JPH0884597A - 光学活性グリシドールの製法 - Google Patents

光学活性グリシドールの製法

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JPH0884597A
JPH0884597A JP22305694A JP22305694A JPH0884597A JP H0884597 A JPH0884597 A JP H0884597A JP 22305694 A JP22305694 A JP 22305694A JP 22305694 A JP22305694 A JP 22305694A JP H0884597 A JPH0884597 A JP H0884597A
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JP
Japan
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glycidol
optically active
fatty acid
acid ester
glycidyl
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JP22305694A
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Chie Miura
千絵 三浦
Kotaro Otsuka
耕太郎 大塚
Tomoko Umesato
知子 梅里
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Nagase and Co Ltd
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ラセミ体のグリシドール脂肪酸エステルに、
そのエステルを選択的に加水分解する微生物、その産生
酵素、あるいはその培養物から得られた酵素を作用させ
て、光学活性(R)-または(S)-グリシドール酸エステルを
得る。 この光学活性(R)-または(S)-グリシドール酸エ
ステルに、加水分解酵素を作用させて生成した光学活性
(S)-または光学活性(R)-グリシドールを回収する。 【効果】 高い光学純度を有する光学活性グリシドール
を工業的に生産できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラセミ体のグリシドー
ル脂肪酸エステルに、当該エステルを特異的に分割する
能力を有する微生物の産生酵素を作用させることを特徴
とする、光学活性グリシドールの新規の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】数多
くの生物学的に活性な化合物において、光学異性体が存
在することは広く知られている。 そして、通常、目的
とする生物学的活性を呈する光学異性体は一方の異性体
に限定され、他方の光学異性体は、所望の生物学的活性
を有していないか、あるいは毒性等の好ましくない生理
作用を伴う場合もある。
【0003】それ故、光学異性体を有する生物学的に活
性な化合物において、所望の光学異性体を得るための適
当な手段・手法が無い場合には、ラセミ体のままで、農
薬および製薬用途にしばしば用いられている。 このよ
うな場合、往々にして、目的とする生物学的活性が著し
く低減したり、毒性などの望ましくない生理作用を伴う
という問題点があった。
【0004】この問題を解消するために、光学異性体の
分割法が種々検討されており、例えば、分割される光学
異性体の各種エステル誘導体を調製し、光学選択的にエ
ステルを加水分解する酵素を当該誘導体に作用させ、そ
して、反応系の溶媒に対する溶解度の差などを利用して
光学異性体同士を互いに分離する方法が提案されてお
り、この方法を実現させるための、種々の光学選択性を
備えたエステル分解酵素を産生する微生物の開発が行わ
れている。
【0005】このような技術背景において、生物学的活
性を呈する化合物の一つである光学活性グリシドール
は、従来より、医薬あるいは農薬用途の有用な生理活性
物質、液晶材料などを合成する際の要として機能する重
要な化合物とされている。
