JP3411127B2 - 硫黄変性クロロプレン重合体の製造方法 - Google Patents
硫黄変性クロロプレン重合体の製造方法Info
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Description
レン重合体の製造方法に関するものであり、更に詳しく
は変異原性を示すニトロソアミン化合物を生成しない硫
黄変性クロロプレン重合体の製造方法に関するものであ
る。
と非硫黄変性タイプに大別され、それぞれバランスした
特性を活かして自動車部品、接着剤、各種工業部品など
広範囲な分野に用いられている。
は分子量を調節するための可塑化(ペプチゼーション)
工程が知られており、可塑化剤としてテトラエチルチウ
ラムジスルフィドなどが用いられてきた。しかし、テト
ラエチルチウラムジスルフィドのようなチウラム類はニ
トロソアミンの原因物質である事が指摘されているため
(例えば、ポリマーダイジェストp92,1987年1
2月)、可塑化性能を有し、かつ、ニトロソアミンを発
生しない新たな化合物が求められている。また、最近に
なって、ジチオカルバミン酸塩やキサントゲン酸塩が可
塑化に有効であることが報告されている(特公平6−7
6461号公報)。一方、ニトロソアミンを発生させな
い加硫剤(例えば、ELASTOMERICSp22,JUNE,19
91)、あるいは不揮発性のテトラアルキルチウラムジ
スルフィド化合物が提案され、利用されている(特開平
7−62155号公報)。また、重合開始時から重合系
内に存在させて分子量を調節する連鎖移動剤としては、
アルキルキサントゲンジスルフィドや炭素数が8〜20
のアルキルメルカプタンなどが公知である(例えば米国
特許第3378538号)。
原性ニトロソアミン化合物を生成しない硫黄変性クロロ
プレン重合体の製造方法を提供することにある。更に具
体的にはニトロソアミンの原因物質であるチウラム類を
使用すること無く、ニトロソアミンを発生しない他の化
合物を用いて可塑化することにより、所定のムーニー粘
度を有する硫黄変性クロロプレン重合体の製造方法を提
供することにある。
クロロ−1,3−ブタジエン単量体及び硫黄を乳化重合
し、続いて重合停止させ、得られた重合体を可塑化する
際、下記化合物(1)〜(5)のうち少なくとも一種の
存在下で可塑化することを特徴とする硫黄変性クロロプ
レン重合体の製造方法に関するものである。 (1)ジベンゾチアジルジスルフィド (2)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスル
フェンアミド (3)N−ターシャリーブチル−2−ベンゾチアゾリル
スルフェンアミド (4)2−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩 (5)N,N’−ジエチルチオウレア また、本発明によれば上記化合物(1)〜(5)のうち
少なくとも一種の水性分散液を形成させた後、重合停止
ラテックスに連続的または回分的に添加して可塑化する
ことにより、更に好適に硫黄変性クロロプレン重合体を
製造することが実施出来る。
硫黄変性クロロプレン重合体の製造においては、まず、
2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む単量体及び硫黄
が用いられる。なお、本発明における2−クロロ−1,
3−ブタジエンを含む単量体としては、2−クロロ−
1,3−ブタジエンを単独で、または、2−クロロ−
1,3−ブタジエンと本発明の硫黄変性クロロプレン重
合体の特性を損なわない範囲、好ましくは全単量体中1
0重量%以下で、2−クロロ−1,3−ブタジエン単量
体と共重合可能な単量体1種以上とを混合して用いるこ
とが出来る(以下、クロロプレン系単量体と称する)。2
−クロロ−1,3−ブタジエンと共重合可能な単量体と
しては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエ
ン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、スチレン、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタ
ジエン、メタクリル酸及びこれらのエステル類などであ
る。重合に際して、硫黄の量はクロロプレン系単量体1
00重量部に対して、好ましくは0.1〜1.5重量部、
更に好ましくは0.3〜1.5重量部である。0.1重量
部未満では硫黄変性クロロプレン重合体の特徴である優
れた機械的あるいは動的特性を示さず、また、1.5重
量部を超えると加工時に配合物のムーニー粘度低下が著
しくなり作業性が損なわれる場合が挙げられる。
解した後、乳化剤を含有する水性乳化液と混合撹拌し、
重合に用いる。乳化重合は公知の方法で行うことができ
る。乳化剤としては、例えば炭素数が6〜22である飽
