JP7050443B2 - クロロプレン共重合体ラテックス組成物及びその成形物並びにクロロプレン共重合体ラテックス組成物の製造方法 - Google Patents

クロロプレン共重合体ラテックス組成物及びその成形物並びにクロロプレン共重合体ラテックス組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はクロロプレン共重合体ラテックス組成物及びその成形物並びにクロロプレン共重合体ラテックス組成物の製造方法に関する。
医療用使い捨て手袋、特に手術用手袋の素材として、柔軟性や機械的特性が天然ゴムに近く比較的安価であるクロロプレンゴムが使用されている。しかしながら、従来のクロロプレンゴムは、重合体の構造が不十分であることから、目的の強度を有する加硫ゴムを得るために高温又は長時間の加硫が必要であった。そのため、クロロプレンゴムラテックスを使用して浸漬加工法により手袋等の浸漬製品を製造する場合には、生産効率が低く、生産に要するエネルギーコストが大きかった。
クロロプレンゴムの中でも硫黄を共重合させた硫黄変性クロロプレンゴムは、加硫速度が速いことが知られているが、硫黄変性クロロプレンゴムラテックスを使用して浸漬製品を製造すると、手術用手袋に要求される柔軟性が得られにくいという問題点を有していた。また、硫黄変性クロロプレンゴムラテックスは貯蔵安定性が十分ではないため、工業的に利用しにくいという問題点も有していた。
例えば特許文献1には、クロロプレンゴムラテックスの貯蔵安定性を改良する技術が開示されており、例えば特許文献2及び特許文献3には、クロロプレンゴムの機械的特性や柔軟性を改良する技術が開示されているが、加硫工程(架橋工程)における温度の条件や処理時間の条件の低減は十分にはなされておらず、加硫工程では高温又は長時間が必要であった。
特許第04238686号公報 特開2015-218225号公報 特開2007-106994号公報
本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、従来よりも穏和な条件で加硫して成形しても優れた機械的特性及び柔軟性を有する成形物を得ることができるクロロプレン共重合体ラテックス組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、上記のクロロプレン共重合体ラテックス組成物が成形された優れた機械的特性及び柔軟性を有する成形物を提供することを併せて課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様は以下の[1]~[7]の通りである。
[1] クロロプレン共重合体ラテックス(A)と金属酸化物(B)と加硫促進剤(C)と酸化防止剤(D)とを含有する組成物であり、
前記クロロプレン共重合体ラテックス(A)は、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)と硫黄(A-3)との共重合体であるクロロプレン共重合体の粒子を含有するラテックスであり、
前記クロロプレン共重合体における前記硫黄(A-3)の含有量は、前記クロロプレン(A-1)と前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の合計量を100質量部とした場合に、0.1質量部以上1.0質量部以下であるクロロプレン共重合体ラテックス組成物。
[2] 前記クロロプレン共重合体における前記クロロプレン(A-1)と前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の共重合の比率は、前記クロロプレン(A-1)と前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の合計量を100質量%とした場合に、前記クロロプレン(A-1)は76質量%以上93質量%以下で、前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)は24質量%以下7質量%以上である
[1]に記載のクロロプレン共重合体ラテックス組成物。
[3] 前記クロロプレン共重合体ラテックス(A)中の固形分の量を100質量部とした場合に、前記金属酸化物(B)の量は1質量部以上10質量部以下、前記加硫促進剤(C)の量は0.1質量部以上5質量部以下、前記酸化防止剤(D)の量は0.1質量部以上5質量部以下である[1]又は[2]に記載のクロロプレン共重合体ラテックス組成物。
[4] [1]~[3]のいずれか一項に記載のクロロプレン共重合体ラテックス組成物の成形物であって、300%弾性率が0.5MPa以上1.6MPa以下、引張強度が18MPa以上、引張破断伸びが800%以上である成形物。
[5] 浸漬製品である[4]に記載の成形物。
[6] 手袋である[5]に記載の成形物。
[7] 医療用使い捨て手袋である[5]に記載の成形物。
本発明に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物は、従来よりも穏和な条件で加硫して成形しても優れた機械的特性及び柔軟性を有する成形物を得ることができる。また、本発明に係る成形物は、優れた機械的特性及び柔軟性を有する。
本発明の一実施形態について以下に説明する。本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物は、クロロプレン共重合体ラテックス(A)と金属酸化物(B)と加硫促進剤(C)と酸化防止剤(D)とを含有する組成物である。このクロロプレン共重合体ラテックス(A)は、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)と硫黄(A-3)との共重合体であるクロロプレン共重合体の粒子を含有するラテックスである。