【0006】そして、この光学活性グリシドールの合成
方法として、古くは、 FischerらのD-マントニールから
合成する方法(Fischer, et al., J.Am.Chem.Soc., 64,
1291(1942)) が知られているが、この方法によると、最
終生成物に至るまでに、多くの調製工程が必要とされる
関係から、工業的生産への適用には不向きであるとされ
ていた。 また、最近では Sharplessらによる、アリル
アルコールを不斉エポキシ化する方法 (Sharpless, et
al., Asymmetric Synthesis, Vol.5, AcademicPress, I
nc., London, p.247 (1985))が報告されているが、この
方法では、短段階での最終生成物の調製は可能である
が、大量生産時における光学純度の低さが問題点として
指摘されている。
【0007】一方で、最近では、微生物や酵素の光学選
択的反応を利用した光学活性グリシドールの生産が報告
されており、例えば、ブタ膵臓リパーゼによるラセミ体
グリシジルブチレートの光学選択的加水分解 (J.Am.Che
m.Soc., 106, p.7252 (1984):米国特許 No.4,732,853
:特開平1−285199号)、ベンジルグリシドール前駆
体の光学分割 (J.Org.Chem., 55, p.4897 (1990)) 、あ
るいは、アセトバクター(Acetobacter) 属やグルコノバ
クター (Gluconobacter)属などのアルコールデヒドロゲ
ナーゼによる不斉酸化(欧州特許出願公開公報 No. 0 4
64 905) などが報告されている。 しかしながら、これ
ら従来技術の方法は合成法と比較して、光学純度の高い
グリシドールを得ることが可能であるが、使用する酵素
が高価であったり、生産技術的に大量生産が容易でない
などの問題点を含むものであった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した従来
技術が抱えていた課題に鑑みて発明されたものであり、
その目的とするところは、高い光学純度を有する光学活
性グリシドールを、グリシドール脂肪酸エステルから工
業的に生産するための方法を提供することにある。
【0009】すなわち、本発明方法の一態様によれば、
図1を参照すると、ラセミ体の(S)-グリシドール脂肪酸
エステルを選択的に加水分解する酵素を産生する微生物
から得られた当該酵素を、該グリシドール脂肪酸エステ
ルに作用させて、光学活性(R)-グリシドール脂肪酸エス
テルを残存せしめ、そして、この光学活性(R)-グリシド
ール酸エステルに、加水分解酵素を作用させることで、
当該エステルを加水分解せしめて、光学活性(S)-グリシ
ドールを得ようとするものである。
【0010】また、本発明方法の他の態様によれば、図
2を参照すると、ラセミ体の(R)-グリシドール脂肪酸エ
ステルを選択的に加水分解する酵素を産生する微生物か
ら得られた当該酵素を、該グリシドール脂肪酸エステル
に作用させて、光学活性(S)-グリシドール脂肪酸エステ
ルを残存せしめ、そして、この光学活性(S)-グリシドー
ル脂肪酸エステルに、加水分解酵素を作用させること
で、当該エステルを加水分解せしめて、光学活性(R)-グ
リシドールが得られる。
【0011】さらに、本発明方法の他の態様によれば、
図3を参照すると、ラセミ体の(R)-グリシドール脂肪酸
エステルを選択的に加水分解する酵素を産生する微生物
から得られた当該酵素を、ラセミ体のグリシドールと酸
無水物を含む混合物に作用させて、光学活性(S)-グリシ
ドール脂肪酸エステルを生成せしめ、そして、この光学
活性(S)-グリシドール脂肪酸エステルに、加水分解酵素
を作用させることで、当該エステルを加水分解せしめ
て、光学活性(R)-グリシドールが得られる。
【0012】つまり、本願発明は、本発明者らが、(S)-
グリシドール脂肪酸エステルに対して高い光学選択性を
有するエステル分解酵素、あるいは、(R)-グリシドール
を選択的にエステル化する能力を有する酵素に関して検
索を行ったところ、リゾプス(Rhizopus)属、ムコア(Muc
or) 属、シュードモナス(Pseudomonas) 属、アクロモバ