和または不飽和の脂肪酸のアルカリ金属塩、ロジン酸ま
たは不均化ロジン酸のアルカリ金属塩、β−ナフタレン
スルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩などが
用いられる。
55℃である。重合開始剤としては通常のラジカル重合
で用いられる過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、過硫
酸アンモニウム、過酸化水素などが用いられる。重合は
実用的見地から転化率30〜95%、好ましくは50〜
95%の範囲で行われ、ついで重合禁止剤を加えて停止
させる。重合禁止剤としては、例えばチオジフェニルア
ミン、4−第三ブチルカテコール、2,2’−メチレン
ビス−4−メチル−6−第三−ブチルフェノールなどが
ある。
ョン)方法である。ここでいう可塑化とは乳化重合によ
って形成したポリマー分子鎖を化学的に切断、解重合
し、成形加工に適する程度までポリマー分子鎖長を短く
すること、すなわち、ムーニー粘度を適正な範囲にまで
下げることを表す。まず、可塑化用の化合物として、ジ
ベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2
−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ターシャリ
ーブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2
−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩、N,N’−ジ
エチルチオウレアの五種類のうち、一種類または二種類
以上を用い、重合体100重量部に対し0.1〜10重
量部、好ましくは0.3〜3重量部の範囲で添加し、2
0〜70℃の温度で所定のムーニー粘度に達するまで行
われる。硫黄変性クロロプレン重合体の好ましいムーニ
ー粘度範囲は、20〜120、より好ましくは25〜9
0、更に好ましくは30〜60である。二種類以上の上
記化合物(以下、可塑化剤と言い替える)を併用した場
合には各々の可塑化性能が加算的に発現する。また、既
述の可塑化剤の少なくとも一種と共に、炭素数が1〜4
のジアルキルキサントゲンジスルフィド、すなわち、ジ
ブチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサ
ントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフ
ィド、ジメチルキサントゲンジスルフィドのうち少なく
とも一種を、重合体100重量部に対し0.1〜10重
量部、好ましくは0.2〜5重量部共存させることは本
発明を達成する上で有効な手段である。更には、チウラ
ム類以外のこれまでに知られている可塑化剤もしくは連
鎖移動剤を併用することも可能であり、公知の可塑化剤
もしくは連鎖移動剤としては、例えば、エチルキサント
ゲン酸カリウム、2,2−(2,4−ジオキソペンタメ
チレン)−n−ブチル−キサントゲン酸ナトリウムなど
のキサントゲン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナト
リウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブ
チルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチオカルバ
ミン酸塩などがある。
法も重要である。本発明による可塑化剤は室温で固体
(粉体)であり、以下に記す方法で水性乳化液に分散さ
せた状態で可塑化工程に供することが望ましい。まず、
周知の乳化剤である例えば炭素数6〜22の飽和または
不飽和の脂肪酸のアルカリ金属塩及び/またはβ−ナフ
タレンスルホン酸のホルマリン縮合物のアルカリ金属塩
などを準備し、次に少量のこれらの乳化剤を水に加えて
乳化液を作製する(以下、これを水性乳化液と言う)。
この水性乳化液に本発明の可塑化剤を添加し、撹拌翼や
スタラーなどを用いて混合撹拌して可塑化剤の分散液と
した後、可塑化に供することが効果的であり、本発明に
よる可塑化剤の性能を有効に発現させることができる。
なお、本発明の可塑化剤の中で、N,N’−ジエチルチ
オウレアは2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体との
溶解性を有するため、少量の単量体にN,N’−ジエチ
ルチオウレアを溶解した後、水性乳化液に分散させても
よい。
合終了後のラテックス(重合終了ラテックス)に回分的
または連続的に所定量を添加することができる。ここで
いう回分的添加には、可塑化期間中に断続的に分割添加
するのみならず、可塑化する前の一括添加または可塑化
期間中に少なくとも1回添加することも含まれる。更
に、混合撹拌過程で各種ホモジナイザーやボールミルな
