)−3−ハイドロ
キシテトラハイドロフランのトシル酸エステル73g
(0.30mol)を800mlのベンゼンに溶解さ
せ、酢酸セシウム175gおよび18-クラウン-6を3
5g加え、環流させながら10時間反応を行うことによ
り、光学純度82%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランの酢酸エステルが得られた。これを
実施例1と同様にエステル交換反応させ、光学純度82
%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフラ
ンが23g(0.26mol)得られた。
【0096】(実施例12)実施例9と同様に、酵素反
応させ、トシル化させて得られた(R)−3−ハイドロ
キシテトラハイドロフランのトシル酸エステル73g
(0.30mol)を800mlのベンゼンに溶解さ
せ、酢酸セシウム175gおよび18-クラウン-6を3
5g加え、環流させながら40時間反応を行うことによ
り、光学純度80%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテ
トラハイドロフランの酢酸エステルが得られた。これを
実施例1と同様にエステル交換反応させ、光学純度80
%e.e.の(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフラ
ンが23g(0.26mol)得られた。
【0097】
【発明の効果】本発明により、酵素法を用いて、(R、
S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランのエステ
ルを加水分解、あるいは(R、S)−3−ハイドロキシ
テトラハイドロフランを適当なアシル化剤の存在下にお
いてエステル化し、光学活性な3−ハイドロキシテトラ
ハイドロフランを製造することが可能となった。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロ
    フランの製造方法であって、該方法は、以下の一般式: 【化1】 (ここで、Rは、炭素数1〜20の、直鎖、分枝、ある
    いは環状の置換または非置換の飽和または不飽和炭化水
    素基を表す)で表される(R、S)−3−ハイドロキシ
    テトラハイドロフランのエステルと、該(R、S)−3
    −ハイドロキシテトラハイドロフランのエステルを光学
    選択的に加水分解し得る酵素とを反応させる工程;およ
    び生成した光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフ
    ランと光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフラン
    のエステルとを分離する工程を包含する、方法。
  2. 【請求項2】さらに、生成した3−ハイドロキシテトラ
    ハイドロフランの所望されない異性体を立体反転させ、
    所望の異性体を得る工程を包含する、請求項1に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】さらに、分離した光学活性3−ハイドロキ
    シテトラハイドロフランのエステルを加水分解して、光
    学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランを生成す
    る工程を包含する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記酵素が、(R、S)−3−ハイドロキ
    シテトラハイドロフランのエステルの(S)−3−ハイ
    ドロキシテトラハイドロフランのエステルを加水分解し
    て、(S)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランお
    よび(R)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランの
    エステルを生成する、請求項1〜3のいずれかに記載の
    方法
  5. 【請求項5】前記酵素がクレブシエラ(Klebsiella)
    属、セラチア(Serratia)属、キャンディダ(Candid
    a)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アルカ
    リゲネス(Alcaligenes)属、アスペルギルス(Aspergi
    llus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、または
    バチルス(Bacillus)属の微生物あるいはブタ膵臓に由
    来する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】前記微生物が、クレブシエラ・オキシトカ
    (Klebsiella oxytoca)、セラチア・マルセッセンス
    (Serratia marcescens)、キャンディダ・シリンドラ
    ッセ(Candida cylindracea)、キャンディダ・ルゴー
    サ(Candida rugosa)、アスペルギルス・オリゼ(Aspe
    rgillus oryzae)、アスペルギルス・メレウス(Asperg
    illus melleus)、バチルス・アミロリクエファシエン
    ス(Bacillus amyloliquefaciens)からなる群から選択
    される微生物である、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロ
    フランの製造方法であって、該方法は、以下の一般式: 【化2】 で表される(R、S)−3−ハイドロキシテトラハイド
    ロフランと、3−ハイドロキシテトラハイドロフランを
    光学選択的にエステル化し得る酵素を、アシル化剤の存
    在下、適当な溶媒の存在下または非存在下で反応させる
    工程;生成した光学活性3−ハイドロキシテトラハイド
    ロフランと光学活性(R、S)−3−ハイドロキシテト
    ラハイドロフランのエステルとを分離する工程;および
    生成した3−ハイドロキシテトラハイドロフランの所望
    されない異性体を立体反転させ、所望の異性体を収率よ
    く得る工程を包含する、方法。
  8. 【請求項8】さらに、分離した光学活性3−ハイドロキ
    シテトラハイドロフランのエステルを加水分解して、光
    学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランを生成す
    る工程を包含する、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記酵素が、(R、S)−3−ハイドロキ
    シテトラハイドロフランの(S)−3−ハイドロキシテ
    トラハイドロフランをエステル化して、(S)−3−ハ
    イドロキシテトラハイドロフランのエステルおよび
    (R)−3−ハイドロキシテトラハイドロフランを生成
    する、請求項7または8に記載の方法
  10. 【請求項10】前記酵素が、セラチア属に属する微生物
    に由来する、請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】前記微生物が、セラチア・マルセッセン
    ス(Serratia marcescens)である、請求項10に記載
    の方法。
  12. 【請求項12】光学活性3−ハイドロキシテトラハイド
    ロフランのトシル酸エステルを、立体反転させる工程を
    包含する、光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフ
    ランまたはその酢酸エステルを製造する方法。
  13. 【請求項13】前記立体反転させる工程が、含水アセト
    ン中で加水分解反応を行うことによる、請求項12に記
    載の方法。
  14. 【請求項14】前記立体反転させる工程が、アセトン溶