クター(Achromobacter) 属、およびアルカリゲネス(Alc
aligenes) 属に属する微生物に由来するエステル分解酵
素が、高い光学選択性を有することの知見に基づいて本
発明を完成せしめたのである。
【0013】同様に、(R)-グリシドール脂肪酸エステル
に対して高い光学選択性を持つエステル分解酵素、ある
いは、(S)-グリシドールを選択的にエステル化する能力
を有する酵素に関して検索を行ったところ、クレブシエ
ラ(Klebsiella)属に属する微生物に由来するエステル分
解酵素が、高い光学選択性を有するとの知見も得るに至
り、本発明の他の態様を完成せしめたのである。 ま
た、この態様に関連して、本願発明者らは、(R)-グリシ
ドール脂肪酸エステルを選択的に加水分解する能力を有
する酵素を産生する菌株として、本願出願人の先願に係
る特許出願〔特願平4−197901号(特開平6− 14772
号)〕に開示したクレブシエラ・オキシトカSNSM87株(K
lebsiella oxytoca SNSM87) が産生した酵素〔後述する
エステラーゼSNSM87(商品名)〕が、(R)-グリシドール
脂肪酸エステルに対する光学選択性に優れ、本願発明方
法に好適であることを知見するに至ったものである。
なお、前記クレブシエラ・オキシトカSNSM87株は、平成
4年5月11日に、茨城県つくば市東町1丁目1番3号に
所在の通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所にて
寄託され、受託番号FERM P-12953(微工研菌寄第 12953
号)が付与されている。
【0014】本発明の微生物産生酵素とは、ラセミ体の
グリシドール脂肪酸エステルを選択的に加水分解し、光
学活性グリシドールを反応液中に生成する能力を有し、
または、グリシドールをエステル化し、光学活性グリシ
ドール脂肪酸エステルを反応液中に生成する能力を有す
るものを指す。
【0015】また、本発明における酵素反応の基質とな
るラセミ体のグリシドール脂肪酸エステルとしては、酵
素の基質特異性を考慮すれば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、吉草酸、ヘキサン酸、コハク酸のエステルが好まし
く、公知のエステル化の方法、例えば、C.M. Lok et a
l., Chem. Phys. Lipids., 16, 115 (1976)の文献に開
示された方法により容易に合成することができる。 例
えば、前記したグリシドール脂肪酸エステルは、ラセミ
体のグリシドールに、無水酪酸あるいは酪酸ハライド
を、ピリジンあるいはトリエチルアミン、トリブチルア
ミン、ジメチルアミノピリジンなどのアミン存在下で反
応させることにより得られる。 またグリシドールのエ
ステル化反応に用いるアシルドナーとしては、酵素の基
質特異性を考慮すれば、無水酢酸、無水プロピオン酸、
無水酪酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無水コハク酸
が好ましい。
【0016】さらに、本発明方法に用いることができる
酵素としては、リゾプス(Rhizopus)属、ムコア(Mucor)
属、シュードモナス(Pseudomonas) 属、アクロモバクタ
ー(Achromobacter) 属、アルカリゲネス(Alcaligenes)
属、クレブシエラ(Klebsiella)属に属する微生物に由来
するエステル分解酵素などが含まれるが、前記グリシド
ール脂肪酸エステルを光学選択的に加水分解、あるいは
グリシドールを光学選択的にエステル化できるものであ
れば、特に限定されるものではなく、例えば、前述した
酵素を産生する微生物菌体、菌体培養物、もしくは菌体
処理物等も適用可能である。 本発明に適用可能な酵素
としては、リパーゼF1(Rhizopus arrhizus由来、Enzyma
tix 社製) 、リパーゼF8 (Mucor javanicus 由来、Enzy
matix 社製)、リパーゼB1(Pseudomonas fluorescens由
来、Enzymatix社製)、リパーゼAL(Achromobacter sp.