クロロプレン共重合体における硫黄(A-3)の含有量は、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の合計量を100質量部とした場合に、0.1質量部以上1.0質量部以下である。硫黄(A-3)の含有量が0.1質量部以上であれば、クロロプレン共重合体ラテックス組成物の架橋反応性が優れているので、従来よりも穏和な条件(例えば、従来よりも低い温度及び/又は短い処理時間)で加硫して成形しても、優れた機械的特性及び柔軟性を有する成形物を得ることができる。また、硫黄(A-3)の含有量が1.0質量部以下であれば、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)と硫黄(A-3)の重合反応が阻害されることなく重合転化率が高くなる。このような効果をより優れたものとするためには、クロロプレン共重合体における硫黄(A-3)の含有量は、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の合計量を100質量部とした場合に、0.2質量部以上0.4質量部以下とすることがより好ましい。
クロロプレン共重合体中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は、50質量%以上85質量%以下としてもよい。
さらに、クロロプレン共重合体ラテックス(A)中の固形分の量を100質量部とした場合に、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物中の金属酸化物(B)の量は1質量部以上10質量部以下、加硫促進剤(C)の量は0.1質量部以上5質量部以下、酸化防止剤(D)の量は0.1質量部以上5質量部以下としてもよい。
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物は、クロロプレン共重合体中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量が上記のように制御されていれば、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物を従来よりも穏和な条件(例えば、従来よりも低い温度及び/又は短い処理時間)で加硫して成形しても、優れた機械的特性及び柔軟性を有する成形物を得ることができるという効果が向上する。
よって、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物を用いれば、加硫に必要な熱エネルギー量を低減することができるので、クロロプレン共重合体の成形物を高い生産性で安価に生産することが可能である。
さらに、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物は、クロロプレン共重合体の共重合成分として2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンが配合されているので、優れた柔軟性を有する成形物を得ることができる。
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物を成形すれば、300%弾性率(300%伸張時の弾性率)が0.5MPa以上1.6MPa以下、引張強度が18MPa以上、引張破断伸びが800%以上である成形物を得ることができる。
また、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物を浸漬加工法により成形して、浸漬製品を得ることができる。浸漬加工法により得られる成形物としては、例えば、手袋、風船、血圧計用ブラダー、糸ゴムが挙げられる。手袋の例としては、医療用使い捨て手袋が挙げられる。
以下に、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物及びその成形物について、さらに詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
〔1〕クロロプレン(A-1)について
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物の一成分であるクロロプレン共重合体の主要な原料モノマーであるクロロプレンは、2-クロロ-1,3-ブタジエンあるいは2-クロロブタジエンとも呼称されている化合物である。
〔2〕クロロプレン共重合体及びクロロプレン共重合体ラテックス(A)について
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物の一成分であるクロロプレン共重合体は、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)と硫黄(A-3)との共重合体である。2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)は、クロロプレン(A-1)との共重合性が良好であり、共重合の比率によって、クロロプレン共重合体の耐結晶性ひいては柔軟性などの特性を調整しやすい。
クロロプレン共重合体におけるクロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の共重合の比率は、特に限定されるものではないが、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の合計量を100質量%とした場合に、クロロプレン(A-1)は76質量%以上93質量%以下、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)は24質量%以下7質量%以上としてもよい。