    媒中で、酢酸テトラアンモニウムの存在下、反応を行う
    ことによる、請求項12に記載の方法。
  15. 【請求項15】前記立体反転させる工程が、ベンゼン溶
    媒中で、18−クラウン−6の存在下、カルボン酸の塩
    との反応を行うことによる、請求項12に記載の方法。
  16. 【請求項16】前記カルボン酸の塩が、酢酸セシウムま
    たは酢酸カリウムである、請求項15に記載の方法。
JP15132497A 1997-06-09 1997-06-09 光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランの製造方法 Withdrawn JPH10337197A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15132497A JPH10337197A (ja) 1997-06-09 1997-06-09 光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15132497A JPH10337197A (ja) 1997-06-09 1997-06-09 光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10337197A true JPH10337197A (ja) 1998-12-22

Family

ID=15516133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15132497A Withdrawn JPH10337197A (ja) 1997-06-09 1997-06-09 光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10337197A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000060897A (ko) * 1999-03-20 2000-10-16 남창우 효소적 방법에 의한 광학활성 3-하이드록시테트라하이드로퓨란 및 이의 에스테르의 제조방법
WO2002057411A3 (en) * 2000-12-01 2004-02-12 Diversa Corp Hydrolase enzymes and their use in kinetic resolution
CN107904269A (zh) * 2017-12-29 2018-04-13 安徽联创生物医药股份有限公司 一种工程菌种转化制备(s)‑(+)‑3‑羟基四氢呋喃的方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20000060897A (ko) * 1999-03-20 2000-10-16 남창우 효소적 방법에 의한 광학활성 3-하이드록시테트라하이드로퓨란 및 이의 에스테르의 제조방법
WO2002057411A3 (en) * 2000-12-01 2004-02-12 Diversa Corp Hydrolase enzymes and their use in kinetic resolution
CN107904269A (zh) * 2017-12-29 2018-04-13 安徽联创生物医药股份有限公司 一种工程菌种转化制备(s)‑(+)‑3‑羟基四氢呋喃的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5223432A (en) Process for preparing optically pure (S)-α-((tert-butylsulfonyl)methyl)hydrocinnamic acid using protease
EP1117823B1 (en) Resolution of trans-2 -(alkoxycarbonylethyl) -lactams useful in the synthesis of 1- (4-fluorophenyl) -3(r) - 3(s) -hydroxy-3 -(4-fluorophenyl) -propyl)] -4(s) -(4-hydroxyphenyl) -2-azetidinone
US5538891A (en) Process for enzymatic production of isomerically pure isosorbide-2 and 5-monoesters and their conversion to isosorbide-2 and -5 nitrate
US5902738A (en) Enzymatic acylation
JPH0436195A (ja) 光学活性α―ヒドロキシエステル類の製造方法
US5061629A (en) Production of 2-hydroxy substituted arylalkanoic acids and esters by enzymatic hydrolysis
US6121025A (en) Process for producing optically active 3-quinuclidinol derivatives
JPH10337197A (ja) 光学活性3−ハイドロキシテトラハイドロフランの製造方法
US5202260A (en) Resolution of α-tertiary carboxylic acid esters using lipase from Candida lipolytica
EP0512848B1 (en) Enzymatic resolution of alpha-tertiary carboxylic acid esters
JP2703768B2 (ja) 光学活性3−ヒドロキシピロリジン誘導体の製造法
US20020006644A1 (en) Method for preparing an R- or S-form of alpha-substituted heterocyclic carboxylic acid and a counter enantiomeric form of alpha-substituted heterocyclic carboxylic acid ester thereto using enzyme
JP4633934B2 (ja) 光学活性な1−アミノ−4−(ヒドロキシルメチル)−シクロペンタ−2−エン誘導体の製造方法
US20020025565A1 (en) Method for optically resolving a racemic alpha-substituted heterocyclic carboxylic acid using enzyme
US5605833A (en) Process for preparation of D-lactic acid from D,L lactic acid ester using wheat germ or pancreatic lipase
JP2002171994A (ja) 光学活性なテトラヒドロフラン−2−カルボン酸またはその対掌体エステルの製造方法
JP3007461B2 (ja) 光学活性2−シクロヘキセニル酢酸及びそのエステルの製造方法
JP3893721B2 (ja) 光学活性化合物の製造方法
US5476965A (en) Enzymatic resolution of substituted 2-methyl-propionic acid
JP4565672B2 (ja) 光学活性β−シアノイソ酪酸類及びその製造方法
JPH0353886A (ja) 光学活性3―クロロ―1,2―プロパンジオールおよびそのエステルの製造法
JP3741758B2 (ja) 光学活性グリセロール誘導体の製法
JPH10210997A (ja) 光学活性3−キヌクリジノールの製法
JP4746019B2 (ja) 光学活性β−シアノイソ酪酸類及びその製造方法
JPH04258297A (ja) 光学活性1−フェニル−1、3−プロパンジオールおよびその誘導体の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20040907