由来、名糖産業製) 、リパーゼQL(Alcaligenes sp.由
来、名糖産業製) 、リパーゼPS30(Pseudomonas cepasis
由来、天野製薬社製) 、リリパーゼA5(Rhizopus japoni
cus 由来、ナガセ生化学工業社製) 、エステラーゼSNSM
87(Klebsiella oxytoca 由来、ナガセ生化学工業製)、
および、タリパーゼ(田辺製薬製) などが挙げられる。
【0017】さらに、本発明のラセミ体の分割反応は、
ラセミ体のグリシドール脂肪酸エステルを含有する水ま
たは緩衝液に、前記微生物、または、前記微生物および
その培養物より採取したエステル分解酵素を添加し、攪
拌することにより行う。
【0018】本発明の製造方法における、適用可能な反
応液のpHは、6〜8であるが、酵素の特性および基質の
安定性を考慮すれば、 6.5〜 7.5が好ましい。 同様
に、反応温度としては、10〜50℃が適用可能であり、好
ましくは20〜40℃の温度条件下にて反応を進行せしめ
る。 そして、酵素使用量は、特に限定されるものでは
ないが、良好な酵素反応を促す観点からすれば、基質た
るグリシドール脂肪酸エステルに対し、0.1 〜10g/基質
mol 程度が好ましい。 さらに、反応時間は、酵素使用
量、反応温度、反応pH等の条件で変動するが、通常1〜
24時間程度で完了する。
【0019】反応終了後、生成したグリシドールと未反
応のグリシドール脂肪酸エステルを、溶媒抽出法、結晶
析出法、カラムクロマトグラフ法などの通常用いられる
分離操作で分取する。 溶媒抽出法にて、n−ヘキサ
ン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン、イソオクタ
ン、ジクロロメタン、イソプロピルエーテル、あるいは
t−ブチルメチルエーテルを用いた場合、未反応の光学
活性グリシドール脂肪酸エステルのみを反応液から90%
以上の回収率で回収することができる。
【0020】そして、上記した工程を経て分取した光学
活性グリシドール脂肪酸エステルは、酸、塩基等を用い
て常法により加水分解すると、エポキシ環の開環やラセ
ミ化等の副反応が容易に起こり易いなどの好ましくない
事態を招くので、本発明方法では、分取した光学活性グ
リシドール脂肪酸エステルを、リパーゼやエステラーゼ
などのエステル加水分解酵素を用いて、中性域で加水分
解させることにより、上記副反応を生じることなく、容
易に光学活性グリシドールを得ることができる。 な
お、前記したエステル加水分解酵素としては、グリシド
ール脂肪酸エステルを加水分解する能力を有するリパー
ゼやエステラーゼであれば別段限定されるものではな
い。 また、加水分解反応での適用可能な反応液のpHは
6〜8であるが、上述した酵素の特性および基質の安定
性を考慮すれば、 6.5〜 7.5とすることが好ましい。
【0021】一方、本発明のエステル化反応は、ラセミ
体のグリシドールおよび酸無水物を含有する有機溶媒
に、前記エステル分解酵素を添加し、そして攪拌するこ
とにより行う。 なお、前記酸無水物としては、無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水ヘ
キサン酸、無水コハク酸などの工業的に通常使用される
ものであれば特に限定されるものでなく、また、前記有
機溶媒としては、クロロホルム、酢酸エチル、トルエ
ン、イソオクタン、t-ブチルメチルエーテルなどの溶媒
が使用可能である。 そして、この反応液の適用可能な
pHは6〜8であるが、酵素の特性および基質の安定性を
考慮すれば、 6.5〜 7.5が好ましい。
【0022】同様に、適用可能な反応温度としては5〜
50℃、好ましくは、5〜20℃の温度条件下にて反応を進
行せしめる。 また、酵素使用量は、特に限定されるも
のではないが、基質たるグリシドールに対して、1〜10
g/基質mol 程度が、良好な酵素反応を促す観点からして
好ましい。 さらに、反応時間は、酵素使用量、反応温
度、反応pH等の条件によって変動するが、通常1〜24時
間程度で完了する。 反応終了後、生成したグリシドー
ル脂肪酸エステルと未反応のグリシドールを、水洗、結
晶析出法、カラムクロマトグラフ法などの通常用いられ
る分離操作で分取する。 そして、上記した工程を経て
分取した光学活性(S)-グリシドール脂肪酸エステルは、
酸、塩基等を用いて常法により加水分解すると、エポキ