2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の比率が7質量%以上であれば、クロロプレン共重合体の柔軟性の経時安定性が良好となり、24質量%以下であれば、クロロプレン共重合体の結晶化が抑制され柔軟性が良好となる。このような効果をより優れたものとするためには、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の比率を15質量%以下10質量%以上とすることがより好ましい。
クロロプレン共重合体においては、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、クロロプレン(A-1)、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)、硫黄(A-3)以外の「その他の単量体(A-4)」を共重合させてもよい。その他の単量体(A-4)の例としては、1-クロロ-1,3-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及びそのエステル化合物、メタクリル酸及びそのエステル化合物が挙げられる。その他の単量体(A-4)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の単量体(A-4)の使用量は特に限定されるものではないが、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)との合計100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の範囲とすることができる。10質量部以下とすることにより、クロロプレン共重合体の引張強度や引張破断伸びが良好となることに加えて、柔軟性の経時安定性が良好に保たれる。
クロロプレン共重合体の重合方法は特に限定されるものではないが、乳化重合を採用することができ、工業的には水性乳化重合が好ましい。クロロプレン(A-1)、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)、硫黄(A-3)を乳化重合することにより、クロロプレン共重合体の粒子が例えば水に分散したクロロプレン共重合体ラテックス(A)が得られる。得られたクロロプレン共重合体ラテックス(A)は、乳化剤を含有することとなる。乳化重合の乳化剤としては、凝固操作の簡便性から、通常のロジン酸石鹸を用いることができる。特に、着色安定性の観点から、不均化ロジン酸のナトリウム塩及び/又はカリウム塩が好ましい。
ロジン酸石鹸を含む乳化剤のクロロプレン共重合体ラテックス(A)への使用量は、クロロプレン(A-1)、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)、硫黄(A-3)、その他の単量体(A-4)等の全ての単量体の合計を100質量部とした場合に、3質量部以上8質量部以下が好ましい。3質量部以上であれば、乳化不良が生じにくいことに加えて、重合による発熱を制御することができ、また、凝集物の生成や製品外観不良などの問題が発生しにくい。一方、8質量部以下であれば、ロジン酸等の乳化剤がクロロプレン共重合体に残留しにくいので、クロロプレン共重合体に粘着が生じにくい。よって、クロロプレン共重合体ラテックス組成物の成形時の型(フォーマー)への粘着、成形物の使用時の粘着などによる加工性、操作性の悪化が生じにくいことに加えて、成形物の色調の悪化が生じにくい。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を使用することができる。例えば、乳化重合の場合であれば、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、クメンヒドロペルオキサイド、t-ブチルヒドロペルオキサイド等の有機又は無機の過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用される。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
クロロプレン共重合体の重合においては、重合開始剤と併せて、所望により助触媒を使用してもよい。重合開始剤と併せて使用可能な助触媒は、特に限定されるものではなく、一般的な助触媒を使用することができる。例えば、アントラキノンスルホン酸塩、亜硫酸カリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、テトラエチレンペンタミン、N,N-ジメチル-p-トルイジンが挙げられる。助触媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般に、クロロプレン重合体の製造においては、所望の分子量及び分子量分布を有する重合体を得る目的で、所定の重合率に到達した時点で重合停止剤を添加し、重合反応を停止させる。本実施形態においても、重合停止剤を使用してもよい。重合停止剤の種類は特に限定されるものではなく、通常用いられる重合停止剤、例えばフェノチアジン、パラ-t-ブチルカテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジエチルヒドロキシルアミン等を用いることができる。重合停止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、クロロプレン重合体は、一般に酸素による劣化を受けやすい。よって、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、クロロプレン共重合体ラテックス(A)に受酸剤や酸化防止剤等の安定剤を配合してもよい。
