JP3545442B2 - 光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及びその対掌体エステルの製造方法に関する。更に詳しくは、一般式(1)
【0002】
【化4】
【0003】
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素、Xはハロゲン原子を表す。)
で示される4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に、不斉的に加水分解するエステラーゼ活性を有する酵素を作用させ、一般式(2)
【0004】
【化5】
【0005】
(式中、*は光学活性な炭素を、Xはハロゲン原子を表す。)
で示される光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及び、一般式(3)
【0006】
【化6】
【0007】
(式中、*は光学活性な炭素を、Rは炭素数1〜6の炭化水素を、Xはハロゲン原子を表す。)
で示される残存した、一般式(2)の光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの対掌体のエステルに分割し、それぞれを分離、採取することを特徴とする光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及びそのエステルの工業的に有利な製造方法に関するものである。
【0008】
光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールは、種々の医薬品や生理活性物質の有用な中間体である。光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルは化学的あるいは酵素的加水分解により光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールにすることができ、利用することができる。
【0009】
【従来の技術】
光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの製法としては、WO93−02061に光学活性触媒を用いた不斉還元法による製造例がある。しかし、4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に酵素を作用させて光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールとその対掌体エステルとに光学分割する方法については報告されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及びその対掌体エステルの工業的生産を目指して種々検討を行った結果、4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体を不斉的に加水分解する酵素を見出した。
本発明は、4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に酵素を作用させることにより、光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールとその対掌体エステルの製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の基質として用いられる、一般式(1)
【0012】
【化7】
【0013】
で示される4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体の置換基X,Rの組み合わせは次のようなものが挙げられる。Xは例えば塩素または臭素等のハロゲン基、Rは例えば炭素数1〜6の直鎖あるいは分岐状の脂肪族炭化水素基が挙げられるが、この脂肪族炭化水素基の一部がハロゲン基または水酸基に置換されていても差し支えない。
【0014】
原料の4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体は、公知の方法によって合成することができる。例えば、一般式(4)
【0015】
【化8】
【0016】
で示される4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールをマンフレツド・ライフエンらの方法(特開昭62−226971参照)によって合成する。この4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールを常法によりエステル化することにより4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルを合成することができる。
【0017】
本発明に用いられる酵素としては、一般式(1)で示される4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体を不斉的に加水分解して一般式(2)で示される光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及び一般式(3)で示される、(2)の対掌体エステルを生成させる立体選択性のあるエステラーゼ活性を有する酵素であれば、微生物由来でも、動物由来でもいずれでも用いることができる。
本発明に用いることのできる酵素としては、例えばシュードモナス(Pseudomonas)属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属に属する酵素、更に詳しくはシュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、クロモバクテリウム・ビスコスム(Chromobacterium viscosum) 、トリコデルマ・ビリド(Trichoderma viride) から得られる酵素が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
これらの酵素の市販品として、リパーゼ「アマノ」P、リパーゼ「アマノ」PS、セルラーゼ「アマノ」T4(以上、天野製薬株式会社製)、リパーゼ東洋(東洋醸造株式会社製)、セルラーゼ「オノズカ」R−10、セルラーゼ「オノズカ」3S(以上、ヤクルト株式会社製)等があり、これらはいずれも利用することができる。
【0018】
不斉加水分解反応は、基質(1)を好ましくは0.1〜90%(w/v)の範囲で水に懸濁し、適量の酵素、例えば基質と酵素の重量比1:1〜500:1の割合で加え、温度10〜45℃、好ましくは25〜35℃の範囲で攪拌しながら行う。pHは4.0〜7.0の範囲が好ましいが、更に、加水分解反応の進行に伴い反応液のpHが酸性側に傾くので、NaOHなどの適当なアルカリ水溶液等でpHを5.0〜6.0の範囲に保持するのが好ましい。不斉識別の厳格な酵素であれば、基質の2分の1当量のアルカリ水溶液が消費された時点で加水分解反応は停止し、反応が終了したことを知ることができる。従って、本発明に利用しうる酵素の検索もこの方法によって行うことができる。また、酵素は適当な水不溶性担体、例えばイオン交換樹脂等に固定化して行うことができる。
【0019】
次に不斉加水分解反応の後、反応液から(2)と(3)を分離採取する方法としては、例えば酢酸エチル、塩化メチレン等の有機溶媒で抽出し、減圧下溶媒除去後、シリカゲルクロマトグラフィー、例えばワコーゲルC−200(登録商標)を用い、ヘキサン/酢酸エチル混合溶剤で溶出することにより両者を容易に分離できる。(2)及び(3)の光学純度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、表1の如き条件で決定できる。