シ環の開環やラセミ化等の副反応が容易に起こり易いな
どの好ましくない事態を招くので、本発明方法では、分
取した光学活性グリシドール脂肪酸エステルを、リパー
ゼやエステラーゼなどのエステル加水分解酵素を用い
て、中性域で加水分解させることにより、上記副反応を
生じることなく、容易に光学活性グリシドールを得るこ
とができる。 なお、前記したエステル加水分解酵素と
しては、グリシドール脂肪酸エステルを加水分解する能
力を有するリパーゼやエステラーゼであれば別段限定さ
れるものではない。 また、加水分解反応での適用可能
な反応液のpHは6〜8であるが、上述した酵素の特性お
よび基質の安定性を考慮すれば、 6.5〜7.5とすること
が好ましい。
【0023】
【実施例】本発明方法の好適な実施例を以下に具体的に
詳述するが、下記実施例は例示目的のものであり、本発
明を限定する旨に解釈すべきものではない。
【0024】なお、以下の実施例において、反応液中の
グリシドールとグリシドール脂肪酸エステルの定量及び
光学純度の測定は、以下の分析条件により、ガスクロマ
トグラフィー(SIMADZU GC-14A:島津製作所製)により
行った。
【0025】==ガスクロマトグラフィー分析条件== カラム:キラルデックスG-TA、30m(アステック社製) 温 度:カラム初期温度…55℃(20分)、昇温速度…10
℃/分 最終温度…80℃(37.5分) インジェクター温度… 250℃、検出器温度… 250℃ キャリアーガス;ヘリウム(1ml/分) 検出器:FID実施例1:光学活性(S)-グリシドールの調製〔その1〕 図1に示した概略図に従って、まず、 300mMリン酸緩衝
液(pH 7.0) 100mlに、リリパーゼA5(ナガセ生化学工業
製) 1mgとグリシジルブチレート4.32g(30mmol)を加
え、30℃で24時間攪拌した。 反応終了後、反応液にn-
ヘキサン50mlを加え、グリシジルブチレートを抽出し
た。 抽出液をガスクロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、光学純度98%の(R)-グリシジルブチレートが、収率
30%で得られた。 この抽出液に、50mMリン酸緩衝液
(pH 7.0)50mlとリパーゼP(ナガセ生化学工業製)5
mgを加え、得られた(R)-グリシジルブチレートを、30℃
で加水分解することにより、光学純度98%以上の(S)-グ
リシドールが収率24%で得られた。
【0026】実施例2:光学活性(S)-グリシドールの調
製〔その2〕 各種グリシドール脂肪酸エステル30mmolを、下記表1に
示した各種リパーゼにより、実施例1の方法に従って反
応させ、光学活性な(S)-グリシドールを得た。
【0027】得られた光学活性(S)-グリシドールの収率
と光学純度も、下記表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】実施例3:光学活性(R)-グリシドールの調
製〔その1〕 図2に示した概略図に従って、まず、 300mMリン酸緩衝
液(pH 7.0) 100mlに、エステラーゼSNSM87(ナガセ生化
学工業製) 10mgとグリシジルブチレート4.32g(30mmo
l)を加え、30℃で24時間攪拌した。 反応終了後、反
応液にヘプタン50mlを加え、グリシジルブチレートを抽
出した。 抽出液をガスクロマトグラフィーで分析した
ところ、光学純度98%の(S)-グリシジルブチレートが収
率29%で得られた。 この抽出液に、50mMリン酸緩衝液
(pH 7.0)50mlとリパーゼOF(名糖産業製) 5mgを加
え、得られた(S)-グリシジルブチレートを、30℃で加水
分解することにより、光学純度98%以上の(R)-グリシド
ールが収率22%で得られた。
【0030】実施例4:光学活性(R)-グリシドールの調
製〔その2〕 各種グリシドール脂肪酸エステル30mmolを、エステラー
ゼSNSM87により、実施例2の方法に従って反応させ、光
学活性な(R)-グリシドールを得た。 得られた光学活性
(R)-グリシドールの収率と光学純度を、下記表2に併せ
て示した。
【0031】
【表2】
【0032】実施例5:光学活性(R)-グリシドールの調
図3に示した概略図に従って、まず、クロロホルム 100
mlに、 (±)-グリシドールが1M(7.4g) 、無水酪酸が0.