クロロプレン共重合体の重合時の重合転化率は、特に限定されるものではないが、95%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。重合転化率が95%以上であれば、未反応の硫黄(A-3)が少ないので、成形物の物性が変動しにくい。また、未反応の硫黄(A-3)が少ないと、クロロプレン共重合体ラテックス(A)の貯蔵安定性が優れたものとなり、その結果、クロロプレン共重合体ラテックス組成物の貯蔵安定性が優れたものとなる。
〔3〕クロロプレン共重合体中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量について
クロロプレン共重合体中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は、50質量%以上85質量%以下である。テトラヒドロフラン不溶分の含有量は、硫黄(A-3)の含有量と重合転化率によって制御される。テトラヒドロフラン不溶分の含有量が50質量%以上であれば、クロロプレン共重合体ラテックス組成物の成形物の引張強度が高くなり、また、クロロプレン共重合体ラテックス組成物の成形時に型へのクロロプレン共重合体の粘着が生じにくく剥離しやすい。
一方、クロロプレン共重合体中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量が85質量%以下であれば、クロロプレン共重合体が強靱となり、成形物の柔軟性、引張強度、引張破断伸びが優れたものとなる。
このような効果をより優れたものとするためには、クロロプレン共重合体中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は、60質量%以上85質量%以下とすることが好ましい。
〔4〕クロロプレン共重合体ラテックス組成物について
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物は、少なくともクロロプレン共重合体ラテックス(A)と金属酸化物(B)と加硫促進剤(C)と酸化防止剤(D)とを含有する組成物である。金属酸化物(B)と加硫促進剤(C)と酸化防止剤(D)とを含有することにより、十分な引張強度と柔軟性を有する成形物を形成可能なクロロプレン共重合体ラテックス組成物となる。金属酸化物(B)、加硫促進剤(C)、酸化防止剤(D)のうち、水に不溶であるものや、クロロプレン共重合体ラテックス(A)のコロイド状態を不安定化させるものについては、水に分散させた分散体を予め作製し、その分散体をクロロプレン共重合体ラテックス(A)に混合するとよい。
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物中に含有される金属酸化物(B)、加硫促進剤(C)、及び酸化防止剤(D)の量は、それぞれ以下の通りである。すなわち、クロロプレン共重合体ラテックス(A)中の固形分の量を100質量部とした場合に、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物中に含有される金属酸化物(B)の量は1質量部以上10質量部以下、加硫促進剤(C)の量は0.1質量部以上5質量部以下、酸化防止剤(D)の量は0.1質量部以上5質量部以下である。
金属酸化物(B)の種類は特に限定されるものではなく、例えば、酸化亜鉛、酸化鉛、四酸化三鉛を使用することができ、酸化亜鉛が特に好ましい。金属酸化物(B)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物中に含有される金属酸化物(B)の量は、クロロプレン共重合体ラテックス(A)中の固形分の量を100質量部とした場合に1質量部以上10質量部以下であるが、金属酸化物(B)の量がこの範囲内であれば、適度な架橋速度が得られ、架橋不足やスコーチが生じにくい。また、クロロプレン共重合体ラテックス組成物のコロイド状態が安定化するため、沈降などの問題が発生しにくい。
加硫促進剤(C)の種類は特に限定されるものではなく、クロロプレン系重合体ラテックスの加硫に一般に用いられているものを使用することができる。例えば、チウラム系、ジチオカーバメート系、チオウレア系、グアニジン系の加硫促進剤が挙げられる。
チウラム系の加硫促進剤としては、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。ジチオカーバメート系の加硫促進剤としては、ジブチルチオジカルバミン酸ナトリウム、ジブチルチオジカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオジカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。チオウレア系の加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、N,N’-ジフェニルチオウレア(DPTU)などが挙げられる。グアニジン系の加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトルイルグアニジンなどが挙げられる。加硫促進剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物中に含有される加硫促進剤(C)の量は、クロロプレン共重合体ラテックス(A)中の固形分の量を100質量部とした場合に、0.1質量部以上5質量部以下であるが、加硫促進剤(C)の量がこの範囲内であれば、適度な架橋速度が得られ、架橋不足やスコーチが生じにくい。また、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物の成形物の架橋密度も適度となるため、成形物に適度な柔軟性を付与することができる。このような効果をより優れたものとするためには、加硫促進剤(C)の量は、0.5質量部以上1.5質量部以下とすることがより好ましい。