【0020】
【表1】
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に具体的に示すが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの酢酸エステル〔一般式(1)において,X=Br,R=CH3 〕100mg、リパーゼ「アマノ」P、リパーゼ「アマノ」PS、リパーゼ東洋、セルラーゼ「アマノ」T4をそれぞれ10mgを200mMリン酸緩衝液(pH5.0)10mlに添加し、30℃にて振盪下で、15時間反応させた。次に酢酸エチル10mlで抽出し、減圧下溶媒除去を行い油状物質を得た。得られた混合生成物をHPLCにて分析したところ表2のような結果が得られた。
【0022】
【表2】
【0023】
実施例2
4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの酪酸エステル〔一般式(1)において,X=Br,R=(CH2 )2 CH3 〕あるいはイソ酪酸エステル〔一般式(1)において,X=Br,R=CH(CH3 )2 〕の各100mgを基質とし、リパーゼ「アマノ」P、リパーゼ「アマノ」PS、リパーゼ東洋をそれぞれ10mgを酵素として用いて、実施例1と同様の条件で酪酸エステルを基質とした場合で15時間、イソ酪酸エステルの場合で40時間反応を行い、表3の結果を得た。
【0024】
【表3】
【0025】
実施例3
4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの酢酸エステル〔一般式(1)において,X=Br,R=CH3 〕16.3g、リパーゼ「アマノ」PS 1.63gを50mMリン酸緩衝液(pH5.0)300mlに添加し、30℃にて攪拌下で、1.25N NaOH水溶液でpHを5.0に保持しつつ17時間反応させた。次に酢酸エチルで3回抽出し、酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下溶媒除去をし、油状物質を得た。これをワコーゲルC−200(登録商標)500gをつめたカラムに負荷し、ヘキサン/酢酸エチル〔20:1(W/V)〕にて溶出した。(S)−(2)画分と(R)−(3)画分をそれぞれ集め、減圧下溶剤を除去し、それぞれ油状物質を得た。それらの分析値は表4の如くであった。
【0026】
【表4】
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に、不斉的に加水分解するエステラーゼ活性を有する酵素を作用させることにより、光学活性な4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール、およびその対掌体エステルを工業的に有利に生産することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及びその対掌体エステルの製造方法に関する。更に詳しくは、一般式(1)
【0002】
【化4】
【0003】
(式中、Rは炭素数1〜6の炭化水素、Xはハロゲン原子を表す。)
で示される4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に、不斉的に加水分解するエステラーゼ活性を有する酵素を作用させ、一般式(2)
【0004】
【化5】
【0005】
(式中、*は光学活性な炭素を、Xはハロゲン原子を表す。)
で示される光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及び、一般式(3)
【0006】
【化6】
【0007】
(式中、*は光学活性な炭素を、Rは炭素数1〜6の炭化水素を、Xはハロゲン原子を表す。)
で示される残存した、一般式(2)の光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの対掌体のエステルに分割し、それぞれを分離、採取することを特徴とする光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及びそのエステルの工業的に有利な製造方法に関するものである。
【0008】
光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールは、種々の医薬品や生理活性物質の有用な中間体である。光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルは化学的あるいは酵素的加水分解により光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールにすることができ、利用することができる。
【0009】
【従来の技術】
光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの製法としては、WO93−02061に光学活性触媒を用いた不斉還元法による製造例がある。しかし、4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に酵素を作用させて光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールとその対掌体エステルとに光学分割する方法については報告されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及びその対掌体エステルの工業的生産を目指して種々検討を行った結果、4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体を不斉的に加水分解する酵素を見出した。
本発明は、4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に酵素を作用させることにより、光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールとその対掌体エステルの製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の基質として用いられる、一般式(1)
【0012】
【化7】
【0013】
で示される4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体の置換基X,Rの組み合わせは次のようなものが挙げられる。Xは例えば塩素または臭素等のハロゲン基、Rは例えば炭素数1〜6の直鎖あるいは分岐状の脂肪族炭化水素基が挙げられるが、この脂肪族炭化水素基の一部がハロゲン基または水酸基に置換されていても差し支えない。
【0014】
原料の4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体は、公知の方法によって合成することができる。例えば、一般式(4)
【0015】
【化8】
【0016】
で示される4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールをマンフレツド・ライフエンらの方法(特開昭62−226971参照)によって合成する。この4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールを常法によりエステル化することにより4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルを合成することができる。