5M(7.9g)の濃度になるように加え、そこへリパーゼB(E
nzymatix社製)を5mg加え、10℃で16時間攪拌した。
反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析し
たところ、光学純度78%の(S)-グリシジルブチレート
が、収率42%で得られた。 水洗することで、この反応
液から、グリシドールを除去した後、50mMリン酸緩衝液
(pH 7.0) 50ml とリパーゼOF(名糖産業製) 5mgを加
え、得られた(S)-グリシジルブチレートを、30℃で加水
分解することにより、光学純度78%の(R)-グリシドール
が収率38%で得られた。
【0033】実施例6:光学活性(R)-グリシドールの調
図3に示した概略図に従って、まず、クロロホルム 100
mlに、 (±)-グリシドールが0.5M(3.7g) 、無水コハク
酸が0.5M(5.0g)の濃度になるように加え、そこへリパー
ゼQL(名糖産業社製)を5mg加え、10℃で16時間攪拌し
た。 反応終了後、得られた反応物をガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、(S)-グリシジルサクシネート
が、光学純度76%、収率28%で得られた。 水洗するこ
とで、この反応液から、グリシドールを除去した後、50
mMリン酸緩衝液(pH 7.0) 50ml とリパーゼOF(名糖産業
製) 5mgを加え、得られた(S)-グリシジルサクシネート
を、30℃で加水分解することにより、光学純度76%の
(R)-グリシドールが収率25%で得られた。
【0034】
【発明の効果】本発明の方法によると、様々な分野での
応用が期待される光学活性グリシドールが、グリシドー
ル脂肪酸エステルから、簡便にかつ高い光学純度にて生
産されるなど、工業的大量生産に極めて有利な、光学活
性グリシドールの製法が提供されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造工程の第一実施例を示す概略図
である。
【図2】 本発明の製造工程の第二実施例を示す概略図
である。
【図3】 本発明の製造工程の第三実施例を示す概略図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 41/00 C12R 1:39) (C12P 41/00 C12R 1:025) (C12P 41/00 C12R 1:05) (C12P 41/00 C12R 1:38) (C12P 41/00 C12R 1:22)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学活性グリシドール化合物の製造方法
    であって、下記工程、すなわち; (1) リゾプス(Rhizopus)属、ムコア (Mucor)属、シュー
    ドモナス (Pseudomonas)属、アクロモバクター (Achrom
    obacter)属、あるいは、アルカリゲネス(Alcaligenes)
    属に属し、かつグリシドールの(S)-脂肪酸エステルを光
    学選択的に加水分解する酵素を産生する微生物から当該
    酵素を取得し、(2) 前記微生物が産生する酵素を、ラセ
    ミ体のグリシドール脂肪酸エステルに作用させて、光学
    活性(R)-グリシドール脂肪酸エステルを残存せしめ、
    (3) 前記光学活性(R)-グリシドール脂肪酸エステルに、
    リパーゼまたはエステラーゼを作用させて、前記光学活
    性(R)-グリシドール脂肪酸エステルを加水分解し、およ
    び(4) 生成した光学活性(S)-グリシドールを回収する、 工程を含むことを特徴とする光学活性グリシドールの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記グリシドール脂肪酸エステルが、グ
    リシジルアセテート、グリシジルプロピオネート、グリ
    シジルブチレート、グリシジルペンチレート、グリシジ
    ルヘキサレート、グリシジルサクシネート、およびそれ
    らの組み合わせからなるグループから選択される請求項
    1に記載の光学活性グリシドールの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記酵素が、リゾプス・アリザス(Rizop
    us arrhizus)、ムコア・ジャバニカス(Mucor javanicu
    s) 、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas
    fluorescens) 、アクロモバクター・エスピー(Achromob
    acter sp.) 、アルカリゲネス・エスピー(Alcaligenes
    sp.) 、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepasi
    a) 、およびリゾプス・ジャポニカス(Rizopus japonicu
    s)からなるグループから選択された微生物によって産生
    された酵素である、請求項1もしくは2に記載の光学活
    性グリシドールの製造方法。
  4. 【請求項4】 光学活性グリシドール化合物の製造方法