酸化防止剤(D)の種類は特に限定されるものではないが、高い耐熱性を要求される場合には、熱による老化を防止する酸化防止剤とオゾンによる老化を防止する酸化防止剤とを併用することが好ましい。
熱による老化を防止する酸化防止剤の例としては、オクチル化ジフェニルアミン、p-(p-トルエン-スルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミンなどのジフェニルアミン系の酸化防止剤が挙げられる。このような酸化防止剤は、耐熱性だけでなく、耐汚染性(変色抑制など)も付与することができる。
オゾンによる老化を防止する酸化防止剤の例としては、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)やN-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(IPPD)が挙げられる。
ただし、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物の成形物が例えば医療用手袋として使用される場合には、成形物の外観(特に色調)や衛生性が重視されるので、酸化防止剤(D)としてヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用することが好ましい。
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物中に含有される酸化防止剤(D)の量は、クロロプレン共重合体ラテックス(A)中の固形分の量を100質量部とした場合に、0.1質量部以上5質量部以下であるが、酸化防止剤(D)の量がこの範囲内であれば、十分な酸化防止効果が得られるとともに、架橋の阻害や色調の悪化が生じにくい。
なお、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、クロロプレン共重合体ラテックス(A)、金属酸化物(B)、加硫促進剤(C)、酸化防止剤(D)の他に、所望により他の添加剤を配合してもよい。配合可能な添加剤としては、例えば、pH調整剤、充填剤、顔料、着色剤、消泡剤、増粘剤が挙げられる。
〔5〕クロロプレン共重合体ラテックス組成物の成形物の製造方法について
本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物を成形して成形物を得ることができるが、例えば浸漬加工法により成形して浸漬製品を得ることができる。例えば、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物に型を浸漬し、型の表面にクロロプレン共重合体を凝固させた後に、浸出(水溶性不純物の除去)、乾燥、加硫(架橋)の各工程をこの順に行うことによって、フィルム状の成形物が得られる。
加硫工程(架橋工程)における加硫温度(架橋温度)については、従来のクロロプレン系重合体ラテックスでは天然ゴムと比較して高い温度(120~140℃)が要求されていたが、本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物では前述の従来と比較して低い温度とすることが可能である。したがって、従来と比較して少ないエネルギーコストで成形物を製造することができる。
例えば、加硫工程(架橋工程)における加硫温度(架橋温度)は、100℃以上110℃以下とすることができる。この加硫温度(架橋温度)での加硫時間(架橋時間)は、例えば20分以上60分以下とすることができるが、成形物の引張強度や引張破断伸びが悪化しない範囲内で十分に行うことが好ましい。なお、成形物の外観の問題、例えばブリスター、ピンホール等の生成を回避する目的で、加硫工程(架橋工程)の前に予め70℃以上100℃以下の比較的低温で粗乾燥を行ってもよい。
上記のようにして、300%弾性率が0.5MPa以上1.6MPa以下、引張強度が18MPa以上(より好ましくは20MPa以上)、引張破断伸びが800%以上である成形物を得ることができる。300%弾性率は柔軟性の指標となり、その値が小さいほど柔軟性が高いことを示す。本実施形態に係るクロロプレン共重合体ラテックス組成物を成形して得た成形物は、優れた柔軟性を有している。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。
〔実施例1〕
(1)クロロプレン共重合体ラテックス(A)の調製
内容積5Lの反応器に、クロロプレン1355g、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン145g、硫黄3.8g、純水1290g、ロジン酸(荒川化学工業株式会社製のロジンHTR)36g、水酸化カリウム57.8g、水酸化ナトリウム29.7g、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩15g、硫酸銅11.7mgを仕込み、乳化させ、ロジン酸をロジン石鹸にした。