どを用いて微粉化、微分散化し可塑化工程に用いること
は、可塑化剤の性能を十分に引き出す手段として有効で
ある。また、粉状の可塑化剤を予め分級し粒径が細かい
成分を使用することもできる。
め、少量の安定剤をポリマーに含有させることもでき
る。そのような安定剤の例としては、フェニル−α−ナ
フチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,6−
ジ−ターシャリー−ブチル−4−フェニルフェノール、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリ
ー−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−
ターシャリー−ブチル−3−メチルフェノール)などが
ある。
〜7.5に調整し、常法の凍結凝固−水洗−熱風乾燥な
どの方法で実施することができる。
造法を具体的に説明するが、これによって本発明は限定
されるものではない。
方で2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体、硫黄及び
他の薬剤を仕込み、過硫酸カリウムを開始剤として窒素
気流中で重合を行った。転化率80%に達した時、チオ
ジフェニルアミンを添加して重合を停止した。こうして
得られたラテックスを水蒸気蒸留して未反応の単量体を
除去し、可塑化前の重合終了ラテックスを得た(以下、
この重合終了ラテックスを単にラテックスと言う)。こ
のラテックスに表2に示す可塑化剤を水性分散液として
ラテックス中の重合体重量基準で所定量添加した後、撹
拌しながら温度50℃で12時間保持して可塑化した。
その後、ラテックスを冷却し、常法の凍結−凝固法で重
合体を単離した(以下、単離した重合体をポリマーと言
い替える)。なお、ここで用いた可塑化剤の水性分散液
は以下の方法で作製した。まず、純水にドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウムを5重量%となるように加え、
加温、撹拌し水性乳化液を作製した。次に、所定量の可
塑化剤をガラス容器に入れ、重量基準で可塑化剤の10
倍量の水性乳化液を加えた後、アンカー翼で回転数10
0rpmの条件で6時間混合撹拌し水性分散液を作製し
た。この水性分散液をラテックスに添加した。得られた
ポリマーのムーニー粘度をJIS K−6300に従い
測定した。
は、ラテックスの昇温開始直前に添加したことを示す。
ー粘度を表2に示す。実施例1〜7は本発明による可塑
化剤を各々単独で用い可塑化した場合、実施例8〜10
は公知の可塑化剤であるジイソプロピルキサントゲンジ
スルフィドあるいはジエチルキサントゲンジスルフィド
と併用した場合、実施例11は本発明による可塑化剤の
うち三種類を併用した場合である。比較例1〜4は本発
明による可塑化剤と比較的分子構造が近い化合物を用い
て可塑化した場合、比較例5は可塑化剤を全く添加しな
かった場合である。表2の比較例中、測定不能とあるの
はムーニー粘度測定時レンジオーバーとなり測定できな
かったことを表す。実施例と比較例を対比させることに
より、本発明により見いだされた化合物は特異的に優れ
た可塑化効果を示すことが明らかである。
剤は優れた可塑化効果を有し、これらの可塑化剤を用い
て合成された硫黄変性クロロプレン重合体は変異原性を
示すニトロソアミン化合物を生成しないため、安全衛生
上優れており、工業的に極めて有用である。
Claims (3)
- 【請求項1】 2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む
単量体及び硫黄を乳化重合し、続いて重合停止させ、得
られた重合体を可塑化(ペプチゼーション)する際、下
記化合物(1)〜(5)のうち少なくとも一種の存在下
で可塑化することを特徴とする硫黄変性クロロプレン重
合体の製造方法。 (1)ジベンゾチアジルジスルフィド (2)N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスル
フェンアミド (3)N−ターシャリーブチル−2−ベンゾチアゾリル
スルフェンアミド (4)2−ベンズアミドチオフェノールの亜鉛塩 (5)N,N’−ジエチルチオウレア - 【請求項2】 炭素数が1〜4のジアルキルキサントゲ
ンジスルフィドのうち少なくとも一種を共存させて可塑
化することを特徴とする請求項1記載の硫黄変性クロロ
プレン重合体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1において、化合物(1)〜
(5)のうち少なくとも一種の水性分散液を形成させた
後、重合停止ラテックスに回分的または連続的に添加し
て可塑化することを特徴とする硫黄変性クロロプレン重
合体の製造方法。
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