【0017】
本発明に用いられる酵素としては、一般式(1)で示される4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体を不斉的に加水分解して一般式(2)で示される光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及び一般式(3)で示される、(2)の対掌体エステルを生成させる立体選択性のあるエステラーゼ活性を有する酵素であれば、微生物由来でも、動物由来でもいずれでも用いることができる。
本発明に用いることのできる酵素としては、例えばシュードモナス(Pseudomonas)属、クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属に属する酵素、更に詳しくはシュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、クロモバクテリウム・ビスコスム(Chromobacterium viscosum) 、トリコデルマ・ビリド(Trichoderma viride) から得られる酵素が挙げられ、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
これらの酵素の市販品として、リパーゼ「アマノ」P、リパーゼ「アマノ」PS、セルラーゼ「アマノ」T4(以上、天野製薬株式会社製)、リパーゼ東洋(東洋醸造株式会社製)、セルラーゼ「オノズカ」R−10、セルラーゼ「オノズカ」3S(以上、ヤクルト株式会社製)等があり、これらはいずれも利用することができる。
【0018】
不斉加水分解反応は、基質(1)を好ましくは0.1〜90%(w/v)の範囲で水に懸濁し、適量の酵素、例えば基質と酵素の重量比1:1〜500:1の割合で加え、温度10〜45℃、好ましくは25〜35℃の範囲で攪拌しながら行う。pHは4.0〜7.0の範囲が好ましいが、更に、加水分解反応の進行に伴い反応液のpHが酸性側に傾くので、NaOHなどの適当なアルカリ水溶液等でpHを5.0〜6.0の範囲に保持するのが好ましい。不斉識別の厳格な酵素であれば、基質の2分の1当量のアルカリ水溶液が消費された時点で加水分解反応は停止し、反応が終了したことを知ることができる。従って、本発明に利用しうる酵素の検索もこの方法によって行うことができる。また、酵素は適当な水不溶性担体、例えばイオン交換樹脂等に固定化して行うことができる。
【0019】
次に不斉加水分解反応の後、反応液から(2)と(3)を分離採取する方法としては、例えば酢酸エチル、塩化メチレン等の有機溶媒で抽出し、減圧下溶媒除去後、シリカゲルクロマトグラフィー、例えばワコーゲルC−200(登録商標)を用い、ヘキサン/酢酸エチル混合溶剤で溶出することにより両者を容易に分離できる。(2)及び(3)の光学純度は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、表1の如き条件で決定できる。
【0020】
【表1】
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に具体的に示すが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの酢酸エステル〔一般式(1)において,X=Br,R=CH3 〕100mg、リパーゼ「アマノ」P、リパーゼ「アマノ」PS、リパーゼ東洋、セルラーゼ「アマノ」T4をそれぞれ10mgを200mMリン酸緩衝液(pH5.0)10mlに添加し、30℃にて振盪下で、15時間反応させた。次に酢酸エチル10mlで抽出し、減圧下溶媒除去を行い油状物質を得た。得られた混合生成物をHPLCにて分析したところ表2のような結果が得られた。
【0022】
【表2】
【0023】
実施例2
4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの酪酸エステル〔一般式(1)において,X=Br,R=(CH2 )2 CH3 〕あるいはイソ酪酸エステル〔一般式(1)において,X=Br,R=CH(CH3 )2 〕の各100mgを基質とし、リパーゼ「アマノ」P、リパーゼ「アマノ」PS、リパーゼ東洋をそれぞれ10mgを酵素として用いて、実施例1と同様の条件で酪酸エステルを基質とした場合で15時間、イソ酪酸エステルの場合で40時間反応を行い、表3の結果を得た。
【0024】
【表3】
【0025】
実施例3
4−(2−ブロモ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの酢酸エステル〔一般式(1)において,X=Br,R=CH3 〕16.3g、リパーゼ「アマノ」PS 1.63gを50mMリン酸緩衝液(pH5.0)300mlに添加し、30℃にて攪拌下で、1.25N NaOH水溶液でpHを5.0に保持しつつ17時間反応させた。次に酢酸エチルで3回抽出し、酢酸エチル層を硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下溶媒除去をし、油状物質を得た。これをワコーゲルC−200(登録商標)500gをつめたカラムに負荷し、ヘキサン/酢酸エチル〔20:1(W/V)〕にて溶出した。(S)−(2)画分と(R)−(3)画分をそれぞれ集め、減圧下溶剤を除去し、それぞれ油状物質を得た。それらの分析値は表4の如くであった。
【0026】
【表4】
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に、不斉的に加水分解するエステラーゼ活性を有する酵素を作用させることにより、光学活性な4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール、およびその対掌体エステルを工業的に有利に生産することができる。
Claims (1)
- 一般式(1)
で示される4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールのエステルのラセミ体に、不斉的に加水分解するエステラーゼ活性を有する酵素を作用させ、一般式(2)
で示される光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及び、一般式(3)
で示される残存した、一般式(2)の光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの対掌体のエステルに分割し、それぞれを分離、採取することを特徴とする光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾール及びそのエステルの製造方法。
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JP34660293A JP3545442B2 (ja) | 1993-12-21 | 1993-12-21 | 光学活性4−(2−ハロ−1−ヒドロキシエチル)−2−トリフルオロメチルチアゾールの製造方法 |
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JPH07170996A JPH07170996A (ja) | 1995-07-11 |
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