なお、クロロプレン、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、及び硫黄は原料モノマーとして配合し、純水は乳化重合の分散媒として配合した。また、ロジン酸、水酸化カリウム、及び、水酸化ナトリウムは乳化剤の原料として配合し、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩は乳化剤として配合し、硫酸銅は乳化重合の助触媒として配合した。
この乳化物に過硫酸カリウムを重合開始剤として4g添加して、窒素ガス雰囲気下40℃で5時間乳化重合を行った。その後、温度を45℃まで昇温して重合を1時間続けた。そして、重合を開始して合計6時間経過後に重合を停止した。続いて、未反応のクロロプレン及び2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンを水蒸気蒸留によって除去して、クロロプレン共重合体ラテックス(A)を得た。
なお、重合転化率は以下のようにして算出した。重合後の乳化物を採取し、141℃で30分間乾燥させて乾固物を得た。そして、この乾固物の質量からポリマー以外の固形分の質量を差し引いた値を「クロロプレン共重合体の生成量」として、下記式により重合転化率を算出した。ポリマー以外の固形分の質量は、乳化重合に使用する各種成分の中から141℃では揮発しない成分を判断して算出した。算出した重合転化率を表1に示す。
重合転化率[%]=[(クロロプレン共重合体の生成量)/(全モノマーの合計仕込み質量)]×100
また、クロロプレン共重合体ラテックス(A)の固形分濃度は、以下のようにして算出した。クロロプレン共重合体ラテックス(A)を100℃で2時間乾燥させて乾固物を得た。そして、この乾固物の質量を測定し、乾燥前のクロロプレン共重合体ラテックス(A)の質量との比から固形分濃度を算出した(下記式を参照)。
固形分濃度[質量%]=[(乾燥後の質量)/(乾燥前の質量)]×100
さらに、得られたクロロプレン共重合体の中のクロロプレン由来の部位、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン由来の部位、及び硫黄の各含有量を、重合転化率から算出した。以下にその算出方法を説明し、算出した結果を表1に示す。
2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)は重合初期にほとんど消費されポリマー化する。また、硫黄(A-3)は、仮に未反応のものが存在しても揮発することなくポリマー中に残留する。したがって、重合転化率に寄与する未反応モノマーはクロロプレン(A-1)のみであるため、クロロプレン共重合体中の各成分の含有量は下記式により近似的に算出される。
〔クロロプレン共重合体の中のクロロプレン(A-1)由来の部位と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)由来の部位の合計量を100質量%とした場合の2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)由来の部位の含有量(質量%)〕=〔クロロプレン(A-1)の仕込み量(質量%)〕/〔重合転化率〕×100
〔クロロプレン共重合体の中のクロロプレン(A-1)由来の部位と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)由来の部位の合計量を100質量部とした場合の硫黄(A-3)の含有量(質量部)〕=〔硫黄(A-3)の仕込み量(質量部))/〔重合転化率〕×100
さらに、得られたクロロプレン共重合体ラテックス(A)の各種物性を評価した。
クロロプレン共重合体中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は、以下のようにして測定した。すなわち、クロロプレン共重合体ラテックス(A)1gをテトラヒドロフラン100mLに滴下して、一晩振とうした後に、遠心分離機を用いて遠心分離を行い、上澄みの溶解相を得た。得られた溶解相を100℃に加熱し、1時間かけてテトラヒドロフランを蒸発、乾固させ、乾固物の質量を測定した。これにより、クロロプレン共重合体のうち、溶解相中に溶解していた溶解分の質量が得られる。
そして、クロロプレン共重合体ラテックス(A)1g中のクロロプレン共重合体の質量と上記の溶解分の質量とを下記式に代入することにより、クロロプレン共重合体のうちテトラヒドロフランに溶解しないテトラヒドロフラン不溶分の含有量を算出した。測定したテトラヒドロフラン不溶分の含有量を表1に示す。
テトラヒドロフラン不溶分の含有量(%)={1-[(溶解分の質量)/(クロロプレン共重合体ラテックス(A)1g中のクロロプレン共重合体の質量)]}×100
さらに、クロロプレン共重合体ラテックス(A)の貯蔵安定性を、下記のようにして評価した。密閉容器に入れたクロロプレン共重合体ラテックス(A)を70℃のオーブン内で168時間加熱した後に、クロロプレン共重合体ラテックス(A)中の残留アルカリ量を測定した。残留アルカリ量の測定は、濃度1/3mol/Lの塩酸を用いた中和滴定により行った。そして、加熱前と比較して残留アルカリ量の減少率が低い場合は、貯蔵安定性が優れていると判定した。貯蔵安定性の評価結果を表1に示す。なお、残留アルカリ量の減少率が60%以下である場合は、貯蔵安定性が優れていると判定して、表1においては○印で示し、残留アルカリ量の減少率が60%超過である場合は、貯蔵安定性が不十分であると判定して、表1においては×印で示してある。
(2)クロロプレン共重合体ラテックス組成物の調製
