JPH093120A - 硫黄変性クロロプレン重合体の製造方法 - Google Patents

硫黄変性クロロプレン重合体の製造方法

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JPH093120A
JPH093120A JP15600195A JP15600195A JPH093120A JP H093120 A JPH093120 A JP H093120A JP 15600195 A JP15600195 A JP 15600195A JP 15600195 A JP15600195 A JP 15600195A JP H093120 A JPH093120 A JP H093120A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、特定の化合物を用いて可塑
化することにより、所定のムーニー粘度を有し、かつ変
異原性ニトロソアミン化合物を生成しない硫黄変性クロ
ロプレン重合体の製造方法を提供することにある。 【構成】 2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む単量
体及び硫黄を乳化重合し、得られた重合体を可塑化する
際、(1)ジベンゾチアジルジスルフィド、(2)N−
シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミ
ド、(3)N−ターシャリーブチル−2−ベンゾチアゾ
リルスルフェンアミド、(4)2−ベンズアミドチオフ
ェノールの亜鉛塩、(5)N,N’−ジエチルチオウレ
アのうち少なくとも一種の存在下で可塑化(ペプチゼー
ション)することを特徴とする硫黄変性クロロプレン重
合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な硫黄変性クロロプ
レン重合体の製造方法に関するものであり、更に詳しく
は変異原性を示すニトロソアミン化合物を生成しない硫
黄変性クロロプレン重合体の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】クロロプレン重合体は、硫黄変性タイプ
と非硫黄変性タイプに大別され、それぞれバランスした
特性を活かして自動車部品、接着剤、各種工業部品など
広範囲な分野に用いられている。
【0003】ところで、硫黄変性クロロプレン重合体で
は分子量を調節するための可塑化(ペプチゼーション)
工程が知られており、可塑化剤としてテトラエチルチウ
ラムジスルフィドなどが用いられてきた。しかし、テト
ラエチルチウラムジスルフィドのようなチウラム類はニ
トロソアミンの原因物質である事が指摘されているため
(例えば、ポリマーダイジェストp92,1987年1
2月)、可塑化性能を有し、かつ、ニトロソアミンを発
生しない新たな化合物が求められている。また、最近に
なって、ジチオカルバミン酸塩やキサントゲン酸塩が可
塑化に有効であることが報告されている(特公平6−7
6461号公報)。一方、ニトロソアミンを発生させな
い加硫剤(例えば、ELASTOMERICSp22,JUNE,19
91)、あるいは不揮発性のテトラアルキルチウラムジ
スルフィド化合物が提案され、利用されている(特開平
7−62155号公報)。また、重合開始時から重合系
内に存在させて分子量を調節する連鎖移動剤としては、
アルキルキサントゲンジスルフィドや炭素数が8〜20
のアルキルメルカプタンなどが公知である(例えば米国
特許第3378538号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、変異
原性ニトロソアミン化合物を生成しない硫黄変性クロロ
プレン重合体の製造方法を提供することにある。更に具
体的にはニトロソアミンの原因物質であるチウラム類を
使用すること無く、ニトロソアミンを発生しない他の化
合物を用いて可塑化することにより、所定のムーニー粘
度を有する硫黄変性クロロプレン重合体の製造方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は2−
クロロ−1,3−ブタジエン単量体及び硫黄を乳化重合
し、続いて重合停止させ、得られた重合体を可塑化する
際、下記化合物(1)〜(5)のうち少なくとも一種の
存在下で可塑化することを特徴とする硫黄変性クロロプ
レン重合体の製造方法に関するものである。 (1)ジベンゾチアジルジスルフィド (2)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスル
フェンアミド (3)N−ターシャリーブチル−2−ベンゾチアゾリル
スルフェンアミド (4)2−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩 (5)N,N’−ジエチルチオウレア また、本発明によれば上記化合物(1)〜(5)のうち
少なくとも一種の水性分散液を形成させた後、重合停止
ラテックスに連続的または回分的に添加して可塑化する
ことにより、更に好適に硫黄変性クロロプレン重合体を
製造することが実施出来る。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
硫黄変性クロロプレン重合体の製造においては、まず、
2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む単量体及び硫黄
が用いられる。なお、本発明における2−クロロ−1,
3−ブタジエンを含む単量体としては、2−クロロ−
1,3−ブタジエンを単独で、または、2−クロロ−
1,3−ブタジエンと本発明の硫黄変性クロロプレン重
合体の特性を損なわない範囲、好ましくは全単量体中1
0重量%以下で、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量
体と共重合可能な単量体1種以上とを混合して用いるこ
とが出来る(以下、クロロプレン系単量体と称する)。2