    であって、下記工程、すなわち; (1) クレブシエラ(Klebsiella)属に属し、かつグリシド
    ールの(R)-脂肪酸エステルを光学選択的に加水分解する
    酵素を産生する微生物から当該酵素を取得し、(2) 前記
    微生物が産生する酵素をラセミ体のグリシドール脂肪酸
    エステルに作用させて、光学活性(S)-グリシドール脂肪
    酸エステルを残存せしめ、(3) 前記光学活性(S)-グリシ
    ドール脂肪酸エステルに、リパーゼまたはエステラーゼ
    を作用させて、前記光学活性(S)-グリシドール脂肪酸エ
    ステルを加水分解し、および(4) 生成した光学活性(R)-
    グリシドールを回収する、 工程を含むことを特徴とする光学活性グリシドールの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記グリシドール脂肪酸エステルが、グ
    リシジルアセテート、グリシジルプロピオネート、グリ
    シジルブチレート、グリシジルペンチレート、グリシジ
    ルヘキサレート、グリシジルサクシネート、およびそれ
    らの組み合わせからなるグループから選択される請求項
    4に記載の光学活性グリシドールの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酵素が、クレブシエラ・オキシトカ
    (Klebsiellaoxytoca)に属する微生物によって産生され
    た酵素である、請求項4もしくは5に記載の光学活性グ
    リシドールの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記クレブシエラ・オキシトカ(Klebsie
    lla oxytoca)に属する微生物が、クレブシエラ・オキシ
    トカSNSM87株(Klebsiella oxytoca SNSM87:FERM P-129
    53)である、請求項6に記載の光学活性グリシドールの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 光学活性グリシドール化合物の製造方法
    であって、下記工程、すなわち; (1) リゾプス(Rhizopus)属、ムコア (Mucor)属、シュー
    ドモナス (Pseudomonas)属、アクロモバクター (Achrom
    obacter)属、あるいは、アルカリゲネス(Alcaligenes)
    属に属し、かつグリシドールの(R)-脂肪酸エステルを光
    学選択的に加水分解する酵素を産生する微生物から当該
    酵素を取得し、(2) 前記微生物が産生する酵素を、ラセ
    ミ体のグリシドールと酸無水物を含む混合物に作用させ
    て、光学活性(S)-グリシドール脂肪酸エステルを生成せ
    しめ、(3) 前記光学活性(S)-グリシドール酸脂肪酸エス
    テルに、リパーゼまたはエステラーゼを作用させて、前
    記光学活性(S)-グリシドール脂肪酸エステルを加水分解
    し、および(4) 生成した光学活性(R)-グリシドールを回
    収する、 工程を含むことを特徴とする光学活性グリシドールの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 前記グリシドール脂肪酸エステルが、グ
    リシジルアセテート、グリシジルプロピオネート、グリ
    シジルブチレート、グリシジルペンチレート、グリシジ
    ルヘキサレート、グリシジルサクシネート、およびそれ
    らの組み合わせからなるグループから選択される請求項
    8に記載の光学活性グリシドールの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記酸無水物が、無水酢酸、無水プロ
    ピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無
    水コハク酸、およびそれらの組み合わせからなるグルー
    プから選択される請求項8もしくは9に記載の光学活性
    グリシドールの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記酵素が、リゾプス・アリザス(Riz
    opus arrhizus)、ムコア・ジャバニカス(Mucor javanic
    us) 、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas
    fluorescens) 、アクロモバクター・エスピー(Achromo
    bactersp.)、アルカリゲネス・エスピー(Alcaligenes s
    p.) 、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepasi
    a) 、およびリゾプス・ジャポニカス(Rizopusjaponicu
    s)からなるグループから選択された微生物によって産生
    された酵素である、請求項8乃至10のいずれかに記載の
    光学活性グリシドールの製造方法。
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