上記(1)で得られたクロロプレン共重合体ラテックス(A)と、大崎工業株式会社製の酸化亜鉛AZ-SWと、大内新興化学工業株式会社製の加硫促進剤ノクセラーC(ジフェニルチオウレア)と、大内新興化学工業株式会社製の加硫促進剤ノクセラーD(ジフェニルグアニジン)と、中京油脂株式会社製のフェノール系酸化防止剤セロゾールL-306-40とを、撹拌装置付きの容器に仕込んだ。そして、5分間撹拌して均一に混合することにより、クロロプレン共重合体ラテックス組成物を得た。撹拌を終えたクロロプレン共重合体ラテックス組成物は、室温(20℃)で24時間静置することにより熟成させた。
なお、酸化亜鉛AZ-SW、加硫促進剤ノクセラーC、加硫促進剤ノクセラーD、及びフェノール系酸化防止剤セロゾールL-306-40の各仕込量は、仕込んだクロロプレン共重合体ラテックス(A)中の固形分の量を100質量部とした場合に、酸化亜鉛AZ-SWは5質量部、加硫促進剤ノクセラーCは2質量部、加硫促進剤ノクセラーDは1質量部、フェノール系酸化防止剤セロゾールL-306-40は2質量部である。
ただし、酸化亜鉛AZ-SWとフェノール系酸化防止剤セロゾールL-306-40は、有効成分である酸化亜鉛や酸化防止剤を液状媒体に分散させた分散体の形態であるので、上記した酸化亜鉛AZ-SWとフェノール系酸化防止剤セロゾールL-306-40の仕込量は、仕込んだ酸化亜鉛AZ-SWやフェノール系酸化防止剤セロゾールL-306-40のうち有効成分のみの量である。
(3)フィルムの作製
上記(2)で得られたクロロプレン共重合体ラテックス組成物を用いて、浸漬加工法によりクロロプレン共重合体のフィルムを成形した。クロロプレン共重合体のフィルムの型として、縦200mm、横100mm、厚さ5mmのセラミック製の板を用意した。この型を、30質量%硝酸カルシウム水溶液に浸漬した後に引き上げ、40℃のオーブンで5分間乾燥させることにより、凝固剤である硝酸カルシウムを型の表面に付着させた。
さらに、乾燥した型を、上記(2)で得られたクロロプレン共重合体ラテックス組成物に浸漬し、型の表面にフィルムを形成させた。クロロプレン共重合体ラテックス組成物から型を引き上げたら、70℃のオーブンで30分乾燥させた。
次に、表面にフィルムが形成された型をオーブンにて110℃で30分間加熱して、加硫(架橋反応)を行い硬化させた。大気下で放冷した後に、型の表面から切り出すことにより、架橋したクロロプレン共重合体のフィルムを得た。
架橋したフィルムを切断して、JIS K6251に規定のダンベル状6号形試験片を得た。この試験片の厚さは0.15~0.25mmであった。そして、この試験片を110℃で16時間、空気中で加熱処理することにより、熱老化処理を行った。熱老化処理前後の試験片それぞれについて、室温下、JIS K6301に準じた方法で引張試験を行って、引張強度、引張破断伸び、及び300%伸張時の弾性率(300%弾性率)を測定した。上記のようにして測定したフィルムの各種物性を、表1にまとめて示す。
Figure 0007050443000001
〔実施例2〕
2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンの使用量を表1に示す通りに変更してクロロプレン共重合体ラテックス(A)を調製した点を除いては、実施例1と全く同様にしてクロロプレン共重合体ラテックス(A)、クロロプレン共重合体ラテックス組成物、フィルム、及び試験片を作製し、実施例1と同様に各種評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンの使用量を表1に示す通りに変更してクロロプレン共重合体ラテックス(A)を調製した点と、加硫促進剤ノクセラーCの使用量を表1に示す通りに変更してクロロプレン共重合体ラテックス組成物を調製した点を除いては、実施例1と全く同様にしてクロロプレン共重合体ラテックス(A)、クロロプレン共重合体ラテックス組成物、フィルム、及び試験片を作製し、実施例1と同様に各種評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4及び参考例
ロジン酸の使用量を表1に示す通りに変更してクロロプレン共重合体ラテックス(A)を調製した点と、加硫促進剤の種類及び使用量と酸化防止剤の使用量とを表1に示す通りに変更してクロロプレン共重合体ラテックス組成物を調製した点を除いては、実施例1と全く同様にしてクロロプレン共重合体ラテックス(A)、クロロプレン共重合体ラテックス組成物、フィルム、及び試験片を作製し、実施例1と同様に各種評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1中の加硫促進剤(C)ノクセラーBZとは、大内新興化学工業株式会社製の加硫促進剤ノクセラーBZ(ジブチルカルバミン酸亜鉛)である。
〔比較例1~3〕
2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、硫黄、及びロジン酸の各使用量を表1に示す通りに変更してクロロプレン共重合体ラテックス(A)を調製した点を除いては、実施例1と全く同様にしてクロロプレン共重合体ラテックス(A)、クロロプレン共重合体ラテックス組成物、フィルム、及び試験片を作製し、実施例1と同様に各種評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例4〕
フィルムの加硫の条件を120℃、45分間(従来の加硫条件である)とした点を除いては、比較例1と全く同様にしてクロロプレン共重合体ラテックス(A)、クロロプレン共重合体ラテックス組成物、フィルム、及び試験片を作製し、実施例1と同様に各種評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例5〕