−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な単量体と
しては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエ
ン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、スチレン、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタ
ジエン、メタクリル酸及びこれらのエステル類などであ
る。重合に際して、硫黄の量はクロロプレン系単量体1
00重量部に対して、好ましくは0.1〜1.5重量部、
更に好ましくは0.3〜1.5重量部である。0.1重量
部未満では硫黄変性クロロプレン重合体の特徴である優
れた機械的あるいは動的特性を示さず、また、1.5重
量部を超えると加工時に配合物のムーニー粘度低下が著
しくなり作業性が損なわれる場合が挙げられる。
【0007】所定量の硫黄をクロロプレン系単量体に溶
解した後、乳化剤を含有する水性乳化液と混合撹拌し、
重合に用いる。乳化重合は公知の方法で行うことができ
る。乳化剤としては、例えば炭素数が6〜22である飽
和または不飽和の脂肪酸のアルカリ金属塩、ロジン酸ま
たは不均化ロジン酸のアルカリ金属塩、β−ナフタレン
スルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩などが
用いられる。
【0008】重合温度は0〜100℃、好ましくは0〜
55℃である。重合開始剤としては通常のラジカル重合
で用いられる過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、過硫
酸アンモニウム、過酸化水素などが用いられる。重合は
実用的見地から転化率30〜95%、好ましくは50〜
95%の範囲で行われ、ついで重合禁止剤を加えて停止
させる。重合禁止剤としては、例えばチオジフェニルア
ミン、4−第三ブチルカテコール、2,2’−メチレン
ビス−4−メチル−6−第三−ブチルフェノールなどが
ある。
【0009】本発明の重要な点は可塑化(ペプチゼーシ
ョン)方法である。ここでいう可塑化とは乳化重合によ
って形成したポリマー分子鎖を化学的に切断、解重合
し、成形加工に適する程度までポリマー分子鎖長を短く
すること、すなわち、ムーニー粘度を適正な範囲にまで
下げることを表す。まず、可塑化用の化合物として、ジ
ベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2
−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ターシャリ
ーブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2
−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩、N,N’−ジ
エチルチオウレアの五種類のうち、一種類または二種類
以上を用い、重合体100重量部に対し0.1〜10重
量部、好ましくは0.3〜3重量部の範囲で添加し、2
0〜70℃の温度で所定のムーニー粘度に達するまで行
われる。硫黄変性クロロプレン重合体の好ましいムーニ
ー粘度範囲は、20〜120、より好ましくは25〜9
0、更に好ましくは30〜60である。二種類以上の上
記化合物(以下、可塑化剤と言い替える)を併用した場
合には各々の可塑化性能が加算的に発現する。また、既
述の可塑化剤の少なくとも一種と共に、炭素数が1〜4
のジアルキルキサントゲンジスルフィド、すなわち、ジ
ブチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサ
ントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフ
ィド、ジメチルキサントゲンジスルフィドのうち少なく
とも一種を、重合体100重量部に対し0.1〜10重
量部、好ましくは0.2〜5重量部共存させることは本
発明を達成する上で有効な手段である。更には、チウラ
ム類以外のこれまでに知られている可塑化剤もしくは連
鎖移動剤を併用することも可能であり、公知の可塑化剤
もしくは連鎖移動剤としては、例えば、エチルキサント
ゲン酸カリウム、2,2−(2,4−ジオキソペンタメ
チレン)−n−ブチル−キサントゲン酸ナトリウムなど
のキサントゲン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナト
リウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブ
チルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチオカルバ
ミン酸塩などがある。
【0010】また、本発明においては可塑化剤の添加方
法も重要である。本発明による可塑化剤は室温で固体
(粉体)であり、以下に記す方法で水性乳化液に分散さ
せた状態で可塑化工程に供することが望ましい。まず、
周知の乳化剤である例えば炭素数6〜22の飽和または
不飽和の脂肪酸のアルカリ金属塩及び/またはβ−ナフ
タレンスルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩
などを準備し、次に少量のこれらの乳化剤を水に加えて
乳化液を作製する(以下、これを水性乳化液と言う)。
この水性乳化液に本発明の可塑化剤を添加し、撹拌翼や
スタラーなどを用いて混合撹拌して可塑化剤の分散液と
した後、可塑化に供することが効果的であり、本発明に
よる可塑化剤の性能を有効に発現させることができる。
なお、本発明の可塑化剤の中で、N,N’−ジエチルチ
オウレアは2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体との
溶解性を有するため、少量の単量体にN,N’−ジエチ
ルチオウレアを溶解した後、水性乳化液に分散させても
よい。
【0011】可塑化剤の分散液は、重合体を含有する重