加硫促進剤の種類及び使用量と酸化防止剤の使用量とを表1に示す通りに変更してクロロプレン共重合体ラテックス組成物を調製した点を除いては、比較例1と全く同様にしてクロロプレン共重合体ラテックス(A)、クロロプレン共重合体ラテックス組成物、フィルム、及び試験片を作製し、実施例1と同様に各種評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例6〕
フィルムの加硫の条件を130℃、30分間とした点を除いては、比較例5と全く同様にしてクロロプレン共重合体ラテックス(A)、クロロプレン共重合体ラテックス組成物、フィルム、及び試験片を作製し、実施例1と同様に各種評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1~3は、クロロプレン共重合体ラテックス(A)の調製時に硫黄が添加されているため、硫黄が添加されていない比較例1と比べると、従来よりも低い温度条件の加硫であっても、高い機械的強度を有するフィルムが得られた。また、実施例4及び参考例の対比により、硫黄の使用量が多い方が、架橋したクロロプレン共重合体のフィルムの引張強度が高いことが分かる。
比較例3は、硫黄の配合量が多いため、テトラヒドロフラン不溶分の含有量が少なくフィルムの柔軟性が向上しているものの、クロロプレン共重合体ラテックス(A)の貯蔵安定性は低かった。
また、実施例1~3と比較例2との対比により、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエンを使用すると、フィルムの柔軟性が向上することが分かる。さらに、比較例5、6の対比により、硫黄を使用しない場合は、加硫温度の違いによって、架橋したクロロプレン共重合体のフィルムの引張強度、引張破断伸び、及び300%弾性率に差が生じることが分かる。

Claims (9)

  1. クロロプレン共重合体ラテックス(A)と金属酸化物(B)と加硫促進剤(C)と酸化防止剤(D)とを含有する組成物であり、
    前記クロロプレン共重合体ラテックス(A)は、クロロプレン(A-1)と2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)と硫黄(A-3)との共重合体であるクロロプレン共重合体の粒子を含有するラテックスであり、
    前記クロロプレン共重合体における前記硫黄(A-3)の含有量は、前記クロロプレン(A-1)と前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の合計量を100質量部とした場合に、0.1質量部以上1.0質量部以下であり、
    前記クロロプレン共重合体中のテトラヒドロフラン不溶分の含有量は50質量%以上85質量%以下であるクロロプレン共重合体ラテックス組成物。
  2. 前記クロロプレン共重合体における前記クロロプレン(A-1)と前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の共重合の比率は、前記クロロプレン(A-1)と前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)の合計量を100質量%とした場合に、前記クロロプレン(A-1)は76質量%以上93質量%以下で、前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)は24質量%以下7質量%以上である請求項1に記載のクロロプレン共重合体ラテックス組成物。
  3. 前記クロロプレン共重合体ラテックス(A)中の固形分の量を100質量部とした場合に、前記金属酸化物(B)の量は1質量部以上10質量部以下、前記加硫促進剤(C)の量は0.1質量部以上5質量部以下、前記酸化防止剤(D)の量は0.1質量部以上5質量部以下である請求項1又は請求項2に記載のクロロプレン共重合体ラテックス組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のクロロプレン共重合体ラテックス組成物の成形物であって、300%弾性率が0.5MPa以上1.6MPa以下、引張強度が18MPa以上、引張破断伸びが800%以上である成形物。
  5. 浸漬製品である請求項4に記載の成形物。
  6. 手袋である請求項5に記載の成形物。
  7. 医療用使い捨て手袋である請求項5に記載の成形物。
  8. 請求項1~3のいずれか一項に記載のクロロプレン共重合体ラテックス組成物を製造する方法であって、
    前記クロロプレン(A-1)と前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)と前記硫黄(A-3)とを共重合させて、前記クロロプレン共重合体の粒子を含有する前記クロロプレン共重合体ラテックス(A)を得る共重合工程と、
    前記クロロプレン共重合体ラテックス(A)と前記金属酸化物(B)と前記加硫促進剤(C)と前記酸化防止剤(D)とを混合して前記クロロプレン共重合体ラテックス組成物を得る混合工程と、
    を備えるクロロプレン共重合体ラテックス組成物の製造方法。
  9. 前記共重合工程においては、前記クロロプレン(A-1)と前記2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン(A-2)と前記硫黄(A-3)とを同時に仕込む請求項8に記載のクロロプレン共重合体ラテックス組成物の製造方法。
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