合終了後のラテックス(重合終了ラテックス)に回分的
または連続的に所定量を添加することができる。ここで
いう回分的添加には、可塑化期間中に断続的に分割添加
するのみならず、可塑化する前の一括添加または可塑化
期間中に少なくとも1回添加することも含まれる。更
に、混合撹拌過程で各種ホモジナイザーやボールミルな
どを用いて微粉化、微分散化し可塑化工程に用いること
は、可塑化剤の性能を十分に引き出す手段として有効で
ある。また、粉状の可塑化剤を予め分級し粒径が細かい
成分を使用することもできる。
【0012】貯蔵時のムーニー粘度変化を防止するた
め、少量の安定剤をポリマーに含有させることもでき
る。そのような安定剤の例としては、フェニル−α−ナ
フチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,6−
ジ−ターシャリー−ブチル−4−フェニルフェノール、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリ
ー−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−
ターシャリー−ブチル−3−メチルフェノール)などが
ある。
【0013】重合体の単離はラテックスのpHを5.5
〜7.5に調整し、常法の凍結凝固−水洗−熱風乾燥な
どの方法で実施することができる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により、本発明の共重合体の製
造法を具体的に説明するが、これによって本発明は限定
されるものではない。
【0015】実施例1〜11、比較例1〜5 内容積5リットルの4ツ口フラスコに表1に示す重合処
方で2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体、硫黄及び
他の薬剤を仕込み、過硫酸カリウムを開始剤として窒素
気流中で重合を行った。転化率80%に達した時、チオ
ジフェニルアミンを添加して重合を停止した。こうして
得られたラテックスを水蒸気蒸留して未反応の単量体を
除去し、可塑化前の重合終了ラテックスを得た(以下、
この重合終了ラテックスを単にラテックスと言う)。こ
のラテックスに表2に示す可塑化剤を水性分散液として
ラテックス中の重合体重量基準で所定量添加した後、撹
拌しながら温度50℃で12時間保持して可塑化した。
その後、ラテックスを冷却し、常法の凍結−凝固法で重
合体を単離した(以下、単離した重合体をポリマーと言
い替える)。なお、ここで用いた可塑化剤の水性分散液
は以下の方法で作製した。まず、純水にドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウムを5重量%となるように加え、
加温、撹拌し水性乳化液を作製した。次に、所定量の可
塑化剤をガラス容器に入れ、重量基準で可塑化剤の10
倍量の水性乳化液を加えた後、アンカー翼で回転数10
0rpmの条件で6時間混合撹拌し水性分散液を作製し
た。この水性分散液をラテックスに添加した。得られた
ポリマーのムーニー粘度をJIS K−6300に従い
測定した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】ここで、表2中、添加時期が初期とあるの
は、ラテックスの昇温開始直前に添加したことを示す。
【0019】12時間可塑化した後のポリマーのムーニ
ー粘度を表2に示す。実施例1〜7は本発明による可塑
化剤を各々単独で用い可塑化した場合、実施例8〜10
は公知の可塑化剤であるジイソプロピルキサントゲンジ
スルフィドあるいはジエチルキサントゲンジスルフィド
と併用した場合、実施例11は本発明による可塑化剤の
うち三種類を併用した場合である。比較例1〜4は本発
明による可塑化剤と比較的分子構造が近い化合物を用い
て可塑化した場合、比較例5は可塑化剤を全く添加しな
かった場合である。表2の比較例中、測定不能とあるの
はムーニー粘度測定時レンジオーバーとなり測定できな
かったことを表す。実施例と比較例を対比させることに
より、本発明により見いだされた化合物は特異的に優れ
た可塑化効果を示すことが明らかである。
【0020】
【発明の効果】本発明により見い出された新規の可塑化
剤は優れた可塑化効果を有し、これらの可塑化剤を用い
て合成された硫黄変性クロロプレン重合体は変異原性を
示すニトロソアミン化合物を生成しないため、安全衛生
上優れており、工業的に極めて有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む
    単量体及び硫黄を乳化重合し、続いて重合停止させ、得
    られた重合体を可塑化(ペプチゼーション)する際、下
    記化合物(1)〜(5)のうち少なくとも一種の存在下
    で可塑化することを特徴とする硫黄変性クロロプレン重
    合体の製造方法。 (1)ジベンゾチアジルジスルフィド (2)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスル
    フェンアミド (3)N−ターシャリーブチル−2−ベンゾチアゾリル
    スルフェンアミド (4)2−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩 (5)N,N’−ジエチルチオウレア
  2. 【請求項2】 炭素数が1〜4のジアルキルキサントゲ
    ンジスルフィドのうち少なくとも一種を共存させて可塑
    化することを特徴とする請求項1記載の硫黄変性クロロ
    プレン重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、化合物(1)〜
    (5)のうち少なくとも一種の水性分散液を形成させた
    後、重合停止ラテックスに回分的または連続的に添加し
    て可塑化することを特徴とする硫黄変性クロロプレン重
    合体の製造方法。
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